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JP2013118178A - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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雄也 宅和
Shuichi Inoue
修一 井上
Hidemasa Nonaka
英正 野中
Tei Saito
禎 齋藤
Masakazu Yoda
将和 依田
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Abstract

【課題】Cr飛散抑制効果の高く、かつ層間剥離の生じにくいSOFCを提供すること。
【解決手段】Crを含有する合金と空気極とを接合してなり、合金がSi含有率0.1%以下のステンレス鋼を基材としてなり、基材表面にスピネル型酸化物の保護膜を形成してある。
【選択図】図1

Description

本発明は、Crを含有する合金と空気極とを接合してなる固体酸化物形燃料電池(SOFC)に関する。
本発明が対象としている固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、酸素イオンを伝導する固体電解質の両側に燃料ガスおよび空気中の酸素をそれぞれ酸化、還元する機能を有する電極を取り付けたものである。電解質の材料としては一般的にはイットリアをドープしたジルコニアが用いられており、700℃から1000℃の高温で、燃料ガス中の水素、一酸化炭素、炭化水素と酸化材ガス中の酸素を電気化学反応させて発電が行われる。SOFCは、他の燃料電池システムやガスエンジン等に比べて、特に高発電効率での発電が可能なことから、有望な発電技術として開発が行われている。
近年の開発の進展に伴い、SOFCの作動温度が下がってきている。
従来の作動温度は1000℃程度であり、耐熱性の観点からランタンクロマイト(LaCrO3)に代表される金属酸化物が使用されていたが、最近は作動温度が700℃〜800℃まで下がっており、合金が使用できるようになってきた。合金使用により、コストダウン、ロバスト性の向上が期待できる。
かかるSOFCは、電解質膜の一方面側に空気極を接合するとともに、同電解質膜の他方面側に燃料極を接合してなる単セルを、空気極または燃料極に対して電子の授受を行う一対の電子電導性の合金により挟み込んだ構造を有する。
そして、このようなSOFCでは、例えば700〜1000℃程度の作動温度で作動し、空気極側から燃料極側への電解質膜を介した酸化物イオンの移動に伴って、一対の電極の間に起電力が発生し、その起電力を外部に取り出し利用することができる。SOFCは、他の燃料電池システムやガスエンジン等に比べて、特に高発電効率での発電が可能なことから、有望な発電技術として開発が行われている。
このようなSOFCで利用される前記合金としては、接合される金属酸化物の熱膨張率との整合性から、フェライト系ステンレス鋼が用いられることが多いが、耐熱性により優れたオーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金や、ニッケル基合金であるNi−Cr合金などが用いられることもある。また、このような合金の耐熱性は、この合金の表面に形成されるクロミア(Cr23)の緻密な被膜(酸化物皮膜)に由来する。
これらの合金等は、ほぼ例外なくCrを含んでおり、作動環境である高温大気雰囲気で表面にCr23やMnCr24の酸化物被膜を形成する。この酸化物被膜は経時的に膜厚が増大するとともに、作動環境である高温大気雰囲気で6価クロムの化合物として蒸発し、空気極を被毒させて劣化を引き起こすことが知られている(Cr被毒と呼ばれる)。
すなわち、Crを含有する合金と空気極とを接合してなるSOFCでは、作動時等において合金等が高温にさらされることで、その合金等に含まれるCrが空気極側に飛散して、空気極のCr被毒が発生するという問題がある。
このような空気極のCr被毒は、空気極における酸化物イオンの生成のための酸素の還元反応を阻害し、空気極の電気抵抗を増加させ、さらには合金等のCr濃度を減少させることにより合金等自体の耐熱性の低下などの問題を引き起こし、結果、SOFCの性能低下を招く場合がある。
そこで、合金の表面(酸化物被膜表面)に耐熱性に優れた金属酸化物材料からなる保護膜を設けて劣化を抑制する試みがなされている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、SOFCは、その製造工程において、合金等と空気極および燃料極との間の接触抵抗をできるだけ小さくするなどの目的で、それらを積層した状態で、作動温度よりも高い1000℃〜1250℃程度の焼成温度で焼成する熱処理を行う場合がある(例えば、特許文献2を参照。)。SOFCの製造時において、合金等と空気極とを接合した状態で熱処理を行う場合には、作動温度よりも高い温度条件にさらされることにより、Cr(VI)の酸化物が生成され、蒸発して空気極と反応して、Cr化合物が生成され、空気極のCr被毒が発生する場合がある。
また、この焼成処理において、製造時における初期のCr被毒の発生を抑制した場合でも、後の作動時において、空気極に供給される空気が存在する酸化雰囲気で高温にさらされることにより、Cr(VI)への酸化が進行して、経時的なCr被毒が発生する場合がある。
また、前記合金として、前記クロミアの酸化被膜の剥離耐久性を高めるべく前記合金中に含まれるSi含有率を1%以下とすることが好ましいと考えられている(例えば、特許文献3を参照。)。
国際公開WO2009/131180号パンフレット 特開2004−259643号公報 特開2006−057153号公報
上記特許文献3において、合金中のSi含有率が高い場合に前記クロミアの酸化被膜の剥離耐久性が低下する原因としては、前記Siが前記合金の前記クロミア被膜内側にSiO2被膜として析出し、そのSiO2被膜の膜厚が厚くなるにつれ層間剥離の原因になるというメカニズムが考えられている。しかしこのようなSiO2被膜の形成は、単純に合金そのものの物性として、酸化条件下におかれた場合に、クロミア被膜の生成と関連して考えうる現象であるため、前記基材がどのような環境におかれるのかによっても大きく異なると考えられる。まして、基材上に種々の保護膜を生成する場合に、その保護膜の耐剥離性がどのような影響を受けるのかは明らかになっていない。
そこで、本発明の目的は、合金基材に保護膜を形成したSOFCにおいて、前記保護膜を耐剥離性高く形成する技術を提供することにある。
本発明者らは、上記目的のため鋭意研究の結果、前記合金にスピネル型酸化物の保護膜を形成する場合に、前記合金のSi含有率が、従来クロミアの耐剥離性の上限と考えられていた1%よりも大きく下回る場合であっても、十分な耐剥離性を発揮しえないことを見出すとともに、スピネル型酸化物からなる保護膜の耐剥離性を高くすることのできる基材の組成を明らかにした。本発明は、上記新知見に基づくものである。
〔構成1〕
上記目的を達成するための本発明のSOFCの特徴構成は、Crを含有する合金と空気極とを接合してなる固体酸化物形燃料電池であって、
前記合金がSi含有率0.1%以下のステンレス鋼を基材としてなり、前記基材表面にスピネル型酸化物の保護膜を形成してある点にある。
なお、本願では、金属の含有率を質量%で表示している。
〔作用効果1〕
前記ステンレス鋼の基材に含まれるSiは、SiO2層となって基材とクロミアの酸化被膜との密着性を向上する特性を有する一方、SiO2層自体は靱性が低く、膜厚が大きくなるにつれ、前記基材と酸化皮膜との間での剥離の原因となる傾向が現れる。前記クロミアの酸化物皮膜は、前記保護膜と強固に密着する傾向があるから、前記保護膜と、前記基材との熱膨張率の違いにより、前記SiO2層に、熱応力が集中する。その結果、前記保護膜の存在によって、前記基材の酸化物被膜の剥離は、起き易くなる。
本発明者らによる知見によると、前記保護膜として、スピネル型酸化物からなる保護膜を選択した場合、前記合金のSi含有率がきわめて低い0.1%以下とした場合に、前記保護膜は耐剥離性が高く形成されることが分かり、前記SOFCに前記保護膜によるCr飛散抑制効果を確実に付与することができ、SOFCとして高い耐久性を実現できるようになった。
なお、前記合金のSi含有率は、0.0%(不純物として含有しない形態)であってもかまわないが、現実的には基材と酸化物皮膜との密着性を向上させるために、わずかに含有していることが好ましい。
〔構成2〕
また、前記合金が、Crを16%以上30%以下含有するとともに、Mnを0.3%以上1%以下含有してもよい。
〔作用効果2〕
前記基材のCr含有量が多いと、基材から拡散するCr量も増加することから、Cr含有量は30%以下とすることが好ましく、合金自体に高い耐腐食性、および、保護膜に対する高い密着性を付与するために16%以上とすることが好ましい。なお、さらに好ましいCr含有量範囲としては、16%以上25%以下、さらに一層好ましい範囲としては、18%以上22%以下が挙げられる。
また、前記基材にMnを含有するSUS鋼を用い、保護膜としてスピネル型酸化物を主材とするものを用いる組み合わせにより、基材に対する密着性の高い被覆層(以下緻密層と称する)を形成させることができるが、前記保護膜が存在しない場合には基材の酸化物層(クロミア)表面に基材中のマンガンが拡散して、最表面にCrを含むCr23やMnCr24スピネルを形成するためCrが外部に飛散し易いのに対して、前記保護膜が存在する場合には、構成元素のMnが前記保護膜中に拡散しCrを含まない緻密層を形成することで、安定して保護膜を形成させるとともにCrの拡散を抑えることができる。前記基材の合金をMn含有率0.3%以上とすることによって、Mnを確実に拡散させ緻密層を形成させることでCrの飛散を防止することができるが、Mn含有率の高い基材は、耐酸化力が低いと考えられている点から、1%以下とすることが好ましい。
その結果、このような割合でCrおよびMnを含有する基材によると、Crに比べてMnが優先的に拡散する。すると、保護膜としてスピネル型酸化物を形成する材料を採用した場合に、CrではなくMnが保護膜内に拡散することでCrを含まない緻密層を形成するため、より一層Crの拡散を抑制する効果を生起するものと考えられる。
〔構成3〜5〕
なお、前記保護膜が、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる2種以上の金属を含むスピネル型酸化物を主材とすることが好ましい。
具体的には、前記保護膜が、NiCo24、(ZnxCo1-x)Co24(0.45≦x≦1.00)、TiCo24、ZnFe24、FeCo24、CoFe24、MgCo2
4、Co34およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1種のスピネル型酸化物を主材とするものであることが好ましく、
さらに具体的には、前記保護膜が、ZnCo24からなるスピネル型酸化物を主材とするものであることが好ましい。
なお、本願で「材料Xを主材とする」という場合、構成材料としての材料Xが主たる原料の一つとしていることをいい、必要に応じて添加剤を添加していてもよく、その材料のもつ特性が現れていれば、配合割合に特に制限はなく、材料X単独では、必ずしも、混合物中で最も多い材料である必要はなく、好ましくは50%以上が材料Xから構成されることが好ましいが、それ以下であってもよい。
〔作用効果3〜5〕
燃料電池用セル間接続部材にあっては、基材側からのCrの飛散による空気極のCr被毒を防止することが求められている。また、基材に含まれるCrの減少(Cr枯れ)に起因する合金等の酸化劣化の進行を防止する必要もある。
このような場合に用いられる保護膜として、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる2種以上の金属を含むスピネル型酸化物が知られており、NiCo24、(ZnxCo1-x)Co24(0.45≦x≦1.00)、TiCo24、ZnFe24、FeCo24、CoFe24、MgCo24、Co34およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1種のスピネル型酸化物が有利に用いられ、基材、空気極等との熱膨張率の不一致が小さい点で有利である。
つまり、本構成のSOFCによれば、最も好適にはZnCo24からなるスピネル型酸化物を含む保護膜が採用されるため、基材と空気極等との熱膨張率の不一致が非常に小さく、熱膨張率のミスマッチにより発生するセル間接続部材用の基材と保護膜、保護膜とセルとの接合部分の剥離、クラックの形成を抑制でき、それに伴う電気抵抗の増大等を抑制できる。
特に、ZnCo24からなるスピネル型酸化物は、熱膨張率10.0x10-6/℃、(30〜800℃)であり、フェライト系ステンレス鋼が11.7x10-6/℃、(30〜800℃)であるのに対して、本構成のスピネル系酸化物を含む保護膜は、合金や空気極が熱膨張しても合金等から容易に剥がれ落ちにくく、耐久性に優れた保護膜であるといえる。しかし、熱膨張率に差があることに変わりなく、層間に応力が発生しにくい態様が望まれる。
なお、本願で「2種以上の金属を含む」とは、ABO4型のスピネル構造を構成する金属材料としてのA,Bとして含有されていることを言い、他の付加的成分としてスピネル構造を構成しない形で含まれるものは除いて考えるものとする。
〔構成6〕
前記保護膜が厚さ1μm以上50μm以下であることが好ましい。
〔作用効果6〕
前記保護膜の厚みは、薄すぎるとCr飛散抑制効果が期待されないので1μm以上であることが好ましく、厚すぎると熱応力に伴いクラックを生じたり、耐剥離強度が低下したりし易いので、50μm以下とすることが好ましい。
したがって、Cr飛散抑制効果の高く、かつ層間剥離の生じにくいSOFCを提供することができ、長期使用に際して耐久性の高いSOFCを提供することができた。
SOFC用セルの詳細断面構成を示す図 インターコネクタに形成した保護膜を示す図 試験片(a)〜(d)の表面に形成したスピネル型酸化物からなる保護膜のSEM写真 試験片(a)〜(d)の熱処理後の保護膜のSEM写真 試験片(e)の熱処理後の保護膜のSEM写真
以下に、本発明のSOFCを説明する。なお、以下に好適な実施の形態を記すが、これら実施の形態はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
<固体酸化物形燃料電池>
本発明にかかるSOFC用インターコネクタおよびその製造方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すSOFC用セルCは、酸化物イオン電導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸化物イオンおよび電子電導性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同電解質膜30の他方面側に電子電導性の多孔体からなる燃料極32を接合してなる単セル3を備える。
さらに、SOFC用セルCは、この単セル3を、空気極31または燃料極32に対して電子の授受を行うとともに空気および水素を供給するための溝2が形成された合金からなるインターコネクタ1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。そして、空気極31側の上記溝2が、空気極31とインターコネクタ1とが密着配置されることで、空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能し、一方、燃料極32側の上記溝2が、燃料極32とインターコネクタ1とが密着配置されることで、燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。
なお、上記SOFC用セルCを構成する各要素で利用される一般的な材料について説明を加えると、例えば、上記空気極31の材料としては、LaMO3(例えばM=Mn,Fe,Co)中のLaの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(La,AE)MO3のペロブスカイト型酸化物を利用することができ、上記燃料極32の材料としては、Niとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とのサーメットを利用することができ、さらに、電解質膜30の材料としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を利用することができる。
さらに、これまで説明してきたSOFC用セルCでは、インターコネクタ1の材料としては、フェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合金や、オーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金や、ニッケル基合金であるNi−Cr合金などのように、Crを16%以上30%以下、好ましくは16%以上25%以下、さらに好ましくは18%以上22%以下含有する合金が利用されている。なかでも、本発明において好適にはステンレス鋼ZMG232L(後述のSUS−D材)が利用されている。
そして、複数のSOFC用セルCが積層配置された状態で、複数のボルトおよびナットにより積層方向に押圧力を与えて挟持され、セルスタックとなる。
このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたインターコネクタ1は、燃料流路2bまたは空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたインターコネクタ1は、一方の面に燃料流路2bが形成され他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用することができる。なお、かかる積層構造のセルスタックでは、上記インターコネクタ1をセパレータと呼ぶ場合がある。
このようなセルスタックの構造を有するSOFCを一般的に平板型SOFCと呼ぶ。本実施形態では、一例として平板型SOFCについて説明するが、本願発明は、その他の構造のSOFCについても適用可能である。
そして、このようなSOFC用セルCを備えたSOFCの作動時には、図1(b)に示すように、空気極31に対して隣接するインターコネクタ1に形成された空気流路2aを介して空気を供給するとともに、燃料極32に対して隣接するインターコネクタ1に形成された燃料流路2bを介して水素を供給し、例えば800℃程度の作動温度で作動する。すると、空気極31においてO2が電子e-と反応してO2-が生成され、そのO2-が電解質膜30を通って燃料極32に移動し、燃料極32において供給されたH2がそのO2-と反応してH2Oとe-とが生成されることで、一対のインターコネクタ1の間に起電力Eが発生し、その起電力Eを外部に取り出し利用することができる。
<インターコネクタ>
前記インターコネクタ1は、図1、図3に示すように、インターコネクタ用基材11aの表面に保護膜12を設けて構成してある。そして、前記各セル3の間に空気流路2a、燃料流路2bを形成しつつ接続可能にする溝板状に形成してある。
前記保護膜12は、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる2種以上の金属を含むスピネル型酸化物を主材とするものが好適に採用され、下記実施の形態では、CoxMn3-x4(0≦x≦3、具体的にはx=1.5)からなるスピネル型酸化物が好適に使用できる。
ここで用いられるスピネル系酸化物は、Mnと反応して、多孔質の被膜から緻密な被膜に変換されるものと考えられる。このようにして形成される緻密な保護膜12は、多孔質の被膜に比べ、Crの蒸散を遮断する機能が高いため、よりCrの蒸散防止効果が高いものと考えられる。
前記保護膜12は、導電性セラミックス材料を含有する塗膜形成用材料を、前記インターコネクタ1にディップコートすることにより保護膜12を厚膜として形成してある。
次に、上記インターコネクタ1に本発明の保護膜12を形成してあるSOFCの実施の形態および比較例について、以下に詳細に説明する。
(実施の形態)
下記のステンレス鋼材からなるインターコネクタ1の基材11a表面にスピネル型酸化物被膜として、ZnCo24よりなる保護膜12を設けた試験片を作成し、前記試験片を950℃で、145時間加熱する熱処理を行った。前記保護膜12は、各試験片とも膜厚が約6μmになる条件でスラリーコートし、前記保護膜12の表面に、接着層15を接着して熱処理の試験を行った。各試験片について、前記保護膜12の剥離耐久性をSEMにより調べた。なお、図3〜5中でSOFC用の各インターコネクタ1の試験片に対応する記号(a)〜(e)は、下記インターコネクタ1を構成するステンレス鋼材料(a)〜(e)に対応したものからなる。
(a)SUS−A材 Cr:18%、Mn:1.0%、C:0.01%、Si:0.29%
(b)SUS−B材 Cr:22%、Mn:0.2%、C:0.01%、Si:0.25%
(c)SUS−C材 Cr:21%、Mn:0.2%、C:0.01%、Si:0.1%(d)SUS−D材 Cr:22%、Mn:0.4%、C:0.02%、Si:0.08%
(e)SUS-E材 Cr:22%、Mn:0.1%、C:0.01%、Si:0.16%
(Si含有量(a)>(b)>(e)>(c)>(d))
図3に、上記試験片(a)〜(d)の熱処理前の保護膜12の状態を示す。図より、いずれの試験片についても、インターコネクタ1の表面に保護膜12を設けると、前記基材11aの表面には基材11aの酸化物被膜(クロミア)11bが生じるとともに、前記酸化物被膜11bは、基材11aに密に接着している事が分かる。
また試験片(a)〜(e)を熱処理すると、図4、5のようになり、基材のSiO2含有率が0.16%以上のインターコネクタ1(a)、(b)、(e)では、前記酸化物被膜11bと基材11aとの間に剥離部分が生じているのに対して0.1%以下のインターコネクタ1(c)、(d)では、剥離は生じず、強固な保護膜12が形成されていることがわかる。
したがって、Cr飛散抑制効果の高く、かつ層間剥離の生じにくいSOFCを提供することができ、長期使用に際して耐久性の高いSOFCを提供することができた。
1 :インターコネクタ
11a :基材
11b :酸化物被膜
12 :保護膜
12a :緻密層
12b :多孔層
15 :接着層
2 :溝
2a :空気流路
2b :燃料流路
3 :単セル
30 :電解質膜
31 :空気極
32 :燃料極
C :SOFC用セル

Claims (6)

  1. Crを含有する合金と空気極とを接合してなる固体酸化物形燃料電池であって、
    前記合金がSi含有率0.1%以下のステンレス鋼を基材としてなり、前記基材表面にスピネル型酸化物の保護膜を形成してある固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記合金が、Crを16%以上30%以下含有するとともに、Mnを0.3%以上1%以下含有する請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記保護膜が、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる2種以上の金属を含むスピネル型酸化物を主材とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記保護膜が、NiCo24、(ZnxCo1-x)Co24(0.45≦x≦1.00)、TiCo24、ZnFe24、FeCo24、CoFe24、MgCo24、Co34およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも一種のスピネル型酸化物を主材とするものである請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記保護膜が、ZnCo24からなるスピネル型酸化物を主材とする請求項3記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 前記保護膜が厚さ1μm以上50μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
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