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JP2013165699A - 水棲動物の保存および輸送方法 - Google Patents

水棲動物の保存および輸送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘモグロビンあるいはヘモシアニンを呼吸色素として持つ魚介類、例えばイカ、エビ、カニ、タコ、貝類などの長期に渡る保存と輸送を行なう方法を提供する。
【解決手段】呼吸によって排出される二酸化炭素は、炭酸系物質のひとつとしてpHに依存した平衡状態をとる。密閉容器に入れた水棲動物の行なう呼吸に対し、過剰の炭酸イオンを炭酸緩衝液という形で供給することにより、pHを高く維持し、二酸化炭素を炭酸水素イオンおよび炭酸イオンに変化させ、窒息を防ぐ。
【選択図】なし

Description

本発明は、魚類一般、およびイカ、タコおよび貝類などの軟体動物、およびエビ、カニなどの節足動物などの水棲動物を保存、あるいは輸送する方法に関する。
イカは日本全国で捕獲される極めて大衆的な食材で、古くから日本人に愛好されている。一般家庭でも、生のまま刺身で食べたり、焼く、煮るなどして調理される一方、工業的に加工され、生のイカを味付けした沖漬けや、内臓と塩で漬けた塩辛、乾燥してスルメや裂きイカにするなど、多様である。
活イカの輸送には、ポリ袋に海水を入れ、酸素を封入して低温で送る方法が採られている。しかしながら、イカは閉鎖環境中での急激なpHの低下、酸素の欠乏、水質の悪化などにより長時間の保存が出来ず、短時間で斃死する。従って時間の掛かるトラック輸送は困難であり、現時点で航空便による輸送しか実用化の手段は無かった。このため、活イカは非常に高価である。経済的なトラック便による輸送が望まれる。すなわち長時間の保存技術が望まれる。
イカの場合、エラは体内にあるが、エビ、カニ、タコは体表近くに位置しており、露出している。これら動物は、自身が体液を出してエラを濡らしておくことが出来る。そのため、これらの動物は水から上げても一定時間の保存が可能である。また貝類も二枚貝や巻貝などは貝殻の中に閉じこもることで、一定時間、水から上げても保存が可能である。しかし、これら動物も水中にいることが自然であり、水中環境が良ければより良い状態で保存や輸送が可能となる。
先願特許1には、イカの呼吸によって生じる二酸化炭素が水と反応し、これが解離した時に出来る水素イオンがpHを引き下げ、酸性化するのが保存を困難にしているとし、海水の緩衝力を上げるためにグリシン緩衝液を導入している。しかしながら、この緩衝力が持続出来るのは5℃の時、最大48時間程度であり、全国的なトラック輸送への適用は困難であると思われる。トラック輸送では、冷蔵の場合、水温が一定である保証はなく、通常10℃以下としている。安定した保存温度で、48時間以上の生存が必須である。また、グリシン緩衝液は大量に用いるには極めて高価である。
イカは硬骨魚類の数倍から10倍の呼吸を行なうことが知られており、酸素消費量も二酸化炭素排出量も極めて多い。
発明者は先の出願特許2および3により、活魚輸送技術を呈示した。技術の骨子は、1)魚の排泄するアンモニアを無害化するろ過バクテリアを活性化させ、ポリ袋など閉鎖容器中で水質維持を行なうこと、および2)酸素ナノバブル水を用い、かつ純酸素ガスをポリ袋に封入し、高酸素状態を維持すること、である。イカにおいてもこれら技術を適用したが、硬骨魚類のようには維持が出来なかった。添加したろ過バクテリアおよびその活性化剤の働きによってアンモニア態窒素やその酸化産物である亜硝酸態窒素、硝酸態窒素などはほとんど検出されず、水質悪化によるものではなかったが、pHの低下は激しく、海水中の溶存二酸化炭素の量も激しく上昇していた。
イカは軟体動物であり、その系譜は貝類、エビ、カニなどと同じである。従って、酸素を運搬するのは硬骨魚類や哺乳動物のヘモグロビンではなく、ヘモシアニンである。ヘモシアニンはヘモグロビンと似た構造であるが、酸素結合の中心となるヘム部分には、鉄ではなく銅を持っている。このことは、二酸化炭素の濃度が高い場合には酸素との結合性に、より影響を受け易く、結合性が低下する。つまりヘモグロビンよりはるかに劣った酸素運搬分子と言える。また、イカの呼吸量は硬骨魚類と比べ高い。
イカは鰓から水中の溶存酸素を取り込み、血液中のヘモシアニンに結合し、体内各所に運ばれる。臓器や筋肉中では代謝のため、二酸化炭素濃度が高く、ヘモシアニンの酸素と二酸化炭素が入れ替わる。二酸化炭素は鰓に運ばれ、水中の高い酸素濃度に触れ再び交換が行なわれ、二酸化炭素は水中に放出される。閉じた容器の中にイカを封入した場合、イカの呼吸は限定されたものとなる。イカと共に封入する海水が天然海水であり、pH8.2であるとし、容器の気相部分に純酸素を封入したとする。イカは酸素を取り入れるが、海水と平衡状態にある酸素の海水に溶け込んだ溶存酸素を消費する。溶存酸素が減少すると、気相の純酸素が平衡を保とうとして溶存酸素量を増加させる。
呼吸によって水中に放出された二酸化炭素は、海水のpHに依存し、図1で示したような存在様式を採る。すなわち、鰓から放出された二酸化炭素はただちに水と結合し、未解離炭酸すなわち溶存二酸化炭素となる。
Figure 2013165699
pHが低い状態では、COは水と結合した未解離炭酸すなわち溶存二酸化炭素の割合が多くなる。しかし、通常の海水(pH8.2付近にある)では、溶存二酸化炭素は、ほぼ全てが水素イオンと炭酸水素イオンに解離する。
Figure 2013165699
水素イオンの増加はすなわちpHの低下を導き、海水が酸性に傾くと、再び溶存二酸化炭素の割合が増えて来る(非特許文献1)。呼吸は常時行なわれているので、pH低下は呼吸量に比例して進み、その結果として溶存二酸化炭素の割合が次第に増えて来る。また絶対量(全炭酸量)も増えて来ることになる。通気が行なわれている水槽中などでは、呼吸によって生じる二酸化炭素は、通気と共に空中に放出されているため、この問題は生じない。図1に非特許文献1から図を引用して示した。
[図1]
ヘモシアニンはヘモグロビンと比べ、より二酸化炭素の影響を受け易く、閉鎖空間中の二酸化炭素濃度が高くなると、ヘモシアニンの酸素結合が出来なくなり(ボーア効果)、イカは窒息する。イカの斃死はpH低下ではなく、窒息によるものと考えられる。
従って、イカを閉鎖空間で長時間生かすためには、溶存二酸化炭素を除く方法が最重要課題である。しかし、これまで安価で、効率の良い方法が無かった。また、イカに限らず、全ての海産性動物では同じ問題があり、溶存二酸化炭素を除去することは、閉鎖状態で長期間の保存が可能となる。
特開2007−259766 特願2010−159127 特願2010−279819 McKinney,D.S.,and Amorosi,A.M.(1944).The determination of carbon dioxide in water.Ind. & Chem.Engng,5,315−16
本発明の目的は、溶存二酸化炭素を除去する条件を見いだし、これまで困難っであった活イカ、タコ、エビ、カニおよび貝類の他、魚類一般の安定した保存、および輸送方法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、海水に炭酸緩衝液を添加することにより、上記の問題を解決できるとの知見を得た。
本発明は、この知見に基づいて、
1.保存もしくは輸送のため、生きた水棲動物を密閉容器に海水もしくは淡水とともに入れ、過剰の炭酸イオンを海水もしくは淡水に添加し、炭酸系物質の平衡状態をアルカリに維持することにより、呼吸によって生ずる溶存二酸化炭素を、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンに変化させ、除去することを特徴とする、海産水棲動物の輸送方法、
2.炭酸イオンが、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムから構成される炭酸緩衝液(pH8.6)であり、過剰な量とは、炭酸緩衝液の最終濃度が海水の場合、10〜20mMであり、淡水の場合、2〜10mMであり、かつ海水のpHが8.5〜9.2になるように、また淡水の場合pHが7.5〜8.5になるように、NaOHで調製することを特徴とする、請求項1に記載の水棲動物の輸送方法。
3.密閉容器とは、ポリ袋もしくは発泡スチロール製の箱であり、緩衝液の入った海水もしくは淡水を、水棲動物の重量の4〜6倍の容積を、またろ過バクテリアおよび油脂が添加され、そこに水棲動物を封入し、酸素を水量の2〜3倍の容積で封入密閉することを特徴とする、請求項1および2に記載の水棲動物の輸送方法、
4.水棲動物が、魚類一般、イカやタコ、および貝類などの軟体動物、エビやカニなどの節足動物など、呼吸色素にヘモグロビンもしくはヘモシアニンを持つことを特徴とする、請求項1〜3のそれぞれに記載の水棲動物の輸送方法、を提供する。
緩衝液は様々な種類があるが、生体に安全で、かつ緩衝作用が強いものは多くない。全炭酸の増加が生体に影響を及ぼさなければ、炭酸緩衝液は溶存二酸化炭素の増加を阻止できることが考えられた。すなわち、海水のpH8.2では、呼吸から排出された溶存二酸化炭素は、すぐに解離して、水素イオンと炭酸水素イオンに変わる(反応式(2))。水素イオンはpHを低下させるが、炭酸イオンがあれば、水素イオンをすぐに吸収し、炭酸水素イオンに変わる。
+CO 2−→HCO .........(3)
この結果、pH低下は起こらず、炭酸水素イオンは増大する。
この反応は炭酸イオンがある限り続き、呼吸から生じた水素イオンと同量の炭酸水素イオンが蓄積することになる。炭酸イオンは水溶液中では、
CO 2−+HO→HCO +OH.........(4)
のように水を加水分解して水酸イオンを作るので強アルカリとなる。
そこで、炭酸イオン供給の溶液として、炭酸緩衝液を用いた。
イカの場合、pH9.0程度までは寧ろ好ましいので、炭酸緩衝液のpHをやや低めに設定し、20mM程度の濃い溶液を添加することで、過剰の炭酸を供給することが出来る。但し、pHはさらに水酸化ナトリウムにより調製した。
一方、イカ以外の魚類では炭酸緩衝液は10mMから15mM、pHを8.6から9.0とし、エビ、貝類も同様に調製するのが良い。
実施例及び比較例
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく、他の例又は変形は、当然本発明に包含されるものである。
[炭酸緩衝液の効果]
炭酸緩衝液が二酸化炭素に対してどう作用するかを検討した。呼吸による二酸化炭素の増加を模擬的に再現するため、二酸化炭素を吹き込んだ炭酸水を用い、緩衝液の入った海水、あるいは入らない海水に対し、どのように作用するか比較した。
炭酸水は、二酸化炭素をガスボンベから直接海水に30秒間吹き込んで用意した。この時のpHは4.99であった。このpHにおいては、ほとんどが未解離炭酸、すなわち溶存二酸化炭素として平衡状態にあると考えられる。100mLの海水、および炭酸緩衝液を入れた海水に対して、炭酸水を添加した時のpH(水素イオン濃度)、およびKH(炭酸塩硬度)について測定を行なった。結果は表1に示してある。
KHは炭酸水素イオン量に対応するので、以下の式から溶存二酸化炭素量を求めることが出来る。
CO(mg/L)=KH×10(−pH)×3.72×10......(5)
[表1]
添加炭酸水の量を増加させていくと、溶存二酸化炭素量は表に示したような値で増加して行くが、炭酸緩衝液を添加したものでは大きく緩衝作用が認められ、溶存二酸化炭素はKHの増加で示されるように、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンに変化したものと思われる。このことから、呼吸によって生ずる二酸化炭素は、炭酸緩衝液を添加しておくことにより、無害な炭酸水素イオンあるいは炭酸イオンに変化させられることが実証された。
[イカの保存実験]
実験に用いたイカは、夜操業し、早朝市場に出荷するため漁港に入港するイカ釣り漁船から直接購入し、そのまま現地で実験を行なった。
活イカは漁船の生簀に入れられ、入港後、直ちに出荷される。生簀の水は、漁船から吊るした水中ポンプで供給されるため、海面の水温を保っている。一方、釣り上がるイカはより深海に棲息しているため、生簀に入れられた時点での温度差(夏場は温度の上昇、冬場は温度の下降)があり、捕獲されたストレスとともに生理的なストレスがある。夏場は前浜で操業するので比較的温度差は小さいと考えられるが、通常、イカが棲息していた水温と、港の海面の水温とでは、2℃以上の差はあると考えられる。低下する水温に対して、イカは比較的耐性を示すが、上昇する水温に対しては極めて敏感である。
実験上、温度によるストレスをこれ以上与えないため、港の海水温を常に測り、イカを受けた時に一時的にイカを畜養しておく水槽の初期水温を、港の海水温になるように保った。実験時の海水温は24℃であった。
水槽に110Lの海水を入れ、0.5M炭酸緩衝液(pH9.6)を1/100量すなわち1.1Lを入れ、5mMの濃度とし、純酸素をボンベから通気しながら、24℃に保った。漁船から直接イカを受け、実験に用いる10杯の他、予備に3杯、合計13杯を水槽に放した。水槽には冷却器を設置し、1時間で約8℃ずつ低下させ、2時間半で5℃まで下げた。この間、水槽には蓋を被せ、イカに人の姿が見えないようにした。イカのストレスを最小限にするためである。5℃で約1時間保持し、十分に沈静化してからポリ袋に入れた。
ポリ袋には、海水を2L入れたが、この海水は、酸素ガスをモノトラン膜を介して30分通気し、発泡させ、マイクロナノバブルを形成したものを用いた。
マイクロナノバブルの形成は、ウィンクラー法による溶存酸素定量を行なって判定した。この海水に0.5M炭酸緩衝液(pH9.6)を加え、最終濃度を15mMにし、さらにNaOHを滴下してpH9.0に調製した。10N NaOHで約400μL程度であった。さらに前日から5mg/L硫酸アンモニウムを与え、通気して活性化していたろ過バクテリア(硝化菌および脱窒菌)を10mL添加し(湿重量0.0024g/mL)、油脂としてオリーブオイルを4μL添加した(特許文献2および3)。
ポリ袋は最盛期のイカ(250〜300g)が入ることを前提に、縦300x横500mmのものを用いた。袋を熱シールで閉じ、酸素を袋が一杯になるまで、ほぼ5〜6L封入された。
イカの入った袋は発泡スチロール製の箱に入れ、温度が上昇しないようにアイスパックを入れて漁港から研究室に運び、5℃に設定した冷蔵庫内で保存した。保存はイカが斃死するまで行ない、斃死までの時間の記録、水質およびイカの重量等を測定した。結果は表1に示している。
[表1]
炭酸緩衝液を入れない対照では、イカは研究室に移動後(約30分)、すぐに斃死していた。これらはpH低下が激しく、KHの測定から換算すると、短時間の間に大量の二酸化炭素が排出されていた。一方、炭酸緩衝液を入れた試験区では、いずれもより長期間生存しており、平均的に50時間の生存が可能となり、最大で72時間生かすことが出来た。いずれも最終的にはpHは低下しているが、KHの大幅な上昇は、緩衝作用が長時間に渡って有効に作用していたことを示している。アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の蓄積が見られないことから、硝化菌や脱窒菌の活性も高まっていることが示された。
保存温度が最終的に10.5℃であり、設定温度の5℃になっていなかったが、実用的には好ましい結果である。論理的には、水温が下がるほど代謝が落ち、酸素消費量も二酸化炭素排出量も低下するが、トラック輸送では、各地での積み替え時に温度変化があり、冷蔵便であっても保証温度は10℃以下であるからである。
以上のことから、イカ輸送で困難な最大の要因である溶存二酸化炭素の蓄積は、炭酸緩衝液を利用することで炭酸水素イオンに変化させて回避出来、長時間窒息させずに維持出来ることが実証された。
[エビの保存実験]
ボタンエビを用い、炭酸緩衝液の有無での保存実験を行なった。ボタンエビもイカ同様血液にヘモシアニンを持ち、保存状態の改善に効果があると期待された。海水は実施例2と同様、予めマイクロナノバブルを封入しておき、この2Lを用いた。袋にマイクロナノバブル海水を入れ、硝化菌混合液(湿重量0.0044g/mL)を20mL入れ、活性化剤としてオリーブオイルを4μL入れた。これに炭酸緩衝液を20mMになるように入れたものと、入れないコントロールを用意し、ボタンエビをそれぞれ2尾入れた。結果は表2に示してある。
[表2]
いずれの場合にも4日間は低温で生存していた。炭酸緩衝液を入れたものは、アンモニア(NH−N)、亜硝酸(NO −N)、硝酸(NO −N)の増加も、最小限であり、硝化菌が十分に働いていることが示された。炭酸緩衝液は十分作用していると考えられ、溶存二酸化炭素(dCO)も致死となる200mg/Lを遥かに下回っていた。
この結果から、エビにおいても炭酸緩衝液は有効に作用することが実証された。
[魚の保存実験]
魚も呼吸を行ない、保存時間が長くなると溶存二酸化炭素濃度が上昇し、pH低下が起こるため、硝酸菌による水質浄化があっても、また酸素が十分にあっても呼吸困難に陥る。本発明の炭酸緩衝液による溶存二酸化炭素の除去方法は、このような魚の保存にも有効に作用すると考えられた。これを実証するため、黒ソイを材料にした保存実験を行なった。
ポリ袋にナノバブル海水(1.5L)を入れ、硝化菌混合液(湿重量0.0044g/mLのものを10mL)と活性化剤(オリーブオイル2μL)を添加後、炭酸緩衝液を、最終濃度0、5、10、および20mMになるように入れ、次いで黒ソイを入れ、酸素で封入した。これらを48時間、15℃で保存後、それぞれの水質を調べた。結果は表3に示してある。いずれの黒ソイも生存しており、障害は認められなかった。
[表3]
魚を48時間保存すると、炭酸緩衝液を入れない場合には溶存二酸化炭素量は236mg/Lまで上昇し、かつアンモニア態窒素濃度も9.3mg/Lと極めて危険な範囲にまで上昇した。しかし、炭酸緩衝液を入れたものでは、添加濃度に依存して溶存二酸化炭素も増加せず、かつアンモニア態窒素量の大幅な増加も抑制することが出来た。実用的には10mMの炭酸緩衝液の添加で十分であると思われた。
発明の効果
本発明の炭酸緩衝液は、水棲動物の保存水(海水または淡水)のpHをよく維持し、呼吸によって生じる二酸化炭素を効率よく炭酸塩に変え、窒息を防ぎ、閉じた水系に水棲動物を生きたまま長時間保存することが可能となった。炭酸緩衝液は安価であること、また生体にも害をなさないことから、活魚輸送の主軸となる安全で安価な方法となる。
非特許文献1から引用したものであり、pHによって変化する炭酸化合物の割合を表わす図である。
表1
海水に炭酸水を吹き込んだものを、海水に添加し、炭酸緩衝液を添加したものと比較し、pH、KH、および計算による溶存二酸化炭素量を調べた結果を表わす表である。
表2
ボタンエビを用いて、炭酸緩衝液の有無を、16時間ポリ袋で保存したときの水質を比較した結果を表わす表である。
表3
黒ソイを用い48時間ポリ袋で保存した時、炭酸緩衝液の濃度を変化させた時の水質の変化を比較した結果を表わす表である。
符合の説明
[表1]pHは水素イオン濃度、KHは炭酸塩硬度を、またdCOは溶存二酸化炭素をそれぞれ表わす。dCOは明細書中反応式(5)から計算した。
[表2]pHは水素イオン濃度、KHは炭酸塩硬度を、またdCOは溶存二酸化炭素をそれぞれ表わす。dCOは明細書中反応式(5)から計算した。
[表3]pHは水素イオン濃度、KHは炭酸塩硬度を、またdCOは溶存二酸化炭素をそれぞれ表わす。dCOは明細書中反応式(5)から計算した。
[図1]横軸は水素イオン濃度(pH)を、縦軸は炭酸化合物の比率をCOとして表わしてある。HCOは溶存二酸化炭素を、HCO は炭酸水素イオンを、またCO 2−は炭酸イオンをそれぞれ表わす。

Claims (4)

  1. 保存もしくは輸送のため、生きた水棲動物を密閉容器に海水もしくは淡水とともに入れ、過剰の炭酸イオンを海水もしくは淡水に添加し、炭酸系物質の平衡状態をアルカリに維持することにより、呼吸によって生ずる溶存二酸化炭素を、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンに変化させ、除去することを特徴とする、海産水棲動物の輸送方法。
  2. 炭酸イオンが、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムから構成される炭酸緩衝液(pH8.6)であり、過剰な量とは、炭酸緩衝液の最終濃度が海水の場合、10〜20mMであり、淡水の場合、2〜10mMであり、かつ海水のpHが8.5〜9.2になるように、また淡水の場合pHが7.5〜8.5になるように、NaOHで調製することを特徴とする、請求項1に記載の水棲動物の輸送方法。
  3. 密閉容器とは、ポリ袋もしくは発泡スチロール製の箱であり、緩衝液の入った海水もしくは淡水を、水棲動物の重量の4〜6倍の容積を、またろ過バクテリアおよび油脂が添加され、そこに水棲動物を封入し、酸素を水量の2〜3倍の容積で封入密閉することを特徴とする、請求項1および2に記載の水棲動物の輸送方法。
  4. 水棲動物が、魚類一般、イカやタコ、および貝類などの軟体動物、エビやカニなどの節足動物など、呼吸色素にヘモグロビンもしくはヘモシアニンを持つことを特徴とする、請求項1〜3のそれぞれに記載の水棲動物の輸送方法。
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