JP2012218338A - 耐燃焼性成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐燃燃焼性層が、熱可塑性樹脂及び黒鉛を含む耐燃焼性樹脂組成物によって形成され[耐燃燃焼性層の厚み]×[耐燃燃焼性層の熱伝導率]で規定する[耐燃燃焼性層の熱伝導量]が1.5mW/K以上である耐燃焼性シートを1段階目に予備延伸した後、2段階目に本成形する真空成形方法。
【選択図】図1
Description
しかし、燃焼すると有毒ガス、多量の黒煙等が発生し、列車などの車両用途では火災の際に乗客の安全性に支障をきたすため、より燃えにくい材料が要求されている。
また、塩化ビニル系樹脂に黒鉛を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
熱可塑性樹脂及び黒鉛を含む耐燃焼性樹脂組成物によって形成され、かつ1.5mW/K以上の[厚み]×[熱伝導率]で規定される[熱伝導量]を有する耐燃燃焼性層を含む耐燃焼性シートを、予備延伸し、その後本成形することを含むことを特徴とする。
このような耐燃焼性成形体の製造方法では、
前記予備延伸を真空引きにより行ない、前記本成形を、金型を用いた真空引きにより行なうことが好ましい。
また、前記予備延伸を、金型を用いずに行なうことが好ましい。
本発明の耐燃焼性成形体の製造方法は、後述する特定の耐燃焼性シートを、2段階処理、つまり、1段階目に予備延伸し、その後、2段階目に本成形することによって成形する方法である。この方法では、少なくとも2段階目において、好ましくは1段階目及び2段階目のいずれにおいても、真空引きを利用することが適している。
真空引きの際には、耐燃焼性シートと、所定の容器(又は壁、筐体など、例えば、ブローボックス等)との間で、真空状態とすることができる空間を確実に作ることが必要である。この場合の真空引きは、例えば、得ようとする耐燃焼性成形体の最終形状及び大きさ等によるが、10cmHg〜72cmHg程度で真空引きすることが適している。
なお、予備延伸を行なう前には、通常、耐燃焼性シートを均一に加熱する。加熱方法は、ヒータ等の熱を直接、耐燃焼性シートに負荷する方法、温風等を利用する方法等、当該分野で公知の方法のいずれをも使用することができる。加熱の温度及び時間は、後述するような、用いる耐熱性シートの材料、厚み等によって適宜調整することができる。例えば、用いる耐燃焼性シートの軟化点以上の温度、融点以下の温度で行なうことが適している。また、後述する厚みの範囲において、10秒〜10分間程度が挙げられる。
本成形は、得ようとする耐燃焼性成形体の最終形状を得ることができる限り、上述した金型のみを用いる方法であってもよいが、金型を用いた真空引きにより行なうことが好ましい。
金型を用いた真空引きを行なう場合、予備延伸された耐燃焼性シートをはさんで、金型と上述したような所定の容器(又は壁、筐体など)との間で、真空状態とすることができる空間を確保することが必要である。真空の程度は、得ようとする耐燃焼性成形体の最終形状及び大きさ等によるが、10cmHg〜72cmHg程度で真空引きすることが適している。このような真空引きによって、耐燃焼性シートの一面を金型表面に密着させ、金型の表面形状に適切に追従させて、正確に金型表面の形状を再現することができる。
また、この本成形の際、上述した予備延伸から引き続き耐燃焼性シートを加熱した状態で行なってもよいし、予備延伸が終了した後、一旦冷却し、再度加熱しながら行なってもよいし、加熱を終了した直後に行なってもよい。
このように、本発明で用いる所定の耐燃焼性シートは、後述するように、難燃性を向上させているために、黒鉛などの無機物を大量に充填させている。そのため、真空成形時の伸び性が悪い傾向にあり、シートの破れなどの問題が発生することが多い。シートの破れが発生する箇所は他の部位に比べて局所的にシートが伸ばされている部位であることが多い。よって、上述した方法により、1段階目の予備延伸を行なって耐燃焼性シート全体を均一に延伸させることによって、局所伸びを抑制し、シートの破れを格段に抑制することができる。
本発明で用いる耐燃焼性シートは、少なくとも、耐燃焼性樹脂組成物からなる耐燃燃焼性層を備える。耐燃焼性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び黒鉛を含む。
このシートは、任意に加飾層、被覆層等が積層されていてもよい。
加飾層は、通常、耐燃焼性シートの表面に配置される。加飾層を耐燃焼性シートの表面に配置することにより、例えば、加飾層を構成する材料が有する優れた加工特性を発揮させることができる。
被覆層は、耐燃焼性効果を効率的に発現させるため、耐燃焼性層の黒鉛による耐衝撃性及び真空成形性等の二次加工性の低下を補うために、耐燃焼性層の裏面側に配置することが好ましい。
さらに、これらの層以外に、保護層、反射防止層などの種々の機能層が形成されていてもよい。
耐燃焼性層は、熱伝導率の異なる複層構造であってもよい。また、目的に応じて、耐燃焼性層の表裏面の双方に被覆層が積層された3層構造であってもよいし、これらの層が交互に積層されるなどの4層以上の積層構造であってもよい。この場合、加飾層は、耐燃焼性シートの最表面に配置されることが好ましい。
なお、本願においては、耐燃焼性シートを鉄道車両等の内装材として使用する場合、乗客側に露出する面をその表面と称する。
耐燃焼性層は、少なくとも、黒鉛と熱可塑性樹脂とを含む耐燃焼性樹脂組成物によって形成されていればよい。耐燃焼性層は、耐燃焼性樹脂組成物による単層構造でもよいが、例えば、熱可塑性樹脂と、銅、アルミニウム等の金属微粒子又は微細繊維等の種類の異なる充填材とによって形成されている層及び耐燃焼性樹脂組成物によって形成されている層を任意に組み合わせた複層構造であってもよい。このように、特定の材料を組み合わせることにより、材料自体が有する優れた特性を十分に発揮させることができる。これにより、例えば、鉄道車両等の内装材として、難燃性を向上させることができる。
黒鉛とは、特に限定されず、従来公知の種々のものを用いることができ、天然黒鉛、人工的に作製された黒鉛のいずれを使用してもよい。例えば、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、鱗状(塊状)黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、熱分解黒鉛等が挙げられる。これらの黒鉛は、精錬、乾燥、焼成、粉砕及び/又は分級したもののいずれであってもよい。粉砕処理は、特に限定されず、例えば、ロッドミル、ボールミル、ジェットミル等の従来公知の装置を用いて行うことができる。
このように、黒鉛を熱可塑性樹脂に添加することにより、耐燃焼性シートにおいて、著しく耐燃焼性を向上させることができる。このため、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年12月25日国土交通省令第151号)」の第5節車両の火災対策等第83条に準拠した方法で行った燃焼試験において、試験体への着火を抑制する効果を発現させることができる。
黒鉛の原料となる炭素源及び後述するコークスの形状は、固体状、粉末状等のいずれであってもよい。
膨張化黒鉛は、膨張黒鉛を膨張させた後、粉砕処理をした黒鉛の層間が開くことにより黒鉛の表面積が大きくなり、よって、耐燃焼性シート成形後において黒鉛同士がより近接する確率を高めると考えられる。
熱分解黒鉛は薄い形状と高温処理による高黒鉛化度とにより耐燃焼性が高まるため、特に好ましい。
なお、熱分解黒鉛は、コークスを熱処理することで得られる黒鉛として、SiCを製造する際に2000℃以上の高温で熱処理されるコークス粉末なども包含され、不純物が少なく、熱伝導率が高まる傾向にあるため、特に好ましい。
黒鉛化度は、例えば、以下の方法によって相対的な大きさを測定することができる。
X線回折で2θが52°〜57°付近に現れる最も大きなピークの半値幅(FWHM)を測定し、この値が小さいほど黒鉛化度が高いという指標となる。
例えば、ブルガーAXS社製のX線回折装置を用いてこの半値幅を測定すると、土状黒鉛は0.47、人造黒鉛は0.53と半値幅が大きく、黒鉛化が進んでいないが、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、熱分解黒鉛は0.23程度と小さく、黒鉛化度が高いため、熱伝導率が高まり、好ましい。なかでも、高黒鉛化のみならず、より薄く、不純物も少ないことから、熱分解黒鉛が特に好ましい。
本発明で用いる黒鉛の黒鉛化度は限定されないが、上述した半値幅の値が0.4以下であることが適しており、好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.3以下である。
熱伝導率の上限は25W/m・K以下が適しており、13W/m・K以下、さらに8W/m・K以下が好ましい。
なお、黒鉛の種類又は状態等によって、上述した熱伝導率を得るための含有量が変動することがあるため、例えば、黒鉛は、後述する含有量を加味して、適宜調整することが好ましい。
試験片の作製方法としては、1例として、樹脂組成物を二軸押出機に供給し、溶融混練して所定の厚み(例えば、1mm〜数十mm、具体的には、3.2mm)のシートを得る方法がある。
別の例として、樹脂組成物を、混練機に供給し、温度185℃程度で溶融混練して、厚さ1mmのシートを得る。次いで、この複数枚を積層して熱プレス成形機に供給し、温度190℃、7MPaで加圧し、3.2mmのシートを得る方法である。
なお、熱伝導率は材料固有の値であるが、測定対象層の厚みが約10mm以下である場合又は積層構造の場合には下地の影響を受けることがある。測定対象層が約10mm以下の場合又は積層構造のシートの場合には測定対象層のみを単離して試験片としてもよい。
上述した試験片を、熱伝導率が既知である標準板(シリコン、石英、ジルコンレンガ)の上に試験片を密着させて重ね、室温で、熱伝導率計を用いて、試験片の表面にプローブを当てて熱伝導率を測定する。ここで、熱伝導率計としては、Kemtherm.QTM−D3(商品名)(京都電子工業株式会社製)を用いることができる。
続いて、標準板の熱伝導率と、測定された熱伝導率の偏差をプロットし、得られる直線と偏差=0との交点より熱伝導率を求める。
耐燃焼性層の総厚みは、単層及び2層以上の積層構造のいずれにおいても特に限定されず、その材料、求められる特性等によって適宜調整することができる。耐燃焼性層は厚ければ厚い程、耐燃焼性効果が大きくなり、黒鉛の含有量を低減させることができる。これは耐衝撃性等の物性、真空成形性等の二次加工性の面で有利に働く。例えば、0.1mm以上が挙げられる。また、耐燃焼性層の総厚みは、0.2mm以上が適しており、0.8mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。耐燃焼性の総膜厚が小さすぎると、耐燃焼性層の熱伝導率を高めても耐燃焼性を発現しにくくなる傾向がある。
従って、熱の分散に寄与する耐燃焼性層の総厚みが0.2mm以上であり、かつ[耐燃焼性層の厚み]×[耐燃焼性層の熱伝導率]で規定する[耐燃焼性層の熱伝導量]を1.5mW/K以上に調整することが適している。また、耐燃焼性層の熱伝導量が、4.2mW/K以上であることが好ましく、7.2mW/K以上であることがより好ましく、9.0mW/K以上であることがさらに好ましく、11.0mW/K以上がよりさらに好ましく、13.9mW/K以上が特に好ましい。
なお、耐燃焼性層が、熱伝導率の異なる複層の耐燃焼性層から構成されている場合には、[耐燃焼性層の熱伝導量]=[第1層の耐燃焼性層の厚み]×[第1層の耐燃焼性層の熱伝導率]+[第2層の耐燃焼性層の厚み]×[第2層の耐燃焼性層の熱伝導率]+・・・+[第n層の耐燃焼性層の厚み]×[第n層の耐燃焼性層の熱伝導率]を意味する。
特に、黒鉛の添加量は、上述したような熱伝導率の大小を支配するが、後述するような形状、耐燃焼性シートの製法等によっても影響されるため、上述した熱伝導率を示し、かつ、上述した含有量となる範囲で適宜調整することがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、従来公知の種々のものを用いることができる。ただし、ここでの熱可塑性樹脂は、一般に加工助剤として機能する樹脂、特に後述する加工助剤を除く。例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂〔例えば、ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレンを含む)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン(AES)樹脂、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン(AAS)樹脂等〕、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、エチレン系共重合体〔例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(EMMA)、上述したAESも含む等〕などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なかでも、黒鉛添加による耐衝撃性の低下、真空成形性等の二次加工性の低下を補うことができ、耐燃焼性に優れる塩化ビニル系樹脂、耐衝撃性、二次加工性に優れる塩素化ポリオレフィン等が好ましい。また、塩化ビニル系樹脂を用いた場合には、塩化ビニル系樹脂を含有する加飾層及び/又は被覆層を積層する場合に、層間接着がより強固となり有利である。
特に、(メタ)アクリレート重合体の重量平均分子量の測定方法では、具体的に以下の条件で測定した値とすることができる。
装置:HLC−8120(東ソー社製)、
溶媒:THFを用い、分子量が既知のポリスチレンの分子量によって検量線を作製する。
カラムは、各分子量によって適宜選択する。例えば300万以上の場合は、
使用カラム:GMHHR−H(30)×2本
溶媒:THF、サンプル濃度:0.05%、注入量:50μl、流量:0.5ml/minとするが、分子量により、サンプル濃度なども調整する。
塩化ビニル系樹脂の塩素化方法としては、特に限定されず、従来公知の塩素化方法を利用することができる。例えば、熱塩素化方法、光塩素化方法等が挙げられる。
重合度を調整する方法としては、主に重合温度等が例示される。一般に重合温度が高いほど重合度は低くなる。重合度は、JIS K 6720−2に準拠して測定することができる。
塩素化ポリエチレンは、5万〜40万程度の重量平均分子量が適しており、比較的高い範囲(例えば、32万程度以上)であることが好ましい。また、塩素化度は、20%〜40%程度が適している。さらに、15万〜35万程度の分子量かつ25%〜36%の塩素化度であることが好ましい。
特に、耐燃焼性樹脂組成物に他の樹脂が含有されている場合には、分子量をこの範囲とすることにより、他の樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリレート重合体等)との分子鎖レベルでの絡み合いを発現させて、相溶性を向上させることができる。また、塩素化度を比較的高める(例えば、34%程度以上)ことによって、他の樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル系加工助剤等)に近い極性を付与し、相溶性を向上させることができると考えられる。
アクリル系加工助剤としては、(メタ)アクリレート重合体が挙げられる。(メタ)アクリレート重合体は、アクリレート系モノマー又はメタクリレート系モノマーを主体とする重合体の総称であり、加工助剤などの役割を果たす。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーの単独重合体もしくは共重合体;上記(メタ)アクリレート系モノマーとスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等の他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐燃焼性樹脂組成物において、黒鉛の含有量が多くなると、成形性の低下を防ぐ目的から(メタ)アクリレート重合体の含有量も増やす必要がある。一方で、表層に塩化ビニル樹脂のラミネートなどの加飾を施す場合、車両燃焼性試験において着火がない(不燃)と判断されるためには、さらに、黒鉛の含有量(組成物に占める割合)を増やす必要があるため、添加可能な(メタ)アクリレート重合体量が制限される。よって、(メタ)アクリレート重合体の含有量は、耐燃焼性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上、好ましくは4重量%、さらに好ましくは12重量%以上、特に好ましくは23重量%以上である。また、上限はとしては、60重量%以下、好ましくは40重量%以下、30重量%以下である。例えば、1〜60重量%、4〜40重量%、12〜40重量%、12〜30重量%等が挙げられる。この範囲に設定することにより、黒鉛を添加したことによる耐燃焼性の向上と、二次加工性とを両立することができる。含有量が多すぎると熱可塑性樹脂の量(割合)が減少するため、より物性が悪化する方向になる。
高温での伸びを向上させる化合物としては、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、エルバロイ等の熱可塑性エラストマー、DOP(フタル酸ジオクチル)等の可塑剤が使用できるが、高温での張力付与等の観点から(メタ)アクリレート重合体が特に好ましい。
衝撃改質剤としては、当該分野で通常用いられているものであれば特に限定されず、例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体(MBS樹脂)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ABS樹脂、アクリル系改質剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ここでアクリル系改質剤とは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの1種からなる群から選択される少なくとも1つアクリル系共重合体で、特にアクリル成分が主成分であり、架橋して球状になったものをいう。なかでも、黒鉛の添加により硬く、脆くなったマトリックス中で網目構造を採り、柔軟性を付与することにより、黒鉛で低下した耐衝撃性を効率よく補うことができる塩素化ポリエチレンが好適に用いられる。
衝撃改質剤の含有量は、黒鉛の含有量、衝撃改質剤の種類等を考慮して適宜調整することができる。
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
本発明の耐燃焼性シートにおける加飾層は、文字/絵柄、金属光沢、塗装質感等の意匠性を向上させ得る層を意味し、いわゆる印刷・加工層であってもよい。
このような加飾層は、特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂とアクリル系樹脂とを含むことが好ましい。塩化ビニル系樹脂は上述したものの中から1種以上を適宜選択することができる。また、アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
加飾層における塩化ビニル系樹脂とアクリル系樹脂の比率は特に限定されず、耐燃焼性、2次加工性等のバランスにより適宜調整することができる。例えば、5〜95:95〜5程度が挙げられ、10〜90:90〜10程度が好ましい。
なお、加飾層は、塩化ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂以外に、他の樹脂、当該分野で公知の、例えば、添加剤等を添加してもよい。このような添加剤としては、耐燃焼性樹脂組成物に含有してもよい種々の添加剤と同様のものが挙げられる。実質的には、塩化ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
特に、加飾層は、耐燃焼性を阻害しない範囲で、つまり耐燃焼性に対する影響が少なくなるように、あるいは、上述した範囲内で熱伝導率が高くなるように、最小限の厚みとすることが好ましい。例えば、加飾層の厚みとしては、3mm程度以下が挙げられ、0.5mm以下程度に抑えることが適しており、好ましくは0.05〜0.3mmである。
本発明の耐燃焼性シートに被覆層を配置する場合、被覆層は、耐燃焼性を考慮して、難燃性の高い材料(例えば、塩化ビニル樹脂等)を使用することが適しており、例えば、熱可塑性樹脂を含む熱可塑製樹脂組成物によって形成されることが好ましく、さらに、衝撃改質剤及び/又は加工助剤を含む熱可塑性樹脂組成物で形成されていることがより好ましく、熱可塑性樹脂、衝撃改質剤及び加工助剤を含む熱可塑性樹脂組成物で形成されていることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂及び衝撃改質剤は、上述したものの中から1種以上を適宜選択することができる。なかでも、熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂及び/又は塩化ビニル系樹脂を用いることが好ましい。スチレン系樹脂は、上述したものの他、上述したスチレン系樹脂と他の樹脂とのポリマーアロイも含まれる。例えば、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのアロイ(PC/ABS)、ポリカーボネート樹脂とAES樹脂とのアロイ(PC/AES)等が挙げられる。
加工助剤としては、上述したアクリル系加工助剤が好ましい。
この場合、熱可塑性樹脂100重量部に対して、衝撃改質剤は、耐衝撃性の改善、耐熱性、機械的強度等を考慮して、1〜30重量部が適しており、好ましくは3〜20重量部である。加工助剤は、真空成形性及びシートの表面平滑性の向上を考慮して、1〜30重量部が適しており、好ましくは3〜20重量部である。
このような構成とすることにより、難燃性、物性、二次加工性に優れた耐燃焼性シートを得ることができる。
被覆層を構成する熱可塑製樹脂組成物は、耐燃焼性樹脂組成物と同様に、種々の添加剤を添加してもよい。
本発明の耐燃焼性シートは、当該分野で公知の任意の方法によって形成することができる。例えば、(1)耐燃焼性層及び任意の層、例えば、加飾層等を別個にシート状に形成し、両者を張り合わせる方法、(2)耐燃焼性層又は任意の層の一方をシート状に形成し、他方の原料を塗布する方法、(3)耐燃焼性層及び任意の層を、インフレーション法、Tダイ法等の公知の方法で共押出することにより積層一体化方法などが挙げられる。
なお、任意の層が複数設けられている場合においても、上述した(1)〜(3)のいずれか又は組み合わせによって形成することができる。
(耐燃焼性シートの材料)
本発明の実施例及び比較例において使用した材料は以下の通りである。
(1)塩化ビニル樹脂:徳山積水工業社製、商品名「TS−800E」、重合度800
(2)塩素化ポリエチレン(CPE):ダウケミカル社製、商品名「タイリン3615P」
(3)衝撃改質剤:メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS)、カネカ社製、商品名「M511」
(4)加工助剤((メタ)アクリレート重合体):
商品名「メタブレンP−530A」、三菱レイヨン社製、分子量310万
(5)熱安定剤:商品名「TVS #1380」(日東化成工業社製)
(6)滑剤1:HW220MP(商品名「Hiwax220MP」、三井化学社製)
(7)滑剤2:G70S(商品名「LOXIOL G70S」、エメリーオレオケミカルズジャパン社製)
(9)黒鉛:
熱分解黒鉛(商品名「PC99−300M」、伊藤黒鉛社製、平均粒径42μm)
鱗状黒鉛(商品名「CFW18AK」、中越黒鉛社製、平均粒径18μm)
表1に示した所定量(重量%)の各成分を、20Lスーパーミキサー(カワタ社製)に供給し、攪拌混合して樹脂組成物を得た。
次いで、熱プレス成形機(小林機械工業社製)に供給し、温度190℃、7MPaで加圧し、縦230mm、横500mm、表1に記載した厚みのプレスシート(耐燃燃焼性層又は被覆層)を得た。
表1の加飾層として、PVC/アクリル混合単層フィルム(ML−A、American RENOLIT Corporation製、グレー、厚み:200μm、熱伝導率0.2W/m・K)を準備した。
加飾層(表側)、耐燃焼性層及び被覆層(裏側)とを重ね合わせ、熱プレス成形機(小林機械工業社製)に供給し、温度190℃、7MPaで加圧し、縦230mm、横500mm、表1に記載した厚さのプレスシートを得た。
<耐衝撃性(ノッチ付きアイゾット)>
得られたプレスシートを切断して試験片を作成し、ASTM D−256に準拠して、23℃で測定した。
着火:「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年12月25日国土交通省令第151号)」の第5節車両の火災対策等第83条に準拠して評価した。
アルコールの炎を接触させる面はすべて加飾層側からである。
判定基準:
◎:着火無し(不燃相当)
○:着火時間が70秒以上であり、着火後の火勢も弱い(極難燃相当)
△:30秒を超え、70秒未満に着火(難燃相当)
×:30秒以内に着火
(熱伝導率/熱伝導量)
得られたシートを切断し、150×100mmのシートを試験片とした。
室温で、熱伝導率計(商品名Kemtherm.QTM−D3(商品名)京都電子工業株式会社製)を用いて、熱伝導率が既知である標準板(シリコン、石英、ジルコンレンガ)の上に試験片を密着させて重ね、試験片(単層)の表面にプローブを当てて伝導率を測定した。
具体的には、熱伝導率が1.4以上の場合、石英標準板上にサンプルを密着させ、その上にプローブを置いて2分間静置後、測定を行った。測定後、プローブをアルミ放冷板上に2分間静置し、続いて、ジルコンレンガ標準板上にサンプルを密着させ、その上にプローブを置いて2分間静置後、測定を行った。
続いて、他のサンプルの測定を行う場合は、プローブをアルミ放冷板上に15分間静置した後、上記の操作を行った。
標準板の熱伝導率と、測定された試験片の熱伝導率の偏差をプロットし、得られる直線と偏差=0との交点より熱伝導率を求めた。
熱伝導率の算出にはQTM−D3(京都電子工業製)ソフトを用いた。
[耐燃焼性層の熱伝導量(mW/K)]=[耐燃焼性層の厚み]×[耐燃焼性層の熱伝導率]
により算出した。
(予備延伸)
得られた耐燃焼性シート11を、図1(a)に示すように、真空成形機10(布施真空社製)にセットし、クランプ12で固定し、シート表面温度が170℃〜180℃になるまでヒーター13で加熱した。その後、図1(b)に示すように、ブローボックス14を用い52cmHgでシート上方に真空引きAを行って予備延伸した。
(本成形)
続いて、図1(c)に示すように、縦130mm、横300mm、高さ35mmのアルミ製金型15を下から突き出し、図1(d)に示すように、耐燃焼性シート11と金型15との間でシールし、金型15側から真空引きBを行い、図1(e)に示すように、耐燃焼性シート11を金型15に密着させた。
その後、耐燃焼性シート11の表面に冷風を送り、耐燃焼性シート11を冷却して、金型15から離型し、耐燃焼性成形体を得た。
◎:型への密着性が良好
○〜◎:型への密着性がやや不良
○:型への密着性が不良
△:型への密着不良大
×:型への密着不良大
なお、比較例で得られた耐燃焼性のプレスシートについては、1段階の成形処理をした。
つまり、耐燃焼性のプレスシート21を、図2(a)に示すように、真空成形機(布施真空社製)20にセットし、クランプ22で固定、シート表面温度が170℃〜180℃になるまでヒーター23で加熱した。その後、図2(b)に示すように、縦130mm、横300mm、高さ35mmのアルミ製金型25を下から突き出し、図2(c)に示すように真空引きして、図2(d)に示すように、シート21を金型25に密着させた。
評価方法は、上記と同様とした。
11 耐燃焼性シート
12 クランプ
13、23 ヒーター
14 ブローボックス
15、25 金型
21 プレスシート
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂及び黒鉛を含む耐燃焼性樹脂組成物によって形成され、かつ1.5mW/K以上の[厚み]×[熱伝導率]で規定される[熱伝導量]を有する耐燃燃焼性層を含む耐燃焼性シートを、予備延伸し、その後本成形することを含む耐燃焼性成形体の製造方法。
- 前記予備延伸を真空引きにより行ない、前記本成形を、金型を用いた真空引きにより行なう請求項1に記載の耐燃焼性成形体の製造方法。
- 前記予備延伸を、金型を用いずに行なう請求項1に記載の耐燃焼性成形体の製造方法。
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