JP2013175598A - 磁壁移動素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁壁移動により磁化状態が変化する磁壁移動素子の初期化を確実に行うこと。
【解決手段】磁壁移動素子の製造方法は、(A)それぞれの磁化方向が互いに逆向きの第1方向及び第2方向に固定された第1ピニング層及び第2ピニング層を形成するステップと、(B)上記(A)ステップの後に、第1ピニング層及び第2ピニング層の両方と磁気的に結合するように磁化自由層を形成するステップとを含む。ここで、磁化自由層の中には、第1ピニング層と磁気的に結合する第1磁化固定領域、第2ピニング層と磁気的に結合する第2磁化固定領域、及び第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域が形成される。その製造方法は、更に、(C)磁壁移動領域の磁化方向を、第1方向あるいは第2方向に設定するステップを含む。
【選択図】図5
【解決手段】磁壁移動素子の製造方法は、(A)それぞれの磁化方向が互いに逆向きの第1方向及び第2方向に固定された第1ピニング層及び第2ピニング層を形成するステップと、(B)上記(A)ステップの後に、第1ピニング層及び第2ピニング層の両方と磁気的に結合するように磁化自由層を形成するステップとを含む。ここで、磁化自由層の中には、第1ピニング層と磁気的に結合する第1磁化固定領域、第2ピニング層と磁気的に結合する第2磁化固定領域、及び第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域が形成される。その製造方法は、更に、(C)磁壁移動領域の磁化方向を、第1方向あるいは第2方向に設定するステップを含む。
【選択図】図5
Description
本発明は、磁壁移動により磁化状態が変化する磁壁移動素子、及びその製造方法に関する。
磁気メモリ、特に磁気ランダムアクセスメモリ(Magnetic Random Access Memory:MRAM)は、高速動作および無限回の書き換えが可能な不揮発性メモリとして有望であり、近年盛んな開発が行われている。MRAMは、記憶素子として磁性体を用い、その磁性体の磁化の向きに対応させてデータを記憶する。磁気メモリにデータを書き込むためには、磁性体中の磁化方向を変化させる必要がある。
磁化方向のスイッチング方法の1つとして、電流誘起磁壁移動(Current driven domain wall motion)が提案されている。非特許文献1や非特許文献2で報告されているように、磁壁を貫通する方向に電流を印加した場合、その磁壁は電流と逆方向、すなわち電子の移動方向と同方向に移動する。
電流誘起磁壁移動を利用したMRAMは、例えば、特許文献1(特開2009−99625号公報)や特許文献2(特開2011−119537号公報)に開示されている。そのような磁壁移動型のMRAMでは、磁壁を有する磁性体層がデータ記憶層(磁化自由層)として用いられる。
具体的には、そのデータ記憶層は、磁化方向が第1方向に固定された第1磁化固定領域、磁化方向が第1方向と反対の第2方向に固定された第2磁化固定領域、及びそれら第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域を有する。磁壁移動領域(磁化自由領域)の磁化方向は、反転可能であり、第1方向あるいは第2方向に向くことが許される。その磁壁移動領域の磁化方向に応じて、第1磁化固定領域と磁壁移動領域との間の第1境界、あるいは、第2磁化固定領域と磁壁移動領域との間の第2境界に、磁壁が形成される。また、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間に書き込み電流を流すことにより、磁壁を、第1境界から第2境界へ、あるいは、第2境界から第1境界へ移動させることができる。つまり、磁壁は、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域を移動する。この電流駆動磁壁移動により、磁壁移動領域の磁化方向を反転させること、すなわち、データ記憶層の磁化状態を変化させることが可能となる。
このような磁壁移動型のMRAMの場合、データ記憶層の磁化状態を初期設定し、データ記憶層内に1つの磁壁を導入する必要がある。この作業は、以下「初期化」と参照される。特許文献1等に記載された技術によれば、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域が互いに異なる形状や厚さを有するように、データ記憶層が形成される。これは、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間で、保磁力が異なることを意味する。そして、素子全体の作成完了後に、外部磁場が印加される。第1磁化固定領域と第2磁化固定領域とで保磁力が異なるため、適切な外部磁場の印加により、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域の磁化方向を互いに逆向きに設定することができる。このようにして、データ記憶層の初期化が行われる。
A. Yamaguchi et al., Real-Space Observation ofCurrent-Driven Domain Wall Motion in Submicron Magnetic Wires, Physical ReviewLetters, Vol. 92, 077205, 2004.
H. Tanigawa et al., Domain Wall Motion Inducedby Electric Current in a Perpendicularly Magnetized Co/Ni Nano-Wire, AppliedPhysics Express, 2, 053002, 2009.
上述の通り、磁壁移動型のMRAMの場合、データ記憶層の初期化を行うために、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域の磁化方向を互いに逆向きに設定する必要がある。特許文献1等に記載された技術によれば、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域は互い異なる保磁力を有するようにあらかじめ形成され、素子全体の作成完了後に、適切な外部磁場が印加される。
しかしながら、保磁力は、他の磁性体との磁気的結合の強度、磁性体同士の接触面におけるラフネス、製造プロセスにおけるエッチング等による物理的ダメージ、に依っても変動する。従って、素子全体の作成完了後に外部磁場を印加したとしても、初期化が望み通りに行われない可能性がある。このような背景から、より確実な初期化が可能な技術が望まれている。
本発明の1つの観点において、磁壁移動素子の製造方法が提供される。その製造方法は、(A)それぞれの磁化方向が互いに逆向きの第1方向及び第2方向に固定された第1ピニング層及び第2ピニング層を形成するステップを含む。その製造方法は、更に、(B)上記(A)第1ピニング層及び第2ピニング層を形成するステップの後に、第1ピニング層及び第2ピニング層の両方と磁気的に結合するように磁化自由層を形成するステップを含む。ここで、磁化自由層の中には、第1ピニング層と磁気的に結合する第1磁化固定領域、第2ピニング層と磁気的に結合する第2磁化固定領域、及び第1磁化固定領域と第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域が形成される。その製造方法は、更に、(C)磁壁移動領域の磁化方向を、第1方向あるいは第2方向に設定するステップを含む。
本発明によれば、磁壁移動により磁化状態が変化する磁壁移動素子の初期化を確実に行うことが可能となる。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る磁壁移動素子を説明する。
1.構成
図1は、本実施の形態に係る磁壁移動素子1の構成を示す概略図である。図1に示されるように、磁壁移動素子1は、第1ピニング層10A、第2ピニング層10B、磁化自由層20、トンネルバリヤ層30、ピン層40、第1端子T1、第2端子T2、及び第3端子T3を備えている。尚、図1において、積層方向はz方向であり、z方向に直交する平面がxy面であるとする。
図1は、本実施の形態に係る磁壁移動素子1の構成を示す概略図である。図1に示されるように、磁壁移動素子1は、第1ピニング層10A、第2ピニング層10B、磁化自由層20、トンネルバリヤ層30、ピン層40、第1端子T1、第2端子T2、及び第3端子T3を備えている。尚、図1において、積層方向はz方向であり、z方向に直交する平面がxy面であるとする。
第1ピニング層10A、第2ピニング層10B、磁化自由層20、及びピン層40は、磁性体層である。それら磁性体層の材料としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、あるいはこれらのうち少なくとも1つを含む合金が挙げられる。また、それら磁性体層は、垂直磁気異方性を有する垂直磁化膜であってもよいし、面内磁気異方性を有する面内磁化膜であってもよい。
以下の説明では、第1ピニング層10A、第2ピニング層10B、磁化自由層20、及びピン層40は、垂直磁気異方性を有する垂直磁化膜であるとする。垂直磁化膜の磁化の向きは、概ね、当該膜が形成される面に直交する、すなわち、当該膜の法線方向と平行である。例えば図1において、垂直磁化膜の磁化方向は、+z方向あるいは−z方向である。
尚、垂直磁化膜がPtやPdを含む場合、垂直磁気異方性はより安定化し、好適である。それに加えて、B、C、N、O、Al、Si、P、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Smなどを添加することによって、垂直磁化膜が所望の磁気特性を発現するように調整を行うことができる。従って、垂直磁化膜の材料としては、Co、Co−Pt、Co−Pd、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr−B、Co−Cr−Pt−B、Co−Cr−Ta−B、Co−V、Co−Mo、Co−W、Co−Ti、Co−Ru、Co−Rh、Fe−Pt、Fe−Pd、Fe−Co−Pt、Fe−Co−Pd、Sm−Coなどが例示される。
第1ピニング層10Aと第2ピニング層10Bは、互いに逆向きの磁化を有している。例えば図1において、第1ピニング層10Aの磁化方向は+z方向(第1方向)に固定されており、第2ピニング層10Bの磁化方向は−z方向(第2方向)に固定されている。また、典型的には、第1ピニング層10Aと第2ピニング層10Bは、同じ層に形成される。
磁化自由層20は、第1ピニング層10A及び第2ピニング層10Bの上層に形成されている。また、磁化自由層20は、第1ピニング層10A及び第2ピニング層10Bの両方と磁気的に結合するように形成されている。典型的には、磁化自由層20は、第1ピニング層10A及び第2ピニング層10Bの両方と接触するように、第1ピニング層10A及び第2ピニング層10B上に形成されている。但し、磁気的な結合が実現されていれば、磁化自由層20と第1ピニング層10A及び第2ピニング層10Bとの間に非磁性層等が介在していてもよい。
第1ピニング層10A及び第2ピニング層10Bとの磁気的結合により、磁化自由層20の一部の領域の磁化方向は固定される。より詳細には、図1に示されるように、磁化自由層20は、3つの異なる領域である第1磁化固定領域21A、第2磁化固定領域21B、及び磁壁移動領域22(磁化自由領域)を有している。
第1磁化固定領域21Aは、第1ピニング層10A上に位置しており、第1ピニング層10Aと磁気的に結合している。結果として、第1磁化固定領域21Aの磁化方向は、第1ピニング層10Aの磁化方向に応じた方向に固定される。図1の例では、第1磁化固定領域21Aの磁化方向は、+z方向に固定されている。
一方、第2磁化固定領域21Bは、第2ピニング層10B上に位置しており、第2ピニング層10Bと磁気的に結合している。結果として、第2磁化固定領域21Bの磁化方向は、第2ピニング層10Bの磁化方向に応じた方向に固定される。図1の例では、第2磁化固定領域21Bの磁化方向は、−z方向に固定されており、第1磁化固定領域21Aの磁化方向とは逆になっている。
磁壁移動領域(磁化自由領域)22は、第1磁化固定領域21Aと第2磁化固定領域21Bとの間に挟まれている。第1磁化固定領域21Aと磁壁移動領域22は、第1境界23Aにおいて互いに接触している。一方、第2磁化固定領域21Bと磁壁移動領域22は、第2境界23Bにおいて互いに接触している。この磁壁移動領域22の磁化方向は、反転可能であり、+z方向あるいは−z方向となることが許される。
ピン層40は、磁化自由層20の磁壁移動領域22上に、トンネルバリヤ層30を介して形成されている。このピン層40の磁化方向は、一方向に固定されている。例えば図1において、ピン層40の磁化方向は、+z方向に固定されている。
尚、ピン層40の磁気異方性は、磁化自由層20のものよりも大きいことが望ましい。これは、磁化自由層20とピン層40の材料、組成を変えることにより実現され得る。また、ピン層40のトンネルバリヤ層30とは反対側の面上に、ピン層40の磁化方向を固定するための周知の反強磁性体層が積層されてもよい。また、ピン層40は、強磁性体層、非磁性体層、強磁性体層が順に積層された積層膜であってもよい。このとき、非磁性体層の材料としては、Ru、Cuなどが用いられる。2つの強磁性体層の磁化の向きは互いに反平行であり、2つの強磁性体層の磁化を等しくすれば、ピン層40からの漏洩磁界を抑制することができる。
トンネルバリヤ層30は、非磁性層であり、典型的には薄い絶縁膜である。例えば、トンネルバリヤ層30は、Al膜を酸化することにより得られるアルミナ酸化膜(Al−Ox)あるいは酸化マグネシウム(MgO)膜等である。このトンネルバリヤ層30は、磁化自由層20の磁壁移動領域22とピン層40とによって挟まれており、これら磁壁移動領域22、トンネルバリヤ層30及びピン層40によって磁気トンネル接合(MTJ)が形成されている。
第1端子T1は、第1ピニング層10Aに電気的に接続されている。第2端子T2は、第2ピニング層10Bに電気的に接続されている。第3端子T3は、ピン層40に電気的に接続されている。
図2及び図3は、図1で示された磁壁移動素子1が取り得る2つの状態を示している。
図2において、磁化自由層20の磁壁移動領域22の磁化方向は、−z方向である。この場合、第2磁化固定領域21Bと磁壁移動領域22が1つの磁区を形成し、第1磁化固定領域21Aが別の磁区を形成する。従って、第1磁化固定領域21Aと磁壁移動領域22との間の第1境界23Aに、磁壁DWが形成される。また、磁壁移動領域22の磁化方向とピン層40の磁化方向が反平行であるため、MTJの抵抗値は比較的高くなる。この状態は、例えば、データ「1」に対応付けられる。
一方、図3において、磁化自由層20の磁壁移動領域22の磁化方向は、+z方向である。この場合、第1磁化固定領域21Aと磁壁移動領域22が1つの磁区を形成し、第2磁化固定領域21Bが別の磁区を形成する。従って、第2磁化固定領域21Bと磁壁移動領域22との間の第2境界23Bに、磁壁DWが形成される。また、磁壁移動領域22の磁化方向とピン層40の磁化方向が平行であるため、MTJの抵抗値は比較的低くなる。この状態は、例えば、データ「0」に対応付けられる。
以上に説明された通り、磁化自由層20の磁壁移動領域22の磁化方向に応じて、MTJの抵抗値が変わる。その抵抗値の変化を利用することにより、データ「0」、「1」を不揮発的に記憶することが可能である。その一方で、磁壁移動領域22の磁化方向に応じて、第1境界23Aあるいは第2境界23Bに磁壁DWが形成される。つまり、磁化自由層20の磁壁DWの位置が、記憶データを反映しているとも言える。このように、磁壁DWを有する磁化自由層20が、「データ記憶層」としての役割を果たす。
データ書き換えは、磁壁DWを第1境界23Aと第2境界23Bの間で移動させることにより行われる。その磁壁移動を実現するためには、磁壁DWを貫通するように磁化自由層20の面内に書き込み電流IWを流せばよい。より詳細には、図4に示されるように、書き込み電流IWが磁化自由層20を通して第1端子T1と第2端子T2との間で流れるように、第1端子T1と第2端子T2との間に所定の電位差が印加される。
データ「0」(図3)からデータ「1」(図2)への書き換え時、書き込み電流IWは、第1端子T1から磁化自由層20を通って第2端子T2に流れ込む。この場合、磁化自由層20において、電子は、第2磁化固定領域21Bから第2境界23Bを通して磁壁移動領域22に流れ込む。すなわち、磁壁移動領域22には、第2磁化固定領域21Bから−z方向のスピン電子が注入される。スピン電子によるスピントランスファーの結果、磁壁移動領域22の磁化は、第2境界23B近傍から徐々に−z方向に反転し始める。このことは、磁壁DWが、第2境界23Bから第1境界23Aへ向けて移動することを意味する。書き込み電流IWが流れ続けると、磁壁DWは、磁壁移動領域22を通り抜け、第1境界23Aに到達する。磁壁DWは、ピンポテンシャルによって第1境界23Aで停止する。
一方、データ「1」(図2)からデータ「0」(図3)への書き換え時、書き込み電流IWは、第2端子T2から磁化自由層20を通って第1端子T1に流れ込む。この場合、磁化自由層20において、電子は、第1磁化固定領域21Aから第1境界23Aを通して磁壁移動領域22に流れ込む。すなわち、磁壁移動領域22には、第1磁化固定領域21Aから+z方向のスピン電子が注入される。スピン電子によるスピントランスファーの結果、磁壁移動領域22の磁化は、第1境界23A近傍から徐々に+z方向に反転し始める。このことは、磁壁DWが、第1境界23Aから第2境界23Bへ向けて移動することを意味する。書き込み電流IWが流れ続けると、磁壁DWは、磁壁移動領域22を通り抜け、第2境界23Bに到達する。磁壁DWは、ピンポテンシャルによって第2境界23Bで停止する。
このように、磁化が逆向きに固定された第1磁化固定領域21A及び第2磁化固定領域21Bは、異なるスピンを有する電子の供給源の役割を果たしている。そして、第1磁化固定領域21Aと第2磁化固定領域21Bとの間を流れる書き込み電流IWにより、磁化自由層20中の磁壁DWが、第1境界23Aと第2境界23Bとの間を移動する。その結果、磁壁移動領域22の磁化の方向がスイッチする。すなわち、電流駆動磁壁移動を利用したデータ書き換えが実現される。書き込み電流IWがトンネルバリヤ層30を貫通しないため、トンネルバリヤ層30の劣化が抑制される。
データ読み出し動作は、次の通りである。データ読み出し時、読み出し電流は、トンネルバリヤ層30を通してピン層40と磁壁移動領域22との間を流れるように供給される。その読み出し電流、あるいは、読み出し電流に応じた読み出し電位を所定のリファレンスレベルと比較することにより、MTJの抵抗値の大小が検出される。すなわち、磁壁移動領域22の磁化方向(+z方向あるいは−z方向)がセンスされ、記憶データ(「0」または「1」)がセンスされる。
以上に説明されたように、磁壁移動素子1は、データ「0」または「1」を記憶することができる。また、磁化自由層20の面内に書き込み電流IWを流すことにより、そのデータを書き換えることができる。このような磁壁移動素子1を実現するためには、磁化固定領域21A、21Bの磁化の向きを固定し、磁化自由層20中に磁壁DWを導入する必要がある。つまり、磁化自由層20の磁化を初期化する必要がある。以下、初期化も含めた磁壁移動素子1の製造方法を説明する。
2.製造方法
図5は、本実施の形態に係る磁壁移動素子1の製造方法を要約的に示すフローチャートである。まず、ステップS10において、磁化方向が互いに逆向きに固定されたピニング層10A、10Bが形成される。例えば、第1ピニング層10Aの磁化方向は+z方向(第1方向)に固定され、第2ピニング層10Bの磁化方向は−z方向(第2方向)に固定される。このステップS10は、磁化自由層20の形成前に実施される。すなわち、本実施の形態によれば、磁化自由層20の形成前に、ピニング層10A、10Bの磁化方向の設定(初期化)が完了する。
図5は、本実施の形態に係る磁壁移動素子1の製造方法を要約的に示すフローチャートである。まず、ステップS10において、磁化方向が互いに逆向きに固定されたピニング層10A、10Bが形成される。例えば、第1ピニング層10Aの磁化方向は+z方向(第1方向)に固定され、第2ピニング層10Bの磁化方向は−z方向(第2方向)に固定される。このステップS10は、磁化自由層20の形成前に実施される。すなわち、本実施の形態によれば、磁化自由層20の形成前に、ピニング層10A、10Bの磁化方向の設定(初期化)が完了する。
ステップS10が完了した後のステップS20において、磁化自由層20が形成される。このとき、磁化自由層20は、ピニング層10A、10Bの両方と磁気的に結合するように形成される。その結果、磁化自由層20の中には、第1ピニング層10Aと磁気的に結合する第1磁化固定領域21A、第2ピニング層10Bと磁気的に結合する第2磁化固定領域21B、及び第1磁化固定領域21Aと第2磁化固定領域21Bとの間に挟まれた磁壁移動領域22が形成される。
ステップS30では、磁壁移動領域22の磁化方向が、第1方向あるいは第2方向に設定される。これにより、磁化自由層20に1つの磁壁DWが導入され、初期化が完了する。
比較例として、上述の特許文献1に記載された技術を考える。その比較例によれば、磁化自由層を形成する際に、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域が互い異なる保磁力を有するように形成される。そして、素子全体の作成完了後に、適切な外部磁場が印加される。しかしながら、保磁力は、他の磁性体との磁気的結合の強度、磁性体同士の接触面におけるラフネス、製造プロセスにおけるエッチング等による物理的ダメージ、に依っても変動する。従って、素子全体の作成完了後に外部磁場を印加したとしても、初期化が望み通りに行われない可能性がある。
一方、本実施の形態によれば、磁化自由層20を形成する際に、磁化固定領域21A、21Bが互い異なる保磁力を有するように形成しておく必要はない。それは、磁化固定領域21A、21Bの磁化方向を固定するためのピニング層10A、10Bが下層に設けられ、それらピニング層10A、10Bの初期化が磁化自由層20の形成前に完了しているからである。ピニング層10A、10Bの初期化さえ完了していれば、その上に磁化自由層20を積層することにより、磁化方向が互いに逆向きに固定された磁化固定領域21A、21Bが“自動的”に形成される。
このように、本実施の形態によれば、磁化固定領域21A、21Bを互い異なる保磁力を有するように形成しておき、素子全体の作成完了後に外部磁場を印加して初期化を行う必要はない。よって、製造プロセスの最中に保磁力が変動して初期化が望み通りに行われなくなる、といった事態の発生が未然に防止される。本実施の形態に係る手法により、磁壁移動素子1の初期化を確実に行うことが可能となる。
以下、ステップS10〜S30の各々を更に詳細に説明する。
2−1.ステップS10
2−1−1.第1の例
図6A〜図6Eを参照して、ステップS10の第1の例を説明する。
2−1−1.第1の例
図6A〜図6Eを参照して、ステップS10の第1の例を説明する。
まず、図6Aに示されるように、下地層100上に磁性体膜110が形成される。磁性体膜110は、ピニング層10A、10Bの元となる材料膜であり、スパッタリング法により形成される。この時点で、磁性体膜110の磁化方向は一方向には定まっておらず、磁性体膜110には複数の磁区が混在している。続いて、ピニング層10A、10Bが形成される領域に、レジストマスクRES1が形成される。
次に、レジストマスクRES1を用いたエッチングにより、磁性体膜110のパターンニングが行われる。その結果、図6Bに示されるように、ピニング層10A、10Bが形成される。ここで、第1ピニング層10Aの保磁力H10Aが第2ピニング層10Bの保磁力H10Bより大きくなるように、ピニング層10A、10Bが形成される(H10A>H10B)。保磁力の差は、例えば、平面形状の差により実現可能である。よって、第1ピニング層10Aの保磁力H10Aが第2ピニング層10Bの保磁力H10Bより大きくなるように、上述のレジストマスクRES1のパターン形状が設計されればよい。ピニング層10A、10Bの形成後、レジストマスクRES1は除去される。
次に、層間絶縁膜111が全面に形成された後に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)が実施される。その結果、図6Cに示されるような構造が得られる。
次に、図6Dに示されるように、+z方向(第1方向)の第1外部磁場HE1が印加される。この第1外部磁場HE1の強度は、ピニング層10A、10Bの両方の磁化方向が+z方向となるように設定される。つまり、HE1>H10Aの関係が成り立つ。このような第1外部磁場HE1の印加により、ピニング層10A、10Bの両方の磁化方向が+z方向に一旦設定される。
次に、図6Eに示されるように、−z方向(第2方向)の第2外部磁場HE2が印加される。この第2外部磁場HE2の強度は、第1ピニング層10Aの磁化方向が−z方向に反転せず、第2ピニング層10Bの磁化方向だけが−z方向に反転するように設定される。つまり、H10A>HE2>H10Bの関係が成り立つ。このような第2外部磁場HE2の印加により、第1ピニング層10Aの磁化方向が反転することなく、第2ピニング層10Bの磁化方向だけが−z方向に反転する。
このようにして、磁化方向が互いに逆向きに固定されたピニング層10A、10Bが形成される。つまり、ステップS10が完了する。
2−1−2.第2の例
ピニング層10A、10Bの保磁力の差は、異なる磁性材料を用いることによっても実現可能である。第2の例では、第1ピニング層10Aの保磁力H10Aが第2ピニング層10Bの保磁力H10Bより大きくなるように、ピニング層10A、10Bとで異なる磁性材料が選択される。この場合、ピニング層10A、10Bの平面形状が異なっている必要は必ずしもない。
ピニング層10A、10Bの保磁力の差は、異なる磁性材料を用いることによっても実現可能である。第2の例では、第1ピニング層10Aの保磁力H10Aが第2ピニング層10Bの保磁力H10Bより大きくなるように、ピニング層10A、10Bとで異なる磁性材料が選択される。この場合、ピニング層10A、10Bの平面形状が異なっている必要は必ずしもない。
まず、図7Aに示されるように、下地層100上に第1磁性体膜110Aが形成される。第1磁性体膜110Aは、第1ピニング層10Aの元となる材料膜であり、スパッタリング法により形成される。この時点で、第1磁性体膜110Aの磁化方向は一方向には定まっておらず、第1磁性体膜110Aには複数の磁区が混在している。続いて、第1ピニング層10Aが形成される領域に、レジストマスクRES1が形成される。
次に、レジストマスクRES1を用いたエッチングにより、第1磁性体膜110Aのパターンニングが行われる。その結果、図7Bに示されるように、第1ピニング層10Aが形成される。第1ピニング層10Aの形成後、レジストマスクRES1は除去される。
次に、絶縁膜112が全面に形成される。続いて、図7Cに示されるように、所定の領域の絶縁膜112が除去され、下地層100に達するように開口部が形成される。
次に、図7Dに示されるように、第2磁性体膜110Bが全面に形成される。第2磁性体膜110Bは、第2ピニング層10Bの元となる材料膜であり、スパッタリング法により形成される。この時点で、第2磁性体膜110Bの磁化方向は一方向には定まっておらず、第2磁性体膜110Bには複数の磁区が混在している。続いて、第2ピニング層10Bが形成される領域に、レジストマスクRES2が形成される。
次に、レジストマスクRES2を用いたエッチングにより、第2磁性体膜110Bのパターンニングが行われる。その結果、図7Eに示されるように、第2ピニング層10Bが形成される。第2ピニング層10Bの形成後、レジストマスクRES2は除去される。
次に、層間絶縁膜113が全面に形成された後に、CMPが実施される。その結果、図7Fに示されるような構造が得られる。
このようにして、第1ピニング層10Aの保磁力H10Aが第2ピニング層10Bの保磁力H10Bより大きくなるように、ピニング層10A、10Bが形成される。その後は、第1の例の場合と同様であり、図6D及び図6Eで示されたプロセスが実施される。
2−1−3.第3の例
第3の例では、第2磁性体膜110Bの成膜までは、上述の第2の例の場合と同様である。図8Aは、上述の図7A〜図7Dと同様な方法により、第1ピニング層10Aと第2磁性体膜110Bが形成された状態を示している。但し、第3の例では、第1磁性体膜110Aと第2磁性体膜110Bの材料は、異なっている必要はなく、同一であっても構わない。
第3の例では、第2磁性体膜110Bの成膜までは、上述の第2の例の場合と同様である。図8Aは、上述の図7A〜図7Dと同様な方法により、第1ピニング層10Aと第2磁性体膜110Bが形成された状態を示している。但し、第3の例では、第1磁性体膜110Aと第2磁性体膜110Bの材料は、異なっている必要はなく、同一であっても構わない。
ここで、パターニング後の第1ピニング層10Aとパターニング前の連続膜である第2磁性体膜110Bとの間には、保磁力に大きな差があることを説明する。
磁性体に外部磁場を印加して、その磁化方向を揃えることを考える。外部磁場がまだ弱い段階において、磁化方向がその外部磁場方向と逆になり易い領域が存在する。例えば、磁性体中の欠陥が、そのような領域となり得る。そのような領域は、周囲と磁化方向が反対の「逆磁区領域」を形成する。磁性体中に逆磁区領域が発生することは、その磁性体中に磁壁が形成されることを意味する。
パターニング前の連続膜の場合、欠陥がある程度存在していると考えられる。そのため、外部磁場印加の初期段階において、当該連続膜中に、ある程度の逆磁区領域、すなわち磁壁が発生する。更に外部磁場が印加されると、その磁壁が移動し、それにより連続膜全体の磁化方向が外部磁化方向にそろう。つまり、連続膜の場合、外部磁場だけでなく磁壁移動も、磁化反転に寄与する。
一方、パターニング後の磁性体のサイズは、数100nm程度と微小である。そのような微小磁性体中に欠陥が含まれている確率は極めて低い。そのため、外部磁場印加時に、逆磁区領域すなわち磁壁が発生する確率は極めて低い。つまり、パターニング後の磁性体の場合、外部磁場だけが磁化反転に寄与する。
このように、連続膜と微小磁性体とでは、磁化反転のメカニズムが異なっており、磁化反転の起こり易さも異なる。具体的には、磁壁移動の寄与も有る分、連続膜における磁化反転の方が起こり易い。これは、外部磁場印加時の保磁力の差を意味する。すなわち、連続膜の保磁力は、微小磁性体の保磁力よりも小さい。例えば、Co/Ni積層膜の場合、連続膜の保磁力は100〜200[Oe]であるのに対して、パターニング後の保磁力は2000〜3000[Oe]である。
以上に説明された連続膜と微小磁性体の関係が、図8A中の第2磁性体膜110Bと第1ピニング層10Aに当てはまる。すなわち、パターニング前の第2磁性体膜110Bの保磁力H110Bは、パターニング後の第1ピニング層10Aの保磁力H10Aよりもはるかに小さい(H10A>>H110B)。従って、この状態で(第2磁性体膜110Bのパターニング前)に、外部磁場の印加が実施されればよい。
具体的には、図8Bに示されるように、まず、+z方向(第1方向)の第1外部磁場HE1が印加される。この第1外部磁場HE1の強度は、第1ピニング層10A及び第2磁性体膜110Bの両方の磁化方向が+z方向となるように設定される。つまり、HE1>H10Aの関係が成り立つ。このような第1外部磁場HE1の印加により、第1ピニング層10A及び第2磁性体膜110Bの両方の磁化方向が+z方向に一旦設定される。
次に、図8Cに示されるように、−z方向(第2方向)の第2外部磁場HE2が印加される。この第2外部磁場HE2の強度は、第1ピニング層10Aの磁化方向が−z方向に反転せず、第2磁性体膜110Bの磁化方向だけが−z方向に反転するように設定される。つまり、H10A>HE2>H110Bの関係が成り立つ。このような第2外部磁場HE2の印加により、第1ピニング層10Aの磁化方向が反転することなく、第2磁性体膜110Bの磁化方向だけが−z方向に反転する。
その後、第2磁性体膜110Bのパターニングが行われる。具体的には、図8Dに示されるように、第2ピニング層10Bが形成される領域に、レジストマスクRES3が形成される。続いて、レジストマスクRES3を用いたエッチングにより、第2磁性体膜110Bのパターンニングが行われ、第2ピニング層10Bが形成される。第2ピニング層10Bの形成後、レジストマスクRES3は除去される。
次に、層間絶縁膜113が全面に形成された後に、CMPが実施される。その結果、図8Eに示されるような構造が得られる。
既出の第1、第2の例では、保磁力が異なるように第1ピニング層10Aと第2ピニング層10Bを形成する必要があった。一方、第3の例ではその必要は必ずしもなく、第1ピニング層10Aと第2ピニング層10Bを、同一材料、同一条件、同一形状で形成することも可能である。第1ピニング層10Aと第2ピニング層10Bを、同一材料、同一条件、同一形状で形成すると、第1ピニング層10Aと第2ピニング層10Bの磁気特性も同一となる。その場合、磁壁DWを停止させるためのピンポテンシャルが、第1境界23Aと第2境界23Bとで同一になる。このことは、ピンポテンシャルの設計が容易になることを意味し、好適である。
2−2.ステップS20
ステップS10が完了した後のステップS20において、磁化自由層20が形成される。まず、図9Aに示されるように、ピニング層10A、10B上に磁性体膜120が形成される。磁性体膜120は、磁化自由層20の元となる材料膜であり、スパッタリング法により形成される。このとき、磁性体膜120は、ピニング層10A、10Bの両方と磁気的に結合するように形成される。その結果、磁性体膜120の中には、ピニング層10A、10Bとの磁気的結合により磁化方向が一方向に固定される磁化固定領域が形成される。磁化固定領域以外の部分の磁化方向は一方向には定まっておらず、複数の磁区が混在している。
ステップS10が完了した後のステップS20において、磁化自由層20が形成される。まず、図9Aに示されるように、ピニング層10A、10B上に磁性体膜120が形成される。磁性体膜120は、磁化自由層20の元となる材料膜であり、スパッタリング法により形成される。このとき、磁性体膜120は、ピニング層10A、10Bの両方と磁気的に結合するように形成される。その結果、磁性体膜120の中には、ピニング層10A、10Bとの磁気的結合により磁化方向が一方向に固定される磁化固定領域が形成される。磁化固定領域以外の部分の磁化方向は一方向には定まっておらず、複数の磁区が混在している。
続いて、磁性体膜120上に非磁性体膜130が形成される。非磁性体膜130は、トンネルバリヤ層130の元となる材料膜である。
更に、非磁性体膜130上に磁性体膜140が形成される。磁性体膜140は、ピン層40の元となる材料膜であり、スパッタリング法により形成される。この時点で、磁性体膜140の磁化方向は一方向には定まっておらず、磁性体膜140には複数の磁区が混在している。
次に、図9Bに示されるように、磁性体膜140、非磁性体膜130、及び磁性体膜120のそれぞれのパターンニングが行われる。磁性体膜140のパターンニングにより、ピン層40が形成される。非磁性体膜130のパターンニングにより、トンネルバリヤ層130が形成される。磁性体膜120のパターンニングにより、磁化自由層20が形成される。
この時点で、磁化自由層20の中には、第1磁化固定領域21A、第2磁化固定領域21B及び磁壁移動領域22が形成されている。第1磁化固定領域21Aは、第1ピニング層10Aと磁気的に結合しており、その磁化方向は第1ピニング層10Aによって+z方向に固定されている。また、第2磁化固定領域21Bは、第2ピニング層10Bと磁気的に結合しており、その磁化方向は第2ピニング層10Bによって−z方向に固定されている。一方、第1磁化固定領域21Aと第2磁化固定領域21Bとの間に挟まれた磁壁移動領域22では、磁化方向は一方向に定まっておらず、複数の磁区(磁壁)が混在している。
2−3.ステップS30
ステップS30では、磁壁移動領域22の磁化方向が、+z方向あるいは−z方向に設定される。
ステップS30では、磁壁移動領域22の磁化方向が、+z方向あるいは−z方向に設定される。
2−3−1.第1の例
例えば、図10に示されるように、+z方向の第3外部磁場HE3が印加される。第3外部磁場HE3の強度は、磁壁移動領域22中の磁壁が移動し、且つ、磁化固定領域21A、21Bにおいて磁化反転が発生しない程度に設定される。磁壁移動領域22中に混在していた磁壁が移動することにより、−z方向の磁化方向を有する磁区が消滅する。結果として、磁壁移動領域22の磁化方向は全体的に+z方向となり、磁壁移動領域22と第2磁化固定領域21Bとの間の第2境界23Bにだけ磁壁DWが形成されることになる。すなわち、磁化自由層20に1つの磁壁DWが導入され、初期化が完了する。
例えば、図10に示されるように、+z方向の第3外部磁場HE3が印加される。第3外部磁場HE3の強度は、磁壁移動領域22中の磁壁が移動し、且つ、磁化固定領域21A、21Bにおいて磁化反転が発生しない程度に設定される。磁壁移動領域22中に混在していた磁壁が移動することにより、−z方向の磁化方向を有する磁区が消滅する。結果として、磁壁移動領域22の磁化方向は全体的に+z方向となり、磁壁移動領域22と第2磁化固定領域21Bとの間の第2境界23Bにだけ磁壁DWが形成されることになる。すなわち、磁化自由層20に1つの磁壁DWが導入され、初期化が完了する。
また、同時に、ピン層40中に混在している磁壁も、第3外部磁場HE3の印加により移動する。但し、ピン層40中には磁化固定領域は無いため、全ての磁壁はピン層40の端部に到達して消滅する。結果として、ピン層40の磁化方向も全体的に+z方向に設定される。
尚、第3外部磁場HEの方向は−z方向でもよい。その場合は、磁壁移動領域22の磁化方向は−z方向となり、磁壁移動領域22と第1磁化固定領域21Aとの間の第1境界23Aに磁壁DWが形成される。また、ピン層40の磁化方向も−z方向に設定される。
2−3−2.第2の例
図11Aに示されるように、第3外部磁場HE3の印加は、磁性体膜140、非磁性体膜130、及び磁性体膜120のパターンニングが行われる前に実施されてもよい。この場合、磁性体膜120中の磁化固定領域で挟まれた領域の磁化方向が、+z方向に設定される。また、磁性体膜140の磁化方向も、+z方向に設定される。
図11Aに示されるように、第3外部磁場HE3の印加は、磁性体膜140、非磁性体膜130、及び磁性体膜120のパターンニングが行われる前に実施されてもよい。この場合、磁性体膜120中の磁化固定領域で挟まれた領域の磁化方向が、+z方向に設定される。また、磁性体膜140の磁化方向も、+z方向に設定される。
その後、図11Bに示されるように、磁性体膜140、非磁性体膜130、及び磁性体膜120のそれぞれのパターンニングが行われる。磁性体膜140のパターンニングにより、ピン層40が形成される。非磁性体膜130のパターンニングにより、トンネルバリヤ層130が形成される。磁性体膜120のパターンニングにより、磁化自由層20が形成される。
2−3−2.第3の例
磁壁移動領域22中の磁壁を移動させるために、第3外部磁場HE3を印加する代わりに、スピン注入(電流駆動磁壁移動)が利用されてもよい。具体的には、図12に示されるように、データ書き換えの場合と同様に、第1磁化固定領域21Aと第2磁化固定領域21Bとの間に書き込み電流IWが流される。その書き込み電流IWの方向に応じて、磁壁移動領域22の磁化方向が+z方向あるいは−z方向に設定される。この場合、第3外部磁場HE3のマージンを考慮する必要がなくなり、好適である。
磁壁移動領域22中の磁壁を移動させるために、第3外部磁場HE3を印加する代わりに、スピン注入(電流駆動磁壁移動)が利用されてもよい。具体的には、図12に示されるように、データ書き換えの場合と同様に、第1磁化固定領域21Aと第2磁化固定領域21Bとの間に書き込み電流IWが流される。その書き込み電流IWの方向に応じて、磁壁移動領域22の磁化方向が+z方向あるいは−z方向に設定される。この場合、第3外部磁場HE3のマージンを考慮する必要がなくなり、好適である。
3.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、磁化自由層20の磁化固定領域21A、21Bの磁化方向を固定するために、ピニング層10A、10Bが下層に設けられる。また、それらピニング層10A、10Bの初期化は、磁化自由層20の形成前に完了している。
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、磁化自由層20の磁化固定領域21A、21Bの磁化方向を固定するために、ピニング層10A、10Bが下層に設けられる。また、それらピニング層10A、10Bの初期化は、磁化自由層20の形成前に完了している。
比較例として、上述の特許文献1に記載された技術を考える。その比較例によれば、磁化自由層を形成する際に、第1磁化固定領域と第2磁化固定領域が互い異なる保磁力を有するように形成される。そして、素子全体の作成完了後に、適切な外部磁場が印加される。しかしながら、保磁力は、他の磁性体との磁気的結合の強度、磁性体同士の接触面におけるラフネス、製造プロセスにおけるエッチング等による物理的ダメージ、に依っても変動する。従って、素子全体の作成完了後に外部磁場を印加したとしても、初期化が望み通りに行われない可能性がある。
一方、本実施の形態によれば、磁化自由層20を形成する際に、磁化固定領域21A、21Bが互い異なる保磁力を有するように形成しておく必要はない。それは、磁化固定領域21A、21Bの磁化方向を固定するためのピニング層10A、10Bが下層に設けられ、それらピニング層10A、10Bの初期化が磁化自由層20の形成前に完了しているからである。ピニング層10A、10Bの初期化さえ完了していれば、その上に磁化自由層20を積層することにより、磁化方向が互いに逆向きに固定された磁化固定領域21A、21Bが“自動的”に形成される。
このように、本実施の形態によれば、磁化固定領域21A、21Bを互い異なる保磁力を有するように形成しておき、素子全体の作成完了後に外部磁場を印加して初期化を行う必要はない。よって、製造プロセスの最中に保磁力が変動して初期化が望み通りに行われなくなる、といった事態の発生が未然に防止される。本実施の形態に係る手法により、磁壁移動素子1の初期化を確実に行うことが可能となる。
尚、上述の例において各磁性体層は垂直磁気異方性を有する垂直磁化膜であったが、本発明はそれに限られない。本発明は、各磁性層が面内磁気異方性を有する面内磁化膜である場合にも適用可能である。
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
1 磁壁移動素子
10A 第1ピニング層
10B 第2ピニング層
20 磁化自由層(磁壁移動層)
21A 第1磁化固定領域
21B 第2磁化固定領域
22 磁壁移動領域
23A 第1境界
23B 第2境界
30 トンネルバリヤ層
40 ピン層
100 下地層
110 磁性体膜
110A 第1磁性体膜
110B 第2磁性体膜
120 磁性体膜
130 非磁性体膜
140 磁性体膜
T1 第1端子
T2 第2端子
T3 第3端子
DW 磁壁
HE1 第1外部磁場
HE2 第2外部磁場
HE3 第3外部磁場
10A 第1ピニング層
10B 第2ピニング層
20 磁化自由層(磁壁移動層)
21A 第1磁化固定領域
21B 第2磁化固定領域
22 磁壁移動領域
23A 第1境界
23B 第2境界
30 トンネルバリヤ層
40 ピン層
100 下地層
110 磁性体膜
110A 第1磁性体膜
110B 第2磁性体膜
120 磁性体膜
130 非磁性体膜
140 磁性体膜
T1 第1端子
T2 第2端子
T3 第3端子
DW 磁壁
HE1 第1外部磁場
HE2 第2外部磁場
HE3 第3外部磁場
Claims (5)
- (A)それぞれの磁化方向が互いに逆向きの第1方向及び第2方向に固定された第1ピニング層及び第2ピニング層を形成するステップと、
(B)前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層を形成するステップの後に、前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層の両方と磁気的に結合するように磁化自由層を形成するステップと、
ここで、前記磁化自由層の中には、前記第1ピニング層と磁気的に結合する第1磁化固定領域、前記第2ピニング層と磁気的に結合する第2磁化固定領域、及び前記第1磁化固定領域と前記第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域が形成され、
(C)前記磁壁移動領域の磁化方向を、前記第1方向あるいは前記第2方向に設定するステップと
を含む
磁壁移動素子の製造方法。 - 請求項1に記載の磁壁移動素子の製造方法であって、
前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層を形成するステップは、
(A1)前記第1ピニング層の保磁力が前記第2ピニング層の保磁力より大きくなるように、前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層を形成するステップと、
(A2)前記第1方向の第1外部磁場を印加することにより、前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層の両方の磁化方向を前記第1方向に設定するステップと、
(A3)前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層の両方の磁化方向を前記第1方向に設定するステップの後、前記第2方向の第2外部磁場を印加することにより、前記第1ピニング層の磁化方向を反転させることなく、前記第2ピニング層の磁化方向だけを前記第2方向に反転させるステップと
を含む
磁壁移動素子の製造方法。 - 請求項1に記載の磁壁移動素子の製造方法であって、
前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層を形成するステップは、
(A1)第1磁性体膜を成膜し、前記第1磁性体膜をパターンニングすることにより、前記第1ピニング層を形成するステップと、
(A2)第2磁性体膜を成膜するステップと、
(A3)前記第1方向の第1外部磁場を印加することにより、前記第1ピニング層及び前記第2磁性体膜の両方の磁化方向を前記第1方向に設定するステップと、
(A4)前記第1ピニング層及び前記第2磁性体膜の両方の磁化方向を前記第1方向に設定するステップの後、前記第2方向の第2外部磁場を印加することにより、前記第1ピニング層の磁化方向を反転させることなく、前記第2磁性体膜の磁化方向だけを前記第2方向に反転させるステップと、
(A5)前記第2磁性体膜の磁化方向だけを前記第2方向に反転させるステップの後、前記第2磁性体膜をパターンニングすることにより、前記第2ピニング層を形成するステップと
を含む
磁壁移動素子の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁壁移動素子の製造方法であって、
前記磁壁移動領域の磁化方向を前記第1方向あるいは前記第2方向に設定するステップは、
前記第1方向あるいは前記第2方向の外部磁場を印加することによって、前記磁壁移動領域の磁化方向を、前記第1方向あるいは前記第2方向に設定するステップ
を含む
磁壁移動素子の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁壁移動素子の製造方法であって、
前記磁化自由層を形成するステップ及び前記磁壁移動領域の磁化方向を前記第1方向あるいは前記第2方向に設定するステップは、
前記第1ピニング層及び前記第2ピニング層の両方と磁気的に結合するように第3磁性体膜を形成するステップと、
ここで、前記第3磁性体膜の中には、前記第1ピニング層と磁気的に結合する第1磁化固定領域、前記第2ピニング層と磁気的に結合する第2磁化固定領域、及び前記第1磁化固定領域と前記第2磁化固定領域との間に挟まれた磁壁移動領域が形成され、
前記第1方向あるいは前記第2方向の外部磁場を印加することによって、前記磁壁移動領域の磁化方向を、前記第1方向あるいは前記第2方向に設定するステップと、
前記第3磁性体膜をパターンニングすることによって、前記磁化自由層を形成するステップと
を含む
磁壁移動素子の製造方法。
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