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JP2012210160A - 単糖類の製造方法 - Google Patents

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JP2012210160A
JP2012210160A JP2011076548A JP2011076548A JP2012210160A JP 2012210160 A JP2012210160 A JP 2012210160A JP 2011076548 A JP2011076548 A JP 2011076548A JP 2011076548 A JP2011076548 A JP 2011076548A JP 2012210160 A JP2012210160 A JP 2012210160A
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Hideyuki Baba
英幸 馬場
Takafumi Kubo
貴文 久保
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】効率的に多糖類を加水分解し、単糖類をより高い収率、選択率で製造することができる単糖類の製造方法を提供する。
【解決手段】均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法であって、該製造方法は、多糖類と水とを含む混合物を昇温する加熱工程と、該混合物が200℃以上に加熱された後に均一系酸触媒を添加して多糖類の加水分解を行う加水分解工程とを含むことを特徴とする単糖類の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、単糖類の製造方法に関する。より詳しくは、均一系酸触媒を用いた多糖類の加水分解による単糖類の製造方法に関する。
原油価格が高騰している近年、再生資源であるバイオマスからエタノールや乳酸等の化学品を製造する技術が注目を浴びている。中でも、セルロースやヘミセルロース等の多糖類を含むリグノセルロース系のバイオマスは、賦存量が莫大でありその利用が期待されているが、化学変換が困難であることから利用は一部に限られている。特にリグノセルロース系のバイオマスを化学変換する上でキーとなるのが、セルロースのグルコースへの糖化反応である。セルロースは結晶性が高いため加水分解を受けにくく、効率的にセルロースを糖化することは難易度が高い。糖化により生成した単糖類は微生物発酵のための原料として主に利用され、最終的にはエタノール等の化学品へ変換される。
実用化段階で検討されているセルロースの糖化方法としては、80%程度の高濃度硫酸中、低温条件でセルロースを処理する「濃硫酸法」、低濃度の硫酸水溶液中にて高温高圧でセルロースを処理する「希硫酸法」、セルラーゼ等の酵素を触媒としてセルロースを処理する「酵素法」が挙げられる(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。特に、希硫酸法においては、セルロース等の反応原料を反応器に充填し、そこに触媒である希硫酸溶液を流通させる方法や、セルロース等の反応原料と水、触媒である希硫酸溶液、及び、熱源としての水蒸気をそれぞれ別々に反応器に供給し、それらを反応器入口で混合して反応を実施するという方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、ヘテロポリ酸等の均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解する方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第4603627号公報(第1−2頁)
バイオマスエネルギー利用の最新技術(2001年、シーエムシー出版) NEDO平成17年度成果報告書「セルロース系バイオマスを原料とする規エタノール発酵技術の開発/前処理・糖化・エタノール醗酵技術の開発」
上述のように、セルロースの糖化方法として種々の方法が実用化段階で検討されている。しかしながら、濃硫酸法においては、大量の硫酸を用いるためリサイクルする必要があり、硫酸の回収にかかるエネルギー、設備コストに課題があった。希硫酸法においては、反応副生成物が多く、単糖類の収率が低い等の課題があった。また、酵素法は、反応速度が遅い、酵素のコストが高いといった課題を有していた。このようにいずれの方法も実用化する上で大きな障害となる課題を有しており、更なる効果的な手法の開発が求められるところであった。
そのようなニーズから検討が行われている方法の一つとして、上述した特許文献1のヘテロポリ酸等の均一系酸触媒を用いた加水分解法が挙げられる。このバイオマス糖化方法は、効率的かつ経済的に多糖類から単糖類を製造することができる方法であり、また、低エネルギーコストで、均一系酸触媒含有溶液から均一系酸触媒を高効率に分離して、均一系酸触媒を高い回収率で回収することができる方法である。その中で行われる加水分解反応は、セルロースを含む原料、触媒及び水を混合して加熱することで行われるが、そのようなセルロースの加水分解反応では、目的とするセルロースの加水分解反応のみならず、目的生成物であるグルコースが更に分子内脱水することによりフルフラール類が生成するような副反応が逐次的に進行することが知られている。そして、セルロースの加水分解反応に比べて、当該副反応はより低温で進行し易い反応であるため、セルロースを含む原料、触媒及び水からなる反応混合物の昇温を始めてから加水分解反応が活発に進行する温度に到達するまでの時間が長くなるほど、それだけ副反応が進行してしまい、良好な反応選択率を得ることが難しくなる。したがって、上記セルロースの加水分解反応は、セルロースを含む原料、触媒及び水からなる反応混合物をできるだけ迅速に高温まで昇温して短時間のうちに反応を完了させることが良好な反応選択率を得る上で理想的と言える。しかしながら、経済性、装置の設計上の制約の点から、工業生産に適した装置で当該反応を理想に近い条件で実施することは容易なことではなく、加水分解反応時の副生成物の生成をより抑制して、多糖類からより高い収率、選択率で単糖類を製造することができる製造方法の開発が課題となっていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、効率的に多糖類を加水分解し、単糖類をより高い収率、選択率で製造することができる単糖類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法について種々検討を行い、多糖類の加水分解反応が、触媒存在下に比べて無触媒条件下では非常に反応速度が遅いという点に着目した。そして、まず多糖類と水とを含む混合物を加熱して昇温し、加水分解反応の至適温度に達した時点で触媒を添加して多糖類の加水分解反応を行うこととすると、多糖類、水及び触媒をあらかじめ一括混合した後に加熱して昇温する場合に比べて、昇温途中での副反応の進行を抑えることができるために、工業生産において現実的なレベルの緩やかな昇温条件であっても、目的とする単糖類をより高い収率、選択率で製造することが可能であることを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到して、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法であって、上記製造方法は、多糖類と水とを含む混合物を昇温する加熱工程と、上記混合物が200℃以上に加熱された後に均一系酸触媒を添加して多糖類の加水分解を行う加水分解工程とを含む単糖類の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の単糖類の製造方法は、多糖類と水とを含む混合物を昇温する加熱工程と、多糖類と水とを含む混合物が200℃以上に加熱された後に均一系酸触媒を添加して多糖類の加水分解を行う加水分解工程とを含むものである。これらの工程はいずれも、1度行ってもよく、2度以上行ってもよい。また、これらの工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明における加熱工程は、多糖類と水とを含む混合物を昇温する工程であるが、上記混合物は、多糖類と水とを含むものであればその他の成分を含んでいてもよい。ただし、本発明は、多糖類と水とを含むが均一系酸触媒を含まない混合物をまず加熱、昇温し、加水分解反応の至適温度に達した時点で均一系酸触媒を添加して多糖類の加水分解反応を行うことにより、昇温途中での副反応の進行を抑えることができるところに技術的特徴を有するものであるから、上記混合物は、200℃に達する前には均一系酸触媒を実質的に含んでいないことが好ましい。ここで、混合物が実質的に均一系酸触媒を含んでいない形態には、混合物が200℃に達する前には均一系酸触媒が混合物中に全く含まれていない形態に加えて、200℃に達する前の時点で均一系酸触媒が混合物中に少量含まれているが、混合物中に少量均一系酸触媒が含まれていることに起因する副反応の進行が目的生成物である単糖類の収率、選択率に大きな影響を与えず、均一系酸触媒が混合物中に全く含まれていない形態と同程度の効果を有する形態も含まれる。
上記混合物としては、200℃に達する前には均一系酸触媒を全く含まない形態、すなわち、均一系酸触媒を除く多糖類と水とを含む形態であることがより好ましい。
本発明においては混合物が200℃に達し、加水分解工程を開始する前まで反応系に均一系酸触媒を実質的に加えない無触媒状態とするため、副反応の進行は非常に遅いものである。したがって、上記加熱工程における昇温条件は、無触媒状態における多糖類の分解による副生成物の生成が問題になる程緩やかに昇温しない限り、特に制限されず、その下限としては、例えば、0.3℃/秒が好ましい。下限としてより好ましくは、0.5℃/秒であり、更に好ましくは、0.7℃/秒である。また、上記昇温条件の上限としては、50℃/秒が好ましい。
本発明における加水分解工程は、上記加熱工程により多糖類と水とを含む混合物が200℃以上に加熱された後に、均一系酸触媒を混合物中に添加して多糖類の加水分解反応を行う工程である。
上記均一系酸触媒の添加形式としては、添加して均一系酸触媒と多糖類とが水の存在下に接触することとなれば特に制限されないが、均一系酸触媒を含有する水溶液を多糖類と水とを含む混合物に添加する形態が好ましい。添加は一括で行ってもよく、複数回に分けてもよいが、単糖類の収率、選択率を高める点から一括で行うことが好ましい。
上記加水分解工程における反応器形式は、バッチ反応器、連続反応器、半連続反応器などが挙げられ、これらの中でも、好ましくは、連続反応器である。
また、反応の際に有機溶媒を混合しても良く、そのような有機溶媒としては、エタノール、ブタノール、アセトンなどが挙げられる。
上記加水分解工程は、上記加熱工程により多糖類と水とを含む混合物が200℃以上に加熱された後に、均一系酸触媒を混合物中に添加するものであるが、均一系酸触媒添加時の混合物の温度は、高すぎてもその後の加水分解反応の制御が難しくなり経済的にも不利となるおそれがあることから、300℃以下であることが好ましい。より好ましくは、210〜270℃であり、更に好ましくは、220〜260℃であり、特に好ましくは、230〜250℃である。
また、混合物の温度が200℃以上になってから、均一系酸触媒を添加するまでの時間は、長ければ長いほどそれだけ反応選択率の低い無触媒反応が進行することとなるので、混合物の温度が加水分解工程を行う温度に達すると同時に均一系酸触媒を添加することが好ましい。
上記加水分解工程における均一系酸触媒の濃度としては、均一系酸触媒と反応系中に存在する水との質量割合(均一系酸触媒:水)が、0.1:99.9〜50:50であることが好ましい。このような触媒濃度とすることにより、反応、及び、触媒のリサイクルをより効率的で経済的なものとすることができる。均一系酸触媒の濃度としてより好ましくは、0.5:99.5〜30:70であり、更に好ましくは、1:99〜20:80である。
なお、ここで言う水とは、反応系中に存在する水の総量のことを意味しており、原料が含む水分、及び、混合物に加えられる水等全てを含む。水を添加したり、除去したりすることで水分量を変化させることが可能であるが、ここでは加水分解反応開始時の水分量と定義する。
また、均一系酸触媒の濃度が質量割合で50:50とは、質量%で表すと50%となる。本発明では、特に断りの無い限り、%は質量%を表すこととする。
本発明の製造方法に供される混合物は、多糖類、水、均一系酸触媒の他、後述する有機溶媒等を含んでいてもよいが、混合物全体100質量%に対する多糖類と水との合計質量は、80質量%以上であることが好ましい。このような混合物を用いることで、単糖類をより高い収率、選択率で得ることができる。より好ましくは、90質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
そして更に、上記加水分解工程における多糖類の濃度としては、多糖類と水とを含む混合物総量に対する多糖類の質量%として、1〜70%が好ましく、5〜60%がより好ましく、10〜50%が更に好ましい。
ここで多糖類と水とを含む混合物総量は、多糖類、水の他、均一系触媒、上記有機溶媒等のその他の溶媒等、加水分解工程に供される全てを含む質量を意味する。また、多糖類の質量は乾燥体質量を意味する。
上記加水分解工程における加水分解反応は、200〜300℃で行うことが好ましい。
加水分解反応は、温度が高いほうが、加水分解の反応速度が上がり、単糖類の最大収率が上がることになるが、製造コスト等も考慮すると、200〜300℃で行うことが好ましい。より好ましくは、210〜270℃であり、更に好ましくは、220〜260℃であり、特に好ましくは、230〜250℃である。
また、上記加水分解工程における反応圧力は、0.01〜100MPaであることが好ましく、0.03〜70MPaがより好ましく、0.05〜50MPaが更に好ましい。反応圧力をこのような圧力とする方法は特に制限されないが、加圧状態とする場合には、窒素、アルゴン等の不活性ガスを反応容器内に導入することが好ましい。
反応液pHとしては、pH4以下であることが好ましく、pH3以下であることがより好ましく、pH2以下であることが更に好ましい。
上記加水分解工程における反応時間としては、0.1〜1000分が好ましい。反応時間が0.1分より短いと、単糖類の加水分解を充分に進めることができず、単糖類の収率が充分なものとならないおそれがある。また、反応時間が1000分より長いと、単糖類の過分解が起こり、単糖類の選択率が低下するおそれがある。特に加水分解反応の反応温度が高いと、単糖類の最大収率は高くなるが、単糖類の過分解の反応速度も上がるため、より短時間で単糖類の過分解が進行し、収率、選択率が低下することになる。より好ましくは、0.2〜200分であり、更に好ましくは、0.3〜60分である。
上記加水分解工程においては、加水分解反応を多段階で行っても良い。特に多糖類としてリグノセルロースを用いる場合には、多段で行うことが好ましい。これはリグノセルロースに含まれるヘミセルロースとセルロースの分解温度範囲が異なるためである。すなわち、一段目では比較的弱い条件で分解可能なヘミセルロースを分解し、二段目でより厳しい条件にしてセルロースの分解を行うことが好ましい。一段目と二段目に用いる均一系酸触媒は同一のものを用いても良く、異なるものを用いても良い。
本発明において用いられる多糖類としては、リグノセルロース、セルロース、及び、キシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン等のヘミセルロース類、キチン、キトサン、アガロース、アルギン酸、カラギーナン、β−グルカン、及び、デンプン等が挙げられる。好ましくは、リグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース類であり、より好ましくは、リグノセルロース、セルロースである。
リグノセルロースとは、リグニンを含んだセルロース質、及び、ヘミセルロース質のことであり、植物に多量に存在するバイオマスである。
上記多糖類の由来としては、針葉樹、広葉樹、草本類、ヤシ類、藻類、海藻類等の植物、微生物由来のバイオマスが好ましい。具体的には、針葉樹、広葉樹由来の廃木材又は古紙、サトウキビ(バガス、葉)、トウモロコシ(芯、葉)、稲藁、麦藁、スウィッチグラス、アブラヤシ(幹、葉、空果房、実の絞りかす)、藻類(細胞壁、細胞内固形分)、海藻類(細胞壁、細胞内固形分)等のバイオマスが好ましく、より好ましくは、アブラヤシ等のヤシ類の幹、葉、空果房、実の絞りかす、及び、藻類の細胞壁、細胞内固形分であり、さらに好ましくは、ヤシ類の空果房、及び、藻類の細胞壁、細胞内固形分である。ヤシ類の空果房は多量に廃棄されているため入手しやすく、藻類はリグニンを含まないため分解しやすいというメリットがある。多糖類は粉砕、乾燥などの前処理を行い、反応に使用してもよい。
上記原料多糖類中に存在する塩類、リグニン、又は、ヘミセルロースは、前処理工程で取り除いてから用いることが好ましい。このような塩類、リグニン、又は、ヘミセルロースを取り除く工程をそれぞれ脱塩工程、脱リグニン工程、脱ヘミセルロース工程と定義する。リグノセルロース等の天然のバイオマスは一般に多様な塩類を含んでおり、これらの塩類が均一系酸触媒と混合されると塩交換を起こす。塩交換は、触媒種の変化、酸強度の低下等をもたらすため、塩類は可能な限り取り除くことが好ましい。
特に、均一系酸触媒として後述するヘテロポリ酸を用いる場合には、塩交換により均一系酸触媒が不溶化し、極端に活性が低下する等、触媒損失の原因となることから、このような析出を回避するためにも脱塩工程を経た多糖類を使用することが好ましい。
また、リグニンは、均一系酸触媒を吸着する場合があるため、反応原料中にリグニンが存在すると、単糖類の収率が低下したり、触媒の回収率が低下したりする原因となる。加水分解反応前の脱リグニン工程でリグニンを除去することで、加水分解反応による単糖類の収率を向上させ、加水分解反応後の触媒の回収率を高めることができる。
更に、リグニンは低分子化して発酵阻害の原因となることがあるため、リグニンを除去することで発酵阻害も回避することができる。
また、リグノセルロース等のバイオマスが含有するヘミセルロースは、結晶性セルロースよりも低い温度で分解する。したがって、セルロースの分解を目的として本発明を実施する場合においては、原料多糖類中にヘミセルロースが存在すると、過分解によりフルフラール等の副生成物が生成する。これは、ヘミセルロース由来の単糖類の収率低下、及び、フルフラール等による発酵阻害の原因となるため、ヘミセルロースは予め取り除くことが好ましい。
上記脱塩工程としては、水等の溶媒で溶出させ除去する方法、溶媒に更に酸又はアルカリを添加して、酸分解又はアルカリ分解を伴いながら溶出させ除去する方法等が挙げられる。加熱によって溶出を促進させてもよい。好ましくは、熱水中で溶出させ除去する方法、酸又はアルカリを添加した熱水中で溶出させ除去する方法である。これらの方法は、1つを行ってもよく、2つ以上を組み合わせて行ってもよい。
上記脱塩工程で用いる酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリ酸、炭酸等の鉱酸類、酢酸、スルホン酸等の有機酸等が好ましく、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア等が好ましい。これらの中でも、硫酸、炭酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アンモニアがより好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが更に好ましい。
上記脱塩工程においては、原料多糖類に溶媒を添加した後、10〜200℃の温度で塩を溶出させることが好ましい。このような温度で処理することで、塩を充分に溶出させることができる。より好ましくは、20〜150℃であり、更に好ましくは、50〜120℃である。
また、塩を溶出させる処理の時間は、0.01〜10時間であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜3時間であり、更に好ましくは、0.1〜1時間である。
上記脱塩工程では、脱塩工程前に原料中に存在する塩類のうち、50%以上を取り除くことが好ましく、80%以上を取り除くことがより好ましく、90%以上を取り除くことが更に好ましい。
塩類の含有量は、灰分量測定、蛍光X線測定、イオンクロマト法、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法等により求めることができる。
上記脱リグニン工程としては、アルカリ性水溶液で溶出させ除去する方法、有機溶媒を含有する溶液で溶出させ除去する方法が好ましい。有機溶媒には、酸又はアルカリを添加して用いてもよい。酸又はアルカリを添加することで、リグニンの分解を促進することができる。また加熱によって溶出、分解を促進させてもよい。
上記脱リグニン工程で用いる酸又はアルカリとしては、上記脱塩工程で用いるものと同様のものを用いることができる。上記脱リグニン工程で用いる有機溶媒としては、アセトン、エタノール、ブタノール、メタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、トルエン等を用いることができ、これらの中でも、アセトン、エタノール、ブタノールが好ましく、アセトンがより好ましい。
上記脱リグニン工程においては、原料多糖類中に溶液を添加した後、10〜200℃の温度で処理することが好ましい。このような温度で処理することで、リグニンを充分に溶出させることができる。より好ましくは、50〜180℃であり、更に好ましくは、80〜150℃である。また処理時間としては、0.01〜10時間であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5時間であり、更に好ましくは、0.1〜2時間である。
上記脱リグニン工程では、脱リグニン工程前に原料中に存在するリグニンのうち、50%以上を取り除くことが好ましく、80%以上を取り除くことがより好ましく、90%以上を取り除くことが更に好ましい。
リグニンの含有量は、例えば、分析化学便覧第4版(1991年、丸善)に記載の方法によって求めることができる。
上記脱ヘミセルロース工程としては、上記脱塩工程と同様の方法で行うことができるが、脱塩工程よりも厳しい条件が必要である。すなわち、処理温度は、50〜250℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、120〜180℃が更に好ましい。また、処理時間としては、0.01〜10時間であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5時間であり、更に好ましくは、0.1〜2時間である。
上記脱ヘミセルロース工程では、脱ヘミセルロース工程前に原料中に存在するヘミセルロースのうち、50%以上を取り除くことが好ましく、80%以上を取り除くことがより好ましく、90%以上を取り除くことが更に好ましい。ヘミセルロースの含有量は、例えば、分析化学便覧第4版(1991年、丸善)に記載の方法によって求めることができる。
上記脱塩工程、脱リグニン工程、脱ヘミセルロース工程は、別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。
上記前処理工程として好ましくは、脱塩工程を含むもの、又は、脱へミセルロース工程を含むものであり、より好ましくは、脱塩工程及び脱へミセルロース工程を含むもの、脱へミセルロース工程及び脱リグニン工程を含むものであり、更に好ましくは、脱塩工程及び脱へミセルロース工程を含むものである。
本発明において用いられる均一系酸触媒とは、均一系の酸触媒であり、反応液に均一に溶解する酸触媒を言う。均一系酸触媒としては、加水分解活性の観点から酸性度の高い方が好ましい。具体的な指標としては、酸触媒を5質量%濃度で水中に溶解させた場合の水溶液pHが、pH4以下を示すものであることが好ましく、pH3以下を示すものであることがより好ましく、pH2以下を示すものであることが更に好ましい。
上記均一系酸触媒の分子量は、200〜500000が好ましい。均一系酸触媒の分子量が200未満である場合には、本発明における加水分解工程後に、後述するような均一系酸触媒と生成する単糖類とを分子ふるい膜(分離膜)により分離する操作を行う際、生成する単糖類の分子量が150〜200程度であるため、充分に分離することができないおそれがあるが、200以上とすることによって、触媒分離をより効率的で経済的に行うことが可能となる。均一系酸触媒の分子量としてより好ましくは、300〜300000であり、更に好ましくは、300〜100000である。
また、上記均一系酸触媒と生成する単糖類とを分子ふるい膜(分離膜)により分離する操作を行う際には、均一系酸触媒の分子量と分子ふるい膜の分画分子量との差が100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、3000以上であることが更に好ましい。
上記均一系酸触媒の具体的な化合物としては、スルホン酸基を有する有機化合物類、カルボン酸基を有する有機化合物類、ホモポリ酸、ヘテロポリ酸等のポリ酸類などが挙げられる。それらの中でも好ましくは、高い酸強度を有するスルホン酸基を有する有機化合物類(スルホン酸基含有化合物)、及び、ヘテロポリ酸であり、より好ましくは、ヘテロポリ酸である。すなわち、均一系酸触媒がヘテロポリ酸を含むこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記スルホン酸含有化合物は種々の分子量のものが入手可能であり、また、上記ヘテロポリ酸は分子量が均一であるという利点がある。また、ヘテロポリ酸は、50%以下の低触媒濃度における多糖類の加水分解反応において、硫酸等の他の触媒に比べて高い選択率を示し、とりわけ、後述するリンタングステン酸がより高い選択率を示すという利点がある。またヘテロポリ酸のもう一つの利点は、酸でありながら、金属の腐食性が極めて低いという点である。これはヘテロポリ酸が有する酸化力により、金属表面に酸化皮膜を形成するためである。腐食性が低いため、装置コストを低減できるというメリットが得られる。
上記スルホン酸基を有する有機化合物とは、分子中に少なくとも一つのスルホン酸基を有する有機化合物のことである。具体的には、ナフタレンスルホン酸、ピレンスルホン酸、リグニンスルホン酸等が挙げられ、スルホン酸基は1個又は複数個有していてもよく、また、スルホン酸基以外の置換基を有していてもよい。また、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホマレイン酸、アリロキシ−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー類を重合、あるいはアクリル酸、マレイン酸等のモノマー類と共重合させて得られるポリマー類も挙げられる。または、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリマーをスルホン化して得られるポリマー類も挙げられる。これらの中でも好ましくは、リグニンスルホン酸、及び、各種スルホン酸基含有ポリマーであり、より好ましくは各種スルホン酸基含有ポリマーである。スルホン酸基含有ポリマーとして好ましくは、ビニルスルホン酸、及びスチレンスルホン酸を重合させて得られるポリマー、ビニルスルホン酸、及び、スチレンスルホン酸をアクリル酸、マレイン酸と共重合させて得られるポリマーである。
また、プロトンの一部がカチオン種で置換された塩構造になっていてもよい。その場合、カチオン種は特に制限されず、例えば、ナトリウム、マグネシウム、アンモニウム等が挙げられる。
上記スルホン酸基を有する有機化合物は、1種類で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ヘテロポリ酸としては、ケギン型リンタングステン酸(HPW1240)、ドーソン型リンタングステン酸(H1862)等のリンタングステン酸、ケギン型ケイタングステン酸(HSiW1240)等のケイタングステン酸、ケギン型ホウタングステン酸(HBW1240)等のホウタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンバナドタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、金属置換型ヘテロポリ酸等が挙げられる。各種反応における触媒活性の観点から、これらの中でも、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、ホウタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸、ケイタングステン酸がより好ましく、リンタングステン酸が更に好ましい。
また、プロトンの一部がカチオン種で置換された塩構造になっていてもよい。その場合、カチオン種は特に制限されず、例えば、ナトリウム、マグネシウム、アンモニウム等が挙げられる。
上記ヘテロポリ酸及びそれらの塩は1種類で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このように、均一系酸触媒がリンタングステン酸であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の単糖類の製造方法により製造される単糖類は、上述した本発明において用いられる多糖類を加水分解して得られるものであり、具体的には、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、ウロン酸、グルコサミン、及び、レボグルコサン等のそれらの無水糖等が挙げられる。好ましくはグルコース、マンノース、キシロース、レボグルコサンである。
上記単糖類の用途としては、発酵原料、化学反応原料、肥料、飼料としての利用が挙げられ、好ましくは発酵原料である。発酵原料用途としては、単糖類はエタノール、ブタノール、1,3−プロパンジオール等のアルコール類、酢酸、乳酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、アクリル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸等の有機酸類、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン等の各種アミノ酸等への変換に利用することが出来る。これらの中でも好ましくは、エタノール、ブタノール、及び、アクリル酸、3−ヒドロキシプロピオン酸製造への利用である。
本発明の単糖類の製造方法としては、更に、上記加水分解工程後に、均一系酸触媒含有溶液と加水分解反応残渣とを固液分離する固液分離工程を行い、更に、該固液分離によって分離された均一系酸触媒含有溶液及び/又は加水分解反応残渣から均一系酸触媒を分離する触媒分離工程を行うことが好ましい。このように触媒を分離、回収することで、単糖類の製造コストを下げることができる。特にヘテロポリ酸は、硫酸に比べて遥かに高価であるため、このような触媒分離工程を行って触媒を回収し、再利用することが重要である。
上記触媒分離工程は、(A)固液分離工程後の均一系酸触媒含有溶液に対して、有機高分子膜の分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、(B)固液分離工程後の加水分解反応残渣に対して、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、及び、(C)固液分離工程後の加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程、からなる群より選択される少なくとも1つの工程を含むことが好ましく、これらの2つ以上の工程を含むものであってもよい。均一系酸触媒の分離効率をより高めるためには、(A)〜(C)のうち2つ以上を含むことがより好ましい。更に好ましくは、(A)と(B)とを含むことである。
このように、更に、上記加水分解工程後、均一系酸触媒含有溶液と加水分解反応残渣とに分離する固液分離工程、並びに、上記固液分離工程によって分離された均一系酸触媒含有溶液及び/又は加水分解反応残渣から均一系酸触媒を分離する触媒分離工程を含み、上記触媒分離工程が、下記(A)〜(C)からなる群より選択される少なくとも1つの工程を含む単糖類の製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
(A)均一系酸触媒含有溶液に対して、有機高分子膜の分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(B)均一系酸触媒の一部が吸着した加水分解反応残渣に対して、残渣内の有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
(C)均一系酸触媒の一部が吸着した加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
上記固液分離工程は、上記加水分解工程後の反応溶液を均一系酸触媒含有溶液と加水分解反応残渣とに分離する工程であるが、そのような固液分離工程を行う方法としては、特に制限されず、加圧ろ過(フィルタープレス等)、吸引ろ過、圧搾分離(スクリュープレス等)、遠心分離、沈降分離(デカンテーション等)等を用いることができる。これらの中でも、処理速度の点から、加圧ろ過、及び、圧搾分離が好ましい。
上記固液分離工程においては、ろ過等により、固液分離を行って得られた反応残渣を更に水で洗浄することが好ましい。これにより、反応残渣中に残留する単糖類を洗浄に用いた水中に回収することができ、単糖類の収率を高めることができる。
上記反応残渣には、未分解の多糖類等の有機物と触媒等が含まれている。上記(B)の工程では、有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離することになる。
熱分解処理の温度は、300〜2000℃であることが好ましい。300℃より低いと、有機物を充分に分解して除去できないおそれがある。2000℃より高いと、触媒が分解するおそれがある。より好ましくは、350〜1000℃であり、更に好ましくは、400〜800℃である。
また、熱分解処理の時間は、反応残渣の量に応じて適宜設定すればよいが、1〜1000分であることが好ましい。1分より短いと、有機物を充分に除去できないおそれがある。1000分より長いと、分離工程の効率が低下する。より好ましくは、5〜500分であり、更に好ましくは、10〜200分である。
なお、ヘテロポリ酸を均一系酸触媒として加水分解工程を行い、上記(B)の熱分解処理により触媒分離工程を行った場合、分離されたヘテロポリ酸の触媒活性の低下が観察されることがある。その場合、水熱処理、又は、触媒の再構築処理によって触媒活性を回復することが好ましい。
上記水熱処理とは、上記(B)の熱分解処理による触媒分離工程によって分離された均一系酸触媒に水を添加して調製される触媒水溶液を高温で処理するものである。処理温度としては150〜350℃であることが好ましく、200〜300℃であることがより好ましい。水熱処理の時間は、触媒活性の回復度合いを見ながら適宜設定すればよいが、1〜1000分であることが好ましく、より好ましくは5〜100分である。
また、上記触媒の再構築処理とは、上記(B)の熱分解処理による触媒分離工程によって分離された均一系酸触媒をアルカリ性水溶液に可溶化させ、均一系酸触媒の構成成分を追加し、酸型に変換するものである。一例として均一系酸触媒にリンタングステン酸を用いた場合には、熱分解処理後の残渣にアルカリ性水溶液を添加してリンタングステン酸の構成成分(主に酸化タングステン)を可溶化させ、リン酸を添加して、更にイオン交換樹脂等の処理を施すことでリンタングステン酸を酸型に変換する。このような処理によって、触媒活性の低下したヘテロポリ酸触媒は再構築され、初期(加水分解工程に供する前)と同等の活性を示す。このようにヘテロポリ酸を均一系酸触媒として用い、上記固液分離工程後の触媒分離工程を上記(B)の熱分解処理によって行い、分離された均一系酸触媒に上記触媒の再構築処理を施すこともまた本発明の好適な実施形態の一つである。
なお、上記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等の水溶液を用いることができる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの水溶液を用いることが好ましい。より好ましくは、水酸化ナトリウムの水溶液である。
上記(C)の工程は、固液分離によって分離された反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を加え、均一系酸触媒を溶出させる工程である。アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液は、いずれか1種を用いてもよく、アルカリ性溶液と有機溶媒含有溶液とを混合して用いてもよい。
上記均一系酸触媒を溶出させる工程に用いる溶液としては、アルカリ性溶液、有機溶媒含有溶液のいずれを用いてもよいが、有機溶媒含有溶液を用いることが好ましい。有機溶媒含有溶液を用いると、酸触媒を中和せずにそのままの形で分離することができる。アルカリ性溶液を用いる場合には、酸触媒は中和されるが、高い回収率で触媒を分離することができる。
上記均一系酸触媒を溶出させる場合、用いる溶液の量としては、反応残渣100質量%(固形分)に対して10〜10000質量%であることが好ましい。溶液が10質量%より少ないと、触媒を充分に溶出させることができないおそれがある。溶液が10000質量%より多いと、触媒濃度が極端に低下する。より好ましくは、50〜1000質量%であり、更に好ましくは、100〜500質量%である。
上記アルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ性化合物の1種又は2種以上の溶液を用いることができる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが好ましい。より好ましくは、水酸化ナトリウムである。
上記有機溶媒含有溶液に用いる有機溶媒としては、アセトン、エタノール、ブタノール、プロパノール、メタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ヘキサン等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アセトン、エタノール、ブタノール、ジエチルエーテルが好ましい。より好ましくは、アセトンである。
上記アルカリ性溶液は、アルカリ性の溶液であれば、上記アルカリ性化合物以外のその他の成分を含んでいてもよく、その他の成分としては、例えば、水や、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、上述したもの等が挙げられる。有機溶媒含有溶液もまた、有機溶媒を含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、水が挙げられる。
アルカリ性溶液において、アルカリ性化合物の含有量は、アルカリ性溶液全体を100質量%とすると、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
有機溶媒含有溶液において、有機溶媒の含有量は、有機溶媒含有溶液全体を100質量%とすると、10〜100質量%であることが好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
上記固液分離工程によって得られる均一系酸触媒含有溶液には、目的生成物である単糖類や触媒等が含まれている。上記(A)の工程では、有機高分子膜の分子ふるい膜を用いた膜分離処理により単糖類と均一系酸触媒とを分離することになる。
本発明における膜分離とは、膜形状を有する分離材(分離膜)を利用して触媒と生成物の単糖類とを分離するものである。分離膜はその分離原理に従って分類でき、例えば、分子量差に基づくもの、イオン性の差に基づくもの、親疎水性差に基づくもの等に分類できるが、本発明で使用する分離膜は分子量差に基づくものである。分子量差に基づく分離膜とは言い換えれば、分子ふるい膜であり、本発明で使用する分離膜はすなわち、分子ふるい膜である。分子ふるい膜は多孔性の膜であり、その細孔の大きさに従って化合物を分離する。
上記分子ふるい膜の性質を表すパラメーターとしては、分画分子量と細孔径が挙げられる。分画分子量は、分離膜が阻止できる最低の分子量を表している。本発明では、分離膜により90%が阻止される分子の分子量を分画分子量とする。また本発明においては、分離膜の分画分子量は分離効率の面で500000以下であることが好ましい。より好ましくは300000以下であり、更に好ましくは、100000以下であり、200〜100000の範囲が最も好ましい。分離膜の細孔径としては、平均で0.01〜1000nmであることが好ましく、0.05〜500nmであることがより好ましく、0.1〜100nmであることが更に好ましい。
上記分子ふるい膜の種類としては、限外ろ過膜、透析膜、ナノフィルトレーション膜(ナノろ過膜)、逆浸透膜が挙げられ、好ましくは限外ろ過膜、ナノフィルトレーション膜(ナノろ過膜)であり、最も好ましくはナノフィルトレーション膜(ナノろ過膜)である。
上記分子ふるい膜は、有機高分子膜であるが、その材質としては、炭素膜、再生セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、アラミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、親水化ポリアミド、ポリエステル、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、及び、それらにカチオン交換基を導入したもの等が挙げられる。それらの中でも、酸、熱、圧力に対する安定性が高いものが好ましく、好ましくは、炭素膜、再生セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、芳香族ポリアミド膜、親水化ポリアミド膜、及び、それらにカチオン交換基を導入したものである。更に、特に安定性の高い、再生セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、芳香族ポリアミド膜、親水化ポリアミド膜、及び、それらにカチオン交換基を導入したものがより好ましい。これら分子ふるい膜としては、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記分子ふるい膜の形状としては、管状、袋状、中空糸状、平膜状、スパイラル状等が挙げられ、好ましくは管状、平膜状、中空糸状、スパイラル状である。より好ましくは、スパイラル状である。膜の厚みとしては、10mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.1mm以下が更に好ましい。
上記分子ふるい膜として具体的には、以下のものが挙げられる。ポール社製限外ろ過膜:オメガシリーズ、アルファシリーズ、旭化成ケミカルズ社製限外ろ過膜:マイクローザAPシリーズ、マイクローザSPシリーズ、マイクローザAVシリーズ、マイクローザSWシリーズ、マイクローザKCVシリーズ、日東電工社製限外ろ過膜:NTU−2120、RS50、日東電工社製ナノフィルトレーション膜:NTR−7250、NTR−7259、NTR−7410、NTR−7450、日東電工社製逆浸透膜:NTR−70、NTR−759、ES−40、ES−20、ES−15、ES−10、LES90、LF−10、ミリポア社製限外ろ過膜:バイオマックス膜、ウルトラセル膜、ダイセンメンブレン・システムズ社製限外ろ過膜:NADIR UHシリーズ、NADIR UPシリーズ、NADIR USシリーズ、NADIR UCシリーズ、NADIR UVシリーズ、ダイセンメンブレン・システムズ社製ナノフィルトレーション膜:NADIR NP010、NADIR NP030、ダイセンメンブレン・システムズ社製逆浸透膜:NADIR SW、東レ社製ナノフィルトレーション膜:SUシリーズ、東レ社製逆浸透膜:SUシリーズ、SULシリーズ、SCシリーズ、GEウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製限外ろ過膜:Gシリーズ膜、Pシリーズ膜、MWシリーズ膜、GEウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製ナノフィルトレーション膜:DESALシリーズ、コーク・メンブレン社製ナノろ過膜:MPTシリーズ、MPSシリーズ。
上記分子ふるい膜の中で好ましくはオメガシリーズ、マイクローザAVシリーズ、マイクローザSWシリーズ、RS50、NTR−7250、NTR−7259、NTR−7410、NTR−7450、バイオマックス膜、NADIR UHシリーズ、NADIR UPシリーズ、NADIR USシリーズ、NADIR UCシリーズ、NADIR UVシリーズ、NADIR NP010、NADIR NP030、SUシリーズ、Gシリーズ膜、Pシリーズ膜、MWシリーズ膜、DESALシリーズ、MPSシリーズであり、より好ましくはNTR−7410、NTR−7450、NADIR NP010、NADIR NP030、Gシリーズ膜、DESALシリーズ、MPSシリーズであり、更に好ましくはNTR−7410、NTR−7450、Gシリーズ膜、DESALシリーズ、MPSシリーズである。
本発明においては、均一系酸触媒の分子量、分離膜の分画分子量、及び、単糖類の分子量の大小関係は、均一系酸触媒の分子量>分離膜の分画分子量>単糖類の分子量である。また、均一系酸触媒含有溶液に均一系酸触媒以外の溶質が含まれている場合には、均一系酸触媒の分子量>分離膜の分画分子量>均一系酸触媒以外の溶質の分子量という大小関係であることが好ましい。このような条件で膜分離を実施すると、触媒は膜を透過せずに原液側(濃縮液側)に留まり、均一系酸触媒以外の溶質及び溶媒は膜を透過し透過液側に移動する。濃縮側の触媒は水などの溶媒で希釈されにくいことから、高い濃度で触媒を回収することができ、かつ高回収率とすることが可能である。さらに触媒の濃縮が必要な場合は、そのまま膜分離によって低エネルギーで濃縮することができる。
上記膜分離処理を行う方法としては、原液側(濃縮液側)を加圧する方法、透過液側を減圧する方法、浸透圧で拡散させる方法、遠心分離による方法、電位差を利用する方法等が挙げられるが、好ましくは原液側を加圧する方法、浸透圧で拡散させる方法であり、より好ましくは原液側を加圧する方法である。原液側を加圧する方法の場合、膜分離実施時の圧力(ゲージ圧)は、0.01MPa〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.03MPa〜5MPaであり、最も好ましくは0.05MPa〜4MPaである。
上記膜分離処理における膜分離実施時のろ過形式としてはデットエンド形式、クロスフロー形式いずれも適用できるが、本発明における均一系酸触媒を分離する工程においては、均一系酸触媒含有溶液が高濃度であっても、均一系酸触媒の分離を高効率に行うことが可能であることから、好ましくはクロスフロー形式である。
クロスフロー形式の膜分離は、例えば、スパイラル状の分離膜モジュールに送液ポンプにて分離対象液を送液しながら加圧することで透過液を取得する方法により行うことができる。
上記膜分離実施時における温度としては、0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは0℃〜80℃であり、最も好ましくは5℃〜50℃である。
上記膜分離はバッチ式、連続式、半連続式、いずれの方法も用いることが出来るが、好ましくはバッチ式、連続式である。単糖類の収率を向上させるために、濃縮液に水を加えながら膜分離をしても良い。
上記膜分離処理により分離された単糖類は、必要に応じて中和工程を経て発酵工程へ使用することが出来る。本発明では単糖類と酸触媒が膜分離によって分離されているため、糖液中和の必要性が低いことも利点である。すなわち、単糖類の製造方法が、触媒分離工程によって分離した均一系酸触媒を回収し、リサイクルするリサイクル工程を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。ここでリサイクルとは、膜分離によって回収した触媒を加水分解反応に繰り返し利用することを意味する。
上記膜分離処理によって回収される触媒液の酸触媒濃度は、好ましくは上記加水分解工程に使用される酸触媒濃度の0.8倍以上であり、より好ましくは1.0倍以上であり、更に好ましくは1.5倍以上である。回収される酸触媒濃度を、加水分解の際の酸触媒濃度より高める(すなわち1.0倍以上の濃度にして回収する)ことで、分離した触媒液を直ちにリサイクルすることも出来る。このように、触媒分離工程の後、直ちにリサイクル工程を行うことも本発明の好適な実施形態の1つである。直ちにリサイクル工程を行うとは、濃縮のための脱水工程を行わず、再度加水分解工程を行うことを意味する。加水分解の前に、水を加えて濃度調整を行っても良い。
また、回収される上記触媒液の酸触媒濃度としては、上限値は50%である。加水分解の際の酸触媒濃度との兼ね合いにもよるが、より好ましくは30%であり、更に好ましくは20%であり、最も好ましくは10%である。上記膜分離処理によって回収する触媒の回収率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、99%以上であることが最も好ましい。
上記回収された触媒はそのまま再使用することが望ましいが、カチオン交換を受けてプロトン濃度が低下している場合は、触媒の再生工程を設けることが好ましい。ここで再生工程とは、交換したカチオンを再度プロトン型に戻すことである。再生の方法としては、カチオン交換体を使用する方法が好ましい。具体的には、プロトン型のカチオン交換体と回収した酸触媒液とをカラムを用いて接触させる方法が好ましい。カチオン交換体としては、陽イオン交換樹脂等の有機物、ゼオライト等の無機物を用いることが出来る。好ましくは陽イオン交換樹脂を用いる方法である。カチオン交換によりプロトンの減少したカチオン交換体は、硫酸等の強酸類を通液することで再生、再利用することができる。
本発明の単糖類の製造方法は、上述の構成よりなり、効率的に多糖類を加水分解し、単糖類をより高い収率、選択率で製造することができるために、単糖類の製造方法として好適に用いることができるものである。
図1は、実施例及び比較例において用いられる反応装置の概略図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例及び比較例で用いた分析方法、計算方法を以下に示す。
<単糖類の定量>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で行った。カラムは東ソー社製、TSK−GEL Amide80を用い、屈折率計(RI)で検出した。単糖類の収率は以下の式に従って算出した。
単糖類の収率(質量%)=(生成した単糖類の総質量/原料多糖類の質量)×100
ここで原料多糖類の質量とは、セルロースの場合は原料セルロースの乾燥質量、パーム空果房(パームの実を取った後の果房、以後、パームEFBと称する)の場合は原料パームEFBの乾燥質量のこととする。
<副生成物の定量>
HPLCにて行った。カラムは東ソー社製、TSK−GEL ODS−100Vを用い、紫外分光光度計(UV)、及びRIを用いて検出した。糖化反応の単糖類の選択率(生成選択率)は以下の式に従って算出した。
選択率(質量%)=(生成した単糖類の総質量/生成物の総質量(単糖類及び副生成物))×100
副生成物とは、単糖類が過分解して生成するフルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、ギ酸、レブリン酸、及び酢酸のことである。
(実施例1)
図1に示すような、反応容器、反応容器に接続された触媒溶液を保持するタンク(触媒液タンク)及びその他付帯部品で構成される反応装置を用い、以下のように糖化反応を実施した。
反応容器(1)にセルロース粉末(商品名「アビセル」、Merck KGaA社製)1.5gおよび水12.0gを仕込み、バルブ(5)より窒素ガスを導入して3MPaに予備加圧した。また、タンク(2)にリンタングステン酸(日本無機化学社製)の10重量%水溶液1.5gを仕込み、バルブ(6)より窒素ガスを導入して7MPaに予備加圧した。反応容器を275℃に保った熱媒浴に浸して加熱し、反応を開始した。途中300秒経過して内温が240℃になった時点でバルブ(7)および(8)を開けて触媒溶液を反応容器内に圧送して添加して反応を継続した後、容器本体を熱媒浴から取り出して室温の水に浸して急冷して反応を終了した。未反応のセルロースをろ過により取り除いた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、グルコース、マンノースないしレボグルコサンからなる単糖類が生成していることがわかった。触媒を添加する時間を昇温開始から300秒で一定にし、昇温開始から急冷を開始するまでの反応時間を変化させた結果、反応時間370秒のときに単糖類の収率は64%の最高値を示し、そのときの選択率は88%であった。
(実施例2)
反応開始から180秒経過して内温が225℃になった時点で触媒を添加した以外は、実施例1と同様に反応及び分析を実施した結果、反応時間340秒のときに単糖類の収率は63%の最高値を示し、そのときの選択率は86%であった。なお、実施例2においては、触媒を添加する時間は昇温開始から180秒で一定にして行った。
(実施例3)
セルロース粉末に代えて、特許第4603627号公報に記載の方法であらかじめ脱塩及び脱ヘミセルロース処理を施したパームEFBの乾燥体を用いた以外は、実施例1と同様に反応及び分析を実施した結果、反応時間380秒のときに単糖類の収率は52%の最高値を示し、そのときの選択率は71%であった。
(比較例1)
反応開始から105秒経過して内温が190℃になった時点で触媒を添加した以外は、実施例1と同様に反応及び分析を実施した結果、反応時間310秒のときに単糖類の収率は58%の最高値を示し、そのときの選択率は83%であった。なお、比較例1においては、触媒を添加する時間は昇温開始から105秒で一定にして行った。
(比較例2)
昇温を開始する反応開始時に触媒を添加した以外は、実施例1と同様に反応及び分析を実施した結果、反応時間300秒のときに単糖類の収率は58%の最高値を示し、そのときの選択率は82%であった。なお、比較例2においては、触媒は反応開始時に添加することで一定して行った。
実施例及び比較例の結果から、以下のことがわかった。
均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解して単糖類を製造する際、多糖類と水とを含む混合物をまず昇温し、その混合物が200℃以上まで加熱された後に均一系酸触媒を添加して、多糖類の加水分解反応を行うことで、単糖類をより高い収率、選択率で得ることができることが実証された。一方で、多糖類と水とを含む混合物の温度が200℃未満のときに均一系酸触媒を添加したり、多糖類と水とを含む混合物の昇温開始時に均一系酸触媒を添加したりした場合には、単糖類の収率、選択率共に低下することが確認された。
なお、上記実施例においては、特定の均一系酸触媒、多糖類を用いて加水分解を行った例が示されているが、均一系触媒を用いて多糖類を加水分解する機構は、全て同様であることから、上記実施例、比較例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。
1:反応容器
2:触媒液タンク
3:圧力ゲージ
4:安全弁
5、6、7、8:締切バルブ
9:熱電対
10:攪拌子

Claims (5)

  1. 均一系酸触媒を用いて多糖類を加水分解し、単糖類を製造する方法であって、
    該製造方法は、多糖類と水とを含む混合物を昇温する加熱工程と、該混合物が200℃以上に加熱された後に均一系酸触媒を添加して多糖類の加水分解を行う加水分解工程とを含むことを特徴とする単糖類の製造方法。
  2. 前記製造方法は、加水分解工程における加水分解反応温度が200〜300℃であることを特徴とする請求項1に記載の単糖類の製造方法。
  3. 前記均一系酸触媒は、ヘテロポリ酸を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の単糖類の製造方法。
  4. 前記均一系酸触媒は、リンタングステン酸であることを特徴とする請求項3に記載の単糖類の製造方法。
  5. 前記製造方法は、更に、前記加水分解工程後、均一系酸触媒含有溶液と加水分解反応残渣とに分離する固液分離工程、並びに、該固液分離工程によって分離された均一系酸触媒含有溶液及び/又は加水分解反応残渣から均一系酸触媒を分離する触媒分離工程を含み、
    該触媒分離工程は、下記(A)〜(C)からなる群より選択される少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の単糖類の製造方法。
    (A)均一系酸触媒含有溶液に対して、有機高分子膜の分子ふるい膜を用いた均一系酸触媒の膜分離処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
    (B)均一系酸触媒の一部が吸着した加水分解反応残渣に対して、残渣内の有機物の熱分解処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
    (C)均一系酸触媒の一部が吸着した加水分解反応残渣に対して、アルカリ性溶液又は有機溶媒含有溶液を用いた均一系酸触媒の溶出処理を施して均一系酸触媒を分離する工程。
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