JP2013142168A - 耐クリープ特性に優れたアルミニウム合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】
この発明は前述のような従来技術の問題点を一掃し、耐クリープ特性に優れた耐熱アルミニウム合金を提供することを課題としている。
【解決手段】
Cu5.1〜6.5%(mass%、以下同じ)、Mg0.30〜0.70%、Ag0.10〜1.0%、Mn0.10〜0.50%、Cr0.07〜0.11%、Ti0.06〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金において、Mn+Crの固溶量が0.05〜0.50%の範囲内にあり、200℃、160MPaの条件でのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金鍛造材。
【選択図】 なし
この発明は前述のような従来技術の問題点を一掃し、耐クリープ特性に優れた耐熱アルミニウム合金を提供することを課題としている。
【解決手段】
Cu5.1〜6.5%(mass%、以下同じ)、Mg0.30〜0.70%、Ag0.10〜1.0%、Mn0.10〜0.50%、Cr0.07〜0.11%、Ti0.06〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金において、Mn+Crの固溶量が0.05〜0.50%の範囲内にあり、200℃、160MPaの条件でのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金鍛造材。
【選択図】 なし
Description
この発明は航空機や宇宙機材の部品や構造材あるいは自動車等の内燃機関や過給機等の部品などとして、150℃を越える高温度域において高強度および耐クリープ強度が要求される用途に用いられる耐熱アルミニウム合金に関するものである。
アルミニウム合金材料の高強度化を図るための手法としては、従来から時効硬化による高強度化が広く利用されている。しかしながら一般にこのようなアルミニウム合金時効硬化材では、100℃を越える高温度域に長時間曝した場合、析出物の粗大化によって著しい軟化が生じることが多い。そこでこのような軟化を抑えるため、各種元素の添加および成分組成の最適化を図って、高温強度を向上させた合金として、Al−Cu系合金のJIS A2618合金やA2219合金などが一般的な耐熱アルミニウム合金として実用化されている。
またこのようなAl−Cu系合金の高温強度を一層向上させるために、例えば特許文献1、特許文献2に示されるように、MgとともにAgを添加した合金でθ'相やΩ相の析出物による強化を計ったものや、Vの添加によりAl−V系化合物の分散強化による高温強度の改善が試みられている。
しかしながらアルミニウム合金部材の使用環境の高温化などの点からこれらアルミニウム合金部材のさらなる高温特性使用が要求されてきており、従来合金では高温における耐クリープ特性が不十分であり、さらに耐クリープ特性を改善する必要がある。
特許第3997009号公報
特許第4088546号公報
特許第4058398号公報
この発明は前述のような従来技術の問題点を一掃し、耐クリープ特性に優れた耐熱アルミニウム合金を提供することを課題としている。
本発明者等は前述の課題を解決するべく、Al−Cu系にMg、Agを添加した合金、すなわちAl−Cu−Mg−Ag系合金について、種々実験、研究を重ね、耐クリープ特性におよぼす添加成分元素の析出強化および固溶強化の働きについて詳細に調査した結果、従来結晶粒微細化による強度向上あるいは分散強化による高温強度の改善に用いられてきたMn、Crは固溶状態を維持することによりクリープ特性の向上が著しいことを見出した。
具体的には、請求項1の発明の展伸加工用耐熱アルミニウム合金は、Cu5.1〜6.5%、Mg0.10〜0.7%、Ag0.10〜1.0%、Mn0.10〜0.50%、Cr0.07〜0.12%、Ti0.06〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金において、200℃、160MPaの条件でのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金鍛造材である。
また請求項2の発明は、請求項1に記載の展伸加工用耐熱アルミニウム合金において、Mn+Crの固溶量が0.05〜0.50%の範囲内にあることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金鍛造材である。
さらに請求項3の発明は、請求項1、2の組成を有する合金鋳塊を490〜530℃で48時間以内の均質化処理を施した後、鋳塊の互いに直行する3方向からそれぞれ鍛造比2以上で鍛造し、かつ各方向の鍛造比の合計が7以上として、200℃、160MPaの条件でのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱に優れたアルミニウム鍛造材の製造方法である。
この発明の耐熱アルミニウム合金は、従来合金では困難であった200℃以上の温度域において耐クリープ特性を向上させることができ、そのためより高温かつ高負荷の環境においても信頼性を損なうことなく好適に使用することができる。すなわちこの発明のアルミニウム合金は、200℃以上の高温域において高強度および高靭性が要求される部品や構造部材として、圧延や鍛造、押出等の展伸加工を施して使用することができ、例えばロケット、あるいは航空機等の高速移動体の外壁や、内燃機関あるいは過給機用部材などに好適に使用することができる。そのためこの発明によれば、アルミニウム合金の長所を生かせる用途を大きく拡大させるという優れた効果を奏することができる。
この発明の耐熱アルミニウム合金は、基本的には、Al−Cu系のいわゆる2000番系の時効硬化型の耐熱合金にMg、Agを添加したAl−Cu−Mg−Ag系合金をベースとし、これにさらにMnとCrを適量だけ同時に添加したものである。
ここで、本発明の合金であるAl−Cu−Mg−Ag系合金では、時効処理によりAl−Cu系のいわゆるθ'相あるいはAl−Cu−Mg−Ag系のいわゆるΩ相が析出し、これらの時効析出物が硬化に寄与して、高強度を得ることが可能となるが、この発明では、さらにMnおよびCrを適切な量だけ固溶させることによって、高温変形特性、高温クリープ特性が著しく改善することが可能となる。
そしてこの発明の展伸加工用耐熱アルミニウム合金の成分組成も、これらの作用を充分に発揮して、高いクリープ特性を得る点から定められる。そこで以下にこの発明の耐熱アルミニウム合金における成分組成の限定理由について説明する。
Cu:
Cuを添加することによって、前述のように時効処理によってAl−Cu系のθ'相もしくはAl−Cu−Mg−Ag系のΩ相が析出し、硬化に寄与する。Cu量が5.1%未満ではその効果が充分に得られず、6.5%を越えれば溶体化処理によっても溶け切れない安定相θが形成されてしまって、強度や延性の低下を招く。したがってCu量は5.1〜6.5%の範囲内とした。なおより高い強度を必要とする場合は、Cu量は5.3〜6.5%とすることが望ましい。
Cuを添加することによって、前述のように時効処理によってAl−Cu系のθ'相もしくはAl−Cu−Mg−Ag系のΩ相が析出し、硬化に寄与する。Cu量が5.1%未満ではその効果が充分に得られず、6.5%を越えれば溶体化処理によっても溶け切れない安定相θが形成されてしまって、強度や延性の低下を招く。したがってCu量は5.1〜6.5%の範囲内とした。なおより高い強度を必要とする場合は、Cu量は5.3〜6.5%とすることが望ましい。
Mg:
Mgも時効処理によってAl−Cu−Mg−Ag系のΩ相を析出し、硬化に寄与する。
Mg量が0.10%未満ではその効果が充分に得られず、一方0.7%を越えてMgを添加しても、更なる強度の向上が望めないばかりか、延性および靭性の低下が顕著となってしまう。したがってMg量は0.10〜0.7%の範囲内とした。なお特に高強度を必要とする場合には、Mg量は0.2〜0.7%とすることが望ましい。
Mgも時効処理によってAl−Cu−Mg−Ag系のΩ相を析出し、硬化に寄与する。
Mg量が0.10%未満ではその効果が充分に得られず、一方0.7%を越えてMgを添加しても、更なる強度の向上が望めないばかりか、延性および靭性の低下が顕著となってしまう。したがってMg量は0.10〜0.7%の範囲内とした。なお特に高強度を必要とする場合には、Mg量は0.2〜0.7%とすることが望ましい。
Ag:
Agも時効処理によってΩ相を析出し、硬化に寄与する。Ag量が0.10%未満ではその効果が充分に得られず、一方1.0%を越えてAgを添加しても更なる強度の向上は望めず、高価なAgの使用量が増して経済性が低下するだけである。したがってAg量は0.10〜1.0%の範囲内とした。なお特に高強度を必要とする場合は、Ag量は0.2〜1.0%とすることが望ましい。
Agも時効処理によってΩ相を析出し、硬化に寄与する。Ag量が0.10%未満ではその効果が充分に得られず、一方1.0%を越えてAgを添加しても更なる強度の向上は望めず、高価なAgの使用量が増して経済性が低下するだけである。したがってAg量は0.10〜1.0%の範囲内とした。なお特に高強度を必要とする場合は、Ag量は0.2〜1.0%とすることが望ましい。
Mn:
Mnは固溶および微細な析出物をすることによって高温におけるクリープ変形の抑制に大きな効果をもたらす。Mn量が0.1%未満ではクリープ特性向上効果は十分ではなく、0.5%を超えるとその効果は飽和するとともに、冷却速度が遅い場合の析出核生成サイトとなり強度の低下を引き起こす。
Mnは固溶および微細な析出物をすることによって高温におけるクリープ変形の抑制に大きな効果をもたらす。Mn量が0.1%未満ではクリープ特性向上効果は十分ではなく、0.5%を超えるとその効果は飽和するとともに、冷却速度が遅い場合の析出核生成サイトとなり強度の低下を引き起こす。
Cr:
Crは固溶することによって高温におけるクリープ変形の抑制を大きく向上させる重要な元素である。Cr量が0.07%未満ではクリープ特性向上効果は十分ではなく、0.11%を超えるとその効果は飽和するとともに、過剰のCr添加は粗大なAl−Cr系晶出物を形成し、冷却速度が遅い場合θ'相やΩ相の不均一析出核生成サイトとなり強度の低下を引き起こす。
Crは固溶することによって高温におけるクリープ変形の抑制を大きく向上させる重要な元素である。Cr量が0.07%未満ではクリープ特性向上効果は十分ではなく、0.11%を超えるとその効果は飽和するとともに、過剰のCr添加は粗大なAl−Cr系晶出物を形成し、冷却速度が遅い場合θ'相やΩ相の不均一析出核生成サイトとなり強度の低下を引き起こす。
Ti:
Tiは鋳造時の結晶粒微細化材として添加される。その効果は0.06%未満では不十分であり、0.30%を超えるとその効果は飽和するとともに、粗大な金属間化合物を形成しやすくなり、機械的特性や疲労特性を低下させる。
Tiは鋳造時の結晶粒微細化材として添加される。その効果は0.06%未満では不十分であり、0.30%を超えるとその効果は飽和するとともに、粗大な金属間化合物を形成しやすくなり、機械的特性や疲労特性を低下させる。
なお、一般的なアルミニウム合金において微細化成分として考えられているTiは、Bを同時に添加することによりTi−B系化合物を形成させて、鋳塊結晶粒を微細化する目的で使用されている。このためBが通常範囲で含有されていても本発明の効果を阻害するものではない。
そのほかアルミニウム地金に不可避的不純物として含まれるSiは他の遷移金属等とともに晶出物を形成しやすく、材料の延性および靭性の低下をもたらす。Siの含有量が0.15%を越えた場合、明らかな靭性低下が生じるため好ましくない。Siの許容含有量は、原料地金の価格に基づく経済的観点と用途に適合した要求特性との兼ね合いにかかわる部分が大きく、また一方では、Siはアルミニウム合金の強度を向上させる効果も認められ、これらから総合的に判断して、Siの含有量は0.02〜0.15%の範囲内とすることが望ましい。
またSiと同様にアルミニウム地金に不可避的不純物として含まれるFeは、他の遷移金属等とともに晶出物を形成しやすく、材料の延性および靭性の低下をもたらす。Feの含有量が0.20%を越えた場合には、明らかな靭性低下が生じるため好ましくない。Feの許容含有量も、原料地金の価格に基づく経済的観点と用途に適合した要求特性との兼ね合いにかかわる部分が大きく、また一方ではFeは高温特性を向上させる効果もあり、これらから総合的に判断して、Feの含有量は0.05〜0.20%の範囲内とすることが望ましい。
以上で説明した各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良いが、前記各成分元素のほかの元素についても、この発明に係る耐熱用アルミニウム合金の高温クリープ特性や機械的特性およびその他の特性を阻害しない範囲内での含有は許容される。
Mn、Cr固溶量:
先述したようにMn、Crは固溶した状態で耐クリープ特性を著しく向上させる働きがある。その効果は0.05%未満では不十分である。上限は特に定めるものではないが、Mn、Crはアルミニウム合金中への溶解度が小さいため金属間化合物として析出する。種々検討を実施した結果、工業的な製造条件においては0.5%が固溶量の限界であり、本発明においてはこれを上限とした。
先述したようにMn、Crは固溶した状態で耐クリープ特性を著しく向上させる働きがある。その効果は0.05%未満では不十分である。上限は特に定めるものではないが、Mn、Crはアルミニウム合金中への溶解度が小さいため金属間化合物として析出する。種々検討を実施した結果、工業的な製造条件においては0.5%が固溶量の限界であり、本発明においてはこれを上限とした。
高温強度、クリープ特性を高めるには前述したθ相、Ω相を均一に析出分散させることが極めて重要となる。これを達成するためには鋳塊を互いに直行する3方向から鍛造することが必須となる。1方向もしくは2方向からの鍛造ではただ単に組織がある方向に伸長するだけであるので析出相の均一化は十分にはかれない。
鍛造比も重要であり、各方向の鍛造比を2以上、各方向の鍛造比の合計を7以上として鋳塊組織を破壊し、溶体化効果を高め時効処理時のθ相、Ω相を均一に析出分散させることが必要である。各方向の鍛造比が2以下、各方向の鍛造比の合計が7以下であると鋳塊組織の残存があるためθ相、Ω相の均一析出をさせることができない。
なお、各方向の鍛造の中間、もしくは鍛造終了後に490〜530℃で24時間以内の熱処理を施すことでさらに均一析出には有効となる。
以上のようなこの本発明の展伸加工用アルミニウム合金を製造するための方法は、特に限定されるものではないが、好ましい製造方法について以下に説明する。
先ずこの発明の成分範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、鋳造して鋳塊を製作する。
鋳造された鋳塊は、次いで均質化処理される。なお、必要に応じて均質化処理前に鋳塊を切断加工する場合、残留応力に起因して鋳塊が割れるおそれがある。そのため、鋳塊を300℃〜450℃の温度で20時間未満熱処理することによって鋳塊の残留応力を緩和してから切断加工しても、この発明の目的達成には影響しない。
鋳造された鋳塊は、次いで均質化処理される。なお、必要に応じて均質化処理前に鋳塊を切断加工する場合、残留応力に起因して鋳塊が割れるおそれがある。そのため、鋳塊を300℃〜450℃の温度で20時間未満熱処理することによって鋳塊の残留応力を緩和してから切断加工しても、この発明の目的達成には影響しない。
ここで、均質化処理温度は490〜530℃で25時間未満が望ましい。均質化処理温度が490℃未満では時効析出強化に寄与する主要合金元素であるCu、Mg、Agの均質化が不充分となり、強度の向上が望めなくなる。一方均質化処理温度が530℃を越えればバーニングが生じる可能性が高くなる。また、均質化処理時間が長ければ、均質化処理中に強制固溶されていたMnやCrがAl−Mn系、Al−Cr系化合物として析出を開始する。そしてMnやCrがθ'相あるいはΩ相などの析出物を微細化させる効果、また高温暴露時に生じる時効析出物の粗大化を抑制する効果は、Al地中にMn、Crが固溶している状態で最も強く発揮されるため、均質化処理時に必要以上にAl−Mn系、Al−Cr系化合物が析出すれば、この発明で目的とする効果が得られ難くなる。そのため均質化処理時間は、好ましくは25時間未満、さらに好ましくは15時間未満とすることが適切である。
均質化処理後の鋳塊は、用途により所望の形状のアルミニウム展伸材に展伸加工される。より具体的には、展伸加工として、板材については圧延加工を、鍛造材については鍛造加工を、形材については押出加工が施される。この発明で対象としているAl−Cu−Mg−Ag系の合金は、鋳造時にミクロポロシティ(鋳塊内部に残留する微小な空洞状の欠陥)が発生しやすく、このミクロポロシティは破壊の起点となって靭性を害するため、ミクロポロシティを潰す工程が必要となる。
また、一般に鋳塊組織には、凝固セル境界に多数の晶出物が集団で存在し、この場合個々の晶出物が微細であっても、密集して存在する場合には機械的特性や疲労特性を劣化させるため、晶出物の密集した状態を破壊する必要がある。さらに、延性を確保するためには、最終製品の結晶粒、特に圧延方向に垂直な断面における結晶粒の円相当径を500μm以下に微細化することも重要である。ここでいう結晶粒とは等軸粒、扁平した粒、どちらも含まれるが、扁平粒の場合の結晶粒径は長軸方向の長さとして定義される。そして上述のようなミクロ組織の改善のためには、圧延、押出、鍛造などの展伸加工が必須である。ミクロ組織の状態は加工率にも影響されるが、靭性向上のためには、圧延加工の場合は圧下率50%以上、押出加工の場合は押出比2以上、鍛造加工の場合は鍛錬比2以上とすることが好ましい。また、鍛造品の場合、鍛錬の方向を1方向だけではなく、少なくとも異なる2方向で行い、各方向での鍛錬比を2以上とすることがさらに望ましい。
このような展伸加工後のアルミニウム合金素材については、さらに溶体化処理および焼入れ処理を施した後、高温の人工時効処理を施す。この溶体化処理では、時効硬化に寄与する合金成分であるCu、Mg、Agを可能な限り固溶させるため、溶体化処理は495〜535℃の範囲で行なうことが望ましい。しかし、前述した均質化処理の場合と同様に、強制固溶されていたMnやCrがAl−Mn系、Al−Cr系の化合物として溶体化処理時に必要以上に析出すれば、本発明で目的とする効果が得られ難くなる。したがって、溶体化処理時間は、好ましくは15時間未満、更に好ましくは8時間未満とすることが適切である。
また、焼入れ処理は、時効硬化に寄与する合金成分であるCu、Mg、Agの再析出をできる限り抑制するため、280〜480℃の温度範囲における焼入れ冷却速度を10℃/min以上とすることが望ましく、特に高強度が要求される場合には60℃以下の温度まで冷却し、一方残留応力が問題となる場合には75℃以上の温度まで冷却することが望ましい。
また、人工時効処理は、160〜200℃で2〜60時間程度行なうことが望ましい。なお焼入れによる残留応力が特に問題となる場合には、焼入れ処理後に冷間加工をなうことが望ましい。
以下にこの発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。但し、この発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
表1の合金A〜Tに示す化学成分を有する各アルミニウム合金を溶解して半連続鋳造し、φ160mm、長さ1000mmの鋳塊を得た。この鋳塊に520℃で6時間の均質化処理を施した後、面削、切断によりφ150mm長さ250mmの鍛造用素材とした。熱間加工は開始温度を400℃とし、鍛錬比4で板厚60mmとした。溶体化処理は520℃で4時間保持した後、約80℃の温水焼き入れを行った。その後200℃で5時間の時効処理を行い、最終製品とした。供試材の機械的特性および高温クリープ特性を評価するため、LT方向よりφ10mmの丸棒試験片を採取し、室温における引張試験および200℃でのクリープ試験を実施した。
なお従来耐熱用合金の代表例としてA2618合金も同時に評価した。耐クリープ性については200℃で応力160MPaを負荷し破断寿命を測定した。その結果、破断寿命が500hr以上のものを、耐クリープ性に優れると判断した。Mn、Crの固溶量はフェノール溶解法により分析を実施した。これらの結果を表2に合わせて示す。
表2から明らかなように、Cu、Mg、Ag、Mn、Cr、Tiの合金組成が本発明の範囲外である比較例の合金P〜Wでは、機械的特性と耐クリープ特性ともに良好なものは得られなかった。これに対して本発明例の合金A〜Oは、機械的特性と耐クリープ特性のいずれにおいても良好で優れることがわかった。
表1の合金Dについて表3に示す鍛造を実施した。溶体化処理以降は前記と同じ条件で製造、試験した。結果を表4に示す。
本結果から鍛錬比各方向2以上で合計7以上の鍛造を行うことにより、さらにクリープ特性の向上が認められた。
Claims (3)
- Cu5.1〜6.5%(mass%、以下同じ)、Mg0.30〜0.70%、Ag0.10〜1.0%、Mn0.10〜0.50%、Cr0.07〜0.11%、Ti0.06〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金において、200℃、160MPaでのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金鍛造材。
- Cu5.1〜6.5%、Mg0.30〜0.70%、Ag0.10〜1.0%、Mn0.10〜0.50%、Cr0.07〜0.11%、Ti0.06〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金において、Mn+Crの固溶量が0.05〜0.50%の範囲内にあり、200℃、160MPaの条件でのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金鍛造材。
- 請求項1、2の組成を有する合金鋳塊を490〜530℃で48時間以内の均質化処理を施した後、鋳塊の互いに直行する3方向からそれぞれ鍛造比2以上で鍛造し、かつ各方向の鍛造比の合計が7以上として、200℃、160MPaの条件でのクリープ破断寿命が500hr以上であることを特徴とする耐熱に優れたアルミニウム鍛造材の製造方法。
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