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JP2013122875A - 光電変換素子およびその製造方法ならびに光電変換素子用対極ならびに電子機器ならびに建築物 - Google Patents

光電変換素子およびその製造方法ならびに光電変換素子用対極ならびに電子機器ならびに建築物 Download PDF

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JP2013122875A
JP2013122875A JP2011271223A JP2011271223A JP2013122875A JP 2013122875 A JP2013122875 A JP 2013122875A JP 2011271223 A JP2011271223 A JP 2011271223A JP 2011271223 A JP2011271223 A JP 2011271223A JP 2013122875 A JP2013122875 A JP 2013122875A
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Japan
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photoelectric conversion
conversion element
dye
conductive film
counter electrode
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Application number
JP2011271223A
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English (en)
Inventor
Toshiki Moriwaki
俊貴 森脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】耐電解液性と導電性とに優れ、低コストに製造が可能な対極を提供する
【解決手段】色素増感光電変換素子10は、光増感色素が吸着した多孔質電極7と対極1との間に電解質層8が充填された構造を有する。色素増感光電変換素子用の対極1は、金属基板2と、触媒層3と、導電性膜4とを有している。金属基板2と触媒層3とは導電性膜4を介して密着して形成されており、導電性膜4の線膨張率の値が7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である。
【選択図】図2

Description

この開示は、光電変換素子およびその製造方法ならびに電子機器ならびに光電変換素子用対極ならびに建築物に関し、例えば、色素増感太陽電池に用いて好適な光電変換素子およびその製造方法ならびにこの光電変換素子を用いる電子機器ならびに色素増感太陽電池に用いて好適な光電変換素子用対極ならびにこの光電変換素子を用いる建築物に関するものである。
太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換素子である太陽電池は太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて少なく、より一層の普及が期待されている。
従来の太陽電池としては、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池および非晶質(アモルファス)シリコン系太陽電池が主に用いられている。
一方、1991年にグレッツェルらが提案した色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を得ることができ、しかも従来のシリコン系太陽電池とは異なり製造の際に大掛かりな装置を必要とせず、低コストで製造することができることなどにより注目されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この色素増感太陽電池は、一般的に、光増感色素を結合させた酸化チタン(TiO2 )などからなる多孔質電極と、白金(Pt)などからなる対極とを対向させ、それらの間に電解液からなる電解質層が充填された構造を有する。電解液としては、ヨウ素(I)やヨウ化物イオン(I-)などの酸化・還元種を含む電解質を溶媒に溶解したものが多く用いられる。
一般に太陽電池に必要な特性として、長期にわたり安定した光電変換特性を有することが要求される。特に色素増感太陽電池では、その構成要素として液状の電解質成分を含むことが一般的である。このため、長期間にわたり安定した光電変換特性を得るためには、電解質溶液による腐食に起因する特性劣化が重要な課題となる。そこで、従来においては、色素増感太陽電池の対極として、優れた触媒作用と電解質に対する耐腐食性とをあわせもつことなどから、主として白金が用いられてきた。白金は一般的に触媒活性、耐腐食性、導電性などに優れている。しかしながら、材料である白金が資源的に希少で高価であることから、白金層を対極とするのは、材料コストが非常に高いという問題点があった。
この問題を解消するために、近年、白金よりも低コストな金属を用いた金属基板で対極を構成することにより、低コストに製造可能で長期安定性に優れた色素増感太陽電池の開発が行われている。
対極を構成する金属基板には、電気伝導性と電解質に対する耐腐食性とに優れた性質を有するチタン系材料が一般的に用いられている。しかしながら、チタン系材料もまた高価であるため、材料コストが高いという問題は依然として残る。この問題を解決するためには、チタン系材料に代わるアルミニウム(Al)系、ステンレス鋼(SUS)系などの低価格な汎用金属材料を金属基板に適用することが必要となる。
しかしながら、アルミニウム系、ステンレス鋼系などといった低価格な汎用金属材料は、電気伝導性においては優れた性質を有するものの、電解質に対する耐腐食性は一般的に低く、対極の金属基板として実用に耐えうる性能を有していない。そのため、上記汎用金属材料で金属基板を構成する場合には、電気伝導性を確保しつつも電解質による耐腐食性を向上させる必要がある。そこで、金属基板の電解質が接触する面に何らかの処理をすることで、電気伝導性を確保しつつ電解質に対する金属基板の耐食性を向上させるという提案がなされている(例えば、特許文献1および2参照。)。
特開2006−318770号公報 特開2008−257948号公報
Nature,353,p.737-740,1991
しかしながら、これらの文献で提案されている色素増感太陽電池は、対極の電解質に対する耐食性には優れてはいるものの、光電変換性能や経時耐久性能は高いものであるとは言えなかった。
そこで、本開示が解決しようとする課題は、低コストに製造可能で、光電変換性能と経時耐久性能とに優れた性能を有する色素増感光電変換素子用対極を提供することである。
また、本開示が解決しようとする他の課題は、上記のような優れた光電変換素子用対極を用いた光電変換素子を提供することである。
また、本開示が解決しようとするさらに他の課題は、上記のような優れた光電変換素子を用いた高性能の電子機器を提供することである。
また、本開示が解決しようとするさらに他の課題は、上記のような優れた光電変換素子を用いた建築物を提供することである。
上記課題を解決するために、本開示は、
多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記対極は、
金属基板と、
上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
上記導電性膜の線膨張率の値が7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である。
また、本開示は、
金属基板と、
上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である光電変換素子用対極である。
また、本開示は、
多孔質電極と対極との間に電解質層を有する光電変換素子を製造する場合に、金属基板上に、線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]である材料からなる導電性膜を形成し、上記導電性膜上に触媒層を形成することにより上記対極を形成する光電変換素子の製造方法である。
また、本開示は、
少なくとも一つの光電変換素子を有し、
上記光電変換素子が、
多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記対極は、
金属基板と、
上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である電子機器である。
また、本開示は、
少なくとも1つの光電変換素子を有し、
上記光電変換素子が、
多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記対極は、
金属基板と、
上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である建築物である。
本開示において、多孔質電極は、半導体からなる微粒子により構成される。半導体は、好適には、酸化チタン(TiO2)、取り分けアナターゼ型のTiO2 を含む。
多孔質電極としては、いわゆるコア−シェル構造の微粒子により構成されたものを用いてもよい。この多孔質電極としては、好適には、金属からなるコアとこのコアを取り巻く金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子により構成されたものが用いられる。このような多孔質電極を用いると、この多孔質電極と対極との間に電解質層を設けた場合、電解質層中の電解質が金属/金属酸化物微粒子の金属からなるコアと接触することがないことから、電解質による多孔質電極の溶解を防止することができる。このため、金属/金属酸化物微粒子のコアを構成する金属として、従来使用が困難であった、表面プラズモン共鳴の効果が大きい金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などを用いることができ、光電変換において表面プラズモン共鳴の効果を十分に得ることができる。また、電解液の電解質としてヨウ素系の電解質を用いることができる。金属/金属酸化物微粒子のコアを構成する金属としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などを用いることもできる。金属/金属酸化物微粒子のシェルを構成する金属酸化物としては使用する電解質に溶解しない金属酸化物が用いられ、必要に応じて選ばれる。このような金属酸化物としては、好適には、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ニオブ(Nb25)および酸化亜鉛(ZnO)からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物が用いられるが、これらに限定されるものではない。例えば、酸化タングステン(WO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの金属酸化物を用いることもできる。微粒子の粒径は適宜選択されるが、好適には1[nm]以上500[nm]以下である。また、微粒子のコアの粒径も適宜選択されるが、好適には1[nm]以上200[nm]以下である。
電解質層を構成するものとしては典型的には電解液が用いられる。電解液としては従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選択される。電解液の揮発を防止する観点から、好適には、低揮発性の電解液、例えばイオン液体を溶媒に用いたイオン液体系電解液が用いられる。イオン液体としては、従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれる。
また、電解質層は、電解液を含む多孔質膜により構成してもよい。こうすることで、電解質層が固体状となるので、光電変換素子が破損した際に電解液が漏れるのを防止することができる。また、多孔質電極を透過して光電変換素子内部に入った入射光は、電解質層を構成する多孔質膜で散乱されて多孔質電極に再び入射するため、多孔質電極による入射光の捕集率が高くなる。これにより、短絡電流密度および光電変換効率が高い光電変換素子を実現することができる。また、電解液を含む多孔質膜により電解質層を構成することができるため、実質的に電解液を膜として扱うことができ、電解液の扱いが極めて簡単となる。このため、特性が優れた色素増感光電変換素子を容易に実現することができる。
電解質層を構成する多孔質膜としては種々のものを用いることができ、構造や材質などは必要に応じて選ばれる。この多孔質膜としては、絶縁性のものが用いられるが、この絶縁性の多孔質膜は、絶縁材料からなるものであっても、例えば、導電性材料からなる多孔質膜の空隙部の表面を絶縁体化したものであっても、空隙部の表面に絶縁膜をコーティングしたものであってもよい。この多孔質膜は、有機材料からなるものでも、無機材料からなるものでもよい。この多孔質膜としては、好適には各種の不織布が用いられ、その材料としては、例えばポリオレフィン、ポリエステル、セルロースなどの各種の有機高分子化合物を用いることができるが、これに限定されるものではない。この多孔質膜の空隙率は必要に応じて選ばれるが、多孔質電極と対極との間に設けられた状態における空隙率(実空隙率)は、好適には50[%]以上である。この実空隙率は、高い光電変換効率を得る観点からは、好適には、80[%]以上100[%]未満に選ばれる。
電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。この場合、光電変換素子は、例えばこれらの電子機器の電源として用いられる太陽電池である。
光電変換素子用対極は光電変換素子の正極側に設けられる電極である。
光電変換素子は、最も典型的には、太陽電池として構成される。光電変換素子は、太陽電池以外のもの、例えば光センサーなどであってもよいが、これらに限定されるものではなく、負極と正極とを有し、光によって駆動する素子であれば基本的にはどのようなものであってもよい。
建築物は、典型的にはビルディング、マンションなどの大型建築物であるが、これに限定されず、外壁面を有する建築された構造物であれば、基本的にはどのようなものであってもよい。建築物は、具体的には、例えば、戸建住宅、アパート、駅舎、校舎、庁舎、競技場、球場、病院、教会、工場、倉庫、小屋、車庫、橋などが挙げられ、特に、少なくとも1つの窓部(例えばガラス窓)あるいは採光部を有する建築された構造物であることが好ましいが、建築物は上記に挙げたものに限定されるものではない。
建築物に設けられる光電変換素子および/または複数の光電変換素子が電気的に接続されている光電変換素子モジュールのうち、窓部あるいは採光部などに設けられるものは、2枚の透明板の間に挟持し、必要に応じて固定して構成することが好適であって、典型的には、光電変換素子および/または光電変換素子モジュールを2枚のガラス板の間に組み込み必要に応じて固定することによって構成される。
本技術によれば、金属基板と触媒層との間に導電性膜を有する新規な対極を光電変換素子に用いることにより、光電変換性能と経時耐久性とに優れた性能を有する光電変換素子を低コストに製造可能とすることができる。また、この光電変換素子を用いることにより、高性能の電子機器などを実現することができる。
第1の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極を示す断面図である。 第2の実施の形態による色素増感光電変換素子を示す断面図である。 色素増感光電変換素子の電流−電圧出力特性を示した略線図である。 色素増感光電変換素子の電流−電圧出力特性を示した略線図である。 色素増感光電変換素子の電流−電圧出力特性を示した略線図である。 信頼性加速試験における色素増感光電変換素子の経過時間に対する光電変換効率の値の推移を示した略線図である。 色素増感光電変換素子の電流−電圧出力特性を示した略線図である。 従来の色素増感光電変換素子を示す断面図である。
図8は対極1の基板を金属基板102とした、従来の構成の色素増感光電変換素子100を示す要部断面図である。
図8に示すとおり、この色素増感光電変換素子100においては透明基板105の一主面にFTO層である透明電極106が設けられ、この透明電極106上にTiO2 の焼結体で構成された多孔質電極107が設けられている。この多孔質電極107には一種又は複数種の光増感色素(図示せず)が結合している。一方、チタン基板である金属基板102の一主面上に触媒層103が設けられ対極101を構成している。そして、多孔質電極107と対極101との間にレドックス対としてI-/I3 - の酸化還元種を用いた電解液からなる電解質層108が充填され、これらの透明基板105および金属基板102の外周部が封止体109で封止されている。
色素増感光電変換素子100は多孔質電極107内に光が入射すると、透明電極106を負極、対極101を正極とする電池として動作する。
本開示者は、色素増感光電変換素子100を用いて鋭意研究を行った。その研究の過程において、色素増感光電変換素子100における光電変換効率の経時劣化が、発電開始からある一定時間までの発電初期段階において特に顕著であることを見出し、さらに、その原因が開放電圧の値が発電初期段階において大きく落ち込むことによるものであることも見出した。
本開示者は、さらに研究を進めた結果、研究の過程において上述した開放電圧の値の落ち込みの2つの大きな要因を見出した。第1の要因として考えられるのは、対極101の触媒性能の低下および表面抵抗値の増大である。これは、対極101を構成する物質が変質することなどによる経時劣化などに起因すると考えられ、この変質は、電解質層108中の電解液などと反応することによって引き起こされると考えられる。第2の要因として考えられるのは、陽陰極間の直流抵抗の増加である。これは、透明電極106と多孔質電極107との接触抵抗の増加、金属基板102と触媒層103との接触抵抗の増加、電解質層108中の電解液などが変質することなどによる抵抗の増加などに起因すると考えられる。
上述した接触抵抗の増大は、いずれも電解液によってそれぞれの層における接触界面が変質することによって引き起こされると考えられる。特に、金属基板102と触媒層103との接触界面は、金属基板102が電解液の影響を受けやすいため、変質が大きいと考えられる。また、電解質層108中の電解液の変質によっても直流抵抗値は増大すると考えられ、その要因は、対極101を構成する物質が上記の反応などによって電解液などに溶出することによって引き起こされると考えられる。このような直流抵抗の増加は、開放電圧の低下だけではなく、フィルファクタの減少も引き起こし、これにより光電変換効率は著しく低下する。
本開示者は、これらの新たに見出された複数の問題を解決すべく、さらに研究を進めた。その過程において色素増感光電変換素子の対極を、触媒層と金属基板との間に導電性中間層である導電性膜を設けて構成すると、上述した問題を解決することができ、色素増感光電変換素子の性能の経時劣化を効果的に抑えることができることを見出し、本技術を案出するに至った。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(色素増感光電変換素子用対極およびその製造方法)
2.第2の実施の形態(色素増感光電変換素子およびその製造方法)
3.第3の実施の形態(色素増感光電変換素子用対極およびその製造方法)
4.第4の実施の形態(色素増感光電変換素子およびその製造方法)
<1.第1の実施の形態>
[色素増感光電変換素子用対極]
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1を示す要部断面図である。
図1に示すように、この色素増感光電変換素子用対極1(以下対極1)は、金属基板2の一主面上の全体を覆う形で導電性膜4が積層して設けられ、導電性膜4の面上の少なくとも一部に触媒層3が設けられている。導電性膜4と金属基板2および触媒層3とは密着しており、これらが対極1を構成している。
金属基板2を構成する材料は、金属であれば基本的にはどのようなものであってもよいが、導電性に優れた金属であることが好ましい。金属は、具体的には、金属単体、合金、金属化合物などが挙げられ、金属単体であれば、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタニウム(Ti)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などが挙げられ、また、合金であれば、上記で挙げた金属材料の二元合金、三元合金などが挙げられ、具体的には、例えば、鋼、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、ニッケル合金など挙げられ、鋼であれば、例えば、炭素鋼、高合金鋼、低合金鋼、ハイテン鋼などが挙げられ、また、ステンレス鋼であれば、例えば、ステンレス一般鋼板、ステンレス特殊鋼板などが挙げられ、ステンレス一般鋼板であれば、具体的には、例えば、SUS201、SUS202、SUS301〜SUS305、SUS304L、SUS309、SUS309S、SUS310S、SUS311、SUS314、SUS315、SUS321、SUS329、SUS347,SUS403、SUS405、SUS406、SUS410、SUS414、SUS420、SUS429、SUS430、SUS430F、SUS430LX、SUS434、SUS436、SUS440、SUS440A〜C、SUS442、SUS443、SUS444、SUS445、SUS446、SUS447JI、SUS630、SUS631、SUS836、SUS890、SUS JIS 35、SUS XM 27、SHOMAC30−2、SEA−CURE、HR−8Nなどが挙げられ、ステンレス特殊鋼板であれば、具体的には、例えば、SUS316、SUS316L、SUS316Ti、SUS316LN、SUS316J1、SUS316J2、SUS316J1L、SUS317、SUS317L、SUS317LN、SUS317J1、SUS317J2、SUS444、SUS445、CARPENTER 20(登録商標)、MONIT(登録商標)などが挙げられる。また、銅合金であれば、例えば、黄銅、丹銅、洋銀、青銅、アルミニウム青銅、白銅、赤銅、コンスタンタンなどが挙げられ、また、アルミニウム合金であれば、例えば、1000番台〜7000番台のアルミニウム合金などが挙げられ、また、チタン合金であれば、例えば、6−4チタン、αチタン、βチタン、α+βチタンなどが挙げられ、また、ニッケル合金であれば、例えば、ハステロイ(登録商標)、モネル(登録商標)、インコネル(登録商標)、ニクロムなどが挙げられるが、金属基板2を構成する材料はこれらのものに限定されるものではない
金属基板2の板厚は、導電層として見ると薄いことが好ましいが、素子の筐体の一部としてみると厚いことが好ましい。従って、金属基板2の板厚は最適な厚さがあり、その板厚は、50[μm]以上2000[μm]以下であることが好ましく、100[μm]以上1000[μm]以下であることがより好ましく、200[μm]以上500[μm]以下であることが最も好ましい。厚さが50[μm]より薄いと金属基板2の強度が損なわれ、また、2000[μm]を超えると素子全体の重量が著しく増加するためである。
導電性膜4を構成する材料としては、金属単体、合金、3元系のアモルファス材料、金属炭化物、金属窒化物、金属シアン化物、導電性ポリマー、導電性酸化物などが好ましく、具体的には、金、白金、銀、銅、鉄、スズ、ニッケル、チタン系材料、亜鉛系材料、タンタル(Ta)系材料、クロム(Cr)系材料、タングステン(W)系材料、モリブデン(Mo)系材料、バナジウム(V)系材料、ニオブ(Nb)系材料、アルミニウム(Al)系材料、ハフニウム(Hf)系材料、ジルコニウム(Zr)系材料、ルテニウム(Ru)系材料およびイリジウム(Ir)系材料、ランタン(La)系材料などが挙げられ、チタン系材料であれば、具体的には、例えば、Ti、TiN、TiC、TiCN、TiBN、TiB2、TiAlN、TiSiN、TiAlONなどが挙げられ、また、亜鉛系材料であれば、具体的には、例えば、Zn、ZrN、ZrC、ZnB2などが挙げられ、タンタル系材料であれば、具体的には、例えば、Ta、TaN、TaCN、TaC、TaO、TaB2、TaON、TaCNO、TaAlN、TaSiNなどが挙げられ、また、クロム系材料であれば、具体的には、例えば、Cr、CrN、Cr32、CrB2、CrSiN、CrAlNなどが挙げられ、また、タングステン系材料であれば、具体的には、例えば、W、WN、WC、W25、WCN、WBN、WAlN、WSiN、WTiなどが挙げられ、また、モリブデン系材料であれば、具体的には、例えば、Mo、MoO、MoN、MO2C、Mo25、MoSiN、MoAlN、MoHfOなどが挙げられ、また、バナジウム系材料であれば、具体的には、例えば、VN,VC、VB2などが挙げられ、また、ニオブ系材料であれば、具体的には、例えば、Nb、NbN、NbC、NbB2、NbSiN、NbAlNなどが挙げられ、また、アルミニウム系材料であれば、具体的には、例えば、Al、AlNなどが挙げられ、また、ハフニウム系材料であれば、具体的には、例えば、Hf,HfN、HfCなどが挙げられ、また、ジルコニウム系材料であれば、具体的には、例えば、Zr、ZrN、ZrSiN、ZrAlNなどが挙げられ、また、ルテニウム系材料であれば、具体的には、例えば、Ru、RuO、RuAlO、RuAlNなどが挙げられ、また、イリジウム系材料であれば、具体的には、例えば、Ir、IrOなどが挙げられ、また、ランタン系材料であれば、具体的には、例えば、La、LaB2などが挙げられ、また、導電性ポリマーであれば、具体的には、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびその誘導体などが挙げられ、また、導電性酸化物であれば、具体的には、例えば、スズがドープされた酸化インジウム(VI)In23(ITO)、フッ素がドープされた酸化インジウム(VI)In23(IFO)、酸化インジウム(VI)In23、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(IV)SnO2(ATO)、酸化スズ(IV)SnO2、インジウムがドープされた酸化亜鉛(II)ZnO(IZO)、フッ素がドープされた酸化亜鉛(II)ZnO(FZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(II)ZnO(AZO)、ガリウムがドープされた酸化亜鉛(II)ZnO(GZO)、酸化亜鉛(II)ZnOなどが挙げられるが、導電性膜4を構成する材料は、これらのものに限定されるものではない。また、導電性膜4は、上記で挙げたものから二種類以上を組み合わせて構成したり、二種類以上を積層して構成したりすることもできる。
導電性膜4の膜厚は、導電層として見ると薄いことが好ましいが、保護層としてみると厚いことが好ましい。従って、導電性膜4の膜厚は最適な厚さがあり、その膜厚は、50[nm]以上400[nm]以下であることが好ましく、100[nm]以上350[nm]以下であることがより好ましく、200[nm]以上300[nm]以下であることが最も好ましい。厚さが50[nm]よりも薄いと導電性膜4にピンホールが生じて膜の均一性が損なわれ、また、400[nm]を超えると直流抵抗値が増大するとともに導電性膜4に亀裂が入りやすくなるためである。
触媒層3は還元反応に対する触媒作用を有していれば基本的にはどのような構成であってもよいが、還元作用に対する触媒作用を有する材料のうち少なくとも1つを少なくとも一部に含む構成とすることが好ましく、また、導電性膜4との物理的、電気的な親和性が高い構成が好ましい。
触媒層3を構成する材料は、還元反応に対する触媒作用を有する材料であれば基本的にはどのようなものであってもよいが、電気化学的に安定である材料を用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、導電性高分子などが挙げられる。上記に挙げた中でもカーボンは、炭素単体からなる物質であれば基本的にはどのようなものであってもよく、好適には、導電性カーボン粒子が挙げられる。導電性カーボン粒子の具体例としては、カーボンブラックが挙げられ、その中でも比表面積の大きなものが好ましい。また、カーボンブラックは電気電導率の高いものが好ましい。また、カーボンブラックはストラクチャ構造を形成しやすいものが好ましい。また、カーボンブラックの一次粒子径の平均粒径は、3[nm]以上40[nm]以下であることが好ましく、3[nm]以上24[nm]以下であることがより好ましく、3[nm]以上15[nm]以下であることが最も好ましい。カーボンブラックは、具体的には、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられ、この中でも安価で比表面積の大きいケッチェンブラックが好適である。また、カーボンは上記で挙げたものの他に、線状または棒状のカーボン、シート状のカーボン結晶体、グラファイト、グラファイトリボン、黒鉛、アモルファスカーボン(ガラス状カーボン)、ダイヤモンドライクカーボン、カーボン繊維、活性炭、石油コークス、C60 、C70 などのフラーレン類、単層または多重層のカーボンナノチューブなどであってもよいが、カーボンはこれらのものに限定されるものではない。また、導電性高分子であれば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびその誘導体などが挙げられるが、導電性ポリマーはこれらのものに限定されるものではなく、また、触媒層3を構成する材料も上記に挙げたものに限定されるものではなく、上記に挙げた材料を適宜組み合わせて触媒層3を構成することもできる。
触媒層3は、導電性膜4に接して設けられる構成を有する限りどのような形状であってもよいが、典型的には導電性膜4に積層されて設けられる。触媒層3は複数の触媒層で構成するとすることもでき、同一の構成の触媒層を積層させて構成してもよいし、異なる構成の触媒層を積層させて構成してもよい。触媒層3の厚さは5[μm]以上200[μm]以下であることが好適であって、5[μm]以上100[μm]以下であることがより好適であって、10[μm]以上100[μm]以下であることが最も好適である。これは、触媒層3の厚さが5[μm]以下であると、電解質層8を構成する電解液中の酸化還元種を還元する能力が低下し、光電変換効率が低下するからである。また、触媒層3の厚さが200[μm]以上であると、対極1の内部における電位移動が円滑に行えなくなるからである。
また、触媒層3は、還元反応に対する触媒作用を向上させるために、触媒層3の表面には微細構造が形成され、実表面積が増大するように形成されていることが好ましい。実表面積は、触媒層3を導電性カーボンで構成する場合においては、カーボン粒子のメソ孔なども含まれる。触媒層3の実表面積は、触媒層3の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好適であって、100倍以上であることが特に好適である。
[色素増感光電変換素子用対極の製造方法]
次に、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1の製造方法について説明する。
まず、金属基板2である金属板を用意する。
次に、金属基板2の一主面の全面上に導電性膜4を形成する。この導電性膜4の形成方法に特に制限はないが、具体的には、例えば、プラズマCVD法などの化学気相成長法(CVD)、イオンプレーティング法などの物理気相成長法(PVD)、イオン化蒸着法、スパッタリング法などによって形成される。また、導電性膜4を製膜する際に、金属基板2の不導体層、例えば、酸化膜などといった抵抗層成分をエッチング処理、不活性ガスなどを用いたプラズマ処理などで充分に除去することが好ましい。また、除去処理から導電性膜4の形成処理までの時間は短ければ短いほどよく、形成プロセス中の移動空間も窒素雰囲気、真空雰囲気などの不導体層を作りにくい環境下にあることが望ましい。
次に、導電性膜4の面上に触媒層3を形成する。触媒層3の形成方法は、特には限定されないが、触媒層3を、例えば、導電性カーボン層とする場合には湿式製膜法などを用いる。また、触媒層3を、例えば、金属層とする場合には、スパッタリング法、化学気相蒸着法、イオン化蒸着法などを用いる。また、触媒層3を、例えば、導電性高分子層とする場合には、湿式製膜法などを用いる。湿式製膜法では、ペースト状の分散液を調製し、この分散液を導電性膜4の面上の少なくとも一部に塗布または印刷する方法が好ましい。
触媒層3を導電性カーボン層とする場合の形成方法は、具体的には、カーボンと、有機バインダと、無機バインダとを溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し印刷用ペーストとする。次に、導電性膜4の面上に、上記印刷用ペーストを塗料として印刷し、導電性膜4の面上の少なくとも一部に塗膜を形成し、導電性膜4上にカーボン塗膜を有する金属基板2が得られた。次に、得られたカーボン塗膜を焼成する。これは、カーボン塗膜を焼成することによって、カーボン同士が電気的に機械的に接続され導電性と機械的強度が向上し、さらに導電性膜4との結着性が高くなることにより高性能の触媒層3が得られるからである。また、焼成によって上記カーボン塗膜中の有機バインダが消失し、得られる触媒層3中には細孔が形成され、触媒層3の実表面積が大きくなる。このようにして、導電性膜4上に触媒層3が形成され、求める色素増感光電変換素子用対極1が得られる。また、触媒層3を複数の層で構成する場合にあっては、金属基板2上に形成されたカーボン塗膜上にさらにカーボン塗膜を形成し焼成したものを触媒層3としてもよいし、金属基板2上に形成されたカーボン塗膜を焼成し、得られた焼結体上にさらにカーボン塗膜を形成し焼成したものを触媒層3としてもよい。
また、上記印刷用ペーストに配合するカーボン、無機バインダおよび有機バインダは従来公知の材料を適宜選択することができるが、好適には、カーボンとしてカーボンブラック、無機バインダとして酸化チタン(TiO2)、有機バインダとしてエチルセルロースが選ばれる。
<実施例1>
対極1を以下のようにして製造した。
まず、金属基板2として厚さ1000[μm]のSUS304鋼板を用意した。
次に、SUS304鋼板の一主面の全面をエッチングし不導体層を除去する。不導体層を除去後に、スパッタリング法によって、SUS304鋼板の一主面の全面に導電性膜4であるTiN膜を形成し、導電性膜4を有する金属基板2を得た。得られたTiN膜の膜厚は300[nm]であった。
次に、カーボンとしてケッチェンブラックおよびグラファイトと、無機バインダとして酸化チタンと、有機バインダとしてエチルセルロースとを溶媒であるテルピネオールに加え、攪拌分散させてペースト状の分散液を調製し印刷用ペーストとした。
次に、SUS304鋼板上に形成されたTiN膜上の少なくとも一部に、前工程で調製した印刷用ペーストを塗料として印刷機で印刷し、TiN膜上にカーボン塗膜を得た。その後、得られた塗膜中の溶液を蒸発させる目的で100℃のホットプレートで加熱し乾燥させ、導電性膜4上に導電性カーボン層を有する金属基板2を得た。
次に、得られた導電性カーボン層の焼成を行った。1時間30分で400℃にまで昇温させ、400℃で30分保持し焼成した。この工程により、完全にエチルセルロースを分解し消失させる。
次に、焼成した導電性カーボン層上に、さらに同様にしてカーボン塗膜を形成し焼成する。子の工程を2回行い、3層の焼成カーボン層である触媒層3を得る。こうして、導電性膜4上に触媒層3を有する金属基板2が得られた。得られた触媒層3の厚さは約35[μm]であった。
以上により、目的とする色素増感光電変換素子用対極1が製造された。
<実施例2>
SUS304鋼板の一主面の全面に導電性膜4として、TiN膜に変えてTiCN膜を形成した以外は実施例1と同様にして色素増感光電変換素子用対極1を製造した。得られたTiCN膜の膜厚は300[nm]であった。
<実施例3>
不導体層を除去後に、スパッタリング法によって、SUS304鋼板の一主面の全面にATO膜を形成し、形成されたATO膜上の少なくとも一部にITO膜をさらに、スパッタリング法によって形成して積層酸化導電膜であるATO/ITO積層膜とし、これを導電性膜4とした以外は、実施例1と同様にして色素増感光電変換素子用対極1を製造した。得られたATO/ITO積層膜の膜厚は200[nm]であった。
その他のことは実施例1と同様にして色素増感光電変換素子用対極1を製造した。
<実施例4>
金属基板2をSUS316とした以外は、実施例1と同様にして色素増感光電変換素子用対極1を製造した。
<実施例5>
金属基板2をSUS316とした以外は、実施例2と同様にして色素増感光電変換素子用対極1を製造した。
<実施例6>
金属基板2をSUS316とした以外は、実施例3と同様にして色素増感光電変換素子用対極1を製造した。
<実施例7>
SUS304鋼板の一主面の全面に導電性膜4であるCrN膜を形成した以外は実施例1と同様にして対極1を製造した。
<実施例8>
SUS304鋼板の一主面の全面に導電性膜4であるCr32膜を形成した以外は実施例1と同様にして対極1を製造した。
<比較例1>
SUS304鋼板上に導電性膜4を形成しないこと以外は実施例1と同様にして対極1を製造した。
<比較例2>
金属基板2として厚さ1000[μm]のチタニウム(Ti)板を用意した。
次に、上記チタン板の一主面の全面をエッチングし不導体層を除去する。次に、金属基板2上の少なくとも一部に、印刷用ペーストを塗料として印刷機で印刷し、金属基板2上に塗膜を得た。その後、得られた塗膜中の溶液を蒸発させる目的で100℃のホットプレートで加熱し乾燥させ、カーボン層を有する金属基板2を得た。その他のことは実施例1と同様にして、目的とする対極1を得た。印刷用ペーストは実施例1と同様なものを用いた。得られた触媒層3の厚さは35[μm]であった。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、色素増感光電変換素子用対極1を導電性膜4を有する金属基板2上に触媒層3が積層されている構成としたので、アルミウム(Al)系、ステンレス鋼(SUS)系などの低価格な汎用金属材料を金属基板に適用することが可能となり低コストに製造することが可能となる。また、特に触媒層3をカーボン触媒層とする場合にあっては、製造に大規模な施設が必要なく、高価な白金材料を使用しないので安価に色素増感光電変換素子用対極1を製造することができる。
<2.第2の実施の形態>
[色素増感光電変換素子]
次に、第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10について説明する。
この第2の実施の形態においては、色素増感光電変換素子10の対極1に第1の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1を用いる。
図2は第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10の基本構成を示した要部断面図である。
図2に示すように、この色素増感光電変換素子10は、透明基板5の一主面に透明電極6が設けられている。透明電極6上の少なくとも一部には多孔質電極7設けられている。多孔質電極7には一種又は複数種の光増感色素(図示せず)が結合している。対極1としては、第1の実施の形態による対極1が用いられる。そして、透明基板5上の多孔質電極7と、対極1との間に電解液からなる電解質層8が充填されている。触媒層3と多孔質電極7とは電解質層8を介して対向している。透明基板5と金属基板2との間には、封止体9が電解質層8の電解質を漏洩させない形態で、金属基板2上に形成された導電性膜4に接して設けられている。
多孔質電極7としては、典型的には、半導体微粒子を焼結させた多孔質半導体層が用いられる。光増感色素はこの半導体微粒子の表面に吸着している。半導体微粒子の材料としては、シリコンに代表される元素半導体、化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する半導体などを用いることができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体であることが好ましい。具体的には、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb25)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化スズ(SnO2)などの半導体が用いられる。これらの半導体の中でも、TiO2、取り分けアナターゼ型のTiO2を用いることが好ましい。ただし、半導体の種類はこれらに限定されるものではなく、必要に応じて二種類以上の半導体を混合または複合化して用いることができる。また、半導体微粒子の形態は粒子状、チューブ状、棒状などのいずれであってもよい。
上記の半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子径の平均粒径で1[nm]以上200[nm]以下が好適であって、5[nm]以上100[nm]以下が特に好適である。また、半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を混合し、この粒子で入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20[nm]以上500[nm]以下であることが好ましいが、別途混合する粒子は、これに限定されるものではない。
多孔質電極7は、できるだけ多くの光増感色素を結合させることができるように、実表面積の大きいものが好ましい。実表面積は、多孔質電極7を構成する半導体粒子のメソ孔なども含まれる。多孔質電極7を透明電極6の上に形成した状態での実表面積は、多孔質電極7の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好適であって、100倍以上であることが特に好適である。この比は特に上限はないが、通常1000倍程度である。
多孔質電極7の形状は基本的にはどのようなものであってもよいが、特に、透明基板5と金属基板2との間に封止体9を設ける場合にあっては、封止体9が設けられる透明基板5上の外縁部以外の部分の少なくとも一部に形成される。特に、透明基板5上に集電配線が設けられている構成を有する場合にあっては、集電配線の形状によって多孔質電極7の形状が適宜選択される。
また、多孔質電極7は、その厚さが、0.1[μm]以上100[μm]以下であることが好適であって、1[μm]以上50[μm]以下であることがより好適であって、3[μm]以上30[μm]以下であることが最も好適である。これは、多孔質電極7の厚さが0.1[μm]以下であると、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子の数が少ないことから、単位投影面積に保持することができる光増感色素の量が少なく、効率よく光吸収をすることが出来ないからである。また、多孔質電極7の厚さが100[μm]を超えると、光増感色素から多孔質電極7に移行した電子が透明電極6に達するまでに拡散する距離が増加するため、多孔質電極7内での電荷再結合による電子の損失も大きくなるからである。
透明基板5は、光が透過しやすい材質と形状のものであれば特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができるが、特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好適である。また、色素増感光電変換素子10に外部から侵入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好適である。透明基板5の材料としては、具体的には、透明無機材料、透明プラスチックなどであって、透明無機材料であれば、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、ソーダガラスなどが挙げられ、透明プラスチックであれば、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリブチレンテレフタラート、アセチルセルロース、テトラアセチルセルロース、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ブロム化フェノキシ、アミド類、ポリエーテルイミドなどのポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリエステルスルホンなどのポリスルホン類、ポリオレフィン類などが挙げられる。また、透明基板5の厚さは特に制限されず、光の透過率や、光電変換素子内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
透明基板5上に設けられる透明電極6は導電性の薄膜であって、シート抵抗が小さいほど好ましい。具体的には1[Ω/□]以上500[Ω/□]以下であることが好適であって、1[Ω/□]以上100[Ω/□]以下であることがさらに好適である。100[Ω/□]を超えると透明電極6の内部抵抗が著しく上昇するからである。また薄膜である透明電極6の厚さは100[nm]以上500[nm]が好適である。厚さが100[nm]よりも薄いと表面抵抗値および内部抵抗が上昇し、500[nm]を超えると透明電極6に亀裂が入りやすくなるためである。また、透明電極6を構成する材料としては公知の材料を用いることができ、必要に応じて選択される。典型的には金属酸化物であって、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、酸化スズ(IV)SnO2、酸化亜鉛(II)ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられる。ただし、透明電極6を構成する材料はこれらのものに限定されるものではなく、金属、鉱物の薄膜でもよく、金属の薄膜であれば、例えば、白金、金、銀、クロム、銅、タングステン、アルミニウムなどが挙げられる。また、上記で挙げたもの二種類以上を組み合わせて透明電極6とすることもできる。
多孔質電極7に結合させる光増感色素は増感作用を示すものであれば特に制限はないが、この多孔質電極7の表面に吸着する酸官能基を有するものが好適である。光増感色素は、一般的には、カルボキシ基、リン酸基などを有するものが好適であって、この中でもカルボキシ基を有するものが特に好適である。光増感色素は、具体例には、キサンテン系色素、シアニン系色素、塩基性染料、ポルフィリン系化合物などが挙げられ、キサンテン系色素であれば、例えば、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどが挙げられ、シアニン系色素であれば、例えば、メロシアニン、キノシアニン、クリプトシアニンなどが挙げられ、塩基性染料であれば、例えば、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどが挙げられ、ポルフィリン系化合物であれば、例えば、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどが挙げられる。光増感色素に適用可能なその他のものとしては、例えば、アゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、ビピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。これらの中でも量子収率が高い、リガンド(配位子)がピリジン環またはイミダゾリウム環を含み、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、コバルト(Co)、鉄(Fe)および銅(Cu)からなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属の錯体の色素が好適である。さらにこれらの中でも特に吸収波長域が広い、シス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2'−ジピリジル−4,4'−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)またはトリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2'・:6',2"−ターピリジン−4,4',4"−トリカルボン酸を基本骨格とする色素分子が好適であるが、光増感色素は、これらに限定されるものではない。また、光増感色素としては、典型的には、これらのうちの一種類のものを用いるが、二種類以上の光増感色素を混合して用いてもよい。二種類以上の光増感色素を混合して用いる場合、光増感色素は、好適には、多孔質電極7に保持された、MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)を引き起こす性質を有する無機錯体色素と、この多孔質電極7に保持された、分子内CT(Charge Transfer)の性質を有する有機分子色素とを有する。この場合、無機錯体色素と有機分子色素とは、多孔質電極7に互いに異なる立体配座で吸着する。無機錯体色素は、好適には、多孔質電極7に結合する官能基としてカルボキシ基またはホスホノ基を有する。また、有機分子色素は、好適には、同一炭素に、多孔質電極7に結合する官能基としてカルボキシ基またはホスホノ基とシアノ基、アミノ基、チオール基またはチオン基とを有する。無機錯体色素は例えばポリピリジン錯体、有機分子色素は例えば、電子供与性の基と電子受容性の基とを併せ持ち、分子内CTの性質を有する芳香族多環共役系分子である。
電解質層8を構成する電解液としては、酸化還元系(レドックス対)を含む溶液が挙げられる。酸化還元系としては、具体的には、例えば、ヨウ素(I2)と金属または有機物のヨウ化物塩との組み合わせや、臭素(Br2)と金属または有機物の臭化物塩との組み合わせなどが用いられる。金属塩を構成するカチオンは、例えば、リチウム(Li+)、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、セシウム(Cs+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)などである。また、有機物塩を構成するカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオン類、ピリジニウムイオン類、イミダゾリウムイオン類などの第四級アンモニウムイオンが好適なものであり、これらを単独に、あるいは二種類以上を混合して用いることができる。
電解質層8を構成する電解液としては、上記のほかに、フェロシアン酸塩とフェリシアン酸塩との組み合わせや、フェロセンとフェリシニウムイオンとの組み合わせなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノンとキノンとの組み合わせなどを用いることもできる。
封止体9は、電解質層8の電解質の外部への漏洩、電解質層8中の電解質の乾燥、電解質層8中への物質混入などを防止をする構成を有していれば基本的にはどのようなものであってもよく、封止体9の材料としては、耐光性、絶縁性、防湿性などを備えた材料を用いることが好ましい。また、封止体9は透明であっても不透明であってもよいが、封止体9は、波長が340[nm]以上の光を透過可能であることが好ましく、波長が380[nm]以上900[nm]以下の光を透過可能であることがより好ましく、波長が400[nm]以上800[nm]以下の光を透過可能であることが最も好ましい。封止体9を構成する材料の具体例を挙げると、エポキシ樹脂、熱硬化異性樹脂、紫外線(UV)硬化樹脂、熱溶着性樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート) 、アイオノマー樹脂、セラミック、各種熱融着フィルムなどであって、上記の材料中にさらに、無機フィラー、金属フィラー、カーボン粒子などを分散させて混合したものであってもよいが、封止体9の材料は上記に挙げたものに限定されるものではなく、封止体9は上記に挙げたものを適宜組み合わせて構成することもできる。また、封止体9は典型的には、透明基板5と金属基板2との間に設けられるが、これに限定されるものではなく、透明基板5および金属基板2の外周部を封止体9で封止してもよい。
[色素増感光電変換素子の動作]
次に、第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10の動作について説明する。
この色素増感光電変換素子10は、光が入射すると、対極1を正極、透明電極6を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。なお、ここでは、透明電極6の材料としてFTOを用い、多孔質電極7の材料としてTiO2 を用い、レドックス対としてI-/I3 - の酸化還元種を用いることを想定しているが、この構成に限定されるものではない。また、多孔質電極7に、一種類の光増感色素が結合していることを想定する。
透明基板5および透明電極6を透過し、多孔質電極7に入射した光子を多孔質電極7に結合した光増感色素が吸収すると、この光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。こうして励起された電子は、光増感色素と多孔質電極7との間に電気的結合を介して、多孔質電極7を構成するTiO2の伝導帯に引き出され、多孔質電極7を通って透明電極6に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、電解質層8中の還元剤、例えばIから下記の反応によって電子を受け取り、電解質層8中に酸化剤、例えばI3 -(I2 とI-の結合体)を生成する。
2I- → I2+ 2e-
2 + I- → I3 -
こうして生成された酸化剤は拡散によって対極1を構成する触媒層3に到達し、上記の反応の逆反応によって触媒層3から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
3 - → I2 + I-
2 + 2e- → 2I-
透明電極6から外部回路に送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対極1を構成する金属基板2および導電性膜4を経て触媒層3に戻る。このようにして、光増感色素にも電解質層8にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
[色素増感光電変換素子の製造方法]
次に、第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10の製造方法について説明する。
まず、透明板を透明基板5として用意する。次に、透明基板5の一主面にスパッタリング法などにより透明導電層を形成して透明電極6を形成する。
透明電極6上には、金属を所望のパターンに真空蒸着し集電配線を形成してもよい。使用する金属はアルミニウム(Al)が好ましい。さらに、集電配線の表面を熱処理もしくは電気的処理もしく化学的処理によって酸化させることによって集電配線保護層を形成する。集電配線は、溶接、接着、融着、塗布、めっき、スパッタリング法、各種CVD法などによっても形成することができる。また、集電配線は、導電性粒子と樹脂とを混合させたものをスクリーン印刷で透明電極6上に印刷し、その後焼成することによって形成してもよい。導電性粒子は金属の粒子であることが好ましい。
次に、透明電極6上の面に多孔質電極7を形成する。この多孔質電極7の形成方法に特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合、湿式製膜法を用いるのが好ましい。湿式製膜法では、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し、この分散液を透明基板5の透明電極6上に塗布または印刷する方法が好ましい。分散液の塗布方法または印刷方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などを用いることができる。また、印刷方法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
半導体微粒子の材料としてアナターゼ型TiO2 を用いる場合、このアナターゼ型TiO2 は、粉末状、ゾル状、またはスラリー状の市販品を用いてもよいし、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを形成してもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、ペースト状分散液の調製時に、乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解消された粒子が再度凝集するのを防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などをペースト状分散液に添加することができる。また、ペースト状分散液の粘性を増すために、ポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、あるいはセルロース系の増粘剤などの各種増粘剤をペースト状分散液に添加することもできる。
多孔質電極7は、半導体微粒子を透明電極6上に塗布または印刷した後に、半導体微粒子同士を電気的に接続し、多孔質電極7の機械的強度を向上させ、透明電極6との密着性を向上させるために、焼成させて形成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると、透明電極6の電気抵抗が高くなり、さらには透明電極6が溶融することもあるため、通常は40℃以上700℃以下が好ましく、40℃以上650℃以下がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、通常は10分以上10時間以下程度である。
多孔質電極7を焼成後、半導体微粒子の表面積を増加させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液や直径10[nm]以下の酸化チタン超微粒子ゾルによるディップ処理を行ってもよい。透明電極6を支持する透明基板5としてプラスチック基板を用いる場合には、結着剤を含むペースト状分散液を用いて透明電極6上に多孔質電極7を製膜し、加熱プレスによって透明電極6に圧着することも可能である。
次に、多孔質電極7が形成された透明基板5を、光増感色素を所定の溶媒に溶解した溶液中に浸漬することにより、多孔質電極7に光増感色素を結合させる。
光増感色素の多孔質電極7への吸着方法に特に制限はないが、上記の光増感色素を例えばアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、これに多孔質電極7を浸漬したり、光増感色素を含む溶液を多孔質電極7上に塗布したりすることができる。また、光増感色素の分子同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などを添加してもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤を併用することもできる。また、多孔質電極7に光増感色素を吸着させた後に、過剰に吸着した光増感色素の除去を促進する目的で、アミン類を用いて多孔質電極7の表面を処理してもよい。アミン類の例としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
次に、対極1を実施の形態において示した製造方法によって製造し、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着している対極1を得た。このとき、触媒層3は導電性膜4上の端部には形成されず、対極1の端部は導電性膜4が露出している。
次に、透明基板5と金属基板2とを、多孔質電極7と触媒層3とが所定の間隔を有するように配置する。上記間隔は、例えば1[μm]以上100[μm]以下であることが好適であって、1[μm]以上50[μm]以下であることがより好適である。
そして、透明基板5および金属基板2の外周部に封止体9を形成して電解質層8が封入される空間を作り、この空間に例えば透明基板5に予め形成された注液口(図示せず)から電解液を注入し、電解質層8を形成する。その後、この注液口を塞ぐ。
以上により、目的とする色素増感光電変換素子10が製造される。
また、対極1の端部は導電性膜4を露出させ、封止体9を透明基板5または透明電極6と対極1の端部に露出した導電性膜4とに接して配置し、封止体9を硬化させても良い。
封止体9の硬化方法は基本的にはどのような方法であってもよいが、具体的には、例えば、封止体9が紫外線硬化樹脂であれば、紫外線を照射して硬化させる方法、また、例えば、封止体9が熱硬化樹脂であれば、熱や赤外線を加えて硬化させる方法などが挙げられる。特に、封止体9を紫外線(UV)硬化樹脂と熱硬化樹脂とを組み合わせた樹脂であれば、紫外線を照射したときに封止体9を透過した紫外線が導電性膜4に吸収され、熱が発生することにより封止体9が加熱され、導電性膜4との接着界面での結着と硬化が促進されることで封止体9との結着性が飛躍的に向上し、封止性能も飛躍的に向上する。使用する紫外線の波長は、360[nm]以上370[nm]以下であることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、封止体9が熱溶着樹脂である場合にあっては、レーザを照射して封止体9と導電性膜4とを溶着する方法が挙げられ、レーザ照射時に封止体9を透過したレーザ光が導電性膜4に吸収され発熱(200℃以上)することで溶着し、導電性膜4と封止体9との結着性が飛躍的に向上し、封止性能も飛躍的に向上する。。使用するレーザは、典型的には赤外線レーザであって、その波長は、700[nm]以上1000[nm]以下であることが好ましく、800[nm]以上900[nm]以下であることがより好ましいが、使用するレーザは、これに限定されるものではなく、可視光レーザ、紫外線レーザなどであってもよい。また、封止体9の硬化方法は、上記に挙げた方法を適宜組み合わせることもできるが、これらの方法に限定されるものではない。
次に、透明基板5と金属基板2と封止体9とによって形成された空間に、例えば、透明基板5に予め形成された注液口(図示せず)から電解液を注入し、電解質層8を形成する。その後、この注液口を塞ぐ。
以上により、目的とする色素増感光電変換素子10が製造される。
<実施例9>
色素増感光電変換素子10を以下のようにして製造した。
まず、透明電極6を有する透明基板5として、1.1[mm]厚の日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10[Ω/□])を用意した。
次に、このFTO基板を0.2[mol/l]の四塩化チタン溶液に70℃、40分間浸漬した。その後、純水で洗浄しエタノールを用いてリンスを行い十分に乾燥させた。
次に、このFTO基板のFTO層上へ直径5[mm]の円形状のスクリーンマスクを用い、TiO2 ペーストPST−24NRT(触媒化成工業(株))をスクリーン法によって塗布しTiO2 の塗膜を得た。
次に、得られたTiO2 の塗膜上にTiO2 ペーストPST−400Cを重ね塗りし、積層TiO2 塗膜を得た。その後、得られた積層TiO2 塗膜を500℃に60分間保持して焼成し、TiO2 微粒子をFTO層上に焼結させることで多孔質電極7となるTiO2 焼結体を得た。得られたTiO2 焼結体は、直径5[mm]の円形で、厚さ18[μm]であった。
次に、作製したTiO2 焼結体の不純物を除去し、活性を高める目的で、エキシマランプにより3分間、紫外線露光を行った。
次に、光増感色素としてZ991と、共吸着剤としてDPA(1-decylphosphonic acid)とを溶媒であるtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に溶解させた色素浸漬溶液を調製した。Z991とDPAとの混合比率は、mol比で、Z991:DPA=4:1の割合で行った。次に、調製した色素浸漬溶液に上記のTiO2 焼結体を室温下24時間浸漬させて色素を担持させた。このTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で溶媒を蒸発させ乾燥させた。こうして光増感色素を担持した多孔質電極7が得られた。
一方、溶媒である3−メトキシプロピオニトリル(略号MPN)に、1.0[mol/l]のメトキシプロピオイミダゾリウムヨーダイド、0.05[mol/l]のヨウ化リチウム(LiI)、0.10[mol/l]のヨウ素(I2)、そして添加剤として0.25[mol/l]のN−ブチルベンズミダゾール(NBB)を溶解させ電解液を調製した。
次に、実施例1の方法で、導電性膜4上に触媒層3を設けて対極1を製造した。
次に、透明基板5と金属基板2とを多孔質電極7と対極1とを所定の間隔をおいて互いに対向するように配置する。そして、透明基板5および金属基板2の外周部に封止体(図示せず)を形成して電解質層8が封入される空間を作り、この空間に例えば透明基板5に予め形成された注液口から送液ポンプを用いて注入し、減圧することで素子内部の気泡を追い出し電解質層8を形成した。その後、この注液口を封止樹脂を用いてガラス基板で封止した。
以上により、目的とする色素増感光電変換素子10が製造された。
<実施例10>
対極1を実施例2の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<実施例11>
対極1を実施例3の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<実施例12>
対極1を実施例4の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<実施例13>
対極1を実施例5の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<実施例14>
対極1を実施例6の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<実施例15>
対極1を実施例7の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<実施例16>
対極1を実施例8の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<比較例3>
対極1を比較例1の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
<比較例4>
対極1を比較例2の方法で製造したものを用いた以外は、実施例9と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。
表1は、作製直後における実施例9〜16および比較例3〜4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した時の光電変換効率Eff.[%]、直流抵抗RS[Ω]の測定結果を示す。
Figure 2013122875
表1に示すように、作製直後における光電変換効率Eff.は、実施例9〜14および比較例4の色素増感光電変換素子10に対して、実施例15、16および比較例3の色素増感光電変換素子10は著しく低い値を示した。
この結果より、色素増感光電変換素子10の対極1を、金属基板2上に触媒層3が直接形成されている構成とすると、金属基板2をTi基板とする場合には光電変換効率Eff.は良好な値を示すが、金属基板2をSUS基板とすると、光電変換効率Eff.は著しく低い値しか示さないことが明らかとなった。一方で、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とを結着している構成とし、導電性膜4をTiN膜、TiCN膜、ATO/ITO積層膜のいずれか1つとすると、金属基板2にSUS基板を用いても光電変換効率Eff.は良好な値を示すことが明らかとなった。
各実施例、比較例の色素増感光電変換素子10において光電変換効率Eff.の値に大きな差が生じた要因としては、色素増感光電変換素子10の内部抵抗の1つである直流抵抗RSの値が大きく関係していると考えられる。直流抵抗RSは、色素増感光電変換素子10の正極負極間における電流の流れにくさを示すものであり、この値が低ければ低いほど、色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.は良好な値を示すと考えられるからである。
実施例9〜14および比較例4の色素増感光電変換素子10と、実施例15、16および比較例3の色素増感光電変換素子10とにおける直流抵抗RSの値を比較すると、実施例9〜14および比較例4の色素増感光電変換素子10は、35[Ω]以上41[Ω]以下と低い値を示したのに対し、実施例15、16および比較例3の色素増感光電変換素子10は65[Ω]以上156[Ω]以下と非常に高い値を示した。この結果により、色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値と直流抵抗RSの値との間には密接な相関があると考えられる。このことにより、色素増感光電変換素子10の直流抵抗値RSは、60[Ω]以下であることが好ましく、50[Ω]以下であることがより好ましく、42[Ω]以下であることが最も好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
表2は、実施例9〜16の色素増感光電変換素子10において導電性膜4を構成する材料の体積抵抗率および熱膨張率(20℃における線膨張率)を示す。
Figure 2013122875
表2に示すように、実施例9〜14における導電性膜4を構成する材料であるTiN、TiCNおよびATO/ITO積層体の体積抵抗率は、それぞれ25[μΩ・cm]、52[μΩ・cm]および44[μΩ・cm]であった。一方で、実施例15、16における導電性膜4を構成する材料であるCrNおよびCr32の体積抵抗率はそれぞれ640[μΩ・cm]および98[μΩ・cm]であった。この結果から、導電性膜4を構成する材料の体積抵抗率と色素増感光電変換素子10の直流抵抗とは密接な関係が存在すると考えられる。各実施例における色素増感光電変換素子10は、対極1以外は同一の構成であるからである。このことにより、導電性膜4は、体積抵抗率が60[μΩ・cm]以下であることが好ましく、57[μΩ・cm]以下であることがより好ましく、52[μΩ・cm]以下であることが最も好ましいが、これらの範囲に限定されるものではない。
また、表1において、実施例15(CrN膜)と実施例16(Cr32膜)との直流抵抗RSの値を比較すると、その値は、実施例15の色素増感光電変換素子10よりも、実施例16の色素増感光電変換素子10の方が大きい。一方で、CrNとCr3C2との体積抵抗率を比較すると、CrNの体積抵抗率の値がCr32に対して著しく大きい。実施例15と実施例16とは、導電性膜4以外の構成は同一であって、導電性膜4の膜厚も同一である。そうすると、この結果からは、色素増感光電変換素子10の直流抵抗RSの値は、導電性膜4を構成する材料の体積抵抗率が大きければ、それに比例して大きくなるだけではなく、直流抵抗RSを増加させるさらに別の要因が存在すると考えられる。
この別の要因として考えられるのは、熱膨張による接触界面などにおける物理的、電気的結着性などの低下である。特に、対極1を作製するプロセスに焼成などの高温工程を有する場合における場合に、この問題は顕著に起きると考えられる。具体的な例を挙げると、対極1の高温状態が続くと、導電性膜4と金属基板2との間に膨張の差が生じる。このことによって、導電性膜4と金属基板2との接触界面において歪みが生じ、これが、接触界面における物理的、電気的結着性などの低下に繋がる。これにより、金属基板2と導電性膜4との間などの接触界面において界面抵抗値が増加し、このことによって直流抵抗RSの値が増加すると考えられる。
ここで、CrNとCr32の熱膨張率を、20℃における線膨張率について比較すると、CrNの線膨張率は2.3×10-6[K-1]と小さな値を示すのに対し、Cr32の線膨張率は11.7×10-6[K-1]と大きな値を示した。また、TiNの線膨張率は9.4(10-6/K)、TiCNの線膨張率は7.6×10-6[K-1]およびATO/ITO積層体の線膨張率は8.4×10-6[K-1]であることから、Cr32の線膨張率はこれらの材料に対して大きい。実施例15と実施例16との色素増感光電変換素子10は、対極1以外は同一の構成であるので、このような結果となったのは、対極1の構成の相違によるものであると考えられる。すなわち、対極1の導電性膜4を線膨張率の値が大きいCr32膜としたので、熱処理をした際にSUS基板とCr32膜との接触界面に大きな歪が生じて電気的結着性が低下し、それに伴って界面抵抗が著しく高くなったからであると考えられる。
この結果により、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着している色素増感光電変換素子10は、導電性膜4の線膨張率によっては直流抵抗RSの値が大幅に増加して光電変換効率Eff.の値が低下することが示された。このことにより、導電性膜4の線膨張率はある一定の範囲内にあることが好ましく、導電性膜4の20℃における線膨張率が、7.6×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下であることが好ましく、7.6×10-6[K-1]以上9.4以下であることがより好ましい。また、導電性膜4と金属基板2との接触界面の電気的結着性が熱膨張によって低下すると考えられることから、導電性膜4と金属基板2との間の線膨張率差に一定の関係が必要であるとも考えられる。この関係は、SUS304の20℃における線膨張率が16×10-6[K-1]、SUS316の20℃における線膨張率が17.3×10-6[K-1]であることを考えると、導電性膜4と金属基板2との線膨張率差は、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下であることが好ましく、5.0×10-6[K-1]以上9.0×10-6[K-1]以下であることがより好ましく、5.5×10-6[K-1]以上8.4×10-6[K-1]以下であることが最も好ましい。また、導電性膜4と金属基板2とが、上述した線膨張率差を有する場合において、線膨張率の値は、どちらが大きくても小さくても良いが、金属基板2の線膨張率の値が、導電性膜4の線膨張率の値よりも大きいことが好ましい。また、上述した体積抵抗率RSの条件と熱膨張率の条件とを併せて導電性膜4の材料を上記にお挙げた材料などから選択すること好ましい。また、さらに、上記の条件に加えて、耐電解液性、特に、耐ヨウ素電解液性の高い材料を選択することが好ましい。
表3は、上記に列挙した導電性膜4に用いる材料のうち、体積抵抗率が90[μΩ・cm]以下であって20℃における線膨張率が7.6×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下であるものを示す。
Figure 2013122875
導電性膜4を構成する材料は、例えば、金属基板2をSUS基板とする場合にあっては、表3に示すように、Ti、V、TiN、TiCN、TiB2、TiC、VB2、NbN、NbB2、Mo25、Mo2C、W25、ATO/ITO積層体、IZOなどが好ましく、これらの材料の中でも、耐電解液性の高い材料がより好ましく、具体的には、例えば、TiN、TiCN、TiB2、TiC、VB2、NbN、NbB2、Mo25、Mo2C、W25、ATO/ITO積層体、IZOなどが挙げられ、その中でも、特に、耐ヨウ素電解液性の高い、TiN、TiCN、ATO/ITO積層体、IZOなどが最も好ましいが、導電性膜4に用いる材料はこれらのものに限定されるものではなく、導電性膜4は上記に挙げた材料を適宜組み合わせて構成してもよい。
次に、色素増感光電変換素子10の使用に対する経時的な特性の変化を測定するために、実施例9〜14および比較例4の色素増感光電変換素子10の信頼性加速試験を行い出力特性などの比較をした。信頼性加速試験は、作製直後の色素増感光電変換素子10を60℃以上85℃以下の恒温槽内へ入れ、色素増感光電変換素子10に一定の強度の擬似太陽光を照射して一定時間保持する方法を採用した。色素増感光電変換素子10の性能評価は、実施例9〜14の色素増感光電変換素子10について行った。
作製した色素増感光電変換素子10の性能評価として、第一に、対極1がTiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着している構成を有する色素増感光電変換素子10について行った。具体的には、対極1がTiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着している構成を有する実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10と、対極1がTi基板に触媒層が結着している構成を有する比較例4の色素増感光電変換素子10とについて素子の作製直後において性能の比較を行った。さらに、同一の条件で信頼性加速試験を行い両素子の性能の比較を行った。ここで、比較の対象として対極1の金属基板2にSUS基板を用いた比較例4の色素増感光電変換素子10ではなく、金属基板2にTi基板を用いた比較例4の色素増感光電変換素子10を用いた理由としては、比較例3の色素増感光電変換素子10の光電変換性能は作製直後において2.39[%]と著しく低く、また、経時耐久性能も測定開始から20時間程度で対極1が電解液などによる腐食によって破壊され測定不能となる。このため、比較例3の色素増感光電変換素子10を性能評価の比較対象として採用するには不適当であると判断したためである。また、以下の色素増感光電変換素子10の性能評価においても同様の理由で比較の対象に比較例4の色素増感光電変換素子10を用いている。
図3は、素子の作製直後である試験開始直前における実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した場合の、それぞれのI−V出力特性の測定結果を示した略線図である。
表4は、試験開始直前の実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した場合の、それぞれの開放電圧VOC[V]、短絡電流密度JSC[mA/cm2]、フィルファクタFF[%]、光電変換効率Eff.[%]および直流抵抗RS[Ω]の測定結果を示したものである。
Figure 2013122875
図3および表4に示すように、作製直後における光電変換効率Eff.は、比較例4の色素増感光電変換素子10に対して、実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10が高い値を示した。具体的に、比較例4の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.を100[%]として比較すると、実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10の相対的な光電変換効率は、それぞれ、103[%]、111[%]であった。
光電変換効率Eff.の値が、比較例4よりも実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10の方が高かった要因としては、短絡電流密度JSCの値が、比較例4よりも実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10の方が高く、直列抵抗RSの値が、比較例4よりも実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10の方が低かったことが挙げられる。特に、金属基板2をSUS316、導電性膜4をTiNとして対極1を構成した実施例12の色素増感光電変換素子10は、直列抵抗RSの値が非常に低く、比較例4の色素増感光電変換素子10と比較して、短絡電流密度JSCおよび光電変換効率Eff.が10[%]以上高い値を示した。この要因としては、Ti基板に触媒層3が結着している対極1よりも、TiN膜を介してSUS基板と触媒層3が結着している対極1の方が、電気伝導性が高いからであると考えられる。これは、実施例12の色素増感光電変換素子10と比較例4の色素増感光電変換素子10とは対極1の構成しか違いがないからである。
これらの結果から、色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値は、直列抵抗RSの値と密接に関係があると考えられ、直列抵抗RSの値は対極の構成と密接な関係があると考えられる。特に、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着している構成とし、導電性膜をTiN膜、金属基板をSUS基板とすると、素子の作製直後おいて高い光電変換効率Eff.の値を得ることができることが示された。
次に、色素増感光電変換素子10の使用時間に対する経時性能の変化を評価するために、試験開始から500時間後に試料を取り出し、試験開始から500時間後における色素増感光電変換素子10の各出力特性と、素子の作製直後の各出力特性に対する各出力特性の変化について、実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10の間で比較を行った。
表5は、実施例9、実施例12および比較例4の試験開始から500時間後における光電変換効率Eff.の測定結果と、試験開始直前の光電変換効率Eff.の値を100[%]としたときの試験開始から500時間後とにおける光電変換効率Eff.の相対率を示したものである。
Figure 2013122875
表5に示すように、試験開始から500時間経過後に計測した光電変換効率Eff.の値は、ともに試験開始直前に計測された値より低下することが示された。特に、比較例4の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値は、試験直前に計測した値の95%となり低下する値が大きい。一方、実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値は、それぞれ試験開始直前に計測した値の99[%]、97[%]の値となり、試験直前における光電変換効率Eff.の値を維持している。ここで、比較例4の色素増感光電変換素子10の、試験開始500時間経過後における光電変換効率Eff.の値を100[%]として比較すると、実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10の相対的な光電変換効率の値は、それぞれ、108[%]および113[%]であった。
このように、対極1の構成の違いのみによって、色素増感光電変換素子10の光電変換効率の経時劣化に違いが生じる。この要因についてさらに調べるために、試験開始から500時間経過後における色素増感光電変換素子10の開放電圧VOC、短絡電流密度JSC、フィルファクタFFおよび直流抵抗RSを計測し、試験開始直前の各値と比較した。
表6は、実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10の試験開始から500時間後における、開放電圧VOC、短絡電流密度JSC、フィルファクタFFおよび直流抵抗RSの試験開始直前に計測された各値を100[%]としたときの相対率を示したものである。
Figure 2013122875
表6に示すように、試験開始から500時間経過後において計測された開放電圧VOCの値と試験開始直前に計測された値に対する開放電圧VOCの値との相対率は、実施例9および実施例12の色素増感光電変換素子10において、それぞれ、96[%]、95[%]となった。一方で、比較例4の色素増感光電変換素子10は、試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値の85[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、Ti基板上に触媒層3が結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過においては開放電圧VOCの値が大幅に落ち込む。それに対し、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過において試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測された短絡電流密度JSCの値と試験開始直前に計測された値に対する短絡電流密度JSCの値との相対率は、実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ107[%]、101[%]、114[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における短絡電流密度JSCの値は素子の作製直後の値を維持していることが示された。また、対極1を、Ti基板上に触媒層3が結着して設けられている構成とすると、試験開始から500時間経過後において短絡電流密度JSCの値は、試験開始直前と比較して大幅に上昇しているものの、短絡電流密度JSCの値自体は、対極1を、TiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とした色素増感光電変換素子10の短絡電流密度JSCの値よりも低い結果となった。
また、500時間経過後において計測されたフィルファクタFFの値と試験開始直前に計測された値に対するフィルファクタFFの値との相対率は、実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ97[%]、101[%]、98[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過におけるフィルファクタFFの値は素子の作製直後の値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測された直流抵抗RSの値と試験開始直前に計測された値に対する直流抵抗RSの値との相対率は、実施例9、実施例12および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ95[%]、98[%]、109[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における直流抵抗RSの値は素子の作製直後の値よりも減少し、一方で、対極1を、Ti基板上に触媒層3が結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における直流抵抗RSの値は上昇することが示された。
これらの結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、金属基板2であるTi基板上に触媒層3が結着して設けられている構成とすると、使用から500時間後においては開放電圧VOCの値が大きく落ち込み、さらに直流抵抗RSも大幅に増加し、それに伴って光電変換効率Eff.の値も大きく落ち込むことが明らかとなった。この要因としては、対極1が経時的に変化することによって、触媒層3との物理的、電気的な結着性が損なわれ、金属基板2と触媒層3との接触界面における電気的な抵抗が増加することが考えられる。また、別の要因としては、金属基板2を構成するTiが電解質層8を構成する電解液中に溶出し、電解液の組成が変化することで陽陰極間の電子の受け渡しが阻害され、電気的な抵抗が増加するからであると考えられる。
一方で、対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、上述した開放電圧VOCの値の大きな落ち込みが生じない。その中でも、特に金属基板2をSUS基板、導電性膜4をTiN膜、触媒層3を導電性カーボン層とすると、開放電圧VOCの値、光電変換効率Eff.の値がともに作製直後の値をほぼ維持し、さらに直流抵抗RSが低下することが示された。この要因としては、導電性膜4であるTiN膜と金属基板2であるSUS基板とが強固に結着しているので、両者の接触界面における電気的な抵抗を低くすることができるからであると考えられる。さらに、このTiN膜とSUS基板との強固な結着性は、色素増感光電変換素子10の使用から500時間経過後にあっても維持されると考えられる。これらの結着性が維持されることで、各界面における電気的な抵抗の増加を大幅に小さくすることができ、これにより直流抵抗の増加も大幅に小さくすることができ、ひいては、開放電圧、光電変換効率の値の落ち込みを抑制することができると考えられる。
次に、第二の性能評価として、対極1がTiCN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着している構成を有する色素増感光電変換素子10について、第一の性能評価と同様に行った。具体的には、対極1が上記の構成を有する実施例10および実施例13の色素増感光電変換素子10と、対極1がTi基板に触媒層が結着している構成を有する色素増感光電変換素子10である比較例4とについて素子の作製直後において性能の比較を行った。さらに、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10を、同一の条件で信頼性加速試験を行い性能の比較を行った。
図4は、試験開始直前の実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した場合の、それぞれのI−V出力特性の測定結果を示した略線図である。
表7は、試験開始直前の実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した場合の、それぞれの開放電圧VOC[V]、短絡電流密度JSC[mA/cm2]、フィルファクタFF[%]、変換効率Eff.[%]、直流抵抗RS[Ω]の測定結果を示したものである。
Figure 2013122875
図4および表7に示すように、試験開始直前における光電変換効率Eff.の値は、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10ともに同様な値を示した。具体的に、比較例4の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値を100[%]として比較すると、実施例10および実施例13の色素増感光電変換素子10の相対的な光電変換効率は、ともに98[%]であった。
第一の性能評価と同様に、実施例10、実施例13、比較例4の色素増感光電変換素子10の直列抵抗RSの値を比較すると、いずれの色素増感光電変換素子の直列抵抗RSの値も同様なものであった。このように、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着している構成とし、導電性膜をTiCN膜、金属基板をSUS基板とすると、対極1が、Ti基板に触媒層が結着している構成を有する色素増感光電変換素子10と、素子の作製直後おいて同等の高い光電変換効率Eff.の値を得ることができることが示された。
次に、使用時間に対する色素増感光電変換素子10の経時劣化性能を評価するために、試験開始から500時間後に試料を取り出し、試験開始から500時間後における色素増感光電変換素子10の各出力特性と、素子の作製直後の各出力特性に対する各出力特性の変化について、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10において比較を行った。
表8は、実施例10、実施例13および比較例4の試験開始から500時間後における光電変換効率Eff.の測定結果と、試験開始直前の光電変換効率Eff.の値を100[%]としたときの試験開始から500時間後とにおける光電変換効率Eff.の相対率を示したものである。
Figure 2013122875
表8に示すように、試験開始から500時間経過後に計測された各素子の光電変換効率Eff.の値は、実施例13の色素増感光電変換素子10が、作製直後である試験開始直前に計測された値に対して低下したが、それでも試験開始直前に計測された値の98[%]の値を維持しており、比較例4の色素増感光電変換素子10よりも光電変換効率Eff.の値の低下が格段に少なかった。一方で、実施例10の色素増感光電変換素子10においては試験開始直前に計測された値の101[%]となり、光電変換効率Eff.の値が上昇することが示された。
色素増感光電変換素子10の対極1の構成と、光電変換効率の経時劣化との関係について、さらに調べるために、第一の性能評価と同様に、試験開始から500時間経過後における色素増感光電変換素子10の開放電圧VOC、短絡電流密度JSCおよびフィルファクタFFを計測し、試験開始直前の値と比較した。
表9は、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10の試験開始から500時間後における、開放電圧VOC、短絡電流密度JSC、フィルファクタFFおよび直流抵抗RSの試験開始直前に計測された各値を100[%]としたときの相対率を示したものである。
Figure 2013122875
表9に示すように、試験開始から500時間経過後において計測された開放電圧VOCの値と試験開始直前に計測された値に対する開放電圧VOCの値との相対率は、実施例10および実施例13の色素増感光電変換素子10において、それぞれ、100[%]、102[%]となった。一方で、比較例4の色素増感光電変換素子10は、試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値の85[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiCN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過において試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値が上昇もしくは維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測された短絡電流密度JSCの値と試験開始直前に計測された値に対する短絡電流密度JSCの値との相対率は、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ105[%]、100[%]、114[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiCN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における短絡電流密度JSCの値は素子の作製直後の値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測されたフィルファクタFFの値と試験開始直前に計測された値に対するフィルファクタFFの値との相対率は、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ97[%]、94[%]、98[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiCN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過におけるフィルファクタFFの値は素子の作製直後の値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測された直流抵抗RSの値と試験開始直前に計測された値に対する直流抵抗RSの値との相対率は、実施例10、実施例13および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ106[%]、105[%]、109[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、TiCN膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における直流抵抗RSの値は素子の作製直後の値よりも上昇するものの、対極1を、Ti基板上に触媒層3が結着して設けられている構成とした色素増感光電変換素子10の直流抵抗RSの上昇率よりも低いことが示された。
これらの結果より、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、上述したような開放電圧VOCの値の大きな落ち込みが生じない。その中でも、特に金属基板2をSUS基板、導電性膜4をTiCN膜、触媒層3を導電性カーボン層とすると、開放電圧VOC、光電変換効率Eff.ともに作製直後の値をほぼ維持していることが示された。この要因は、導電性膜をTiN膜とした場合と同様であると考えられ、直流抵抗の増加を大幅に小さくすることで、開放電圧VOC、光電変換効率Eff.の値の落ち込みを抑制することができると考えられる。
次に、第三の性能評価として、対極1がATO膜とITO膜との積層膜(以下ATO/ITO積層膜)を介してSUS基板と触媒層3とが結着している構成を有する色素増感光電変換素子10について、第一の性能評価と同様に性能の比較を行った。具体的には、対極1がATO/ITO積層膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着している構成を有する実施例11よび実施例14の色素増感光電変換素子10と、対極1がTi基板に触媒層が結着している構成を有する比較例4の色素増感光電変換素子10とについて素子の作製直後において性能の比較を行った。さらに、実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10を、同一の条件で信頼性加速試験を行い性能の比較を行った。ここで、ATO/ITO積層膜はATO膜がSUS基板側、ITO膜が触媒層側の積層膜である。
図5は、試験開始直前の実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した場合の、それぞれのI−V出力特性の測定結果を示した略線図である。
表10は、試験開始直前の実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10に擬似太陽光(AM1.5、100[mW/cm2])を照射した場合の、それぞれの開放電圧VOC[V]、短絡電流密度JSC[mA/cm2]、フィルファクタFF(%)、変換効率Eff.[%]、直流抵抗RS[Ω]の測定結果を示したものである。
Figure 2013122875
図5および表10に示すように、試験開始直前における光電変換効率Eff.の値は、比較例4の色素増感光電変換素子10に対して、実施例11および実施例14の色素増感光電変換素子10がともに高い値を示した。具体的に、比較例4の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値を100[%]として比較すると、実施例11および実施例14の色素増感光電変換素子10の相対的な光電変換効率は、それぞれ、103[%]、101[%]であった。
第一の性能評価と同様に、実施例11、実施例14、比較例4の色素増感光電変換素子10の直列抵抗RSの値を比較すると、光電変換効率Eff.の値が一番高かった実施例14の色素増感光電変換素子10が特に低い直列抵抗RSの値を示した。この結果から、色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値は、直列抵抗RSの値と密接に関係があることが示され、さらに、直列抵抗RSの値は対極1の構成と密接な関係があることが示された。特に、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着している構成とし、導電性膜4をATO/ITO積層膜、金属基板2をSUS基板とすると、素子の作製直後おいて、対極1が、Ti基板に触媒層3が結着している構成を有する比較例4の色素増感光電変換素子10よりも高い光電変換効率Eff.の値を得ることができることが示された。
次に、使用時間に対する色素増感光電変換素子10の経時劣化性能を評価するために、試験開始から500時間後に試料を取り出し、試験開始から500時間後における色素増感光電変換素子10の各出力特性と、素子の作製直後の各出力特性に対する各出力特性の変化について、実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10において比較を行った。
表11は、実施例11、実施例14および比較例4の試験開始から500時間後における光電変換効率Eff.の測定結果と、試験開始直前の光電変換効率Eff.の値を100[%]としたときの試験開始から500時間後とにおける光電変換効率Eff.の相対率を示したものである。
Figure 2013122875
表11に示すように、試験開始から500時間経過後の光電変換効率Eff.の値は、比較例4の色素増感光電変換素子10が大きく低下したのに対し、実施例11、実施例14の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値は全く低下しなかった。特に、導電性膜4をATO/ITO膜、金属基板2をSUS304基板とした実施例11の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値は、試験直前に計測した値の102[%]となり、試験開始から500時間経過後においては上昇した。試験開始500時間経過後における色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.の値を比較例4の色素増感光電変換素子10の光電変換効率Eff.を100[%]として比較すると、実施例11および実施例14の色素増感光電変換素子10の相対的な光電変換効率は、ともに108[%]であった。
色素増感光電変換素子10の対極1の構成と、光電変換効率の経時劣化との関係について、さらに調べるために、第一の性能評価と同様に、試験開始から500時間経過後における色素増感光電変換素子10の開放電圧VOC、短絡電流密度JSCおよびフィルファクタFFを計測し、試験開始直前の値と比較した。
また、試験開始直前に計測された開放電圧VOCとの相対率は、実施例11および実施例14の色素増感光電変換素子10において、それぞれ、100[%]、98[%]となった。一方で、比較例4の色素増感光電変換素子10は、試験開始直後に計測された値の85[%]となった。このことから、色素増感光電変換素子10の対極1を導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着して設けられている構成とし、特に、導電性膜4をATO/ITO積層膜、金属基板2をSUS基板とすると、使用開始から500時間経過において試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値を維持していることが示された。
表12は、実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10の試験開始から500時間後における、開放電圧VOC、短絡電流密度JSC、フィルファクタFFおよび直流抵抗RSの試験開始直前に計測された各値を100[%]としたときの相対率を示したものである。
Figure 2013122875
表12に示すように、試験開始から500時間経過後において計測された開放電圧VOCの値と試験開始直前に計測された値に対する開放電圧VOCの値との相対率は、実施例11および実施例14の色素増感光電変換素子10において、それぞれ、100[%]、98[%]となった。一方で、比較例4の色素増感光電変換素子10は、試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値の85[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、ATO/ITO積層膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過において試験開始直後に計測された開放電圧VOCの値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測された短絡電流密度JSCの値と試験開始直前に計測された値に対する短絡電流密度JSCの値との相対率は、実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ104[%]、99[%]、114[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、ATO/ITO積層膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における短絡電流密度JSCの値は素子の作製直後の値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測されたフィルファクタFFの値と試験開始直前に計測された値に対するフィルファクタFFの値との相対率は、実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ95[%]、97[%]、98[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、ATO/ITO積層膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過におけるフィルファクタFFの値は素子の作製直後の値を維持していることが示された。
また、500時間経過後において計測された直流抵抗RSの値と試験開始直前に計測された値に対する直流抵抗RSの値との相対率は、実施例11、実施例14および比較例4の色素増感光電変換素子10において、それぞれ108[%]、110[%]、109[%]となった。
この結果から、色素増感光電変換素子10の対極1を、ATO/ITO積層膜を介してSUS基板と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、使用開始から500時間経過における直流抵抗RSの値は素子の作製直後の値よりも上昇することが示された。
これらの結果より、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが結着して設けられている構成とすると、上述したような開放電圧VOCの値の大きな落ち込みが生じない。その中でも、特に金属基板2をSUS基板、導電性膜4をATO/ITO積層膜、触媒層3を導電性カーボン層とすると、開放電圧VOC、光電変換効率Eff.ともに作製直後の値をほぼ維持していることが示された。この要因は、導電性膜をTiN膜とした場合と同様であると考えられ、直流抵抗の増加を大幅に小さくすることで、開放電圧VOC、光電変換効率Eff.の値の落ち込みを抑制することができると考えられる。
以上のように、この第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10によれば、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1と同様な利点に加えて、対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とを結着している構成としたので、対極1の経時変化を長期間抑制することができる。これにより、色素増感光電変換素子10を長時間使用することによる開放電圧の低下および光電変換効率の低下を抑えることができる。また、金属基板2の電解質層8側の電解液などに接する面全体を導電性膜4で覆うことで、導電性膜が保護層となり、金属基板2に耐電解液性の低い金属を用いることができる。これにより、電解質層8中の電解質の改質が抑制されることによって色素増感光電変換素子10の経時劣化を抑制することができる。このように、この第2の実施の形態によれば、金属基板2に耐電解液性の低い安価な材料を用いることができるので、低コストで光電変換効率が高く、長時間使用しても性能劣化の少ない高性能な色素増感光電変換素子10を得ることができる。
<3.第3の実施の形態>
[色素増感光電変換素子用対極]
次に、第3の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極について説明する。
図6は第3の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1を示す要部断面図である。
図6に示すように、この色素増感光電変換素子用対極1(以下対極1)は、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とが設けられている対極1の、金属基板2と導電性膜4との間に、さらに導電性バッファ膜11を設けたものである。金属基板2と導電性膜4とは導電性バッファ膜11を介して結着している。具体的には、金属基板2上に導電性バッファ膜11が設けられ、上記導電性バッファ膜11上に上記導電性膜4が設けられ、導電性膜4上の少なくとも一部に触媒層3が設けられ、これらが対極1を構成している。その他のことは第1の実施の形態の色素増感光電変換素子用対極1と同様である。
導電性バッファ膜11の膜厚は、導電性の観点から薄いことが好ましいが、10[nm]以上70[nm]以下であることが好ましく、20[nm]以上60[nm]以下であることがより好ましく、30[nm]以上50[nm]以下であることが最も好ましい。これは厚さが10[nm]よりも薄いと、金属基板2と導電性膜4との歪を吸収できないばかりか、内部抵抗が上昇するためである。また、導電性バッファ膜11は、体積抵抗率が60[μΩ・cm]以下であることが好ましく、57[μΩ・cm]以下であることがより好ましく、52[μΩ・cm]以下であることが最も好ましい。この理由は、上述した導電性膜4における理由と同様である。
導電性バッファ膜11は、導電性を有する膜であれば基本的にはどのようなものであっても良いが、導電性バッファ膜11を構成する材料としては、導電性膜4として上記で挙げたものを適宜用いることができる。導電性バッファ膜11は、電気伝導率が高い方が好ましいので、導電性バッファ膜を構成する材料は、体積抵抗率が90[μΩ・cm]以下であることが好ましく、70[μΩ・cm]以下であることがより好ましく、60[μΩ・cm]以下であることが最も好ましい。
また、導電性バッファ膜11は、金属基板2と導電性膜4との膨張による歪を吸収するために設けられるものであるので、金属基板2と導電性バッファ膜11との線膨張率に注目すると、金属基板2と導電性バッファ膜11との線膨張率差は、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下であることが好ましく、5.0×10-6[K-1]以上9.0×10-6[K-1]以下であることがより好ましく、5.5×10-6[K-1]以上8.4×10-6[K-1]以下であることが最も好ましい。また、導電性膜11と導電性バッファ膜の線膨張率差は、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下であることが好ましく、5.0×10-6[K-1]以上9.0×10-6[K-1]以下であることがより好ましく、5.5×10-6[K-1]以上8.4×10-6[K-1]以下であることが最も好ましい。また、導電性バッファ膜11と金属基板2および導電性バッファ膜11と導電性膜4とは、上述した線膨張率差を有する場合において、線膨張率の値は、どちらが大きくても小さくても良いが、金属基板2の線膨張率の値が、導電性膜4の線膨張率の値よりも大きいことが好ましく、導電性バッファ膜11の線膨張率の値が、導電性膜4の線膨張率の値よりも大きいことが好ましく、導電性バッファ膜11の線膨張が、金属基板2の線膨張率よりも小さく、導電性膜4の線膨張率よりも大きいことが最も好ましいが、これらのことに限定されるものではない。
[色素増感光電変換素子用対極の製造方法]
次に、第3の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1の製造方法について説明する。
まず、金属基板2である金属板を用意する。
次に、金属基板2の一主面の全面上に導電性バッファ膜11を形成する。この導電性バッファ膜11の形成方法には特に制限は無いが、具体的には、スパッタリング法、化学気相蒸着法、イオン化蒸着法などで形成される。特に、スパッタリング法で導電性膜4を形成する場合においては、導電性膜4を形成する前工程として行う不導体層の除去を、スパッタリング法による成膜の前工程とて行う不活性ガスなどを使用した逆スパッタリングと同時に行うことができることから、工程を簡素化することができる。次に、導電性膜4の全面上に導電性膜4を形成する。その他のことは、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1の製造方法と同様である。
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、金属基板と導電性膜との間に導電性バッファ膜を設けたので、金属基板と導電性膜との膨張による歪を導電性バッファ膜が有効に吸収することによって、良好な結着性と高い導電性をもつ色素増感光電変換素子用対極1を得ることができる。
<4.第4の実施の形態>
[色素増感光電変換素子]
次に、第4の実施の形態による色素増感光電変換素子10ついて説明する。
図7は第4の実施の形態による色素増感光電変換素子10の基本構成を示した要部断面図である。
図7に示すように、この第4の実施の形態においては、色素増感光電変換素子10の対極1に第3の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1を用いる。その他のことは第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10と同様である。
[色素増感光電変換素子の動作]
次に、第4の実施の形態による色素増感光電変換素子10の動作について説明する。
この色素増感光電変換素子10の動作は第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10の動作と同様である。
[色素増感光電変換素子の製造方法]
次に、第4の実施の形態による色素増感光電変換素子10の製造方法について説明する。
この色素増感光電変換素子10の製造方法は、色素増感光電変換素子10の対極1に第3の実施の形態による色素増感光電変換素子用対極1を用いること以外は、第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10の製造方法と同様である。
この第4の実施の形態による色素増感光電変換素子10によれば、第2の実施の形態と同様な利点をもつとともに、色素増感光電変換素子10の対極1を、導電性膜4を介して金属基板2と触媒層3とを設け、金属基板2と導電性膜4との間に、さらに導電性バッファ膜11を設けた構成としたので、導電性膜4と金属基板2との膨張による歪を導電性バッファ膜11が有効に吸収する。これにより、導電性膜4と金属基板2との膨張率が一定の要件を満たしていなくても、界面電気抵抗の少ない、電気伝導性の高い対極1を得ることが出来る。このように、この第4の実施の形態によれば、導電性膜4と金属基板2との膨張率が一定の要件を満たしていなくても、光電変換効率が高く、長時間使用しても性能劣化の少ない高性能な色素増感光電変換素子10を得ることができる。
以上のように、この第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10と同様な利点を持つとともに、金属基板2と導電性膜4との間に導電性バッファ膜11を設けたので、金属基板2と導電性膜4との膨張率差が大きくても、導電性バッファ膜が接触界面に生じる歪を有効に吸収するので、歪に起因して発生する電気的な接触抵抗の上昇を抑えることができる。このことから、高い光電変換効率を得られ、経時劣化の少ない高性能な色素増感光電変換素子10を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本開示の技術思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いても良い。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、上記対極は、金属基板と、上記金属基板上に設けられた導電性膜と、上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、上記導電性膜の線膨張率の値が7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子。
(2)上記導電性膜の体積抵抗率の値が60[μΩ・cm]以下である上記(1)に記載の光電変換素子。
(3)上記導電性膜の膜厚が、50[nm]以上400[nm]以下である上記(1)または上記(2)に記載の光電変換素子。
(4)上記導電性膜と上記金属基板との線膨張率差が、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光電変換素子。
(5)上記金属基板の線膨張率が、上記導電性膜の線膨張率よりも大きい上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換素子。
(6)上記導電性膜は金属窒化物または導電性酸化物からなる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換素子。
(7)上記導電性膜は耐ヨウ素電解液性を有する材料からなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子。
(8)上記金属基板が、アルミニウム、アルミニウム合金およびステンレス鋼のいずれか1つからなる(1)〜(7)のいずれかに記載の光電変換素子。
(9)上記触媒層が、導電性カーボン層である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光電変換素子。
(10)上記導電性膜が、TiN、TiCN、ITO、ATOおよびIZOからなる群より選ばれる少なくとも1層からなる上記(1)〜(9)のいずれかに記載の光電変換素子。
(11)上記金属基板と上記導電膜との間に導電性バッファ膜がさらに設けられている上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光電変換素子。
(12)上記導電性膜の膜厚が、50[nm]以上400[nm]以下である上記上記(11)に記載の光電変換素子。
(13)上記導電性バッファ膜の体積抵抗率の値が60[μΩ・cm]以下である上記(11)または(12)に記載の光電変換素子。
(14)上記導電性バッファ膜の膜厚が、10[nm]以上70[nm]以下である上記(11)〜(13)のいずれかに記載の光電変換素子。
(15)上記導電性バッファ膜と上記金属基板との線膨張率差が、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下および上記導電性バッファ膜と上記導電性膜との熱膨張率差が5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下である上記(11)〜(14)のいずれかに記載の光電変換素子。
(16) 上記光電変換素子は上記多孔質電極に光増感色素が吸着した色素増感光電変換素子である上記(1)〜(15)のいずれかに記載の光電変換素子。
(17)少なくとも一つの光電変換素子を有し、上記光電変換素子が、多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、上記対極は、金属基板と、上記金属基板上に設けられた導電性膜と、上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である電子機器。
(18)金属基板と、上記金属基板上に設けられた導電性膜と、上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である光電変換素子用対極。
(19)少なくとも1つの光電変換素子を有し、上記光電変換素子が、多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、上記対極は、金属基板と、上記金属基板上に設けられた導電性膜と、上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である建築物。
(20)上記光電変換素子および/または上記光電変換素子モジュールのうち、少なくとも1つは2枚の透明板の間に挟持されている上記(19)に記載の建築物。
1…対極、2…金属基板、3…触媒層、4…導電性膜、5…透明基板、6…透明電極、7…多孔質電極、8…電解質層、9…封止体、10…色素増感光電変換素子、11…導電性バッファ膜。

Claims (20)

  1. 多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
    上記対極は、
    金属基板と、
    上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
    上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
    上記導電性膜の線膨張率の値が7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子。
  2. 上記導電性膜の体積抵抗率の値が60[μΩ・cm]以下である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 上記導電性膜の膜厚が、50[nm]以上400[nm]以下である請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 上記導電性膜と上記金属基板との線膨張率差が、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下である請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 上記金属基板の線膨張率が、上記導電性膜の線膨張率よりも大きい請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 上記導電性膜は金属窒化物または導電性酸化物からなる請求項5に記載の光電変換素子。
  7. 上記導電性膜は耐ヨウ素電解液性を有する材料からなる請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 上記金属基板が、アルミニウム、アルミニウム合金およびステンレス鋼のいずれか1つからなる請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 上記触媒層が、導電性カーボン層である請求項8に記載の光電変換素子。
  10. 上記導電性膜が、TiN、TiCN、ITO、ATOおよびIZOからなる群より選ばれる少なくとも1層からなる請求項9に記載の光電変換素子。
  11. 上記金属基板と上記導電膜との間に導電性バッファ膜がさらに設けられている請求項1に記載の光電変換素子。
  12. 上記導電性膜の膜厚が、50[nm]以上400[nm]以下である請求項11に記載の光電変換素子。
  13. 上記導電性バッファ膜の体積抵抗率の値が60[μΩ・cm]以下である請求項12記載の光電変換素子。
  14. 上記導電性バッファ膜の膜厚が、10[nm]以上70[nm]以下である請求項13に記載の光電変換素子。
  15. 上記導電性バッファ膜と上記金属基板との線膨張率差が、5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下および上記導電性バッファ膜と上記導電性膜との熱膨張率差が5.0×10-6[K-1]以上10.0×10-6[K-1]以下である請求項14に記載の光電変換素子。
  16. 上記光電変換素子は上記多孔質電極に光増感色素が吸着した色素増感光電変換素子である請求項1に記載の光電変換素子。
  17. 少なくとも一つの光電変換素子を有し、
    上記光電変換素子が、
    多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
    上記対極は、
    金属基板と、
    上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
    上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
    上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である電子機器。
  18. 金属基板と、
    上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
    上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
    上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である光電変換素子用対極。
  19. 少なくとも1つの光電変換素子を有し、
    上記光電変換素子が、
    多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
    上記対極は、
    金属基板と、
    上記金属基板上に設けられた導電性膜と、
    上記導電性膜上に設けられた触媒層とを有し、
    上記導電性膜の線膨張率の値が、7.3×10-6[K-1]以上10.5×10-6[K-1]以下である光電変換素子である建築物。
  20. 上記光電変換素子および/または上記光電変換素子モジュールのうち、少なくとも1つは2枚の透明板の間に挟持されている請求項19に記載の建築物。
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