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JP2013181190A - 生体用Co基合金およびステント - Google Patents

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JP2013181190A JP2012044546A JP2012044546A JP2013181190A JP 2013181190 A JP2013181190 A JP 2013181190A JP 2012044546 A JP2012044546 A JP 2012044546A JP 2012044546 A JP2012044546 A JP 2012044546A JP 2013181190 A JP2013181190 A JP 2013181190A
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Abstract

【課題】本発明は、Niフリーであり、高強度、かつ、高弾性率であり、塑性加工性の良好な生体用Co基合金を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、Co−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金であって、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%、Fe:1〜15質量%、残部Coおよび不可避不純物の組成を有することを特徴とする。本発明において、Wの含有量が5〜10質量%の場合、Fe含有量を1〜5質量%の範囲とすることができる。本発明において、Wの含有量が11〜20質量%の場合、Feの含有量を3〜15質量%の範囲とすることができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、生体用Co基合金とそれを用いたステントに関し、より詳しくは、生体内に埋め込まれる器具及び生体に接する器具等の医療器具の用途に供して好適な生体用Co基合金とその合金を用いたステントに関する。
生体内に埋め込まれる医療器具や生体表面に直接接して使用される医療器具に用いられる合金には、高い耐食性および生体適合性が要求される。また、生体内の血管の狭窄部分を拡張させて血流を確保するためのステント用合金においては、高強度および高弾性率が求められ、更にX線の視認性が高いこと、すなわち密度が高いこと、血液適合性が高いことなどが要求される。
このような要求を満足する生体用Co基合金として、従来、Co−20Cr−15W−10Niを主成分とする合金(ASTM規格F90:以下ASTM F90合金と略称する)や、質量%でCo:30〜60%、Ni:4〜20%、Cr:13〜25%、C:0.3%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下の組成を有する合金(特許文献1参照)等が知られている。また、ステントとして、20%以上のTiにZr、Ta、Moの少なくとも1種を添加した合金からなるチューブ状の本体を備え、前記合金の降伏強度と磁化率と質量吸収係数を規定したステント(特許文献2参照)が知られている。
特開2002−130808号公報 特表2007−517536号公報
ASTM F90合金は、上述の特性について他の金属系生体材料の中でも特に優れており、今後においても大動脈ステントは勿論のこと、冠動脈ステント、胆管用ステントなどの極細血管用ステント材料として有望視されている。
しかし、ASTM F90合金や特許文献1に記載の合金には多量のNiが含まれ、Niアレルギーを惹起する原因となっており、Niを含有させずとも上述した諸特性に優れさせたステント用材料が求められている。このNiは、塑性加工性を確保するために含有させるものであり、ステントに加工するために必要なチューブ加工などの高い塑性加工特性を与えるために必要な添加元素であると認識されている。
このため、前記組成系の合金にNiフリー化を行うと、塑性加工性等の加工特性が著しく低下するという問題があった。
また、ステントを体内へ導入する際、X線透視下においてステントの位置を確認する必要があるため、高いX線視認性を有する材料が望まれている。しかし、ステントは血管内に導入されるものであり、血管内挿用などのチューブ状ステントは非常に薄く形成されるため、従来の合金組成では、X線視認性が未だ十分とは言えず、更に高いX線視認性が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、Niフリーであり、高強度、かつ、高弾性率であり、塑性加工性の良好な生体用Co基合金を提供することを目的とする。さらに、本発明は、X線視認性に優れた生体用Co基合金を提供することを目的とする。また、本発明は、該合金を用いたステントを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
本発明は、Co−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金であって、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%、Fe:1〜15質量%、残部Coおよび不可避不純物の組成を有することを特徴とする。
本発明は、先に記載のCo−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、C:0.01〜0.15質量%を更に含むことを特徴とする。
本発明は、先に記載のCo−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、Wの含有量が5〜10質量%の場合、Fe含有量が1〜5質量%であることを特徴とする。
本発明は、先に記載のCo−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、Wの含有量が11〜20質量%の場合、Feの含有量が3〜15質量%であることを特徴とする。
本発明のステントは、先のいずれか一項に記載の生体用Co基合金からなることを特徴とする。
本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W系合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有するFeを添加することにより、該合金のγ相を安定化させて、加工段階においてひずみ誘起マルテンサイトε相の発生を防ぎ、塑性加工性を向上させることができる。また、本発明の生体用Co基合金は、Niを含有しないため、生体へのNiアレルギーを惹起するおそれは無い。
さらに、本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W系合金に、Feを添加してなる組成とすることにより、Co基合金の塑性加工性を向上させるだけでなく、弾性率、引張強度を向上させることができる。また、本発明の生体用Co基合金は、X線視認性に寄与するWを含有していることにより、X線視認性を高めることが可能であり、ステント用合金として好適である。
本発明のステントは、本発明の生体用Co基合金を用いてなることにより、Niアレルギーを惹起せず、かつ、弾性率、引張り強度が良好である。また、Wを含むことによりX線視認性が良好なステントとすることができる。
図1(a)はCo−xNi合金について、図1(b)は実用Co基合金とFe−Cr−Ni系合金について、それぞれ熱力学モデルを用いて計算した積層欠陥エネルギー(SFE)の温度依存性をプロットしたグラフである。 図2(a)(b)は、Co−xFe二元合金(x=0〜50モル%)について熱力学モデルを用いて計算したギブスの自由エネルギーの変化を示すグラフである。 Co−10W−xFe合金とCo−15W−xFe合金について、それぞれ熱力学モデルを用いて計算した積層欠陥エネルギーの温度依存性をプロットしたグラフである。 Co−20Cr−xW合金の計算状態図である。 図5(a)はCo−xCr−10W合金の計算状態図であり、図5(b)はCo−xCr−15W合金の計算状態図である。 Co−20Cr−15W−xFe合金(x=0〜30質量%)の計算状態図である。 Co−20Cr−10W−xFe合金(x=0〜30質量%)の計算状態図である。 TCP相の析出判定の理論と結果を一覧にまとめて説明する図である。 本発明に係るステントの一例を示す概略斜視図である。 Co−10W−xFe合金(x=0〜20質量%)およびCo−15W−xFe合金について、ヤング率の測定結果をプロットしたグラフである。 実施例および比較例の合金の引張試験結果を示すグラフである。 Co−10W−xFe合金(x=0〜20質量%)のX線回折図形である。 Co−15W−xFe合金(x=0〜20質量%)のX線回折図形である。 Co−10W−xFe合金(x=0〜20質量%)とCo−15W−xFe合金の限界冷間加工率を示すグラフである。 Co−10W−xFe合金とCo−15W−xFe合金の0.2%耐力と引張強さ(UTS)と破断伸びを示すグラフである。 Co−10W−20Cr−xFe合金とCo−15W−20Cr−xFe合金とその他の合金の限界冷間加工率を比較して示すグラフである。 Co−20Cr−10W−xFe合金(x=0、1、3、5、10、15、20質量%)について1250℃12時間均質化熱処理後の金属組織を示す図である。 Co−20Cr−15W−xFe合金(x=0、1、3、5、10、15、20質量%)の1250℃12時間均質化熱処理後の金属組織を示す図である。 Co−20Cr−15W−5Fe−xC合金(x=0〜0.2質量%)の計算状態図である。 Co−20Cr−15W−10Fe−xC合金(x=0〜0.2質量%)の計算状態図である。 Co−20Cr−15W−15Fe−xC合金(x=0〜0.2質量%)の計算状態図である。 Co−20Cr−10W−5Fe−xC合金(x=0〜0.2質量%)の計算状態図である。 Co−20Cr−10W−10Fe−xC合金(x=0〜0.2質量%)の計算状態図である。 Co−20Cr−10W−15Fe−xC合金(x=0〜0.2質量%)の計算状態図である。
本発明者は、Niフリーで、高強度(高引張り強さ)、高弾性率、高延性であり、塑性加工性の良好な生体用Co基合金を開発すべく、鋭意検討を行った結果、Co−Cr−W系合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素としてFeを添加することにより上記課題を解決できることを見出した。
以下に、本発明に至った材料科学的考察について説明する。
まず、本発明者は、生体用合金として良好な特性を満足する材料として知られているASTM F90合金のNiフリー化を目指し、該合金中におけるNi添加効果について検証を行った。
この系のCo基合金においてNiは、塑性加工性を向上させるために添加される材料である。すなわち、Ni添加により、Co基合金のfcc(面心立方格子)構造のγ相が安定化し、加工の段階において、ひずみ誘起マルテンサイト相であるhcp構造のε相が発生しないので、冷間加工性に富むためであると考えられる。これに対し、ASTM F90合金をNiフリー化すると、冷間加工性が著しく低下する理由は、Niが添加されないため、γ相の安定性が低下し、ε相が加工の初期から形成されるため、γ相とε相との界面に応力集中が発生して、これを起点とする破壊が生じるためであると考えられる。
そこで、塑性加工性に優れるfcc構造であるγ相を安定化させ、加工の段階でhcp構造であるひずみ誘起マルテンサイトε相が発生しないような合金組成とすることが重要であると考え、γ相からε相に相変態する合金系の積層欠陥エネルギー(SFE:Stacking Fault Energy)に着目してさらに検討を行った。
fcc(面心立方格子)構造からhcp(最密六方格子)構造に相変態する合金系のSFEを熱力学的に計算する方法はOlsonとCohenにより提案されている(Metall.Trans.7A(1976) 1897-1904)。彼らによれば、積層欠陥を薄いhcp結晶と見なすことでSFEを体積エネルギー項と表面エネルギー項の和として次の式(1)のように表される。
ここで、ΔGγ→ε、Estrainおよびσはそれぞれγ→ε変態に伴うGibbsエネルギー変化、γ相中にε相が生じた場合に発生する弾性ひずみエネルギーおよびγ/ε境界の界面エネルギーであり、ρは{111}γ面の1molあたりの原子密度であり次の式(2)により算出できる。
ここで、a:fcc相の格子定数、N:Avogadro数である。式(1)を用いたオーステナイト鋼の研究ではγ→ε変態における体積変化が小さいためEstrainを無視することができ、Co合金の場合も同様に弾性ひずみエネルギー項は無視できる。また、2σの値は温度依存性がほとんどなく、fcc合金では15mJ/m程度である。コバルトのΔGγ→εにおける磁気エネルギーの変化分を無視して考え、体積エネルギー項として化学的なGibbsエネルギー変化のみを考慮すると、汎用熱力学計算ソフトウェアであるThermo-Calc (Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いて、SFEの温度依存性、組成依存性を計算することができる。図1(a)は、Thermo-Calcを用いて、CoにNiを添加した合金の積層欠陥エネルギー(SFE)の温度変化を計算したグラフである。なお、SFE算出に用いた物性値は表1の通りである。式(1)における界面エネルギーの温度依存性は小さく、遷移金属ではその値は変わらないことから、ここでは表面エネルギー項を2σγ/ε=15mJm−2として計算を行った。
図1(a)に示すように、CoへのNiの添加量を増加させていくにつれて、SFEが上昇している。CoにNiを添加することにより延性(塑性加工性)が向上することが知られているが、これは、NiにはCo基合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果がある元素であるためであることが確認できた。
さらに、図1(a)の計算方法と同様にして、各種実用Co基合金についてSFEの温度変化を算出した結果が図1(b)である。図1(b)において、Co−29Cr−6Mo合金はASTM F75に規格される人工関節に使用されている合金であり、Co−30Ni−20Cr−10Mo合金はASTM F562に規格される生体用丸棒材料などの鋳造合金であり、Co−20Cr−15W−10Ni合金はASTM F90に規格される生体用チューブ材料として応用される鋳造合金である。また、図1(b)には、JIS規定SUS304オーステナイト系ステンレス鋼(Fe−30Ni−20Cr)および800H高ニッケル鋼(Fe−30Ni−20Cr)のThermo-Calc計算結果も併記した。
図1(b)に示すように、Co基合金はFe基合金に比べてSFEが低い。中でも、Co−29Cr−6Mo合金のSFEは1050℃〜1200℃においても30〜50mJm−2程度と著しく低い。850℃以下ではSFEの計算値が負となるが、この温度域以下ではε相が安定でΔGγ→εの値が大きく負となり、このような温度域では高温γ相は準安定的に存在すると思われる。NiフリーCo−Cr−Mo系合金であるCo−29Cr−6Moは、室温ではε相以外に20%程度の高温相のγ相が残留しており、塑性加工性が低い材料であることが知られている。該合金組成に微量の窒素を添加することによりほぼ100%のγ相が室温で準安定的に残留するが、塑性加工によりγ相からひずみ誘起マルテンサイトε相への相変態を起こし、冷間での圧延加工性を阻害することが知られている。従って、SFEが小さなCo基合金は、塑性加工性が低いことを確認できた。
一方、Co−20Cr−30Ni−10Mo合金、ASTM F90合金、SUS304鋼、および800H高ニッケル鋼の各合金ではfcc構造のγ相やオーステナイト相の安定度が図1(b)に示す温度範囲においてCo−29Cr−6Mo合金と比較して常に高いため、それらのSFEの値は大きくなっている。
これらのCo基合金の中で、大きなSFEを有するASTM F90合金は、オーステナイトステンレス鋼など、Co合金以外の低SFE合金として分類される実用合金と同程度のSFEを有している。ASTM F90合金は、室温までγ相が安定に存在し、加工誘起マルテンサイトε相変態がほとんど起きないため、室温における塑性加工性に優れる合金であることが知られている。従って、SFEの大きなCo基合金は、塑性加工性に優れることを確認できた。
さらに、中程度の大きさのSFEを有するCo−20Cr−30Ni−10Mo合金に代表されるCo−Ni−Cr−Mo系合金は、高弾性、高強度を示すことが知られているが、ASTM F90合金よりは塑性加工性が劣り、Ni添加量が多くなると加工誘起マルテンサイト変態が抑制され冷間圧延などの塑性加工が可能となることが知られている。
以上の結果より、Co基合金において、SFEが高いものほど塑性加工性が向上するため、該Co基合金にSFEを向上させる効果がある元素を添加することが合金の塑性加工性を向上されるために有効であることがわかった。
なお、いずれの合金でもSFEは温度に対して線形的に増加する傾向を示し、SUS304鋼の計算結果を室温にまで外挿して得られる値(約30mJm−2)は従来報告されているものに近い。また、CoおよびCo−Ni系合金のSFEの温度依存性は過去にTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法によってEricssonにより報告されており(Acta Metall 14(1966)853-865)、その値はここで求めたCo−Ni系合金のものとほぼ一致しており、同じデーターベースを用いて構築された他の合金系でのSFEとその温度依存性は信頼し得るものと判断できる。
本発明の生体用Co基合金において、Co−Cr−W系合金に添加する合金元素としては、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素が好ましく、中でも、Feを添加することが好ましい。Feを添加することにより、生体用Co基合金のSFEを高め、塑性加工性および強度、弾性率等を向上させることができる。この合金元素の特定手法について、以下に説明する。
前記式(1)より、合金のSFEの概算値は、γ→ε変態に伴うGibbsエネルギー変化ΔGγ→ε、すなわち、γ相の自由エネルギーとε相の自由エネルギーとの差を見積もることによりその大小を知ることができ、ΔGγ→εが大きいほどSFEが大きくなることを示している。従って、Coに各種元素を添加した場合ΔGγ→εを算出し、その値を検討することにより、Co基合金のSFEを上昇させる効果のある元素を特定することが可能であると考えられる。
図2(a)は、Thermo-Calc (Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いて、CoにNi、Cr、MoおよびFeを添加した時のγ→ε変態に伴うGibbsエネルギー変化ΔGγ→εの組成依存性を計算した結果である。図2(a)に示すように、CoにNiを添加するとΔGγ→εが上昇しており、Ni添加によりSFEが上昇することがわかる。これに対し、CoにCrを添加するとΔGγ→εは減少しており、Cr添加によるSFE上昇効果は無いことがわかる。また、CoにMoを添加すると、添加量30mol%まではΔGγ→εが低下するが、それ以上添加するとΔGγ→εが上昇している。しかし、実用性を考慮すると、生体用Co基合金にはMoは10mol%程度添加する場合が多く、10mol%程度の添加ではΔGγ→εは低下しているため、Mo添加ではSFEが低下すると考えられる。さらに、CoにFeを添加すると、添加量50mol%程度まではΔGγ→εが上昇しており、その上昇度合いはNiよりも大きくなっている。この結果より、CoへのFe添加により、Ni添加よりもさらにSFEを上昇させることができることがわかる。従って、CoにFeを添加することにより、ΔGγ→εを上昇させて、すなわち、SFEを上昇させて、該合金の塑性加工性を向上させることができる。
図2(b)は、Thermo-Calcを用いて、CoにW、NbおよびTaを添加した時のγ→ε変態に伴うGibbsエネルギー変化ΔGγ→εの組成依存性を計算した結果である。図2(b)に示すように、CoにWを添加すると添加量50mol%まではΔGγ→εが大きく上昇しており、CoにWを添加するとSFEを上昇させることができることがわかる。また、同様に、CoにNbを添加した場合及びCoにTaを添加した場合は、添加量50mol%程度までは、ΔGγ→εが上昇しており、CoにNbまたはTaを添加することにより、SFEを上昇させることができることがわかる。CoにNbまたはTaを添加した場合のΔGγ→εの上昇効果は、CoにWを添加した場合と比較すると小さい。しかしながら、図1(a)に示すようにCo基のSFEを上昇させる効果があるNiにおいても、そのΔGγ→εの上昇度合いは、図2(a)に示すように、Co−Ni基合金を殆どNiに置き換えた状態(Ni100mol%添加)でもわずか1.5kJ/mol−1程度であるのに対し、NbはCoに数%添加することによりNi100mol%添加と同程度のΔGγ→ε上昇効果が可能であり、TaにおいてもNiの添加量に比べて格段に少ない添加量で、ΔGγ→εを上昇させる効果があることがわかる。従って、CoにNiまたはTaを添加することにより、ΔGγ→εを上昇させて、すなわち、SFEを上昇させて、該合金の塑性加工性を向上させることができる。また、同様にCoにFeを添加することにより、ΔGγ→εを上昇させて、Co基合金のSFEを上昇させることができると考えられる。
図3はCo−10W合金あるいはCo−15W合金にFeを添加した場合について先に図1を基に計算した場合と同様にSFEの状態を計算した結果である。図2の説明の際に予測したようにCo−W系の合金にFeを添加することで、SFEが向上することが分かる。
以上の結果より、本発明の生体用Co基合金において、Co−Cr−W系合金に添加する合金元素としては、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素が好ましく、Niフリー、高強度、高弾性であり、塑性加工性の良好な生体用Co基合金とすることができるため、Feを添加する。Co−Cr−W系合金にFeを添加することにより、後述する実施例に示すように、Co−Cr−W系合金の引張り強さ、ヤング率を向上させることができ、Niフリー、高強度、高弾性であり、塑性加工性の良好な生体用Co基合金とすることが可能となる。また、前記合金にはWが含有され、WはCo、CrおよびNiに比べて重い元素であるため合金全体の密度が高くなり、ステント用合金として非常に薄い厚さに加工された場合でも、高いX線視認性を発揮することができる。従って、本発明の生体用Co基合金は、ステント用合金として好適である。
本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金であって、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%、Fe:1〜15質量%、残部Coおよび不可避不純物の組成を有することを特徴とする。
また、本発明の生体用Co基合金において、Co−Cr−W−Fe−C系の生体用Co基合金であって、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%、Fe:1〜15質量%、C:0.01〜0.15質量%、残部Coおよび不可避不純物の組成を有することを特徴とする合金であっても良い。前記Cを含有する場合、その範囲は0.05〜0.10質量%の範囲であることがより好ましい
前記Co−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、Wの含有量が5〜10質量%の場合、Fe含有量が1〜5質量%であることが好ましい。
前記Co−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、Wの含有量が11〜20質量%の場合、Feの含有量が3〜15質量%であることが好ましい。
図4は、Co−20Cr−xW合金のThermo-Calc(Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いた計算状態図である。図4に示すように、Wの含有量が20質量%未満の場合に、fcc構造のγ相が安定化されている。前述のように、WにはCo基合金のSFEを上昇させて塑性加工性を高める効果があることも考慮すると、Wの含有量は5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。Wの添加量が20質量%を超えると、μ相(Co)やσ相(CoCr)などが発生し、機械的特性が低下してしまう可能性がある。また、Wを添加することにより、合金中の密度、固溶強化を高めることができ、さらに、X線視認性も高めることができる。
図5(a)はCo−xCr−10W合金のThermo-Calc計算状態図であり、図5(b)はCo−xCr−15W合金のThermo-Calc計算状態図である。図5(a)および図5(b)に示すように、fcc構造のγ相が安定化され、加工段階における相変態が抑制されるため、Crの含有量は5〜30質量%が好ましく、該合金の耐食性を高める観点から16〜25質量%がより好ましい。Crの添加量が30質量%を超えると、μ相(Co)やσ相(CoCr)などが発生し、機械的特性が低下してしまう可能性がある。
図6はCo−20Cr−15W−xFe合金のThermo-Calc計算状態図であり、図7はCo−20Cr−10W−xFe合金のThermo-Calc計算状態図である。図6および図7に示すように、fcc構造のγ相が安定化され、加工段階における相変態が抑制されるため、Co−20Cr−15W−xFe合金の場合、Fe:20質量%以下を選択でき、Fe:15質量%以下とすることが望ましい。また、Co−20Cr−10W−xFe合金の場合、Fe:30質量%以下の範囲を選択でき、Fe:20質量%以下とすることが好ましい。
次に、この系の合金について、PHACOMP(Phase Computation)によるTCP相の析出判定の結果を図8に示す計算式と計算結果に基づいて説明する。
PHACOMPとは、電子論を応用した相計算によるTCP相(σ、μ、R、x、Leaves)の析出判定技術(FCC合金において)を指し、下記の式(3)と式(4)で示すことができる。Co基合金においては、Nv≧2.7でTCPが析出し易いと言われている。Nvとは、 Average electron-hole number (平均電子正孔数)を示す。
図8に示すTCP相の析出判定結果が示すように、Co−20Cr−15W−10Fe合金のNvは2.74、Co−20Cr−10W−20Fe合金のNvは2.7であるため、析出物の発生がし易いと考えられるが、その他の組成比の合金はいずれもNv値が2.7未満であった。
以上の結果に鑑み、後述する実施例においては、実施例の合金組成と比較例の合金組成を選択した。
本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W系合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギー(SFE)を上昇させる効果を有する合金元素としてFeを添加することにより、該合金のγ相を安定化させて、加工段階においてひずみ誘起マルテンサイトε相の発生を防ぎ、塑性加工性を向上させることができる。また、本発明の生体用Co基合金は、Niを含有しないため、生体へのNiアレルギーを惹起する虞は無い。
さらに、本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W系合金に、Feを添加してなる組成とすることにより、Co基合金の塑性加工性を向上させるだけでなく、弾性率、引張り強度を向上させることができる。また、Wを含むので本発明組成合金のX線視認性を高めることが可能であり、ステント用合金として好適である。
また、本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W−Fe−Cなる組成の合金であっても良い。
この系の合金の場合、Cr、W、Feの組成については前述のCo−Cr−W−Fe系の合金と同等の範囲であり、更にCを0.01〜0.15質量%の範囲含有できる。Cの含有量について、0.05〜0.10質量%であることがより好ましい。
Co−Cr−W−Fe系の合金において、μ相やσ相などの固くて脆いTCP相が析出すると、熱間鍛造時にこれら脆い析出物の存在により割れを生じることが懸念される。Cr、W、Feの組成について前述の範囲に規定した上に、Cを上述の範囲含有させることでTCP相の析出を抑制することができ、熱間鍛造時の割れを抑制できる。従って塑性加工性を向上できる。
次に、本発明のステントについて説明する。
本発明のステントは、生体内の血管、胆管等の狭窄部に挿入し、管腔を拡張して管腔径を保持する為に使用されるものであり、上述の本発明の生体用Co基合金を用いてなることを特徴とする。図9は、本発明に係るステントの一例を示す概略斜視図である。図9に示すステント1は、フレーム1aにより径の拡縮変形可能に構成された円筒状の構造を有する。ステント1は、この円筒状構造を形成する側面に、略菱形の切欠部1bを複数有するメッシュ状の構造を有し、応力を加えることにより、その径を拡縮変形することが可能である。図9に示すステント1は、バルーン拡張型ステントであり、円筒状のステント1内部にバルーンカテーテルを固定した状態で、ステント1を目的部位に挿入後にバルーンの拡張により塑性変形させて、目的部位の内面に密着させて固定することができる。
このような構造のステント1の製造方法は、例えば、長さ、径、壁厚などが所望の寸法であるパイプを、本発明の生体用Co基合金より形成した後に、このパイプの側面を切削加工等により部分的に削除して複数の切欠部1bを形成することにより製造することができる。
図9においては、径の拡縮変形が可能なステント1のフレーム1aの形状として、メッシュ状のものを例示しているが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、コイル状、多重螺旋状など、従来公知のステントの形状とすることができる。
本発明のステントは、上述した本発明の生体用Co基合金を用いてなることにより、Niアレルギーを惹起せず、かつ、弾性率、引張り強度が良好である。また、Feを添加した本発明の生体用Co基合金は、Niの代替え元素としてFeを選択することで加工性(延性)を向上できる効果がある。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各元素を以下の表2に示す成分組成で含む実施例1〜12および比較例1、2と従来例の合金を以下の要領で作製した。
高周波真空誘導溶解炉にて、各元素を表2に示す成分組成で配合、溶解して合金溶湯とした。この合金溶湯を800PaのAr雰囲気下で、金属製鋳型に鋳込み、炉冷した。鋳塊サイズは、上部直径80mm、下部直径70mm、高さ120mm、質量6kgの円柱状とした。次に、凝固偏析を除去する目的で、Tokyo Vacuum社製の高温高真空炉を用いて、Ar雰囲気下で1220℃、10時間の均質化処理を鋳塊に施した後、室温まで炉冷することにより各合金を作製した。なお、均質化処理時の昇温速度は10℃/分、冷却速度は10℃/分とした。
図10に各実施例合金と比較例合金と従来例合金の弾性率(ヤング率)の測定結果を示す。Co−Cr−W系合金にFeを添加することで、弾性率が向上することが分かる。Co−20Cr−15W合金にFeを添加すると、特に3〜15質量%の範囲で弾性率が向上した。また、Co−20Cr−10W合金にFeを添加すると、特に1〜5質量%の範囲で弾性率が向上した。これらの範囲では、従来例として対比したASTM F90合金を超える優れた弾性率を得ることができた。なお、ASTM F90合金はNiを含むのでNiアレルギーを惹起するおそれがあるが、実施例合金と比較例合金はいずれもNiを含まないので、Niアレルギーの面では問題を生じない。
図11に各実施例合金と比較例合金と従来例合金に対し室温で恒温鍛造を施し、12時間、均一加熱処理を行った後、各合金の引張試験を行った結果を示す。
図11に示す結果から、Co−20Cr−15W合金にFeを添加すると、引張強さと延性が急激に高くなることが分かる。これに対しCo−20Cr−10W合金にFeを添加すると、添加前との比較において引張強さ、延性ともに向上していないことが分かる。この理由は、後に示す金属組織の写真に見られるようにこの系の合金に非等温マルテンサイト組織が頻繁に観察されるので、これが延性に影響していると思われる。
図12はCo−20Cr−10W合金にFeを添加した場合の各組成合金試料における均一化熱処理後のX線回折図形を示し、図13はCo−20Cr−15W合金にFeを添加した場合の各組成合金試料における均一化熱処理後のX線回折図形を示す。これらを対比すると、これらの合金にはhcp構造のε相のピークとfcc構造のγ相のピークとが混在する二相組織となっている。Co−20Cr−15W合金においては、Feを添加することでγ相のピークとfcc構造のγ相のピークが混在する二相組織となっていることが分かる。Co−20Cr−15W合金においてはFeを添加することでγ相比率が69%から97%に向上し(回折ピークから換算)、γ相を安定化できたことが分かる。これに対しCo−20Cr−10W合金にFeを添加してもγ相の安定化が顕著ではない。このことから、Co−Cr−W系の合金に対しFeを添加することによりγ相を安定化できるという効果よりもWの添加量を増やした方がγ相の安定化には寄与が大きいことを意味する。
従って、Co−Cr−W−Fe系合金においては、Feの添加によるγ相の安定化効果とWの添加によるγ相の安定化効果を見極め、各々の添加量を好適な範囲とすることが好ましい。
図14はCo−20Cr−10W合金とCo−20Cr−15W合金にFeを添加した場合の各組成合金試料における限界冷間加工率を示す。図14に示す数値が大きいほど欠陥無く冷間加工できたことを示す。限界冷間加工率においては、Feを添加していない試料に対し、Feを添加した試料の方がいずれの添加量であっても優れた加工率を示した。また、L605合金と同等の延性を有していることも分かる。
図14に示す結果から、冷間加工性について言及すると、Co−Cr−W系合金にFeを1〜20質量%の範囲添加することで加工性を向上できることが分かる。
図15はCo−20Cr−10W合金とCo−20Cr−15W合金にFeを添加した場合の各組成合金試料における0.2%耐力、引張強さ(UTS)と破断伸びの測定結果をまとめて示す。これらの結果を対比すると、Co−20Cr−10W合金においてはFeを1〜5質量%の範囲で添加することで引張強さの向上効果が大きく、Co−20Cr−15W合金においてはFeを3〜15質量%の範囲で添加することで引張強さの向上効果が大きいことが分かる。
図16はCo−20Cr−10W合金とCo−20Cr−15W合金にFeを添加した合金試料に加え、これらの合金にNbあるいはTaを添加した合金のSFEの関係を示す。Co−20Cr−10W合金とCo−20Cr−15W合金にNbまたはTaを添加した合金は先に本発明者らが提案している優れた合金であるが、Feを添加することによってNbやTaを添加した系で得られるSFEの値とは若干異なる範囲のSFEを示しつつ優れた冷間加工性を得ることができることが分かる。
図17と図18は1250℃で恒温鍛造後12時間の均一化処理を行った各種合金の光学顕微鏡組織を示す。図17はCo−20Cr−10W合金、Co−20Cr−10W−1Fe合金、Co−20Cr−10W−3Fe合金、Co−20Cr−10W−5Fe合金、Co−20Cr−10W−10Fe合金、Co−20Cr−10W−15Fe合金、Co−20Cr−10W−20Fe合金の金属組織をそれぞれ示す。図18はCo−20Cr−15W合金、Co−20Cr−15W−1Fe合金、Co−20Cr−15W−3Fe合金、Co−20Cr−15W−5Fe合金、Co−20Cr−15W−10Fe合金、Co−20Cr−15W−15Fe合金、Co−20Cr−15W−20Fe合金の金属組織をそれぞれ示す。
図17と図18を対比すると、図17に示すCo−20Cr−10W−xFe合金の金属組織に非等温マルテンサイト組織が頻繁に観察された。このことから、Co−20Cr−10W−xFe合金はCo−20Cr−15W−xFe合金に比べてWの添加効果が薄いので、γ相の安定化効果が薄くなり、図11を基に先に説明したように、延性の向上効果が少なかったと思われる。しかし、この系の金属組織の組織制御を熱間および温間加工を行い、結晶粒微細化を施せば、この延性向上の問題は解決可能であると思われる。
図19は、Co−20Cr−15W−5Fe−xC合金のThermo-Calc(Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いた計算状態図である。図19に示すように、Cの含有量を0.01〜0.15質量%の範囲添加した場合に、μ相として示したTCP相をM23C6炭化物に一部置換して少なくでき、fcc(面心立方格子)構造のγ相を安定化できるので、熱間鍛造割れを少なくできるなど、塑性加工性を向上できることが分かる。Cの含有量は、前記範囲内であっても、0.05〜0.10%の範囲がより好ましいことが分かる。
図20は、Co−20Cr−15W−10Fe−xC合金の同様な計算状態図、図21は、Co−20Cr−15W−15Fe−xC合金の同様な計算状態図である。図20、21に示す結果では図19と同様にμ相であるTCP相を少なくでき、γ相を安定化できるので、Cの含有量は、0.01〜0.15質量%の範囲が好ましく、0.05〜0.10質量%の範囲がより好ましい。
これらの図に示す状態図から、Cの含有量を前述の範囲とすることでTCP相を少なくできるので、熱間鍛造割れを少なくできるなど、塑性加工性を向上できることが分かる。
図22は、Co−20Cr−10W−5Fe−xC合金のThermo-Calc(Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いた計算状態図である。図22に示すように、Cの含有量を0.01〜0.15質量%の範囲添加した場合に、μ相として示したTCP相をM23C6炭化物に一部置換して少なくでき、fcc(面心立方格子)構造のγ相を安定化できるので、熱間鍛造割れを少なくできるなど、塑性加工性を向上できることが分かる。Cの含有量は、前記範囲内であっても、0.05〜0.10%の範囲がより好ましい。
図23は、Co−20Cr−10W−10Fe−xC合金の同様な計算状態図、図24は、Co−20Cr−10W−15Fe−xC合金の同様な計算状態図である。図23、24に示す結果では図22と同様に符号μで示すTCP相を少なくでき、γ相を安定化できるので、Cの含有量は、0.01〜0.15質量%の範囲が好ましく、0.05〜0.10%の範囲がより好ましい。
これらの図に示す状態図から、Cの含有量を前述の範囲とすることでTCP相を少なくできるので、熱間鍛造割れを少なくできるなど、塑性加工性を向上できることが分かる。
1…ステント、1a…フレーム、1b…切欠部。
特開2007−162121号公報 特表2007−517536号公報

Claims (5)

  1. Co−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金であって、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%、Fe:1〜15質量%、残部Coおよび不可避不純物の組成を有することを特徴とする生体用Co基合金。
  2. C:0.01〜0.15質量%を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の生体用Co基合金。
  3. 請求項1または2に記載のCo−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、Wの含有量が5〜10質量%の場合、Fe含有量が1〜5質量%であることを特徴とする生体用Co基合金。
  4. 請求項1または2に記載のCo−Cr−W−Fe系の生体用Co基合金において、Wの含有量が11〜20質量%の場合、Feの含有量が3〜15質量%であることを特徴とする生体用Co基合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体用Co基合金からなることを特徴とするステント。
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