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JP2012121780A - 酸化リチウムの製造方法 - Google Patents

酸化リチウムの製造方法 Download PDF

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JP2012121780A
JP2012121780A JP2010276025A JP2010276025A JP2012121780A JP 2012121780 A JP2012121780 A JP 2012121780A JP 2010276025 A JP2010276025 A JP 2010276025A JP 2010276025 A JP2010276025 A JP 2010276025A JP 2012121780 A JP2012121780 A JP 2012121780A
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lithium carbonate
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聡 浅野
Hitoshi Ishida
人士 石田
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

【課題】 電池材料として直接利用することができる酸化リチウムの製造方法を提供する。
【解決手段】 炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱し、酸化リチウムを得る。これにより、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行して、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留しないため、酸化リチウムを電池材料として直接利用することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電池材料として利用される酸化リチウムの製造方法に関する。
最近の地球温暖化傾向に対し、電力の有効利用が求められている。その一つの手段として電力貯蔵用2次電池が期待され、また大気汚染防止の立場から自動車用電源として、大型2次電池の早期実用化が期待されている。また、小型2次電池も、コンピュータ等のバックアップ用電源や小型家電機器の電源として、特にデジタルカメラや携帯電話等の電気機器の普及と性能向上に伴って、需要は年々増大の一途を辿る状況にある。
これら2次電池としては、使用する機器に対応した性能の2次電池が要求されるが、一般にリチウムイオン電池が主に使用されている。
このリチウムイオン電池は、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極基板に黒鉛等の負極活物質を固着した負極材、アルミニウム箔からなる正極基板にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質が固着させた正極材、アルミニウムや銅からなる集電体、ポリプロピレンの多孔質フィルム等の樹脂フィルム製セパレータ、及び電解液や電解質等が封入されている。
ところで、リチウムイオン電池の拡大する需要に対して、使用済み又は工程内不良品等のリチウムイオン電池(以下、「廃電池」ともいう。)による環境汚染対策の確立が強く要望され、有価金属を回収して有効利用することが検討されている。
上述した構造を備えたリチウムイオン電池から有価金属を回収する方法としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されるような乾式法又は焼却処理が利用されている。一方で、特許文献3に記載されているように、湿式処理によって有価金属を回収する方法も提案されている。
リチウムイオン電池内や有価金属回収処理プロセス中等に存在するリチウムは、例えば、リチウムの炭酸塩である炭酸リチウムとして回収される。炭酸リチウムを電池材料(リチウムイオン電池の正極活物質等)に利用するための方法として、例えば、湿式法により炭酸リチウムを水酸化リチウムの結晶(LiOH・nHO)に精製して利用する方法や、乾式法により炭酸リチウムを加熱して得られた酸化リチウムを利用する方法が考えられる。
しかし、湿式法で炭酸リチウムから精製した水酸化リチウムは、晶析時に結晶水(nHO)を持つこととなり、結晶水の組成がずれやすい。そのため、例えば、回収された水酸化リチウムを電池材料として利用する際に、リチウムの量を正確に秤量するためには結晶水の測定(分析)や管理が欠かせず、大きな手間になっていた。
一方、乾式法により炭酸リチウムから酸化リチウム得る方法では、1000℃以上の高温下で炭酸リチウムを加熱することにより、下記(1)式の反応のように、結晶水を持たない酸化リチウムが得られる。このように、乾式法で炭酸リチウムから得られた酸化リチウムは、結晶水を持たないため、上述した湿式法で精製される水酸化リチウムのような組成ずれの問題が生じず、効率的に電池材料として利用することができる。
LiCO⇔LiO+CO(1)
しかし、(1)式に示す炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応においては、1000℃以上の高温が必要となり、また、酸化リチウムから炭酸リチウムへの反応(逆反応)が進行してしまう。この逆反応が進行すると、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行せず、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留してしまう。よって、乾式法により炭酸リチウムから得られた酸化リチウムは、電池材料として直接利用することができなかった。
特開平07−207349号公報 特開平10−330855号公報 特開2007−122885号公報
そこで本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電池材料として直接利用することができる酸化リチウムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る酸化リチウムの製造方法は、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱し、酸化リチウムを得ることを特徴とする。
本発明に係る酸化リチウムの製造方法において、炭酸リチウムと炭素とを混合して加熱する際の温度は、600℃以上であることが好ましい。
本発明によれば、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行して、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留しないため、酸化リチウムを電池材料として直接利用することができる。
リチウムイオン電池から有価金属を回収する工程を示す図である。
以下、本発明に係る酸化リチウムの製造方法について、以下の順序で詳細に説明する。
1.本発明の概要
2.酸化リチウムの製造方法
3.酸化リチウムの利用方法
4.リチウムイオン電池からの有価金属の再利用方法
5.他の実施の形態
6.実施例
<1.本発明の概要>
本発明では、炭酸リチウムと炭素とを混合して加熱し、酸化リチウムを得る。炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱することによって、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行するため、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留しない。したがって、本発明では、炭酸リチウムから得られた酸化リチウムを電池材料の製造に直接利用することができる。
炭酸リチウムとしては、例えば、リチウムイオン電池に含まれるリチウムから得られたものを用いることができる。この炭酸リチウムを用いた場合においても、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行するため、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留せず、酸化リチウムを電池材料の製造に直接再利用することができる。
以下、本発明の酸化リチウムの製造方法に関する具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、さらに詳細に説明する。
<2.酸化リチウムの製造方法>
本実施の形態に係る酸化リチウムの製造方法では、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱し、酸化リチウムを得る。
炭素は、炭酸リチウムを還元して酸化リチウムを得るために用いられる。炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱することにより、炭酸リチウムが還元されて酸化リチウムが得られる。また、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱することにより、酸化リチウムが得られるとともに、炭素が一酸化炭素(CO)となる。このように、得られた酸化リチウムと一酸化炭素とが固体同士で混ざらないため、酸化リチウムと炭素の反応生成物(CO)とを分離する操作が不要となる。得られた酸化リチウムは、後に詳述するように、例えば、電池材料(リチウムイオン電池の正極活物質等)に利用することができる。
炭酸リチウム(LiCO)と炭素とを混合して500℃以上に加熱することにより、下記(2)式に示す反応により、酸化リチウム(LiO)が得られる。
LiCO+C→LiO+2CO (2)
炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱することにより、炭酸リチウムから酸化リチウムに反応が進む際に、(2)式において酸化リチウムから炭酸リチウムへの反応が阻止されて、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行する。これにより、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留しないため、酸化リチウムが炭酸リチウムで汚染されることを防止することができる。したがって、本実施の形態に係る酸化リチウムの製造方法で得られた酸化リチウムは、電池材料として直接利用することができる。
また、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱することにより、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が進む際に逆反応が阻止されるため、従来の乾式法のように約1000℃以上の高温で加熱しなくても、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応を進めることができる。したがって、本実施の形態に係る酸化リチウムの製造方法では、エネルギーや設備コストを削減することができる。
具体的に、炭酸リチウムと炭素とを混合して加熱する際の温度は、500℃以上が必要であり、600℃以上とすることが好ましい。加熱温度を600℃以上とすることにより、短時間で炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応を完全に進行させることができる。また、加熱温度は、720℃以下とすることが好ましい。加熱温度を720℃以下とすることにより、加熱に要する余計なエネルギーの使用を削減することができる。また、溶融状態にならないため、容器からの不純物の混入を防止でき、反応後のハンドリング性も向上する。
炭酸リチウムを加熱する時間は、加熱温度に応じて変化し、炭酸リチウムの量が一定の条件下において、加熱温度を高くした場合には短くすることができ、加熱温度を低くした場合には、長くすることが好ましい。例えば、加熱温度を650℃とした条件下では、2時間以上とするのが好ましい。また、上述した(2)式の反応で発生する一酸化炭素ガスを有効に分離することにより、酸化リチウムから炭酸リチウムへの反応が進行して、炭酸リチウムを加熱する時間を短縮することができる。
炭酸リチウムと炭素との割合は、モル比で1:1〜1:1.5とするのが好ましい。このような割合とすることにより、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が効率的に進行するため、短時間で反応を完全に進行させることができる。炭素の種類としては、例えば、コークス、木炭、活性炭、砂糖炭、人工黒鉛などが挙げられるが、この中でも、より灰分の少ない砂糖炭が好ましい。炭素として砂糖炭を使用することにより、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応を、より短時間で完全に進行させることができる。
炭酸リチウムを加熱する際は、例えば、還元雰囲気を形成した炉内に炭酸リチウムを入れた状態で行うことが好ましい。この還元雰囲気を形成した炉内の圧力は、0.08〜0.10MPaとすることが好ましい。このような圧力とすることにより、短時間で炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応を完全に進行させることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る酸化リチウムの製造方法では、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱する。これにより、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行して、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留しないため、酸化リチウムを電池材料として直接利用することができる。
また、本実施の形態に係る酸化リチウムの製造方法では、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱するため、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が進む際に逆反応が阻止される。これにより、上述した(1)式の反応の場合のように1000℃以上の高温が不要となるため、エネルギーや設備コストを削減することができる。
<3.酸化リチウムの利用方法>
上述したように炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱することで得られた酸化リチウムは、例えば、リチウムイオン電池の正極活物質のリチウム原料として利用することができる。例えば、酸化リチウムと、遷移金属水酸化物とを所定の割合で混合し、混合物を焼成することにより、リチウムと遷移金属とを含有する複合酸化物を主体とした正極活物質を得ることができる。
リチウムイオン電池の正極活物質のリチウム原料として、上述した酸化リチウムを用いることにより、リチウムと他のメタルとの比率が変動して電池の特性がばらついてしまうのを防止することができる。
遷移金属水酸化物としては、例えば、水酸化コバルト、水酸化ニッケルなどを用いることができる。
原料を混合する方法は、均一に混合できれば、特に限定されるものではない。例えば、ミキサー等の公知の混合機を用いて各原料を同時又は適当な順序で加えて湿式又は乾式で攪拌混合すればよい。湿式混合の場合、水や分散剤などの液媒体を加えて湿式混合してスラリー化させ、得られたスラリーを湿式粉砕機で粉砕するのが好ましい。
焼成は、焼成炉にて、大気雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、酸素分圧を調整した雰囲気下、二酸化炭素ガス雰囲気下、又はその他の雰囲気下において行えばよい。焼成炉の種類は、特に限定されるものではない。例えば、ロータリーキルン、静置炉、その他の焼成炉を用いて焼成することができる。
<4.リチウムイオン電池からの有価金属の再利用方法>
本実施の形態に係る酸化リチウムの製造方法では、例えば、リチウムイオン電池に含まれるリチウムを炭酸リチウムとして回収する工程で得られた炭酸リチウムを用いることができる。以下に説明するように、リチウムイオン電池に含まれる有価金属から、リチウムを炭酸リチウムとして選択的に回収する。また、この場合においても、上述した酸化リチウムの製造方法と同様に、炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱し、酸化リチウムを得る。これにより、炭酸リチウムから酸化リチウムへの反応が完全に進行するため、炭酸リチウムが酸化リチウム中に残留せず、得られた酸化リチウムを電池材料に直接再利用することができる。また、リチウムイオン電池に含まれるリチウムを炭酸リチウムとして選択的に回収するため、純度の高い炭酸リチウムが得られ、炭酸リチウムを電池材料に直接再利用するのに好適である。
ここで、リチウムイオン電池から有価金属として、例えばリチウム、ニッケル、コバルト、銅を回収する有価金属の回収方法を、図1に示す工程図を参照して以下に説明する。有価金属の回収方法で回収されたリチウムは、炭酸リチウムとして回収される。
図1に示すように、有価金属の回収方法は、例えば、放電工程と、破砕・解砕工程と、洗浄工程と、正極活物質剥離工程と、浸出工程と、ニッケル・コバルト回収工程と、リチウム回収工程とを有する。炭酸リチウムは、後に詳述するように、リチウム回収工程において回収される。
(放電工程)
放電工程では、使用済みリチウムイオン電池から有価金属を回収するにあたって使用済み電池を解体するに先立ち、リチウムイオン電池を放電させる。後述する破砕・解砕工程で電池を破砕・解砕することによって解体するに際して、電池が充電された状態では危険であることから、放電させて無害化する。
放電工程では、硫酸ナトリウム水溶液や塩化ナトリウム水溶液等の放電液を用い、使用済みの電池をその水溶液中に浸漬させることによって放電させる。この放電液は、この放電処理の後に排出されることになるが、排出された放電液には放電処理に伴ってリチウムイオン電池を構成する電解質や電解液の成分が溶出されている。すなわち、電解質や電解液等のリチウムを含む成分を含有した処理後の放電液が排出されることとなる。
(破砕・解砕工程)
破砕・解砕工程では、放電して無害化させた使用済みのリチウムイオン電池を破砕・解砕することによって解体する。
この破砕・解砕工程では、無害化させた電池を、通常の破砕機や解砕機を用いて適度な大きさに解体する。また、外装缶を切断し、内部の正極材や負極材等を分離解体することもできるが、この場合は分離した各部分をさらに適度な大きさに切断することが好ましい。
(洗浄工程)
洗浄工程では、破砕・解砕工程を経て得られた電池解体物を、水又はアルコールで洗浄することにより、電解液及び電解質を除去する。リチウムイオン電池には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の有機溶剤や、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)のような電解質が含まれている。そのため、これらを予め除去することで、後述する正極活物質剥離工程での浸出液中に有機成分やリンやフッ素等が不純物として混入することを防ぐ。
電池解体物の洗浄には水又はアルコールを使用し、振盪又は撹拌して有機成分及び電解質を除去する。アルコールとしては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合液等を用いる。カーボネート類は一般的には水に不溶であるが、電解液成分である炭酸エチレンは水に任意に溶け、その他の有機成分も水に多少の溶解度を有しているため、水でも洗浄可能である。
電池解体物の洗浄は、複数回繰り返して行うことが好ましく、この洗浄工程により、有機成分及び電解質に由来するリンやフッ素等を後工程に影響を及ぼさない程度にまで除去する。
この洗浄工程では、上述した水やアルコールを用いた洗浄により、電池に含まれていた電解液や電解質が除去されることから、例えばLiPF等の電解質や炭酸エチレンや炭酸ジエチル等の電解液が含まれた洗浄液が、処理後に排出されることとなる。すなわち、電解質や電解液等のリチウムを含む成分を含有した処理後の洗浄液が排出されることとなる。
(正極活物質剥離工程)
正極活物質剥離工程では、洗浄工程を経て得られた電池解体物を、硫酸水溶液等の酸性溶液や界面活性剤を含有した水溶液に浸漬させることにより、その正極基板から正極活物質を剥離して分離する。この正極活物質剥離工程にて電池解体物を硫酸水溶液等の酸性溶液や界面活性剤溶液に投入して撹拌することにより、正極活物質とアルミニウム箔を固体のままで分離することができる。なお、この正極活物質剥離工程では、電池解体物全てを硫酸水溶液や界面活性剤溶液に浸漬してもよいが、電池解体物から正極材部分だけを選び出して浸漬してもよい。
酸性溶液として、例えば硫酸水溶液を使用する場合、その溶液のpHは、0〜3の範囲に制御する。硫酸水溶液に対する電池解体物の投入量としては、10〜100g/lとする。また、界面活性剤含有溶液を用いる場合、その使用する界面活性剤の種類としては、特に限定されず、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤の添加量としては1.5重量%〜10重量%とし、また界面活性剤の溶液のpHとしては中性とする。
正極活物質剥離工程を終了した電池解体物は、篩い分けして、正極基板から分離したニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質、及びこれに付随するものを回収する。電池解体物全てを処理した場合には、負極活物質である黒鉛等の負極粉、及びこれに付随するものも回収する。一方、正極基板や負極基板の部分、アルミニウムや鉄等からなる外装缶部分、ポリプロピレンの多孔質フィルム等の樹脂フィルムからなるセパレータ部分、及びアルミニウムや銅からなる集電体部分等は、分離して各処理工程に供給する。
この正極活物質剥離工程では、上述した酸性溶液や界面活性剤含有溶液等を用いて電池解体物から正極活物質を剥離することにより、正極活物質やアルミニウム箔等の固形分が分離され、一方で固形分以外の、剥離処理に用いた酸性溶液や界面活性剤溶液等の処理液がろ液として排出される。このろ液には、洗浄工程で除去されなかった電解質や電解液等が溶解して含有されることがある。
(浸出工程)
浸出工程では、正極活物質剥離工程にて剥離回収された正極活物質を、固定炭素含有物や還元効果の高い金属等の存在下で、酸性溶液で浸出してスラリーとする。この浸出工程によって、正極活物質を酸性溶液に溶解して、正極活物質を構成する有価金属であるニッケルやコバルト等を金属イオンとする。
正極活物質の溶解に用いる酸性溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸のほか、有機酸等を使用することができる。また、使用する酸性溶液のpHは、少なくとも2以下とし、反応性を考慮すると0.5〜1.5程度に制御することが好ましい。
(ニッケル・コバルト回収工程)
ニッケル・コバルト回収工程では、浸出工程を経て得られた溶液を反応容器に導入し、硫化剤を添加することによって硫化反応を生じさせ、ニッケル・コバルト混合硫化物を生成することによって、リチウムイオン電池から有価金属であるニッケル、コバルトを回収する。硫化剤としては、硫化ナトリウムや水硫化ナトリウム等の硫化アルカリを用いることができる。
具体的に、このニッケル・コバルト回収工程では、浸出工程を経て得られた溶液中に含まれるニッケルイオン(又はコバルトイオン)が、下記(3)式、(4)式又は(5)式に従って、硫化アルカリによる硫化反応により、硫化物となる。
Ni2+ + HS → NiS + 2H ・・・(3)
Ni2+ + NaHS → NiS + H + Na ・・・(4)
Ni2+ + NaS → NiS + 2Na ・・・(5)
ニッケル・コバルト回収工程における硫化剤の添加は、それ以上に硫化剤を添加しても反応溶液中の酸化還元電位(ORP)の変動がなくなる時点まで行う。なお、通常、反応は−200〜400mV(参照電極:銀/塩化銀電極)の範囲で完結する。また、硫化反応に用いる溶液のpHとしては、2〜4程度とする。また、硫化反応の温度としては、特に限定されるものではないが、0〜95℃とし、好ましく25℃程度とする。なお、特に上述した(3)式、(4)式においては、反応が進行する際に酸も生成し、反応が遅延する。このため、反応を促進し完結させるために、硫化剤の添加と共に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し発生する酸を中和することが好ましい。
このように、ニッケル・コバルト回収工程における硫化反応を生じさせることにより、リチウムイオン電池の正極活物質に含まれていた有価金属であるニッケル、コバルトを、ニッケル・コバルト硫化物(硫化澱物)として回収することができる。
(リチウム回収工程)
リチウム回収工程では、まず、ニッケル・コバルト回収工程後に残った水溶液をpH4.0以上に調整し、酸性抽出剤と接触させることによって、酸性抽出剤中にリチウムを抽出する。ニッケル・コバルト回収工程後に残った水溶液は、例えばアルカリ用いてpH4.0以上に調整することができる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等を用いることができる。
酸性抽出剤としては、例えば、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)リン酸、フェニルアルキルベータジケトンとトリオクチルホスフィンオキシドの混合物等を用いることができる。
また、調整したpH範囲において酸性抽出剤に抽出される他の金属(例えば、ニッケル、鉄など)が水溶液中にイオンとして存在すると、リチウムと共に他の金属も同時に溶媒抽出剤側に抽出され、後の逆抽出時にも水溶液側に逆抽出されて、リチウムと同様に濃縮されてしまう。従って、これらの他の金属イオンは、このリチウム濃縮のための酸性抽出剤による抽出操作を行う前に、中和操作などによって分離除去しておくことが望ましい。
次に、リチウムを抽出した酸性抽出剤を、pH3.0以下に調整した水溶液と接触させることにより、最初に抽出したリチウム水溶液の濃度(数g/l)よりも高い濃度でリチウムを水溶液に逆抽出することができる。これは、酸性抽出剤の特徴として、抽出された金属イオンはpHを酸性側にすることにより、Hとイオン交換を行って金属イオンを放出する性質を有するためである。pH3.0以下に調整した水溶液としては、硫酸溶液や塩酸溶液等を用いることができる。
逆抽出側の水溶液を繰り返して使用し、上述の抽出と逆抽出の操作を複数回繰り返すことによって、水溶液中のリチウム濃度を炭酸化により固体の炭酸リチウムとするのに足りる数十g/l程度のレベルまで濃縮することが好ましい。また、pHを正確に制御することで抽出率や逆抽出率を制御することができ、最終的なリチウム濃度の調節も制御することが可能である。
このようにして濃縮された高濃度リチウム水溶液は、次に炭酸ナトリウムなどの炭酸ガス又は水溶性炭酸塩と混合撹拌することによって、水溶液中のリチウムを固体の炭酸リチウムとして析出させることができる。リチウムの炭酸塩である炭酸リチウムは、他の塩とは溶解性が異なり、水溶液温度が高くなると急激に溶解度が低下する。このため、高濃度リチウムイオン水溶液の温度を60℃以上に高めることによって、溶解度の高い硫酸ナトリウム等の他の塩よりも炭酸リチウムの溶解度が低くなり、炭酸リチウムを選択的に結晶として沈殿することができ、高純度の炭酸リチウム固体を得ることができる。なお、高濃度リチウムイオン水溶液の温度は、高い方がよいが、一般的に80℃より高くなると、反応槽や周辺装置の耐熱性の観点から操作が難しくなったり、コスト増になる。そのため、高濃度リチウムイオン水溶液の温度は、60〜80℃とすることが好ましい。
<5.他の実施形態>
本発明は、上述した実施の形態に限れられるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更することができる。
上述した説明では、上述した有価金属の回収方法のリチウム回収工程で回収された炭酸リチウムを酸化リチウムの製造方法に適用する例を挙げたが、この例に限定されるものではない。例えば、炭酸リチウムとして、上述した放電工程で排出された放電液や、洗浄工程で排出された洗浄液から得られたものを用いてもよい。放電工程で排出された放電液や、洗浄工程で排出された洗浄液から炭酸リチウムを回収する方法としては、上述したリチウム回収工程と同様の方法を適用することができる。
ところで、排出された放電液や洗浄液には、リチウムイオン電池を構成するLiPF等の電解質が含まれており、その放電液や洗浄液から、リンやフッ素等の不純物を混入させることなく効率的にリチウムを回収することが望ましい。
そこで、リチウムイオン電池に含まれるリチウムを炭酸リチウムとして回収する工程は、例えば図1に示すように、放電液及び/又は洗浄液にアルカリを添加し、低温の温度条件で酸性抽出剤を接触させてリチウムイオンを抽出する抽出工程と、抽出工程にて得られた酸性抽出剤をpH3以下の酸性溶液に接触させてリチウムイオンを逆抽出する逆抽出工程と、逆抽出工程にて得られたリチウムイオンを含む逆抽出液から炭酸リチウムを析出させる炭酸リチウム析出工程を有する。
抽出工程では、上述したリチウム回収工程と同様にして、リチウムイオンを抽出する。抽出工程では、アルカリを添加することにより、リチウム含有する放電液及び/又は洗浄液をpH9以下、より好ましくはpH4〜9に調整し、上述の酸性抽出剤を用いて溶媒抽出処理を行う。このように、pH9以下に調整することにより、LiPFの分解反応を効果的に抑制して、溶媒抽出処理を行うことができる。アルカリとしては、上述したリチウム回収工程と同様のものを用いることができる。
また、抽出工程では、LiPFが、高い温度状況下において加水分解反応が進行することから、0〜25℃の低温に保持しながら溶媒抽出を行う。これにより、LiPFの加水分解反応をより一層効果的に抑制し、LiPOやLiFの沈殿が形成されることを防止することができ、リンやフッ素による汚染のないリチウムイオンを抽出することができる。放電液及び/又は洗浄液は、より好ましくは、0〜20℃の温度条件で溶媒抽出する。
逆抽出工程では、上述したリチウム回収工程と同様にして、抽出工程において得られた酸性抽出剤を、pH3以下の酸性溶液と接触させることにより、抽出したリチウムイオンを水溶液中に取り込むことができる。また、リチウムイオンと共に抽出されたLiPFを、LiとPF とに分離することができ、リンやフッ素による汚染を防止しながら、より高い濃度でリチウムイオンを水溶液中に取り込むことができる。
逆抽出工程においては、0〜25℃の低温の温度条件で逆抽出処理を行うことが好ましい。0〜25℃の低温に保持しながら逆抽出処理を行うことにより、抽出されたLiPFが加水分解してLiPOやLiFの沈殿を形成することを防止することができる。
炭酸リチウム析出工程では、上述したリチウム回収工程と同様にして、逆抽出工程にて得られたリチウムイオンを含む逆抽出液に、炭酸ガス又は水溶性炭酸塩を添加して混合攪拌し、炭酸リチウムを析出させる。炭酸リチウム析出工程で析出した炭酸リチウムは、リンやフッ素による汚染がない。
以上説明したように、炭酸リチウム析出工程で析出した炭酸リチウムは、リンやフッ素による汚染がない。そのため、炭酸リチウム析出工程で析出した炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱し、酸化リチウムを得ることにより、リチウムの純度をより向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
廃電池内及び回収処理プロセス中に存在するリチウムを、酸で浸出し、次いで溶媒抽出を用いて抽出し、炭酸ナトリウムを添加して晶析させ、炭酸リチウムの結晶として回収した。
回収した炭酸リチウムの結晶74gと、炭素(砂糖炭)13gとを混合し、容量0.2リットルの坩堝に入れ蓋をして、電気炉に入れた。次いで、電気炉の炉内を650℃にし、還元雰囲気とした炉内で、炭酸リチウムの結晶を2時間加熱した。加熱終了後、酸化リチウムを坩堝から回収した。
(比較例1)
比較例1では、炭素を用いず、炉内温度を1000℃以上として、回収した炭酸リチウムの結晶のみを加熱したこと以外は、実施例1と同様に行い、加熱終了後、酸化リチウムを坩堝から回収した。
実施例1では、炭酸リチウムと炭素とを混合して加熱したため、得られた酸化リチウムの収率が97%であり、また、得られた酸化リチウム中に炭酸リチウムが残留していなかった。したがって、実施例1では、電池材料として直接利用することができる酸化リチウムが得られた。
比較例1では、炭素を用いずに炭酸リチウムのみを加熱したため、得られた酸化リチウムの収率が4%であり、また、得られた酸化リチウム中に炭酸リチウムが残留していた。したがって、比較例1では、電池材料として直接利用することができる酸化リチウムが得られなかった。

Claims (5)

  1. 炭酸リチウムと炭素とを混合して500℃以上に加熱し、酸化リチウムを得ることを特徴とする酸化リチウムの製造方法。
  2. 前記炭酸リチウムと前記炭素とを混合して加熱する際の温度は、600℃以上であることを特徴とする請求項1記載の酸化リチウムの製造方法。
  3. 前記炭酸リチウムは、リチウムイオン電池に含まれるリチウムを炭酸リチウムとして回収する工程で得られたものであることを特徴とする請求項2記載の酸化リチウムの製造方法。
  4. 前記リチウムイオン電池に含まれるリチウムを炭酸リチウムとして回収する工程は、
    前記リチウムイオン電池を解体する解体工程と、
    前記解体工程で解体した電池解体物をアルコール又は水で洗浄し、電解液及び電解質を除去する洗浄工程と、
    前記洗浄工程で洗浄した電池解体物を硫酸水溶液に浸漬して、正極基板から正極活物質を剥離する正極活物質剥離工程と、
    前記正極活物質剥離工程で剥離した正極活物質を固定炭素含有物の存在下に酸性溶液で浸出する浸出工程と、
    前記浸出工程で得られた浸出液から中和によりアルミニウム及び銅を分離除去する中和工程と、
    前記中和工程後の浸出液からニッケル及びコバルトを分離回収するニッケル・コバルト回収工程と、
    前記ニッケル・コバルト回収工程で残ったリチウムを溶媒抽出と逆抽出により濃縮した後、リチウムを前記炭酸リチウムとして分離回収する回収工程と
    を有することを特徴とする請求項3記載の酸化リチウムの製造方法。
  5. 前記リチウムイオン電池に含まれるリチウムを炭酸リチウムとして回収する工程は、
    前記リチウムイオン電池から有価金属を回収する工程において排出されたリチウムを含有する放電液及び/又は洗浄液にアルカリを添加し、pH9以下、0〜25℃の温度条件で酸性抽出剤を接触させてリチウムイオンを抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程にてリチウムイオンを抽出した酸性抽出剤を、pH3以下の酸性溶液と接触させてリチウムイオンを逆抽出する逆抽出工程と
    前記逆抽出工程にて得られたリチウムイオンを含む逆抽出液に炭酸ガス又は水溶性炭酸塩を添加し、前記炭酸リチウムを析出させる炭酸リチウム析出工程と
    を有することを特徴とする請求項3記載の酸化リチウムの製造方法。
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