JP2013047381A - 伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.06%以上0.15%以下、Si:0.3%超0.5%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.06%以下、N:0.006%以下、Ti:0.08%以上0.2%以下、V:0.2%以上0.4%以下、Cr:0.04%以上0.2%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相の組織全体に対する面積率が98%以上であるマトリックスを有し、該マトリックスの相当転位密度が7.0×1014m-2以上1.0×1015m-2以下であり、前記マトリックス中に一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物が析出した組織とを有する熱延鋼板の表面に、溶融亜鉛めっき処理或いはさらに合金化処理を施す。
【選択図】図1
Description
まず、本発明者らは、引張強さ980MPa以上の高強度と優れた伸びフランジ性を有する熱延鋼板を安定的に生産する手段について検討した。その結果、鋼板組織を実質的にフェライト単相組織としたうえ、ナノメートルサイズの析出物(以下、ナノ析出物ともいう)による材料強化を積極的に活用することに想到した。そして、析出強化元素を含有する鋼を、前記析出強化元素が固溶する温度まで加熱し、熱間圧延を施したのち、巻取り温度まで冷却し、巻き取り時にナノ析出物を析出させることにより、上記した所望の組織(実質的にフェライト単相であり、フェライト相中にナノ析出物が析出した組織)を有し、引張強さ980MPa以上であり且つ優れた伸びフランジ性を有する熱延鋼板が得られることを確認した。
これは、後述するように、めっきを阻害する表面酸化物が発生しない条件とするため、巻取り温度を通常よりも低い温度(530℃)としても、Cr添加により、再加熱処理で強度と穴拡げ性が得られることを示すものである。
表1に示す組成を有する溶鋼を溶製し、小型鋳塊とした。これら小型鋳塊を1200℃に加熱したのち、930℃の仕上げ圧延終了温度で熱間圧延を終了し、次いで巻取り時の熱履歴を模擬するために530℃まで水冷してこの温度に1時間保持し、フェライトを主相とする熱延板(厚み2.3mm)とした。なお、表1中、鋼AはCrを含有しない組成を有し、鋼Bは鋼AにCrを添加した組成を有する。このようにして得られた各々の熱延板から、試験片を採取し、該試験片を研磨・腐食し、走査型電子顕微鏡(SEM)により組織観察を行った。
このようにして得られた各々の溶融亜鉛めっき鋼板について、引張試験、穴拡げ試験を行い、引張強さTSおよび穴拡げ率λを測定した。試験条件は次のとおりである。そして、引張強さTSが980MPa以上であり且つ穴拡げ率λが40%以上であるものを「機械的特性:良好」と評価した。
<引張試験>
得られた溶融亜鉛めっき鋼板から、圧延直角方向が引張試験方向に一致するようにJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241(2011)の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(TS)を求めた。
<穴拡げ試験>
日本鉄鋼連盟規格「JFST1001(1996)穴拡げ試験方法」の規定に準拠した方法により、穴拡げ試験を行った。得られた溶融亜鉛めっき鋼板から、試験片(大きさ:130mm×130mm)を採取し、該試験片に初期直径d0:10mmφの穴を打ち抜き加工で形成した。これら試験片を用いて、穴拡げ試験を実施した。すなわち、該穴に頂角:60°の円錐ポンチを挿入し、該穴を押し広げ、亀裂が鋼板(試験片)を貫通したときの穴の径dを測定し、次式で穴拡げ率λ(%)を算出した。
穴拡げ率λ(%)=[(d−d0)/d0]×100
以上の結果を、表2に示す。
このようにして得られた鋼板について、引張強さTSおよび穴拡げ率λを上記と同様の方法により求めた。また、めっき性の評価および鋼組織観察は、以下の方法で行った。
めっき性は、各々の溶融亜鉛めっき鋼板について、「不めっき部の有無」および「合金化ムラ発生の有無」を目視で観察し、観察領域全面積に対する不めっき部面積の割合である不めっき部の面積率と観察領域全面積に対する合金化ムラ発生部面積の割合である合金化ムラの面積率を求め、以下の基準で評価した。以下の評価のうち、評価4および評価5を「めっき性良好」と評価した。
評価5:不めっき部無し、合金化ムラ無し
評価4:不めっき部無し、合金化ムラ微量発生(面積率5%未満)
評価3:不めっき部無し、合金化ムラ一部発生(面積率5%以上10%未満)
評価2:不めっき部無し、合金化ムラ発生(面積率10%以上)
評価1:不めっき部有り、合金化ムラ発生(不めっき部を有し、且つ合金化ムラ発生部が面積率10%以上)
上記により得られた各々の溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板部分から、1×10×10(mm3)の試験片を採取し、試験片の表面を鏡面研磨したのち、フッ酸にて表層の研磨歪層を除去した。この試験片を用いてX線回折実験を行い、フェライト鉄の(110)、(211)、(220)結晶面のピークの半値幅を求めた。この半値幅を用いて非特許文献1と同様にWilliamson-Hall法により試験片の不均一歪εを求めた。この不均一歪εを、非特許文献2の(10)式に代入し、相当転位密度ρを求めた。
ρ=14.4ε2/b2 … (10)
析出物の形状・大きさを、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて以下の方法により求めた。
上記により得られた各々の溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板部分を、電解研磨法により薄膜試料にし、倍率30万倍でTEM観察した。観察の際、母相のフェライト相に対して電子線が[001]方向から入射するように試料を傾斜させた。
上記の条件で観察される析出物について、1.5以上のアスペクト比を有するものを板状析出物と定義し、1.5未満のアスペクト比を有するものを球状析出物と定義した。但し、大きさが100nmを超える析出物は、観察の対象から外した。
得られた結果を、表3に示す。
[1] 基板表面に溶融亜鉛めっき皮膜または合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記基板が、質量%で、
C :0.06%以上0.15%以下、 Si:0.3%超0.5%以下、
Mn:0.5%以上2.0%以下、 P :0.06%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.06%以下、
N :0.006%以下、 Ti:0.08%以上0.2%以下、
V :0.2%以上0.4%以下、 Cr:0.04%以上0.2%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相の組織全体に対する面積率が98%以上であるマトリックスを有し、該マトリックスの相当転位密度が7.0×1014m-2以上1.0×1015m-2以下であり、前記マトリックス中に一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物が析出した組織とを有する熱延鋼板であることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
前記鋼素材を、質量%で、
C :0.06%以上0.15%以下、 Si:0.3%超0.5%以下、
Mn:0.5%以上2.0%以下、 P :0.06%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.06%以下、
N :0.006%以下、 Ti:0.08%以上0.2%以下、
V :0.2%以上0.4%以下、 Cr:0.04%以上0.2%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、
前記鋼素材の加熱温度を1100℃以上とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を880℃以上とし、前記巻き取りの巻取り温度を450℃以上550℃以下とし、前記連続焼鈍処理の焼鈍温度を600℃以上750℃以下とすることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
まず、本発明溶融亜鉛めっき鋼板の成分組成の限定理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C :0.06%以上0.15%以下
Cは、後述するTiやVとナノサイズの炭化物(一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物)を形成し、析出強化に寄与する重要な元素である。最終的に得られる溶融亜鉛めっき鋼板の引張強さTSを980MPa以上とするためには、C含有量を0.06%以上とする必要がある。一方、C含有量が0.15%を超えると、後述する連続焼鈍処理を施した後もセメンタイトが溶け残る、或いは連続焼鈍処理に続く溶融亜鉛めっき後の冷却工程でセメンタイトが再析出するため、伸びフランジ性が低下する。したがって、C含有量は0.06%以上0.15%以下とする。好ましくは、0.07%以上0.12%以下である。
Siは、固溶強化に寄与する元素である。高価な合金元素の使用量を削減しつつ鋼板強度を確保する目的で、本発明では0.3%超含有させる。一方、Siは、熱間圧延時、鋼板表面に酸化物を形成し、めっき不良の要因になるため、0.5%以下に限定した。
Mnは、Siと同様、固溶強化に寄与する元素である。溶融亜鉛めっき鋼板を強化する観点から、本発明ではMn含有量を0.5%以上とする。一方、Mn含有量が2.0%を超えると、熱間圧延時に鋼板表面に酸化物を形成し、めっき不良の原因となる。したがって、Mn含有量は0.5%以上2.0%以下とする。好ましくは1.0%以上1.6%以下である。
Pは、固溶強化に有効であるが、P含有量が0.06%を超えると、偏析が顕著になり伸びフランジ性の低下を招く。したがって、P含有量は0.06%以下とする。なお、Pを極端に低減することは、製造コストを悪化させる。そのため、製造コストを大きく上昇させない実用的な下限値は0.001%程度となる。
Sは、MnやTiと硫化物を形成し、加工性(伸び、伸びフランジ性)の低下を招く。そのため、本発明ではSを極力低減することが好ましく、0.005%以下とする。なお、Sを極端に低減することは、製造コストを悪化させる。そのため、製造コストを大きく上昇させない実用的な下限値は0.0005%程度となる。
Alは、脱酸剤として作用する元素である。一方、Al含有量が0.06%を超えると、介在物が多量に生成して伸びおよび伸びフランジ性の低下を招くとともに、表面欠陥の原因にもなる。このため、Al含有量はAl:0.06%以下とする。なお、Al含有量の下限は特にないが、脱酸剤としての効果を十分に得るためにはAl含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
Nは、本発明においては有害な元素であり、極力低減することが好ましい。特にN含有量が0.006%を超えると、鋼中に粗大な窒化物が生成することに起因して、伸びフランジ性が低下する。したがって、N含有量は0.006%以下とする。
Tiは、本発明において重要な元素のひとつである。Tiは、Vとともにナノサイズの炭化物(一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物)を形成し、母相(本発明においては実質的にフェライト単相)の析出強化に寄与する。また、Tiは、炭化物形成能が強いため、先述のように、熱延鋼板を製造する際、熱間圧延後の巻き取り時にセメンタイトが析出する低温巻取り温度とした場合にも、速やかに炭化物の核を形成し、続く連続焼鈍処理の加熱時にナノサイズの炭化物を十分に析出させる効果を有する。このような効果を発現して所望の鋼板強度(引張強さTS:980MPa以上)を確保するためには、Ti含有量を0.08%以上とする必要がある。一方、Ti含有量が0.2%を超えると、上記連続焼鈍処理の加熱時に析出する炭化物の大きさが一辺10nm超となる、或いは厚さ1nm超となる、或いは板状ではなく球状の析出物が増加する傾向となり、鋼板強度および伸びフランジ性の低下を招く。したがって、Ti含有量は0.08%以上0.2%以下とする。好ましくは0.1%以上0.18%以下である。
Vは、本発明において重要な元素のひとつである。上記したように、Vは、Tiとともにナノサイズの炭化物(一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物)を形成し、母相(本発明においては実質的にフェライト単相)の析出強化に寄与する。このような効果を発現して所望の鋼板強度(引張強さTS:980MPa以上)を確保するためには、V含有量を0.2%以上とする必要がある。一方、V含有量が0.4%を超えると、上記連続焼鈍処理の加熱時析出する炭化物の大きさが一辺10nm超となる、或いは厚さ1nm超となる、或いは板状ではなく球状の析出物が増加する傾向となり、鋼板強度および伸びフランジ性の低下を招く。したがって、V含有量は0.2%以上0.4%以下とする。
Crは、本発明において重要な元素のひとつである。先述のように、Crは、熱延鋼板を製造する際、熱間圧延後の巻き取り時、所定の低温巻取り温度とすることにより十分な転位を導入し、熱延鋼板の転位密度を向上させる効果を有する。また、所定の巻取り温度に保持中、熱延鋼板に析出するセメンタイトを微細化させる効果、更にはナノ析出物の転位上への核生成を促す効果を有する。これらの効果を発現させるうえでは、Cr含有量を0.04%以上とする必要がある。一方、Cr含有量が0.2%を超えると、巻取り時に析出するセメンタイトが安定化し、続く連続焼鈍処理を施した後もセメンタイトが溶けきらずに残存し、鋼板強度および伸びフランジ性が低下する。したがって、Cr含有量は0.04%以上0.2%以下とする。好ましくは0.05%以上0.15%以下である。
Mo:0.5%以下
Moは、Ti、Vとともにナノメートルサイズの複合炭化物を形成し、鋼板の強化に寄与するという効果を有するため、必要に応じて含有することができる。このような効果を発現させるためには、Mo含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が0.5%を超えると、鋼板にマルテンサイトなどの硬質相が形成され伸びフランジ性が低下する。したがって、Mo含有量は0.5%以下とすることが好ましい。また、0.1%以上0.4%以下とすることがより好ましい。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、フェライト相の組織全体に対する面積率が98%以上であるマトリックスを有し、該マトリックスの相当転位密度が7.0×1014m-2以上1.0×1015m-2以下であり、前記マトリックス中に一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物が析出した組織を有する熱延鋼板を基板とし、該基板表面に、溶融亜鉛めっき皮膜または合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成してなる鋼板である。
鋼板の伸び特性を確保するうえでは、ベイナイト相やマルテンサイト相よりも転位密度の低いフェライト相の形成が必須となる。なお、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、従来の析出強化型のフェライト単相鋼よりも高い転位密度を有するが、後述するように相当転位密度が1.0×1015m-2以下であれば伸び特性に悪影響を及ぼさない。また、鋼板の伸びフランジ性を向上させるためには、鋼板組織を単相組織とすることが有効である。そのため、本発明においても溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板部分の組織をフェライト単相とすることが好ましい。但し、完全なフェライト単相でない場合であっても、実質的にフェライト単相、すなわち、組織全体に対する面積率で98%以上がフェライト相であれば、上記の効果を十分に発揮する。したがって、フェライト相の組織全体に対する面積率は98%以上とする。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、マトリックスの相当転位密度を7.0×1014m-2以上1.0×1015m-2以下とする。ここで、本発明において「相当転位密度」とは、溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板部分から1×10×10(mm3)の試験片を採取し、試験片の表面を鏡面研磨したのち、フッ酸にて表層の研磨歪層を除去し、該試験片を用いてX線回折実験を行い、フェライト鉄の(110)、(211)、(220)結晶面のピークの半値幅を求め、この半値幅を用いて前記非特許文献1と同様にWilliamson-Hall法により試験片の不均一歪εを求め、更にこの不均一歪εを、前記非特許文献2の(10)式に代入して求めた転位密度ρとする。
ρ=14.4ε2/b2 … (10)
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板においては、マトリックス(実質的にフェライト単相のマトリックス)中に、一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物が析出しており、この析出物が鋼板の高強度化に寄与する。ここでいう析出物とは、TiおよびVからなる複合炭化物である。理由は定かでないが、Tiのみからなる炭化物や、Vのみからなる炭化物は、粗大化し易く、鋼板強度を安定的に確保することが困難である。そのため、本発明では、析出強化を図るための析出物として、TiおよびVからなる複合炭化物を適用する。
なお、一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物は、鋼全体(溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板部分)に対する体積率で0.25%以上含有していることが好ましい。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、上記した組成を有する鋼素材を加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とし、該熱延鋼板に連続焼鈍処理、溶融亜鉛めっき処理あるいは更に合金化処理を順次施し、溶融亜鉛めっき鋼板とする。この際、鋼素材を1100℃以上に加熱し、仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を880℃以上とし、巻取り温度を450℃以上550℃以下とし、前記連続焼鈍処理の焼鈍温度を600℃以上750℃以下とすることを特徴とする。
上記の如く得られた鋼素材に、粗圧延および仕上げ圧延を施すが、本発明においては、粗圧延前に鋼素材中の炭化物を溶解する必要がある。炭化物形成元素であるTiおよびVを含有する本発明においては、鋼素材を1100℃以上の温度に再加熱することが好ましい。一方、鋼素材の加熱温度が過剰に高くなると、加熱に要するエネルギー及び加熱設備への負荷が大きくなるという問題が懸念されるため、上記加熱温度は1300℃以下とすることが好ましい。但し、粗圧延前の鋼素材が、所定温度以上の温度を保持しており、鋼素材中の炭化物が溶解している場合には、粗圧延前の鋼素材を加熱する工程は省略可能であり、直送圧延してもよい。なお、粗圧延条件については特に限定する必要はない。
仕上げ圧延終了温度が880℃未満であると、再結晶が起きず、オーステナイト中の転位密度が上昇し、圧延荷重が著しく増大するため、熱間圧延が困難になる。したがって、仕上げ圧延終了温度は880℃以上とする。好ましくは900℃以上である。一方、仕上げ圧延終了温度が過剰に高くなると、結晶粒が粗大化して所望の鋼板強度(引張強さ:980MPa以上)の確保に悪影響を及ぼすため、仕上げ圧延終了温度は1050℃以下とすることが望ましい。
巻取り温度の適正化は、溶融亜鉛めっき鋼板の基板となる熱延鋼板(熱延板)の酸化層を抑制し、且つ、最終的に得られる溶融亜鉛めっき鋼板の組織を上記した所望の組織(フェライト相の組織全体に対する面積率が98%以上であるマトリックスを有し、該マトリックスの相当転位密度が7.0×1014m-2以上1.0×1015m-2以下であり、前記マトリックス中に一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物が析出した組織)とするうえで極めて重要である。
本発明では、焼鈍温度(連続焼鈍処理の加熱温度)の適正化を図ることで、熱延鋼板に所望のナノ析出物(10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物)を十分に析出させる。焼鈍温度が600℃未満であると、巻取り時に生じた熱延鋼板中のセメンタイトを完全に溶解することができない。また、熱延鋼板の組織回復が抑制されるため、巻取り時に導入した転位が減少しない。そのため、最終的に得られる溶融亜鉛めっき鋼板の転位密度が過剰に高くなるとともにセメンタイトが残存し、伸びおよび伸びフランジ性の低下を招く。一方、焼鈍温度が750℃を超えると、急激な組織回復と析出物の粗大化による強度低下を招く。また、Si、Mnの表面濃化も生じるため、めっき性が劣化する。したがって、焼鈍温度は600℃以上750℃以下とする。好ましくは630℃以上720℃以下である。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板の板厚1/2の部分から試験片を採取し、試験片の圧延方向断面を機械的に研磨し、ナイタールで腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率:3000倍にて撮影した組織写真(SEM写真)を用い、画像解析装置によりフェライト相、フェライト相以外の組織の種類、および、フェライト相の面積率を求めた。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板から、圧延直角方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241(2011)の規定に準拠した引張試験を行い、引張強さ(TS)を測定した。
日本鉄鋼連盟規格「JFST1001(1996)穴拡げ試験方法」の規定に準拠した方法により、穴拡げ試験を行った。得られた溶融亜鉛めっき鋼板から、試験片(大きさ:130mm×130mm)を採取し、該試験片に初期直径d0:10mmφの穴を打ち抜き加工で形成した。これら試験片を用いて、穴拡げ試験を実施した。すなわち、該穴に頂角:60°の円錐ポンチを挿入し、該穴を押し広げ、亀裂が鋼板(試験片)を貫通したときの穴の径dを測定し、次式で穴拡げ率λ(%)を算出した。
穴拡げ率λ(%)=[(d−d0)/d0]×100
得られた結果を表7に示す。
Claims (4)
- 基板表面に溶融亜鉛めっき皮膜または合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記基板が、質量%で、
C :0.06%以上0.15%以下、 Si:0.3%超0.5%以下、
Mn:0.5%以上2.0%以下、 P :0.06%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.06%以下、
N :0.006%以下、 Ti:0.08%以上0.2%以下、
V :0.2%以上0.4%以下、 Cr:0.04%以上0.2%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相の組織全体に対する面積率が98%以上であるマトリックスを有し、該マトリックスの相当転位密度が7.0×1014m-2以上1.0×1015m-2以下であり、前記マトリックス中に一辺が10nm以下であり厚さが1nm以下である板状形態の析出物が析出した組織とを有する熱延鋼板であることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。 - 前記組成に加えてさらに、質量%でMo:0.5%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼素材を加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とし、該熱延鋼板に連続焼鈍処理、溶融亜鉛めっき処理あるいは更に合金化処理を順次施し、溶融亜鉛めっき鋼板を製造するにあたり、
前記鋼素材を、質量%で、
C :0.06%以上0.15%以下、 Si:0.3%超0.5%以下、
Mn:0.5%以上2.0%以下、 P :0.06%以下、
S :0.005%以下、 Al:0.06%以下、
N :0.006%以下、 Ti:0.08%以上0.2%以下、
V :0.2%以上0.4%以下、 Cr:0.04%以上0.2%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、
前記鋼素材の加熱温度を1100℃以上とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を880℃以上とし、前記巻き取りの巻取り温度を450℃以上550℃以下とし、前記連続焼鈍処理の焼鈍温度を600℃以上750℃以下とすることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 前記組成に加えてさらに、質量%でMo:0.5%以下を含有することを特徴とする請求項3に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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