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JP2013171754A - 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池及びその製造方法 Download PDF

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JP2013171754A JP2012035815A JP2012035815A JP2013171754A JP 2013171754 A JP2013171754 A JP 2013171754A JP 2012035815 A JP2012035815 A JP 2012035815A JP 2012035815 A JP2012035815 A JP 2012035815A JP 2013171754 A JP2013171754 A JP 2013171754A
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Abstract

【課題】金属支持型の燃料電池において、ガスの経路として機能する空隙が大きいガス透過性金属基板を支持基板に用いた場合でも、基板としてのガス透過性や電気伝導性を損なうことなく、円滑な電極の形成を可能にし、もって高性能の固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】その空隙2aを針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル、繊維状ニッケルのうちの少なくとも1種の材料3で埋めたり、その表面を上記材料3から成る層で被覆したりすることによって平滑な表面状態としたガス透過性金属基板2の上に、燃料極4、電解質5、空気極6を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池と、その製造方法に係り、特に支持基板として用いるガス透過性金属における通気用空隙の径や目開きが大きい場合でも、ガス拡散性を犠牲にすることなく、燃料極を支障なく成膜することができるようにした燃料電池に関するものである。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、電解質としてYSZ(イットリア安定化ジルコニア)などの酸化物から成る固体電解質を用い、その両側にガス透過性を備えた電極を配置した構造を備え、1000℃近くの高温で作動する。
このような固体酸化物形燃料電池の積層構造としては、アノード支持型や電解質支持型のものが知られているが、これらタイプの燃料電池においては、支持基板としてセラミックス材料から成るものを用いることになるため、薄型となった場合は基板強度が得られず、柔軟性についても確保が困難となる。
さらに、基板強度や柔軟性の観点に加えて、セルをスタッキングする際の簡便性をも考慮すると、上記のような電極支持型や電解質支持型に較べて、ガス透過性を備えた多孔質金属を支持基板として用いた金属支持型セルが望ましいことになる。
このような支持基板には、支持部材としての十分な強度と、電気伝導度と、燃料電池に燃料ガスを供給するに十分なガス透過性を備えていることが要求され、具体的には、例えば、パンチングメタル、エッチングメタル、金属メッシュ(金網)、エキスパンデッドメタル、発泡金属、金属不織布などが用いられる。
そして、このような材料から成る金属基板上に、燃料極、電解質、空気極から成る電池要素を形成するためには、その表面の平滑性が求められる。例えば、パンチングメタルにおいては、大きいものでは100μmを超える孔径のものがあり、このようなパンチングメタルの表面上に電極を形成しようとすると、電極材がその孔の中に入り込んでしまい、平滑な電極を得ることができなくなる。
例えば、特許文献1には、貫通孔を有する支持基板と、その上に貫通孔を塞ぐように配置された一方の電極と、この電極上の電解質と、この電解質上の他方の電極と、上記支持基板の貫通孔内に充填された導電性の多孔質集電体を備えた固体酸化物形燃料電池が記載されている。
そして、当該特許文献1の〔発明を実施するための最良の形態〕の欄には、上記導電性多孔質集電体の充填に関して、発泡剤樹脂を含む集電体ペーストを支持基板の貫通孔内に埋めた状態で焼結することが開示されている。
特開2008−251383号公報
したがって、金属支持基板として、上記のようなパンチングメタルを適用した場合、その貫通孔に上記のような集電体ペーストを充填した上で焼結することによって、この貫通孔を多孔質導電体によって埋めることができ、その上に平滑な電極を形成することができるものと考えられる。
しかしながら、このように形成された多孔質導電体から成る充填物は、焼結の当座は多孔性を有し、良好なガス透過性を発揮するものの、高温での作動(発電)中に多孔性が次第に失われることがあり、結果としてガス透過性が損なわれるという問題があった。
本発明は、従来の金属支持型セルにおける上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、ガスの通気経路として機能する空隙が大きい支持基板上にも、ガス拡散性や電気伝導性を損なうことなく電極を形成することができ、高性能の固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、支持基板として用いるガス透過性金属の空隙内に繊維状ニッケルを充填したり、その表面に繊維状ニッケルによる被複層を形成したりすることによって上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の固体酸化物形燃料電池は、空隙を有し、この空隙内の少なくとも表面側に、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料が充填されたガス透過性金属基板の表面に、燃料極、電解質及び空気極がこの順に積層してあることを特徴としている。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池は、空隙を有するガス透過性金属基板の表面、又はこのようなガス透過性金属基板の空隙内に、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料が充填されたガス透過性金属基板の表面に、上記した少なくとも1種の材料から成る被覆層を介して燃料極、電解質及び空気極がこの順に積層してあることを特徴とする。
そして、本発明の固体酸化物形燃料電池の製造方法においては、上記材料の空隙内への充填や被複層の形成に際して、塗布、ディープコーティング、スクリーン印刷、グリーシート圧着、プレスから成る群より選ばれる少なくとも1種以上の方法で適用することを特徴としている。
また、上記材料の空隙内への充填や被複層の形成ののち、大気中、あるいは不活性雰囲気又は水素を含む雰囲気中で、300〜1200℃の温度に加熱することを特徴としている。
本発明によれば、空隙を所定材料で埋めたり、表面を所定材料の層で被覆したりすることによって表面を平滑にした状態のガス透過性金属基板上に燃料極が形成された構造としたから、燃料極やこれに続く電解質、空気極の積層が支障のないものとなる。そして、空隙内や被覆層中の材料に含まれる針状蓚酸ニッケルや針状酸化ニッケルは、充填後の処理あるいは、発電時の燃料ガスによって還元されて、最終的に繊維状ニッケル(金属)となることから、支持基板としてのガス透過性や電気伝導性が確保され、優れた電池性能が発揮されることになる。
(a)〜(d)は本発明の固体酸化物形燃料電池の実施の形態例を示すそれぞれ断面図である。 本発明に用いる針状蓚酸ニッケルの形状を示す走査型電子顕微鏡画像である。 図2に示した針状蓚酸ニッケルを不活性雰囲気中で加熱処理して得られた針状ニッケル粒子の形状を示す走査型電子顕微鏡画像である。
以下に、本発明の固体酸化物形燃料電池について、その実施形態や製造方法などと共に、さらに具体的に説明する。
本発明の固体酸化物形燃料電池においては、空隙内の少なくとも表面側に、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料が充填された状態のガス透過性金属基板が支持基板として用いられ、この表面に、燃料極、電解質及び空気極がこの順に積層されている。
あるいはその表面を上記材料から成る層で被覆したガス透過性金属基板が用いられ、この被覆層上に、燃料極、電解質及び空気極がこの順に積層してあることを特徴としている。このとき、基板の空隙内の一部あるいは全域に、上記材料が充填されていたとしても、何ら支障はない。
なお、本発明において、ガス透過性金属基板の「空隙」とは、ガス透過性金属基板の通気路として機能する空間部を指し、具体的には、ガス透過性金属基板がパンチングメタルやエキスパンデッドメタル、エッチングメタルなどの場合には貫通孔、発泡金属(スポンジメタル、多孔質金属)の場合には連続気泡、金属メッシュの場合には素線間の目開き、金属不織布の場合には金属繊維間の隙間をそれぞれ意味する。
また、本発明において、「針状」とは、50〜500nmの平均径を有し、長さがその10倍以上の粒子形状のものを意味する。
図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池の形態例を示すものであって、図1(a)は、第1の実施形態としての断面図である。
図に示す固体酸化物形燃料電池1は、ガス透過性金属基板2の空隙2a内の表面側に、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料3(以下、当該材料を総称して、便宜上「針状ニッケル材料」と称することがある)が充填され、その上に、燃料極4、電解質5及び空気極6がこの順に積層してある。
ガス透過性金属基板2は、NiやCrを含有する耐食合金や耐食鋼、ステンレス鋼などから成り、多数の空隙2a(孔、目開き、隙間)を備えた板状のもの、例えば、上記したようなパンチングメタル、エッチングメタル、金属メッシュ(金網)、エキスパンデッドメタル、発泡金属、金属不織布などを用いることができる。
なお、上記針状ニッケル材料3は、当該基板2の空隙2aを塞いで、基板表面が平滑化される限り、図1(a)に示すように、空隙2aの表面側にのみ充填されていれば足りるが、空隙2aの全体に充填しても支障はなく、強度や充填方法の観点からは、この方が好ましいとも言える。
燃料極4としては、ニッケルだけでも機能するが、YSZに代表される酸素イオン伝導体を混在させたサーメットを用いることが望ましく、これによって反応エリアが増し、電極性能を向上させることができる。このとき、YSZに替えて、SDC(サマリアドープトセリア)やGDC(ガト゛リウムドープトセリア)を用いることも可能である。
また、電解質5としては、例えば、YSZ、SDC、SSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、LSGM(ランタンストロンチウムマグネシウムガレート)などの固体酸化物を用いることができる。
空気極6の材料としては、例えばLSCF(La1−xSrCo1−yFe)、SSC(SmSr1−xCoO)、LSM(La1−xSrMnO)などのようなぺロブスカイト系材料が用いられる。
このとき、空気極6と電解質5の間の反応を防止するため、必要に応じて、これらの間に中間層を設けることができる。
例えば、電解質としてYSZを、空気極としてLSCFを用いる場合、LaとZrは反応して絶縁層を作ってしまうために、例えばSDC、YDC(イットリアドープトセリア)、GDCのようなドープ型セリア系の材料から成る中間層を形成することが望ましい。
なお、上記した燃料極4や電解質5、空気極6、中間層については、それぞれの材料と共に、バインダーや分散剤を含むペーストを用いてスクリーン印刷などの湿式法を用いる他、スパッタ法やガスデポジション法のようなPVD法(物理蒸着)によっても形成することができる。
図1(b)は、本発明の固体酸化物形燃料電池の第2の形態例を示すものであって、図に示す固体酸化物形燃料電池1は、空隙2aを備えたガス透過性金属基板2の上に、上記針状ニッケル材料3から成る被覆層が当該基板2の表面全体を覆うように形成されている。そして、この被複層を介して、基板2の上に、燃料極4、電解質5及び空気極6が同様に積層される。
この実施形態においては、基板2の金属面と、針状ニッケル材料3から成る面との断続面となる第1の実施形態と比較して、燃料極4の成膜面が全て針状ニッケル材料3から成る連続面となることから、燃料極4を始めとする電池要素をより均一に形成することができる。
上記第2の実施形態は、ガス透過性金属基板2の空隙2aの内部に針状ニッケル材料3が充填されるものではないが、図1(c)あるいは(d)に示すように、空隙2a内の一部あるいは全体に針状ニッケル材料3が入り込んだとしても何ら支障はなく、このような実施形態を排除するものではない。
本発明の固体酸化物形燃料電池において、針状ニッケル材料3を構成する粒子、すなわち針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル、繊維状ニッケルの各粒子は、単独あるいは2種以上の混合状態で、ガス透過性金属基板2の表面に対して、ほぼ平行な方向に配向していることが望ましい。これによって各粒子が互いに折り重なることになり、金属基板2の空隙2aを容易に封止することができるようになる。
本発明の固体酸化物形燃料電池においては、上記したように、ガス透過性金属基板2における空隙2aの内部や基板の表面に、針状ニッケル材料3、すなわち針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料が介在している。
これら材料のうち、針状蓚酸ニッケル(NiC)は、後述するように、後工程において、単独工程あるいは電極形成時に大気中で加熱することによって酸化され、針状の酸化ニッケルとなる。また、不活性雰囲気又は水素を含む雰囲気で加熱することによって還元され、繊維状の金属ニッケルとなる。
また、針状酸化ニッケルについても、燃料電池としての運転開始と同時に、燃料ガスによって還元され、繊維状の金属ニッケルとなる。
したがって、完成状態の燃料電池におけるガス透過性金属基板表面や空隙内に、蓚酸ニッケルや酸化ニッケルの形態の針状ニッケル材料が介在していたとしても、これらは燃料電池の運転開始直後には、いずれも還元されて、最終的に繊維状の金属ニッケルとなる。
このような繊維状ニッケルは、粒子間の繋がりがしっかりと形成され、繊維状の粒子同士が互いに交差した構造となるため、従来の球状のものと較べて、粒子間の繋がりがより確実なものとなり、電子伝導性が高くなり、ガス透過性にも優れたものとなる。
このような針状蓚酸ニッケルの走査型電子顕微鏡画像を図2に示す。また、この針状蓚酸ニッケルをそのまま不活性雰囲気中で加熱処理して得られた繊維状ニッケルの走査型電子顕微鏡画像を図3に示す。これによれば、繊維状のニッケル粒子が鎖状に連結されていることが分かる。
なお、上記した針状蓚酸ニッケルは、例えば、市販の蓚酸ナトリウムと塩化ニッケル水和物から、後述するような方法によって合成することができる。
本発明の上記固体酸化物形燃料電池の製造方法において、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料から成る上記針状ニッケル材料の間隙内への充填や、基材表面への被覆に際しては、種々の方法を適用することができる。
これら方法としては、特に限定されるものではないが、塗布、ディープコーティング、スクリーン印刷、グリーシート圧着、粉体プレス法のいずれか、あるいはこれらの2種以上の方法を併用することが充填効率や作業性の観点から望ましい。なお、これら以外に、他のウエットコーティング法、例えばスピンコート法やスプレー法を適用することも可能である。
本発明の上記固体酸化物形燃料電池の製造に際しては、上記針状ニッケル材料のガス透過性金属基材の間隙内への充填や、基材表面への被覆を終えた後、大気中で300〜1200℃の温度に加熱することができ、これによって、間隙内や基材表面の針状蓚酸ニッケルが針状の酸化ニッケルとなる。
なお、この加熱工程は、基板単独で行うこともできるが、燃料極の焼成と同時に行うことも可能である。
また、針状ニッケル材料の間隙内への充填や、表面への針状ニッケル材料の被覆を終えたガス透過性金属基材を不活性雰囲気中、あるいは水素を含む雰囲気中で300〜1200℃の温度に加熱することもでき、これにより間隙内や基材表面の針状蓚酸ニッケルが繊維状の金属ニッケルとなる。
なお、この場合、後工程である燃料極、電解質、空気極から成る電池要素の形成に際しては、酸素を含まない雰囲気中で行うことが望ましく、これによって繊維状ニッケルの酸化やこれによる繊維状構造の破壊を防止することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池の製造方法においては、上記のように、針状ニッケル材料の充填や被覆を終えた基材を上記のような各雰囲気中で加熱することにより、針状ニッケル材料に含まれる針状蓚酸ニッケルを針状酸化ニッケルや繊維状ニッケルとした後、当該基材上に電池要素を形成するのが基本となる。
しかし、先に述べたように、針状蓚酸ニッケルや針状酸化ニッケルは、燃料電池としての運転開始と同時に燃料ガスによって還元されて、金属状態の繊維状ニッケルとなる。
したがって、上記のような加熱処理を省略して針状蓚酸ニッケルのままとしたり、加熱処理が不十分で針状蓚酸ニッケルの状態で残存していたりいたとしても、何らの支障はなく、このような基材の表面に電池要素を形成することにより、本発明の固体酸化物形燃料電池とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて、具体的に説明するが、本発明はこのような実施例によって何ら限定されないことは言うまでもない。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を意味するものとする。
実施例及び比較例による各固体酸化物形燃料電池の作製に先立ち、以下に示す要領によって、針状蓚酸ニッケルを合成すると共に、針状蓚酸ニッケルペースト、針状蓚酸ニッケルグリーンシート、針状蓚酸ニッケルのディープコーティング液、燃料極ペースト、空気極ペーストをそれぞれ調製した。
〔針状蓚酸ニッケルの合成〕
まず、塩化ニッケル6水和物(NiCl・6HO)と蓚酸ナトリウム(Na)を用意し、それぞれを蒸留水に溶解させた。
次に、上記塩化ニッケル水溶液とアンモニア水(28%NH)のを混合したのち、塩酸(HCl)あるいは苛性ソーダ(NaOH)の水溶液を用いて、上記混合溶液と、先に得られた蓚酸ナトリウム水溶液のpH調整(pH=9.5)を行った。
そして、NaOHで蒸留水のpH値を9.5に調整した液中に、pH調整した上記混合溶液と蓚酸ナトリウム水溶液を同時に滴下(温度:363K、滴下速度:1.6dm/s)して、針状の蓚酸ニッケルを生成させ、攪拌によって成長させた(熟成時間:4時間)。こののち、ろ過した沈殿物を蒸留水で洗浄し、大気中室温で1日乾燥させることによって、針状蓚酸ニッケルを得た。
なお、得られた針状蓚酸ニッケル粒子は、100nm程度の平均径を有し、針状粒子の長さは、径の50〜100倍程度であった。
〔針状蓚酸ニッケルペーストの調製〕
上記により合成した針状蓚酸ニッケル85%と、エチルセルロース(バインダ)5%と、酢酸ブチル(分散剤)10%を加えて混合することにより、針状蓚酸ニッケルペーストを調製した。
〔針状蓚酸ニッケルを含むグリーンシートの調製〕
上記により合成した針状蓚酸ニッケルと、水溶性のアクリル系バインダと、PEG(ポリエチレングリコール:造孔剤)と有機系の分散剤とを混合し、テープキャスト法によって、針状蓚酸ニッケルを80%含有するグリーンシートを作製した。
〔針状蓚酸ニッケルを含むディープコーティング液の調製〕
上記により合成した針状蓚酸ニッケル5gを150mLの希硝酸(0.05M)中で分散させ、さらにPVA(ポリビニルアルコール)を混合することによって、針状蓚酸ニッケルのディープコーティング液を調製した。
〔燃料極ペーストの調製〕
市販のNiO粉末とYSZとが70:30の質量比となるように配合し、これにエチルセルロースと、酢酸ブチルを加えて混合することにより、発電時にNi−YSZサーメットとなる燃料極ペーストを調製した。
〔空気極ペーストの調製〕
LSCF(La0.7Sr0.3Co0.8Fe0.2)に、エチルセルロースと酢酸ブチルとを加えて混合し、上記LSCFを85%含有する空気極ペーストを調製した。
実施例1
ガス透過性金属基板として、板厚200μmのニッケル板にフォトエッチングを施すことによって、200μm径の空隙を無数に形成した30mm径の円板状エッチングメタルを使用し、この基板の一方の面に、上記により調製した針状蓚酸ニッケルペーストを塗布した。そして、150℃で乾燥した後、大気中で900℃、2時間加熱した。
次に、上記基板のペースト塗布面上に、上記により調整した燃料極ペーストを塗布し、大気中1100℃で、2時間焼成することによって、NiO粉末とYSZを含む燃料極を30μmの厚さに形成した。
そして、上記燃料極の上に、YSZから成る電解質をスパッタ法によって5μmの厚さに成膜すると共に、さらにその上にSDCから成る中間層をスパッタ法によって3μmの厚さに成膜した。
そして、上記中間層上に、上記により調整した空気極ペーストを塗布し、1050℃で焼成することにより、LSCFから成る空気極を形成して燃料電池となし、本発明の第1の実施例として、図1(c)に示したような固体酸化物形燃料電池を得た。
実施例2
オーステナイト系ステンレス鋼SUS316から成り、厚さ150μm、目開き50μmの空隙を有する1辺50mmの角形金網をガス透過性金属基板として使用し、この基板の両側から上記により調製した針状蓚酸ニッケルペーストを塗布した。そして、同様に、150℃で乾燥し、900℃で2時間焼成した。
そして、このようにして得られた基板の一方の面上に、上記同様の操作を繰り返すことによって、燃料極、電解質、中間層及び空気極をこの順に形成し、本発明の第2の実施例として、図1(d)に示したような固体酸化物形燃料電池を得た。
実施例3
フェライト系ステンレス鋼SUS430から成り、厚さ150μm、0.7mm×0.4mmの空隙サイズを有する30mm径の円板状エキスパンデッドメタルをガス透過性金属基板として使用し、この基板の両側から上記により調製した針状蓚酸ニッケルペーストを塗布した。次いで、150℃で乾燥した後、不活性雰囲気中で1000℃、2時間加熱した。
そして、このようにして得られた基板の一方の面上に、同様の材料を用いて、燃料極、電解質、中間層及び空気極をこの順に形成し、本発明の第3の実施例として、図1(d)に示したような固体酸化物形燃料電池を得た。但し、この場合、上記電池要素の形成に際しては、全て不活性雰囲気下で行ない、基材の空隙内に充填されている繊維状ニッケルの酸化を防止するようにした。
実施例4
ガス透過性金属基板として、フェライト系ステンレス鋼SUS430から成り、厚さ200μm、300μm径の円形空隙を無数に形成備えた30mm径の円板状パンチングメタルをガス透過性金属基板として使用し、この上に、上記により調製した針状蓚酸ニッケルのグリーシートを重ねて、400℃で熱圧着させた。
そして、この上に、上記同様の操作を繰り返すことによって、燃料極、電解質、中間層及び空気極をこの順に形成し、本発明の第4の実施例として、図1(b)に示したような固体酸化物形燃料電池を得た。
実施例5
ガス透過性金属基板として、フェライト系ステンレス鋼SUS430から成り、厚さ300μm、径30mmの円板状をなし、金属繊維間の間隔(空隙)が50μm金属不織布を用い、当該基材上に、上記により合成された針状蓚酸ニッケルの粉末を均一にまぶし、プレス機によって圧着させた。
そして、この上に、上記同様の操作によって、燃料極、電解質、中間層及び空気極をこの順に形成することによって、本発明の第5の実施例として、図1(c)に示すような固体酸化物形燃料電池を得た。
実施例6
ガス透過性金属基板として、フェライト系ステンレス鋼SUS430にフォトエッチングを施して成り、100μm径の空隙を無数に備えた板厚100μm、30mm径の円板状エッチングメタルを使用し、この基材を上記により調製した針状蓚酸ニッケルのディープコーティング液に浸漬した後、ゆっくり引き上げる操作を10回繰り返すことによって、基材の空隙中にコーティング液を含浸させた。そして、150℃で乾燥した後、水素を15%(容積比)含む雰囲気中で1000℃、2時間加熱した。
そして、このようにして得られた基板の一方の面上に、同様の材料を用いて、燃料極、電解質、中間層及び空気極をこの順に形成し、本発明の第6の実施例として、図1(a)に示したような(但し、基板の空隙内の全域に繊維状ニッケルが充填されている)固体酸化物形燃料電池を得た。なお、当該実施例においては、上記電池要素は、燃料極の作製まで不活性雰囲気下で形成した。なお、電解質はスパッタにより形成し、空気極はガスデポジション法で形成した。
ガス透過性の比較
上記実施例1に使用したニッケル製の円板状エッチングメタルをガス透過性金属基板として使用し、この基板の両面に、上記により調製した針状蓚酸ニッケルペーストを塗布し、150℃で乾燥した後、大気中で1300℃に加熱した。
そして、このようにして得られた基板のガス透過性をHeリーク試験により調査し、同様の基板に、針状蓚酸ニッケルを粒状をなす市販の酸化ニッケルに替えた酸化ニッケルペーストを塗布して、同様に乾燥、加熱を施すことによって得られた比較用の基材の場合と比較した。
その結果、Heのリーク量は、針状蓚酸ニッケルを用いた基材の方が粒状酸化ニッケルを用いた基材に比べて、多孔率は20%増加することが判明し、ガス透過性に優れていることが確認された。
1 固体酸化物形燃料電池
2 ガス透過性金属基材
2a 空隙
3 針状ニッケル材料(針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル、繊維状ニッケルの少なくとも1種)
4 燃料極
5 電解質
6 空気極

Claims (6)

  1. 空隙を有し、該空隙内の少なくとも表面側に、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料が充填されたガス透過性金属基板の表面に、燃料極、電解質及び空気極がこの順に積層してあることを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  2. 空隙を有するガス透過性金属基板の表面、又は該ガス透過性金属基板の空隙内に、針状蓚酸ニッケル、針状酸化ニッケル及び繊維状ニッケルから成る群より選ばれる少なくとも1種の材料が充填されたガス透過性金属基板の表面に、上記材料から成る被覆層を介して燃料極、電解質及び空気極がこの順に積層してあることを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  3. 上記材料が金属基板表面に対して略平行な方向に配向していることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物型燃料電池を製造するに際して、
    塗布、ディープコーティング、スクリーン印刷、グリーシート圧着及び粉体プレス法から成る群より選ばれる少なくとも1種以上の方法で上記材料の空隙内への充填及び/又は被複層の形成を行うことを特徴とする固体酸化物型燃料電池の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物型燃料電池を製造するに際して、上記材料の空隙内への充填及び/又は被複層の形成の後、大気中で300〜1200℃の温度に加熱することを特徴とする固体酸化物型燃料電池の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物型燃料電池を製造するに際して、上記材料の空隙内への充填及び/又は被複層の形成の後、不活性雰囲気又は水素を含む雰囲気中で300〜1200℃の温度に加熱することを特徴とする固体酸化物型燃料電池の製造方法。
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