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JP2013061384A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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JP2013061384A JP2011198040A JP2011198040A JP2013061384A JP 2013061384 A JP2013061384 A JP 2013061384A JP 2011198040 A JP2011198040 A JP 2011198040A JP 2011198040 A JP2011198040 A JP 2011198040A JP 2013061384 A JP2013061384 A JP 2013061384A
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Yoshiki Nishimori
芳樹 西森
Shiro Hirano
史朗 平野
Hiroshi Sekiguchi
紘司 関口
Takayuki Suzuki
崇之 鈴木
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Konica Minolta Business Technologies Inc
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Abstract

【課題】コア粒子表面にポリエステル分子とスチレンアクリル共重合体分子を分子結合させた変性ポリエステル樹脂のシェルを有するコアシェル構造のトナー粒子を作製するトナー粒子製造方法を提供する。
【解決手段】スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液と水系媒体を混合して形成した混合液を回転させ、回転させた混合液を通過させる間隙でせん断力を付与して樹脂溶液粒子を形成し、該樹脂溶液粒子より有機溶媒を除去してシェル用樹脂粒子を形成するトナー粒子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用されるトナーを構成するトナー粒子の製造方法に関し、特に、コアシェル構造のトナー粒子を作製する際に用いられるシェル用樹脂粒子の製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成方法では、一般に、以下の様な工程を経てプリント物の作製が行われる。先ず、感光体上に露光光を照射して感光体上に静電潜像を形成し、静電潜像の形成された感光体にトナーを供給して潜像を現像することによりトナー画像を形成する。次に、感光体上のトナー画像を紙等の画像支持体へ転写し、転写したトナー画像を加熱、溶融させてトナー画像を画像支持体へ定着してプリント物を作製する。そして、トナー画像を転写した感光体上に残留するトナーをクリーニング装置で除去し、残留トナーを除去した感光体を帯電することで、次の画像形成が行える状態になる。
近年、消費電力の低減化や高速のプリント作製を実現させるため、従来よりも低い温度でトナー画像を定着するいわゆる低温定着の技術が注目されている。トナーの定着温度を低くするには、トナーを構成する結着樹脂のガラス転移温度及び軟化点を低くし、かつ温度に対してシャープな溶融、固化挙動を示す樹脂が必要になる。この様なガラス転移温度や軟化点の低い樹脂を用いてトナーの設計が検討され、従来よりも低い温度でトナー画像を転写材上に定着させることを可能にしている(たとえば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、ガラス転移温度及び軟化点の低い結着樹脂を用いて作製した低温定着対応のトナーは、熱的あるいは機械的なストレスの影響を受け易い性質を有していた。具体的には、トナーを経時保管したとき、環境条件によってはトナー同士が固着するブロッキングと呼ばれる現象を発生して安定した保管性能が得られないことがあった。また、プリント作製を多量に行い定着直後のプリント物を排紙トレイに重ね置きする場合やプリント物を多数枚重ねた状態で保存すると、温度や重ねたプリント物の荷重の影響で画像同士あるいは画像と白紙とが接着するタッキングと呼ばれる現象を発生させる。
この様に、低温定着対応のトナーには、安定した保管性能や、画像形成時及び画像形成後に熱的あるいは機械的ストレスを受けてもタッキングを起こすことのない安定性が求められていた。そこで、低温で溶融する結着樹脂よりなるコア粒子表面にガラス転移温度の高い樹脂を被覆したコアシェル構造型と呼ばれるトナーが開発され、低温定着性と耐熱保管性の両立を可能にしている(たとえば、特許文献3参照)。また、たとえば、ポリエステル樹脂、エステルワックス、着色剤及び有機溶剤の混合物に水を加えて転送乳化を行い、コア粒子用の複合微粒子を作製する技術等、コアシェル構造トナーの製造方法に関する技術の検討も進められていた(たとえば、特許文献4参照)。
コアシェル構造のトナーは、コア粒子による低温定着性能を安定的に発現させるためにはシェルの厚さをうすくする必要があった。この様に、シェルをうすくすると、トナー粒子に占めるシェル用樹脂の比率が小さくなり、仮にシェル用樹脂にガラス転移温度の高い樹脂を用いても、コア粒子による低温定着性能には影響がほとんどないと考えられた。
トナー用の結着樹脂の1つにポリエステル樹脂があるが、ポリエステル樹脂はスチレンアクリル樹脂に比べてガラス転移温度が高く、成形性に勝れているので、ポリエステル樹脂でうすいシェルを形成すれば、良好なコアシェルトナーが得られると考えられた。そして、スチレンアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を含有するコア粒子表面にポリエステル樹脂製のシェルを有するコアシェル構造のトナーを作製する技術の検討が進められた(たとえば、特許文献5参照)。
しかしながら、スチレンアクリル樹脂を含有するコア粒子表面にポリエステル樹脂製のシェルを形成したコアシェル構造のトナーは、シェルとコア粒子の間で強固な接着力を発現させることが困難なものであることが分かった。これは、シェルを構成するポリエステル樹脂とコア粒子を構成するスチレンアクリル樹脂の親和性が低いためで、両者の親和性が低いことは、コアシェル間の接着力確保が困難なだけでなく、コア粒子表面にシェルをうすく均一に付着させることも困難にしていた。
この様に、ポリエステル樹脂製のシェルとスチレンアクリル樹脂を含有するコア粒子でコアシェル構造のトナーを作製しても、コア粒子表面にシェルが均一かつ強固に付着しないので、コア粒子表面をシェルで十分被覆したトナーを作製することができなかった。また、仮にコア粒子表面をシェルで被覆できたとしても、コアシェル間の接着力が弱いため、現像装置内で撹拌したときにストレスでシェルが剥離し易く、安定した画像形成を行うことが極めて困難だった。前述の特許文献5には、ポリエステル樹脂のシェルとスチレンアクリル樹脂を含有するコア粒子間の親和性を向上させることを示唆する記載はなく、コアシェル間の親和性向上を実現させる技術を新たに検討しなければならなかった。
この様な状況下、縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合系樹脂の原料モノマーの両方と反応可能な化合物を用いて、縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分を分子結合させた構造の樹脂をトナーに用いる技術が検討されていた(たとえば、特許文献6参照)。そして、2価の架橋基を介してラジカル重合体ユニットとポリエステルユニットを分子結合させた変性ポリエステルと呼ばれる樹脂を用いてトナーを形成する技術(たとえば、特許文献7参照)が検討されていた。しかしながら、特許文献6と7には、変性ポリエステル樹脂を用いてシェル形成用樹脂を作製することの記載はなく、コアシェル間の親和性向上のために変性ポリエステル樹脂を用いることを示唆するものではなかった。
本発明者は、ポリエステル分子とスチレンアクリル共重合体分子を分子結合させた構造の変性ポリエステル樹脂でシェル形成用の樹脂粒子を作製し、これをスチレンアクリル樹脂含有のコア粒子へ付着させてコアシェル構造トナーを作製することを検討していた。ここで、コア粒子表面にうすくて均一な厚さのシェルを形成するには、たとえば100nm程度の粒径の樹脂微粒子を作製する必要があった。そこで、本発明者はポリエステル分子とスチレンアクリル共重合体分子を分子結合させた構造の変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を形成し、当該樹脂溶液を水系媒体中に微分散させてこの様なシェル用樹脂粒子を作製しようと考えた。
ところで、水系媒体中に粒子を分散させた分散液に機械的作用を加えて微粒子を形成する技術としては、たとえば、水系媒体中に無機粒子を添加、分散させ、該無機粒子を加圧下で衝突させることで0.01〜2μmの無機微粒子を形成する技術がある(たとえば、特許文献8参照)。
特開2001−42564号公報 特開2004−163612号公報 特開2005−221933号公報 特開2007−57764号公報 特開2005−338548号公報 特開2010−128466号公報 特開2011−28257号公報 特開平11−57521号公報
しかしながら、上記特許文献8には、液体粒子を水系媒体中で分散、加圧して、微粒子を形成することの記載がなく、樹脂溶液を水系媒体中で微分散させることを示唆するものではなかった。また、樹脂溶液は粘度が高いため、シェル用樹脂粒子を形成する際、樹脂溶液にせん断力等の機械的なシェアを与える必要があり、粒径の揃った均一な樹脂溶液粒子を形成するには樹脂溶液に対してシェアを均一に与えなければならなかった。
水系媒体中に添加した樹脂溶液を微分散させる方法の1つに、ビーズミル法による分散方法があるが、ビーズの衝突によるシェアはランダムで局所的なため、樹脂溶液の均一乳化が困難で形成されるシェル用樹脂粒子の粒度分布は広いものになった。その結果、コア粒子表面にシェルをムラなく均一に形成することができず、コアの露出したトナー粒子が形成され、この様なコアシェルトナーは、保管時にトナー粒子同士が付着し易く、また、プリント作成に用いると帯電性能にばらつきがみられた。この様に、機械的なシェアを与えて上記変性ポリエステル樹脂のシェル用樹脂粒子を形成する場合には、水系媒体中に添加した樹脂溶液にシェアを均一に付与する分散処理方法が求められていた。
本発明は、コア粒子表面にポリエステル分子とスチレンアクリル共重合体分子を分子結合させた変性ポリエステル樹脂の均一なシェルが設けられたコアシェル構造のトナー粒子を作製するトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。すなわち、変性ポリエステル樹脂溶液を含有する水系媒体に機械的なシェアを与えてシェル用の樹脂溶液粒子を形成する際、樹脂溶液に機械的なシェアを均一に付与する分散処理を行い、粒径の揃った樹脂溶液粒子を安定的に形成する方法を提供するものである。
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、樹脂と着色剤を含有するコア粒子表面に、
ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを含有する樹脂粒子を添加してシェルを形成する工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
前記スチレンアクリル変性ポリエステルを含有する樹脂粒子は、少なくとも、
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液と水系媒体を混合して混合液を形成し、
前記混合液を回転させ、回転させた前記混合液を通過させる間隙で、前記混合液にせん断力を与えて、前記樹脂溶液の粒子を形成し、
前記樹脂溶液の粒子より有機溶媒を除去して形成されるものであることを特徴とするトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記混合液を回転させる回転手段の周速が10m/sec以上20m/sec以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『前記回転させた前記混合液を通過させる間隙は、
前記混合液を回転させる回転子と、前記回転子の周りに同心状に配置される複数の孔を有する固定子の間に形成されるものであり、
前記混合液に与えられるせん断力は、
前記回転子により前記混合液が回転するときに生ずる液流と、前記混合液が前記固定子の前記孔より排出されるときに生ずる液流により、発生するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項4に記載の発明は、
『前記樹脂溶液は、前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の含有量が20質量%以上60質量%以下のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項5に記載の発明は、
『前記水系媒体中に前記樹脂溶液の粒子が分散する状態における前記樹脂溶液の粒子の粒径が、50nm以上250nm以下のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項6に記載の発明は、
『前記コア粒子に含有される樹脂が、
少なくとも、スチレンアクリル共重合体を含有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項7に記載の発明は、
『前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、スチレンアクリル共重合体の含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項8に記載の発明は、
『前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、下記一般式(A)で表される脂肪族不飽和カルボン酸を用いて形成されるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
一般式(A):HOOC−(CR=CR−COOH
(式中、R、Rは水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じものであっても異なるものであってもよい。nは1または2の整数である。)』というものである。
請求項9に記載の発明は、
『前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、前記スチレンアクリル共重合体分子鎖が前記ポリエステル分子鎖の末端に分子結合しているものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
請求項10に記載の発明は、
『前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、前記ポリエステル分子鎖の存在下で、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を重合反応させ、前記スチレンアクリル共重合体分子鎖を形成するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。』というものである。
本発明により、コア粒子表面にポリエステル分子とスチレンアクリル共重合体分子を分子結合させた変性ポリエステル樹脂のシェルがムラなく均一に形成されたコアシェル構造のトナー粒子の作製が可能になった。
すなわち、変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解した樹脂溶液を含有する水系媒体を、回転手段を用いて回転させ、回転させた水系媒体が間隙を通過しているときに発生するせん断力の作用で、粒径の揃った樹脂溶液粒子を作製することが可能になった。つまり、回転子と回転子周囲に設けられた複数の孔を有する固定子により形成される間隙を通過して孔より排出される樹脂溶液にせん断力という機械的なシェアを均一に付与することにより、粒径の揃った樹脂溶液粒子が形成される様になったものと考えられる。
その結果、コア粒子が露出していないコアシェル構造のトナー粒子が得られ、保管中にトナー粒子同士が付着することがなく、また、良好な帯電性により優れた画質のプリント物を安定的に作成することが可能になった。また、機械的なシェアを与えてシェル用樹脂粒子を形成するものでありながら、ストレスによる変性ポリエステル分子鎖の切断等による劣化の見られない耐久性に優れたコアシェルトナーの提供が可能になった。
本発明でシェル形成に使用することが可能なロータ/ステータ方式の分散処理装置の概略図である。 本発明で形成されるコアシェル構造のトナー粒子の断面図である。
本発明は、電子写真方式の画像形成に使用されるコアシェル構造のトナー粒子の製造方法に関する。本発明に係るトナー粒子の製造方法は、少なくとも、樹脂と着色剤を含有するコア粒子表面に、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを含有する樹脂粒子を添加してシェルを形成するものである。
本発明では、コア粒子表面にポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を共有結合させた変性ポリエステル樹脂を含有するシェルを被覆してなるコアシェル構造のトナー粒子を作製する。コアシェル構造のトナー粒子は、後述する様に、コア粒子表面をシェル形成用の樹脂粒子で融着、被覆することにより形成され、シェル形成用の樹脂粒子はコア粒子表面をムラなく均一に被覆するため、粒径をたとえば100nm前後にし、かつ、当該粒径をバラツキのない均一なものに揃える必要があった。
また、重合体であるスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を用いてシェル形成用樹脂粒子を形成する場合、当該樹脂を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を形成し、樹脂溶液を水系媒体に分散させた樹脂溶液粒子を作製しなくてはならなかった。
ここで、ビーズミル法等の従来の分散方法で、たとえば100nm前後の粒子を作製する場合、ビーズの衝突により樹脂溶液粒子にある程度のせん断力が付与されるので、水系媒体中にスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂溶液の粒子を形成することができる。しかしながら、ビーズの衝突により生ずるせん断はランダムなため、樹脂溶液の分散乳化が均一に行われず、形成されたシェル用樹脂粒子の粒度分布が広くなる問題が発生した。その結果、コア粒子表面へシェルを均一に被覆することが行えなくなり、良好な耐熱保管性やトナー帯電性が十分に得られなくなるものと考えられた。
本発明者は、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂でシェル用の樹脂粒子を形成するにあたり、樹脂溶液の分散乳化を均一に行うことで、粒径を均一に揃えた樹脂粒子を作製する方法を検討した。そして、樹脂溶液の分散乳化を行う手段として「ロータ/ステータ」方式と呼ばれる分散処理装置を用いることで、粒径が均一に揃った樹脂溶液粒子を形成し、コア粒子表面にシェルをムラなく均一に形成する変性ポリエステル樹脂粒子の作製を可能にした。
本発明では、樹脂溶液に与えるせん断力がビーズミル法の様に局所的にランダムに付与するのではなく、間隙内に存在する一定量の樹脂溶液全体にせん断力を均一かつ規則的に付与するので、樹脂溶液の分散乳化をムラなく均一に行うことができる。そして、間隙内には連続的に樹脂溶液が供給される。したがって、粒径の揃ったスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂粒子が安定的に形成され、コア粒子表面にムラなく均一にシェルを形成したコアシェル構造のトナー粒子を安定的に作製することが可能になった。
また、本発明では、樹脂溶液に対してせん断力を均一に付与することができるので、ビーズミル法の様に強いせん断力を局所的に付与して粒子を形成するものと異なり、ストレスを低減させた状態下で樹脂溶液の分散乳化が行えるものと考えられる。したがって、せん断力に起因するストレスによりスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を構成する分子鎖を切断する様なことはなく、トナーの耐久性向上にも寄与するものと考えられる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、前述した様に、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを用いてシェル形成用樹脂粒子を作製するものである。そして、当該樹脂粒子は、「少なくとも、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液と水系媒体を混合して混合液を形成し、形成した混合液を回転させ、回転させた混合液を通過させる間隙で、当該混合液にせん断力を与えて、樹脂溶液の粒子を形成し、形成した樹脂溶液の粒子より有機溶媒を除去して形成される」ものである。
具体的には、以下の工程を経て作製されるものである。すなわち、
(1)スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を形成する工程
(2)樹脂溶液を水系媒体に投入して樹脂溶液を含有した水系媒体を形成し、形成した前記水系媒体を回転させ、回転させた前記水系媒体を通過させる間隙でせん断力を付与して樹脂溶液の粒子を形成する工程
(3)水系媒体中に分散している樹脂溶液粒子より有機溶媒を除去する工程
以下、上記各工程を詳細に説明する。
(1)スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を形成する工程
この工程は、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を、酢酸エチル等の公知の有機溶媒に溶解させ、樹脂溶液を作製するものであり、本発明でいう「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液」を作製するものである。
本発明では、樹脂溶液を形成する際のスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂含有量は、特に限定されるものではないが、たとえば、20質量%以上60質量%以下のものであることが好ましい。すなわち、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂溶液を形成する際の樹脂と溶媒の比率は、樹脂/溶媒(質量比)で20/80から60/40とすることが好ましい。有機溶媒の比率を上記範囲にすることにより、樹脂溶液に適度な粘度が付与され、次工程で粒径の揃った樹脂溶液のコロイド粒子が形成し易いので好ましい。
この工程で樹脂を溶解する有機溶媒は、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を溶解し、かつ、水系媒体中での油滴(樹脂溶液粒子)形成が可能な非水溶性のものがよく、さらに、後工程で樹脂粒子を形成する際、蒸留除去が行い易い低沸点のものが好ましい。有機溶媒の具体例としては、たとえば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル等が挙げられ、この中でも酢酸エチルが好ましい。
また、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂溶液を次工程で水系媒体中に分散させる際、ポリエステルセグメントに存在するカルボキシ基を親水基として用いられる様にすることで当該樹脂溶液粒子の安定化が図れる。これを実現する手段として、樹脂溶液を形成する際、有機溶媒に加えて水酸化ナトリウム水溶液に代表される強アルカリを用いる方法が挙げられる。すなわち、強アルカリの添加により、ポリエステルセグメントに存在するカルボキシ基が解離して親水基として作用し、コロイド安定機能が付与される。強アルカリの添加量は、たとえば、ポリエステルセグメントのカルボキシ基100モル%に対し、70モル%から130モル%の範囲が好ましい。
この様に、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂溶液を形成するにあたり、有機溶媒の添加量により樹脂溶液に適度な粘度が付与され、微小な樹脂溶液粒子の形成が行い易くなる。また、水酸化ナトリウム水溶液に代表される強アルカリを併用することにより、ポリエステルセグメントに存在するカルボキシ基が解離して親水基として作用し、水系媒体に対し安定な樹脂溶液粒子を形成することができる。
(2)樹脂溶液を水系媒体に投入して樹脂溶液を含有した水系媒体を形成し、形成した前記水系媒体を回転させ、回転させた前記水系媒体を通過させる間隙でせん断力を付与して樹脂溶液の粒子を形成する工程
この工程は、上記(1)の工程で形成した樹脂溶液を水系媒体中に投入し、樹脂溶液を含有する水系媒体を加圧し、加圧した樹脂溶液にせん断力を加えることにより、水系媒体中に樹脂溶液粒子を分散させた樹脂溶液粒子分散液を作製するものである。この工程は、本発明でいう「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液と水系媒体を混合して混合液を形成する」ことと「混合液を回転させ、回転させた混合液を通過させる間隙で、混合液にせん断力を与えて樹脂溶液の粒子を形成する」ことを行うものである。
この工程では、「樹脂溶液を含有する水系媒体を回転させ、回転させた樹脂溶液を含有する水系媒体にせん断力を付与して樹脂溶液粒子分散液を作製する」ため、「ロータ/ステータ方式」と呼ばれる方法で樹脂溶液粒子の分散液が作製される。以下、「ロータ/ステータ方式の分散処理装置」を用いた樹脂溶液粒子分散液の作製方法について説明する。
本発明では、シェルの形成に使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルを含有する樹脂粒子を作製する際、「ローラ/ステータ方式」と呼ばれる分散処理方法が用いられるものである。「ローラ/ステータ方式の分散処理装置」は、図1に示す構造を有し、少なくとも、樹脂溶液を含有する水系媒体を通過させる流路11、当該水系媒体を回転させる回転子(ロータ)12、回転子12の周りに同心状に配置された複数の孔を有する固定子(ステータ)14を有し、回転子12と固定子14の間に間隙13が形成されている。
図1(a)はローラ/ステータ方式の分散処理装置10の正面図であり、図1(b)は図1(a)を図中に示す矢印(↑)方向よりみたものである。ここで、流路11は樹脂溶液を含有する水系媒体が通過可能なスペースをいうもので、上記間隙13や固定子14に設けられている孔も流路11の一部を構成するものであり、図1では水系媒体の移動方向を示す白い矢印とする。
また、回転子12は、図示しないモータよりシャフト12aを介して回転するものである。回転子12と固定子14の間に形成される間隙13は、その幅が0.5mm程度で、幅を狭くすると大きなせん断力が得られるが、回転子12を高速回転させて樹脂溶液粒子分散液を安定形成する視点では、あまり狭くしないことが好ましい。間隙13で発生するせん断力は、たとえば、後述する様に、たとえば回転子の周速制御等により、制御することが好ましい。
図1の分散処理装置10は、以下の手順により、粒径が均一に揃った樹脂溶液粒子を形成するものである。先ず、分散処理装置10に供給された樹脂溶液を含有する水系媒体(本発明でいう混合液)は流路11を経て回転子12に到達する。ここで、樹脂溶液を含有する水系媒体を予め撹拌しておき、樹脂溶液をある程度の大きさの粒子にした水系媒体を供給するものでもよい。この様に、分散処理装置10へ供給する混合液を予め撹拌して、ある程度の大きさの樹脂溶液粒子を含有する水系媒体を用いることは、微細な樹脂溶液粒子を効率よく形成する上で好ましい。
次に、前記水系媒体は、回転子12の回転による遠心力の作用で回転子12と固定子14の間に形成されている間隙13に到達する。間隙13では、回転子12の高速回転により生ずる液流や固定子14との衝突、固定子14の孔を通過するときに生ずる液流等の作用によりせん断力を発生させている。そして、当該せん断力の作用で水系媒体中の樹脂溶液は粒子となり、樹脂溶液粒子の分散液が形成される。
間隙13は、樹脂溶液を含有する水系媒体を回転させる回転子12と、回転子12の周りに同心状に配置されている固定子14の間に形成されるものである。また、間隙13で発生するせん断力は、回転子12の回転により生ずる液流や水系媒体が固定子14の孔より排出されるときに生ずる液流により発生するものである。
図1に示すロータ/ステータ方式の分散処理装置10による樹脂溶液粒子の形成は、以下の様なしくみで行われる。すなわち、分散処理装置10では、回転子12と固定子14の間に微小な間隙13を存在させた状態下で回転子12を回転させ、回転子の回転により、樹脂溶液を含有する水系媒体に運動エネルギーが付与される。高速回転する回転子12より運動エネルギーが付与された前記水系媒体は、狭い間隙13内を通過することにより速度を増大させ、速度を増大させた水系媒体が流路11内でジェット流を断続的に形成し、その速度界面で液−液せん断力が発生するものと考えられる。
間隙13では、この様に、前記水系媒体が間隙13を通過する際に生ずるせん断力の作用で、微小な樹脂溶液粒子を形成し、さらに、水系媒体は固定子14に設けられている孔を通過することにより、さらに速度が増大するものと考えられる。そして、固定子14の孔を通過した水系媒体により、流路11内にはより高速のジェット流が断続的に形成される様になり、断続ジェット流の速度界面で発生するより強力な液−液せん断力の作用で、ムラのない均一なシェル形成を可能にする粒径の樹脂粒子が形成されるものと考えられる。本発明で使用可能なロータ/ステータ方式の分散処理装置としては、特に限定されるものではないが、たとえば、「クレアミックスCLM−0.8S」(エム・テクニック(株)製)等が挙げられる。
また、図1に示すロータ/ステータ方式の分散処理装置10により形成される樹脂溶液粒子の粒径は、公知の方法により制御が可能であり、代表的な制御方法としては回転子12の周速を制御する方法等が挙げられる。すなわち、回転子12の周速が大きくなるほど、大きなせん断力を発生させることが可能になり、小径の樹脂溶液粒子を形成する上で好ましい。回転子12の周速は、特に限定されるものではないが、たとえば、10m/s以上20m/s以下が好ましい。回転子12の周速を上記範囲にすることで、後述する実施例に記載の様に、コア粒子表面にムラのない均一なシェルを形成するのに最適な50nm以上250nm以下の粒径の樹脂溶液粒子を安定的に作製することができる。
また、ロータ/ステータ方式の分散処理装置10では、後述する実施例に示す様に、混合液1kgに対して、上記範囲の周速下で30分〜75分の連続分散処理を行うことにより、体積平均粒径50nm以上250nm以下の樹脂溶液粒子の形成が可能である。
また、この工程では、(1)の工程で形成した樹脂溶液を水系媒体中に添加することが行われるが、ここでいう「水系媒体」とは、少なくとも水を85質量%以上含有してなる液体のことである。具体的には、水のみより構成されるものや、水にラウリル硫酸ナトリウム等に代表される公知の界面活性剤を溶解させた水溶液の他に、水と水に溶解可能な有機溶剤から構成される水溶液等が挙げられる。
(3)水系媒体中に分散している樹脂溶液粒子より有機溶媒を除去する工程
この工程は、上記(2)の工程で形成した樹脂溶液粒子より、公知の方法で有機溶媒を除去して、シェル用の樹脂粒子を形成するもので、本発明でいう「樹脂溶液の粒子より有機溶媒を除去する」ことに該当するものである。
有機溶媒の具体的な除去方法としては、たとえば、樹脂溶液粒子を分散させてなる水系媒体を加温するとともに大気圧よりも低い圧力状態におくことにより、有機溶媒の蒸発を促進させる減圧蒸留法等が好ましい方法として挙げられる。
以上の様に、上記(1)〜(3)の手順を採ることにより、ロータ/ステータ方式の分散処理装置を用いて、前記スチレンアクリル変性ポリエステルを含有するシェル用の樹脂溶液粒子を作製し、さらにシェル用樹脂粒子を作製することが可能である。
次に、本発明で作製されるトナーの構造について説明する。本発明はコアシェルトナーと呼ばれる構造のトナーを作製するものである。ここで、コアシェルトナーとは、着色剤やワックス等を含有したガラス転移温度が比較的低めの樹脂粒子(コア粒子)表面に、比較的高めのガラス転移温度の樹脂領域(シェル)を有するトナー粒子である。コアシェルトナーの構造例を図2に示す。図2に示すトナー(トナー粒子)Tは、いずれも着色剤1を含有する樹脂2からなるコア粒子Aと、コア粒子A表面に樹脂3を被覆して形成したシェルBを有するものであり、シェルBがコア粒子A表面を被覆した構造のものである。
コアシェルトナーの断面構造は、たとえば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プローブ顕微鏡(SPM)等の公知の手段を用いて確認することが可能である。ここで、透過型電子顕微鏡(TEM)によるトナーの断面構造の観察方法について説明する。トナーの断面構造は透過型電子顕微鏡によるトナーの断面構造の観察は、たとえば、以下の手順で行われる。
先ず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後、加圧成形を行ってトナーを含有させてなるブロックを作製する。次に、作製したブロックに、必要な場合には四三酸化ルテニウムや四三酸化オスミウムを用いて染色処理を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームで厚さ80〜200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製する。
次に、薄片状の測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、トナーの断面構造を写真撮影する。電子顕微鏡の倍率はトナー粒子1個の断面が視野に入る倍率が好ましく、具体的には、10,000倍程度が好ましい。また、写真撮影を行うトナー粒子の数は10個以上が好ましい。
透過型電子顕微鏡によるトナーの断面構造観察は、当業者の間で通常よく知られている機種で十分に対応可能で、具体的な機種としては、たとえば、「LEM−2000型(トプコン社製)」や「JEM−2000FX(日本電子製)」等が挙げられる。
また、電子顕微鏡観察によりコア表面におけるシェルの被覆率を算出することも可能である。すなわち、透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影された画像情報をたとえば市販の画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ社製)で演算処理することで算出が可能で、撮影されたトナーのコア領域とシェル領域の面積より算出されるものである。また、シェルの平均被覆率は少なくとも10個以上のトナーの断面構造写真を用いて行う。
次に、本発明で作製されるコアシェルトナーを構成するシェルについて説明する。本発明で作製されるトナーを構成するシェルは、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させたスチレンアクリル変性ポリエステルと呼ばれる樹脂を含有するものである。スチレンアクリル変性ポリエステルの分子構造は、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントより構成され、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントが分子結合した構造のものである。
本発明で作製されるトナーは、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた構造のスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂でシェルを形成することで、コア粒子表面にシェルがむらなく均一に付着できる様にしている。すなわち、ポリエステル分子鎖に結合しているスチレンアクリル共重合体分子鎖の存在により、シェル用樹脂がスチレンアクリル系共重合体を含有するコア粒子に対し親和性を発現することで、シェル用樹脂がコア粒子表面のいずれの個所にも同じ確率で付着する。その結果、シェル用樹脂がコア粒子表面にシェルをむらなく均一な厚さで付着することを可能にする。そして、コア粒子表面がシェルでムラなく均一に被覆されたコアシェルトナーは低温定着性と耐熱保管性の両立を可能にする。
また、シェル用樹脂にスチレンアクリル共重合体分子を存在させることで、シェル用樹脂粒子はシェル形成時に適度な分散性を発現し、コア粒子表面にうすく均一なシェルを形成するものと考えられる。すなわち、スチレンアクリル共重合体分子の存在によりポリエステル分子鎖間の親和性が低減し、シェル用樹脂粒子同士の凝集が回避され、お互いに距離をおいてコア粒子表面へ付着する環境が形成されるものと考えられる。
本発明で作製されるコアシェルトナーは、シェル用樹脂がコア粒子に対して親和性を発現し、シェル用樹脂間で分散性を発現して、コア粒子表面にシェルをむらなく均一に付着させて、低温定着性と耐熱保管性の両立を可能にしている。
本発明で作製されるコアシェルトナーを構成する結着樹脂におけるシェル用樹脂の含有比率は、結着樹脂全量に対して5質量%から50質量%が好ましく、10質量%から40質量%がより好ましい。シェル用樹脂の含有比率を上記範囲とすると、コア粒子表面全体を被覆する量のシェル用樹脂が供給されることになり、耐熱保管性と低温定着性を両立するトナーを形成する上で好ましいものである。
次に、シェル用樹脂に使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルについて説明する。ここで、「スチレンアクリル変性ポリエステル」とは、ポリエステル分子鎖(ポリエステルセグメントともいう)に、スチレンアクリル共重合分子鎖(スチレンアクリル共重合体セグメントともいう)を分子結合させた構造のポリエステル分子のことである。本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルは、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を結合させた分子構造を有するもので、ポリエステルセグメントにスチレンアクリル共重合体セグメントを共有結合させた共重合体である。
本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルは、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を結合させた分子構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。その中でもスチレンアクリル共重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下のものが好ましい。ここで、スチレンアクリル変性ポリエステル分子中に占めるスチレンアクリル共重合体セグメントの含有割合は「スチレンアクリル変性量」とも呼ばれ、スチレンアクリル変性ポリエステル分子に占めるスチレンアクリル共重合体セグメントの比率(質量比)である。具体的には、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を合成する際に使用される重合性単量体全質量に対するスチレンアクリル共重合体形成に使用される重合性単量体質量の比をいうものである。
「スチレンアクリル変性量」を上記範囲とすることにより、上述したシェルの形成がより確実に行える様になる。すなわち、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子の親和性が適度に制御されて、均一で薄い膜厚のシェルの形成が行い易くなり、その結果、低温定着性と耐熱保管性を両立するコアシェルトナーをより安定的に作製することができる。
本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルは、分子構造がポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントの2種類のホモポリマーセグメントを有するものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、ポリエステルセグメント末端にスチレンアクリル共重合体セグメントを結合させたブロック共重合体構造のものや、ポリエステルセグメントにスチレンアクリル共重合体セグメントの分岐構造を形成したグラフト共重合体構造のものが挙げられる。
その中でも、ポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖を結合させたブロック共重合体構造のものは、ポリエステル相とスチレンアクリル共重合体相が独立した相分離構造のシェルを形成し易く、機能分離型のシェルを形成する上で好ましい。すなわち、ポリエステル相による高いガラス転移温度と軟化点温度による耐熱付与性能とスチレンアクリル共重合体相によるコア粒子との接着強度の向上を効率よく発現させることができる。
また、シェル用樹脂におけるスチレンアクリル変性ポリエステルの含有比率は、シェル用樹脂100質量%に対して70質量%から100質量%が好ましく、90質量%から100質量%がより好ましい。シェル用樹脂におけるスチレンアクリル変性ポリエステルの含有比率を上記範囲にすることで、コア粒子とシェルとの親和性を確保し易く、十分な耐熱保管性が得られるとともに、帯電性や耐破砕性を向上させる効果も得られる。
本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルの形成方法は、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントとを分子結合させた構造の重合体を形成することが可能なものであればよく、特に限定されるものではない。スチレンアクリル変性ポリエステルの具体的な形成方法としては、たとえば、以下に示す方法が挙げられる。
(1)ポリエステルセグメントを予め形成しておき、当該ポリエステルセグメントの存在下でスチレンアクリル共重合体セグメントを形成する重合反応を行ってスチレンアクリル変性ポリエステルを形成する方法
この方法では、先ず、多価カルボン酸と多価アルコールを縮合反応させて重合を行い、ポリエステルセグメントを形成しておく。次に、ポリエステルセグメントの存在下で、スチレン系単量体やアクリル酸エステル系単量体といったビニル系単量体を重合反応させてスチレンアクリル共重合体セグメントを形成する。このとき、スチレン系単量体やアクリル酸エステル系単量体の他に、ポリエステルセグメントに残存するカルボキシ基(−COOH)あるいはヒドロキシ基(−OH)と反応可能な部位とビニル系単量体と反応可能な部位を有する化合物も使用する。すなわち、この化合物がポリエステルセグメント中のカルボキシ基(−COOH)あるいはヒドロキシ基(−OH)と反応することにより、ポリエステルセグメントは当該化合物が結合した構造のものになる。そして、前記化合物を結合させたポリエステルセグメントの存在下で、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体をラジカル重合等の付加反応させることにより、スチレンアクリル共重合体セグメントが形成される。このとき、ポリエステルセグメントに結合した前記化合物のビニル系単量体との反応可能な部位を介して、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントが分子結合した構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを形成することができる。
すなわち、(1)の方法は「ポリエステル分子鎖の存在下で、少なくともスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を重合反応させて、スチレンアクリル共重合体分子鎖を形成する」方法に該当するものである。なお、(1)の方法には、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を反応系へ投入する前に前記化合物を投入してポリエステルと結合させる方法や、前記化合物を前述のビニル系単量体をいっしょに投入して反応を行う方法がある。また、(1)の方法は、後述する様に、スチレンアクリル共重合体分子鎖をポリエステル分子鎖末端に分子結合させたブロック共重合体構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを形成する際に好ましく用いられる方法である。
(2)スチレンアクリル共重合体セグメントを予め重合しておき、当該スチレンアクリル共重合体セグメントの存在下でポリエステルセグメントを形成する重合反応を行ってスチレンアクリル変性ポリエステルを形成する方法
この方法では、先ず、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体に代表されるビニル系単量体を付加反応させてスチレンアクリル共重合体セグメントを形成する。次に、スチレンアクリル共重合体セグメントの存在下で、多価カルボン酸と多価アルコールを重合反応させてポリエステルセグメントを形成する。このとき、多価カルボン酸と多価アルコールの他に、スチレンアクリル共重合体セグメントと反応可能な部位と多価カルボン酸や多価アルコールと反応可能な部位を有する化合物も使用する。すなわち、この化合物をスチレンアクリル共重合体セグメントと反応させることにより、スチレンアクリル共重合体セグメントは前記化合物を結合させた構造のものになる。そして、前記化合物を結合させたスチレンアクリル共重合体セグメントの存在下で、多価カルボン酸と多価アルコールを縮合反応させることにより、ポリエステルセグメントが形成される。このとき、スチレンアクリル共重合体セグメントに結合した前記化合物のカルボン酸あるいはアルコールと反応可能な部位を介して、スチレンアクリル共重合体セグメントとポリエステルセグメントが分子結合した構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを形成することができる。
(3)ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてスチレンアクリル変性ポリエステルを形成する方法
この方法では、先ず、多価カルボン酸と多価アルコールを縮合反応させてポリエステルセグメントを形成する。また、ポリエステルセグメントを形成する反応系とは別に、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を付加重合させてスチレンアクリル共重合体セグメントを形成する。次に、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントが共存する系を形成しておき、そこへポリエステルセグメントと結合可能な部位とスチレンアクリル共重合体セグメントと結合可能な部位を有する化合物を投入する。そして、当該化合物を介して、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントが分子結合した構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを形成することができる。
上記(1)〜(3)の形成方法の中でも、(1)の方法はポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖を結合させた構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを形成し易いことや生産工程を簡素化できるので好ましい。(1)の方法は、ポリエステルセグメントを予め形成してから前記化合物を投入してポリエステルセグメントへ結合させるので、当該化合物はポリエステルセグメント末端に結合する確率が非常に高いものになる。したがって、本発明で規定する構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを確実に形成することができるので好ましい。
上記(1)〜(3)の形成方法では、スチレンアクリル変性ポリエステルの形成に使用する重合性単量体等の化合物を均一に混合させる等のため、加熱処理を施すことが好ましい。具体的には、80℃から120℃が好ましく、より好ましくは85℃から115℃、90℃から110℃が特に好ましい。上記温度範囲の下で加熱することにより、ポリエステル分子鎖やスチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体等の化合物が混合し易くなり、スチレンアクリル変性ポリエステルを形成する上で好ましい。
本発明で用いられるスチレンアクリル変性ポリエステルを構成するポリエステルセグメントは、単独のポリエステル分子鎖のときのガラス転移温度が40℃以上70℃以下のものが好ましく、50℃以上65℃以下のものがより好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であることにより、定着時にポリエステルセグメント同士が適度に凝集して、ホットオフセット現象を発生させることのないトナー画像を形成することができる。また、ガラス転移温度が70℃以下であることにより、定着時におけるスチレンアクリル共重合体樹脂の溶融を阻害することがなく、従来よりも低い温度でのトナー画像を溶融させる低温定着のトナーを作製する上で好ましいものである。
また、スチレンアクリル変性ポリエステルを構成するポリエステルセグメントは、単独のポリエステル分子鎖のときの重量平均分子量(Mw)が1,500以上60,000以下のものが好ましく、3,000以上40,000以下のものがより好ましい。重量平均分子量を1,500以上とすることで、トナー樹脂全体に適度な凝集力を付与させることができ、定着時にホットオフセット現象を発生させることのないトナー画像を形成することができる。また、重量平均分子量を60,000以下とすることで、短時間の加熱で十分な溶融が行えるとともに、冷却により強固な定着画像を形成することができる。したがって、低温定着によるトナー画像形成を行う上で好ましいものにしている。
本発明で用いられるスチレンアクリル変性ポリエステルを構成するスチレンアクリル共重合体セグメントは、単独のスチレンアクリル共重合体分子鎖のときのガラス転移温度(Tg)が、後述するコア粒子と同様、35℃以上60℃以下のものが好ましく、30℃以上50℃以下のものがより好ましい。また、スチレンアクリル共重合体セグメントは、単独のスチレンアクリル共重合体分子鎖のときの重量平均分子量(Mw)が後述するコア粒子と同様、2,000〜100,000が好ましい。
上記(1)〜(3)の形成方法によりスチレンアクリル変性ポリエステルを形成する場合、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントを分子結合させる化合物が用いられている。この化合物は、上記(1)の形成方法では「ポリエステルセグメントに残存するカルボキシ基(−COOH)あるいはヒドロキシ基(−OH)と反応可能な部位とビニル系単量体と反応可能な部位を有する化合物」が該当するものである。また、上記(2)の形成方法では「多価カルボン酸と多価アルコールの他に、スチレンアクリル共重合体セグメントと反応可能な部位と多価カルボン酸や多価アルコールと反応可能な部位を有する化合物」が該当するものである。さらに、上記(3)の形成方法では「ポリエステルセグメントと結合可能な部位とスチレンアクリル共重合体セグメントと結合可能な部位を有する化合物」に該当するものである。
この化合物は、ポリエステルセグメントに残存するカルボキシ基(−COOH)あるいはヒドロキシ基(−OH)等と縮合反応が行える官能基と、スチレンアクリル共重合体セグメントと付加反応が行える炭素−炭素二重結合等の不飽和構造を有するものである。この様な化合物の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシ基を有するビニル系化合物や無水マレイン酸等のビニル系のカルボン酸無水物等がある。
ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントを分子結合させる化合物の使用量は、スチレンアクリル変性ポリエステルの形成に使用される化合物の総和を100質量%とすると、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。ここで、スチレンアクリル変性ポリエステル形成に使用する化合物は、ポリエステルセグメント、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体、及び、ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントを分子結合させる化合物である。
また、本発明で用いられるスチレンアクリル変性ポリエステルを形成する際のスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の使用量は、前述した総和を100質量%とすると、合計で5質量%以上30質量%以下とするのが好ましい。すなわち、前述したスチレンアクリル変性ポリエステル分子に占めるスチレンアクリル共重合体セグメントの比率(質量比)と一致するものである。
本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルを構成するポリエステルセグメントは、公知の多価カルボン酸と多価アルコールを触媒の存在下で重縮合反応させることにより形成するものである。ポリエステルセグメントは、原料として使用される前述の多価カルボン酸や多価アルコールの誘導体を用いることも可能で、多価カルボン酸誘導体には多価カルボン酸のアルキルエステルや酸無水物、酸塩化物等がある。また、多価アルコール誘導体には、多価アルコールのエステル化合物やヒドロキシカルボン酸等がある。
以下、ポリエステルセグメントの形成に使用可能な多価カルボン酸と多価アルコールの具体例について説明する。先ず、多価カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸と呼ばれる公知の2価カルボン酸や3価以上のカルボン酸が挙げられる。2価のカルボン酸の具体例としては、たとえば、
シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸
フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸
p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸
ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等がある。
また、3価以上のカルボン酸の具体例としては、たとえば、
トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等がある。
上記多価カルボン酸の中でも、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸等の分子構造中に炭素−炭素の不飽和結合を有する脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いてポリエステルセグメントを形成することにより、以下の様な効果が奏されるものと考えられるので好ましい。
すなわち、シェルを形成する際、均一な厚さを有し、表面が平滑な薄層のシェルをより確実に形成することができるので、耐熱保管性と低温定着性を両立させたトナーをより確実に作製することが可能になる。これは、ポリエステル分子中に炭素−炭素の不飽和結合が存在することで、ポリエステル樹脂粒子がスチレンアクリル樹脂を含有するコア粒子表面へ付着し易くなる環境が形成されるためと考えられる。
これは、ポリエステル樹脂は一般に疎水性の性質を有するので、後述する乳化会合法でトナー粒子を製造する際、コア粒子が存在する水系媒体中ではポリエステル樹脂粒子同士が凝集して、コア粒子表面への付着がほとんど行えない。しかしながら、ポリエステル分子中に炭素−炭素の不飽和結合が存在することにより、不飽和結合間の極性の作用でポリエステル樹脂に親水性が付与され、ポリエステル樹脂粒子同士の凝集が回避されてコア粒子表面への付着が行える様になるものと考えられる。また、ポリエステル樹脂に親水性が付与されることにより、ポリエステル分子鎖が水系媒体に向かって配向し易い形態を採り易くなり、水系媒体に配向した形態でポリエステル樹脂粒子がコア粒子表面へ付着することも考えられる。その結果、ポリエステル樹脂粒子をコア粒子表面へ均一な厚さで緻密に付着させることが可能になり、コア粒子表面にシェルの薄層を形成することができるものと推測される。さらに、シェルのスチレンアクリル変性ポリエステルを構成するスチレンアクリル共重合体セグメントとコア粒子を構成するスチレンアクリル共重合体樹脂の間での親和性により、シェルのコア粒子表面への配向を促進させるものと考えられる。
この様に、ポリエステル分子中に炭素−炭素の不飽和結合を存在させることにより、ポリエステル分子にある程度の親水性が付与され、ポリエステル樹脂粒子がコア粒子表面へ付着し易い環境が形成されるので、シェルの薄層形成が促進されるものと推測される。
また、前述の「ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントを分子結合させるための化合物」を用意せずにポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントが分子結合した構造を形成することができるメリットがある。したがって、スチレンアクリル変性ポリエステルを作製する際に必要な化合物の種類を少なくして、樹脂の生産工程を簡素化させて生産性向上に寄与するので好ましいものである。
この様な脂肪族不飽和ジカルボン酸は、下記一般式(A)で表される構造のものが好ましい。すなわち、
一般式(A);HOOC−(CR=CR)n−COOH
上記式中のRとRは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、互いに同じものであっても異なるものであってもよい。また、nは1または2の整数である。
また、ポリエステルセグメント形成に使用される全多価カルボン酸に対する一般式(A)で表される脂肪族不飽和地カルボン酸の割合が25モル%以上75モル%以下のものが好ましく、30モル%以上60モル%以下のものがより好ましい。
次に、多価アルコールの具体例について説明する。上記ポリエステルセグメントの形成に使用可能な多価アルコールとしては、公知の2価アルコールや3価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールの具体例としては、たとえば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等がある。
また、3価以上のアルコールの具体例としては、たとえば、
グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン等がある。
また、ポリエステルセグメントは、触媒の存在下で多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合反応させて形成するが、触媒は公知のものを使用することが可能である。
次に、スチレンアクリル共重合体セグメントを形成する化合物について説明する。本発明では、シェル用樹脂を後述するコア粒子に対して親和性を発現して両者を強固に結合させるため、また、コア粒子表面にシェルをむらなく均一な厚さに形成するため、シェル用の樹脂にスチレンアクリル変性ポリエステルを用いるものである。
本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステルを構成するポリエステルセグメントは、少なくとも、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を付加重合させて形成されるものである。ここでいうスチレン系単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものを含むものである。また、ここでいうアクリル酸エステル系単量体は、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル化合物やメタクリル酸エステル化合物の他に、アクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等の構造中に公知の側鎖や官能基を有するビニル系エステル化合物を含むものである。
以下に、スチレンアクリル共重合体セグメントの形成が可能なスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の具体例を示すが、本発明で使用されるスチレンアクリル共重合体セグメントの形成に使用可能なものは以下に示すものに限定されるものではない。
先ず、スチレン系単量体の具体例としては、たとえば、以下のものがある。すなわち、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等。
また、アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、以下に示すアクリル酸エステル単量体とメタクリル酸エステル単量体が代表的なもので、アクリル酸エステル単量体には、たとえば、以下のものが挙げられる。すなわち、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等。
メタクリル酸エステル単量体には、たとえば、以下のものが挙げられる。すなわち、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等。
これらのアクリル酸エステル単量体あるいはメタクリル酸エステル単量体は、1種類単独で使用することができる他に、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。すなわち、スチレン単量体と2種類以上のアクリル酸エステル単量体を用いて共重合体を形成すること、スチレン単量体と2種類以上のメタクリル酸エステル単量体を用いて共重合体を形成すること、あるいは、スチレン単量体とアクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成することのいずれも可能である。
また、スチレンアクリル共重合体セグメントを形成する際、これらスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の相対的な比率は、下記に示すFOX式で算出されるガラス転移温度(Tg)が35℃から60℃の範囲、より好ましくは30℃から50℃の範囲となる様に調整することが好ましい。
FOX式:1/Tg=Σ(Wx/Tgx)
上記式中のWxは単量体xの質量分率、Tgxは単量体xの単独重合体のガラス転移温度を表すものである。なお、ここでは、前述の「ポリエステルセグメントとスチレンアクリル共重合体セグメントを分子結合させた構造を形成する化合物」はガラス転移温度を算出する際には使用しないものとする。
次に、本発明で使用されるスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有するシェル用樹脂の物性について説明する。本発明で用いられるシェル用樹脂は、低温定着性や定着分離性等の定着性の観点から、また、耐熱保管性や耐ブロッキング性等の耐熱性の観点から、ガラス転移温度は50℃から70℃が好ましく、50℃から65℃がより好ましい。また、同様の観点から、軟化点温度は80℃から110℃が好ましい。
シェル用樹脂のガラス転移温度は、たとえば、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82で規定される方法(DSC法)により測定が可能である。
また、シェル用樹脂の軟化点温度の測定は、たとえば、次の手順で行う。先ず、20℃±1℃、50%RH±5%RHの環境下で、シェル用樹脂1.1gをシャーレに入れて平らにならし、12時間以上放置する。次に、市販の成形機「SSP−10A(島津製作所社製)」で3.82×10Pa(3820kg/cm)の加圧を30秒間行って、直径1cmの円柱型の成形サンプルを作成する。
次に、この成形サンプルを24℃±5℃、50%RH±20%RHの環境下で、市販のフローテスター「CFT−500D(島津製作所社製)」により、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より直径1cmのピストンを用いて予熱終了時より押し出しを行う。このときの条件を、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分とし、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetをシェル用樹脂の軟化点温度とする。
次に、本発明で作製されるトナーを構成するコア粒子について説明する。本発明で作製されるトナーを構成するコア粒子は、少なくとも分子構造中にエステル基を有するビニル系重合性単量体を用いて形成されるスチレンアクリル共重合体を結着樹脂として含有するものである。このスチレンアクリル共重合体は、たとえば、分子構造中にエステル基を有するビニル系重合性単量体の質量比を25質量%以上40質量%以下にして重合反応を行うことで作製することができる。
ところで、本発明ではコア粒子表面にうすくて均一な厚さのシェルを形成して、低温定着性と耐熱保存性を両立し、しかも、耐久性に優れたトナー粒子を作製することを可能にしている。この様な性能のトナー粒子を作製する条件の1つに表面が平滑なコア粒子を作製することがある。コア粒子表面を平滑化する方法としては、たとえば、乳化会合法でコア粒子を作製する際、樹脂粒子を凝集、融着する工程で加熱温度と融着時間を制御する方法が挙げられる。
すなわち、樹脂粒子を凝集、融着する工程で、加熱温度を高めに設定し融着時間を長めに設定することにより、樹脂粒子の凝集物が丸みを帯びた形状のコア粒子となり、表面も平滑なものになってくる。また、樹脂粒子を凝集、融着する工程の他に、この工程の後に引き続き反応系を加熱処理する熟成工程における加熱温度を高めに設定し、処理時間を長めに設定することもコア粒子表面を平滑なものにする上で好ましい対応になる。
コア粒子に含有されるスチレンアクリル共重合体についてさらに説明する。前述した様に、本発明でコア粒子に含有されるスチレンアクリル共重合体は、分子構造中にエステル基を有するビニル系重合性単量体を用いて形成されるものであるが、「分子構造中にエステル基を有するビニル系重合性単量体」の代表的なものについて説明する。
先ず、本発明でいうスチレンアクリル共重合体は、少なくとも、後述するスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を用いて、ラジカル重合を行うことにより形成されるものである。ここで、スチレン系単量体とは、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれるものである。
また、アクリル酸エステル系単量体とは、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体等のビニル系エステル化合物が含まれる。すなわち、アクリル酸エステル系単量体が、本発明でいう「分子構造中にエステル基を有するビニル系重合性単量体」に該当するものであり、代表的なものとして、アクリル酸エステル化合物とメタクリル酸エステル化合物が挙げられる。
以下に、スチレンアクリル共重合体を形成することが可能なスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の具体例を示すが、本発明で使用されるトナーのコア粒子を形成するのに使用可能なものは以下に示すものに限定されるものではない。
先ず、スチレン系単量体には、たとえば、以下のものが挙げられる。すなわち、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等。
また、アクリル酸エステル系単量体は、以下に示すアクリル酸エステル単量体とメタクリル酸エステル単量体が代表的なもので、アクリル酸エステル単量体には、たとえば、以下のものが挙げられる。すなわち、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
メタクリル酸エステル単量体には、たとえば、以下のものが挙げられる。すなわち、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等。
これらのアクリル酸エステル単量体あるいはメタクリル酸エステル単量体は、1種類単独で使用することができる他に、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。すなわち、スチレン単量体と2種類以上のアクリル酸エステル単量体を用いて共重合体を形成すること、スチレン単量体と2種類以上のメタクリル酸エステル単量体を用いて共重合体を形成すること、あるいは、スチレン単量体とアクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成することのいずれも可能である。
本発明では、上述のアクリル酸エステル単量体やメタクリル酸エステル単量体に代表される分子構造中にエステル基を有するビニル系重合性単量体の質量比を25質量%以上40質量%以下にして形成されるスチレンアクリル共重合体を用いてコア粒子を形成する。
また、スチレンアクリル共重合体には、上述したスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、これらスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体に加えて一般のビニル系単量体を併用して形成されるものもある。以下に本発明でいうスチレンアクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル系単量体を例示するが、併用可能なビニル系単量体は以下に示すものに限定されるものではない。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(5)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に示す。すなわち、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等
さらに、以下に示す様な側鎖にイオン性解離基を有するビニル系単量体を使用することも可能であり、イオン性解離基の具体例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。以下にこれらイオン性解離基を有するビニル系単量体の具体例を示す。
先ず、カルボキシル基を有するビニル系単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等がある。
また、スルホン酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等がある。さらに、リン酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、たとえば、アシドホスホオキシエチルメタクリレートや3−クロロ−2−アシドホスホオキシプロピルメタクリレート等がある。
本発明に使用されるスチレンアクリル系共重合体を形成する場合、スチレン単量体及びアクリル酸エステル単量体の含有量は特に限定されるものではなく、結着樹脂の軟化点温度やガラス転移温度を調整する観点から適宜調整することが可能である。具体的には、スチレン単量体の含有量は、ラジカル重合性単量体全体に対し40〜95質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましいとされる。また、アクリル酸エステル単量体の含有量は、ラジカル重合性単量体全体に対し5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましいとされる。
ラジカル重合により形成されるスチレンアクリル共重合体の分子量は、重量平均分子量(Mw)で2,000〜1,000,000が好ましい。また、数平均分子量(Mn)は1,000〜100,000が好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜100が好ましく、1.8〜70がより好ましい。スチレンアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲にすることにより、作製したトナーを用いてプリント作製を行ったときに定着工程でオフセット現象の発生の抑止に効果がある。また、ラジカル重合により形成されるスチレンアクリル系共重合体のガラス転移点温度は30〜70℃が好ましく、また、軟化点温度は80〜170℃が好ましい。ガラス転移点温度及び軟化点温度が上記の範囲であることによって、良好な定着性が得られる。
なお、トナーを構成する樹脂の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwは分子量測定方法により算出することができる。以下に、分子量測定方法の代表例の1つであるテトラヒドロフラン(THF)をカラム溶媒として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)による分子量測定手順を説明する。
具体的には、測定試料を1mgに対してTHF(脱気処理したものを使用)を1ml添加し、室温下にてマグネチックスターラを用いて撹拌処理して充分に溶解させる。次に、ポアサイズ0.45μm〜0.50μmのメンブランフィルタで処理した後、GPC装置に注入する。
GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。たとえば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組み合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組み合せ等がある。
検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)、あるいはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
分子量測定は、たとえば、下記の測定条件の下で行うことができる。
(測定条件)
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:GMHXLx2、G2000HXLx1
検出器:RI及びUVの少なくともいずれか一方
溶出液流速:1.0ml/分
試料濃度:0.01g/20ml
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製
以上の様に、本発明で作製されるトナーは、スチレンアクリル共重合体樹脂を含有するコア粒子表面にポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた構造の変性ポリエステル樹脂を付着、被覆したコアシェルトナーである。
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。
本発明で作製されるトナーは、前述した様に、スチレンアクリル共重合体樹脂を含有するコア粒子表面をポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステル樹脂で被覆したコアシェル構造のトナーである。
本発明に係るトナーの製造方法は、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法と呼ばれるものである。重合法では、その製造工程で粒子の形状や径を制御しながらトナー粒子を形成することが可能で、微小なドット画像を忠実に再現することが可能な小径トナーの作製に最適である。本発明は重合法により、コア粒子表面に前述の変性ポリエステル樹脂を含有するシェルを被覆させてコアシェルトナーを作製するものである。
具体的には、乳化重合法や懸濁重合法により予め100nm前後の樹脂粒子を形成し、この樹脂粒子を凝集、融着させてトナー粒子を形成する乳化会合法が好ましいものとして挙げられる。乳化会合法では、樹脂粒子の凝集・融着工程やその後に続く熟成工程の条件を制御して平滑な表面のコア粒子を作製することができる。
以下、乳化会合法によるコアシェル構造のトナー作製例を説明する。乳化会合法では概ね以下の様な手順を経てトナーを作製する。すなわち、
(1)コア形成用樹脂粒子分散液の作製工程
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
(3)コア用樹脂粒子の凝集・融着工程
(4)第1熟成工程
(5)シェル化工程
(6)第2熟成工程
(7)冷却工程
(8)洗浄工程
(9)乾燥工程
(10)外添剤処理工程
本発明では、前述した様に、コア粒子を作製する際、凝集・融着工程で加熱温度を高めに設定し融着時間を長めに設定することにより、凝集樹脂粒子が丸みを帯びた形状になり、同時に平滑な表面が形成される。また、凝集・融着工程の後に引き続き反応系を加熱処理する熟成工程の加熱温度を高めに設定し時間を長めにすることでも、平滑な表面のコア粒子を作製することができる。
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
この工程は、コア用の樹脂粒子を形成する重合性単量体を水系媒体中に投入して重合を行って120nm程度の大きさの樹脂微粒子を形成する工程である。本発明では、この工程で、少なくともスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体を水系媒体中へ投入、分散させ、重合開始剤によりこれら重合性単量体を重合させることによりスチレンアクリル共重合体の樹脂粒子を作製する。この様にしてコア用の樹脂粒子を形成する。
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
水系媒体中に着色剤を分散させ、110nm程度の大きさの着色剤粒子分散液を作製する工程である。
(3)コア用樹脂粒子の凝集・融着工程(コア粒子の形成)
この工程は、水系媒体中で前述の樹脂粒子と着色剤粒子を凝集させ、凝集させると同時にこれら粒子を融着させてコア粒子を作製する工程である。この工程では、樹脂粒子と着色剤粒子とを混合させた水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。
具体的には、前述の手順で作製した樹脂粒子と着色剤粒子とを反応系に添加し、塩化マグネシウム等の凝集剤を添加することにより、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させると同時に粒子同士が融着して凝集樹脂粒子(コア粒子)が形成される。そして、コア粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
この工程では、加熱温度を高めに設定し、融着時間を長めに設定すると、凝集樹脂粒子(コア粒子)は丸みを帯びた形状になり、同時に表面が平滑になってくる。この様にして、表面が平滑なコア粒子を作製することが可能である。
(4)第1熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することによりコア粒子の形状を所望の形状にするまで熟成を行う工程である。この工程でも、加熱温度を高めに設定し、処理時間を長めに設定することにより、表面が平滑なコア粒子を作製することが可能である。
(5)シェル化工程
この工程は、第1熟成工程で形成されたコア粒子の分散液中に、前述した方法で作製したシェル形成用樹脂粒子を添加し、当該樹脂粒子でコア粒子表面を被覆してシェルを形成する工程である。具体的には、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステルの樹脂粒子を添加してシェルを形成するもので、当該変性ポリエステルにより、コア粒子に対して強固な接着力を有するシェルを形成することができる。
すなわち、シェル形成用の樹脂にポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステルを用いるので、シェル形成用の樹脂はコア粒子表面に対して適度な親和性を発現して強固な接着力を発現することができる。また、シェル形成用樹脂粒子間で分散性を適度に発現することができる。すなわち、スチレンアクリル共重合体のセグメントが存在することでポリエステル同士の親和性が緩和され、シェル形成用樹脂粒子間で分散性が発現されると考えられ、シェル形成用樹脂粒子同士の凝集が回避され、コア粒子表面へのムラのない付着を促進させる。この様に、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステル樹脂を用いることにより、コア粒子に対して強固な接着力を有し、かつ、ムラなく均一な厚さでシェル形成を行うことを可能にしている。
(6)第2熟成工程
この工程は、上記シェル化工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより、コア粒子表面へのシェルの被覆を強化するとともに、トナー母体粒子の形状が所望の形状になるまで熟成を行う工程である。
(7)冷却工程
この工程は、前記トナー母体粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(8)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却されたトナー母体粒子分散液からトナー母体粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのケーキ状集合体にしたトナー母体粒子表面から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程から構成される。
洗浄処理は、ろ液の電気伝導度がたとえば10μS/cmレベルになるまで水洗処理を行うものである。ろ過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等、公知の処理方法があり、特に限定されるものではない。
(9)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥処理し、乾燥したトナー母体粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレイドライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等の公知の乾燥機が挙げられ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することも可能である。
また、乾燥処理されたトナー母体粒子に含有される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理されたトナー母体粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(10)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理したトナー母体粒子表面へ必要に応じ外添剤を添加、混合してトナーを作製する工程である。本発明では、この工程で少なくとも個数平均1次粒径50nm以上150nmの単分散球状粒子を外添剤として添加するものである。
以上の工程を経て、乳化会合法によりコアシェル構造のトナーを作製することが可能である。そして、上述した理由により、本発明に係るコアシェル構造のトナーは乳化会合法で作製することが好ましい。
次に、本発明で作製されるトナーで使用可能な着色剤について、具体例を挙げて説明する。先ず、本発明に係るトナーに使用可能な着色剤としては公知のものが挙げられる。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も使用可能である。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等がある。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同155、同162、同180、同185等がある。
さらに、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等がある。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同44、同56、同61、同77、同79、同80、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等がある。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲で、これらの混合物も用いることができる。数平均1次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
次に、本発明に係るトナーに使用可能な外添剤について説明する。本発明に係るトナーは、前述した様に、その製造工程で乾燥処理を施したトナー母体粒子表面へ必要に応じて外添剤を添加、混合してトナーを作製することが可能である(外添剤処理工程)。この外添剤処理工程では、外部添加剤(=外添剤)として数平均1次粒径が4〜800nmの無機微粒子や有機微粒子等の粒子を添加してトナーが作製される。外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に例示する公知の無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤がある。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましい。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用することができる。
シリカ微粒子の具体例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等がある。
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等がある。
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等がある。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
また、クリーニング性や転写性をさらに向上させるために滑剤を使用することも可能で、たとえば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩がある。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩がある。
これら外添剤や滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。
次に、乳化会合法でトナーを作製する場合に使用される凝集剤、重合開始剤、分散安定剤、界面活性剤等について説明する。
本発明では、前述した様に、樹脂粒子や着色剤粒子等を水系媒体に分散させた分散液中で樹脂粒子や着色剤粒子等を凝集、融着させてトナー母体粒子を形成するものである。本発明で使用可能な凝集剤は特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩等の1価の金属の塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の2価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属の塩等がある。具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、これらの中で特に好ましくは2価の金属の塩である。2価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に係るトナーを構成する結着樹脂を、ビニル系重合性単量体を用いて形成する場合、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。すなわち、
(1)アゾ系またはジアゾ系重合開始剤
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
(2)過酸化物系重合開始剤
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等がある。
また、樹脂粒子の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等がある。
本発明では、水系媒体中に分散させた重合性単量体を重合し、水系媒体中に分散させた樹脂粒子等を凝集、融着させてトナーを作製するので、これらトナー材料を水系媒体中に安定して分散させておく分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等のものがある。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用できる。
また、水系媒体中で重合性単量体を用いて重合を行なう場合、界面活性剤を使用して前記重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させる必要がある。このとき、使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があり、スルホン酸塩には、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、o−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等がある。
また、硫酸エステル塩には、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等がある。
また、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等がある。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.シェル用樹脂粒子の作製
1−1.「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1〜3」の作製
(1)「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」の作製
以下の手順により、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有する「シェル用樹脂粒子1」の分散液を作製した。すなわち、
窒素導入装置、脱水管、撹拌装置及び熱電対を取り付けた反応容器へ、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 154質量部
フマル酸 45質量部
オクチル酸スズ 2質量部
を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行い、さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却した。この様にしてポリエステル分子を形成した。
次に、温度160℃の状態でアクリル酸10質量部を投入、混合させて15分間保持した後、下記化合物の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 142質量部
n−ブチルアクリレート 35質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
滴下後、温度160℃を維持した状態で1時間の付加重合反応を行った後、200℃に昇温させ、10kPaで1時間保持した。この様にして、スチレンアクリル変性ポリエステル分子を構成するスチレンアクリル共重合体分子鎖の含有割合が20質量%の「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」を作製した。
(2)「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂2」の作製
前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」の作製で、スチレンの添加量を30質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を7質量部に変更した他は同じ手順を採ることにより「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂2」を作製した。「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂2」は、スチレンアクリル変性ポリエステル分子を構成するスチレンアクリル共重合体分子鎖の含有割合が5質量%のものであった。
(3)「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂3」の作製
前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」の作製で使用したスチレンの添加量を243質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を61質量部に変更した他は同じ手順を採ることにより「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂3」を作製した。「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂3」は、スチレンアクリル変性ポリエステル分子を構成するスチレンアクリル共重合体分子鎖の含有割合が30質量%のものであった。
1−2.「シェル用樹脂粒子1〜13」の作製
(1)「シェル用樹脂粒子1」の作製
上記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」100質量部を、酢酸エチル400質量部に溶解させ、次いで、5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して樹脂溶液を形成した。この樹脂溶液を、ラウリル硫酸ナトリウム濃度が0.26質量%の水溶液638質量部を入れた撹拌装置を有する容器へ投入し、容器内で撹拌を行って混合液を調製した。
当該混合液を、市販のロータ/ステータ方式の分散処理装置「クレアミックスCLM−0.8S」(エム・テクニック(株)製)に通液させ、ロータの周速を15m/sに設定して分散処理を行った。当該分散処理は、上記分散処理装置で処理した混合液を、ノズル出口の回収部に設けられている受けタンクに貯めつつ、受けタンク底部よりポンプで前記分散処理装置へ送り込んで連続運転を行うものである。この分散処理を混合液1kgに対し45分間行うことで、樹脂溶液粒子が均一分散してなる乳化液を作製した。当該乳化液中の樹脂溶液粒子をレーザ回折式粒度分布測定装置「LA−750」(堀場製作所社製)で測定したところ、体積平均粒径が140nmであった。次に、上記乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、体積平均粒径115nmの「シェル用樹脂粒子1」の分散液を作製した。
(2)「シェル用樹脂粒子2」の作製
上記「シェル用樹脂粒子1」の作製で、樹脂溶液を形成する際、前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」の添加量を175質量部、酢酸エチルの添加量を325質量部に変更した。また、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して60分間に変更し、その他は同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子2」を作製した。「シェル用樹脂粒子2」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ135nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子2」を作製する際に形成される樹脂溶液粒子の体積平均粒径は165nmであった。
(3)「シェル用樹脂粒子3」の作製
前記「シェル用樹脂粒子1」の作製で、樹脂溶液を形成する際、前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」の添加量を250質量部、酢酸エチルの添加量を250質量部に変更した。また、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して30分間に変更し、その他は同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子3」を作製した。「シェル用樹脂粒子3」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ165nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子3」を作製する際に形成される樹脂溶液粒子の体積平均粒径は210nmであった。
(4)「シェル用樹脂粒子4」の作製
前記「シェル用樹脂粒子1」の作製で、樹脂溶液を形成する際、前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」に代えて「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂2」300質量部を酢酸エチル200質量部に溶解させて樹脂溶液を作製した。また、前記分散処理装置のロータ周速を10m/sに、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して30分間に変更した。その他は、同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子4」を作製した。「シェル用樹脂粒子4」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ200nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子4」を作製する際に形成される樹脂溶液粒子の体積平均粒径は250nmであった。
(5)「シェル用樹脂粒子5」の作製
前記「シェル用樹脂粒子4」の作製で、樹脂溶液を形成する際の前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂2」100質量部を酢酸エチル400質量部に溶解させて樹脂溶液を作製した。また、前記分散処理装置のロータ周速を20m/sに変更し、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して45分間に変更した。その他は、同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子5」を作製した。「シェル用樹脂粒子5」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ70nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子5」を作製する際に形成される樹脂溶液粒子の体積平均粒径は80nmであった。
(6)「シェル用樹脂粒子6」の作製
前記「シェル用樹脂粒子1」の作製で、前記分散処理装置のロータ周速を20m/sに変更し、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して60分間に変更した。その他は、同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子6」を作製した。「シェル用樹脂粒子6」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ45nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子6」を作製する際に形成される樹脂溶液粒子の体積平均粒径は50nmであった。
(7)「シェル用樹脂粒子7」の作製
前記「シェル用樹脂粒子2」の作製で、前記分散処理装置のロータ周速を20m/sに変更し、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して75分間に変更した。その他は、同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子7」を作製した。「シェル用樹脂粒子7」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ70nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子7」を作製する際に形成される樹脂溶液粒子の体積平均粒径は75nmであった。
(8)「シェル用樹脂粒子8」の作製
前記「シェル用樹脂粒子3」の作製で、前記分散処理装置のロータ周速を20m/sに変更し、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して60分間に変更した。その他は、同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子8」を作製した。「シェル用樹脂粒子8」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ90nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子8」を作製する際に形成された樹脂溶液粒子の体積平均粒径は100nmであった。
(9)「シェル用樹脂粒子9」の作製
前記「シェル用樹脂粒子1」の作製で、前記「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂1」に代えて「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂3」200質量部を酢酸エチル300質量部に溶解させて樹脂溶液を形成した。また、前記分散処理装置のロータ周速を20m/sに変更し、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して75分間に変更した。その他は、同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子9」を作製した。「シェル用樹脂粒子9」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ65nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子9」を作製する際に形成された樹脂溶液粒子の体積平均粒径は75nmであった。
(10)「シェル用樹脂粒子10」の作製
上記「シェル用樹脂粒子9」の作製で、樹脂溶液を形成する際、「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂3」300質量部を酢酸エチル200質量部に溶解させて樹脂溶液を形成した。また、前記分散処理装置による分散処理時間を混合液1kgに対して60分間に変更し、その他は同じ手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子10」を作製した。「シェル用樹脂粒子10」の体積平均粒径を前記レーザ回折式粒度分布測定装置で測定したところ80nmであった。なお、「シェル用樹脂粒子10」を作製する際に形成された樹脂溶液粒子の体積平均粒径は100nmであった。
(11)「シェル用樹脂粒子11」の作製
前記「シェル用樹脂粒子3」の作製に使用した樹脂溶液と0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を混合して混合液を調製した。次に、0.3mmΦのジルコニアメディアを分散メディアに用い、市販のビーズミル「ウルトラアペックスミルUAM−015(寿技研工業株式会社製)」により、上記混合液の分散処理を行った。そして、当該ビーズミルによる分散処理時間の経過に伴う樹脂溶液粒子の粒径変化を観察し、体積平均粒径が105nmになったときに当該分散処理を停止することにより「シェル用樹脂粒子11」を作製した。なお、上記樹脂溶液粒子の粒径変化観察は、前記レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて行った。
(12)「シェル用樹脂粒子12」の作製
前記「シェル用樹脂粒子11」の作製で、上記混合液作製に使用する樹脂溶液を前記「シェル用樹脂粒子9」の作製に用いたものに変更し、上記市販のビーズミルによる分散処理を行った。当該ビーズミルによる分散処理時間の経過に伴う樹脂溶液粒子の粒径変化を観察し、体積平均粒径が125nmになったときに当該分散処理を停止することにより「シェル用樹脂粒子12」を作製した。「シェル用樹脂粒子12」の体積平均粒径は前述のレーザ回折式粒度分布測定装置により測定されたものである。
(13)「シェル用樹脂粒子13」の作製
前記「シェル用樹脂粒子11」の作製と同じ手順で、上記市販のビーズミルによる分散処理を行い、当該ビーズミルによる分散処理時間の経過に伴う樹脂溶液粒子の粒径変化を観察し、体積平均粒径が80nmになったときに当該分散処理を停止した。この手順を採ることにより「シェル用樹脂粒子13」を作製した。「シェル用樹脂粒子13」の体積平均粒径は前述のレーザ回折式粒度分布測定装置により測定されたものである。
上記「シェル用樹脂粒子1〜13」を作製する際に使用したスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂、樹脂溶液形成時の樹脂含有量、樹脂溶液粒子を形成する際のロータ/ステータ分散処理条件(ロータ周速、処理時間)、形成した樹脂溶液粒子と樹脂粒子の体積平均粒径を下記表1に示す。
Figure 2013061384
2.「トナー粒子1〜13」の作製
2−1.「コア用樹脂粒子A」の作製
(1)第一段重合
撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム2質量部とイオン交換水2900質量部を投入してアニオン性界面活性剤水溶液を作製した。当該アニオン性界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら温度を80℃に昇温させた。
昇温後、過硫酸カリウム(KPS)9質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、上記界面活性剤水溶液の液温を78℃にして、下記化合物を含有する単量体混合液を3時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
滴下後、78℃にて1時間加熱、撹拌して重合反応(第一段重合)を行うことにより、「樹脂粒子A1」の分散液を作製した。
(2)第二段重合
次に、撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器へイオン交換水1100質量部とラウリル硫酸ナトリウム2質量部を投入して界面活性剤水溶液を作製して90℃に加温した。加温後、上記界面活性剤水溶液中へ前記「樹脂粒子(A1)」を固形分換算で28質量部と下記単量体混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散装置「クレアミックス(エム・テクニック(株)製)」を用いて4時間混合分散処理して、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
単量体混合液は、下記化合物を含有するもので、パラフィンワックスは下記単量体とn−オクチルメルカプタンを溶解させた後に添加し、85℃に加温して溶解させている。すなわち、
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 60質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
パラフィンワックス(融点73℃) 51質量部
上記乳化粒子分散液中に、過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を90℃で2時間加熱、撹拌することにより重合反応(第二段重合)を行い、「樹脂粒子A2」の分散液を作製した。
(3)第三段重合
次に、上記「樹脂粒子A2」の分散液中に過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にして下記化合物を含有する単量体混合液を1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 100質量部
n−オクチルメルカプタン 5.2質量部
上記単量体混合液を滴下後、80℃の温度下で3時間加熱、撹拌することにより重合反応(第三段重合)を行った。その後、28℃まで冷却して、「コア用樹脂粒子A」の分散液を作製した。
上記手順で作製した「コア用樹脂粒子A」は、エステル結合を有する重合性単量体であるn−ブチルアクリレートの質量比を31質量%にして形成したスチレンアクリル共重合体で、ガラス転移温度が43℃のものであった。
2−2.「着色剤粒子分散液Bk」の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解した溶液を撹拌しながら、
カーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」 420質量部
を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤粒子分散液Bk」を調製した。
2−3.「トナー粒子1〜13」の作製
(1)「トナー粒子1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「コア用樹脂粒子分散液A」 270質量部(固形分換算)
イオン交換水 1400質量部
「着色剤粒子分散液Bk」 120質量部(固形分換算)
を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解した溶液を添加し、液温を30℃にした後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、撹拌状態の下で30℃にて10分間かけて添加し、添加後3分間保持してから昇温を開始した。昇温は60分かけて90℃まで行い、90℃に保持した状態で上記粒子の凝集、融着を行った。この様にして「コア粒子A」を形成した。
この状態で「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用いて反応容器内で成長する凝集粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径が6.0μmになったとき、
「シェル用樹脂粒子分散液1」 30質量部(固形分換算)
を添加し、上記分散液中の「シェル用樹脂粒子1」が「コア粒子A」の表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。そして、反応溶液を少量取り出し、これを遠心分離して上澄みが透明になった時点で塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温を90℃にして加熱撹拌を行って粒子の融着を進行させた。この状態で「FPIA−2100(シスメックス社製)」による測定で平均円形度が0.965になるまで粒子の融着を進行させた。
その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液のpHを2に調整して撹拌を停止した。この様にして「トナー母体粒子分散液1」を作製した。
上記工程を経て作製した「トナー母体粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「トナー母体粒子1」のウェットケーキを形成した。
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄処理した。その後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行い、体積基準メディアン径が6.3μmの「トナー母体粒子1」を作製した。
次に、上記「トナー母体粒子1」100質量部に対して下記外添剤を以下の量添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより「トナー粒子1」を作製した。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。以上の手順により作製した「トナー粒子1」は、体積基準メディアン径が6.3μmのコアシェル構造のトナーである。
(2)「トナー粒子2〜13」の作製
前記「トナー粒子1」の作製で、前記「コア粒子A」表面へシェルを形成する際、「シェル用樹脂粒子分散液1」に代えて「シェル用樹脂粒子2〜13」の分散液を各々使用した他は同じ手順を採ることにより、「トナー粒子2〜13」を作製した。上記手順で作製した「トナー粒子2〜13」は、いずれも体積基準メディアン径が6.3μmのコアシェル構造トナーである。
上記「トナー粒子1〜13」を作製する際に使用したコア用樹脂粒子とシェル用樹脂粒子を下記表2に示す。すなわち、
Figure 2013061384
3.評価実験
上記手順で作製した「トナー粒子1〜13」について、下記に示す内容で耐熱保管性と耐破砕性、及び、帯電性の評価を行った。ここで、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂のシェル形成用樹脂粒子を本発明の構成で形成した「トナー1〜10」の評価を、前記表2に示す様に、「実施例1〜10」とする。また、シェル形成用樹脂粒子をビーズミルで形成した「トナー11〜13」の評価を「比較例1〜3」とする。
(1)トナー粒子の耐熱保管性評価
トナーの耐熱保管性を以下の手順で評価した。先ず、前記各トナー0.5gをそれぞれ内径21mmの10mlガラス瓶に取り、蓋を閉めてタップデンサー「KYT−2000(セイシン企業社製)」で600回振とうした後、蓋を取り、温度57℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、前記トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に解砕しない様に載せ、「パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)」にセットし、押さえバー、ノブナットで固定した。
前記「パウダーテスター」を送り幅1mmの振動強度に調節して10秒間振動を加えた。その後、篩上に残存するトナー量を測定し、残存トナーの比率を算出することによりトナー凝集率(質量%)を求めて、これを耐熱保管性の評価とした。
トナー凝集率は、下記式により算出されるもので、
トナー凝集率(質量%)=〔篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)〕×100
耐熱保管性の評価は以下の基準に基づいて行った。すなわち、
◎:トナー行収率が15質量%未満(耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が15質量%以上20質量%以下(耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20質量%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く使用不可)
上記基準のうち、◎と○を合格とした。
(2)トナー粒子の耐破砕性評価
〈トナー耐破砕性〉
上記手順で作製した「トナー粒子1〜13」を各々10g秤量し、当該トナー粒子を市販の酸化チタン微粒子0.05g、直径3mmの市販のガラスビーズ30gとともにポリエチレン製容器に入れ、タービュラーミキサにて10分間混合処理を行った。当該混合処理前後のトナー粒子の粒度分布をコールターカウンタ(日機装社製)で測定し、得られた粒度分布で4μm以下の個数%を混合前後で比較し、以下の様に評価した。下記評価基準の内、◎、○、△となったものを合格とした。すなわち、
(評価基準)
◎:4μm以下の個数%の増加比率が混合処理前−混合処理後で3.0%未満
○:4μm以下の個数%の増加比率が混合処理前−混合処理後で3.0%以上6.0%未満
△:4μm以下の個数%の増加比率が混合処理前−混合処理後で6.0%以上10.0%未満
×:4μm以下の個数%の増加比率が混合処理前−混合処理後で10.0%以上。
〈電子顕微鏡観察による破損状況〉
上記混合処理後のトナー粒子を市販の透過型電子顕微鏡(SEM)で観察して、トナー粒子表面、すなわち、シェルの欠け、剥離、割れの発生状況を以下の様に評価した。下記評価基準の内、◎、○、△を合格とした。すなわち、
(評価基準)
◎:シェルの欠け、剥離、割れが観察されない
○:シェルの欠け、剥離、割れの発生が認められるトナー粒子が全体の5%未満
△:シェルの欠け、剥離、割れの発生が認められるトナー粒子が全体の5%以上10%未満
×:シェル層の欠け、剥離、割れの発生が認められるトナー粒子が全体の10%以上
(3)トナー粒子の初期帯電性評価
上記「トナー粒子1〜13」に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6%になる様に添加し、「ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社製)」に投入して回転速度45rpmで30分間混合処理を行った。この手順で「現像剤1〜13」を作製した。
上記「現像剤1〜13」を、市販のデジタル複写機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に搭載し、各トナー粒子の上記デジタル複写機の現像装置供給時における帯電立ち上がり性を以下の様に評価した。すなわち、常温常湿(20℃、55%RH)環境下で、画素率75%と画像部の多い原稿を用い、トナー消費量(供給量)が著しく多いプリントモードで1000枚のプリント作成を行った。1000枚のプリント作成実施後、帯電立ち上がり不良による機内のトナー飛散による汚れとプリント画像の画像かすれを目視で評価した。
(評価基準)
◎:機内のトナー汚れ、プリント画像のかすれが全くなし
○:機内のトナー汚れはないが、プリント画像の後端に軽微なかすれが発生したが実用上問題無し
×:機内のトナー汚れ、プリント画像のかすれが発生し実用上問題。1万枚の連続プリントを行った。連続プリントは、A4普通紙上に、人物顔写真画像、ハーフトーン画像、白地画像を出力したものである。
以上の結果を表3に示す。
Figure 2013061384
表3に示す様に、本発明で規定する方法で作製したスチレンアクリル変性ポリエステルシェル用樹脂粒子で形成したトナー粒子を評価した「実施例1〜10」は、耐熱保管性と帯電立ち上がり性能について良好な結果が得られた。これは、表面にシェルが均一に形成され、コアが露出していないトナー粒子が形成されているためと推測されるものである。また、耐久性を有するトナーが作製されることも確認された。一方、ビーズミル法で作製されたスチレンアクリル変性ポリエステルシェル用樹脂粒子を用いて形成したトナー粒子を評価した「比較例1〜3」は、いずれも耐熱保管性と帯電立ち上がり性能が合格レベルに到達しないものとなり、「実施例1〜10」とは異なる結果になった。
10 分散処理装置
11 流路
12 回転子
13 間隙
14 固定子
14a 孔
T トナー粒子
A コア粒子
A1 着色剤
A2 樹脂
B シェル
B3 樹脂

Claims (10)

  1. 少なくとも、樹脂と着色剤を含有するコア粒子表面に、
    ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた構造のスチレンアクリル変性ポリエステルを含有する樹脂粒子を添加してシェルを形成する工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
    前記スチレンアクリル変性ポリエステルを含有する樹脂粒子は、少なくとも、
    スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液と水系媒体を混合して混合液を形成し、
    前記混合液を回転させ、回転させた前記混合液を通過させる間隙で、前記混合液にせん断力を与えて、前記樹脂溶液の粒子を形成し、
    前記樹脂溶液の粒子より有機溶媒を除去して形成されるものであることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記混合液を回転させる回転手段の周速が10m/sec以上20m/sec以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記回転させた前記混合液を通過させる間隙は、
    前記混合液を回転させる回転子と、前記回転子の周りに同心状に配置される複数の孔を有する固定子の間に形成されるものであり、
    前記混合液に与えられるせん断力は、
    前記回転子により前記混合液が回転するときに生ずる液流と、前記混合液が前記固定子の前記孔より排出されるときに生ずる液流により、発生するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記樹脂溶液は、前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の含有量が20質量%以上60質量%以下のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記水系媒体中に前記樹脂溶液の粒子が分散する状態における前記樹脂溶液の粒子の粒径が、50nm以上250nm以下のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  6. 前記コア粒子に含有される樹脂が、
    少なくとも、スチレンアクリル共重合体を含有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  7. 前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、スチレンアクリル共重合体の含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  8. 前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、下記一般式(A)で表される脂肪族不飽和カルボン酸を用いて形成されるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
    一般式(A):HOOC−(CR=CR−COOH
    (式中、R、Rは水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じものであっても異なるものであってもよい。nは1または2の整数である。)
  9. 前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、前記スチレンアクリル共重合体分子鎖が前記ポリエステル分子鎖の末端に分子結合しているものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  10. 前記スチレンアクリル変性ポリエステルは、前記ポリエステル分子鎖の存在下で、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を重合反応させ、前記スチレンアクリル共重合体分子鎖を形成するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
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JP2016066049A (ja) * 2014-03-27 2016-04-28 キヤノン株式会社 トナー粒子の製造方法
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CSNC201300249001; '薬剤学マニュアル' 薬剤学マニュアル , 鈴木 正二 株式会社南山堂 *

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