JP2013180421A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスバリア性保護層を含むフィルムを、保護層どうしを2枚重ね合わせた積層体であり、接着剤を使わず強固に接着しており、異物や残留溶剤等が滲出することもなく、ガスバリア性に優れた積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム11、21、前記熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層12、22、および薄膜層上に設けたガスバリア性保護層13、23を含んでなるバリア性フィルム10。20を、前記ガスバリア性保護層どうしを2枚重ね合わせた積層体1であって、保護層が、フッ素系樹脂を塗布して得られる被膜からなり、対向する保護層の界面の少なくとも一部で、保護層中の原子と、他方の保護層中の原子との間に結合が形成されており、両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層どうしが接着剤を介さずに接着されている。
【選択図】図1
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム11、21、前記熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層12、22、および薄膜層上に設けたガスバリア性保護層13、23を含んでなるバリア性フィルム10。20を、前記ガスバリア性保護層どうしを2枚重ね合わせた積層体1であって、保護層が、フッ素系樹脂を塗布して得られる被膜からなり、対向する保護層の界面の少なくとも一部で、保護層中の原子と、他方の保護層中の原子との間に結合が形成されており、両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層どうしが接着剤を介さずに接着されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、積層体に関し、さらに詳細には、熱可塑性樹脂フィルム上に、薄膜層およびガスバリア性保護層を設けたバリア性フィルムを、ガスバリア性保護層どうしが対向するように2枚重ね合わせた積層体およびその製造方法に関する。
フィルム等を袋状に加工した包装体が使用されている。このような包装体は、充填される内容物に応じて所望される機能を発現させるために、使用するフィルムとして種々の材料を積層した多機能フィルム等が使用されている。例えば、内容物の紫外線等による劣化を抑止するために、紫外線吸収機能を有するフィルムを用いたり、また、内容物が酸素により変質してしまうのを防ぐために、ガス非透過性のフィルムや酸素吸収機能を有するフィルム等が用いられている。
特に、包装分野では、内容物の保存や包装形態の維持、品質保証等において、飲食品や医薬品、電子部材等のパッケージ材料としてガスバリア性フィルムが使用されている。また、ディスプレイ分野では、酸素や水蒸気の感受性の高い表示素子の劣化を抑えるために、酸素および水蒸気の透過を防ぐガスバリア性積層体が用いられている。これらのガスバリア性積層体は、通常、その表面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐことを目的として、基材層やガスバリア性付与層等が積層された構成を有し、接着剤を用いずに蒸着や共押出し成形のみによって積層したフィルムや(特開2003−340956号公報および特開2007−130857号公報)、接着剤を用いてラミネートにより積層したフィルム(特開2005−161691号公報)が提案されている。
電子部材の包装材料や表示素子の封止用部材として使用されるガスバリア性フィルムには、極めて高いガスバリア性が要求されるため、上記したガスバリア性フィルムを2枚以上重ね合わせた積層体を使用することが行われている。
しかしながら、上記のようなガスバリア性フィルムどうしをラミネート樹脂を介して接着して積層したものは、包装体とした場合に、ラミネート樹脂成分が徐々に包装体内に溶出または揮発し、内容物を変質させる場合があり、特に、安全性やクリーン性が重視される医療用分野においては、ラミネート樹脂による内容物の汚染が問題となることがあった。また、ガスバリア性フィルムを重ね合わせた積層体は、その表面からの酸素及び水蒸気の透過を好適に防ぐことができるものの、積層体の端面、即ち、フィルムどうしを接着している接着剤層からの酸素及び水蒸気の透過を防ぐことはできない。
ところで、放射線や電子線を用いて材料の表面改質を行うことが従来から行われている。例えば、特開2003−119293号公報(特許文献3)には、フッ素系樹脂に放射線を照射することにより架橋複合フッ素系樹脂が得られることが提案されている。また、Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.19, No. 1 (2006), pp123-127(非特許文献1)には、ポリテトラフルオロエチレンフィルムとポリイミドフィルムとを積層させて高温下で電子線(以下、EBと略す場合もある)を照射することにより、互いを接着することが提案されている。また、Material Transactions Vol.50, No.7 (2009), pp1859-1863(非特許文献2)には、ポリカーボネート樹脂の表面をナイロンフィルムで覆い、その上から電子線(以下、EBと略す場合もある)を照射することにより、ポリカーボネート樹脂表面にナイロンフィルムを接着する技術が提案されている。さらに、日本金属学会誌第72巻第7号(2008)、pp526−531(非特許文献3)には、シリコーンゴム上に置いたナイロンフィルムの上からEBを照射することにより、互いを接着できることが記載されている。
Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.19, No. 1 (2006), pp123-127
Material Transactions Vol.50, No. 7(2009), pp1859-1863
日本金属学会誌第72巻第7号(2008)、pp526−531
本発明者らは、今般、熱可塑性樹脂フィルム上に、薄膜層およびガスバリア性保護層を設けたバリア性フィルムを、ガスバリア性保護層どうしが対応するように2枚重ね合わせて積層する場合に、バリア性フィルムに電子線を照射することにより、ラミネート樹脂等を用いなくとも、互いを強固に接着できることを見いだした。そして、ガスバリア性保護層を含むバリア性フィルムを重ね合わせた積層体のように、従来、接着剤により互いを接着していた積層体であっても、電子線照射によれば、接着剤を使用しなくても、一方のバリア性フィルム側の原子と他方のバリア性フィルム側の原子との間に結合が形成されて、互いが強固に接着できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、ガスバリア性保護層を含むバリア性フィルムを、ガスバリア性保護層どうしが対向するように2枚重ね合わせた積層体であって、接着剤を使用することなくバリア性フィルムどうしが強固に接着しており、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、ガスバリア性に優れた積層体を提供することにある。
本発明による積層体は、熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを、前記ガスバリア性保護層どうしが対向するように2枚重ね合わせた積層体であって、
前記ガスバリア性保護層が、フッ素系樹脂を含む溶液を塗布して得られる被膜からなり、
前記対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間に結合が形成されており、両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層どうしが接着剤を介さずに接着されていることを特徴とするものである。
前記ガスバリア性保護層が、フッ素系樹脂を含む溶液を塗布して得られる被膜からなり、
前記対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間に結合が形成されており、両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層どうしが接着剤を介さずに接着されていることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、前記対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間で、酸素原子、窒素原子および水酸基からなる群より選択される少なくとも1種以上を介して結合が形成されていることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記フッ素系樹脂が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と、前記架橋性基と反応する硬化剤とを含むフッ素系樹脂からなることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
また、本発明の別の態様としての製造方法は、熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを、前記ガスバリア性保護層どうしが対向するように2枚重ね合わせた積層体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを2枚準備し、
前記一方のまたは両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面に電子線を照射し、
前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面と前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面を重ね合わせて、バリアフィルムどうしを接着する、ことを含んでなることを特徴とするものである。
熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを2枚準備し、
前記一方のまたは両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面に電子線を照射し、
前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面と前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面を重ね合わせて、バリアフィルムどうしを接着する、ことを含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、前記バリア性フィルムどうしを重ね合わせる前および/または重ね合わせた後に電子線照射を行うことが好ましい。
また、本発明の別の態様として、前記接着を加圧して行うことが好ましく、また、前記接着を加熱して行うことが好ましい。
本発明によれば、前記対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間に結合が形成されているため、接着剤を介して接着していなくても、2枚のバリア性フィルムのガスバリア性保護層どうしが強固に接着した積層体が得られる。その結果、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、ガスバリア性に優れた積層体を実現することができる。
本発明による積層体は、上記のように2枚のバリア性フィルムが接着剤を介することなく積層されたものであるため、極めて高いガスバリア性が要求される封止用部材、特にディスプレイの有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)や電子ペーパー等の表示素子の封止用部材として、好適に使用できるものである。
以下、本発明による積層体を、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体1は、図1に示すように、一対のバリア性フィルム10および20が、接着剤を介さずに積層された構造を有するものである。バリア性フィルム10(20)は、熱可塑性樹脂フィルム11(21)、熱可塑性樹脂フィルム11(21)の少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層12(22)、および薄膜層12(22)上に設けたガスバリア性保護層13(23)からなり、本発明の積層体は、この一対のバリア性フィルム10および20を、ガスバリア性保護層13(23)どうしが対向するように重ね合わせて積層したものである。
本発明による積層体の接着界面にあたるガスバリア性保護層13(23)は、フッ素系樹脂を含む溶液を塗布して得られる被膜からなる。本発明においては、接着界面の少なくとも一部で、一方のバリア性フィルム10のガスバリア性保護層13中の原子と、他方のバリア性フィルム20のガスバリア性保護層23中の原子との間に結合が形成されることにより、バリア性フィルムどうしが強固に接着されているものである。ガスバリア性保護層としてのフッ素系樹脂は、通常、表面張力が非常に小さく、また、フッ素樹脂やポリオレフィン樹脂の表面には、水酸基等の水素結合に関与するような官能基も存在しないため、
通常、接着剤を使用しなければ両者を接着することはできない。本発明においては、後記するように、両バリア性フィルム10(20)のガスバリア性保護層13(23)のいずれか一方または両方の表面に電子線を照射してラジカルを発生させることにより、図2に示すように、ガスバリア性保護層13中の原子と、ガスバリア性保護層23中の原子の原子との間に結合が形成されたり、あるいは一方のバリア性フィルム10のガスバリア性保護層13中の原子と、他方のバリア性フィルム20のガスバリア性保護層23中の原子との間に、酸素原子、窒素原子、または水酸基を介して結合が形成されることによって、接着剤を介することなく、バリア性フィルム10とバリア性フィルム20とが強固に接着できる。なお、電子線照射によりラジカルの発生は、電子スピン共鳴装置(以下、ESRともいう。)を用いて、電子線照射後のフィルムに存在するフリーラジカル種を同定することにより、その発生を確認することができる。
通常、接着剤を使用しなければ両者を接着することはできない。本発明においては、後記するように、両バリア性フィルム10(20)のガスバリア性保護層13(23)のいずれか一方または両方の表面に電子線を照射してラジカルを発生させることにより、図2に示すように、ガスバリア性保護層13中の原子と、ガスバリア性保護層23中の原子の原子との間に結合が形成されたり、あるいは一方のバリア性フィルム10のガスバリア性保護層13中の原子と、他方のバリア性フィルム20のガスバリア性保護層23中の原子との間に、酸素原子、窒素原子、または水酸基を介して結合が形成されることによって、接着剤を介することなく、バリア性フィルム10とバリア性フィルム20とが強固に接着できる。なお、電子線照射によりラジカルの発生は、電子スピン共鳴装置(以下、ESRともいう。)を用いて、電子線照射後のフィルムに存在するフリーラジカル種を同定することにより、その発生を確認することができる。
また、電子線照射により一対のバリア性フィルム10および20を貼り合わせて接着した積層体は、上記した両バリア性フィルムのガスバリア性保護層の原子間で結合が形成されているため、接着剤を全く使用しなくても、剥離を生じない積層体とすることができる。
以下、本発明による積層体を構成するバリア性フィルムについて、説明する。
バリア性フィルム10(20)は、図1に示すように、熱可塑性樹脂フィルム11(21)、熱可塑性樹脂フィルム11(21)の少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層12(22)、および薄膜層12(22)上に設けたガスバリア性保護層13(23)を含む。バリア性フィルム10(20)は、図示しないが、薄膜層12(22)およびガスバリア性保護層13(23)を、熱可塑性樹脂フィルム11(21)の一方の面のみならずその両方の面に設けたものでもよい。
本発明による積層体に用いられるバリア性フィルム10(20)は、薄膜層12(22)とガスバリア性保護膜13(23)とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成し、薄膜層12(22)とガスバリア性保護層13(23)との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層を支持し得るプラスチックのフィルムであればいずれのものでも使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムを使用することができる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく、透明であるものがより好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムは、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよく、また、その厚さとしては、10〜200μm程度、特に、10〜100μm程度が好ましい。また、必要に応じて、その表面にアンカーコート剤等をコーティングして表面平滑化処理等を施してもよい。
薄膜層は、一般式:AlOx(式中、xは、0.5〜1.5の数を表す。)で表される酸化アルミニウムの薄膜、または、一般式:SiOx(式中、xは、0〜2の数を表す)で表される酸化ケイ素の薄膜を、熱可塑性樹脂フィルムの表面に形成したものである。上記一般式で表される酸化アルミニウムの薄膜として、膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってxの値が増加している酸化アルミニウムの薄膜を使用することもできる。上記において、xの値としては、基本的には、x=0.5以上のものを使用することができるが、x=1.0未満になると、着色し易く、かつ、透明性、電子レンジ適性に劣ることから、x=1.0以上のものを使用することが好ましい。上限としては、アルミニウムと酸素とが完全に酸化した状態のものであるx=1.5までのものを使用することができる。
また、上記一般式で表される酸化ケイ素の薄膜として、xの値は1.3〜1.9が好ましい。また、酸化ケイ素薄膜は、酸化珪素を主体とし、さらに、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記の化合物が酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%である。また、酸化ケイ素薄膜が上記化合物を含有する場合、化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、基材フィルムとの界面では、上記化合物の含有量が少ないために基材フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。
薄膜層の膜厚としては、例えば、10〜3000Å程度、特に、60〜1000Å程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。薄膜層は、結晶質のものでも非結晶質のものでもよい。
本発明においては、バリア性フィルムを構成する熱可塑性樹脂フィルムの全光線透過率を100%としたとき、蒸着後の全光線透過率が90%未満になるように酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を蒸着したものが望ましく、ベースフィルムの全光線透過率を100%としたとき、蒸着後の全光線透過率が85%以上で90%未満になるように酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を蒸着したものは、特に好ましい。蒸着後の全光線透過率が蒸着後の全光線透過率が90%以上の場合には、透明度は十分であるものの、ガスバリア性、特に水蒸気に対するガスバリア性が十分に高くない場合がある。また、蒸着後の全光線透過率が85%未満の場合は、ガスバリア性には優れるものの最終的な透明度が熱可塑性樹脂フィルムの全光線透過率にまで達しない場合がある。
次に、熱可塑性樹脂フィルム上に薄膜層を形成する方法について説明する。薄膜層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。なお、包装用材料に用いられる透明積層体からなるフィルムを製造する場合には、主に、真空蒸着法を用い、一部、プラズマ化学気相成長法も用いられる。
また、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。酸化アルミニウム薄膜が、その膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってxの値が増加している酸化アルミニウムの薄膜を形成する場合は、本出願人による特開平10−226011号公報に開示された方法により製造することができる。蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10−2〜10−8mbar程度、特に、10−3〜10−7mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10−1〜10−6mbar程度、特に10−2〜10−5mbar程度が好ましい。なお、酸素導入量等は、蒸着機の大きさ等によって異なる。導入する酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。基材となる熱可塑性樹脂フィルムの搬送速度としては、10〜800m/分程度、特に50〜600m/分程度が好ましい。また、上記したような、化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少している酸化ケイ素薄膜層は、出願人による特開2008−143097号公報に記載されたような方法により、形成することができる。
また、本発明においては、上記のようにして形成した薄膜層の表面に酸素プラズマ処理を施してもよい。酸素プラズマ処理のために導入する酸素の量は、蒸着機の大きさ等によって異なるが、通常50sccm〜2000sccm程度であり、300sccm〜800sccm程度が特に好ましい。ここで、sccmは標準状態(STP:0℃、1atm)での1分当りの酸素の平均導入量(cc)を意味する。導入する酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。以上、熱可塑性樹脂フィルム上に酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層を形成する方法、および、所望により酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層の表面を酸素プラズマ処理する方法を説明したが、これらは一例であって、本発明がこれらの方法により得られたものに限定されるものではない。
次に、上記のようにして形成された薄膜層上に設けられるガスバリア性保護層について説明する。ガスバリア性保護層は、フッ素系樹脂を含む溶液を上記した薄膜層上に塗布することにより形成される。
フッ素系樹脂は、架橋性を有するフッ素含有共重合体と、その架橋性基と反応する硬化剤とを含む。フッ素含有共重合体は、汎用の有機溶剤に可溶な重合体であって、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)とを単量体成分とするものである。
フルオロオレフィン単量体(A)としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。
フルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)としては、架橋性基として水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、または加水分解性シリル基を有する単量体が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基含有単量体、グリシジルビニルエーテルやグリジジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体、アクリル酸やメタアクリル酸等のカルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体、アミノアルキルビニルエーテルやアミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基含有単量体、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体を挙げることができるが、グラビアコート法により加工がし易く、かつ適度な硬化速度が得られるため、水酸基含有単量体、特に、下記式:
CH2=CHR1
(式中、R1は−OR2または−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)を示す)で表される水酸基含有単量体を用いることが特に好ましい。
CH2=CHR1
(式中、R1は−OR2または−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)を示す)で表される水酸基含有単量体を用いることが特に好ましい。
ガスバリア性保護層を構成するフッ素含有共重合体は、フルオロオレフィン単量体および架橋性基含有単量体に加え、さらに必要に応じて、塗工性や塗膜特性(硬度や可撓性等)を向上させるため、上記2種の単量体と共重合可能な単量体を共重合して含有することができる。このような単量体としては、下記式:
CH2=CR(CH3)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である)で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体(C)、下記式:
CHR3=CHOR3(CH3)
(式中、R3は炭素数1〜8のアルキル基である)で表されるビニルエーテル単量体(D)、下記式:
CH2=CHR3
(式中、R3は−OR4または−CH2OR4(但し、R4はカルボキシル基を有するアルキル基)である)で表されるビニルエーテル単量体(E)、及び、架橋性官能基を有さず、かつ、上記式で表されるフルオロオレフィン単量体(A)〜(E)と共重合し得る他の単量体(F)が挙げられる。
CH2=CR(CH3)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である)で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体(C)、下記式:
CHR3=CHOR3(CH3)
(式中、R3は炭素数1〜8のアルキル基である)で表されるビニルエーテル単量体(D)、下記式:
CH2=CHR3
(式中、R3は−OR4または−CH2OR4(但し、R4はカルボキシル基を有するアルキル基)である)で表されるビニルエーテル単量体(E)、及び、架橋性官能基を有さず、かつ、上記式で表されるフルオロオレフィン単量体(A)〜(E)と共重合し得る他の単量体(F)が挙げられる。
本発明においては、上記フルオロオレフィン単量体(A)〜(F)をすべて含む共重合体は、塗工性が安定化されるために特に好ましい。
フッ素含有共重合体は、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)を必須成分として含み、必要に応じて(C)、(D)、(E)及び(F)の単量体から選択された少なくとも1種の単量体を加えて、乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの周知の方法で共重合することにより得ることができる。なお、本発明において用いられるフッ素含有共重合体には、必要に応じて、当業者に既知の配合剤を添加してもよい。
フッ素含有共重合体中のフルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)との組成比は、モル換算で、(A):(B)が1:1〜10:1であることが好ましく、特に好ましくは、2:1〜5:1である。単量体(A)の比率が低すぎると水蒸気及び酸素に対するバリア性が低下する場合があり、また高すぎると塗工性に劣る場合がある。
フルオロオレフィン単量体(C)〜(F)の合計量は特に限定されず、本発明の効果が損なわれない範囲であればよいが、例えば、フルオロオレフィン単量体全体の合計量に対して、5〜30モル%であると好ましく、10〜25モル%であるとさらに好ましい。フルオロオレフィン単量体(C)〜(F)の間の組成比は、用途に応じて適宜に設定することができる。
上記したフッ素含有共重合体の架橋性基と反応する硬化剤としては、イソシアネート基又はカルボキシル基を有する化合物であり、好適な硬化反応速度が得られるため、イソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート化合物が好ましい。
有機ポリイソシアネート化合物には、たとえば、2,4ートリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、及びこれらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができる。好ましくは、イソホロンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である。フッ素含有共重合体との相溶性が良く、適度な硬化速度を有し、高いラミネート強度を有するからである。また、エポキシ基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基またはイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
また、カルボキシル基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、アミノ基、イソシアネート基またはエポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミド基含有単量体に対する硬化剤には、エポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミノ基含有単量体に対する硬化剤には、カルボキシル基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。また、加水分解性シリル基含有単量体に対する硬化剤には、アミノ基またはイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
なお、上記の水酸基を有する化合物には、例えば、1,4−ビス−2’−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート等を挙げることができる。また、上記のカルボキシル基を有する化合物には、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸や無水フタル酸等の酸無水物を挙げることができる。また、上記のエポキシ基を有する化合物には、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル等を挙げることができる。
ガスバリア性保護層は、上記したフッ素系樹脂に加えて、さらにシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。シランカップリング剤の配合量としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜に設定することができる。
次に、ガスバリア性保護層を上記した薄膜層上に形成する方法を、水酸基を含有するフッ素含有共重合体を例として説明する。水酸基を含有するフッ素含有共重合体および硬化剤を、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1種ないし2種以上を混合した溶媒に溶解する。ここで、硬化剤は、フッ素含有共重合体中の架橋性基、例えば水酸基(−OH基)1当量に対して、硬化剤中の該架橋性基と反応する基、例えばイソシアネート基又はカルボキシル基が0.1〜5.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量となる量で添加される。このフッ素含有共重合体及び硬化剤を溶解した溶液を、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法等の周知の塗布方法を用いて、薄膜層上に塗布・乾燥することにより、ガスバリア性保護層を形成する。
ガスバリア性保護層の厚みは、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲であればよいが、50μm以上では、膜にクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmとすることが好ましい。ガスバリア性保護層の厚みは、上記した溶液の塗布量によって適宜調整することができる。
<積層体の製造方法>
次に、上記したような積層体を製造する方法を、図面を参照しながら説明する。先ず、上記したバリア性フィルム10(20)を2枚準備し(図2(1))、両フィルムのいずれか一方または両方の、接着しようとする部分に電子線を照射する(図2(2))。その結果、図2(3)に示すように、電子線が照射された部分のみ、互いのバリア性フィルムが接着される。
次に、上記したような積層体を製造する方法を、図面を参照しながら説明する。先ず、上記したバリア性フィルム10(20)を2枚準備し(図2(1))、両フィルムのいずれか一方または両方の、接着しようとする部分に電子線を照射する(図2(2))。その結果、図2(3)に示すように、電子線が照射された部分のみ、互いのバリア性フィルムが接着される。
本発明においては、バリア性フィルムに電子線を照射した直後に、図3に示すようにローラー6等を用いて、重ね合わせたフィルム10,20を押圧することが好ましい。フィルム10,20の表面は、図3に示すようにミクロレベルで凹凸があるため、互いのフィルムを重ね合わせても完全に密着しておらず、両フィルムの接触界面での接触面積が小さい。本発明においては、電子線を照射した直後にローラー6等でフィルム10,20を押圧することにより、両フィルムの接着面での接触面積が増加するため、密着性が向上する。
バリア性フィルム10および20を重ね合わせた後、積層体1を押圧する際には、加熱しながら両フィルム10,20を押圧することが好ましい。加熱しながら押圧することにより、フィルム10,20の柔軟性が向上し、フィルム10,20の界面(接着面)での接触面積をより増加させることができるため、密着性がより向上する。加熱する温度は、使用するフィルムの種類にもよるが、フィルムが熱変形できる温度であればよく、例えば、フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以上に加熱することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートを基材とするバリア性フィルムを重ね合わせる場合には、加熱温度は80〜180℃、好ましくは130〜160℃である。加熱温度を高くしすぎると、発生したラジカルが失活してしまい、強固な結合を実現できなくなる。なお、押圧の力(接圧)を高くしてもよく、接圧を高くすることにより、加熱温度を低くすることができる。
バリア性フィルム10および20を重ね合わせた積層体1を押圧するには、上記したようにヒートローラー6等を好適に使用できる。また、図3に示すように、重ね合わせたフィルムがヒートローラー6と支持ローラー7との間で圧接可能となるように、ヒートローラー6と対向する位置に支持ローラー7を載置してもよい。このようにヒートローラー6と対向する位置に支持ローラー7を載置することにより、積層体(10,20)とヒートローラー6との接触を線接触に近づけて、ヒートローラー6からの熱により積層体(10,20)に発生する変形を最小限に抑えることができる。
図4は、本発明による別の製造方法の実施形態を示した概略図である。バリア性フィルム10および20を重ね合わせて接着する工程において、それぞれのフィルム10,20をガイドローラーにより電子線照射位置3まで導き、電子線4を両フィルム10,20に照射した後にヒートローラー6により互いのフィルム10,20を押圧する工程を連続的に行うものである。それぞれのフィルム10,20はロール状形態として供給されてもよい。
電子線照射装置3からそれぞれのフィルムに電子線4を照射する場合、厚みがより小さい方のフィルム側から電子線4を照射することが好ましい。電子線は加速電圧が増加するほどその透過力も増大する性質を有しているため、何れか一方のフィルム側から電子線を照射した場合に、フィルムの厚さによっては、他方のフィルムまで電子線が届かないことがある。その場合には、電子線の加速電圧を増加させることにより、他方のフィルムの深部まで電子線を到達させることができるが、電子線エネルギーが高くなるにしたがって、フィルム自体に不必要な照射が行われ劣化させてしまう。そのため、厚肉のフィルムと薄肉のフィルムとを重ね合わせて接着する際には、電子線エネルギーをそれほど増大させることなく、薄肉のフィルム側から電子線を照射するのが好ましい。例えば、バリア性フィルム10の厚みが25μm以下であり、バリア性フィルム20の厚みが50μm以上である場合は、バリア性フィルム10側から電子線を照射する。このような電子線照射方法を採用することにより、フィルムの劣化を最小限に留めることができる。
重ね合わせるバリア性フィルム10および20が両方とも厚肉である場合には、図4に示すように両方のフィルム側から電子線が照射できるように、電子線照射装置3と対向する位置に、別の電子線照射装置3’を設けてもよい。この態様によれば、フィルムの厚みに応じて電子線の照射エネルギーを調整することができるため、フィルムを劣化させることなく両フィルムどうしを接着することができる。
図5は、本発明による別の製造方法の実施形態を示した概略図である。この実施態様においては、電子線の照射が、バリア性フィルム10および20を重ね合わせる前に行われる。先ず、供給されてきた一対のバリア性フィルム10および20は、重ね合わされる前に、電子線照射装置3(3’)により、フィルム10(20)へ電子線4(4’)が照射される。図4に示した実施形態では、フィルム10,20の電子線照射側と反対側の面どうしが対向するように両フィルム10,20を重ね合わせたのに対し、図5に示す実施態様では、両フィルム10,20の電子線照射側の面どうしが対向するように両フィルム10,20を重ね合わせる点が相違している。このように、フィルム10へ電子線を照射した側の面に他方のフィルム20を重ね合わせることにより、フィルムの厚みによらず、電子線の照射エネルギーをより小さくすることができ、その結果、フィルムの電子線照射による劣化をより低減することができる。
また、図5に示した実施態様においても、一対の電子線照射装置3,3’を設けて、図4に示した実施態様と同様に、バリア性フィルム10および20のそれぞれへ電子線4,4’を照射してもよい。これらの組み合わせにより、よりフィルムの劣化を少なくして接着強度を向上させることができる。
図6は、本発明による別の製造方法の実施形態を示した概略図である。この実施形態においては、バリア性フィルム10および20を重ね合わせてヒートローラー6により押圧した後に電子線照射を行うものである。先ず、供給されてきた一対のフィルム10,20は、ガイドローラーに導かれて重ね合わされる。続いて、ヒートローラー6と支持ローラー7とにより両フィルム10,20が押圧されるとともに、ヒートローラー6により加熱が行われる。その後、電子線照射装置3によりフィルム10,20の表面に電子線4が照射されてフィルム10,20の接着が連続的に行われる。また、図6に示した実施形態においても、一対の電子線照射装置3,3’を設けて、図4及び5に示した実施態様と同様に両方のフィルム10,20へそれぞれ電子線4,4’を照射してもよい。これらの組み合わせにより、よりフィルムの劣化を少なくして接着強度を向上させることができる。
電子線の照射エネルギーは、上記したようにフィルム厚み等に応じて適宜調整する必要がある。本発明においては、20〜750kV、好ましくは25〜400kV、より好ましくは30〜300kV程度の照射エネルギー範囲で電子線を照射するが、より低い照射エネルギーとすることが好ましく、40〜200kVとすることができる。このように低い照射エネルギーとすることにより、フィルムの劣化を抑制できるだけでなく、フィルム表面のラジカル発生がより効率的におこるため、より強固な結合を実現することができる。また、電子線の照射は、吸収線量が5〜2000kGy、好ましくは10〜1000kGyの範囲で行なわれる。
このような電子線照射装置としては、従来公知のものを使用でき、例えばカーテン型電子照射装置(LB1023、株式会社アイ・エレクトロンビーム社製)やライン照射型低エネルギー電子線照射装置(EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)等を好適に使用することができる。
電子線を照射する際には、酸素濃度を100ppm以下とすることが好ましい。酸素存在下で電子線を照射するとオゾンが発生するため装置や環境に悪影響を及ぼす場合があるからである。酸素濃度を100ppm以下とするには、真空下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、フィルムに電子線を照射すればよく、例えば、電子線照射装置内を窒素充填することにより、酸素濃度100ppm以下を達成することができる。
上記した接着方法によって得られた、バリア性フィルムどうしを積層した積層体は、従来のラミネート樹脂を用いて接着した場合と同等またはそれ以上の接着強度を実現できる。また、ラミネート樹脂等を全く用いていないため、積層体を使用する際にも異物や残留溶剤等が滲出することがなく、かつ、ガスバリア性に優れるものとなる。
実施例1
<フィルムの準備>
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、蒸着装置を用いて、下記の条件にて、そのフィルムの一方の面に、膜厚20nmとなるように酸化ケイ素薄膜を形成した。
蒸着条件:
蒸着チャンバー内の真空度(酸素導入後):2×10−4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:5×10−3mbar
電子ビーム電力:25kW
<フィルムの準備>
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、蒸着装置を用いて、下記の条件にて、そのフィルムの一方の面に、膜厚20nmとなるように酸化ケイ素薄膜を形成した。
蒸着条件:
蒸着チャンバー内の真空度(酸素導入後):2×10−4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:5×10−3mbar
電子ビーム電力:25kW
次いで、ガスバリア性保護層形成用塗工液として、下記の組成からなるフッ素系樹脂溶液を調製した。
組成I:
・水酸基含有テトラフルオロエチレン共重合体
(固形分60%、ゼッフルGK550、ダイキン工業株式会社製) 100質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(固形分70%) 70質量部
・酢酸エチル 800質量部
組成I:
・水酸基含有テトラフルオロエチレン共重合体
(固形分60%、ゼッフルGK550、ダイキン工業株式会社製) 100質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(固形分70%) 70質量部
・酢酸エチル 800質量部
上記の塗工液を、酸化ケイ素薄膜上にグラビアロールコート法によりコーティングして、厚み0.2μm(乾操状態)のガスバリア性保護層を形成することにより、バリア性フィルムを得た。
<積層体の作製>
上記のようにして得られたバリア性フィルムを150mm×75mmの大きさに切り出した試料を2枚準備し、電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)のサンプル台に並置した。この際、電子線が試料に照射されない部分を設けるために、両試料の一方の端部5〜10mm程度にマスキングしておいた。
上記のようにして得られたバリア性フィルムを150mm×75mmの大きさに切り出した試料を2枚準備し、電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)のサンプル台に並置した。この際、電子線が試料に照射されない部分を設けるために、両試料の一方の端部5〜10mm程度にマスキングしておいた。
次いで、電子照射線装置のチャンバー内の酸素濃度が100ppm以下となるように窒素ガスでパージした後、下記の電子線照射条件により、試料の表面(ガスバリア性保護層面)に電子線を照射した。
電圧:40kV
吸収線量:200kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
電圧:40kV
吸収線量:200kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
電子線を照射した後、試料を装置内から取り出し、すぐに両フィルムの電子線照射面側が対向するようにして重ね合わせ、熱ラミネート法により、両フィルムを接着して積層体を得た。
実施例2および3
実施例1において、電子線の照射条件を下記の表1のように変えた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例1において、電子線の照射条件を下記の表1のように変えた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
比較例1
電子照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして積層体を得た。しかしながら、得られた積層体は、バリア性フィルムどうしが接着していなかった。
電子照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして積層体を得た。しかしながら、得られた積層体は、バリア性フィルムどうしが接着していなかった。
比較例2
実施例1で用いたバリア性フィルムどうしを、2液硬化型芳香族エステル系接着剤(タケラックA−3、三井化学株式会社製)を介して、ガスバリア性保護層が対向するようにして貼り合わせることにより積層体を得た。
実施例1で用いたバリア性フィルムどうしを、2液硬化型芳香族エステル系接着剤(タケラックA−3、三井化学株式会社製)を介して、ガスバリア性保護層が対向するようにして貼り合わせることにより積層体を得た。
<積層体の接着強度の評価>
得られた積層体を幅15mmの短冊状になるように切り出し、引張試験機(テンシロン万能材料試験機RTC−1310A、ORIENTEC社製)を用いて、50mm/分の速度で、90度剥離試験を行った。なお、上記したように比較例1の積層体は、バリア性フィルムどうしが接着しておらず、積層体の接着強度を測定することができなかった。評価結果は、下記の表1に示される通りであった。
得られた積層体を幅15mmの短冊状になるように切り出し、引張試験機(テンシロン万能材料試験機RTC−1310A、ORIENTEC社製)を用いて、50mm/分の速度で、90度剥離試験を行った。なお、上記したように比較例1の積層体は、バリア性フィルムどうしが接着しておらず、積層体の接着強度を測定することができなかった。評価結果は、下記の表1に示される通りであった。
また、実施例1〜3の積層体を水中で保管し、その後、上記と同様にして積層体の接着強度を測定した。評価結果は、下記の表1に示される通りであった。
表1の評価結果からも明らかなように、実施例1〜3の積層体は、水中保管後も、接着性を維持していた。間接的にではあるが、対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間に結合が形成されていると推認でき、接着剤によりラミネート加工した従来の積層体と同程度の接着強度を有している。
1 積層体
10 第1のバリア性フィルム
20 第2のバリア性フィルム
11,21 熱可塑性樹脂フィルム
12,22 薄膜層
13,23 ガスバリア性保護層
3、3’ 電子線照射装置
4、4’ 電子線
5 フィルム基材接触界面
6 ヒートローラー
7 支持ローラー
10 第1のバリア性フィルム
20 第2のバリア性フィルム
11,21 熱可塑性樹脂フィルム
12,22 薄膜層
13,23 ガスバリア性保護層
3、3’ 電子線照射装置
4、4’ 電子線
5 フィルム基材接触界面
6 ヒートローラー
7 支持ローラー
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを、前記ガスバリア性保護層どうしが対向するように2枚重ね合わせた積層体であって、
前記ガスバリア性保護層が、フッ素系樹脂を含む溶液を塗布して得られる被膜からなり、
前記対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間に結合が形成されており、両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層どうしが接着剤を介さずに接着されていることを特徴とする、積層体。 - 前記対向するガスバリア性保護層の界面の少なくとも一部で、一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子と、他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層中の原子との間で、酸素原子、酸素原子、および水酸基からなる群より選択される少なくとも1種を介して結合が形成されている、請求項1に記載の積層体。
- 前記フッ素系樹脂が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と、前記架橋性基と反応する硬化剤とを含むフッ素系樹脂からなる、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを、前記ガスバリア性保護層どうしが対向するように2枚重ね合わせた積層体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂フィルム、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けた酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素からなる薄膜層、および前記薄膜層上に設けたガスバリア性保護層を含んでなるバリア性フィルムを2枚準備し、
前記一方のまたは両方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面に電子線を照射し、
前記一方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面と前記他方のバリア性フィルムのガスバリア性保護層面を重ね合わせて、バリアフィルムどうしを接着する、ことを含んでなることを特徴とする、方法。 - 前記バリア性フィルムどうしを重ね合わせる前および/または重ね合わせた後に電子線照射を行う、請求項5に記載の方法。
- 前記接着を加圧して行う、請求項5または6に記載の方法。
- 前記接着を加熱して行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
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