以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、画像処理装置の一実施形態を示している。図1において、画像処理装置10は、個々の撮影装置1に対応して配置されている。この画像処理装置10は、対応する撮影装置1で得られる画像における白色の基準を示す情報を生成し、生成した情報を色補正装置2に渡す。なお、画像処理装置10は、撮影装置1に対応して設ければよいので、撮影装置1が1台であれば、画像処理装置10も1つでよい。
図1に例示した画像処理装置10は、第1抽出部11と検出部12とを含んでいる。この第1抽出部11は、対応する撮影装置1によって時系列的に取得された複数の画像から、各画像に含まれる人物の服装を表す部分の画像それぞれを当該服装の色を示す標本画像として抽出する。また、検出部12は、第1抽出部11で得られた複数の標本画像の中から最大輝度を有する標本画像を検出し、検出した標本画像の色を表す情報を、この撮影装置1で得られる画像における白色の基準を示す情報として出力する。
第1抽出部11は、例えば、撮影装置1によって取得された各撮影画像に含まれる人物を表す画像それぞれから、当該人物の上半身に相当する部分の画像を、標本画像として抽出してもよい。
図2は、標本画像の抽出を説明する図である。なお、図2において、符号P1,Pj,Pkは、それぞれ撮影装置1によって時系列的に取得された複数枚の撮影画像に含まれる個々の撮影画像の例を示す。また、図2において符号tを付した矢印は、時間の経過を示している。
図2に例示した撮影画像P1,Pj,Pkは、それぞれ人物の像Ci,Cj,Ckを含んでいる。図1に例示した第1抽出部11は、例えば、図2に示した撮影画像P1,Pj,Pkからそれぞれに含まれる人物の像Ci,Cj,Ckを抽出する。そして、第1抽出部11は、抽出した人物の像Ci,Cj,Ckのうち、人物の上半身に対応する部分を抽出することにより、これらの人物の服装を表す部分に対応する標本画像Si,Sj,Skをそれぞれ抽出する。
ここで、図1に示した各撮影装置1が、例えば、ショッピングセンターや企業のオフィスなどのように、人の出入りの多い場所に設置されている場合には、多数の人物が各撮影装置1の視野を通過する。そして、各撮影装置1の視野を通過する多数の人物の中には、高い確度で服装の色が白色である人物が含まれている。例えば、数時間から数日に亘る期間を考えれば、各撮影装置1によってこの期間内に取得された撮影画像の中に、服装の色が白色である人物の像が含まれている確率は非常に高い。
したがって、上述したようにして、第1抽出部11が抽出した多数の標本画像の中で最大輝度を有する標本画像は、服装の色が白色である人物の像から抽出した標本画像である可能性は非常に高い。つまり、検出部12によって最大輝度を有する標本画像として検出される標本画像の色は、高い確度で白色である。したがって、検出部12によって最大輝度を有する標本画像として検出された標本画像の色を示す情報により、撮影装置1で得られる撮影画像における白色の基準を示すことができる。例えば、検出部12によって検出された標本画像の平均輝度値を、撮影装置1で得られる撮影画像における白色の基準を示す白色基準値とすることができる。
このように、本件開示の画像処理装置10は、対応する撮影装置1で時系列的に取得される撮影画像に服装の色が白色である人物の像が含まれる可能性の高さを利用して、当該撮影装置1で得られる撮影画像における白色の基準を示す白色基準値を取得する。つまり、本件開示の画像処理装置10は、対応する撮影装置1によってカラーチャートなどの特定の対象を撮影した画像を収集する必要がない。したがって、本件開示の画像処理装置10は、撮影装置1で得られる撮影画像における白色の基準を示す白色基準値を取得するための画像処理を自動的に行うことができる。同様に、図1に例示した各撮影装置1に対応する画像処理装置10により、個々の撮影装置1に対応する白色基準値を自動的に得ることができる。
そして、図1に例示した色補正装置2は、このようにして各撮影装置1に対応して得られた白色基準値に基づいて、各撮影装置1からそれぞれ得られる撮影画像の輝度補正を行う。これにより、各撮影装置1によって既知の輝度を持つ対象を撮影した際に得られる撮影画像に基づいて、当該撮影装置1で得られる撮影画像の輝度補正を行った場合と同等の輝度補正を実現することができる。
このように、本件開示の画像処理装置10によれば、色補正装置2が、個々の撮影装置1で得られた撮影画像に対して適用する輝度補正処理の基準となる白色基準値を取得する処理を自動化することができる。つまり、本件開示の画像処理装置10によれば、互いに離れた場所に設置された複数の撮影装置1それぞれについての輝度補正の自動化を実現することができる。
各画像処理装置10によって生成された白色基準値に基づいて、色補正装置2は、以降に、各撮影装置1によって得られる撮影画像についての輝度補正を行い、輝度補正後の撮影画像を画像蓄積装置3に蓄積する。このようにして、画像蓄積装置3に蓄積された撮影画像では、少なくとも、白色は同一の輝度で表される。したがって、異なる撮影装置1から得られた撮影画像にそれぞれ含まれる人物の服装を表す部分の画像の色に基づいて、それぞれの被写体となった人物の服装の色が同一か否かを判定することが可能となる。これにより、例えば、建物の各フロアにそれぞれ設置された複数の撮影装置1によって得られた撮影画像から服装の色が同一である人物の像を抽出することが可能となる。
例えば、建物のフロアを跨いで移動する人物を追跡するシステムなどでは、人物の服装の色は追跡対象の人物を絞り込む上で重要な手がかりとなる。したがって、本件開示の画像処理装置10は、上述したような画像に基づく追跡システムを実現する上で有用である。
ところで、各撮影装置1の設置場所の明るさは、時間的に変化する可能性がある。そこで、各撮影装置1が設置された設置場所における明るさの変動を考慮しながら、当該撮影装置1に対応する白色基準値を取得する方法について説明する。
図3は、画像処理装置の別実施形態を示している。なお、図3に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図3に例示した検出部12は、第2抽出部121と、正規化部122と、特定部123とを含んでいる。第2抽出部121は、撮影装置1によって時系列的に取得された複数枚の画像から、後述する背景に含まれる領域の画像を背景参照画像としてそれぞれ抽出する。正規化部122は、第2抽出部121で得られた背景参照画像の平均輝度に基づいて、第1抽出部11で得られる各標本画像の輝度を正規化することにより、標本画像の輝度に現れる撮影装置1の設置場所の明るさの変動による影響を補正する。特定部123は、正規化された各標本画像の輝度の最大値を、撮影装置1で得られる画像において白色を示す最大輝度として特定する。
ここで、撮影装置1によって得られる各撮影画像は、人物などの移動する被写体を含む前景と、壁や天井のように、移動する被写体の像の軌跡が通らないために、移動する被写体の像を含まない領域に対応する背景とを含んでいる。この背景は、撮影装置1の視野において、人物を含む被写体が移動する際に、この被写体の移動に伴う像の軌跡が通らない領域であり、被写体が移動しても画像に変化が現れない領域である。
そして、撮影装置1の設置場所における明るさの変化は、撮影装置1の視野に含まれる前景の明るさにも、背景の明るさにも同様に反映される。つまり、撮影装置1の設置場所における明るさの変化に伴って、前景に含まれる人物などの像から抽出された標本画像の輝度が変化する場合には、上述した第2抽出部121によって背景部分から抽出される背景参照画像にも、同等の輝度の変化が現れる。
したがって、第2抽出部121によって各撮影画像から抽出される背景参照画像の平均輝度の変動と、撮影装置1の設置場所における明るさの変化による標本画像の輝度の変動との間には強い相関関係がある。
図4は、背景参照画像の輝度と標本画像の輝度との相関関係を説明する図である。なお、図4において、符号P1,P2は、同一の撮影装置1によって別の時刻に撮影された撮影画像を示している。
図4(A)に示した撮影画像P1は、撮影装置1の設置場所の照明が暗い状態となっているときに得られた撮影画像の一例である。この撮影画像P1は、人物C1の画像を含んでいる。また、図4(A)に示した符号S1は、この人物C1の画像から抽出された標本画像の例である。また、符号B1は、撮影画像P1から抽出された背景参照画像の例である。
一方、図4(B)に示した撮影画像P2は、撮影装置1の設置場所の照明が明るい状態となっているときに得られた撮影画像の一例である。この撮影画像P2は、人物C2の画像を含んでいる。また、図4(B)に示した符号S2は、この人物C2の画像から抽出された標本画像の例である。そして、図4(B)に示した符号B2は、この撮影画像P2から抽出された背景参照画像の例である。
これらの背景参照画像B1,B2は、いずれも、対応する撮影画像P1,P2の視野内の背景を表す画像領域に含まれる同一の位置および大きさの部分である。例えば、背景参照画像B1,B2は、撮影画像P1,P2に含まれる天井を表す画像の一部である。
図4(A)に示した標本画像S1と、図4(B)に示した標本画像S2とをそのまま比較すると、標本画像S2のほうが明るい色として撮影されていることが分かる。しかし、撮影画像P1および撮影画像P2にそれぞれ含まれる背景参照画像B1,B2の輝度を比べると、撮影画像P1が取得されたときに比べて、撮影画像P2が取得されたときの方が、撮影装置1の設置場所の照明が明るいことが分かる。
このような場合に、例えば、撮影画像P2に含まれる背景参照画像B2の明るさを基準にして、撮影画像P1の明るさを正規化することにより、標本画像S1,S2の輝度を互いに比較することができる。
図4(C)は、図4(A)に示した撮影画像P1の背景参照画像B1の明るさを、上述した背景参照画像B2の明るさと一致させるように正規化することで得られた画像P1’を示している。図4(B)に示した標本画像S2と、図4(C)に示した正規化後の標本画像S1とを比較すれば、人物C2の服装よりも、人物C1の服装のほうが白色に近いことが分かる。つまり、このような正規化を行うことにより、撮影装置1が各撮影画像を取得した際の周囲の明るさにかかわらず、被写体となった人物の服装の色を忠実に示す標本画像を得ることができる。
例えば、図3に例示した正規化部122は、まず、第2抽出部121が各撮影画像から抽出した背景参照画像についてそれぞれ平均輝度を算出する。次いで、正規化部122は、この平均輝度と所定の参照値との比を、撮影装置1の設置場所における明るさの変動を示す係数として算出する。このようにして各撮影画像に対応して算出した係数を、正規化部122は、当該撮影画像から第1抽出部11によって抽出された標本画像に含まれる各画素の輝度値に乗じることにより、標本画像の明るさを正規化することができる。なお、上述した参照値は、例えば、撮影装置1を設置した際などに最初に得られた撮影画像における背景部分の輝度値でもよいし、また、背景部分の明るさの時間的な変動範囲の中央値に相当する輝度値でもよい。
正規化部122は、例えば、各撮影画像に対応する背景参照画像の平均輝度に基づいて求めた係数kと、当該撮影画像から抽出された個々の標本画像の平均輝度Yとを用いて、式(1)のように表される正規化された平均輝度Ynを算出してもよい。
Yn=k×Y ・・・(1)
このようにして各標本画像について得られた正規化後の平均輝度は、個々の撮影画像が取得された際の周囲の明るさにかかわらず、被写体となった人物の服装の色を忠実に示している。したがって、特定部123により、正規化された標本画像の平均輝度の最大値を特定することにより、撮影装置1によって得られる撮影画像において、白色を示す輝度を特定することができる。
したがって、図3に例示した検出部12を有する画像処理装置10によれば、撮影装置1の撮影範囲の明るさに変動がある場合にも、高い精度で、撮影装置1によって取得される撮影画像において白色を示す白色基準値を得ることができる。
図5は、画像処理装置の別実施形態を示している。なお、図5に示した構成要素のうち、図1又は図3に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図5に例示した画像処理装置10は、後述する領域判別装置3によって得られる情報を、検出部12の処理に利用する。
図5に例示した第1抽出部11は、移動体検出部111と、領域抽出部112とを含んでいる。移動体検出部111は、撮影装置1で取得された各撮影画像から人物を表す画像を検出する。領域抽出部112は、移動体検出部111による検出結果に基づいて、撮影装置1で取得された各撮影画像から、人物の服装を表す部分に相当する標本画像を抽出する。
移動体検出部111は、例えば、移動体が含まれない背景画像を予め用意しておき、各撮影画像とこの背景画像との差分を求めることにより、移動する物体を表す部分を検出してもよい。このような背景画像との差分に基づいて移動する物体を検出する手法として、移動体検出部111は、例えば、下記の文献1に開示された技法を利用することができる。
文献1:佐藤雄隆, 金子俊一, 丹羽義典, 山本和彦:“Radial Reach Filter(RRF)によるロバストな物体検出”, 信学論(D-II), Vol. J86-D-II No.5,pp 616-624, 2003.
なお、この手法を適用する場合に、移動体検出部111は、移動体を表す部分として検出した範囲の大きさおよび形状に基づいて、当該移動体が人物であるか否かを判断することが望ましい。そして、移動体が人物であると判断した場合に、移動体検出部111は、当該人物に対応する画像の範囲を示す情報を領域抽出部112に渡す処理を行うことが望ましい。
移動体検出部111は、各撮影画像から検出した移動体の画像が人物を表すか否かを、人の輪郭が有する特徴に基づいて判断してもよい。移動体検出部111は、この判断処理に、例えば、下記の文献2に開示された技法を利用することができる。
文献2:山内悠嗣, 山下隆義, 藤吉弘亘“Boostingに基づく特徴量の共起表現による人検出”, 信学論D, Vol. J92-D, No. 8, pp. 1125-1134, 2009.
また、領域抽出部112は、移動体検出部111によって検出された人物を表す画像の範囲を示す領域のうち、当該人物の上半身に対応する領域の画像を標本画像として抽出してもよい。標本画像の抽出を行う際に、領域抽出部112は、例えば、人物を表す画像の範囲の大きさで示される人物の身長と、当該人物の上半身の位置との関係を利用して、上述した範囲に含まれる標本画像の位置を推定してもよい。
図6は、人物を表す画像の範囲と標本画像との関係を示している。図6において、符号R1は、上述した移動体検出部111が、撮影画像P1において検出した人物を表す画像の範囲の例である。また、図6において、符号S1は、この範囲R1に基づいて、領域特定部112が特定した標本画像の範囲の例である。また、図6に示した矢印は、人物を表す画像の範囲R1の下側の境界を基準とした高さを示している。
図5に例示した領域抽出部112は、例えば、図6に示した人物を表す画像の範囲R1の高さHに基づいて、この画像において、人物の上半身に対応する画像が分布する範囲の上限を示す高さHuと下限を示す高さHdとをそれぞれ求める。そして、領域抽出部112は、上述した高さHuと高さHdとの間に含まれる範囲R1内の画素と同様の特徴を持つ画像の範囲を、上述した人物の服装の色を示す標本画像として抽出してもよい。このようにして領域を抽出する手法として、領域抽出部112は、例えば、下記の文献3に開示された技法を利用することができる。
文献3:永橋知行, 藤吉弘亘, 金出武雄“平滑化処理の繰返しによるグラフカットを用いた画像セグメンテーション”,情報処理学会論文誌CVIM, Vol. 1, No. 2, pp. 10-20, 2008.
なお、人物の上半身に相当する画像の範囲の上限を示す高さHuおよび下限を示す高さHdは、例えば、上述した画像の範囲R1の撮影画像における位置に基づいて高い精度で推定することができる。撮影画像における位置に基づく3次元における被写体の位置の推定に、領域抽出部112は、例えば、下記の文献4に開示された技法を利用することができる。
文献4:早坂光晴,富永英義,小宮一三:“逆投影法とカルマンフィルタを用いた複数移動物体位置認識とその追跡”,PRMU2001-132,pp.133-138,Nov,2001.
例えば、領域抽出部112は、上述した技法を用いることにより、撮影画像における上述した範囲R1の位置に基づいて、被写体となった人物の3次元空間における身長hおよび頭頂部の位置などを推定する。この推定結果に基づいて、領域抽出部112は、3次元空間におけるこの人物の上半身に相当する範囲に対応する画像上の範囲を推定すればよい。領域抽出部112は、このような推定処理を行う際に上半身に相当する範囲として、例えば、頭頂部からh×1/8〜h×4/8の範囲などを設定することが望ましい。
このようにして、図5に例示した移動体検出部111および領域抽出部112を含む第1抽出部11によれば、各撮影画像に含まれる人物を表す画像それぞれについて、当該人物の服装を表す標本画像を漏れなく、しかも高い精度で抽出することができる。
また、図5に例示した第2抽出部121は、抽出処理部124と、領域情報保持部125とを含んでいる。領域情報保持部125は、撮影装置1で得られる撮影画像において、背景参照画像として抽出すべき範囲が占める位置を示す情報を保持している。そして、抽出処理部124は、この領域情報保持部125に保持された情報に基づいて、各撮影画像から背景参照画像を抽出する。
領域判別装置3は、例えば、画像処理装置10が白色基準値を得るための処理を開始する前に、次に説明するようにして、撮影装置1の視野において人物を含む被写体の移動の軌跡と重ならない領域を示す情報を生成する。また、この領域判別装置3は、生成した情報を、背景参照領域を示す情報として、上述した領域情報保持部125に保持する。
図7は、背景参照画像を抽出する領域の特定を説明する図である。図7において、符号P1,P2,…,Pnは、画像処理装置10が白色基準値を得るための処理を開始する前に、撮影装置1によって時系列的に撮影されたn枚の撮影画像を示している。
図7に例示した撮影画像P1,P2,…,Pnは、撮影装置1の視野の左端から現れた人物C1が、撮影装置1の視野の右端まで横切っていく様子を表している。また、撮影画像P2,…,Pnは、撮影装置1の視野の右端から左端に移動していく別の人物C2の動きも捉えている。
また、図7において、符号SUB1,SUB2,…、SUBnは、上述した撮影画像P1,P2,…,Pnと、上述した背景画像との差分としてそれぞれ得られた差分画像を示している。なお、図7に例示した差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnでは、背景画像と一致している部分を網掛けで示し、不一致となった部分を点線で輪郭を囲んだ白抜きの領域として示している。各差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnにおいて、背景画像と不一致となった部分は、上述した撮影画像P1,P2,…,Pnに含まれる人物C1あるいは人物C2の像に相当している。なお、図7に示した各差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnにおいて、人物C1の像に対応する差分が検出された領域を符号TR1で示し、人物C2の像に対応する差分が検出された領域を符号TR2で示した。
図5に例示した領域判別装置3は、例えば、まず、撮影装置1から取得した撮影画像P1,P2,…,Pnと背景画像とをそれぞれ比較することにより、差分がある画素の画素値を「1」とし、差分が無い画素の画素値を「0」とした差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnを生成する。次いで、領域判別装置3は、これらの差分画像SUB1,SUB,…、SUBnにそれぞれ含まれる画素ごとに画素値の論理和を求めることにより、図7において符号CMPで示したような合成画像を生成してもよい。
図7に例示した合成画像CMPにおいて白色で示した部分TRは、上述した差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnの画素値の論理和が「1」となった部分であり、撮影装置1の視野を移動した多数の被写体の像に対応する軌跡を合成した結果を示している。つまり、合成画像CMPにおいて白色で示した部分TRは、上述した差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnのいずれかにおいて、人物を含む被写体の像の軌跡と重なったために背景画像と不一致となった部分である。一方、合成画像CMPにおいて網掛けで示した部分BGは、上述した差分画像SUB1,SUB2,…、SUBnの画素値の論理和が「0」となった部分であり、全ての差分画像において背景画像と一致するとされた部分を示している。この部分BGは、撮影画像P1,P2,…,Pnのいずれにおいても、撮影装置1の視野内を移動する被写体の像の軌跡が通らなかった部分であり、撮影装置1の視野における被写体の移動に伴う被写体の像の軌跡が全く重ならない背景領域に相当する。
領域判別装置3は、このようにして得られる合成画像に基づいて、全ての差分画像において背景画像と一致するとされた部分BGの内部において、図7において、符号B1で示すように、背景参照画像として抽出する領域を特定してもよい。領域判別装置3は、背景参照画像として望ましい大きさのテンプレートを用いることにより、背景参照画像B1の位置を特定してもよい。例えば、領域判別装置3は、上述した合成画像CMPの中で、上述した部分BG内の画素がテンプレート内に最も多く含まれるテンプレートの位置を検出し、検出した位置を背景参照画像B1の位置として特定してもよい。
また、領域判別装置3は、このようにして特定した領域を示す情報を、画像処理装置10による処理の開始に先立って、領域情報保持部125に格納しておけばよい。なお、撮影装置の視野内を移動する被写体の像の軌跡が通らない部分を検出する処理の詳細については、本出願人による特開2011−259324号公報を参照されたい。
このようにして領域情報保持部125に保持された情報に基づいて、図5に例示した抽出処理部124が抽出処理を行うことにより、撮影装置1の視野内を移動する物体の影響を受けない背景参照画像を高い精度で抽出することができる。これにより、正規化部122は、第1抽出部11によって抽出された標本画像の平均輝度を高い精度で正規化することができる。このようにして正規化された標本画像の平均輝度を比べることにより、特定部123は、撮影装置1に対応する白色基準値を高い精度で特定することができる。
以上に説明した本件開示の画像処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
図8は、画像処理装置10のハードウェア構成の一例を示している。なお、図8に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
コンピュータ装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、ローカルエリアネットワーク(LAN:local Area Network)インタフェース28とを含んでいる。図8に例示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、表示装置24と、入力装置25と、光学ドライブ装置26と、LANインタフェース28とは、バスを介して互いに接続されている。
上述した光学ドライブ装置26は、光ディスクなどのリムーバブルディスク27を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク27に記録された情報の読出および記録を行う。
コンピュータ装置20は、LANインタフェース28を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)30に接続されている。また、このLAN30には、複数の撮影装置1が接続されている。したがって、コンピュータ装置20は、LANインタフェース28を介して、これらの撮影装置1によって得られた撮影画像を取得することができる。
図8に例示した入力装置25は、例えば、キーボードやマウスなどである。画像処理装置10の操作者は、入力装置25を操作することにより、画像処理装置10に対して、例えば、各撮影装置1に対応する白色基準値を得るための画像処理を開始させる旨の指示などを入力することができる。
図8に例示したメモリ22は、コンピュータ装置20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が上述した白色基準値を得るための画像処理を実行するための画像処理プログラムを格納している。なお、上述した画像処理プログラムは、例えば、光ディスクなどのリムーバブルディスク27に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク27を光学ドライブ装置26に装着して読み込み処理を行うことにより、画像処理プログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークに接続する通信装置(図示せず)を介して画像処理プログラムをメモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
そして、プロセッサ21は、メモリ22およびハードディスク装置23に格納された画像処理プログラムを実行することにより、図1に例示した第一抽出部11、検出部12の機能を果たす。また、プロセッサ21が、上述した画像処理プログラムを実行する過程で得られた情報は、メモリ22あるいはハードディスク装置23内に保持される。つまり、上述したコンピュータ装置20に含まれるプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23との協働によって、本件開示の画像処理装置10を実現することができる。
また、プロセッサ21は、メモリ22およびハードディスク装置23と、LANインタフェース28と協働することにより、LAN30を介して接続された各撮影装置1に対応する画像処理装置10としての機能を果たすこともできる。
この場合に、図8に例示したように、ハードディスク装置23は、基準情報テーブル31を含んでもよい。そして、プロセッサ21は、各撮影装置1に対応して取得した白色基準値を、例えば、個々の撮影装置1を示す装置ID(IDentifier)に対応してこの基準情報テーブル31に保持することにより、これらの白色基準値を出力してもよい。
また、ハードディスク装置23は、各撮影装置1に対応して背景参照画像の位置を示す情報を保持する領域情報テーブル32を含んでもよい。このような領域情報テーブル32をハードディスク装置23内に設けることは、図5に例示した領域情報保持部125を実現する手法の一例である。
上述した画像処理プログラムは、撮影装置1で時系列的に取得される撮影画像から標本画像を抽出する処理をプロセッサ21に実行させるためのアプリケーションプログラムを含んでいる。また、この画像処理プログラムは、最大の輝度を持つ標本画像を検出する処理をプロセッサ21に実行させるためのアプリケーションプログラムを含んでいる。したがって、プロセッサ21が、この画像処理プログラムを実行することにより、本件開示の画像処理方法に従って、各撮影装置1から得られる撮影画像に基づいて、各撮影装置1対応の白色基準値を取得する画像処理を実行することができる。
プロセッサ21は、標本画像を抽出する処理の完了後に、最大の輝度を持つ標本画像を検出する処理を実行してもよいし、標本画像を抽出する処理を実行する過程で、最大の輝度を持つ標本画像を検出する処理の一部を並行して実行してもよい。
まず、プロセッサ21が、複数の撮影装置1から選択した処理対象の撮影装置によって得られる撮影画像から標本画像を抽出する処理の完了後に、最大の輝度を持つ標本画像を検出する処理を実行する場合について説明する。
図9は、白色基準値を得る処理のフローチャートの一例を示している。図9に示したステップS300〜ステップS305の各処理は、画像処理プログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップS300〜ステップS305の各処理は、プロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、LANインタフェース28を介して撮影装置1から撮影画像を取得するとともに、取得済みの撮影画像の枚数を示す取得画像数numに数値「1」を加算する(ステップS301)。プロセッサ21は、例えば、数十ミリ秒〜数秒程度の所定の時間ごとに撮影装置1で得られる撮影画像を取得してもよい。なお、プロセッサ21は、白色基準値を得る処理の開始に先立って、取得画像数numに初期値「0」を設定しておくことが望ましい。
次いで、プロセッサ21は、図6を用いて説明したようにして、取得した撮影画像から標本画像を抽出する(ステップS302)。撮影画像に複数の人物の像が含まれていた場合に、プロセッサ21は、このステップS302の処理において、これらの人物の像それぞれに含まれる服装部分の画像を標本画像として抽出する。
その後、プロセッサ21は、取得画像数numが所定数Nに到達したか否かを判定する(ステップS303)。この所定数Nは、例えば、数時間から数日に亘る期間において、上述したステップS301で取得する撮影画像の枚数に基づいて予め設定しておくことができる。なお、この所定数Nの値は、各撮影装置1の設置場所において、服装の色が白色である人物が現れる確率などに基づいて、撮影装置1それぞれについて予め設定しておいてもよい。例えば、オフィスなどのように、白色の衣服を着た人物が比較的多い場所に設置された撮影装置1に対応する所定数Nには、屋外に設置された撮影装置1に対応する所定数Nよりも小さい値を設定してもよい。
取得画像数numが所定数N未満である場合に、プロセッサ21は、ステップS303の否定判定ルートに従ってステップS301の処理に戻り、ステップS301〜ステップS303の処理を繰り返す。このように、プロセッサ21が、ステップS301〜ステップS303の処理を繰り返すことにより、図1に例示した第1抽出部11の機能を果たすことができる。
そして、取得画像数numが所定数Nに到達したときに、プロセッサ21は、ステップS303の肯定判定ルートに従ってステップS304の処理に進む。このステップS304において、プロセッサ21は、上述したステップS301〜ステップS303の処理によって各撮影画像から抽出した標本画像の中から、例えば、最大の輝度を持つ標本画像を検出する。このステップS304において、プロセッサ21は、例えば、標本画像それぞれについて平均輝度Yを求め、これらの平均輝度Yにおける最大値を特定することにより、最大の輝度を持つ標本画像を検出してもよい。
次いで、プロセッサ21は、ステップS304で検出した標本画像に基づいて、撮影装置1で得られる撮影画像における白色を示す白色基準値Ysを特定し、この白色基準値Ysを出力する(ステップS305)。ステップS305において、プロセッサ21は、例えば、ステップS304の処理において、各標本画像について得られた平均輝度Yの最大値を、当該撮影装置1に対応する白色基準値Ysとしてもよい。また、プロセッサ21は、このようにして得られた白色基準値Ysを、ハードディスク装置23に設けられた基準情報テーブル31に、撮影装置1を示す装置IDに対応して格納する。このように、プロセッサ21が、ステップS304およびステップS305の処理を実行することにより、図1に例示した検出部12の機能を実現することができる。
また、プロセッサ21は、LAN30に接続された各撮影装置1について、上述したステップS301〜ステップS305の処理を並行して実行してもよい。そして、各撮影装置1に対応する処理によって得られる白色基準値を、ハードディスク装置23内の基準情報テーブル31に格納してもよい。
このようにして基準情報テーブル31に格納された白色基準値を図1に例示した色補正装置2に渡すことにより、色補正装置2は、各撮影装置1で得られる撮影画像について、それぞれに対応する白色基準値に基づく色補正処理を実行することが可能となる。
次に、プロセッサ21が、複数の撮影装置1から選択した処理対象の撮影装置によって得られる撮影画像から標本画像を抽出する処理を実行する過程で、最大の輝度を持つ標本画像を検出する処理の一部を並行して実行する手法について説明する。
図10は、白色基準値を得る処理のフローチャートの別例を示している。なお、図10に示したステップのうち、図9に示したステップと同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図10に示したステップS300〜ステップS305およびステップS311〜ステップS317の各処理は、画像処理プログラムに含まれる処理の一例である。また、これらの各処理は、プロセッサ21によって実行される。
プロセッサ21は、まず、ハードディスク装置23に設けられた領域情報テーブル32を参照することにより、処理対象の撮影装置1に対応する背景参照画像の位置を示す情報を取得する(ステップS311)。また、プロセッサ21は、このステップS311の処理において、例えば、白色基準値Ysに初期値「0」を設定してもよい。
次いで、プロセッサ21は、上述したステップS301の処理を実行することにより、撮影装置1で得られた撮影画像を取得し、次いで、この撮影画像から背景参照画像を抽出する(ステップS312)。プロセッサ21は、例えば、上述したステップS311で取得した背景参照画像の位置を示す情報に基づいて、撮影画像から上述したテンプレートに相当する大きさを持つ画像を切り出すことにより、各撮影画像に対応する背景参照画像を抽出することができる。このように、プロセッサ21が、ステップS312の処理を実行することにより、図3に例示した第2抽出部121の機能を実現することができる。ステップS312で抽出した背景参照画像に含まれる各画素の輝度値に基づいて、プロセッサ21は、この背景参照画像の平均輝度に基づいて、図4を用いて説明したようにして正規化処理のための係数kを算出する(ステップS313)。
次に、プロセッサ21は、ステップS302の処理を実行することにより、撮影画像に含まれる標本画像を抽出する。次いで、プロセッサ21は、ステップS302の処理で抽出した標本画像の一つを選択し、選択した標本画像に含まれる各画素の輝度値に基づいて、当該標本画像の平均輝度を算出する(ステップS314)。例えば、プロセッサ21は、撮影画像に含まれる人物の像のそれぞれに対応して標本画像を抽出するごとに、抽出した標本画像の平均輝度Yを算出してもよい。また、更に、プロセッサ21は、ステップS314で算出した標本画像の平均輝度Yを、上述した係数kを用いて正規化する(ステップS315)。ステップS315において、プロセッサ21は、例えば、上述した式(1)を用いることにより、各標本画像について得られた平均輝度Yに対応する正規化された平均輝度Ynを求めてもよい。
このように、プロセッサ21は、各撮影画像から標本画像を抽出する処理が行われる過程と並行して、ステップS314およびステップS315の処理を実行する。これにより、図3に例示した第1抽出部11による標本画像の抽出処理が行われる過程と並行して、正規化部122による個々の標本画像を正規化する機能を実現するための処理を実行することができる。
また、このようにして各標本画像の平均輝度Yを正規化するごとに、プロセッサ21は、正規化した標本画像の平均輝度Ynと白色基準値Ysとの比較を行う(ステップS316)。 そして、正規化された標本画像の平均輝度Ynが白色基準値Ysよりも大きいと判定した場合に(ステップS316の肯定判定)、プロセッサ21は、白色基準値Ysを正規化された標本画像の平均輝度Ynによって更新する(ステップS317)。一方、正規化された標本画像の平均輝度Ynが白色基準値Ys以下であると判定した場合に(ステップS316の否定判定)、プロセッサ21は、ステップS317の処理をスキップする。この場合に、白色基準値Ysの値は、それまでに設定された値を維持する。
その後、プロセッサ21は、ステップS302において抽出された全ての標本画像について、ステップS314〜ステップS317の処理を実行したか否かを判定する(ステップS318)。未処理の標本画像がある場合に、プロセッサ21は、ステップS318のひて判定ルートに従って、ステップS314の処理に戻る。そして、未処理の標本画像について、ステップS314〜ステップS317の処理を繰り返す。
このようにして、ステップS301で取得した撮影画像から抽出された全ての標本画像についての処理が終了したときに、プロセッサ21は、ステップS318の肯定判定ルートに従ってステップS303の処理に進む。
ステップS303の否定判定ルートにおいて、プロセッサ21は、ステップS301の処理で新たに取得した撮影画像について、ステップS312〜ステップS318の処理を繰り返す。そして、取得画像数numが所定数Nに到達したときに(ステップS303の肯定判定)、プロセッサ21は、ステップS305の処理に進む。このステップS305の処理において、プロセッサ21は、各標本画像についてステップS314〜ステップS317の処理を繰り返す過程において得られた白色基準値Ysを、処理対象の撮影装置1に対応する白色基準値として出力する。
このように、プロセッサ21が、各撮影画像から標本画像を抽出する処理を実行する過程で、ステップS316およびステップS317の処理を実行することにより、図3に例示した特定部123の機能を実現してもよい。
このようにして、処理対象の撮影装置1からの撮影画像の取得および各撮影画像からの標本画像の抽出処理の完了とほぼ同時に、撮影装置1に対応する白色基準値を特定する処理を完了させることができる。
また、プロセッサ21は、LAN30に接続された各撮影装置1からそれぞれ得られる撮影画像についての上述した処理を並列に実行してもよい。これにより、多数の撮影装置1がLAN30に接続されている場合においても、各撮影装置1に対応する白色基準値を短い時間で取得することができる。
以上に説明した本件開示の画像処理装置10において、検出部12は、撮影装置1で得られた各撮影画像から抽出した標本画像の平均輝度以外の指標に基づいて、最大の輝度を持つ標本画像を検出してもよい。例えば、検出部12は、標本画像に含まれる各画素の輝度値についてのソート結果から輝度値が高い順に所定数を抜き出し、抜き出した輝度値について得た平均値を、標本画像の平均輝度の代わりに用いることができる。つまり、検出部12は、標本画像によって表される人物の服装の色の明るさを示す指標であれば、いかなる指標であっても、最大の輝度を持つ標本画像を検出する処理に利用してもよい。