JP2012241862A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒ころ軸受10の外輪2は、炭素の含有量が0.6質量%以上である高炭素鋼で構成されており、高周波焼入れ処理を含む熱処理により焼入れが施されてなる硬化層が、軌道面2aを含む外輪2の表面に形成されているとともに、焼入れが施されていない非焼入れ部が芯部に形成されている。また、軌道面2aの表面硬さがHv651以上であり、前記芯部の硬さがHv500以下である。さらに、軌道面2aの残留オーステナイト量が12体積%以上40体積%以下である。さらに、軌道面2aの有効硬化層深さY0が0.07×Dw<Y0<0.07×Dw+5なる式を満足する。さらに、極値統計法により推定した非金属介在物の最大径が35μm以下である。
【選択図】図1
Description
潤滑剤に水が混入した場合の転がり疲労寿命の低下は、以下に示す理由で生じることが知られている。転動体が軌道面に接触して荷重が加わるとき、軌道面は深さ方向に弾性変形し、接触面近傍には引張応力が生じる。引張応力が作用する表面に酸化物系介在物と水が存在すると、酸化物系介在物と金属母相との間に隙間が生じ、その隙間に水が浸入して腐食反応が生じる。これにより非金属介在物周辺での応力集中が大きくなり、クラックの発生を招き、転がり疲労寿命を低下させる。よって、潤滑剤に水が混入する環境下で使用される転がり軸受においては、亀裂の起点となる非金属介在物を減少させて応力集中を小さくする対策が取られている。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた靱性を有し且つ潤滑剤に水や固体異物が混入するような環境下で使用されても長寿命であるとともに安価な転がり軸受を提供することを課題とする。
条件A:高周波焼入れ処理を含む熱処理により焼入れが施されてなる硬化層が、前記軌道面を含む表面に形成されているとともに、焼入れが施されていない非焼入れ部が芯部に形成されている。
条件B:前記軌道面の表面硬さがHv651以上であり、前記芯部の硬さがHv500以下である。
条件C:前記軌道面の残留オーステナイト量が12体積%以上40体積%以下である。
条件D:前記軌道面の有効硬化層深さY0が0.07×Dw<Y0<0.07×Dw+5なる式を満足する。ただし、Dwは前記転動体の直径であり、Y0及びDwの単位はいずれもmmである。
条件E:極値統計法により推定した非金属介在物の最大径が35μm以下である。
このような転がり軸受においては、前記軌道面の残留応力が−200MPa以下であることが好ましい。
図1の円筒ころ軸受10は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体3と、両軌道面1a,2a間に転動体3を保持する保持器4と、両軌道面1a,2aと転動体3との潤滑を行う潤滑油,グリース等の潤滑剤(図示せず)と、を備えている。なお、保持器4は備えていなくてもよい。また、ゴムシール等の密封装置を備えていても差し支えない。
条件A:高周波焼入れ処理を含む熱処理により焼入れが施されてなる硬化層が、軌道面2aを含む外輪2の表面に形成されているとともに、焼入れが施されていない非焼入れ部が芯部に形成されている。
条件B:軌道面2aの表面硬さがHv651以上であり、前記芯部の硬さがHv500以下である。
条件C:軌道面2aの残留オーステナイト量が12体積%以上40体積%以下である。
条件D:軌道面2aの有効硬化層深さY0が0.07×Dw<Y0<0.07×Dw+5なる式を満足する。ただし、Dwは転動体3の直径であり、Y0及びDwの単位はいずれもmmである。
条件E:極値統計法により推定した非金属介在物(炭化物,窒化物,酸化物等)の最大径が35μm以下である。
さらに、非金属介在物の最大径が小さく且つ浸炭鋼よりも高清浄度の高炭素鋼で構成されているので、潤滑剤に水が混入するような環境下で使用されても表面疲労や表面剥離が生じにくく、本実施形態の円筒ころ軸受10は長寿命である。極値統計法により推定した非金属介在物の最大径は、クリーン潤滑環境下における寿命と相関がある。
このような本実施形態の円筒ころ軸受10は靱性が優れているので、靱性を要求される大形軸受に好適である。また、鉄鋼用圧延機の圧延ロールのロールネック部に組み込まれ、ロールを回転支持するロールネック用転がり軸受は、潤滑剤に水や固体異物が混入するような環境下で使用されるので、本実施形態の円筒ころ軸受10はロールネック用転がり軸受に好適である。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転がり軸受の例として円筒ころ軸受をあげて説明したが、本発明は円筒ころ軸受以外の様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。そして、本発明は、大形の円筒ころ軸受に限らず、大形の円すいころ軸受,大形の自動調心ころ軸受等にも適用することができる。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。本発明の効果を要素的に確認するため、合金成分の異なる種々の鋼で構成された軌道輪を用意して、これを固定輪とするスラスト玉軸受(呼び番号51305)を作製した。使用した鋼種は、M1〜M9、SUJ2〜SUJ5、及びSCr420であり、表1,2に示すような合金成分をそれぞれ有している。なお、表1,2に示した炭素(C),ケイ素(Si),マンガン(Mn),クロム(Cr),モリブデン(Mo)以外の成分(残部)は、鉄及び不可避的不純物である。
面圧 :3.2GPa
潤滑剤 :ISO粘度グレードがISO VG10である潤滑油(油浴)
水の混入量:30ml/day
試験面 :研磨面
面圧 :4.2GPa
潤滑剤 :ISO粘度グレードがISO VG68であるタービン油(油浴)
固体異物の混入量:200ppm
試験面 :研磨面
図2のグラフから、非金属介在物の予測最大径が小さく清浄度の優れた素材を用いることにより、浸炭鋼を用いた比較例1と比べて寿命が優れていることが分かる。また、非金属介在物の予測最大径が35μm以下(好ましくは34μm以下)であると寿命が優れており、20μm以下であると寿命がさらに優れていることが分かる。
図3のグラフから、熱処理として高周波焼入れ処理を用いた各実施例は、熱処理として貫通焼入れを用いた比較例2と比べて寿命が優れており、軌道面の残留オーステナイト量が多いほど寿命が優れていることが分かる。
さらに、軌道面の有効硬化層深さY0と転がり軸受の寿命との相関性について、試験を行った。SUJ2製の鋼材を旋削加工して得たリング状部材に熱処理(焼入れ及び焼戻し)を施した後に研削して、大形円すいころ軸受(呼び番号HR30326J)用の外輪を作製した。
面圧 :1.7GPa
潤滑剤 :ISO粘度グレードがISO VG68であるタービン油(強制循環) 回転速度:1500min-1
計算寿命:600時間
回転試験の結果を表6に示す。なお、表6の寿命の数値は、比較例14のL10寿命を1.0とした場合の相対値で示してある。表6から、有効硬化層深さY0が小さい比較例13は、焼入れの種類が貫通焼入れである比較例14よりも短寿命であったのに対し、十分な有効硬化層深さY0を有する実施例27の寿命は、比較例14の3倍であった。
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
10 円筒ころ軸受
Claims (2)
- 軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記外輪が以下の5つの条件を満足することを特徴とする転がり軸受。
条件A:高周波焼入れ処理を含む熱処理により焼入れが施されてなる硬化層が、前記軌道面を含む表面に形成されているとともに、焼入れが施されていない非焼入れ部が芯部に形成されている。
条件B:前記軌道面の表面硬さがHv651以上であり、前記芯部の硬さがHv500以下である。
条件C:前記軌道面の残留オーステナイト量が12体積%以上40体積%以下である。
条件D:前記軌道面の有効硬化層深さY0が0.07×Dw<Y0<0.07×Dw+5なる式を満足する。ただし、Dwは前記転動体の直径であり、Y0及びDwの単位はいずれもmmである。
条件E:極値統計法により推定した非金属介在物の最大径が35μm以下である。 - 前記軌道面の残留応力が−200MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2011115075A JP2012241862A (ja) | 2011-05-23 | 2011-05-23 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2011115075A JP2012241862A (ja) | 2011-05-23 | 2011-05-23 | 転がり軸受 |
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|---|---|
| JP2012241862A true JP2012241862A (ja) | 2012-12-10 |
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ID=47463793
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| JP2011115075A Pending JP2012241862A (ja) | 2011-05-23 | 2011-05-23 | 転がり軸受 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2012241862A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2016088391A1 (ja) * | 2014-12-04 | 2016-06-09 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受 |
| JP2018053291A (ja) * | 2016-09-28 | 2018-04-05 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 水素環境下での転動疲労寿命に優れる高清浄度軸受用鋼 |
Citations (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003156054A (ja) * | 2001-11-22 | 2003-05-30 | Nsk Ltd | 車輪駆動用車軸ユニット |
| JP2009168090A (ja) * | 2008-01-15 | 2009-07-30 | Nsk Ltd | 複列転がり軸受ユニット |
| JP2010024530A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Nsk Ltd | 転がり軸受及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-05-23 JP JP2011115075A patent/JP2012241862A/ja active Pending
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