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JP2012204748A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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JP2012204748A JP2011069993A JP2011069993A JP2012204748A JP 2012204748 A JP2012204748 A JP 2012204748A JP 2011069993 A JP2011069993 A JP 2011069993A JP 2011069993 A JP2011069993 A JP 2011069993A JP 2012204748 A JP2012204748 A JP 2012204748A
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Abstract

【課題】内部抵抗が小さく、低温特性に優れ、しかも電解液と負極活物質との適合性が高くて予備充電時およびフロート試験時においてガスの発生がないリチウムイオンキャパシタを提供する。
【解決手段】リチウムイオンキャパシタは、正極と、黒鉛系複合粒子よりなる負極活物質により形成された負極と、非プロトン性有機溶媒によるリチウム塩の溶液よりなる電解液とを備え、電解液の非プロトン性有機溶媒は、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含有してなり、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートの合計との体積比が1:3〜1:1である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオンキャパシタに関し、特に、特定の負極材料と特定の組成を有する電解液とを組み合わせた点に特徴を有するリチウムイオンキャパシタに関する。
リチウムイオンキャパシタは、高エネルギー密度を特長とする蓄電デバイスとして注目されているが、従来のリチウムイオンキャパシタは、内部抵抗が高く、また低温特性が一般的に電気二重層キャパシタより劣る点で問題があり、現在、内部抵抗が一層小さくてしかも低温特性が改良されたリチウムイオンキャパシタが求められている。
特許文献1には、リチウムイオンキャパシタにおいて、負極活物質として粒径が制御された黒鉛を使用することにより、高出力特性とサイクル耐久性を向上できることが開示されている。しかしながら、この技術では、内部抵抗の低抵抗化を図ることはできても、予備充電(プレドープ)時やフロート試験時のガス発生が大きく、高い信頼性を有するリチウムイオンキャパシタを得ることは困難であった。
そこで、従来から電気化学デバイス等で用いられている黒鉛系材料を負極活物質として用いることにより、リチウムイオンキャパシタの内部抵抗を小さくする方法が検討されてきたが、それだけでは内部抵抗を十分に低いものとすることができず、低温特性も不充分で、予備充電時およびフロート試験時における多量のガスの発生を防止することができなかった。
特開2008−103596号公報
特許文献1に示されているように、リチウムイオンキャパシタにおいて低抵抗化を実現するために、負極活物質として黒鉛を使用し、かつ当該黒鉛の粒子径を通常よりも小さくすることが有効である。然るに、リチウムイオンキャパシタにおいて更に低温での高出力および低抵抗化を実現するためには、電解液溶媒について、その誘電率や粘度の最適化を図る必要があり、また負極活物質として黒鉛のみを使用する場合には、予備充電時およびフロート試験時におけるガスの発生を防止することができない、という問題があることが判明した。
本発明は、リチウムイオンキャパシタにおける上記の問題を解決するものであって、内部抵抗が小さく、低温特性に優れ、しかも電解液と負極活物質との適合性が高くて予備充電時およびフロート試験時においてガスの発生が抑制されたリチウムイオンキャパシタを提供することを目的とする。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極と、黒鉛系複合粒子よりなる負極活物質により形成された負極と、非プロトン性有機溶媒によるリチウム塩の溶液よりなる電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、
前記電解液の非プロトン性有機溶媒は、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネートとの混合溶媒よりなり、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートの合計との体積比が1:3〜1:1であることを特徴とする。
以上において、前記電解液の非プロトン性有機溶媒において、エチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの体積比が1:1〜9:1であることが好ましい。
また、負極活物質の黒鉛系複合粒子は、黒鉛粉末がタールまたはピッチ材料で被覆されたものであり、黒鉛粉末100重量部に対するタールまたはピッチ材料の割合が10〜40重量部であることが好ましい。
更に、負極活物質の黒鉛系複合粒子は、数平均粒径D50の値が0.1〜5μmのものであることが好ましい。
本発明によれば、特定の黒鉛系材料を負極活物質として用いると共に、特定の組成の非プロトン性有機溶媒による電解液を組み合わせて使用することにより、内部抵抗が低く、しかも予備充電時およびフロート試験時におけるガスの発生が抑制されたリチウムイオンキャパシタを提供することができる。
本発明によれば、更に、非プロトン性有機溶媒を構成する鎖状カーボネートとして特定の組成のものを用いることにより、内部抵抗が低く、低温特性に優れ、しかも予備充電時およびフロート試験時におけるガスの発生が抑制されたリチウムイオンキャパシタを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、基本的に、正極と負極とを、セパレータを介して交互に積層あるいは捲回させてなる電極ユニットを外装容器内に有するものである。外装容器は、円筒型、角型、ラミネート型等のものを適宜使用することができ、特に限定されるものではない。
本明細書において、「ドープ」とは、吸蔵、吸着または挿入をも意味し、広く、正極活物質にリチウムイオンおよびアニオンの少なくとも一方が入る現象、あるいはまた、負極活物質にリチウムイオンが入る現象をいう。また、「脱ドープ」とは、脱離、放出をも意味し、正極活物質からリチウムイオンもしくはアニオンが脱離する現象、または負極活物質からリチウムイオンが脱離する現象をいう。
負極および正極の少なくとも一方にリチウムイオンを予めドープする方法としては、例えば、金属リチウム等のリチウムイオン供給源をリチウム極としてキャパシタセル内に配置し、負極および正極の少なくとも一方とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によって、リチウムイオンをドープさせる方法が用いられる。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタでは、リチウム極をセル中に局所的に配置して電気化学的接触させることによっても、負極および正極の少なくとも一方にリチウムイオンを均一にドープすることができる。
従って、正極および負極を積層または更に巻回してなる大容量のセルを構成する場合にも、最外周または最外層に位置されるセルの一部にリチウム極を配置することによって、負極および正極の少なくとも一方に円滑にかつ均一にリチウムイオンをドープすることができる。
〔集電体〕
正極および負極には、それぞれ電気を受配電する正極集電体および負極集電体が備えられる。正極集電体および負極集電体としては、例えば、エキスパンドメタルのような表裏面を貫通する貫通孔が形成された材料を用い、リチウム極を負極および正極の少なくとも一方に対向させて配置することにより、電気化学的にリチウムイオンを供給することが好ましい。貫通孔の形態、数等は特に限定されず、電解液中のリチウムイオンが電極集電体に遮断されることなく、電極の表裏間を移動できるように設定することができる。
集電体の材質としては、リチウム系電池に一般に用いられている材質を適用することができる。例えば、正極集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができ、一方、負極集電体としては、ステンレス鋼、銅、ニッケル等を用いることができる。各集電体の厚みは特に限定されるものではないが、通常5〜50μmであればよく、10〜50μmが好ましく、20〜50μmが特に好ましい。
各集電体の貫通孔は、エッチング等によって開孔を形成する方法、機械的な打ち込みにより開孔を形成する方法のいずれの方法によって形成されたものであってもよい。各集電体の貫通孔の径は例えば0.1μm〜150μmであり、0.5〜150μmが好ましく、1〜100μmが特に好ましい。
また、集電体の気孔率は、20〜80%が好ましく、30〜70%がより好ましい。
[セパレータ]
本発明のリチウムイオンキャパシタにおけるセパレータとしては、JISP8117に準拠した方法により測定された透気度が1〜200secの範囲内にある材料を用いることができ、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、セルロース、ポリオレフィン、セルロース/レーヨンなどから構成される不織布や微多孔質膜等の中から適宜選択したものを用いることができ、特にセルロース/レーヨンを用いることが好ましい。セパレータの厚みは、例えば5〜100μmであり、10〜50μmが好ましい。
[電解液]
本発明においては、リチウムイオンキャパシタの電解液として、特定の非プロトン性有機溶媒によるリチウム塩の電解質溶液が用いられる。
本発明における電解液を構成する非プロトン性有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)の三者の混合溶媒であって、ECと、EMCおよびDMC(「EMC/DMC」とも記す。)の合計との割合が、体積比で1:3〜1:1のものであり、更に、EMCとDMCの体積比が1:1〜9:1であるものが好ましい。
非プロトン性有機溶媒におけるECとEMC/DMCの体積比において、ECの比率が1:3よりも小さい場合には電解液の電導度が小さくなり、出力特性が低下するために好ましくなく、一方、ECの比率が1:1よりも大きい場合には電解液の粘度が大きくなって低温特性、特に内部抵抗の温度依存性が悪化するために好ましくない。
さらに、EMCとDMCの体積比において、EMCの比率が1:1よりも小さい場合には、低温での電解液の安定性が低下し、凍結し易くなるため好ましくなく、一方、EMCの比率が9:1よりも大きい場合には、同様に低温での電解液の安定性が低下し、凍結を起こし易く、内部抵抗の増大が起きる問題があるので、好ましくない。
非プロトン性有機溶媒による電解液には、リチウムイオン電池で一般に用いられているSEI(Solid Electrolyte Interface)形成材として知られているビニレンカーボネート(VC)等の添加剤を添加することができる。
〔電解液の非プトロトン性有機溶媒電解質〕
上記のように、本発明においては、電解液を構成する非プロトン性有機溶媒が、ECとEMC/DMCの混合比が体積比で1:3〜1:1であることが必要である。EC以外の環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)が代表的なものであるが、電解液の有機溶媒にPCやBCが含有される場合には、負極物質として黒鉛ないし黒鉛系材料を用いると、予備充電時およびフロート試験中にガスの発生を抑制することができないために、実用上の信頼性が低下する問題がある。さらに、BCは粘度が高いために導電率の大きな電解液を得ることができず、そのような有機溶媒を用いた電解液によれば、出力特性および温度特性が良好なリチウムイオンキャパシタを得ることができない。
一方、鎖状カーボネートとしては、EMCおよびDMCの外に、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)等が挙げられるが、これらのうちDECが含有された有機溶媒による電解液によれば、予備充電時およびフロート試験時においてガスが発生するので、適当でない。また、MPCを含有する電解液は、その導電性が低下したものとなり、キャパシタの内部抵抗を増加させるので、適当ではない。
以上の理由から、本発明では、鎖状カーボネートとしてEMCとDMCの2種が用いられる。これらの2種の鎖状カーボネートすなわちEMC/DMCと、環状カーボネートとの混合物を用いることにより、良好な導電性、広い温度域にわたる安定性を得ることができ、具体的には、環状カーボネートとしてECを用いることが好ましい。従って、本発明においては、電解液を構成する非プロトン性有機溶媒として、EC、EMCおよびDMCの三者の混合溶媒(EC/EMC/DMC)が用いられる。
[リチウム塩]
電解液における電解質のリチウム塩としては、例えば、LiClO4 、LiAsF6 、LiBF4 、LiPF6 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiN(CF3 SO2 2 等が挙げられ、特に、イオン伝導性が高く、低抵抗であることから、LiPF6 が好適に用いられる。電解液におけるリチウム塩の濃度は、低い内部抵抗が得られることから、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.5〜1.5mol/Lであることがより好ましい。
〔正極活物質〕
正極活物質としては、リチウムイオンおよびテトラフルオロボレート等の少なくとも1種のアニオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質が用いられ、例えば活性炭粉末が挙げられる。この活性体粉末の粒度は、数平均粒径D50の値が2μm以上であることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、特に2〜20μmが好適である。更に、平均細孔径が10nm以下であるものが好ましく、また比表面積が600〜3000m2 /gであることが好ましく、より好ましくは、1300〜2500m2 /gである。
〔負極活物質〕
本発明においては、負極活物質として、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能である物質のうち、黒鉛系複合粒子が用いられる。この黒鉛系複合粒子は以下の(1)または(2)のものである。
(1)黒鉛(グラファイト)の表面をタールやピッチ等で被覆し、熱処理を行なうことによって表面のタールやピッチを複合化する方法によって得られる炭素物質。
(2)天然黒鉛あるいは人造黒鉛と低結晶炭素粉末およびバインダを混合し、800℃以下で焼成した後粉砕し、900〜1500℃で再焼成することにより得られる炭素電極物質。
上記(2)における低結晶炭素粉末としては、メソフェーズピッチ、生コークス、カルサインコークス等が挙げられる。バインダとしてはバインダピッチ、フェノール樹脂等が挙げられる。
このような黒鉛系複合粒子において、粒子表面におけるタールやピッチ由来の黒鉛化物質による被覆の有無は、ラマンスペクトル、XRD等の測定により確認することができる。そして、上記の黒鉛系複合粒子を負極活物質として使用し、上記の特定の組成の電解液と組み合わせて構成される本発明のリチウムイオンキャパシタにおいては、予備充電時およびフロート試験時において大量のガスの発生を抑制することができる。
負極活物質としては、正極活物質と同様に粉末状のものが用いられるが、その粒度は、数平均粒径D50の値が0.1〜5μmとされる。この数平均粒径D50が0.1μm未満のものはその製造が困難であり、一方、5μmを超えるものでは、内部抵抗が十分に小さいリチウムイオンキャパシタを得ることができない。また、負極活物質は、比表面積が0.1〜200m2 /gであることが好ましく、より好ましくは0.5〜50m2 /gである。
〔バインダ〕
正極活物質による正極および負極活物質による負極の作製は、通常用いられる既知の方法によって行うことができる。
例えば、負極は、負極活物質の粉末と、バインダと、必要に応じて、導電材、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤とを、水または有機溶媒に加えて混合し、得られるスラリーを集電体に塗布する方法、あるいは当該スラリーをシート状に成形したものを集電体に貼付することにより、作製することができる。
負極の作製において、バインダとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダ、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができる。
また、導電材としては、例えば、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。
バインダおよび導電材の各々の添加量は、用いる活物質の電気伝導度、作製される電極形状等によっても異なるが、いずれも、通常、活物質に対して2〜40質量%であることが好ましい。
〔活物質層〕
正極活物質または負極活物質を集電体に塗布または接着等により付着させることによって正極活物質層または負極活物質層が形成される。各活物質層の膜厚は、5〜400μmであればよく、10〜300μmが好ましく、15〜200μmがより好ましい。
〔リチウムイオンキャパシタの構造〕
本発明に係るリチウムイオンキャパシタの構造としては、特に、帯状の正極と負極とをセパレータを介して巻回させる巻回型セル、板状またはシート状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層された積層型セル、このように積層された構成のユニットを外装フィルム内に封入したフィルム型セル等が挙げられる。
これらのキャパシタセルの構造は、特開2004−266091号公報等により既知であり、それらのキャパシタセルと同様の構成とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
〔実施例1:セルS1〕
(1)正極シートの作製
1−1.導電塗料の調製
炭素粉末(平均粒子径4.5μm)95質量部およびカルボキシメチルセルロース5質量部にイオン交換水を加えて混合することにより、導電塗料を調製した。この導電塗料を「導電塗料(1)」とする。
1−2.正極用スラリーの調製
比表面積が2030m2 /g、数平均粒子径D50が4μmのフェノール系の活性炭87質量部、アセチレンブラック粉体4質量部、SBR系バインダ(JSR製「TRD2001」)6質量部およびカルボキシメチルセルロース3質量部にイオン交換水を加えて混合することにより、固形分濃度35%の正極用スラリーを調製した。これを「正極用スラリー(1)」とする。
1−3.電極層の形成
幅200mm、厚み15μmの帯状のアルミニウム箔に、パンチング方式により各々の開口面積が0.79mm2 の円形状の貫通孔の複数が千鳥状に配列されてなる構成を有する、開口率42%の正極集電体を作製した。
この正極集電体の一部分に対して、導電塗料(1)を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅130mm、塗工速度8m/minの塗工条件により、正極集電体の表面側および裏面側の各々における塗布厚みの合計の目標値を20μmとして両面塗工した後、200℃で24時間減圧乾燥させることにより、正極集電体の両面に導電層を形成した。
その後、正極集電体の両面に形成された導電層上に、正極用スラリー(1)を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工速度8m/minの塗工条件により、正極集電体の表面側および裏面側の各々における塗布厚みの合計の目標値を150μmとして両面塗工した後、200℃で24時間減圧乾燥させることにより、正極集電体の表面および裏面に形成された各導電層上に電極層を形成した。
以上において、正極用スラリーの塗工においては、2つのスリットダイの間に導電層を形成した正極集電体を通すことによって、正極用スラリーが正極集電体の両面に塗工されるが、スリットダイと正極集電体との間のギャップを調整することにより、正極集電体の表面側および裏面側の塗工厚みを調整した。
そして、表面および裏面の各々に導電層および電極層が積層されてなる正極集電体を、導電層および電極層が形成された部分の平面サイズが98×128mm、いずれの層も形成されてない部分の平面サイズが98×15mmとなるよう、98×143mmの平面サイズに切断することにより、正極シートを製造した。これを「正極シート(1)」とする。
得られた正極シート(1)の厚みを測定したところ、集電体の厚みを含めて167μmであった。
(2)負極シートの作製
2−1.負極用スラリーの調製
数平均粒径D50の値が4μmの黒鉛系複合粒子87質量部、アセチレンブラック粉体4質量部、SBR系バインダ(JSR製「TRD2001」)6質量部およびカルボキシメチルセルロース3質量部にイオン交換水を加えて混合することにより、固形分濃度が35%の負極用スラリーを調製した。これを「負極用スラリー(1)」とする。
上記の黒鉛系複合粒子は、数平均粒径D50の値が2.5μmの微粒子状黒鉛粉末100質量部に対して、前駆体となるピッチ40質量部をニーダーで混合し、窒素雰囲気下において、5℃/minの割合で昇温し、温度1000℃で6時間保持することにより焼成し、得られる焼成物を数平均粒径D50の値が4μmとなるまで解砕することにより、得られたものである。
2−2.電極層の形成
幅200mm、厚み25μmの帯状の銅箔に、パンチング方式により各々の開口面積が0.79mm2 の円形状の貫通孔の複数が千鳥状に配列されてなる構成を有する、開口率42%の負極集電体を作製した。
この負極集電体の一部分に対して、負極用スラリー(1)を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工速度8m/minの塗工条件により、負極集電体の表面および裏面の各々における塗布厚みの合計の目標値を60μmとして両面塗工した後、200℃で24時間減圧乾燥させることにより、負極集電体の表面および裏面に電極層を形成した。
そして、表面および裏面の各々に電極層が形成されてなる負極集電体を、電極層が形成された部分の平面サイズが100×130mm、電極層が形成されてない部分の平面サイズが100×15mmとなるよう、100×145mmの平面サイズに切断することにより、負極シートを製造した。これを「負極シート(1)」とする。
得られた負極シート(1)における電極層の厚みを測定したところ、集電体の厚みを含めて86μmであった。また電極層中に含有される負極活物質の質量(目付量)は、5.7mg/cm2 であった。
(3)セパレータの作製
厚み50μm、透気度100secのセルロース/レーヨン複合材料からなるフィルムを102mm×130mmに切断してセパレータを作製した。
(4)リチウムイオンキャパシタ要素の作製
先ず、正極シート10枚、負極シート11枚、セパレータ22枚を用意し、正極シートと負極シートとを、それぞれの塗工部は重なるが、それぞれの未塗工部は反対側になり重ならないよう、セパレータ、負極シート、セパレータ、正極シートの順で積重し、積重体の4辺をテープにより固定することにより、電極積層ユニットを作製した。
次いで、厚み100μmのリチウム極を箔状に切断し、厚さ40μmで平面サイズが100×145mmの銅ラスに圧着することにより、リチウムイオン供給部材を作製し、このリチウムイオン供給部材を電極積層ユニットの上側に負極と対向するよう配置した。
そして、作製した電極積層ユニットの10枚の正極シートの各々の未塗工部に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製の正極用電源タブを重ねて溶接した。一方、電極積層ユニットの11枚の負極シートの各々の未塗工部およびリチウムイオン供給部材の各々に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmの銅製の負極用電源タブを重ねて溶接し、もってリチウムイオンキャパシタ要素を作製した。
(5)リチウムイオンキャパシタの作製
厚み50μm、透気度100sec、縦横の寸法が204mm×130mmのセルロース/レーヨン複合材料からなるフィルムを、リチウムイオンキャパシタ要素の周面を覆うよう巻いた後、厚みが50μmで幅が19mmのポリイミドテープを30mm×19mmのサイズにカットして、フィルムの両端の2箇所を互いに固定した。
次いで、ポリプロピレン層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が縦125mm、横160mm、厚み0.15mmで、中央部分に縦105mm、横147mmの絞り加工が施された一方の外装フィルム、並びにポリプロピレン層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が縦125mm、横160mm、厚み0.15mmの他方の外装フィルムを作製した。
次いで、上記他方の外装フィルム上における収容部となる位置に、フィルムが巻かれたリチウムイオンキャパシタ要素を、その正極電極端子および負極電極端子の各々が、他方の外装フィルムの端部から外方に突出するよう配置し、このリチウムイオンキャパシタ要素に一方の外装フィルムを重ね合わせ、一方の外装フィルムおよび他方の外装フィルムの外周縁部における、正極電極端子および負極電極端子が突出する2辺を含む3辺を熱融着した。
一方、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を用い、濃度1.2mol/LのLiPF6 を含む電解液を調製した。
そして、一方の外装フィルムおよび他方の外装フィルムの間に、上記電解液を注入した後、一方の外装フィルムおよび他方の外装フィルムの外周縁部における残りの一辺を再熱融着が可能となるようにリチウムキャパシタ要素端部と再融着が可能なスペースを開けて熱融着した。
以上のようにして、試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下「セル」という。)を合計10個作製した。
[予備充電評価]
上記のようにしてセルを作製した後20日間放置したが、10個のセルの全てについてガス発生は見られなかった。10個のセルを開封したところ、リチウム金属はいずれのセルでも完全に消失していることが確認された。このことから、負極活物質にリチウムイオンがドープされ、予備充電されたと判断された。
また、この予備充電時のガスの発生の有無を調べた。その評価基準は以下に示すとおりである。
○;セルの膨張が認められず、ガス発生がない。
△;ガス発生による僅かなセルの膨張が認められたが、開封によるガス抜きで再融着可能であった。
×;ガス発生により、セルが大きく膨張変形し、再融着が不可能であった。
[静電容量測定]
10個のセルの各々に対し、再融着を行い、20℃の環境下で10Aの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を0.5時間行い、次いで10Aの定電流でセル電圧が2.2Vになるまで放電した。この3.8V−2.2Vのサイクルを繰り返して、10回目の放電における静電容量を測定し、10個のセルの平均値を求めたところ、1066Fと高い値だった。
[直流内部抵抗測定]
作製した10個のセルの各々について上述の充放電を行い、温度25℃の環境下における1KHzの交流内部抵抗を、日置電機社製「ACミリオームハイテスタ3560」を用いて測定し、各セルの平均値を求めたところ、2.8mΩであった。
[低温/室温内部抵抗比による温度特性評価]
作製した10個のセルの各々について上述の充放電を行い、温度−20℃の環境下で上記と同様にして直流内部抵抗の平均値を求め、20℃の直流内部抵抗の平均値に対する比(低温/室温内部抵抗比)を求めたところ、平均2.7倍であった。
[フロート試験]
温度特性を評価した10個のセルの各々を、電圧が3.8Vとなるまで10Aの定電流で充電し、その後3.8Vの定電圧を印加し続けるフロート試験を60℃環境下で500時間実施し、ガス発生の有無を評価したところ、全くセルの膨張は観測されず、ガス発生の無いことを確認した。評価基準は以下に示す。
なお、予備充電の評価が「×」のセルについては、リチウムイオンキャパシタとしての性能を有していないことから、フロート試験は行われなかった。
◎;セル膨張が認められず、ガス発生がない。
○;わずかにセルの膨張が認められたが実用上問題はない。
△;ガス発生による膨張が認められたが、変形は大きくない。
×;ガス発生による膨張が認められ、変形が大きい。
以下のようにして、実施例に係るセルS2〜S6および比較例に係るセルC1〜C10の作製および評価を行った。
[実施例2:セルS2]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:1.5:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[実施例3:セルS3]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:1.5:1.5の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[実施例4:セルS4]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:2.7:0.3の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[実施例5:セルS5]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:0.5:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[実施例6:セルS6]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:0.9:0.1の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例1:セルC1]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:2:2の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例2:セルC2]
EC、EMCおよびDMCを体積比で1:0.25:0.25の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例3:セルC3]
ECおよびEMCを体積比で1:4の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例4:セルC4]
ECおよびEMCを体積比で1:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例5:セルC5]
プロピレンカーボネート(PC)、EMCおよびDMCを体積比で1:0.5:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例6:セルC6]
ECおよびジエチルカーボネート(DEC)を体積比で1:1の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例7:セルC7]
負極活物質として、比表面積が16m2 /g、平均粒子径D50が4μmの難黒鉛化炭素Aを用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し同様の評価を実施した。
[比較例8:セルC8]
負極活物質として、比表面積が16m2 /g、平均粒子径D50が4μmの難黒鉛化炭素Aを用い、電解液の溶媒としてEC、PCおよびDECを体積比で3:1:4の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
[比較例9:セルC9]
負極活物質として、数平均粒径D50の値が2.5μmの微粒子状黒鉛粉末Bを用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し同様の評価を実施した。
[比較例10:セルC10]
負極活物質として、数平均粒径D50の値が2.5μmの微粒子状黒鉛粉末Bを用い、電解液の溶媒としてEC、PCおよびDECを体積比で3:1:4の割合で混合した混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様に10個のセルを作製し、同様の評価を実施した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2012204748

Claims (4)

  1. 正極と、黒鉛系複合粒子よりなる負極活物質により形成された負極と、非プロトン性有機溶媒によるリチウム塩の溶液よりなる電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、
    前記電解液の非プロトン性有機溶媒は、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネートとの混合溶媒よりなり、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートの合計との体積比が1:3〜1:1であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. 前記電解液の非プロトン性有機溶媒において、エチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの体積比が1:1〜9:1であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 負極活物質の黒鉛系複合粒子は、黒鉛粉末がタールまたはピッチ材料で被覆されたものであり、黒鉛粉末100重量部に対するタールまたはピッチ材料の割合が10〜40重量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. 負極活物質の黒鉛系複合粒子が、数平均粒径D50の値が0.1〜5μmのものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
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