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JP2013128025A - 有機発電素子 - Google Patents

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Ryo Kamai
亮 釜井
Takashi Sekiguchi
隆史 関口
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Abstract

【課題】光電変換効率の高い有機発電素子を提供する。
【解決手段】正孔輸送層3、液体金属層5、及び前記正孔輸送層3と前記液体金属層5との間に配置される発電層4を備える。前記正孔輸送層3の仕事関数が5.0eV以上且つ前記液体金属層5の仕事関数が4.2eV以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機発電素子に関する。
近年、産業の発展に伴いエネルギーの使用量が益々飛躍的に増加している。そのため、地球環境に負荷を与えない、経済的で高性能な新しいクリーンエネルギーの生産技術の開発が求められている。特に太陽電池は無限にあるといってよい太陽光を利用することから、新しいエネルギー源として注目されている。
現在実用化されている太陽電池の大部分は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどを用いた無機太陽電池である。しかし、これら無機シリコン系の太陽電池は、その製造プロセスが複雑でコストが高いという欠点を有するため、一般家庭に広く普及するには至ってない。このような太陽電池の欠点を解消するため、簡単なプロセスで低コスト・大面積化が可能な有機材料を用いた有機発電素子の研究が盛んになってきている。
また有機発電素子をさらに簡易なプロセスで安価に作製するため、発電層だけでなく有機発電素子の全ての層を塗布法により形成した、新たなデバイス構造、材料の開発が図られている。例えば、非特許文献1のように金属薄膜の陰極上に発電層を塗布により形成し、その上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)を、さらに陽極として銀ペーストを塗布により形成した素子、非特許文献2のように基板上に形成された高導電性PEDOT:PSSから成る陽極上に発電層を塗布により形成し、その上に液体金属であるガリウムインジウム共晶合金を陰極として塗布により形成した素子が知られている。
しかしながらこれらの手法を用いた素子では、電極上の全ての層が塗布形成可能ではあるが、蒸着法により電極を形成した素子と同等の開放電圧を両立させることがなし得るものではなかった。
Organic Electronics、 Vol.12、 p.566−574 (2011) Advanced Materials、 Vol.23、 p.1771−1775 (2011)
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、光電変換効率の高い有機発電素子を提供することを目的とする。
本発明に係る有機発電素子は、正孔輸送層、液体金属層、及び前記正孔輸送層と前記液体金属層との間に配置される発電層を備え、前記正孔輸送層の仕事関数が5.0eV以上且つ前記液体金属層の仕事関数が4.2eV以下であることを特徴とするものである。
本発明にあっては、前記液体金属層と前記発電層とが直接接していることが好ましい。
本発明において、前記正孔輸送層が、ポリチオフェン誘導体であることが好ましい。
本発明において、前記ポリチオフェン誘導体が、ポリ(チオフェン−3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,5−ジイル)であることが好ましい。
本発明において、前記液体金属が、ガリウム単体、またはガリウムを質量比で60%以上含有し、インジウム、アルミニウム、錫、亜鉛のうちから選ばれた少なくとも一つを含むことが好ましい。
本発明によれば、光電変換効率の高い有機発電素子が得られる。
本発明の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
図1に本実施形態による有機発電素子の構成を示す。この有機発電素子は基板1、陽極2、正孔輸送層3、発電層4、液体金属層5、保護層6を備え、これらの要素が順番に積層している。
本実施形態では、基板1は光透過性を有する物質から構成される透明基板である。また、陽極2は光透過性を有する透明電極である。さらに、正孔輸送層3は光透過性を有する物質から構成されている。本実施形態における有機発電素子は、基板1の側から入射する外来光が基板1、陽極2及び正孔輸送層3を透過して発電層4に到達する。
尚、本発明に係る有機発電素子の構成は本実施形態に限るものではなく、例えば基材1の上に液体金属層5、発電層4、正孔輸送層3、陽極2、保護層6がこの順に積層した構造を有していてもよい。また、保護層6は有機発電素子の劣化を防ぐために必要に応じて形成する層であり、有機発電素子が保護層6を備えなくてもよく、発電層4と液体金属層5との間に、電子輸送性を有する物質により構成される電子輸送層を設けてもよい。さらに、陽極2が正孔輸送層3と同一の層であってもよい。
(基板1)
本実施形態において、基板1の材質は、光透過性を有し、且つこの基板1によって電極、発電層等の有機発電素子の要素が支持され得るならば特に制限されないが、例えばソーダライムガラスや無アルカリガラスなどの透明ガラス、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などの樹脂材料などが挙げられる。基板1の形状としては、特に制限されないが、板状、シート状などが挙げられる。この基板1の発電層側の面の平滑性が高いことが好ましく、算術平均粗さRaが50nm以下であることが好ましく、さらに好ましくはRaが10nm以下である。また、基板1は光の透過率が高ければ高いほどよく、特に可視光領域において透過率が70%以上であることが好ましい。
(陽極2)
本実施形態において、陽極2は発電層4中で発生したホールを効率よく収集するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が4eV以上のものを用いるのがよい。陽極2は仕事関数が6eV以下にすることができる。このような陽極2の材料としては、例えば、ITO(インジウム−錫酸化物)、SnO、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子及び任意のアクセプタ等でドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。陽極2は、例えば、これらの電極材料を基板1の表面に塗布法、スプレー熱分解法、スパッタリング法、真空蒸着法、化学気相成長(CVD)法などの方法により薄膜に形成することによって作製することができる。また、外来光は陽極2を透過して発電層4に入射させるため、陽極2は光の透過率が高ければ高いほどよく、特に可視光領域において透過率が70%以上であることが好ましい。さらに、陽極2のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下とするものである。ここで、陽極2の膜厚は、陽極2の光透過率、シート抵抗等の特性を上記のように制御するために、材料により異なるが、500nm以下、好ましくは10〜300nmの範囲に設定するのがよい。
(正孔輸送層3)
本実施形態において、正孔輸送層3は、仕事関数が5.0eV以上であることが好ましく、正孔を輸送する能力を有し、発電層4から陽極2への正孔の移動性を向上し得る材料から形成されることが好ましい。また正孔輸送層3は電子の移動を阻害する材料から形成されることが好ましい。また正孔輸送層3は薄膜形成能に優れた材料から形成されることが好ましく、また塗布法により形成可能であることが好ましい。正孔輸送層3は、仕事関数が5.1eV以上であることがより好ましい。正孔輸送層3は仕事関数が6.0eV以下にすることができる。
正孔輸送層3を形成するための材料としては、ポリチオフェン誘導体であることが好ましく、特に好ましくはポリ(チオフェン−3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,5−ジイル)である。正孔輸送層3を形成するための材料の他の好ましい例としては、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、アミノピリジン誘導体等の導電性高分子材料が挙げられる。また、無機材料であっても正孔輸送性を有するのであれば正孔輸送層3を形成するための材料として使用され得る。このような無機材料としては、特に限定されないが、正孔を輸送する能力を有する三酸化モリブデン、五酸化バナジウム、三酸化タングステン、酸化レニウムなどの無機酸化物が挙げることができる。
正孔輸送層3を形成する方法としては、特に限定されないが、正孔輸送層3を形成するための材料が高分子材料である場合にはスピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、グラビア印刷法などの塗布法が挙げられ、正孔輸送層3を形成するための材料が無機材料や低分子材料である場合には真空蒸着法やスパッタリング法などが挙げられる。
尚、本実施形態において、陽極2が5.0eV以上の仕事関数を有する場合には、正孔輸送層3は陽極2と同一の材料であっても構わない。
(発電層4)
本実施形態において、発電層4は、正孔輸送層3と液体金属層5の間に介在するように配置される。発電層4の材料である有機化合物は、溶媒可溶性であることが好ましい。発電層4の材料である有機化合物のうち、電子供与性半導体としては、特に限定されないが、フタロシアニン系顔料、インジゴ、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、メロシアニン化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物、多環芳香族化合物などが挙げられる。また、有機電子写真感光体に用いられる電荷移動剤、電気伝導性有機電荷移動錯体、更には導電性高分子なども挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、特に限定されないが、Cu、Zn、Co、Ni、Pb、Pt、Fe、Mg等の2価の中心金属を有するフタロシアニン;無金属フタロシアニン;アルミニウムクロロフタロシアニン、インジウムクロロフタロシアニン、ガリウムクロロフタロシアニン等のハロゲン原子が配位した3価金属のフタロシアニン;その他バアナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の酸素が配位したフタロシアニン等が挙げられる。多環芳香族化合物としては、特に限定されないが、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、またそれらの誘導体などが挙げられる。電荷移動剤としては、特に限定されないが、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物等が挙げられる。電気伝導性有機電荷移動錯体としては、特に限定されないが、テトラチオフルバレン、テトラフェニルテトラチオフラバレン等が挙げられる。電子を供与する導電性高分子としては、特に限定されないが、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、チオフェン系ポリマー、導電性高分子のオリゴマー等の、有機溶媒に可溶なものが挙げられる。また、電子供与性化合物と電子受容性化合物とのブロックコポリマーも挙げられる。
発電層4の材料である有機化合物のうち、電子受容性半導体としては、特に限定されないが、フラーレン誘導体、炭素ナノチューブ、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体、これらの共重合体、CN基またはCF基を含むポリマーなどが挙げられる。
発電層4が形成されるにあたっては、例えば発電層4の材料である有機化合物が溶媒に溶解されて溶液が調製され、この溶液が正孔輸送層3の上に塗布、成膜されることで発電層4が形成される。溶媒としては、特に限定されないが、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、キシレン、トルエン、1−クロロナフタレン、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、シクロヘキサンなどの有機溶媒が挙げられる。溶媒として、互いに蒸気圧の異なる主溶媒と添加溶媒とが用いられてもよい。例えば主溶媒として1,2−ジクロロベンゼン(蒸気圧:160Pa(20℃))が用いられると共に添加溶媒としてクロロホルム(蒸気圧:21.2kPa(20℃))が用いられてもよい。溶媒の組み合わせはこれに限定されない。主溶媒と添加溶媒とは蒸気圧に二桁以上の相違があり、且つ全溶媒中の容積比が主溶媒>添加溶媒の関係にあることが好ましい。主溶媒として複数種の溶媒が用いられ、あるいは添加溶媒として複数種の溶媒が用いられても、蒸気圧の関係、混合の容積比の関係が前記のようになっていれば特に構わない。
発電層4の厚みは、特に限定されないが、80〜240nmの範囲が好ましい。
発電層4を塗布法により形成する場合、発電層4の材料である有機化合物を含有する溶液を塗布する方法としては、特に限定されないが、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、グラビア印刷法など溶液を対象物に直接接触させる方法や、インクジェット、スプレーコート法など溶液を対象物へ向けて気相中に噴霧する方法などが挙げられる。
(液体金属層5)
本実施形態において、液体金属層5は陰極として形成されるものであって、仕事関数が4.2eV以下であることが好ましい。液体金属層5は仕事関数が3.8eV以上とすることができる。また、液体金属層5は低温で塗布可能なように融点が30℃以下であることが好ましい。液体金属層5は、ガリウム単体、またはガリウムを質量比で60%以上含有し、インジウム、アルミニウム、錫、亜鉛のうちから選ばれた少なくとも一つを含むことが好ましい。ガリウム以外の金属には、インジウム、アルミニウム、錫、亜鉛であれば、いずれの元素が混合されていても構わない。ガリウム単体の融点は29.8℃であり、液体合金は、ガリウムを融点以上の温度にして液体の状態にした後、他の金属を添加することにより、調製することができる。液体金属として特に好ましい例としては、質量比で、ガリウム:インジウム=75.5:24.5、ガリウム:インジウム:錫=62:25:13、ガリウム:インジウム:亜鉛=67:29:4、ガリウム:錫=92:8、ガリウム:亜鉛=95:5などを挙げることができる。
液体金属層5を形成するための手法としては、特に限定されないが、ディップコート法、ダイコート法、グラビア印刷法などを例示することができる。
また、液体金属層5と発電層4とが直接接して形成することが好ましい。この場合、陽極2、正孔輸送層3、発電層4、液体金属層5、保護層6などの有機発電素子の全ての層を塗布で形成することができ、製造を容易に行うことができる。
(電子輸送層)
本実施形態において、発電層4と液体金属層5の間に、電子輸送性を有する物質により構成される電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層は、発電層4から液体金属層5への電子の移動性を向上し得る材料から形成されることが好ましい。また電子輸送層は正孔の移動を阻害する特性を有する材料から形成されることが好ましい。また電子輸送層は薄膜形成能に優れた材料から形成されることが好ましい。
電子輸送層を形成するための材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化カドミウム、硫化インジウム、セレン化カドミウム、セレン化インジウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛などの無機n型半導体が挙げられる。また、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びそれらの誘導体、TPBi、シロール化合物、トリアジール化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、オキサジアゾール化合物、ジスチリルアリレーン誘導体、TPBI(2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス−[1−フェニル−1H−ベンツイミダゾール])等が挙げられるが、電子輸送性の材料であれば良く、特にこれらに限定されるものではない。また、発電層4に用いられる電子を授受し輸送する材料である化合物半導体や、C60やC70、C84などの高次フラーレンを含有するフラーレン誘導体などからなる低分子材料や、導電性高分子、カーボンナノチューブなども用いることができ、電子輸送性材料であれば特に限定されることなく使用することができる。
この電子輸送層を形成するための手法として、真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長(CVD)法、化学析出(CBD)法、電解析出法、ゾルゲル法、スプレー熱分解法などが挙げられる。
(保護層6)
本実施形態において、液体金属層5の上に保護層6が形成されていてもよい。保護層6は、図1に示されるように、基板1に積層されている陽極2、正孔輸送層3、発電層4、液体金属層5を全て覆うように形成されてもよい。保護層6は、電極、発電層などを外界から保護するために設けられる。
保護層6はガスバリア性を有することが好ましい。また保護層6はフィルム状や板状の構造体であることが好ましい。このような保護層6は、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネートなどのフィルム上に、ガスバリア性を高めるために酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物蒸着薄膜層を形成することで構成され得る。
図1に示されるように、基板1に保護層6を接触させる場合、基板1と保護層6の間に、両者を接着するための接着層が介在してもよい。接着層は、特に限定されないが、基板1及び保護層6の劣化を引き起こさない材料から形成されることが好ましい。このような接着層は、接着性があれば特に制限されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂等を用いることができる。好ましい例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、変性ポリエチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン・アクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更できることは勿論である。
[実施例1]
ガラス基板の上に高導電性PEDOT:PSS(Clevios FE−T)をスピンコート法により成膜することで、厚み250nmの陽極を形成した。
次に、陽極上に正孔輸送層として、ポリ(チオフェン−3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,5−ジイル)(ポリチオフェン誘導体1と略す;Plexcore OC1200、Plextronics製)をスピンコート法により塗布し、厚み20nmの正孔輸送層を形成した。
次に、電子供与材料としてポリ{N−(1−デシルウンデシル)カルバゾール−2,7−ジイル−アルト−3,6−ジチエン−2−イル−2,5−ジ(2−エチルヘキシル)−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン−5´,5″−ジイル}(PC−DTDPPと略す)を、電子受容材料としてフラーレン誘導体である[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル(PCBMと略す;Solenne社製)を準備した。主溶媒として1,2−ジクロロベンゼン(蒸気圧;160Pa(20℃))を、添加溶媒としてクロロホルム(蒸気圧;21.2kPa(20℃))を準備した。1,2−ジクロロベンゼンにクロロホルムを容積比6:4で混合して混合溶媒を調製し、この混合溶媒中にPC−DTDPPとPCBMを質量比1:3の割合で混合した材料を、固形分濃度が36mg/mLとなるように溶解することで混合溶液を調製した。
露点−76℃以下、酸素1ppm以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックス内で、正孔輸送層の上に混合溶液をスピンコート法により塗布することで、厚み120nmの発電層を形成した。
次に、同じグローブボックス内で発電層上にガリウムインジウム共晶合金(Ga:In=75.5:24.5、高純度化学研究所製)を塗布により形成し、液体金属層を形成した。
次に、この積層物を同じグローブボックス中において、吸水材として酸化カルシウムを練り込んだゲッターをガラス製の封止板に粘着剤で貼り付けておき、また、封止板の外周部には予め紫外線硬化樹脂製のシール剤を張り合わせ、UVでシール剤を硬化させることによって、表面保護層を形成した。
これにより、素子面積0.10cmの有機発電素子を得た。
[実施例2]
実施例1において、発電層上に液体金属層として、ガリウムインジウム共晶合金の代わりにガリウムインジウム錫共晶合金(Ga−In−Snと略す;Ga:In:Sn=62:25:13、高純度化学研究所製)を塗布により形成し、液体金属層を形成した。
それ以外は実施例1の場合と同じ方法で、素子面積0.10cmの有機発電素子を得た。
[実施例3]
実施例1において、発電層上に液体金属層として、ガリウムインジウム共晶合金の代わりにガリウムインジウム錫共晶合金(Ga−In−Znと略す;Ga:In:Zn=67:29:4、高純度化学研究所製)を塗布により形成し、液体金属層を形成した。
それ以外は実施例1の場合と同じ方法で、素子面積0.10cmの有機発電素子を得た。
[実施例4]
実施例1において、ポリチオフェン誘導体1の代わりに、PEDOT:PSS(CLEVIOS PVP AI4083)にイソプロパノールを体積比で40%の割合で混合することで溶液を調製し、この溶液を陽極の上にスピンコート法により塗布することで、厚み50nmの正孔輸送層を形成した。
それ以外は実施例1の場合と同じ方法で、素子面積0.10cmの有機発電素子を得た。
[比較例1]
実施例1において、陽極である高導電性PEDOT:PSS上に直接発電層を塗布し、高導電性PEDOT:PSSそれ自体を正孔輸送層とした。
それ以外は実施例1の場合と同じ方法で、素子面積0.10cmの有機発電素子を得た。
[比較例2]
実施例1において、発電層上に液体金属層として、ガリウムインジウム共晶合金の代わりに水銀(Hgと略す;高純度化学研究所製)を塗布により形成し、液体金属層を形成した。
それ以外は実施例1の場合と同じ方法で、素子面積0.10cmの有機発電素子を得た。
[評価]
上記実施例及び比較例で得られた有機発電素子の光電変換効率を、ソーラーシュミレータ(山下電装株式会社製)により擬似太陽光(AM1.5、1sun)を照射する条件で測定した。
また、正孔輸送層上への発電層の濡れ性の評価については、4cm角の基板上に発電層の溶液をスピンコート法によって塗布し、その塗布表面を目視観察して次の基準により判定した。そして、正孔輸送層の全面にわたって均一に塗布できたもの:○、発電層の一部が島状になるなど全面が均一にならなかったもの:△、発電層のほとんど全面に亘って島状になる、或いは塗布形成できなかったもの:×と評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2013128025
これより、実施例1〜4のように正孔輸送層の仕事関数が5.0eV以上であり且つ液体金属層の仕事関数が4.2eV以下である場合には、比較例1のような液体金属層の仕事関数は4.2eV以下であるが正孔輸送層の仕事関数が5.0eV以上でない場合よりも高い変換効率を有することが確認できた。
また、実施例1〜4のように正孔輸送層の仕事関数が5.0eV以上であり且つ液体金属層の仕事関数が4.2eV以下である場合には、比較例2のような正孔輸送層の仕事関数は5.0eV以上であるが液体金属の仕事関数が4.2eV以下でない場合よりも高い変換効率を有することが確認できた。
これより、正孔輸送層の仕事関数が5.0eV以上であり且つ液体金属層の仕事関数が4.2eV以下である場合に高い変換効率を有する有機発電素子を得ることができる。
また、PEDOT:PSSおよび高導電性PEDOT:PSSを用いた場合では、これらの正孔輸送層上に発電層をスピンコート法により塗布した際、発電層の一部が島状になり、濡れ性が良好ではなかった。一方、ポリチオフェン誘導体1を用いた場合では、発電層はスピンコート法により均一に製膜でき、濡れ性は良好であった。
3 正孔輸送層
4 発電層
5 液体金属層

Claims (5)

  1. 正孔輸送層、液体金属層、及び前記正孔輸送層と前記液体金属層との間に配置される発電層を備え、前記正孔輸送層の仕事関数が5.0eV以上且つ前記液体金属層の仕事関数が4.2eV以下であることを特徴とする有機発電素子。
  2. 前記液体金属層と前記発電層とが直接接していることを特徴とする請求項1に記載の有機発電素子。
  3. 前記正孔輸送層が、ポリチオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機発電素子。
  4. 前記ポリチオフェン誘導体が、ポリ(チオフェン−3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,5−ジイル)であることを特徴とする請求項3に記載の有機発電素子。
  5. 前記液体金属が、ガリウム単体、またはガリウムを質量比で60%以上含有し、インジウム、アルミニウム、錫、亜鉛のうちから選ばれた少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発電素子。
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