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JP2013098390A - 光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール - Google Patents

光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール Download PDF

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Tsutomu Matsuura
努 松浦
Yuki Tsuda
祐樹 津田
Yusuke Nishikawa
祐介 西川
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Abstract

【課題】曲線因子および光電変換効率に優れた光電変換装置を得ること。
【解決手段】結晶シリコン基板5と、前記結晶シリコン基板5の一面上に形成された受光面側アモルファスシリコン層4と、前記受光面側アモルファスシリコン層4上に直接形成された接合調整層3と、透光性を有する導電材料からなり前記接合調整層3上に直接形成された受光面側透明電極2と、を備え、前記接合調整層3は、酸素欠損率が4%〜20%である酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれか1種または複数種の混合材料からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュールに関し、特に、高い曲線因子を有する光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュールに関する。
近年、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶シリコン系光電変換装置の開発が盛んに行われている。これらの光電変換装置の開発において特に重要な要件は、低コスト化である。光電変換装置の低コスト化を実現するためには、製造コストを低減させるか光電変換装置の光電変換効率を向上させればよい。ただし、結晶シリコン系光電変換装置のコストはウェハ価格に依存する部分が大きいため、製造コストを低減させるためには光電変換セルの光電変換効率を向上させる必要がある。
結晶シリコン系光電変換装置の光電変換効率を向上させる技術の一つに、光閉じ込め技術がある。これは、光電変換装置の光入射面に凹凸構造を設けることにより、平坦な光入射面に比べてより多くの光を光電変換装置の内部に入射させる技術である。
一般的に、光電変換装置は光電変換層の受光面および裏面に透明電極および金属電極が形成された構造を持ち、光電変換層で作られた電流をこれらの電極により取り出す仕組みとなっている。このため、特に受光面の透明電極には、電気を取り出すことおよび光電変換装置の内部に光を透過させることの2種類の役目が必要となる。
電気を取り出すために必要なことは、透明電極における膜そのものの抵抗と、透明電極と光電変換層との接合抵抗(コンタクト抵抗)との低減である。これらのどちらの抵抗が高くても、電流を取り出す回路全体の抵抗が増加し、光電変換装置の光電変換効率が低下する。
また、光電変換装置の内部に光を透過させるために必要なことは、できるだけ低光反射および低光吸収を実現することである。光電変換装置の表面に凹凸構造が形成されていると、光電変換装置の表面で光の多重反射が生じる。この場合は、光電変換装置の表面に形成されている透明電極での反射率および吸収率が、反射回数が増えるたびに増加する。
以上のことより、表面に凹凸構造を有する光電変換装置に用いられる透明電極には、低抵抗、低接合抵抗、低光反射および低光吸収が必要である。
これに対して、例えば光電変換層と透明電極とのコンタクト抵抗が改善された光電変換装置が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、低接触抵抗と高光透過率とが両立された透明電極を有する光起電力装置が記されている。具体的には光電変換層上に低接触抵抗を備える低酸素濃度の透明電極および集電極を形成し、その後酸素プラズマを照射することで集電極形成部以外に酸素が注入され、高酸素濃度の透明電極に変化する。これにより集電極および光電変換層と、透明電極との低接触抵抗を維持しつつ、高光透過率を達成することができる。
特開2004−214442号公報
しかしながら、特許文献1の光電変換装置では、酸素プラズマ処理を行なうことにより、透明電極がダメージを受けて該透明電極の抵抗率が上昇するだけでなく、集電極が酸化することで該集電極の直列抵抗が増加して曲線因子が低下し、光電変換装置の特性が低下する、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、曲線因子および光電変換効率に優れた光電変換装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる光電変換装置は、結晶半導体基板と、前記結晶半導体基板の一面上に形成された半導体層と、前記半導体層上に直接形成された接合調整層と、透光性を有する導電材料からなり前記接合調整層上に直接形成された透明電極と、を備え、前記接合調整層は、酸素欠損率が4%〜20%である酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれか1種または複数種の混合材料からなること、を特徴とする。
本発明によれば、光電変換装置への高光透過を維持しつつ、半導体層と透明電極との間の低接合抵抗を実現できるため、電流密度および曲線因子が改善され、高い光電変換効率を示す光電変換装置が得られる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる結晶シリコン系光電変換装置の構成を模式的に示す断面図である。 図2−1は、本発明の実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法の一例を示す断面図である。 図2−2は、本発明の実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法の一例を示す断面図である。 図2−3は、本発明の実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法の一例を示す断面図である。 図2−4は、本発明の実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法の一例を示す断面図である。 図2−5は、本発明の実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法の一例を示す断面図である。 図3は、接合調整層中の酸素欠損率を変化させたときの光吸収率を示す特性図である。 図4は、接合抵抗測定用TEGの構成を模式的に示す断面図である。 図5は、接合調整層中の酸素欠損率を変化させたときの接合調整層とアモルファスシリコン層との接合抵抗を示す特性図である。 図6は、接合調整層中の酸素欠損率を変化させたときの光電変換装置の光電変換効率を示す特性図である。 図7は、接合調整層中の酸素欠損率と接合調整層の膜厚とを変化させたときの光電変換装置の光電変換効率を示す特性図である。
以下に、本発明にかかる光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態にかかる結晶シリコン系光電変換装置(以下、単に光電変換装置と呼ぶ場合がある)の構成を模式的に示す断面図である。本実施の形態にかかる光電変換装置は、結晶シリコンとはバンドギャップの異なるアモルファスシリコン系薄膜を結晶シリコン表面へ成膜してヘテロ接合が形成されたヘテロ接合光電変換装置である。本実施の形態にかかる光電変換装置は、基板の表面にテクスチャと呼ばれる凹凸構造が形成された結晶シリコン基板5を有し、該結晶シリコン基板5の受光面側には受光面側アモルファスシリコン層4、接合調整層3、受光面側透明電極2、グリッド電極(取り出し電極)1が順次積層され、裏面側には裏面側アモルファスシリコン層6、裏面側透明電極7、金属電極8が順次積層されている。この光電変換装置に対しては、光電変換されるべき光は、結晶シリコン基板5において受光面側アモルファスシリコン層4が形成された側(受光面側)から入射される。
つぎに、上記のように構成された実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法について図2−1〜図2−5を参照して説明する。図2−1〜図2−5は、本実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
まず、表面にテクスチャと呼ばれる凹凸構造を有する結晶シリコン基板5を形成する。すなわち、結晶シリコンのインゴットから結晶シリコン基板をスライスした後、アルカリ水溶液、例えばNaOH水溶液やKOH水溶液などを用いたウエットエッチングにより該結晶シリコン基板の表面に凹凸構造を形成する。テクスチャは光電変換装置に入射する光の反射を低減し、光電変換装置内における光散乱を促進する。シリコン基板は面方位によってアルカリ水溶液によるエッチング速度が異なる。このため、例えば面方位が(100)のシリコン基板をエッチングするとエッチングされにくい(111)面が斜め方向に現れ、最終的にはピラミッド形状の凹凸構造がシリコン基板上に施される。
結晶シリコン基板は、生産性の観点から、結晶シリコンのインゴットからスライスされて表面に凹凸構造が形成された後に、アモルファスシリコン層が成膜される。このため、スライスによるダメージや金属汚染等がシリコン基板に残されたままだと、凹凸構造の制御がうまく行えない。また、結晶シリコンとアモルファスシリコンとの界面において、結晶シリコン基板内部で光電変換されて作られたキャリア電子が再結合してしまい、光電変換装置の特性が悪化してしまう。このため、スライス後の結晶シリコン基板には、ゲッタリング、過酸化水素等を利用した洗浄などの処置を施すことが好ましい。
結晶シリコン基板は、p型シリコン基板またはn型シリコン基板のどちらでもよい。ただし、結晶シリコン基板の受光面側にp層の受光面側アモルファスシリコン層4を形成する場合には、入射した光がすぐにpn接合に達するように、結晶シリコン基板にn型シリコン基板を用いることが好ましい。逆に、結晶シリコン基板の受光面側にn型の受光面側アモルファスシリコン層4を形成する場合には、結晶シリコン基板にp型シリコン基板を用いることが好ましい。ここでは、結晶シリコン基板をn型シリコン基板として説明する。なお、ここでは結晶シリコン基板を用いているが、光電変換装置に使用可能な結晶半導体基板を結晶シリコン基板の代わりに使用してもよい。
結晶シリコン基板上に凹凸構造を形成した後に、結晶シリコンとバンドギャップの異なる半導体層として、図2−1に示すように該結晶シリコン基板5の受光面側に受光面側アモルファスシリコン層4を例えば化学気相成長(CVD)法を用いて形成する。ここでは結晶シリコン基板がn型とされるため、受光面側アモルファスシリコン層4はp型とされる。受光面側アモルファスシリコン層4は、その直上に形成される接合調整層3と接するため、導電性向上のためにキャリア濃度は高い方が好ましく、また受光面側に配置されるため高光透過率であると更によい。これらの高キャリア濃度化および高光透過率化を達成するために、受光面側アモルファスシリコン層4を薄膜のp型微結晶シリコン層としてもよい。また、結晶シリコンとアモルファスシリコンとの界面においてヘテロ接合が形成されるが、BSF構造とするためにパッシベーションとして、結晶シリコン基板の受光面側にi型のアモルファスシリコン層とp型の受光面側アモルファスシリコン層4とをこの順で積層してもよい。
つぎに、図2−2に示すように、受光面側アモルファスシリコン層4の直上に例えばスパッタリング法により接合調整層3を成膜する。受光面側アモルファスシリコン層がp型であるのに対して、受光面側透明電極は通常n型とされる。このため、アモルファスシリコン層と受光面側透明電極との電気的コンタクトが取りにくく、接合抵抗(コンタクト抵抗)が生じる。そこで、本実施の形態では、受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間に接合調整層3を設けて、受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間の接合抵抗を改善する。
接合調整層3の構成材料は、p型のアモルファスシリコンよりも電子親和力が大きく、またトンネル効果により受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間に電流を流すようにするために、高ドープ材料であることが好ましい。p型のアモルファスシリコンよりも電子親和力が大きいことで、接合調整層3の伝導帯と受光面側アモルファスシリコン層4の価電子帯のエネルギー準位が近づき、トンネル電流が流れやすくなり、接合抵抗が改善する。更に、受光面側に配置されるため、高光透過率も要求される。このような特性を有する材料としては、酸素欠損率の大きな酸化インジウム(InOx、xはSn、Ti、Zn、Zr、Hf及びW)、酸化チタン(TiOx、xはNb、Ta及びW)、酸化スズ(SnOx、xはIn、Ti、Sb及びF)、酸化亜鉛(ZnOx、xはAl、Ga、In、Ti、B及びF)が挙げられ、これらの膜中の酸素欠損率(完全酸化に対する酸素欠損量の比率)は4%〜20%の範囲とされる。また、これらの材料のいずれか1種の単層の他、これらの混合材料からなる層、さらにこれらの材料の多層膜からなる層としてもよい。より詳細な内容は後述する。
つぎに、図2−3に示すように、接合調整層3の直上に受光面側透明電極2を形成する。受光面側透明電極2の形成方法は、スパッタリング法およびCVD法が好ましい。受光面側透明電極2は、例えば高光透過率および高導電率を有する材料により形成される。このような材料としては、例えば酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズなどが好ましく、また導電率を向上させるために、これらの材料にAl、Ga、Nb、Snなどの金属を微量ドープしてもよい。また、高光透過率化させるために、これらの材料を成膜した後に還元雰囲気、例えば水素中、若しくは真空中でアニールを実施してもよい。
つぎに、図2−4に示すように、受光面側透明電極2の直上にグリッド電極1を形成する。結晶シリコン基板5の内部で光電変換されて作られたキャリアをグリッド電極1により集電するため、グリッド電極1の抵抗は低抵抗である必要がある。一方、グリッド電極1の電極面積を大きくすると、光電変換装置の受光面における受光面積が減少し、特性が低下する。このため、グリッド電極1は、幅を狭くしつつの高さを大きくして抵抗を下げることが好ましい。グリッド電極1の形成方法としては、たとえばマスクを用いたスパッタリングや、金属と有機物との混合ペーストをスクリーン印刷するなどの方法があるが、その中でも電極高さを稼ぎやすいスクリーン印刷が好ましい。以上により、受光面側の形成が終了する。
続いて、裏面側の形成手順について説明する。上述した凹凸構造を形成する際に、結晶シリコン基板5の表裏面に同時に凹凸構造が形成されるため、裏面側の形成は裏面側アモルファスシリコン層6の形成からとなる。
まず、結晶シリコン基板の裏面側に裏面側アモルファスシリコン層6を例えば化学気相成長(CVD)法を用いて形成する。受光面側にはp型の受光面側アモルファスシリコン層4を形成したので、裏面側にはn型の裏面側アモルファスシリコン層6を成膜する。裏面側においても、裏面側アモルファスシリコン層6と裏面側透明電極7との間に接合調整層を挿入してもよい。
裏面側では、n型の裏面側アモルファスシリコン層6とn型の裏面側透明電極7との接合が形成されるため、n型の裏面側アモルファスシリコン層6とn型の裏面側透明電極7とのコンタクトは受光面側に比べて取り易いが、この場合も裏面側アモルファスシリコン層6は、やはり高キャリア濃度化、高光透過率化、特に赤外光の透過率が高い方が好ましい。これらの高キャリア濃度化および高光透過率化を達成するために、裏面側アモルファスシリコン層6を薄膜のn型微結晶シリコン層としてもよい。また、結晶シリコンとアモルファスシリコンとの界面においてヘテロ接合が形成されるが、BSF構造とするためにパッシベーションとして、結晶シリコン基板の裏面側にi型のアモルファスシリコン層とn型の裏面側アモルファスシリコン層6とをこの順で積層してもよい。
つぎに、裏面側アモルファスシリコン層6の直上に裏面側透明電極7を形成する。裏面側透明電極7の形成方法は、スパッタリング法およびCVD法が好ましい。裏面側透明電極7は高光透過率、特に赤外光の高透過率化を有する材料により形成される。このような材料としては、例えば酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズなどが好ましく、また導電率を向上させるために、これらの材料にアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、スズ(Sn)などの金属を微量ドープしてもよい。また、高光透過率化させるために、これらの材料を成膜した後に還元雰囲気、例えば水素中、若しくは真空中でアニールを実施してもよい。
つぎに、図2−5に示すように、裏面側透明電極7の直上に金属電極8を形成する。金属電極8は全面電極であるため、導電性はあまり重要では無く、受光面から入射した光を反射して、結晶シリコン基板内に再度入射させるために、光の反射率が重要である。このような金属電極8の材料としては、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などが好ましく、成膜方法はスパッタリング法、蒸着法等が好ましい。以上の工程を実施することにより、図1に示すような本実施の形態にかかる光電変換装置が得られる。
つぎに、本実施の形態にかかる接合調整層3について詳細に述べる。p型の受光面側アモルファスシリコン層とn型の受光面側透明電極との接合は一般的にpn接合となり、整流性を示し、接合抵抗が発生する。これを回避するためには、受光面側透明電極をp型にする、または受光面側アモルファスシリコン層と受光面側透明電極との界面近傍を高ドープ状態にしてトンネル電流を通せばよい。
しかしながら、p型を示す透明電極は成膜方法が難しく、量産できるような透明電極はすべてn型である。また、受光面側アモルファスシリコン層の受光面側透明電極と接している面を高ドープ化するとしても、p型の受光面側アモルファスシリコン層の厚みは10nm〜30nm程度であるので、ドープ量には限界がある。
更に、透明電極は通常は酸化物であり、受光面側アモルファスシリコン層と接すると、その界面においてシリコンと酸素とが結合して酸化シリコンが形成される。酸化シリコンは絶縁体であり、受光面側アモルファスシリコン層と受光面側透明電極との接合抵抗をさらに高める原因となっている。
そこで、本実施の形態では、これらの問題を解決するために受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間に接合調整層3を挿入する。接合調整層3の材料には、酸化インジウム(InOx、xはSn、Ti、Zn、Zr、Hf及びW)、酸化チタン(TiOx、xはNb、Ta及びW)、酸化スズ(SnOx、xはIn、Ti、Sb及びF)、酸化亜鉛(ZnOx、xはAl、Ga、In、Ti、B及びF)を使用する。また、スパッタリング法を用いて接合調整層3を成膜する際に酸素欠損型のターゲット材料を用いて、膜中に酸素欠損を有する接合調整層3を形成する。これらの膜中の酸素欠損率は、4%〜20%の範囲とされる。
接合調整層3により受光面側透明電極2中の酸素が受光面側アモルファスシリコン層4に拡散して酸化シリコンが形成されることが防止され、また接合調整層3は酸素欠損しているため受光面側アモルファスシリコン層4との間で酸化シリコンが形成されづらく、受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間の接合抵抗が低減されるとともに、受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間のキャリア濃度が上昇する。更に、酸素が受光面側透明電極2から接合調整層3を通って受光面側アモルファスシリコン層4に拡散するのを防ぐために、成膜ガスに窒素を加えてもよい。これにより、接合調整層3中に窒素が含有され、受光面側透明電極2から受光面側アモルファスシリコン層4への酸素の拡散をより確実に防止できる。
また、接合調整層3としては、上記の材料のいずれか1種の単層の他、これらの混合材料からなる層、さらにこれらの材料の多層膜からなる層としてもよい。この場合も、上述した本実施の形態にかかる接合調整層3の効果が得られる。
(実施例)
つぎに、具体的な実施例に基づいて本発明を説明する。なお、本発明は以下の記載に限定されるものではない。まず、接合調整層の特性を把握するために、接合調整層の光の吸収率および接合調整層とアモルファスシリコンとの接合抵抗について調べた。
接合調整層の光の吸収率は、ガラス基板上に接合調整層を10nmの厚みで形成した試料について、分光光度計により測定した。図3は、接合調整層中の酸素欠損率を変化させたときの光吸収率を示す特性図である。図3では、ガラス基板上に接合調整層として酸化インジウム膜を形成した試料における波長400nm〜1200nmの光の光吸収(波長平均)を、ガラス基板上に接合調整層が形成されていないガラス基板の吸収を基準(=1)として規格化して示している。酸素欠損率は、完全酸化に対して0%(酸素欠損無し)、4%、10%、20%、40%に変化させた。酸素欠損率はXPS(X線光電子分光)で測定し、算出した値を用いている。
図3より、接合調整層中の酸素欠損率が増加するにつれて接合調整層での光吸収が増加することがわかる。ここでは、ガラス基板では約1%の光吸収があり、接合調整層中の酸素欠損率が40%の場合に約4%の光吸収が生じている。
接合調整層とアモルファスシリコンとの接合抵抗は、n型シリコンウェハ51上にp型の受光面側アモルファスシリコン層41、接合調整層31、n型の受光面側透明電極21、グリッド電極11をこの順で成膜して接合抵抗測定用TEG(Test Element Group)を形成し、グリッド電極1間の電流−電圧をプローバにより測定して求めた。図4は、接合抵抗測定用TEGの構成を模式的に示す断面図である。
受光面側透明電極21および接合調整層31の材料には酸化インジウムを使用し、成膜方法にはスパッタリング法を用いた。このとき、受光面側透明電極21は酸素欠損の無い条件で形成し、接合調整層31中の酸素欠損率を完全酸化に対して0%(酸素欠損無し)、4%、10%、20%、40%に変化させて複数の接合抵抗測定用TEGを形成した。酸素欠損率はXPS(X線光電子分光)で測定し、算出した値を用いている。図5は、接合調整層31中の酸素欠損率を変化させたときの接合調整層31と受光面側アモルファスシリコン層41との接合抵抗を示す特性図である。図5では、接合調整層31中に酸素欠損がない場合(酸素欠損率:0%)の接合抵抗を基準(=1)として規格化して示している。
図5より、接合調整層31中の酸素欠損率が増加するにつれて接合調整層31と受光面側アモルファスシリコン層41との接合抵抗が低下することがわかる。
つぎに、これらの結果を元に、上述した本実施の形態にかかる光電変換装置の製造方法に従って光電変換装置を形成した。n型の結晶シリコン基板の表面に凹凸構造を形成した結晶シリコン基板5の一面側(受光面側)に、受光面側アモルファスシリコン層4をCVD法により形成した。受光面側アモルファスシリコン層4としては、結晶シリコン基板側からi型アモルファスシリコン層とp型アモルファスシリコン層とを積層した。i型層の膜厚は10nm、p型層の膜厚は20nmとした。
その後、受光面側アモルファスシリコン層4の直上に、接合調整層3を成膜した。接合調整層3の膜厚は、10nmとした。つぎに、接合調整層3上にn型の受光面側透明電極2として酸化インジウムをスパッタリング法により形成した。受光面側透明電極2の膜厚は、70nmとした。スパッタリングガスには純アルゴン(Ar)を使用した。成膜された酸化インジウムの酸素欠損率は、1%未満となった。酸素欠損率はXPS(X線光電子分光)で測定し、算出した値を用いている。
つぎに、スクリーン印刷により銀(Ag)ペーストを受光面側透明電極2上に櫛形に形成し、乾燥させて、グリッド電極1とした。なお、結晶シリコン基板5上に形成される受光面側アモルファスシリコン層4、接合調整層3および受光面側透明電極2の膜厚は均一でなくてもよい。これらの膜厚が均一で無い場合は、受光面側アモルファスシリコン層4と接合調整層3、および接合調整層3と受光面側透明電極2とのそれぞれの接触面積が増加し、接合抵抗が低減する。
つぎに、結晶シリコン基板の他面側(裏面側)に、裏面側アモルファスシリコン層6をCVD法により形成した。裏面側アモルファスシリコン層6は、n型のアモルファスシリコン層とし、膜厚は40nmとした。その後、裏面側アモルファスシリコン層6上に裏面側透明電極7に酸化インジウムをスパッタリング法により形成した。裏面側透明電極7の膜厚は、70nmとした。最後にスパッタリング法により銀(Ag)を300nmの膜厚で成膜し、金属電極8とした。上記の方法により、接合調整層3中の酸素欠損率を完全酸化に対して0%(酸素欠損無し)、4%、10%、20%、40%に変化させて複数の光電変換装置を形成した。
つぎに、以上のようにして接合調整層3中の酸素欠損率を変えて作製した光電変換装置の光電変換効率について説明する。図6は、接合調整層3中の酸素欠損率を変化させたときの光電変換装置の光電変換効率を示す特性図である。図6では、酸素欠損のない受光面側透明電極2を形成し、且つ接合調整層3を形成しない従来構造の光電変換装置の光電変換効率を基準(=0)として規格化して、基準に対する増減を示している。
図6から、接合調整層3中の酸素欠損率を増加させると、酸素欠損率が4%〜20%の範囲において、接合調整層3が無い場合に比べて光電変換効率が増加することがわかる。これは、酸素欠損率が4%未満の場合は接合調整層3が構成要素として加わることによる接合抵抗の増加や光吸収のわずかな増加によって光電変換効率が低下するが、4%以上の場合は接合調整層3による接合抵抗の低減の効果が大きくなり光電変換効率が向上したと考えられる。酸素欠損率が20%より大きい場合は、接合調整層3による接合抵抗の低減の効果よりも接合調整層3による光吸収増加による影響により光電変換効率が低下したものと考えられる。したがって、接合調整層3中の酸素欠損率は、4%〜20%の範囲とされることが好ましい。
つぎに、接合調整層3の膜厚について説明する。接合調整層3の膜厚が30nmより厚い場合は、接合調整層3による光吸収が多くなるため接合調整層3の酸素欠損率を低減させる必要がある。逆に接合調整層3の膜厚が10nmより薄い場合は、受光面側アモルファスシリコン層4および受光面側透明電極2と物理的に良好な接合がなされず、接合抵抗を低減できない。
図7は、接合調整層3中の酸素欠損率と接合調整層3の膜厚とを変化させたときの光電変換装置の光電変換効率を示す特性図である。接合調整層3中の酸素欠損率は、完全酸化に対して0%(酸素欠損無し)、4%、10%、20%、40%に変化させた。接合調整層3の膜厚は、10nm、15nm、20nm、30nmに変化させた。図7では、酸素欠損のない受光面側透明電極2を形成し、且つ接合調整層3を形成しない従来構造の光電変換装置の光電変換効率を基準(=0)として規格化して、基準に対する増減を示している。
図7からわかるように、接合調整層3の膜厚が10nmの場合は、接合調整層3中の酸素欠損率が4%〜20%の範囲において、光電変換効率が接合調整層3の未形成時に比べて増加している。接合調整層3の膜厚を増加させるとともに光電変換効率が増加する酸素欠損率の範囲が狭まっていく。接合調整層3の膜厚が15nmの場合は、接合調整層3中の酸素欠損率が4%〜20%の範囲において、光電変換効率が接合調整層3の未形成時に比べて増加している。
接合調整層3の膜厚が20nmの場合は、接合調整層3中の酸素欠損率が10%の条件において光電変換効率が接合調整層3の未形成時に比べて増加しているが、4%の条件においては接合調整層3の未形成時と光電変換効率の差が無くなり、20%の条件においては接合調整層3の未形成時よりも光電変換効率が低下する。接合調整層3の膜厚が30nmの場合は、接合調整層3中の酸素欠損率が10%の条件においてのみ接合調整層3の未形成時よりもわずかに光電変換効率が増加し、これ以外の酸素欠損率では接合調整層3の未形成時よりも光電変換効率が低下する。したがって、接合調整層3中の酸素欠損率が4%〜20%の範囲において、接合調整層3の膜厚は10nm〜15nmの範囲とされることが好ましい。
なお、上記においては接合調整層3を受光面側透明電極2と同じ酸化インジウム(InOx)により形成したので、成膜の途中でスパッタリングのガス組成等を変えるなどすることで接合調整層3を最も簡単に形成できるが、接合調整層3の材料は受光面側透明電極2と異なる材料としてもよい。例えば受光面側透明電極2を酸化インジウムからなる層として、接合調整層3をInOx、TiOx、SnOxおよびZnOxのいずれか1種からなる層や、これらの混合材料からなる層、さらにこれらの材料の多層膜からなる層としてもよい。この場合も、本実施の形態にかかる接合調整層3の効果が得られる。
上述したように、本実施の形態によれば、受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間に接合調整層3を設ける。接合調整層3には、受光面側アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間の低接合抵抗、および高光透過性を得るために、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれか1種からなる層を使用し、且つこれらの接合調整層3中の酸素欠損率は4%〜20%の範囲とされる。このような接合調整層3を設けることにより、光電変換装置への高光透過を維持しつつ、アモルファスシリコン層4と受光面側透明電極2との間の接合抵抗を低減して電流密度および曲線因子を改善し、光電変換効率を向上させることができる。
また、上記の実施の形態で説明した構成を有する光電変換装置を複数形成し、隣接する光電変換装置同士を電気的に直列または並列に接続することにより、曲線因子および光電変換効率に優れた光電変換モジュールが実現できる。この場合は、例えば隣接する光電変換装置の一方の受光面側の電極(グリッド電極1またはグリッド電極1を結線した電極)と他方の金属電極8とを電気的に接続すればよい。
以上のように、本発明にかかる光電変換装置は、曲線因子および光電変換効率に優れた光電変換装置の実現に有用である。
1 グリッド電極
2 受光面側透明電極
3 接合調整層
4 受光面側アモルファスシリコン層
5 結晶シリコン基板
6 裏面側アモルファスシリコン層
7 裏面側透明電極
8 金属電極
11 グリッド電極
21 受光面側透明電極
31 接合調整層
41 受光面側アモルファスシリコン層
51 n型シリコンウェハ

Claims (9)

  1. 結晶半導体基板と、
    前記結晶半導体基板の一面上に形成された半導体層と、
    前記半導体層上に直接形成された接合調整層と、
    透光性を有する導電材料からなり前記接合調整層上に直接形成された透明電極と、
    を備え、
    前記接合調整層は、酸素欠損率が4%〜20%である酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれか1種または複数種の混合材料からなること、
    を特徴とする光電変換装置。
  2. 前記半導体層は、アモルファス半導体層または微結晶半導体層であること、
    を特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記半導体層がp型の導電型を有し、
    前記透明電極がn型の導電型を有すること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記接合調整層の膜厚が、10nm〜15nmであること、
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光電変換装置。
  5. 結晶半導体基板の一面側に半導体層を形成する工程と、
    前記半導体層上に、酸素欠損率が4%〜20%である酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれか1種または複数種の混合材料からなる接合調整層を直接形成する工程と、
    前記接合調整層上に、透光性を有する導電材料からなる透明電極を直接形成する工程と、
    を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  6. 前記半導体層は、アモルファス半導体層または微結晶半導体層であること、
    を特徴とする請求項5に記載の光電変換装置の製造方法。
  7. 前記半導体層がp型の導電型を有し、
    前記透明電極がn型の導電型を有すること、
    を特徴とする請求項5または6に記載の光電変換装置の製造方法。
  8. 前記接合調整層の膜厚が、10nm〜15nmであること、
    を特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の光電変換装置の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光電変換装置の少なくとも2つ以上が電気的に直列または並列に接続されてなること、
    を特徴とする光電変換モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2024524498A (ja) * 2021-06-30 2024-07-05 安徽▲華▼晟新能源科技有限公司 ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法

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