本発明の実施の形態について、以下具体的に説明する。
図2は、本発明の一実施の形態に係る微細マスク形成用積層体1を示す断面模式図である。図2に示すように、微細マスク形成用積層体1は、基材10と、基材10の一主面上に設けられた表面に微細凹凸構造を有する樹脂層11(樹脂モールド)と、樹脂層11を覆うように設けられたマスク層12とを具備する。樹脂層11には、特定方向に延在する単数(例えば、ライン状)または複数(例えば、ドット状)の凸部11aが、特定方向に直交する方向に沿って、互いに所定の間隔を隔てて設けられている。すなわち、凸部11aは、平面視において基材10の全面にわたって複数形成されている。また、凸部11aは、積層体の厚み方向に沿った断面視(直交方向に垂直な断面でみたとき)において、図2に示すように、基材10の主面に対して垂直な方向に突出している。凸部11a間には、凹部11bが形成されている。この凸部11aおよび凹部11bで微細凹凸構造を構成している。
微細凹凸構造の高さhは、凸部11aの長さ(高さ)または凹部11bの深さを意味する。微細凹凸構造の高さhは、凹部11b底部の位置と凸部11a頂部の位置(後述する位置(S))との最短距離である。微細凹凸構造の開口幅φと高さhとの比率h/φで示されるアスペクト比は、0.5〜2.5の範囲が好ましい。アスペクト比は、耐ドライエッチング性の観点から0.5以上の範囲が好ましく、マスク転写精度の観点から2.5以下の範囲が好ましい。
図2における位置(S)は、微細凹凸構造の凸部11aの頂部の位置を意味する。なお、微細凹凸構造の高さにバラつきがある場合には、位置(S)は、各凸部11aの頂部位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
図2において、樹脂層11上部を覆うようにマスク層12を設けると、凹部11b内を充填するマスク層12aが形成されるとともに、凸部11aの頂部およびマスク層12aの頂部で構成される平面上にマスク層12bが形成される。マスク層12bは、微細マスク形成用積層体1における残膜にあたる。図2における位置(Srl)は、マスク層12の露出する表面の位置を意味する。
図2における距離lrlは、位置(S)と位置(Srl)との距離を意味する。すなわち、凸部11a上のマスク層12bの厚さ(残膜の厚さ)を意味する。マスク層12の露出する表面にうねりがある場合には、積層体のある複数の領域において、凸部11aの頂部を含む平面と平行な面が、マスク層12の露出する表面と交わる点をランダムに10点摘出し、前記10点の交点それぞれから凸部11aの頂部を含む平面に対して引いた垂線の長さの加算平均を、距離lrlとする。この距離lrlは、小さい値であるほど好ましい。マスク層12bを除去する残膜処理を等方性エッチングで行ったとすると、除去するマスク層12bの厚みの2倍分だけ、マスク層12bは幅方向に削れる。したがって、距離lrlは、lrl≧0を満たす範囲にあるのが好ましい。また、微細凹凸構造のバラつきや、カバーフィルム表面にミクロンスケールのうねりがあることを考慮すると、均質な塗工性の観点から、lrl≧0.01hがより好ましい。一方、残膜処理終了時におけるマスク幅の観点から、lrl≦0.1hが望ましい。より好ましくは、lrl≦0.05hである。
微細マスク形成用積層体1によって微細マスクパターンを形成する加工対象となる無機基材は、その用途により選定すればよく、特に限定されない。例えば、合成石英や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、シリコンウェハ、ニッケル板、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板やマイカ基板等が挙げられる。微細マスク形成用積層体1の基材10として、柔軟性のある基材を選定した場合、曲率を持つ外形を有す無機基材(例えば、レンズ形状、円筒・円柱形状、球形状等)を選定することもできる。
このような微細マスク形成用積層体1によれば、微細凹凸構造の凹部内部を埋めるようにマスク層12が形成され、微細凹凸構造の凸部上部には非常に薄いマスク層12が形成される構成であるため、加工対象である基材(無機基材)に微細マスク形成用積層体1を貼り合わせて基材上に微細マスクパターンを転写したときに、残膜が薄い状態にすることができ、微細マスクパターンの幅に影響を与える残膜処理過程が非常に容易になる。これにより、精度の高い微細マスクパターンを形成することが可能となる。
以下、微細マスク形成用積層体1の各構成要素の材質等について詳細に説明する。
基材10の材質に関しては特に制限はなく、ガラス、セラミック、金属等の無機材料、プラスチック等の有機材料を問わず使用できる。成形体の用途に応じて、板、シート、フィルム、薄膜、織物、不織布、その他任意の形状およびこれらを複合化したものを使用できるが、屈曲性を有し連続生産性に優れたシート、フィルム、薄膜、織物、不織布等を含むことが特に好ましい。屈曲性を有する材質としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせたり、または単独で用いて基材10を構成することもできる。
基材10と樹脂層11との接着性を向上させるため、樹脂層11を設ける基材10の一主面上に、樹脂層11との化学結合や、浸透などの物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理などを施してもよい。
樹脂層11は、転写精度の観点から、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる樹脂、フッ素含有樹脂で構成されていれば特に限定されないが、フッ素含有樹脂で構成されることがより好ましい。フッ素含有樹脂は、フッ素元素を含有しており、かつ、水に対する接触角が90度より大きければ特に限定されない。ただし、マスク層12を無機基材に転写する際の転写精度の観点から、水に対する接触角は95度以上がより好ましく、100度以上がなお好ましい。
また、樹脂層11中の樹脂表面(微細凹凸構造付近)のフッ素濃度(Es)を、樹脂層11中の平均フッ素濃度(Eb)より大きくすることで、樹脂表面は自由エネルギーの低さゆえに転写材樹脂や、マスク層および有機層との離型性に優れ、かつ、ナノメートルサイズの凹凸形状を繰り返し樹脂/樹脂転写できる離型性に優れる樹脂層11が得られると共に、基材10付近では自由エネルギーを高く保つことで、接着性を向上することができる。
さらに、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)と樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)との比が1<Es/Eb≦30000を満たすことで、上記効果をより発揮するためより好ましい。特に、3≦Es/Eb≦1500、10≦Es/Eb≦100の範囲となるにしたがって、より離型性が向上するため好ましい。
なお、上記する最も広い範囲(1<Es/Eb≦30000)の中にあって、20≦Es/Eb≦200の範囲であれば、樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)が、樹脂層11中の平均フッ素濃度(Eb)より十分高くなり、樹脂表面の自由エネルギーが効果的に減少するので、転写材樹脂や、マスク層および有機層との離型性が向上する。また、樹脂層11中の平均フッ素元素濃度(Eb)を樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)に対して相対的に低くすることにより、樹脂自体の強度が向上すると共に、樹脂層11中における基材10付近では、自由エネルギーを高く保つことができるので、基材10との密着性が向上する。これにより、基材10との密着性に優れ、マスク層12との離型性に優れ、しかも、ナノメートルサイズの凹凸形状を樹脂から樹脂へ繰り返し転写できる樹脂層11を得ることができるので特に好ましい。また、26≦Es/Eb≦189の範囲であれば、樹脂層11表面の自由エネルギーをより低くすることができ、繰り返し転写性が良好になるため好ましい。さらに、30≦Es/Eb≦160の範囲であれば、樹脂層11表面の自由エネルギーを減少させると共に、樹脂の強度を維持することができ、繰り返し転写性がより向上するため好ましく、31≦Es/Eb≦155であればより好ましい。46≦Es/Eb≦155であれば、上記効果をより一層発現できるため好ましい。
樹脂層11を構成する樹脂のうち、光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、非フッ素含有の(メタ)アクリレート、フッ素含有(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤の混合物である硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。この硬化性樹脂組成物を用いることで、表面自由エネルギーの低い疎水性界面などに該組成物を接触させた状態で上記混合物を硬化させると、樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)を、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)より大きくでき、さらには樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)をより小さくするように調整することができる。
(A)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートとしては、後述する(B)フッ素含有(メタ)アクリレート以外の重合性モノマーであれば制限はないが、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマー、ビニル基を有するモノマー、アリル基を有するモノマーが好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーがより好ましい。そして、それらは非フッ素含有のモノマーであることが好ましい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
また、重合性モノマーとしては、重合性基を複数具備した多官能性モノマーであることが好ましく、重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましい。また、2種類以上の重合性モノマーを混合して用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。単一モノマーを使用する場合は、重合反応後の架橋点を増やし、硬化物の物理的安定性(強度、耐熱性等)を得るため、重合性基の数が3以上のモノマーであることが好ましい。また、重合性基の数が1または2であるモノマーの場合、重合性数の異なるモノマーと併用して使用することが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、芳香族系の(メタ)アクリレート[フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等。]、炭化水素系の(メタ)アクリレート[ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等。]、エーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等。]、官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等。]、シリコーン系のアクリレート等。他には、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。アリル基を有するモノマーとしては、p−イソプロペニルフェノール、ビニル基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等が挙げられる。なお、EO変性とはエチレンオキシド変性をECH変性とはエピクロロヒドリン変性を、PO変性とはプロピレンオキシド変性を意味する。
(B)フッ素含有(メタ)アクリレート
フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、ポリフルオロアルキレン鎖及び/又はペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と、重合性基とを有することが好ましく、直鎖状ペルフルオロアルキレン基、または炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されかつトリフルオロメチル基を側鎖に有するペルフルオロオキシアルキレン基がさらに好ましい。また、トリフルオロメチル基を分子側鎖または分子構造末端に有する直鎖状のポリフルオロアルキレン鎖及び/又は直鎖状のペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖が特に好ましい。
ポリフルオロアルキレン鎖は、炭素数2〜炭素数24のポリフルオロアルキレン基が好ましい。また、ポリフルオロアルキレン基は、官能基を有していてもよい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、(CF2CF2CF2O)単位および(CF2O)単位からなる群から選ばれた1種以上のペルフルオロ(オキシアルキレン)単位からなることが好ましく、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、又は(CF2CF2CF2O)単位からなることがより好ましい。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、含フッ素重合体の物性(耐熱性、耐酸性等)が優れることから、(CF2CF2O)単位からなることが特に好ましい。ペルフルオロ(オキシアルキレン)単位の数は、含フッ素重合体の離型性と硬度が高いことから、2〜200の整数が好ましく、2〜50の整数がより好ましい。
重合性基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基または式−(CH2)aSi(M1)3−b(M2)bで表される加水分解性シリル基が好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基がより好ましい。ここで、M1は加水分解反応により水酸基に変換される置換基である。このような置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M2は、1価の炭化水素基である。M2としては、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。M2がアルキル基である場合、炭素数1〜炭素数4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。M2がアルケニル基である場合、炭素数2〜炭素数4のアルケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル基がより好ましい。aは1〜3の整数であり、3が好ましい。bは0または1〜3の整数であり、0が好ましい。加水分解性シリル基としては、(CH3O)3SiCH2−、(CH3CH2O)3SiCH2−、(CH3O)3Si(CH2)3−または(CH3CH2O)3Si(CH2)3−が好ましい。
重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましい。2種以上の化合物を用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、官能基を有すると透明基板との密着性に優れる。官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、エステル結合を有する官能基、アミド結合を有する官能基、水酸基、アミノ基、シアノ基、ウレタン基、イソシアネート基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基等が挙げられる。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の少なくとも1つの官能基を含むことが好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、フルオロ(メタ)アクリレート、フルオロジエン等を用いることができる。フッ素含有(メタ)アクリレートの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
フルオロ(メタ)アクリレートとしては、CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)10F、CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8F、CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)6F、CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CF2)10F、CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CF2)8F、CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CF2)6F、CH2=CHCOOCH2(CF2)6F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)6F、CH2=CHCOOCH2(CF2)7F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)7F、CH2=CHCOOCH2CF2CF2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF2)2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF2)4H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)2H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)4H、CH2=CHCOOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)3F、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF2)3F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)3F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF2)3F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF2)6CF(CF3)2、CH2=CFCOOCH2CH(CH2OH)CH2(CF2)6CF(CF3)2、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF2)10F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF2)10F、CH2=CHCOOCH2CH2(CF2CF2)3CH2CH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2CF2)3CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CH2=CHCOOCH2CyFCH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CyFCH2OCOC(CH3)=CH2等のフルオロ(メタ)アクリレートが挙げられる(但し、CyFはペルフルオロ(1,4−シクロへキシレン基)を示す。)。
フルオロジエンとしては、CF2=CFCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF=CF2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH2CH=CH2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH=CH2、CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2、CF2=CFCH2C(C(CF3)2OH)(CF3)CH2CH=CH2等のフルオロジエンが挙げられる。
なお、本発明で用いるフッ素含有(メタ)アクリレートは、下記化学式(1)で示されるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートであると、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を低くした状態で、効果的に樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)を高くでき、基材への接着性と離型性を一層効果的に発現できるため、より好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイキン工業社製の「オプツールDAC」を用いることができる。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤との併用もできる。例えば、ネオス社製「フタージェント」(例えば、Mシリーズ:フタージェント251、フタージェント215M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M;Sシリーズ:FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTX−230S;Fシリーズ:FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、フタージェント245F;Gシリーズ:フタージェント208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G;オリゴマーシリーズ:フタージェント730FM、フタージェント730LM;フタージェントPシリーズ:フタージェント710FL、FTX−710HL等)、DIC社製「メガファック」(例えば、F−114、F−410、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−470、F−471、F−474、F−475、F−477、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−489、F−172D、F−178K、F−178RM、MCF−350SF等)、ダイキン社製「オプツールTM」(例えば、DSX、DAC、AES)、「エフトーンTM」(例えば、AT−100)、「ゼッフルTM」(例えば、GH−701)、「ユニダインTM」、「ダイフリーTM」、「オプトエースTM」、住友スリーエム社製「ノベックEGC−1720」、フロロテクノロジー社製「フロロサーフ」等が挙げられる。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、分子量Mwが50〜50000であることが好ましく、相溶性の観点から分子量Mwが50〜5000であることが好ましく、分子量Mwが100〜5000であることがより好ましい。相溶性の低い高分子量を使用する際は希釈溶剤を使用しても良い。希釈溶剤としては、単一溶剤の沸点が40℃〜180℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜140℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上使用もよい。
溶剤含量は、少なくとも硬化性樹脂組成物中で分散する量であればよく、硬化性組成物100重量部に対して0重量部超〜50重量部が好ましい。乾燥後の残存溶剤量を限りなく除去することを配慮すると、0重量部超〜10重量部がより好ましい。
特に、レベリング性を向上させる為に溶剤を含有する場合は、(メタ)アクリレート100重量部に対して、溶剤含量が0.1重量部以上40重量部以下であれば好ましい。溶剤含量が0.5重量部以上20重量部以下であれば、光重合性混合物の硬化性を維持できるためより好ましく、1重量部以上15重量部以下であれば、さらに好ましい。光重合性混合物の膜厚を薄くする為に溶剤を含有する場合は、(メタ)アクリレート100重量部に対して、溶剤含量が300重量部以上10000重量部以下であれば、塗工後の乾燥工程での溶液安定性を維持できるため好ましく、300重量部以上1000重量部以下であればより好ましい。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、光によりラジカル反応またはイオン反応を引き起こすものであり、ラジカル反応を引き起こす光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、下記の光重合開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系の光重合開始剤:アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。ベンゾイン系の光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。ベンゾフェノン系の光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ペルフルオロベンゾフェノン等。チオキサントン系の光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。アントラキノン系の光重合開始剤:2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン。ケタール系の光重合開始剤:アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール。その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。フッ素原子を有する光重合開始剤:ペルフルオロtert−ブチルペルオキシド、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等、の公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性混合物は、光増感剤を含んでいてもよい。光増感剤の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類のような公知慣用の光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
市販されている開始剤の例としては、Ciba社製の「IRGACURE」(例えば、IRGACURE651、184、500、2959、127、754、907、369、379、379EG、819、1800、784、OXE01、OXE02)や「DAROCUR」(例えば、DAROCUR1173、MBF、TPO、4265)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種のみを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合には、フッ素含有(メタ)アクリレートの分散性、及び光重合性混合物の微細凹凸構造表面部及び内部の硬化性の観点から選択するとよい。例えば、αヒドロキシケトン系光重合開始剤とαアミノケトン系光重合開始剤とを併用することが挙げられる。また、2種類併用する場合の組み合わせとしては、例えば、Ciba社製の「Irgacure」同士、「Irgacure」と「Darocure」の組み合わせとして、Darocure1173とIrgacure819、Irgacure379とIrgacure127、Irgacure819とIrgacure127、Irgacure250とIrgacure127、Irgacure184とIrgacure369、Irgacure184とIrgacure379EG、Irgacure184とIrgacure907、Irgacure127とIrgacure379EG、Irgacure819とIrgacure184、DarocureTPOとIrgacure184などが挙げられる。
マスク層12の組成については、特に限定されず、溶剤に希釈可能な種々の公知樹脂(有機物)、無機前駆体、無機縮合体、メッキ液(クロムメッキ液など)まで使用できる。マスク層12は、微細マスク形成用積層体1を使用して、マスクを形成したい基材にマスクを転写する際の転写精度の観点から、光重合可能な光重合性基と熱重合可能な重合性基の両方、またはいずれか一方を含むと特に好ましい。また、マスク層12は、有機物に比べ、原子量が大きく電子密度が高いために、耐エッチング性に優れる金属元素を含むことが好ましい。
希釈溶剤としては、特に限定されないが、単一溶剤の沸点が40℃〜200℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜160℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上を使用してもよい。
また、溶剤希釈したマスク材料の濃度は、単位面積上に塗工された塗膜の固形分量が、単位面積上(下)に存在する微細凹凸構造の空隙(凹)の体積以上となる濃度であれば、特に限定されない。
マスク層12に含まれる光重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、アリル基、オキセタニル基などが挙げられる。
また、マスク層12に含まれる金属元素としては、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),亜鉛(Zn),スズ(Sn),ホウ素(B),インジウム(In),アルミニウム(Al),シリコン(Si)からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。特に、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),シリコン(Si)であることが好ましい。
マスク層12を形成する材料は、ゾルゲル材料を含むことが好ましい。ゾルゲル材料を含むことで、耐ドライエッチング性の良好なマスク層12を樹脂層11の微細凹凸構造内部に充填しやすくなる。マスク層12を構成するマスク材料中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くため、より効果的にマスク材料が凹部内部へと充填される。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好に凹内部へと充填されやすくなる。
ゾルゲル材料としては、単一の金属種を持つ金属アルコキシドのみを用いても、異なる金属種を持つ金属アルコキシドを併用してもよいが、金属種M1(ただし、M1は、Ti,Zr,Zn,Sn,B,In,Alからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素)を持つ金属アルコキシドと、金属種Siを持つ金属アルコキシドとの、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含有することが好ましい。または、マスク材料として、これらのゾルゲル材料と、公知の光重合性樹脂とのハイブリッドも使用できる。
マスク材料は、ドライエッチング時の物理的破壊を抑制する観点から縮合と光重合の両方、あるいはいずれか一方による硬化後の相分離が小さいことが好ましい。ここで、相分離とは、透過型電子顕微鏡(TEM)のコントラストで確認することが可能である。マスク層12の転写性の観点から、TEMのコントラストより、相分離サイズが20nm以下であることが好ましい。物理的耐久性および、耐ドライエッチング性の観点から、相分離サイズは15nm以下であることが好ましく、10nm以下であると、より好ましい。なお、相分離を抑制する観点から、ゾルゲル材料中に、光重合性基を具備するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、マスク層12としての耐ドライエッチング性の観点から、ゾルゲル材料は、金属種の異なる、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属種の異なる2種類の金属アルコキシドの、金属種の組み合わせとしては、例えば、SiとTi,SiとZr,SiとTa等が挙げられる。耐ドライエッチング性の観点から、Siを金属種に持つ金属アルコキシドのモル濃度(CSi)と、Si以外の金属種M1を持つ金属アルコキシド(CM1)との比率CM1/CSiは、0.2〜15であることが好ましい。塗工乾燥時の安定性の観点から、CM1/CSiは0.5〜15であることが好ましい。物理的強度の観点から、CM1/CSiは5〜8であることがより好ましい。
マスク層12は、マスク層12の転写精度と耐ドライエッチング性の観点から、無機のセグメントと有機のセグメントを含むハイブリッドであることが好ましい。ハイブリッドとしては、例えば、無機微粒子と、光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂の組み合わせや、無機前駆体と光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂、や、有機ポリマーと無機セグメントが共有結合にて結合した分子、等が挙げられる。無機前駆体としてゾルゲル材料を使用する場合は、シランカップリング剤を含むゾルゲル材料の他に、光重合可能な樹脂を含むことを意味する。ハイブリッドの場合、例えば、金属アルコキシド、光重合性基を具備したシランカップリング材、ラジカル重合系樹脂などを混合することができる。より転写精度を高めるために、これらにシリコーンを添加してもよい。また、ドライエッチング耐性を向上させるために、ゾルゲル材料部分は、予め予備縮合を行ってもよい。シランカップリング剤を含む金属アルコキシドと、光重合性樹脂の混合比率は、耐ドライエッチング性と転写精度の観点から、3:7〜7:3の範囲が好ましい。より好ましくは、3.5:6.5〜6.5:3.5の範囲である。ハイブリッドに使用する樹脂は、光重合可能であれば、ラジカル重合系でも、カチオン重合系でも特に限定されない。
マスク層12を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、上記に挙げた樹脂層11を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂から、フッ素含有(メタ)アクリレートを除いたものを用いることが好ましい。
マスク層12を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂は、少なくともカチオン硬化性モノマーと、光酸発生剤とを含む組成物を意味する。カチオン硬化性樹脂組成物におけるカチオン硬化性モノマーとは、カチオン重合開始剤の存在下で、例えば、UV照射や加熱などの硬化処理を行うことにより硬化物が得られる化合物である。カチオン硬化性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物が挙げられ、エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、およびグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも脂環式エポキシ化合物は、重合開始速度が向上し、オキセタン化合物は重合率の向上効果があるので、使用することが好ましく、グリシジルエーテルはカチオン硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、塗工性に効果があるので使用することが好ましい。より好ましくは、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用することであり、さらに好ましくは脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物との重量比率が99:1〜51:49の範囲で併用することである。
カチオン硬化性モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシ−6’−シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルなどが挙げられる。
光酸発生剤は、光照射により光酸を発生すれば、特に限定されるものではない。例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩が挙げられる。光酸発生剤としては、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマーsp−170(ADEKA社製)、アデカオプトマーsp−172(ADEKA社製)、WPAG−145(和光純薬工業社製)、WPAG−170(和光純薬工業社製)、WPAG−199(和光純薬工業社製)、WPAG−281(和光純薬工業社製)、WPAG−336(和光純薬工業社製)、WPAG−367(和光純薬工業社製)、CPI−100P(サンアプロ社製)、CPI−101A(サンアプロ社製)、CPI−200K(サンアプロ社製)、CPI−210S(サンアプロ社製)、DTS−102(みどり化学社製)、TPS−TF(東洋合成工業社製)、DTBPI−PFBS(東洋合成工業社製)等が挙げられる。
希釈したマスク材料を、樹脂層11の微細凹凸構造面上に直接塗工した際の濡れ性が悪い場合は、界面活性剤やレベリング材を添加してもよい。これらは、公知市販のものを使用することができるが、同一分子内に光重合性基を具備していることが好ましい。添加濃度は、塗工性の観点から、マスク材料100重量部に対して、40重量部以上が好ましく、60重量部以上が、より好ましい。一方で、耐ドライエッチング耐性の観点から、500重量部以下であることが好ましく、300重量部以下であると、より好ましく、150重量部以下であると、なお好ましい。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の、少なくとも1つの官能基を含むことが、相溶性の観点から好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。これらを満たすものとして、例えば、ダイキン工業社製のオプツールDACが挙げられる。添加剤は、溶剤に溶かした状態で、マスク剤と混合することが好ましい。
微細マスク形成用積層体1における樹脂層11が有する微細凹凸構造の形状は、特に限定されないが、円錐形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状や、ラインアンドスペース構造であることが好ましく、円錐形状、円柱形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状であることがより好ましい。前記ピラー形状は、ピラーが滑らかな凹部を通じ隣接していてもよい。あるいは、円錐形状、円柱形状、角錐形状、または楕円錘形状の凹部を複数含むホール形状であることが好ましい。
微細マスク形成用積層体1を使用して無機基材上にマスクパターンを形成し、このマスクパターンを利用してエッチングを行うことを考慮すると、樹脂層11の微細凹凸構造は、ホール形状であることが好ましい。また、ホール形状であることは、マスク層12を構成するマスク材料を、樹脂層11の微細凹凸構造面上に直接塗工する際の塗工性や、微細凹凸構造の耐久性(物理的破壊に対する耐性)の観点からも、好ましい。
ここで、「ピラー形状」とは、「柱状体(錐状態)が複数配置された形状」であり、「ホール形状」とは、「柱状(錐状)の穴が複数形成された形状」である。また、凹凸構造において、凸部同士の距離が50nm以上5000nm以下であり、凸部の高さが10nm以上2000nm以下であることが好ましい。用途にもよるが、凸部同士の隣接距離(凸部の頂点同士の間隔)が小さく、凸部の高さ(凹部の底から凸部の頂点までの高さ)が大きいことが好ましい。ここで、凸部とは、微細凹凸構造の平均高さより高い部位をいい、凹部とは、微細凹凸構造の平均高さより低い部位をいうものとする。
また、図3に示すように、面内において直交する第1方向と第2方向に対し、第1方向にピッチPで凸部(または凹部)が配列し、かつ、第2方向にピッチSで凸部(あるいは凹部)が配列する場合において、第2方向に列をなす凸部(または凹部)の第1方向に対するずれαの規則性が高い配列であってもよいし(図3A参照)、ずれαの規則性が低い配列であってもよい(図3B参照)。ずれαとは、第1方向に平行な隣り合う列において、最も近接する凸部の中心を通る第2方向に平行な線分間の距離をいう。例えば、図3Aに示すように、第1方向に平行な第(N)列の任意の凸部の中心を通る第2方向に平行な線分と、この凸部から最も近い距離にある第(N+1)列の凸部の中心を通る第2方向に平行な線分との間の距離が、ずれαと規定される。図3Aに示す配列は、どの列を第(N)列としても、ずれαはほぼ一定であるため、周期性を備えた配列といえる。一方、図3Bに示す配列は、どの列を第(N)列とするかによって、ずれαの値が変わるため、非周期性を備えた配列といえる。
ピッチPおよびピッチSは、想定する用途に応じて適宜設計することができる。例えば、ピッチPとピッチSとは等しいピッチであってもよい。また、図3においては、凸部(または凹部)が重なりを持たず独立した状態で描かれているが、第1方向と第2方向の両方、またはいずれか一方に配列する凸部(または凹部)が重なっていてもよい。
なお、本明細書においては、図3に示すように、ピラー形状またはホール形状を含む微細凹凸構造は、平面視で凸部または凹部が円形状に見えるため、ドット構造ともいう。
例えば、LEDのサファイア基材表面の、加工を行うための微細マスクの場合、樹脂層11の微細凹凸構造は、ピッチが300nm〜500nm、高さが100nm〜1000nmである、ナノスケールで正規配列をなし、かつ、マイクロスケールの大きな周期性を有するホール形状であることが好ましい。
以上、本発明に係る微細マスク形成用積層体1の製造に用いる各成分を詳説した。次に、上記各成分を用いた微細マスク形成用積層体1の製造方法について説明する。
以下の工程(1)〜(6)を順に行うことで、図2に示す微細マスク形成用積層体1を作製することができる。図4は、微細マスク形成用積層体1の作製工程を示す説明図である。なお、以下の工程は、ロールツーロールで行うことが好ましい。
工程(1):基材10上に硬化性樹脂組成物101を塗布する工程(樹脂を塗工する工程、図4A参照)。
工程(2):塗布した硬化性樹脂組成物101を、離型処理を施したマスターモールド102に押圧する工程(樹脂を鋳型に押圧する工程、図4B参照)。
工程(3):基材10側から光照射を行い、硬化性樹脂組成物101を光ラジカル重合させ硬化物を得る工程(樹脂を光硬化させる工程、図4C参照)。
工程(4):硬化物をマスターモールド102から剥離し、マスターモールド102のパターン形状の反転形状を具備した樹脂層11を得る工程(硬化物を鋳型から剥離する工程、樹脂モールドAを得る工程、図4D参照)。
工程(5):樹脂層11の微細凹凸構造上に、希釈したマスク材料103を塗工する工程(図4E参照)。
工程(6):溶剤を乾燥除去し、マスク層12を得る工程(図4F参照)。
なお、工程(4)で得られた樹脂モールドAを鋳型として、図5に示すように樹脂モールドBを作製し、この樹脂モールドBを用いて工程(5)以降を行ってもよい。
工程(4−1):基材10上に硬化性樹脂組成物101を塗布する工程(樹脂を塗布する工程、図5A参照)。
工程(4−2):塗布した硬化性樹脂組成物101を樹脂モールドAに押圧する工程(樹脂を鋳型に押圧する工程、図5B参照)。
工程(4−3):樹脂モールドAの基材10側と樹脂モールドBの基材10側の両方、またはいずれか一方から光照射を行い、硬化性樹脂組成物101を光ラジカル重合させ硬化物を得る工程(樹脂を光硬化させる工程、図5C参照)。
工程(4−4):硬化物を樹脂モールドAから剥離し、マスターモールド102のパターン形状と同様の形状を具備した樹脂層11を得る工程(硬化物から鋳型を剥離する工程、樹脂モールドBを得る工程、図5D参照)。
工程(1),(5)における塗工方法としては、ローラーコート法、バーコート法、ダイコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、フローコート法、カーテンコート法などが挙げられる。
工程(6)の後に、カバーフィルムを被せ(合わせ)、巻き取る工程を加えてもよい。また、工程(6)の後に、光照射を行い、マスク層中に含まれる硬化性部位を、部分的に光重合させてもよい。
ゾルゲル材料をマスク層12に含む場合、工程(6)は、溶剤乾燥のほか、ゾルゲル材料の縮合も兼ねている。また、ゾルゲル材料をマスク層12に含む場合、巻き取った後に養生する工程を加えてもよい。養生は、室温〜120℃の間で行うことが好ましい。特に、室温〜105℃であると好ましい。
工程(1)〜(4)で作製される樹脂層11の微細凹凸構造中に、塗工改善構造を含んでもよい。塗工改善構造は、所望の微細マスクを作製するための基本構造を挟みこむように配置されており、塗工改善構造のピッチは、基本構造よりも大きいことが好ましい。特に、塗工改善構造中のピッチが、基本構造側から、フィルム端部へと、徐々に大きくなることが好ましい。
微細マスク形成用積層体1を製造するにあたり、上記lrlを満たす構造を形成するには、次に示す構造、マスク材料を用いることが好ましい。
図6は、微細マスク形成用積層体1におけるピラー形状の微細凹凸構造を示す断面模式図である。樹脂層11の微細凹凸構造がピラー形状の場合、1つの凸部の頂部を形成する面における、最長の線分の長さ(lx)がサブミクロンスケールであると、希釈塗工したマスク材料が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部内部へと充填される結果、lrlを小さくできるため好ましい。特に、最長の線分の長さが、500nm以下であると、上記効果をより一層発揮できるため好ましく、より好ましくは、300nm以下、最も好ましくは、150nm以下である。なお、1つの凸部の頂部を形成する面とは、各凸部の頂部位置を通る面と、1つの凸部の頂部とが交わる面を意味する。
図6Aに示すように、凸部は、凸部頂部の面積の方が凸部底部の面積より小さい構造、すなわち、凸部の外側面が傾斜を持つ構造であると、上記効果をより発揮できるため好ましい。さらに、図6Bに示すように、凸部頂部と傾斜部とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をより一層発揮できるため好ましい。
図7は、微細マスク形成用積層体1におけるホール形状の微細凹凸構造を示す上面図である。樹脂層11の微細凹凸構造がホール形状の場合、1つのホール(A)と、ホール(A)に最近接するホール(B)において、ホール(A)の開口淵部と、ホール(B)の開口淵部をつなぐ、最短の線分(ly)の長さがサブミクロンスケールであると、希釈塗工したマスク材料が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部内部へと充填される結果、lrlを小さくできるため好ましい。特に、最短の線分の長さが、500nm以下であると、上記効果をより一層発揮できるため好ましく、より好ましくは、400nm以下、最も好ましくは、300nm以下である。さらに、ピッチPおよびピッチSはともに800nm以下であると上記効果をより発揮するため好ましく、500nm以下であるとより好ましい。
また、ホール開口部の面積の方がホール底部の面積よりも大きい構造、すなわち、凹部の内側面が傾斜を持つ構造であると、上記効果をより発揮できるため好ましい。さらに、開口淵と凹部側面とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をより一層発揮できるため好ましい。
マスク層12を構成するマスク材料中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くため、より効果的にマスク材料が凹部内部へと充填される結果、lrlを小さくできるため好ましい。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好に凹内部へと充填され、lrlが小さくなる。
続いて、微細マスク形成用積層体1の使用方法について説明する。
以下の工程(11)〜(18)を順に行うことで、微細マスク形成用積層体1を使用して、加工対象である基材104を加工することができる。図8は、微細マスク形成用積層体1を使用した基材104の加工工程を示す説明図である。
工程(11):基材104上に接着層105を形成する工程(図8A参照)。
工程(12):微細マスク形成用積層体1からカバーフィルムをはずし、マスク層12面側と接着層105とを貼合する工程(図8B参照)。
工程(13):微細マスク形成用積層体1の基材10上と基材104上の両方から、またはいずれか一方から光照射する工程(図8C参照)。
工程(14):微細マスク形成用積層体1の基材10および樹脂層11を剥離する工程(図8D参照)。
工程(15):基材104上に得られたマスク層12の残膜をエッチングにより除去する工程(図8E参照)。
工程(16):基材104上に得られたマスク層12および接着層105に対してエッチングを行い、マスク層12および接着層105で構成される微細マスクパターンを形成する工程(図8F参照)。
工程(17):工程(16)で得られた微細マスクパターンをマスクとして、基材104をエッチングする工程(図8G参照)。
工程(18):マスク層12および接着層105を剥離する工程(図8H参照)。
工程(11)と(12)との間に、加熱工程を加えてもよい。加熱工程は、接着層105中の溶剤を除去し、接着層105の粘度を上昇させるために行う。加熱温度は、60℃〜200℃が好ましい。
また、工程(13)と(14)との間に、加熱工程を加えてもよい。さらに、工程(14)の後に、加熱工程あるいは光照射工程を加えてもよい。
工程(16)におけるエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。ただし、接着層を異方的にエッチングすることが好ましいため、ドライエッチングが好ましい。
接着層105は、有機層で構成される。一般的に、有機物は、無機物よりもエッチングレートが非常に早いため、無機基材を容易に加工する為には、有機層の高さをある程度高くする必要がある。このように厚みのある有機層を、マスク層12をマスクとしてエッチングする場合、エッチングの異方性を大きくする必要がある。すなわち、垂直方向のエッチングレートを、水平(横)方向のエッチングレートよりも大きくする必要がある。マスク層12と、有機層のエッチングレート比を適切な値にすることで、有機層のエッチングが可能となる。微細マスク形成用積層体1においては、マスク層12中に含まれる蒸気圧の低い成分(例えば、ゾルゲル材料)が、有機層のエッチング時に、有機層の側壁を保護する役割を果たすため、厚みのある有機層を容易にエッチングすることが可能となる。
ドライエッチングによる、マスク層12のエッチングレート(Vm1)と、有機層のエッチングレート(Vo1)との比率(Vo1/Vm1)は、マスク層12をマスクとして有機層をエッチングする際の加工精度に影響を与える。Vo1/Vm1>1は、マスク層12が有機層よりもエッチングされにくいことを意味するため、大きいほど好ましい。マスク層12の塗工性の観点から、Vo1/Vm1≦150であることがこの好ましく、Vo1/Vm1≦100がより好ましい。耐エッチング性の観点から、3≦Vo1/Vm1であることが好ましく、10≦Vo1/Vm1であることがより好ましく、15≦Vo1/Vm1であることが、なお好ましい。
一方、有機層のエッチング時のエッチング異方性(横方向のエッチングレート(Vo//)と、縦方向のエッチングレート(Vo⊥)との比率(Vo⊥/Vo//)は、大きいほど好ましい。有機層のエッチングレートと、無機基材のエッチングレートの比率にもよるが、Vo⊥/Vo//≧2であることが好ましく、Vo⊥/Vo//≧3.5であることがより好ましく、Vo⊥/Vo//≧10であることがなお好ましい。なお、横方向とは、有機層13の膜厚方向を意味し、縦方向とは、有機層13の面方向を意味する。
工程(17)におけるエッチングは、微細化されたマスク層12と接着層105(有機層)とを、加工対象である基材104表面に形成された微細マスクパターンとして行う。微細マスクパターンは、アスペクトが高いマスクとして存在するため、接着層105(有機層)と基材104(無機基材)のエッチングレート比の幅を広く保った状態で、容易に基材104(無機基材)を加工することができる。
ドライエッチングによる、無機基材のエッチングレート(Vi2)と、有機層のエッチングレート(Vo2)との比率(Vo2/Vi2)は、小さいほど好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、有機層のエッチングレートの方が、無機基材のエッチングレートよりも小さいため、無機基材を容易に加工することができる。有機層の塗工性および、エッチング精度の観点から、Vo2/Vi2≦3であることが好ましく、Vo2/Vi2≦2.5であるとより好ましい。Vo2/Vi2≦2であると、有機層を薄くできるためより好ましい。
工程(11)で形成する接着層105の厚みは、150nm以上1500nm以下が好ましい。150nm以上であることから、接着性が向上する。また、1500nm以下であることから、接着層105およびマスク層12からなるマスクの物理的安定性が向上する。
また、以下の工程(21)〜(22)によっても、微細マスク形成用積層体1を使用して、加工対象である基材104を加工することができる。図9は、微細マスク形成用積層体1を使用した基材104の加工工程を示す説明図である。
工程(21):微細マスク形成用積層体1からカバーフィルムをはずし、マスク層12上に接着層106を塗工する工程(図9A参照)。
工程(22):接着層106と基材104とを貼合する工程(図9B参照)。
工程(22)の後は、上記工程(13)以降の工程を順に行えばよい。
なお、工程(21)において、接着層106塗工後、溶剤乾燥工程を経てもよい。また、工程(21)で形成する接着層106の厚みは、150nm以上1500nm以下が好ましい。150nm以上であることから、接着性が向上する。また、1500nm以下であることから、接着層106およびマスク層12からなるマスクの物理的安定性が向上する。
さらに、以下の工程(31)〜(34)によっても、微細マスク形成用積層体1を使用して、加工対象である基材104を加工することができる。図10は、微細マスク形成用積層体1を使用した基材104の加工工程を示す説明図である。
工程(31):樹脂層11/マスク層12で構成される積層体上に、接着層106を塗工した後、溶剤を乾燥させる工程(図10A参照)。
工程(32):カバーフィルム107を貼合し(図10B参照)、接着層106/マスク層12/樹脂層11で構成される積層体108を巻き取る工程。
工程(33):巻きだした後に、カバーフィルム107をはずし、基材104および積層体108の両方、またはいずれか一方を加熱した状態で、基材104に積層体108貼合する工程(図10C参照)。
工程(34):基材10および樹脂層11を剥離する工程(図10D参照)。
工程(34)の後は、上記工程(15)以降の工程を順に行えばよい。
なお、工程(33)と工程(34)との間に、光照射工程を加えてもよい。接着層106およびマスク層12内に光重合性物質が含まれる場合、光照射工程により、接着層106とマスク層12を強固に接着することができる。
なお、工程(34)における樹脂層11の剥離前と剥離後の両方、あるいはいずれか一方において、UV光照射を行ってもよい。
以上説明したように、本発明に係る微細マスク形成用積層体1を使用することで、加工対象である基材表面に残膜の薄い微細マスクパターンを精度よく、かつ、容易に形成することができる。この結果、加工対象である基材表面に、ナノスケールの加工を容易に施すことができる。
本発明によれば、マスク層12の形態として、lrlが非常に小さくなるため、マスク層12により形成される微細マスクパターンの幅に影響を与える残膜処理過程が非常に容易になる。これにより、精度の高い微細マスクパターンを形成することができる。また、微細マスクパターンをラミネート工程で転写できるため、容易に大面積に展開できる。
(実施例)
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
実施例においては、以下の材料および測定方法を用いた。
・DACHP…OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製)
・M350…トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製 M350)
・I.184…Irgacure 184(Ciba社製)
・I.369…Irgacure 369(Ciba社製)
・TTB…チタンテトラブトキシド
・DEDFS…ヂエトキシヂフェニルシラン
・X21−5841…末端OH変性シリコーン(信越シリコーン社製)
・SH710…フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)
・3APTMS…KBM5103(信越シリコーン社製)
・M211B…アロニックスM211B(東亞合成社製)
・M101A…アロニックスM101A(東亞合成社製)
・OXT221…アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
・CEL2021P…3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート
・DTS102…光酸発生剤(みどり化学社製)
・DBA…Anthracure(登録商標) UVS−1331(川崎化成社製)
・PGME…プロピレングリコールモノメチルエーテル
・MEK…メチルエチルケトン
・MIBK…メチルイソブチルケトン
・Es/Eb…微細凹凸構造を表面に具備する樹脂モールドのXPS法により測定される表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率。
樹脂モールドの表面フッ素元素濃度はX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)にて測定した。XPSにおける、X線のサンプル表面への侵入長は数nmと非常に浅いため、XPSの測定値を本発明における樹脂モールド表面のフッ素元素濃度(Es)として採用した。樹脂モールドを約2mm四方の小片として切り出し、1mm×2mmのスロット型のマスクを被せて下記条件でXPS測定に供した。
XPS測定条件
使用機器 ;サーモフィッシャーESCALAB250
励起源 ;mono.AlKα 15kV×10mA
分析サイズ;約1mm(形状は楕円)
取込領域
Survey scan;0〜1, 100eV
Narrow scan;F 1s,C 1s,O 1s,N 1s
Pass energy
Survey scan; 100eV
Narrow scan; 20eV
一方、樹脂モールドを構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を測定するには、物理的に剥離した切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることで、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を測定した。
(a)円筒状金型作製(樹脂モールド作製用鋳型の作製)
円筒状金型の基材には石英ガラスを用い、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法により微細凹凸構造を石英ガラス表面に形成した。微細表面凹凸を形成した石英ガラスロール表面に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を実施した。
(b)樹脂モールド作製
DACHP,M350,I.184およびI.369を混合し、転写材料を調液した。DACHPは、M350、100質量部に対し、10〜20質量部添加した。なお、後述する樹脂モールド(A)から樹脂モールド(B)を作る工程では、樹脂モールド(A)を作製する際に使用した樹脂と同様の樹脂を使用し、樹脂モールド(B)を作製した。
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように光硬化性樹脂を塗布した。次いで、円筒状金型に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cm2となるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に微細凹凸構造が転写されたリール状の樹脂モールド(A)(長さ200m、幅300mm)を得た。リール状樹脂モールド(A)の表面微細凹凸の形状は、走査型電子顕微鏡観察で確認した結果、凸部同士の隣接距離は460nm、凸部高さは460nmであった。
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、樹脂モールド(A)を作製した際に使用した樹脂と同様の光硬化性樹脂を塗布膜厚6μmになるように塗布した。次いで、円筒状金型から直接転写し得られた樹脂モールド(A)の微細凹凸構造面に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cm2となるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に微細凹凸構造が転写された、円筒状金型と同様の微細凹凸構造を具備するリール状の樹脂モールド(B)(長さ200m、幅300mm)を複数得た。リール状樹脂モールド(B)の表面微細凹凸の形状は、走査型電子顕微鏡観察で確認した結果、凹部の開口幅はφ230nm、凹部同士の隣接距離は460nm、凹部高さは460nmであった。
得られた樹脂モールド(B)の、表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率、Es/Ebは、DACHPの仕込み量により40〜80の間で調整できた。以降、樹脂モールド(B)を樹脂モールド(dot)と呼ぶ。また、以下の樹脂モールド(dot)を使用した検討においては、Es/Ebの値が、74.1,55.4,49.0である樹脂モールド(dot)を選定し、それら全てに対して検討を行った。
また、上記同様の手法を用い、ラインアンドスペースの微細凹凸構造を表面に具備する樹脂モールド(B)も作製した。以降、この樹脂モールド(B)を、樹脂モールド(L/S)と呼ぶ。得られた樹脂モールド(L/S)の、表面微細凹凸構造は、ピッチが130nm、高さが150nmであった。得られた樹脂モールド(L/S)の、表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率、Es/Ebは、DACHPの仕込み量により、40〜90の間で調整できた。以下の樹脂モールド(L/S)を使用した検討においては、Es/Ebの値が、80.5,57.6,47.7である樹脂モールド(L/S)を選定し、それら全てに対して検討を行った。
(c)微細マスク形成用積層体作製(dot)
樹脂モールド(dot)を用い、本発明の微細マスク形成用積層体を、次のように作製した。マスク材料は、マスク材料(A)〜マスク材料(C)までの3種類を調液し、これら全てに対して同様の検討を行った。
マスク材料(A)…TTB;DEDFS;TEOS;X21−5841;SH710=65.25:21.75:4.35:4.35:4.35[g]で十分に混合した。続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で、徐々に滴下した。その後、80度の環境で4時間熟成し、真空引きを行い、マスク材料(A)を得た。
マスク材料(B)…TTB;DEDRS;X21−5841;SH710;3APTMS;M211B;M101A;M350;I.184;I.369=33.0:11.0:4.4:4.4:17.6:8.8:8.8:8.8:2.4:0.9[g]で十分に混合し、マスク材料(B)を得た。
マスク材料(C)…TTB;DEDRS;X21−5841;SH710;3APTMS=46.9:15.6:6.3:6.3:25.0[g]で十分に混合し、続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で徐々に滴下した。その後、80度の環境で2.5時間熟成し、真空引きを行った。前記溶液に、M211B;M101A;M350;I.184;I.369=29.6:29.6:29.6:8.1:3.0[g]を混合した溶液42.2gを加え、十分に攪拌し、マスク材料(C)を得た。
続いて、マスク材料(A),(B),(C)に対し、それぞれ、以下同様の検討を行った。以下、マスク材料(A),(B),(C)は区別せず、すべてマスク材料と表記する。
本発明の微細マスク形成用積層体を作製する為に、マスク材料を、PGMEで希釈した。希釈倍率は、単位平面積上の塗工膜中に含まれるマスク材料量(固形分量)が、樹脂モールド(dot)の、微細凹凸構造の体積以上となるように設定した。具体的には、lrlが、0nm(0h),4.6nm(0.01h),11.5nm(0.025h),23nm(0.05h),46nm(0.1h),92nm(0.2h)になるように濃度を決定した。希釈は、マスク材料にPGMEを滴下し、十分に攪拌することで行った。
樹脂モールド(dot)の微細凹凸構造面に対するマスク材料の塗工は、樹脂モールド製造と同様の装置を使用した。マイクログラビアコーティングにて、樹脂モールド(dot)の微細凹凸構造面に、希釈したマスク材料を塗工し、80度の乾燥雰囲気を通過させ、カバーフィルムを貼り合わせ巻き取り、回収した。
得られた本発明の微細マスク形成用積層体の樹脂モールドの微細凹凸構造が存在する側の面を、原子間力顕微鏡で観察した。想定lrlが0nm(0h)の場合、部分的に、微細凹凸構造が観察された。想定lrlが、4.6nm(0.01h)以上の場合、原子間力顕微鏡による微細凹凸構造の観察はできなかったことから、樹脂モールドの微細凹凸構造は、マスク材料により完全に充填されていると判断できた。続いて、微細マスク形成用積層体の断面を、走査型電子顕微鏡で観察した。観察結果から、残膜厚lrlは、ほぼ想定厚通りに形成できることがわかった。さらに、残膜厚lrlの厚ムラは、±10%内におさまっていた。
試験方法は後述するが、想定lrlが92nm(0.2h)の場合、本発明の微細マスク形成用積層体は作製可能だが、残膜処理終了後、マスク層の幅が狭くなりすぎ、マスクとしての自立性に難点があった。また、このような狭い幅をもつマスク層を、マスクとして、続く有機層のエッチングはできなかった。想定lrlが46nm(0.1h)以下の場合に関しては、残膜処理は問題なかった。
(d)微細マスク形成用積層体(L/S)
(c)のドット形状とは別の、ラインアンドスペース構造についても、本発明の微細マスク形成用積層体を作成した。樹脂モールド(L/S)を用い、マスク材料は、上述したマスク材料(A)〜マスク材料(C)までの3種類を調液し、使用した。これら全てのマスク材料に対して同様の検討を行った。以下、マスク材料(A),(B),(C)は区別せず、すべてマスク材料と表記する。
本発明の微細マスク形成用積層体を作製する為に、マスク材料を、DACHPを含むMEK溶液で希釈した。DACHPの量は、マスク材料100gに対して、20重量部〜600重量部の範囲で行った。希釈倍率は、単位平面積上の塗工膜中に含まれる固形分量が、樹脂モールド(L/S)の、微細凹凸構造の体積より大きくなるように設定した。ここで、固形分量とは、マスク材料と、DACHP中のフッ素含有(メタ)アクリレートとの総量を意味する。具体的には、lrlが、0,1.5nm(0.01h),3.75(0.025h),7.5nm(0.05h),15nm(0.1h),30nm(0.2h)になるように濃度を決定した。希釈は、マスク材料に、DACHPを含むMEKを滴下し、十分に攪拌することで行った。
樹脂モールド(L/S)の微細凹凸構造面に対するマスク材料の塗工は、検討(c)と同様に行った。
得られた本発明の微細マスク形成用積層体の断面を、走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡で観察した。結果は検討(c)と同様であった。ただし、想定lrlが、1.5nmと、3.75nmの場合、走査型電子顕微鏡の分解能以下であるため、想定lrlとどの程度一致しているかは判定できなかった。走査型電子顕微鏡と、原子間力顕微鏡の組み合わせより、想定lrlが5nm以下であり、かつ、樹脂モールドの微細凹凸構造が充填されていることは判断できた。
なお、使用した溶液を、石英上にスピンコート法にて薄膜化し、耐ドライエッチング性を評価した結果、DACHPの量が、500質量部以下で良好な結果が得られた、より結果が良好だったのは、300質量部以下であり、150質量部以下でなお良かった。一方で、塗工性に関しては、40質量部以上で、濡れ性が改善した。60質量部以上であれば、より良好に塗工可能であった。
(e)微細マスク形成用積層体使用
本発明の微細マスク形成用積層体を使用することで、容易に大面積に微細マスクを所望の基材上に形成できるかを確認した。微細マスク形成用積層体としては、検討(C)で作製した微細マスク形成用積層体(以下、単に微細マスク形成用積層体という)を使用した。
使用した微細マスク形成用積層体は、200mの巻き取られた微細マスク形成用積層体から切り出し使用した。外形は、幅300mm、長さ600mmとした。微細マスク形成部分は、幅250mm、長さ600mmである。本発明の微細マスク形成用積層体を、有機樹脂層を介し、無機基材へと貼合し、光照射を行うことで、微細マスクを無機基材上に形成した。具体的には次のように行った。
有機樹脂(A)… A液=OXT221;CEL2021P;M211B;M101A=20g:80g:50g:50g
B液=PGME;DTS102;DBA;I.184=300g:8g:1g:5g
A液:B液=100g:157g
有機樹脂(B)… MUR−XR02(丸善石油化学社製)
有機樹脂としては、上記有機樹脂(A)および有機樹脂(B)を、それぞれ別個に使用した。使用方法は同じなので、以下、有機樹脂とのみ表記する。
また、無機基材には、サファイア基材を使用した。
2インチφの無機基材表面を、オゾンにより親水処理した。続いて、有機樹脂を、溶剤(PGME、MIBKあるいは、シクロヘキサン)で希釈し、2000rpmの速度のスピンコート法により、無機基材のオゾン処理面上に薄膜を形成した。続いて、80℃のホットプレート上に2分間静置し、その後、120℃のホットプレート上に2分間静置し、溶剤を除去した。
本発明の微細マスク形成用積層体の、マスク層面側(樹脂モールドの微細凹凸構造面側)を、無機基材上の有機樹脂層と貼合わせた。この時、有機樹脂層が形成された無機基材を4個×9個に配列し、合計36個の無機基材に対し、300mm×600mmの微細マスク形成用積層体を貼合した。
貼合後、樹脂モールド上から、0.05MPaの圧力で加圧し、UV光を樹脂モールド上から照射した。有機樹脂(A)を使用した場合は、UV光照射後、室温で10分間静置した。続いて、105℃のオーブンで1.5分間加熱し、樹脂モールドを剥離した。有機樹脂(A)を使用した場合は、樹脂モールド剥離後に、再度UV照射を行った。
得られた無機基材の微細凹凸構造面側に対し、走査型電子顕微鏡観察を行った結果、残膜厚のバラつきは±10%以下であり、均質、かつ、薄い残膜を持つマスク層/有機樹脂層/無機基材という構成が観察された。以上から、本発明の微細マスク形成用積層体を使用することで、合計面積が大きく残膜が非常に薄いマスク層を、容易かつ迅速に形成できることがわかる。
最後に、無機基材の加工が可能か否かを検証した。微細マスク形成用積層体としては、樹脂モールド(dot)のものを使用した。
まず、マスク層の残膜をエッチングにより除去し、続いて、O2によるエッチングを行い、有機層を微細構造化した。想定lrlが0nmの場合、残膜lrlのない部分も部分的に存在するため、残膜処理後の、マスク層および有機層からなる微細構造にムラが観察された。一方、想定lrlが0.2hの場合、残膜処理により、マスク層幅が大きく減少し、マスク層をマスクとして用いる有機樹脂層のエッチングがうまくいかなかった。想定lrlが0.01h以上0.1以下の場合、問題なく有機樹脂層までエッチングできた。
続いて、lrlが0nm以上0.1hnm以下の場合に関し、マスク層および有機樹脂層をマスクとして用いる塩素系ガスによるエッチングを行うことで、無機基材をエッチングした。最後に、アッシングにより、マスク層および有機樹脂層をすべて排除した。得られた無機基材を走査型電子顕微鏡にて観察した結果、表面に、樹脂モールドの微細凹凸構造と同様のピッチを有する微細凹凸構造が形成されていた。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。