以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのID(identification)等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
また、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置の通信相手となる無線基地局装置が切り替えられることを意味する。
また、無線端末装置がセルに在圏している、とは、無線端末装置が、当該セルを形成する無線基地局装置を通信先として選択し、かつ当該無線基地局装置と通信可能な状態または通信中である状態を意味する。
フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP(Third Generation Partnership Project) SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
マクロ基地局およびピコ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局およびピコ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局およびピコ基地局と同じ動作をする。
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、無線通信システムは、たとえば3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101Bを備える。図1では、2つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。
無線基地局装置101A,101Bは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここで、無線端末装置からコアネットワークへの方向を上り方向と称し、コアネットワークから無線端末装置への方向を下り方向と称する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置および無線端末装置は、以下の各シーケンスおよび各フローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図1に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
図2を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する(ステップS1)。
次に、無線基地局装置101Aは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置202に測定させるための測定開始要求(Measurement Configuration)を無線端末装置202へ送信する。この測定開始要求には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS2)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理(Measurement)を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS3)。
次に、無線端末装置202は、この受信電力の測定結果を示す測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS4)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する(ステップS5)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202がハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS6)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS7)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS8)。
次に、無線基地局装置101Bは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS9)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS10)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202へRRC(Radio Resource Control)コネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS11)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS12)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS13)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS14)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS15)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS16)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS17)。
[不適切なハンドオーバ動作の例]
以下、無線端末装置202と通信中の無線基地局装置またはハンドオーバ元の無線基地局装置をサービング基地局とも称し、ハンドオーバ先の無線基地局装置をターゲット基地局とも称する。
図3は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Late HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、ハンドオーバが始まる前、あるいはハンドオーバ処理の最中に、ハンドオーバ元の無線基地局装置について無線リンク断(RLF:Radio Link Failure)が発生し、かつハンドオーバ元の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Late HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、無線端末装置202が無線基地局装置101AについてRLFを起こした後に無線基地局装置101Bに対して無線リンクを再確立した場合、無線基地局装置101Bが無線基地局装置101Aに対してRLF通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは”Too Late HO”を検出する。
ここでは、図3に示すように、無線端末装置202は、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である場合を想定する。
図3および図4を参照して、まず、無線端末装置202は、各無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS51)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS52)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS53)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS54)。
ここで、ネットワーク側のハンドオーバの準備中、すなわち無線基地局装置101Aおよび101Bが上記のようなハンドオーバのためのメッセージの送受信を行なっている間に、無線端末装置202が、セルCAの圏外、かつセルCBの圏内に移動する(ステップS55)。
この無線端末装置202の移動により、無線基地局装置101Aから送信されるハンドオーバを指示するためのRRCコネクション再構成指示(ステップS56)が無線端末装置202に届かなくなり、RLFが発生してしまう(ステップS57)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Bに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS58)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再確立要求を受信して、RRCコネクション再確立応答を無線端末装置202へ送信する(ステップS59)。これにより、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立される。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再確立完了通知(RRC Connection Reestablishment Complete)を送信する(ステップS60)。
このRRCコネクション再確立完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション再確立完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Bは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Bは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS61)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS62)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI(Physical Cell ID)、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGI(E- UTRAN Cell Global Identifier)ならびに自己の無線端末装置202のC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)等を含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101AのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101BのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Aが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101AにおいてRLFが発生したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS63)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから受信したRLF通知のPCI、ECGIおよびC−RNTIを参照することにより、セルCBへの”Too Late HO”が発生したことを認識する(ステップS64)。
次に、無線基地局装置101Aは、セルCBへの”Too Late HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS65)。
図5および図6は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図5および図6を参照して、無線基地局装置101Bの形成するセルCBは、無線基地局装置101Bの設置エリアを含むセルCB1と、セルCA内に形成された、無線基地局装置101Bの設置エリアを含まないセルCB2とで構成される。
図7は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Early HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置に対する接続を成功した後、RLFが短時間で発生し、かつ、ハンドオーバ元の無線基地局装置に対して、当該無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Early HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101Aから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”Too Early HO”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”Too Early HO”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図5に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCB2内へ移動した場合(ステップS70)を想定する。
図5〜図7を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101A(Source eNB, Serving eNB)へ送信する(ステップS71)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS72)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS73)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS74)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS75)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS76)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS77)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS78)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS79)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバが完了する(ステップS80)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外かつセルCAの圏内に移動する(ステップS81)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS83)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Aに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS84)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放済みであり、保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS85)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS86)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Aから受信すると、無線基地局装置101Aと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS87)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS88)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS89)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101AからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS90)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS91)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS92)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS93)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101A間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101AへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS94)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Aは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS95)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS96)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101AのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCAへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS97)。
次に、無線基地局装置101Aは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS98)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCAへの”Too Late HO”ではなく、セルCBへの”Too Early HO”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCAへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”Too Early HO”であると判断すると(ステップS99)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS100)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”Too Early HO”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”Too Early HO”が発生したことを認識し(ステップS101)、”Too Early HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS102)。
図8は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)が生じた状況の一例を示す図である。
図8を参照して、無線通信システムは、図1に示す無線通信システムと比べて、さらに、無線基地局装置101Cを備える。無線基地局装置101Cは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
図9は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”HO to Wrong Cell”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置との接続に成功した後、短時間でRLFが発生し、かつハンドオーバ元およびハンドオーバ先の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する、無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”HO to Wrong Cell”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101Cから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”HO to Wrong Cell”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”HO to Wrong Cell”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図8に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、仮想セルCBVおよびセルCAの重複領域へ移動した場合(ステップS110)を想定する。仮想セルCBVは、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバを促進するために、パラメータであるオフセットOSTに従ってセルCBから拡大された仮想的なセルである。この場合、オフセットOSTは、無線基地局装置101Aの保持するパラメータである。
図8および図9を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS111)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS112)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS113)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS114)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS115)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS116)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS117)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS118)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS119)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線端末装置101Bへのハンドオーバが完了する(ステップS120)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外、かつ仮想セルCBVおよびセルCCの圏内に移動する(ステップS121)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101C(Other eNB)から送信される無線信号の干渉が大きく、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS123)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行なう。この場合、無線基地局装置101Cからの無線信号の受信電力が最大となることから、無線端末装置202は、探索した無線基地局装置101Cに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS124)。
次に、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS125)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS126)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Cから受信して、無線基地局装置101Cと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS127)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS128)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS129)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101CからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS130)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS131)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS132)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS133)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101C間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101CへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS134)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Cは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS135)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS136)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101CのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCCへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS137)。
次に、無線基地局装置101Cは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS138)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCCへの”Too Late HO”ではないと判断し、さらに、無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101CからRLF通知を受信したことから、セルCBへの”Too Early HO”ではなく、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCCへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断すると(ステップS139)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS140)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”HO to Wrong Cell”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”HO to Wrong Cell”が発生したことを認識し(ステップS141)、”HO to Wrong Cell”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS142)。
以上のような”Too Late HO”、”Too Early HO”および”HO to Wrong Cell”の他に、不適切なハンドオーバ動作として”Ping Pong HO”がある。
これは、ある無線端末装置について、2つの無線基地局装置が互いに他の無線基地局装置へのハンドオーバを判断する場合である。この”Ping Pong HO”が発生すると、無線端末装置および無線基地局装置間の接続が切断されることはないが、当該無線端末装置についてはハンドオーバ動作のための処理が繰り返され、通話およびデータ通信を行なうことができなくなり、また、上位ネットワーク側の負荷が増大してしまう。
[ハンドオーバ動作の制御パラメータ]
図10は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の受信品質のシミュレーション結果を示す図である。
図10は、無線端末装置202が、時速30kmでピコ基地局付近を通過し、マクロ基地局付近を通過するまでの100秒間における無線端末装置202のRSSI(Received Signal Strength Indication)を示している。
図10において、グラフG1およびG3は、マクロ基地局から送信される無線信号のRSSIを示し、グラフG2およびG4は、ピコ基地局から送信される無線信号のRSSIを示している。また、グラフG1およびG2は、シャドウィング、すなわち無線端末装置202および他の物体間の相対的な位置変化に起因する、当該無線端末装置202における無線信号の受信電力の時間的な変化を考慮したシミュレーション結果であり、グラフG3およびG4は、シャドウィングを考慮しないシミュレーション結果である。
図10を参照して、無線端末装置202のピコ基地局からマクロ基地局へのハンドオーバの理想位置は、グラフの交点付近すなわち移動時間が約17秒となる位置である。しかしながら、実際には、無線端末装置202の未来の通信環境を無線通信システムにおいて把握することは困難であるため、各種測定結果等に基づいてハンドオーバ動作のタイミングを調整することにより、ハンドオーバ動作の最適化を図ることが重要である。
また、移動時間が15秒から20秒の期間では、各無線基地局装置からの無線信号の強弱が入り組んでいるため、たとえば”Too Early HO”または”Ping Pong HO”が発生しやすくなる。また、移動時間が20秒となるタイミング付近では、ピコ基地局からの無線信号の受信電力が急に小さくなり、マクロ基地局からの無線信号の受信電力が急に大きくなり、SINR(Signal to Interference-plus-Noise Ratio)が急激に悪化するため、”Too Late HO”が発生しやすくなる。
ここで、3GPPで規定されたハンドオーバの最適化を図るMRO(Mobility Robustness Optimization)の評価関数をY=MRO(X)とすると、Yは、たとえば”Too Late HO”の発生頻度、”Too Early HO”の発生頻度、”HO to Wrong Cell”の発生頻度、”Ping Pong HO”等の不必要なハンドオーバの発生頻度、またはRRCコネクション情報を送信した直後すなわち無線端末装置202が無線基地局装置に接続された直後のハンドオーバの発生頻度である。
また、たとえば、Xは、電力測定処理(Measurement)用のパラメータであり、ヒステリシスHS:0dB〜+15dB、TTT(Time to Trigger):0ms〜5120ms、またはオフセットOST(Cell Individual Offset):−24dB〜+24dBである。あるいは、Xは、セル再選択処理用のパラメータである。
たとえば、オフセットOSTはサービング基地局の形成するサービングセル、および周辺セルごとに設定可能である。
無線基地局装置101は、たとえば上記のようなパラメータを調整することにより、ハンドオーバ動作のタイミングを制御し、ハンドオーバ動作の最適化処理を行なう。
[無線基地局装置]
図11は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図11を参照して、無線基地局装置101は、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを備える。信号処理部95は、受信信号処理部96と、送信信号処理部97とを含む。信号処理部95および制御部98は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ92は、アンテナ91において受信された無線端末装置202からの無線信号を無線受信部93へ出力し、また、無線送信部94から受けた無線信号をアンテナ91へ出力する。
無線受信部93は、サーキュレータ92から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部96へ出力する。
受信信号処理部96は、無線受信部93から受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
送信信号処理部97は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部94へ出力する。
無線送信部94は、送信信号処理部97から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ92へ出力する。
制御部98は、無線基地局装置101における各ユニットおよびコアネットワークとの間で各種情報をやり取りする。
[無線端末装置]
図12は、本発明の実施の形態に係る無線端末装置の構成を示す図である。
図12を参照して、無線端末装置202は、アンテナ81と、サーキュレータ82と、無線受信部83と、無線送信部84と、信号処理部85と、制御部88と、入出力部89とを備える。信号処理部85は、受信信号処理部86と、送信信号処理部87とを含む。信号処理部85および制御部88は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ82は、アンテナ81において受信された無線基地局装置101からの無線信号を無線受信部83へ出力し、また、無線送信部84から受けた無線信号をアンテナ81へ出力する。
無線受信部83は、サーキュレータ82から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部86へ出力する。
受信信号処理部86は、無線受信部83から受けたデジタル信号に対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるFFT(Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を制御部88へ出力する。
制御部88は、受信信号処理部86から受けたデジタル信号を、たとえば音声データおよび映像データに変換し、必要に応じてアナログ信号に変換する。そして、制御部88は、スピーカ、マイク、ディスプレイおよびキー入力装置等を含む入出力部89へ出力する。
また、制御部88は、たとえば、音声データ、およびキー入力装置において受け付けた無線端末装置202を制御するための制御信号等を入出力部89から受ける。そして、制御部88は、入出力部89から受けた音声データおよび制御信号に所定の信号処理を行なって通信データを生成し、送信信号処理部87へ出力する。
送信信号処理部87は、制御部88から受けた通信データ、または自ら生成した通信データに対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における拡散処理等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部84へ出力する。
無線送信部84は、送信信号処理部87から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ82へ出力する。
図3〜図9では、不適切なハンドオーバ動作およびその検出処理について説明した。無線端末装置202の移動に伴うRLFの発生原因としては、前述のように、不適切なハンドオーバ動作の他に、いずれの無線基地局装置101からも十分な強度の電波が届かないエリア(以下、小電力によるカバレッジホールとも称する。)へ無線端末装置202が移動したことによる、ハンドオーバ動作の失敗等が考えられる。
さらに、本願発明者は、無線端末装置202の移動に伴うRLFの発生原因として、マクロセルおよびフェムトセル等が密集し、各無線基地局装置101からの電波同士の干渉が大きく、いずれの無線基地局装置101からの電波についても十分な受信品質が得られないエリア(以下、干渉によるカバレッジホールとも称する。)へ無線端末装置202が移動したことによる、ハンドオーバ動作の失敗等が考えられることを発見した。
これに加えて、干渉によるカバレッジホールは、瞬時的にはいずれの無線基地局装置101からの電波についても十分な受信品質が得られる場合を含むものとする。すなわち、ハンドオーバ動作が成功するには、一定時間、いずれかの無線基地局装置101からの電波について十分な受信品質が必要であり、干渉によるカバレッジホールでは、この一定時間が確保できないものとする。
図13は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、干渉によるカバレッジホールの一例を示す図である。
図13を参照して、無線通信システムは、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、マクロ基地局151と、フェムト基地局161〜163とを備える。
ここでは、無線端末装置202が、マクロ基地局151の形成するマクロセルMC内に位置し、マクロ基地局151と通信中である状態において、フェムト基地局161,162,163のそれぞれ形成するフェムトセルFC1,FC2,FC3の重複領域へ移動した場合を想定する。
図14は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が干渉によるカバレッジホールへ移動する際の受信電力の変動の一例を示す図である。図14において、縦軸は無線端末装置202の受信電力であり、横軸は無線端末装置202の移動時間である。
図14を参照して、まず、無線端末装置202がフェムトセルFC3へ進入すると、フェムトセルFC3の受信電力すなわちフェムト基地局163からの無線信号の受信電力が他と比べて大きくなる。無線端末装置202がこの位置でとどまる場合には、マクロ基地局151からフェムト基地局163へのハンドオーバ動作が正常に行なわれる。
しかしながら、無線端末装置202が、フェムトセルFC1,FC2,FC3の重複領域へ向かってさらに移動していくと、干渉の大きい領域へ進入してしまう。この領域では、各セルの受信電力の差が小さくなり、また、各セルの受信電力の大小関係が、短い移動時間で変化する。この場合、どの無線基地局装置へのハンドオーバ動作が行なわれても、他の無線基地局装置からの干渉によってRLFが発生してしまう。
図15は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、干渉によるカバレッジホールへ進入した無線端末装置がRLFから復帰する状況の一例を示す図である。
図15を参照して、まず、無線端末装置202が干渉によるカバレッジホールへ進入し、ハンドオーバ動作の失敗によってRLFが発生する(ステップS201)。
次に、無線端末装置202は、フェムトセルFC1,FC2,FC3の圏外、かつマクロセルMCの圏内へ移動する。無線端末装置202は、電力測定処理を行なうことにより、再接続先の無線基地局装置を探索する。そして、無線端末装置202は、探索したマクロ基地局151との間で通常の接続手順を実行し、マクロ基地局151との通信接続を確立し、RLFから復帰する(ステップS202)。
次に、無線端末装置202は、RLFの発生原因の判別を補助するための情報を含むRLFレポートをマクロ基地局151へ送信する(ステップS203)。
RLFレポートは、前述の内容に加えて、たとえば、3GPP TR 36.331 V10.2.0に記載されているように、RLF発生時における接続先の無線基地局装置101からの無線信号のRSSI等の受信電力、およびSINR等の受信品質を含む。また、RLFレポートは、RLF発生時における周辺基地局のIDと、周辺基地局からの無線信号のRSSI等の受信電力、およびSINR等の受信品質とを含む。各周辺基地局の情報は、たとえば接続先として適した順に並べられる。また、RLFレポートは、RLF発生時における無線基地局装置のIDを含む。このIDは、EGCIおよびPCIのいずれでもよく、RLFがハンドオーバ動作中に発生した場合にはターゲット基地局のIDとなり、それ以外の状況で発生した場合にはサービング基地局のIDとなる。また、RLFレポートは、無線端末装置202の最後のハンドオーバ動作におけるサービング基地局のECGI、すなわち、無線端末装置202が、ハンドオーバ指示が含まれるRRCコネクション再構成指示を最後に受信した際における接続先の無線基地局装置101のIDを含む。また、RLFレポートは、RLFが発生してから最初に無線端末装置202が通信接続の確立を試みた無線基地局装置101のECGIを含む。また、RLFレポートは、無線端末装置202が最後にハンドオーバ動作を初期化してから、すなわちハンドオーバ指示が含まれるRRCコネクション再構成指示を最後に受信してから、RLFが発生するまでの時間を含む。この時間は、100ms単位でカウントされる。
次に、マクロ基地局151は、無線端末装置202から受信したRLFレポートに基づいてRLFの発生原因を判別し、RLFの発生を抑制するための各種処理を行なう。
図16は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作の最適化処理の一例を示す図である。図の見方は図14と同様である。
図16を参照して、タイミングt11において、無線端末装置202は、マクロセルMCの受信電力が、周辺セルであるフェムトセルFC3の受信電力より大きいことから、マクロ基地局151を通信相手として選択し、通信接続を確立している。
次に、無線端末装置202の移動に伴ってフェムトセルFC3の受信電力がマクロセルMCの受信電力よりも大きくなる。このような状況においてもマクロ基地局151からフェムト基地局163へのハンドオーバ動作が行なわれないと、フェムト基地局163からの干渉によりRLFが発生する(タイミングt13)。
RLF発生後、無線端末装置202は、フェムト基地局163との間で新たに通信接続を確立し、RLFレポートをフェムト基地局163へ送信する。フェムト基地局163は、当該RLFレポートを参照し、マクロ基地局151へ当該RLFレポートの内容を含むRLF通知をたとえばX2インタフェース経由で送信する。
マクロ基地局151は、フェムト基地局163から受信したRLF通知に含まれるマクロセルMCの受信電力およびフェムトセルFC3の受信電力等に基づいて、自己の形成するマクロセルMCからフェムトセルFC3への”Too Late HO”が発生したことを認識する。そして、マクロ基地局151は、フェムトセルFC3への”Too Late HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する。すなわち、マクロ基地局151は、自己からフェムト基地局163へのハンドオーバ動作のタイミングを早める制御を行なう。これにより、たとえばタイミングt12において当該ハンドオーバ動作が実行されるようになる。
図17は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、干渉によるカバレッジホールにおけるハンドオーバ動作のタイミング調整を示す図である。図の見方は図14と同様である。
図17を参照して、ここでは、フェムト基地局163と通信中の無線端末装置202がフェムトセルFC1,FC2,FC3の重複領域へ進入し、たとえばタイミングt21においてRLFが発生する場合を想定する。
この重複領域では、図16に示すような状況とは異なり、各セルの受信電力の差が小さく、また、各セルの受信電力の大小関係が、短い移動時間で変化する。このため、RLF発生時の瞬時的な各セルの受信電力に基づいてタイミングt21の前後へハンドオーバ動作のタイミングを変更しても、RLFを回避することはできない。
すなわち、RLFの発生原因として、干渉によるカバレッジホールと、ハンドオーバ動作のタイミングの調整不良とを区別できないと、ハンドオーバ動作のタイミングの無意味な変更がなされ、また、不適切な変更によってRLFが多発してしまう可能性がある。
そこで、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、以下のような構成および動作により、RLFの発生原因として、干渉によるカバレッジホールを判別可能とする。
図18は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図18を参照して、制御部98は、測定情報取得部11と、判別部12と、送信制御部13と、移動動作制御部14とを含む。
測定情報取得部11は、無線端末装置202および無線基地局装置101間の通信接続が切断されてから、無線端末装置202が新たに上記または上記以外の無線基地局装置101との通信接続を確立するまでの間において、無線端末装置202が測定を行なった結果を示す測定情報を取得する。
判別部12は、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、干渉によるカバレッジホールであるか、すなわち通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるか否かを判別する。
送信制御部13は、判別部12によって通信接続の切断の原因が無線信号間の干渉であると判断された場合には、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信動作を調整する。
また、判別部12は、たとえば、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングであるか、または通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるかを判別する。
移動動作制御部14は、判別部12によって通信接続の切断の原因がハンドオーバ動作のタイミングであると判断された場合には、自己の無線基地局装置101または他の無線基地局装置101におけるハンドオーバ動作のタイミングを調整するための処理を行なう。
図19は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるRLF発生原因の判別処理の一例を示すシーケンス図である。
図19を参照して、まず、無線端末装置202およびサービング基地局間で通信接続が確立する(ステップS251)。
次に、無線端末装置202およびサービング基地局間でRLFが発生し(ステップS252)、無線端末装置202は、セル再選択手順(Reestablishment Procedure)を開始する(ステップS253)。このセル再選択手順において、無線端末装置202およびターゲット基地局間で各種情報がやり取りされる(ステップS254)。ここで、セル再選択手順は、図4に示すRRCコネクション再確立要求、RRCコネクション再確立応答、およびRRCコネクション再確立完了通知の送受信を含む。
次に、無線端末装置202およびターゲット基地局間で通信接続が確立し(ステップS255)、無線端末装置202は、ターゲット基地局へRLFレポートを送信する(ステップS256)。
次に、ターゲット基地局は、無線端末装置202から受信したRLFレポートに基づいて、RLFの発生原因の判別処理およびRLFの抑制処理を行なう(ステップS257)。
以下、無線基地局装置101によるRLFの発生原因の判別処理およびRLFの抑制処理について詳細に説明する。
無線基地局装置101において、判別部12は、たとえば、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、無線端末装置202における各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力の低さであるか、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングであるか、または小電力によるカバレッジホールであるか、すなわち通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるかを判別する。
図20は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、干渉によるカバレッジホールを判別するためにRLFレポートに追加する情報の一例を示す図である。図の見方は図14と同様である。
図20を参照して、無線端末装置202は、RLFレポートに、再接続動作の際の情報、たとえば、RLFが発生したタイミングt1から、セル再選択手順が完了するタイミングt2までの時間TRを含める。すなわち、時間TRは、無線端末装置202および無線基地局装置101間の通信接続の切断から通信接続の確立までの時間である。
より詳細には、無線基地局装置101において、測定情報取得部11は、時間TRを測定情報として取得する。また、測定情報取得部11は、さらに、通信接続の切断の際に無線端末装置202が各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力を測定した結果、を示す受信電力情報すなわち測定結果通知を測定情報として取得する。
そして、判別部12は、通信接続の切断の際の受信電力情報において、無線端末装置202が通信相手として選択する無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上であるか、または無線基地局装置101以外の無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上である場合であって、時間TRが所定値以上のときには、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
具体的には、判別部12は、時間TRが長い場合には、無線端末装置202が、再接続先の無線基地局装置101を探索するのに長時間を要したか、あるいは電波環境が悪いために無線基地局装置101との通信エラーが多発したと考えられるため、RLFの発生原因は干渉によるカバレッジホールである、と判断する。これは、干渉によるカバレッジホールでは、前述のように、各セルの受信電力の差が小さくなり、また、各セルの受信電力の大小関係が、短い移動時間で変化するからである。
一方、判別部12は、時間TRが短い場合には、RLFの発生原因は干渉によるカバレッジホールではないと判断し、たとえばハンドオーバ動作のタイミング設定が不適切である、と判断する。
図21は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるRLF発生原因の判別処理およびRLFの抑制処理の手順を定めたフローチャートである。
図21を参照して、制御部98は、無線端末装置202からRLFレポートを受信して(ステップS301)、RLF発生時における希望波の電力すなわちサービング基地局からの無線信号の受信電力、および干渉波の電力すなわち周辺基地局からの無線信号の受信電力を当該RLFレポートから確認する(ステップS302)。
そして、制御部98は、希望波の電力が所定の閾値よりも小さく、かつ干渉波の電力が所定の閾値よりも小さい場合には(ステップS302でYES)、RLFの発生原因は、無線端末装置202が小電力によるカバレッジホールへ進入したことであると判断する(ステップS303)。この場合、たとえば、移動通信事業者が、当該サービング基地局の無線信号の送信電力を上げる措置を行なう(ステップS304)。
一方、制御部98は、希望波の電力が所定の閾値よりも大きいか、あるいは干渉波の電力が所定の閾値よりも大きい場合には(ステップS302でNO)、RLFレポートに含まれる時間TRを確認する(ステップS305)。なお、これらの閾値は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
制御部98は、時間TRが所定の閾値よりも大きい場合、すなわちRLFの発生から無線端末装置202が通信接続を確立するまでの所要時間が長い場合には(ステップS305でYES)、RLFの発生原因は、無線端末装置202が干渉によるカバレッジホールへ進入したことであると判断する(ステップS306)。
そして、制御部98は、干渉によるカバレッジホールが原因であると判断すると、当該カバレッジホールが発生している領域の干渉を低減するための、後述する干渉低減処理を行なう(ステップS307)。
一方、制御部98は、時間TRが所定の閾値よりも小さい場合、すなわちRLFの発生から無線端末装置202が通信接続を確立するまでの所要時間が短い場合には(ステップS305でNO)、RLFの発生原因は、サービング基地局からターゲット基地局へのハンドオーバ動作の不適切なタイミング設定であると判断する(ステップS308)。
そして、制御部98は、自己の無線基地局装置または他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のパラメータ調整を行なうための処理を行なう(ステップS309)。
図22は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるRLF発生原因の判別処理およびRLFの抑制処理の手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、時間TRの代わりに、RLFの発生から新たな通信接続が確立するまでにセル再選択処理が行なわれた回数を、RLFレポートに含める構成であってもよい。
すなわち、無線基地局装置101において、測定情報取得部11は、通信接続の切断から通信接続の確立までの間において無線端末装置202が無線基地局装置101と通信接続を確立するための動作を行なった回数、を測定情報として取得する。
そして、判別部12は、通信接続の切断の際の受信電力情報において、無線端末装置202が通信相手として選択する無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上であるか、または無線基地局装置101以外の無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上である場合であって、上記回数が所定値以上のときには、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
具体的には、図22を参照して、制御部98は、無線端末装置202からRLFレポートを受信して(ステップS311)、RLF発生時における希望波の電力すなわちサービング基地局からの無線信号の受信電力、および干渉波の電力すなわち周辺基地局からの無線信号の受信電力を当該RLFレポートから確認する(ステップS312)。
そして、制御部98は、希望波の電力が所定の閾値よりも小さく、かつ干渉波の電力が所定の閾値よりも小さい場合には(ステップS312でYES)、RLFの発生原因は、無線端末装置202が小電力によるカバレッジホールへ進入したことであると判断する(ステップS313)。この場合、たとえば、移動通信事業者が、当該サービング基地局の無線信号の送信電力を上げる措置を行なう(ステップS314)。
一方、制御部98は、希望波の電力が所定の閾値よりも大きいか、あるいは干渉波の電力が所定の閾値よりも大きい場合には(ステップS312でNO)、RLFレポートに含まれるセル再選択処理の回数を確認する(ステップS315)。なお、これらの閾値は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
制御部98は、セル再選択処理の回数が所定の閾値よりも大きい場合、すなわちRLFの発生から無線端末装置202が通信接続を確立するまでにおけるセル再選択処理の失敗回数が多い場合には(ステップS315でYES)、RLFの発生原因は、無線端末装置202が干渉によるカバレッジホールへ進入したことであると判断する(ステップS316)。
そして、制御部98は、干渉によるカバレッジホールが原因であると判断すると、当該カバレッジホールが発生している領域の干渉を低減するための、後述する干渉低減処理を行なう(ステップS317)。
一方、制御部98は、セル再選択処理の回数が所定の閾値よりも小さい場合、すなわちRLFの発生から無線端末装置202が通信接続を確立するまでにおけるセル再選択処理の失敗回数が少ない場合には(ステップS315でNO)、RLFの発生原因は、サービング基地局からターゲット基地局へのハンドオーバ動作の不適切なタイミング設定であると判断する(ステップS318)。
そして、制御部98は、自己の無線基地局装置または他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のパラメータ調整を行なうための処理を行なう(ステップS319)。
図23は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるRLF発生原因の判別処理およびRLFの抑制処理の手順を定めたフローチャートである。
無線端末装置202は、時間TRをRLFレポートに含める代わりに、RLFの発生から新たな通信接続が確立するまでの間において電力測定処理を複数回行ない、その結果をRLFレポートに含める構成であってもよい。この場合、無線基地局装置101は、RLFの発生から新たな通信接続が確立するまでの間における、各セルの受信電力の大小関係の推移に基づいて、干渉によるカバレッジホールを判別する。
すなわち、無線基地局装置101において、測定情報取得部11は、無線端末装置202が各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力を測定した結果を示す受信電力情報を、通信接続の切断から通信接続の確立までの間における複数回分、測定情報として取得する。
そして、判別部12は、通信接続の切断の際の受信電力情報において、無線端末装置202が通信相手として選択する無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上であるか、または無線基地局装置101以外の無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上である場合であって、複数回分の受信電力情報において、受信電力、または受信電力に基づく受信品質について所定条件を満たす無線基地局装置101が異なるときには、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
具体的には、図23を参照して、制御部98は、無線端末装置202からRLFレポートを受信して(ステップS321)、RLF発生時における希望波の電力すなわちサービング基地局からの無線信号の受信電力、および干渉波の電力すなわち周辺基地局からの無線信号の受信電力を当該RLFレポートから確認する(ステップS322)。
そして、制御部98は、希望波の電力が所定の閾値よりも小さく、かつ干渉波の電力が所定の閾値よりも小さい場合には(ステップS322でYES)、RLFの発生原因は、無線端末装置202が小電力によるカバレッジホールへ進入したことであると判断する(ステップS323)。この場合、たとえば、移動通信事業者が、当該サービング基地局の無線信号の送信電力を上げる措置を行なう(ステップS324)。
一方、制御部98は、希望波の電力が所定の閾値よりも大きいか、あるいは干渉波の電力が所定の閾値よりも大きい場合には(ステップS322でNO)、各基地局の優劣の推移、すなわち各セルの受信電力の大小関係の推移を確認する(ステップS325)。なお、これらの閾値は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
制御部98は、各基地局の優劣が一定でない場合、すなわちRLFの発生から新たな通信接続が確立するまでの間において各セルの受信電力の大小関係が一定でない場合には(ステップS325でYES)、RLFの発生原因は、無線端末装置202が干渉によるカバレッジホールへ進入したことであると判断する(ステップS326)。
そして、制御部98は、干渉によるカバレッジホールが原因であると判断すると、当該カバレッジホールが発生している領域の干渉を低減するための、後述する干渉低減処理を行なう(ステップS327)。
一方、制御部98は、各基地局の優劣が一定である場合、すなわちRLFの発生から新たな通信接続が確立するまでの間において各セルの受信電力の大小関係が一定である場合には(ステップS325でNO)、RLFの発生原因は、サービング基地局からターゲット基地局へのハンドオーバ動作の不適切なタイミング設定であると判断する(ステップS328)。
そして、制御部98は、自己の無線基地局装置または他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のパラメータ調整を行なうための処理を行なう(ステップS329)。
なお、図21〜図23に示すフローチャートにおいて、制御部98は、受信電力情報による判断(ステップS302、S312およびS322)を行なうことなく、干渉によるカバレッジホールの判別を行なう構成であってもよい。
図24は、本発明の実施の形態に係る無線端末装置における制御部の構成を示す図である。
図24を参照して、制御部88は、測定部21と、判別部22とを含む。
測定部21は、自己および無線基地局装置101間の通信接続が切断されてから、新たに無線基地局装置101との通信接続を確立するまでの間において測定を行なう。
より詳細には、測定部21は、通信接続の切断から通信接続の確立までの時間TRを測定するか、通信接続の切断から通信接続の確立までの間において無線基地局装置101と通信接続を確立するための動作を行なった回数を測定するか、または通信接続の切断から通信接続の確立までの間において各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力を複数回測定する。
そして、送信信号処理部87は、測定部21の測定結果を示す測定情報を無線基地局装置101へ送信する。
なお、本発明の実施の形態に係る無線通信システムでは、無線基地局装置101がRLFの発生原因を判別する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線基地局装置101に限らず、無線端末装置202がRLFの発生原因を判別する構成であってもよい。
すなわち、測定部21は、自己および無線基地局装置101間の通信接続が切断されてから、新たに無線基地局装置101との通信接続を確立するまでの間において測定を行なう。
そして、判別部22は、測定部21の測定結果に基づいて、通信接続の切断の原因が、通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるか否かを判別する。
このように、無線端末装置202がRLFの発生原因を判別する構成により、無線端末装置202および無線基地局装置101間で送受信される情報を低減することができる。
また、無線基地局装置101および無線端末装置202は、図21〜図23で説明した干渉によるカバレッジホールの判断条件(ステップS305、S315およびS325)を組み合わせてもよい。すなわち、いずれか1つの判断条件が満たされれば干渉によるカバレッジホールであると判断してもよいし、いずれか2つまたはすべての判断条件が満たされれば干渉によるカバレッジホールであると判断してもよい。
次に、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける干渉低減処理について詳細に説明する。
無線基地局装置101において、送信制御部13は、判別部12によって通信接続の切断の原因が無線信号間の干渉であると判断された場合には、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信に関するリソースを調整する。
送信制御部13は、たとえば時間軸方向のリソースを調整する。より詳細には、送信制御部13は、リソースとして、無線信号に含める情報、無線信号の周波数および無線信号の電力のうちの少なくともいずれか1つが制限される期間たとえばABS(Almost Blank Sub-frame)を調整する。まず、このABSについて詳細に説明する。
ピコ基地局の送信電力はマクロ基地局よりも小さいため、セルエッジ近辺すなわちセルの境界近辺の干渉対策が必要となる。
通信トラフィックを分散させるために、ピコセルの領域を広げ、ピコ基地局と通信する無線端末装置の台数を増やす方法(Range Expansion)が検討されている。この方法として、ABSを利用した時間領域での解決方法が、3GPP TS 36.423 v.10.2.0に記載されている。これは、eICIC(enhanced Inter-Cell Interference Cordination)と呼ばれる。
すなわち、無線基地局装置101は、送信用の1フレームのうち、自己の設定するABSでは情報をほとんど送信しない。ここで、サブフレームは、たとえば、無線端末装置202に対するリソース割り当ての単位であり、長さは1msである。
具体的には、マクロ基地局が定期的にABSを設け、マクロ基地局から干渉を受けているピコ基地局に接続する無線端末装置202が、当該ABSにおいて当該ピコ基地局と通信を行なう。マクロセルのセルエッジ近辺に位置する無線端末装置202に対してマクロ基地局のABSを使用させることにより、無線端末装置202においてマクロ基地局からの干渉が低減され、ピコ基地局との通信環境が良好となる。
図25は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるABSの使用例を示すシーケンス図である。
図25を参照して、まず、干渉を与える無線基地局装置(以下、与干渉基地局とも称する。)は、自己の設定しているABSパターンを示すABS情報を、干渉を受ける無線基地局装置(以下、被干渉基地局とも称する。)へ送信する。ここで、与干渉基地局は主にマクロ基地局であり、被干渉基地局は主にピコ基地局である。ABSパターンは、たとえばビットマップで表現される。
次に、被干渉基地局は、自己が使用可能なABSパターンを示すABS設定要求を、与干渉基地局へ送信する。これは、与干渉基地局が複数存在する場合、1つの与干渉基地局がABSを設定しても、被干渉基地局で当該ABSを使用可能であるとは限らないからである。ABS設定要求は、たとえば、ABSの使用率を含む。
次に、与干渉基地局は、受信したABS設定要求に基づいて、自己のABSパターンを再調整する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムでは、干渉によるカバレッジホールの発生を抑制するために、ABSを利用する。
図26は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、ABSを使用した干渉低減処理の一例を示すシーケンス図である。
図26を参照して、まず、ターゲット基地局は、干渉によるカバレッジホールを検出する(ステップS351)。ここで、ターゲット基地局は、無線端末装置202から受信したRLFレポート等から、RLF発生時におけるサービング基地局のIDおよび周辺基地局のIDを取得する。
そして、ターゲット基地局は、取得したIDに基づき、ABS設定要求を周辺基地局へ送信する(ステップS352)。
次に、周辺基地局は、ターゲット基地局から受信したABS設定要求に基づいて、自己のABSパターンを設定する(ステップS353)。
次に、周辺基地局は、設定したABSパターンを示すABS情報をサービング基地局およびターゲット基地局へ送信する(ステップS354およびステップS355)。
次に、サービング基地局およびターゲット基地局は、ハンドオーバ動作中の無線端末装置202に対して、周辺基地局から受信したABS情報の示すABSを使用するように指示する。具体的には、サービング基地局およびターゲット基地局は、当該ABS情報の示すABSパターンを、たとえばRRCコネクション再構成指示に含めて無線端末装置202へ送信する。
そして、無線端末装置202は、サービング基地局およびターゲット基地局から通知されたABSパターンに基づいて、周辺基地局の干渉が少ないABSにおいて、電力測定処理等のハンドオーバ動作のための処理を行なう。これにより、たとえば、無線端末装置202において、ターゲット基地局からの無線信号の受信品質が良くなり、ハンドオーバ先としてターゲット基地局の優先順位の高い状態が持続するため、RLFが発生することなく、サービング基地局からターゲット基地局へのハンドオーバ動作を早期に完了させることができる。
具体例で考えると、たとえば図17に示す例において、上記シーケンスにおけるサービング基地局がフェムト基地局163に該当し、ターゲット基地局がマクロ基地局151に該当し、周辺基地局がフェムト基地局161および162に該当する。
すなわち、この例では、無線端末装置202におけるフェムト基地局163およびマクロ基地局151との通信に対する、フェムト基地局161および162からの干渉を低減することができる。これにより、フェムト基地局163と通信中の無線端末装置202がフェムトセルFC1,FC2,FC3の重複領域へ進入しても、RLFが発生することなく、フェムト基地局163からマクロ基地局151へのハンドオーバ動作を早期に完了させることができる。
なお、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作中の無線端末装置202に対してABSの使用を指示する構成に限らず、RLFが発生し、再接続先の無線基地局装置を探索している無線端末装置202、すなわちセル再選択中の無線端末装置202に対してABSの使用を指示する構成であってもよい。
また、サービング基地局または周辺基地局がRLFレポートを受信した場合には、たとえば、RLFレポートからターゲット基地局のIDを取得し、サービング基地局からターゲット基地局へのハンドオーバ動作が良好に行なわれるように、周辺基地局の干渉を低減する処理を行なう。
図27は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける、ABSを使用した干渉低減処理の具体例を示すシーケンス図である。図27は、1つのフレームが10のサブフレームで構成される場合を示している。
図27を参照して、周辺基地局であるフェムト基地局161および162は、サブフレームSF2,SF5,SF9をABSとして設定する。
サービング基地局であるフェムト基地局163、およびターゲット基地局であるマクロ基地局151は、サブフレームSF2,SF5,SF9を使用するように、無線端末装置202に対して指示する。
なお、無線基地局装置101は、周波数に関するリソースを制御することにより、無線端末装置202における干渉を低減し、干渉によるカバレッジホールの発生を抑制する構成であってもよい。
すなわち、送信制御部13は、周波数軸方向のリソースを調整する。より詳細には、送信制御部13は、リソースとして、無線信号の送信に使用する周波数を調整する。
具体的には、無線基地局装置101は、OFDMA方式に従った無線端末装置202への無線信号の送信において、無線信号の送信に関するリソースを時間軸方向および周波数軸方向に分割する。そして、無線端末装置202ごとに分割したリソースを割り当てる。
無線基地局装置101は、たとえば個々の無線端末装置202に割り当てられる180kHzの帯域幅のリソースブロック単位で、情報がほとんど含まれていないブランクリソースブロック(Blank Resource Block)の量を調整するICIC(Inter-Cell Interference Coordination)を行なう。
ABSと同様に、周辺基地局は、自己が設定したブランクリソースブロックをサービング基地局およびターゲット基地局に通知し、サービング基地局およびターゲット基地局が、当該ブランクリソースブロックを使用して無線端末装置202と通信することにより、無線端末装置202における周辺基地局の干渉を低減することができる。
また、無線基地局装置101は、リソースブロックを束ねた帯域幅数十MHzの単位で、情報がほとんど含まれていないブランクキャリアの数を調整するCA based ICIC(Carrier Aggregation based ICIC)を行なってもよい。
また、無線基地局装置101は、送信電波のビームに関するリソースを制御することにより、無線端末装置202における干渉を低減し、干渉によるカバレッジホールの発生を抑制する構成であってもよい。
すなわち、送信制御部13は、判別部12によって通信接続の切断の原因が無線信号間の干渉であると判断された場合には、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101が備える、無線基地局装置101から無線端末装置202へ無線信号を送信するためのアンテナ91の指向性を調整する。
具体的には、周辺基地局は、干渉によるカバレッジホールを検出した無線基地局装置101からの指示に従って、自己のアンテナ91の指向性を制御することにより、サービング基地局およびターゲット基地局への送信電波のビームの強度を小さくする。これにより、サービング基地局およびターゲット基地局と通信する無線端末装置202における周辺基地局の干渉を低減することができる。
また、無線基地局装置101は、無線端末装置202への無線信号の送信電力を調整することにより、無線端末装置202における干渉を低減し、干渉によるカバレッジホールの発生を抑制する構成であってもよい。
すなわち、無線基地局装置101において、送信制御部13は、判別部12によって通信接続の切断の原因が無線信号間の干渉であると判断された場合には、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信電力を調整する。
なお、無線基地局装置101は、無線端末装置202への無線信号の送信動作を調整する方法として、上記各方法の一部または全部を組み合わせてもよい。
また、無線基地局装置101は、周辺基地局からの干渉を低減する処理に限らず、サービング基地局およびターゲット基地局の送信電力を上げる等、無線端末装置202において、サービング基地局およびターゲット基地局からの無線信号の受信品質を向上させる処理を行なう構成であってもよい。
ところで、不適切なハンドオーバ動作を抑制する方法としては、ハンドオーバ動作の実行判断基準等を調整する方法が考えられる。その一方で、カバレッジホール等、無線端末装置における電波環境に起因するハンドオーバ動作の失敗等を抑制するためには、無線基地局装置の送信電力等を調整し、当該電波環境を改善させることが必要となる。
これに対して、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定情報取得部11は、無線端末装置202および無線基地局装置101間の通信接続が切断されてから、無線端末装置202が新たに無線基地局装置101との通信接続を確立するまでの間において、無線端末装置202が測定を行なった結果を示す測定情報を取得する。そして、判別部12は、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるか否かを判別する。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの間における無線端末装置202の測定結果を用いる構成により、無線端末装置202および無線基地局装置101間の通信接続の切断の原因として、複数の無線基地局装置101からの電波同士の干渉が大きく、いずれの無線基地局装置101からの電波についても十分な受信品質が得られないカバレッジホールへ無線端末装置202が移動したことを判別することができる。すなわち、無線端末装置202における電波環境に起因する通信接続の切断を判別することにより、適切な対策を実行し、良好な通信システムを構築することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線端末装置および無線基地局装置間の通信接続の切断の原因を判別することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定情報取得部11は、通信接続の切断から通信接続の確立までの時間TRを測定情報として取得する。そして、判別部12は、時間TRが所定値以上の場合には、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの時間を用いる構成により、無線端末装置202における電波干渉に起因する通信接続の切断を適切に判別することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定情報取得部11は、通信接続の切断から通信接続の確立までの間において無線端末装置202が無線基地局装置101と通信接続を確立するための動作を行なった回数、を測定情報として取得する。そして、判別部12は、上記回数が所定値以上の場合には、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの間における、新たな通信接続の確立動作の回数を用いる構成により、無線端末装置202における電波干渉に起因する通信接続の切断を適切に判別することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定情報取得部11は、無線端末装置202が各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力を測定した結果を示す受信電力情報を、通信接続の切断から通信接続の確立までの間における複数回分、測定情報として取得する。そして、判別部12は、複数回分の受信電力情報において、受信電力、または受信電力に基づく受信品質について所定条件を満たす無線基地局装置101が異なる場合には、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの間における、無線端末装置202の電波環境の変化を検知する構成により、無線端末装置202における電波干渉に起因する通信接続の切断を適切に判別することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定情報取得部11は、さらに、通信接続の切断の際に無線端末装置202が各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力を測定した結果、を示す受信電力情報を測定情報として取得する。そして、判別部12は、さらに、通信接続の切断の際の受信電力情報において、無線端末装置202が通信相手として選択する無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上であるか、または無線基地局装置101以外の無線基地局装置101からの無線信号の受信電力が所定値以上である場合には、通信接続の切断の原因は無線信号間の干渉であると判断する。
このように、通信接続の切断の際における無線端末装置202の電波環境を判別基準としてさらに用いる構成により、無線端末装置202における電波干渉に起因する通信接続の切断をより正確に判別することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、判別部12は、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるか、または無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングであるかを判別する。
このように、無線端末装置202における電波干渉に起因する通信接続の切断に加えて、ハンドオーバ動作のタイミングに起因する通信接続の切断を判別する構成により、適切な対策を実行し、通信の安定化をさらに図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、判別部12は、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、無線端末装置202における各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力の低さであるか、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングであるか、または通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるかを判別する。
このように、無線端末装置202における電波干渉に起因する通信接続の切断、およびハンドオーバ動作のタイミングに起因する通信接続の切断に加えて、無線端末装置202における受信電波の強度不足に起因する通信接続の切断を判別する構成により、適切な対策を実行し、通信の安定化をさらに図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、送信制御部13は、通信接続の切断の原因が無線信号間の干渉であると判断された場合には、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信動作を調整する。
このように、無線基地局装置101の無線信号の送信動作を調整する構成により、無線端末装置202における電波干渉の低減を図り、電波環境に起因する通信接続の切断を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、送信制御部13は、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信電力を調整する。
このように、無線基地局装置101の無線信号の送信電力を調整する構成により、無線端末装置202における電波干渉を効果的に低減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、送信制御部13は、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信に関するリソースを調整する。
このように、無線基地局装置101の無線信号の送信に関するリソースを調整する構成により、無線端末装置202における電波干渉を効果的に低減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、送信制御部13は、リソースとして、無線信号に含める情報、無線信号の周波数および無線信号の電力のうち、少なくともいずれか1つが制限される期間を調整する。
このような構成により、無線基地局装置101の無線信号の送信に関するリソースのうち、調整対象として適切なリソースを選択し、無線端末装置202における電波干渉を低減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、送信制御部13の調整対象のリソースは、無線信号の送信に使用する周波数である。
このような構成により、無線基地局装置101の無線信号の送信に関するリソースのうち、調整対象として適切なリソースを選択し、無線端末装置202における電波干渉を低減することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、送信制御部13は、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101が備える、無線基地局装置101から無線端末装置202へ無線信号を送信するためのアンテナ91の指向性を調整する。
このように、無線基地局装置101からの送信電波のビームの強度を調整する構成により、無線端末装置202における電波干渉の低減を図り、電波環境に起因する通信接続の切断を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、測定部21は、自己および無線基地局装置101間の通信接続が切断されてから、新たに無線基地局装置101との通信接続を確立するまでの間において測定を行なう。そして、判別部22は、測定部21の測定結果に基づいて、通信接続の切断の原因が、通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるか否かを判別する。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの間における自己の測定結果を用いる構成により、自己および無線基地局装置101間の通信接続の切断の原因として、複数の無線基地局装置101からの電波同士の干渉が大きく、いずれの無線基地局装置101からの電波についても十分な受信品質が得られないカバレッジホールへ自己が移動したことを判別することができる。すなわち、自己における電波環境に起因する通信接続の切断を判別することにより、適切な対策を実行し、良好な通信システムを構築することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、無線端末装置および無線基地局装置間の通信接続の切断の原因を判別することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、上記測定結果を無線端末装置202から無線基地局装置101へ送信する必要がなくなるため、無線端末装置202および無線基地局装置101における処理および通信トラフィックの低減を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、測定部21は、自己および無線基地局装置101間の通信接続が切断されてから、新たに無線基地局装置101との通信接続を確立するまでの間において測定を行なう。測定部21は、通信接続の切断から通信接続の確立までの時間TRを測定するか、通信接続の切断から通信接続の確立までの間において無線基地局装置101と通信接続を確立するための動作を行なった回数を測定するか、または通信接続の切断から通信接続の確立までの間において各無線基地局装置101からの無線信号の受信電力を複数回測定する。そして、送信信号処理部87は、測定部21の測定結果を示す測定情報を無線基地局装置101へ送信する。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの間において測定を行なう構成により、無線端末装置202および無線基地局装置101間の通信接続の切断の原因として、複数の無線基地局装置101からの電波同士の干渉が大きく、いずれの無線基地局装置101からの電波についても十分な受信品質が得られないカバレッジホールへ無線端末装置202が移動したことを判別するための適切な情報を取得することができる。すなわち、無線基地局装置101において、無線端末装置202における電波環境に起因する通信接続の切断を判別するための適切な情報を取得することができるため、適切な対策を実行し、良好な通信システムを構築することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る無線端末装置では、無線端末装置および無線基地局装置間の通信接続の切断の原因を判別することにより、通信の安定化を図ることができる。
なお、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、判別部12が、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信接続の切断の原因が、通信システムにおける複数の無線基地局装置101が送信する無線信号間の干渉であるか否かを判別する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
送信制御部13が、判別部12による判別を経ることなく、測定情報取得部11によって取得された測定情報に基づいて、通信システムにおける複数の無線基地局装置101のうち、少なくともいずれか1つの無線基地局装置101から無線端末装置202への無線信号の送信動作を調整する構成であってもよい。
このように、通信接続の切断から新たな通信接続が確立するまでの間における無線端末装置202の測定結果を用いる構成により、複数の無線基地局装置101からの電波同士の干渉が大きく、いずれの無線基地局装置101からの電波についても十分な受信品質が得られないカバレッジホールの発生を抑制することができる。すなわち、無線基地局装置101の無線信号の送信動作を調整する構成により、無線端末装置202における電波干渉の低減を図り、電波環境に起因する通信接続の切断を抑制することができる。
したがって、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線端末装置および無線基地局装置間の通信接続の切断を抑制することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態では、無線端末装置のハンドオーバ動作について具体的な説明を行なったが、無線基地局装置と通信中の無線端末装置が行なう基地局間移動(セル間移動)動作であるハンドオーバに限らず、アイドル状態の無線端末装置が行なう基地局間移動(セル間移動)動作についても、本発明は適用される。すなわち、本発明の実施の形態において、「ハンドオーバ」を「移動」に置き換えた構成および動作についても、本発明は適用される。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、RLF発生時における各種情報をRLFレポートによって無線端末装置202から取得する構成である。この「RLF発生時」は、ある特定のタイミングに限らず、無線端末装置202がRLF発生を認識したタイミング、ならびに当該タイミングの直前および直後のいずれのタイミングであってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。