以下に、本発明にかかる導電性金属ペーストをより詳細に説明する。
本発明の導電性金属ペーストは、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」を液相として利用し、金属微細粉末を該液相中に分散してなる「金属微細粉末分散液」に相当している。すなわち、「金属ナノ粒子分散液」自体は、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散されているため、その粘性は低いが、金属微細粉末を該「金属ナノ粒子分散液」中に均一に分散してなる「金属微細粉末分散液」とすることで、「金属ナノ粒子分散液」自体の粘性より遥かに高い粘性を有する分散液としている。
その際、導電性金属ペースト中に含有される、前記金属微細粉末の体積比率をVmetal-particle、金属ナノ粒子の体積比率をVnano-particle、その被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子の体積比率をVcoating-molecule、分散溶媒の体積比率をVsolventとすると、金属微細粉末と、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」の体積比は、Vmetal-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)と表される。本発明にかかる導電性金属ペーストでは、比Vmetal-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)を、1:(2/3)〜1:6の範囲、通常、1:1〜1:4.6の範囲、好ましくは、1:1.2〜1:4の範囲、より好ましくは、1:1.5〜1:4の範囲に選択する。すなわち、金属微細粉末と、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」の体積比を前記の範囲に選択することで、金属微細粉末を分散溶媒中に分散した、従来のペースト状金属微細粉末分散液と同様の粘性が得られる。従って、金属微細粉末を分散溶媒中に分散した、従来のペースト状金属微細粉末分散液を用いた際に達成される、塗布膜の膜厚と実質的に同じ膜厚の塗布膜を、本発明の導電性金属ペーストを用いて形成することができる。
本発明の導電性金属ペーストを利用して作製される、導電体膜は、該導電性金属ペースト中に含有される、金属微細粉末と金属ナノ粒子からなる焼結体で構成される。本発明の導電性金属ペースト中に含有される、金属微細粉末と金属ナノ粒子の体積比率の総和、(Vmetal-particle+Vnano-particle)は、通常、30体積%〜55体積%の範囲、好ましくは、35体積%〜55体積%の範囲、より好ましくは、40体積%〜55体積%の範囲に選択することが望ましい。
導電体膜の形成工程では、本発明の導電性金属ペーストを基体の表面に塗布して、塗布膜を形成し、該導電性金属ペーストの塗布膜に焼結処理を施し、焼結体型の導電体膜を作製する。前記導電性金属ペーストの塗布膜の膜厚tpaste-layer中に含まれる、金属微細粉末と金属ナノ粒子の体積比率の総和が(Vmetal-particle+Vnano-particle)であり、形成される焼結体の膜厚は、tpaste-layer×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/100体積%以上となる。すなわち、塗布膜の膜厚tpaste-layerとする時、作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerは、tpaste-layer>tconductive-layer>tpaste-layer×{(Vmetal-particle+Vnano-particle)/100体積%}の範囲となる。
膜厚tpaste-layer×{(Vmetal-particle+Vnano-particle)/100体積%}は、導電性金属ペーストの塗布膜の膜厚tpaste-layer中に含まれる、金属微細粉末と金属ナノ粒子が、バルク金属に変換された状態に相当している。実際の焼結体では、バルク金属に変換されることはなく、焼結体中における金属成分の体積比率は、(tpaste-layer/tconductive-layer)×{(Vmetal-particle+Vnano-particle)/100体積%}×100体積%、すなわち、(tpaste-layer/tconductive-layer)×(Vmetal-particle+Vnano-particle)となっている。
金属微細粉末を構成する金属の抵抗率をρmetal-particle、金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率をρnano-particleと表記すると、金属微細粉末と金属ナノ粒子が同一の金属種で構成されている場合、ρmetal-particle=ρnano-particle=ρmetalとなる。その場合、形成される焼結体型導電体膜の体積固有抵抗率ρconductive-layerは、ρconductive-layer>ρmetal/{(tpaste-layer/tconductive-layer)×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/100体積%}の範囲となっている。
本発明の導電性金属ペーストでは、形成される焼結体型導電体膜において、金属微細粉末相互が密に積層した構造中、金属微細粉末相互の隙間に金属ナノ粒子が充填された状態を達成する。そのため、利用する金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleに対して、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleを、(1/10・dmetal-particle)≧dnano-particle≧(1/100・dmetal-particle)の範囲、好ましくは、(1/20・dmetal-particle)≧dnano-particle≧(1/100・dmetal-particle)の範囲、より好ましくは、(1/30・dmetal-particle)≧dnano-particle≧(1/100・dmetal-particle)の範囲に選択する。
上記の範囲に、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleと金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-particleの比を選択すると、金属微細粉末相互の隙間、特には、金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間に、金属ナノ粒子を密に充填した状態で、焼結体を形成することが可能となる。金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間は、「楔状」の隙間となっているが、平均粒子径を上記の範囲に選択した金属ナノ粒子は、この「楔状」の隙間の奥深くまで侵入することが可能であり、該「楔状」の隙間に金属ナノ粒子が密に充填した状態とすることが可能である。
導電性金属ペーストの塗布膜に焼結処理を施す過程では、焼結処理温度に加熱すると、導電性金属ペースト中に含有される分散溶媒が徐々に蒸散する。金属微細粉末相互が密に積層した構造中の隙間は、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」により浸潤された状態となっている。特に、金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間には、毛管現象により、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」が保持されている。金属微細粉末相互の隙間に浸潤している「金属ナノ粒子分散液」中に分散されている、金属ナノ粒子は、分散溶媒の蒸散に伴って、金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間に効率的に濃縮され、充填される。金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間に密に充填された金属ナノ粒子が低温焼結すると、二つの金属微細粉末相互が、この金属ナノ粒子の低温焼結体を介して、固定、連結された状態となる。
また、二つの金属微細粉末相互は、金属ナノ粒子の低温焼結体を介して、電気的にも連結されるため、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗は、金属ナノ粒子の低温焼結体を介する電気伝導の寄与によって、大幅に低減される。実際、焼結体型導電体膜の体積固有抵抗率ρconductive-layerは、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactと、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleの合計で近似される(ρconductive-layer≒Σρcontact+Σρparticle)。
金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleは、使用する金属微細粉末を構成する金属の抵抗率と、金属微細粉末相互が密に積層した構造における、金属微細粉末の充填密度に依存している。例えば、金属微細粉末が最密充填されている状態となると、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleは最小となる。
一方、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactは、金属微細粉末相互が接する部位の実効的な接触面積に依存している。従って、金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間に、金属ナノ粒子の低温焼結体が充填された状態となると、金属ナノ粒子の低温焼結体を介する電気伝導の寄与によって、実効的な接触面積が拡大され、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗は大幅に低減される。この金属ナノ粒子の低温焼結体を介する電気伝導の寄与は、金属微細粉末の体積比率Vmetal-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比、(Vmetal-particle:Vnano-particle)と、金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率に依存する。
前記金属微細粉末相互が接する部位の周囲の狭い隙間に、金属ナノ粒子が密に充填される状態を達成するため、本発明の導電性金属ペーストでは、金属微細粉末の体積比率をVmetal-particleと、金属ナノ粒子の体積比率をVnano-particleの比:(Vmetal-particle:Vnano-particle)は、90:10〜60:40の範囲、好ましくは、80:20〜65:35の範囲に選択する。
一方、形成される焼結体型導電体膜の膜厚は、金属微細粉末相互が密に積層した構造の表面に露呈する金属微細粉末自体に起因する凹凸によって、面内のバラツキを示す。従って、作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerに対する、前記膜厚の面内バラツキΔtconductive-layerは、使用する金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleの1/3程度となる。作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerに対する、前記膜厚の面内バラツキΔtconductive-layerの比:(Δtconductive-layer/tconductive-layer)は、(Δtconductive-layer/tconductive-layer)<1/8とすることが望ましい。Δtconductive-layer≒1/3・dmetal-particleであるので、(1/3・dmetal-particle/tconductive-layer)<1/8とすることが望ましい。換言すると、使用する金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを、作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerに対して、(1/3・tconductive-layer)≧dmetal-particleの範囲に選択することが望ましい。
一方、使用する金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを、作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerを基準として、その1/100(1/100・tconductive-layer)以下に選択すると、金属微細粉末相互が接する部位の密度が高くなり、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactが相対的に増加する要因となる。従って、使用する金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを、作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerに対して、dmetal-particle≧(1/100・tconductive-layer)の範囲に選択することが望ましい。
上記の二つの条件を考慮して、本発明の導電性金属ペーストでは、作製される導電体膜の膜厚tconductive-layerを基準として、使用する金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを、(1/3・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/100・tconductive-layer)の範囲、好ましくは、(1/5・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/100・tconductive-layer)の範囲、より好ましくは、(1/10・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/50・tconductive-layer)の範囲に選択することが望ましい。
本発明の導電性金属ペーストは、目標とする導電体膜の膜厚tconductive-layerを、50μm≧tconductive-layer≧10μmの範囲に選択する際、その作製に利用することを目的としている。従って、目標とする導電体膜の膜厚tconductive-layerに応じて、前記金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを、0.3μm〜6μmの範囲、好ましくは、0.5μm〜5μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、本発明の導電性金属ペーストの液相部分に相当する「金属ナノ粒子分散液」は、導電性金属ペースト中に含有される、体積比率Vnano-particleの金属ナノ粒子、体積比率Vcoating-moleculeの被覆剤分子、体積比率Vsolventの分散溶媒で構成されている。該「金属ナノ粒子分散液」では、金属ナノ粒子は、その表面に被覆剤分子層が形成された状態で、分散溶媒中に均一に分散されている。
金属ナノ粒子は、焼結処理の際、その表面に形成されている被覆剤分子層が除去され、分散性を失うと、近くに存在する金属微細粉末の表面上に付着する。金属微細粉末の表面上に付着した金属ナノ粒子を核として、さらに、金属ナノ粒子が凝集して、金属ナノ粒子の凝集体が形成され、その後、金属ナノ粒子相互の融合(低温焼結)が進行して、金属ナノ粒子の低温焼結体が形成される。
前記金属ナノ粒子相互の融合(低温焼結)を進行させるため、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-particleは、一般に、1nm〜100nmの範囲、好ましくは、2nm〜50nmの範囲、より好ましくは、3nm〜20nmの範囲に選択することが望ましい。
例えば、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを、0.3μm〜6μmの範囲、好ましくは、0.5μm〜5μmの範囲に選択する際、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-particleを、1nm〜100nmの範囲、好ましくは、2nm〜50nmの範囲に選択することで、上記の(1/10・dmetal-particle)≧dnano-particle≧(1/100・dmetal-particle)の条件を満たすことが可能である。
一方、「金属ナノ粒子分散液」自体は、金属微細粉末を均一に分散させる「液相」として機能する必要があり、一定水準以下の液粘度、具体的には、100mPa・s以下の液粘度、好ましくは、100mPa・s〜10mPa・sの範囲、より好ましくは、90mPa・s〜20mPa・sの範囲であることが望ましい。従って、金属ナノ粒子とその被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子の体積比率の和:(Vnano-particle+Vcoating-molecule)と、分散溶媒の体積比率Vsolventの比(Vnano-particle+Vcoating-molecule):Vsolventは、1:0.7〜1:3の範囲、好ましくは、1:0.8〜1:3の範囲に選択することが望ましい。
金属微細粉末と金属ナノ粒子は、焼結体型導電体膜を形成する金属成分である。本発明の導電性金属ペーストでは、金属微細粉末として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属微細粉末、あるいは、前記一種の金属からなる金属微細粉末を、二種以上を混合した、二種以上の金属種からなる金属微細粉末の混合物を使用することができる。また、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、二種以上の金属種からなる合金からなる金属微細粉末を利用することもできる。
なお、金の抵抗率は2.35μΩ・cm(20℃)、密度は19.32g/cm3;銀の抵抗率は1.59μΩ・cm(20℃)、密度は10.49g/cm3;銅の抵抗率は1.673μΩ・cm(20℃)、密度は8.95g/cm3;白金の抵抗率は、9.85μΩ・cm(20℃)、密度は21.41g/cm3;パラジウムの抵抗率は、9.93μΩ・cm(20℃)、密度は11.99g/cm3;ニッケルの抵抗率は、6.89μΩ・cm(20℃)、密度は8.908g/cm3である。
本発明の導電性金属ペーストでは、金属ナノ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属ナノ粒子、あるいは、前記一種の金属からなる金属ナノ粒子を、二種以上を混合した、二種以上の金属種からなる金属ナノ粒子の混合物を使用することができる。また、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、二種以上の金属種からなる合金からなる金属ナノ粒子を利用することもできる。
本発明の導電性金属ペーストでは、金属微細粉末を構成する金属種と、金属ナノ粒子を構成する金属種の組み合わせは、焼結体型導電体膜の使用用途に応じて、適宜選択することができる。例えば、前記金属微細粉末は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属微細粉末であり、前記金属ナノ粒子は、該金属ナノ粒子を構成する金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属ナノ粒子であり、前記金属微細粉末を構成する金属種と、前記金属ナノ粒子を構成する金属種は、同一の金属種である形態とすることができる。
金属ナノ粒子の表面に形成されている被覆剤分子層は、「金属ナノ粒子分散液」中に金属ナノ粒子を均一に分散した状態を維持するために利用される。すなわち、金属ナノ粒子の表面は、該被覆剤分子層で被覆されているため、分散溶媒中において、金属ナノ粒子の金属表面が直接接触し、融着を起こすことを防止している。また、被覆剤分子層を形成している被覆剤分子は、分散溶媒に対して、親和性を示すので、この分散溶媒に対する親和性を利用して、金属ナノ粒子の分散性を高めている。さらに、金属ナノ粒子の表面は、該被覆剤分子層で被覆されているため、金属ナノ粒子の金属表面は、酸化を受けない状態に保たれる。
本発明の導電性金属ペースト中に含有される、被覆剤分子の体積比率Vcoating-moleculeと、金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比:(Vnano-particle:Vcoating-molecule)は、一般に、1:0.1〜1:3の範囲、好ましくは、1:0.2〜1:2.5の範囲に選択することが望ましい。
本発明の導電性金属ペースト中に含有される、被覆剤分子は、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成し、該被覆剤分子層を利用することで、分散溶媒中に金属ナノ粒子は分散されている。前記被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子は、前記金属ナノ粒子の表面との非共有結合的に分子間結合の形成に利用される原子団として、アミノ基またはカルボキシル基を有し、後述の炭化水素溶媒またはアルコール溶媒中の炭化水素基と親和性を有する炭化水素基と、前記アミノ基またはカルボキシル基で構成される有機化合物であって、その沸点が130℃〜250℃の範囲のアミノ基またはカルボキシル基を有する有機化合物からなる群より選択される。特に、該被覆剤分子の沸点は、130℃〜250℃の範囲、好ましくは、150℃〜250℃の範囲、より好ましくは、150℃〜240℃の範囲に選択される。
一方、本発明の導電性金属ペーストでは、分散溶媒は、沸点が150℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒からなる群、あるいは、沸点が150℃〜300℃の範囲のアルコール溶媒より選択される。特に、分散溶媒の沸点は、150℃〜300℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、170℃〜280℃の範囲に選択する。
例えば、沸点が150℃〜300℃の範囲の炭化水素溶媒には、沸点が150℃〜300℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒と、沸点が150℃〜300℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒が含まれる。沸点が150℃〜300℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒の一例として、沸点が150℃〜300℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒を挙げることができる。沸点が150℃〜300℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒の例として、具体的に、メシチレン(沸点164.73℃)を挙げることができる。
また、分散溶媒として利用可能な、沸点が150℃〜300℃の範囲のアルコール溶媒の例として、具体的に、1−デカノール(沸点231℃)を挙げることができる。
例えば、分散溶媒を、沸点が150℃〜300℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、170℃〜280℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒からなる群より選択することができる。
本発明の導電性金属ペーストにおいて、好適に利用可能な分散溶媒として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント5号(平均密度0.82g/cm3、沸点275℃)などを挙げることができる。
被覆剤分子として利用される前記アミノ基を有する有機化合物中に存在する、アミノ基は、該アミノ基の窒素原子の有する孤立電子対により、金属原子に配位的な結合が可能であり、前記金属ナノ粒子の表面に非共有結合的に分子間結合の形成に利用される原子団として機能する。一方、カルボキシル基(−COOH)を有する有機化合物は、例えば、金属ナノ粒子を構成する金属種の金属カチオン種(M+)と、カルボン酸金属塩(−COO-M+)型のイオン結合を形成した上で、該カルボン酸金属塩(−COO-M+)部位を利用して、金属ナノ粒子表面の金属原子との間で、非共有結合的な分子間結合を形成することができる。あるいは、カルボキシル基(−COOH)を有する有機化合物は、金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、そのカルボキシル基(−COOH)に起因する、クーロン力的な相互作用を介して、分子間結合を形成する場合もある。
被覆剤分子は、導電性金属ペーストの塗布膜を加熱し、焼結処理を行う際には、金属ナノ粒子表面から離脱した後、最終的には、分散溶媒とともに、蒸散することが可能であることが必要である。従って、150℃〜250℃の範囲に選択される焼結処理時の加熱温度に対して、その沸点が、130℃〜250℃の範囲、好ましくは、150℃〜250℃の範囲、より好ましくは、150℃〜240℃の範囲であるものは、分散溶媒とともに、蒸散させることが可能である。
前記アミノ基を有する有機化合物、例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C12の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが利用できる。具体的には、炭素数8のアルキルアミンである、オクチルアミン(沸点188℃)、炭素数10のアルキルアミンである、デシルアミン(沸点220.5℃)、炭素数12のアルキルアミンである、ドデシルアミン(沸点247℃)は、実際に沸点150℃〜250℃の条件を満たしている。例えば、前記C8〜C12の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
一般に、金属ナノ粒子表面の金属原子に対して、配位的な結合を形成する上では、第一級アミン型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級アミン型、ならびに、第三級アミン型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジアミン型、1,3−ジアミン型など、近接する二以上のアミノ基が結合に関与する化合物も利用可能である。また、ポリオキシアルキレンアミン型のエーテル型のオキシ基(−O−)を鎖中に含む、鎖状のアミン化合物を用いることもできる。その他、末端のアミノ基以外に、親水性の末端基、例えば、ヒドロキシル基を有するヒドロキシアミン化合物、例えば、ジエタノールアミンなどを利用することもできる。
被覆剤分子として利用可能な、カルボキシル基(−COOH)を有する有機化合物の代表として、アルカン酸などの脂肪族カルボン酸(R−COOH)を挙げることができる。被覆剤分子として、脂肪族カルボン酸中、例えば、アルカン酸として、炭素数がC4〜C10の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にカルボキシル基(−COOH)を有するものが利用できる。具体的には、炭素数4のアルカン酸である、ブタン酸(酪酸、沸点163.5℃)、イソ酪酸(ジメチル酢酸、沸点152〜155℃)、炭素数8のアルカン酸である、オクタン酸(沸点227℃)、2−エチルヘキサン酸(沸点228℃)は、実際に沸点150℃〜240℃の条件を満たしている。また、炭素数10のアルカン酸である、ネオデカン酸(沸点243℃)は、沸点150℃〜250℃の条件を満たしている。加えて、前記炭素数がC4〜C10の範囲のアルカン酸自体は、熱的な安定性もあり、また、室温付近の蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
該被覆剤分子は、アミノ基またはカルボキシル基を利用して、金属ナノ粒子の表面の金属原子に対して、非共有結合的な分子間結合を形成することで、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している。被覆剤分子として利用する有機化合物は、アミノ基またはカルボキシル基と、炭化水素基とで構成されている。該炭化水素基の部分は、分散溶媒として利用する炭化水素溶媒、あるいは、アルコール溶媒の炭化水素基部分に対して、親和性を示す。従って、含有される被覆剤分子の一部は、分散溶媒中に溶解しており、金属ナノ粒子の表面に形成される被覆剤分子層を構成する被覆剤分子と、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子は、平衡状態となっている。液温度Tにおいて、被覆剤分子層を構成する被覆剤分子の面密度Ccoating(T)と平衡する、分散溶媒中に溶解している被覆剤分子の濃度をCcoating-molecule-eq.(T)と表記する。分散溶媒中には、この平衡濃度Ccoating-molecule-eq.(T)となるように、分散溶媒中に被覆剤分子が溶解している。
室温付近では、金属ナノ粒子の表面は、被覆剤分子層で完全に被覆されており、液温度Tにおける、分散溶媒中における、被覆剤分子の飽和溶解度Ccoating-molecule-saturate.(T)と、前記平衡濃度Ccoating-molecule-eq.(T)は、実質的に等しくなっている。具体的には、飽和溶解度Ccoating-molecule-saturate.(T)を超えると、余剰の被覆剤分子は、金属ナノ粒子の表面に形成される被覆剤分子層を更に覆うように析出している。一方、飽和溶解度Ccoating-molecule-saturate.(T)を下回ると、被覆剤分子層を更に覆うように析出している被覆剤分子は溶出し、分散溶媒中濃度を飽和溶解度Ccoating-molecule-saturate.(T)まで上昇させる。
被覆剤分子は、金属原子に対して、配位的な結合することができるため、金属ナノ粒子の表面に加えて、本発明の導電性金属ペースト中に含有されている、金属微細粉末の表面に露呈する金属原子にも、配位的な結合をすることができる。本発明の導電性金属ペーストにおいては、金属微細粉末の表面に露呈する金属原子に結合する被覆剤分子の総量が過多とならないように、導電性金属ペースト中に含有される、金属微細粉末の表面積の総和ΣSmetal-particleと、金属ナノ粒子自体の表面積の総和ΣSnano-particleの比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)を、1:3〜1:60の範囲、好ましくは、1:5〜1:40の範囲に選択することが望ましい。
なお、金属微細粉末の体積比率Vmetal-particleと金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particle、ならびに、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleと金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleを考慮すると、比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)は、ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle≒(Vmetal-particle/dmetal-particle):(Vnano-particle/dnano-particle)と見積もられる。9≧(Vmetal-particle/Vnano-particle)≧(11/9)、100≧(dmetal-particle/dnano-particle)≧10の条件を満たす際、比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)は、1:(10/9)〜1:(100/(11/9))の範囲となる。
従って、比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)が、1:3〜1:60の範囲、好ましくは、1:5〜1:40の範囲となるように、(Vmetal-particle/Vnano-particle)と(dmetal-particle/dnano-particle)の組み合わせを、9≧(Vmetal-particle/Vnano-particle)≧(11/9)、100≧(dmetal-particle/dnano-particle)≧10の範囲から選択することが望ましい。
前記比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)を、1:3〜1:60の範囲、好ましくは、1:5〜1:40の範囲に選択することで、金属微細粉末の表面に露呈する金属原子に配位的に結合する被覆剤分子の総量が過多とならない状態が達成できる。具体的には、被覆剤分子が金属微細粉末の表面にも結合するため、金属ナノ粒子の表面に密な被覆剤分子層を形成することが困難となる状態を防止できている。
従って、本発明の導電性金属ペーストにおいては、分散溶媒中に、その表面の密な被覆剤分子層が形成されている金属ナノ粒子、ならびに、その表面を被覆剤分子で覆われている金属微細粉末が分散されている状態となっている。
該導電性金属ペーストの塗布膜に焼結処理を施す過程では、液温度が上昇すると、金属微細粉末の表面を覆っている被覆剤分子は、分散溶媒中に溶出され、金属微細粉末の沈降が進み、金属微細粉末が緻密に積層した構造が形成される。また、金属ナノ粒子の表面を被覆している、被覆剤分子層を構成する被覆剤分子の溶出も進行し、被覆剤分子層を失った金属ナノ粒子は、近くに存在する金属微細粉末の表面に付着する。金属微細粉末の表面に付着した金属ナノ粒子を核として、さらに、金属ナノ粒子の付着、凝集が進む。
金属微細粉末相互が接する部位では、両者の間には「楔状」の隙間が形成されているため、二つの金属微細粉末の表面に付着する金属ナノ粒子の凝集層が一体化して、かかる「楔状」の隙間を埋め込む状態となる。すなわち、金属微細粉末相互が接する部位の周囲に存在する、「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子が密に充填した状態となる。
焼結処理が進行する間、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」は、金属微細粉末が緻密に積層した構造の隙間に浸潤した状態が維持されている。分散溶媒の蒸散は進行して、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」の液量が減少しても、金属微細粉末相互が接する部位は、狭い隙間を構成しているため、毛管現象によって、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」がこの狭い隙間を満たした状態が維持される。この状況も、金属微細粉末相互が接する部位の周囲に存在する、「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子が密に充填した状態とする上で、貢献している。
加えて、液相に相当する「金属ナノ粒子分散液」は、金属微細粉末が緻密に積層した構造の隙間に浸潤した状態を維持されているため、その隙間では、分散溶媒と溶出した被覆剤分子の混合液中で、金属ナノ粒子の低温焼結が進行する。従って、焼結処理を大気中で行っても、大気中に含まれる酸素分子は、該混合液中に溶解することはなく、金属ナノ粒子の酸化、ならびに、金属微細粉末表面の酸化は効果的に防止されている。特に、金属微細粉末相互が接する部位の周囲に存在する、「楔状」の隙間は、混合液が最後まで被覆した状態に保たれるため、酸化を影響は排除された状態で、金属ナノ粒子の低温焼結体の形成が進行する。
最終的に形成される、焼結体型導電体層は、金属微細粉末が緻密に積層した構造を骨格として、該構造を構成する金属微細粉末の表面を被覆するように、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層が形成された状態となっている。従って、金属微細粉末が緻密に積層した構造は、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層によって、連結、固定化され、全体として、焼結体型導電体層を形成している。その際、金属微細粉末相互が接する部位は、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態となっており、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactの低減がなされている。
金属微細粉末表面を被覆するように形成される、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層の平均厚さΔtnano-particleは、金属微細粉末の体積比率Vmetal-particleと金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle/Vnano-particle)と、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleに依存している。すなわち、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層の平均厚さΔtnano-particleは、(dmetal-particle+2Δtnano-particle)3:(dmetal-particle)3≒(Vmetal-particle+Vnano-particle):(Vmetal-particle)の関係を満足している。従って、近時的に、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層の平均厚さΔtnano-particleと、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleの比、(Δtnano-particle/dmetal-particle)は、(Δtnano-particle/dmetal-particle)≒1/6・(Vnano-particle/Vmetal-particle)と表すことができる。金属微細粉末の体積比率Vmetal-particleと金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle/Vnano-particle)は、少なくとも、9≧(Vmetal-particle/Vnano-particle)≧(11/9)の範囲であるので、比(Δtnano-particle/dmetal-particle)は、凡そ、1/6・(9/11)≧(Δtnano-particle/dmetal-particle)≧1/6・(1/9)の範囲となっている。
含有されている金属ナノ粒子を利用して、平均厚さΔtnano-particleの金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層を形成する上では、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleは、dnano-particle<Δtnano-particleの範囲、好ましくは、dnano-particle<1/2・(Δtnano-particle)の範囲に選択することが望ましい。すなわち、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleと金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleの比(dnano-particle/dmetal-particle)を、(dnano-particle/dmetal-particle)<(Δtnano-particle/dmetal-particle)の範囲、好ましくは、(dnano-particle/dmetal-particle)<1/2・(Δtnano-particle/dmetal-particle)の範囲することが望ましい。換言すると、1/6・(9/11)≧(Δtnano-particle/dmetal-particle)≧1/6・(1/9)の条件に対応させて、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleと金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleの比(dnano-particle/dmetal-particle)を、1/10≧(dnano-particle/dmetal-particle)≧1/100の範囲、好ましくは、1/20≧(dnano-particle/dmetal-particle)≧1/100の範囲、より好ましくは、1/30≧(dnano-particle/dmetal-particle)≧1/100の範囲に選択することが望ましい。
特に、金属微細粉末相互が接する部位の周囲に存在する、「楔状」の隙間に金属ナノ粒子を密に充填するためには、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleと金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleの比(dnano-particle/dmetal-particle)を、1/10≧(dnano-particle/dmetal-particle)≧1/100の範囲、好ましくは、1/20≧(dnano-particle/dmetal-particle)≧1/100の範囲、より好ましくは、1/30≧(dnano-particle/dmetal-particle)≧1/100の範囲に選択することが望ましい。
本発明の導電性金属ペーストを利用して作製される、焼結体型導電体層では、金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態とし、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactを低減することで、焼結体型導電体層全体の体積固有抵抗率ρconductive-layer(ρconductive-layer≒Σρcontact+Σρparticle)中、主に、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactを低減している。加えて、金属微細粉末の表面を被覆するように、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層が形成されるため、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleに相当する部分に若干低減される。この金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleに相当する部分の抵抗低減の程度は、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleと金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率ρnano-particle、ならびに、金属微細粉末の体積比率Vmetal-particleと金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle/Vnano-particle)に依存する。個々の金属微細粉末を流れる電流量imetal-particle自体は、実質的に変化しないが、金属微細粉末の表面を被覆するように、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層が形成されるため、電流の一部は金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層を流れる結果、核部分の金属微細粉末内部の電流密度(∂imetal-particle/∂S)が減少する。なお、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層の実効的な抵抗率ρnano-particle-eff.は、金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率ρnano-particleの凡そ2倍程度と見積もられる。従って、核部分の金属微細粉末内部の電流密度(∂imetal-particle/∂S)の減少比率は、凡そ、(Vmetal-particle/ρmetal-particle)/{(Vmetal-particle/ρmetal-particle)+(Vnano-particle/2ρnano-particle)}程度と見積もられる。従って、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleに相当する部分の抵抗の低減比率も、凡そ、(Vmetal-particle/ρmetal-particle)/{(Vmetal-particle/ρmetal-particle)+(Vnano-particle/2ρnano-particle)}程度と見積もられる。
例えば、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleと金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率ρnano-particleが等しい場合、具体的には、金属微細粉末を構成する金属と金属ナノ粒子を構成する金属が同一の金属である場合、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleに相当する部分の抵抗の低減比率は、凡そ、Vmetal-particle/(Vmetal-particle+(Vnano-particle/2)}=1/{1+1/2・(Vnano-particle/Vmetal-particle)}程度と見積もられる。
なお、金属微細粉末の表面が極薄い酸化膜で被覆されている状態となっている場合には、この金属微細粉末の極薄い表面酸化膜をトンネルして電流が流れる必要がある。その場合、極薄い表面酸化膜を通過して、金属微細粉末から、その表面を被覆している金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層へ滲みだす電流量は減少するため、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleに相当する部分の抵抗の低減効果は、減少する。
また、金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態とし、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactを低減する効果も、金属微細粉末の表面が極薄い酸化膜で被覆されている状態となっている場合には、大幅に減少する。
従って、本発明の導電性金属ペーストで使用する金属微細粉末は、実質的にその表面は極薄い酸化膜で被覆されていないことが望ましい。
金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態とし、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactを低減する効果は、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層の平均厚さΔtnano-particleと金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleの比(Δtnano-particle/dmetal-particle)に依存している。すなわち、比(Δtnano-particle/dmetal-particle)が増すと、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactを低減する効果も増大する。
具体的には、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactは、金属微細粉末相互が接する部位の実効的な接触面積Scontact-eff.に依存している。金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態となると、金属微細粉末相互が接する部位の実効的な接触面積Scontact-eff.が拡大する結果、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactが低減される。
一般に、金属微細粉末相互が接する部位の実効的な接触面積Scontact-eff.は、該接触部位の実効的な曲率半径reff.に依存している。金属微細粉末が球形である場合、前記接触部位の実効的な曲率半径reff.は、通常、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleを用いて、reff.≒1/2・dmetal-particleと近似できる。ある係数αを用いて、実効的な接触面積Scontact-eff.は、Scontact-eff.=α・π(reff.)2≒α・π(dmetal-particle/2)2と近似的に表すことができる。
金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態となると、充填されている金属ナノ粒子の低温焼結体部分も、金属微細粉末相互が接する部位の実効的な接触に利用されるため、実効的な接触面積Scontact-eff.が拡大する。例えば、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleと金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率ρnano-particleが等しい場合、具体的には、金属微細粉末を構成する金属と金属ナノ粒子を構成する金属が同一の金属である場合、金属微細粉末が球形である際には、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層により、見かけの金属微細粉末の平均的な粒子径が、(dmetal-particle+2Δtnano-particle)となっており、実効的な接触面積Scontact-eff.は、少なくとも、Scontact-eff.>α・π{(dmetal-particle+2Δtnano-particle)/2}2程度に増加している。従って、実効的な接触面積Scontact-eff.の増加比率は、少なくとも、{1+4(Δtnano-particle/dmetal-particle)}以上となっている。従って、該金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactの低減比率は、少なくとも、1/{1+4(Δtnano-particle/dmetal-particle)}以上となっている。比(Δtnano-particle/dmetal-particle)は、(Δtnano-particle/dmetal-particle)≒1/6・(Vnano-particle/Vmetal-particle)と表すことができるので、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗ρcontactの低減比率は、少なくとも、1/{1+2/3・(Vnano-particle/Vmetal-particle)}以上となっていると見積もられる。
上記の見積もりからも、焼結体型導電体層では、金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態とすることによる、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactの低減効果は、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleの低減効果よりも、焼結体型導電体層全体の体積固有抵抗率ρconductive-layer(ρconductive-layer≒Σρcontact+Σρparticle)の低減により重要な貢献を示すと考えられる。
なお、金属微細粉末が球形ではなく、例えば、扁平化している場合、その扁平化した部位に接触部位があると、該接触部位の実効的な曲率半径reff.は、通常、金属微細粉末の平均粒子径dmetal-particleに対して、reff.>1/2・dmetal-particleとなっている。その場合、該扁平化した部位にある接触部位の実効的な接触面積Scontact-eff.は、Scontact-eff.=α・π(reff.)2>α・π(dmetal-particle/2)2となっていると見積もられる。例えば、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleと金属ナノ粒子を構成する金属の抵抗率ρnano-particleが等しい場合、具体的には、金属微細粉末を構成する金属と金属ナノ粒子を構成する金属が同一の金属である場合、金属ナノ粒子の低温焼結体の被膜層により、見かけの曲率半径は、(reff.+Δtnano-particle)となっており、実効的な接触面積Scontact-eff.は、少なくとも、Scontact-eff.>α・π(reff.+Δtnano-particle)2程度に増加している。従って、実効的な接触面積Scontact-eff.の増加比率は、少なくとも、{1+2(Δtnano-particle/reff.)}以上となっている。その際、金属微細粉末が扁平化している場合、この扁平化した部位にある接触部位では、実効的な曲率半径reff.は、reff.>1/2・dmetal-particleとなっているので、{1+2(Δtnano-particle/reff.)}<{1+4(Δtnano-particle/dmetal-particle)}となっている。
その点を考慮すると、金属微細粉末が球形である場合と比較すると、金属微細粉末が扁平化している場合、金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態とすることによる、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactの低減効果は、相対的に劣っていると見積もることができる。
換言すると、金属微細粉末相互が接する部位において、その周囲の「楔状」の隙間を、金属ナノ粒子の低温焼結体が密に充填した状態とすることによる、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactの低減効果は、金属微細粉末が扁平化している場合よりも、金属微細粉末が球形である場合により顕著であると見積もられる。従って、本発明の導電性金属ペーストは、使用する金属微細粉末は球形である際、よりその効果が発揮されると見積もられる。
一方、焼結体型導電体層全体の体積固有抵抗率ρconductive-layer(ρconductive-layer≒Σρcontact+Σρparticle)に占める、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactと、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleの比率を比較すると、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleが高くなるとともに、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleの比率が増す。換言すると、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactの低減効果と、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleの低減効果を比較すると、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleが高くなるとともに、金属微細粉末自体の抵抗の総和Σρparticleの低減効果の重要さが増す。
上述したように、本発明の技術的な特徴は、金属微細粉末相互が接する部位の接触抵抗の総和Σρcontactの低減により有効である点にあり、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleが高くなるとともに、その技術的特徴は相対的に薄れることになる。換言するならば、本発明の技術的な特徴は、金属微細粉末を構成する金属の抵抗率ρmetal-particleがより低い場合に、より顕著になり、その観点では、より好ましい実施形態である。
なお、本発明の導電性金属ペーストは、その液粘度は、30Pa・s〜150Pa・sの範囲、好ましくは、30Pa・s〜100Pa・sの範囲であることが望ましい。前記の液粘度とすることにより、例えば、スクリーン印刷法を適用して、膜厚が30μmから、最大110μmに達する塗布膜を形成することが可能となる。該膜厚が110μmに達する塗布膜を利用することで、膜厚が50μmに達する導電性膜を作製することが可能となる。また、該膜厚が30μmに達する塗布膜を利用することで、膜厚が14μmに達する導電性膜を作製することが可能となる
本発明の導電性金属ペーストは、例えば、下記の手順に従って調製することができる。
利用される金属微細粉末は、所定の平均粒子径を有する限り、その外形形状は、球形に限らず、例えば、鱗片状のものを利用することができる。一般に、金属微細粉末は、平均粒子径dmetal-particleが小さくなると、液粘度の高い有機溶媒中に容易に浸漬することできない場合がある。
その点を考慮して、液粘度の低い有機溶媒中に予め金属微細粉末を混入して、該低粘度の有機溶媒中に均一に浸漬した状態とした後、溶媒置換により、目的とする分散溶媒中に分散した状態とする手法を採用することができる。
そのため、液粘度の低い有機溶媒中に、所定量の被覆剤分子と金属ナノ粒子を含有してなる、金属ナノ粒子の分散液を利用して、下記の手順に従って、導電性金属ペーストを調製することができる。
前記液粘度の低い有機溶媒中に、所定量の被覆剤分子と金属ナノ粒子を含有してなる、金属ナノ粒子の分散液では、含有される液粘度の低い有機溶媒として、分散溶媒と均一に混合でき、また、被覆剤分子の沸点、分散溶媒の沸点よりも、遥かに低い沸点を有する炭化水素溶媒を使用する。
前記金属ナノ粒子の分散液に、所定量の金属微細粉末を混合し、該金属微細粉末を液粘度の低い有機溶媒中に浸漬し、均一に混合した状態とする。さらに、該混合物に、所定量の分散溶媒を加え、混合して、分散溶媒と液粘度の低い有機溶媒を均一に混合する。得られる混合物は、所定量の金属微細粉末、所定量の被覆剤分子と金属ナノ粒子、所定量の分散溶媒と、前記液粘度の低い有機溶媒を含有する、均一な混合物となっている。この段階で、分散溶媒と液粘度の低い有機溶媒の混合溶媒中には、被覆剤分子の一部が溶解しており、金属微細粉末の表面に露呈している金属原子に、被覆剤分子が配位的に結合した状態となる。
次いで、該均一な混合物中に含まれる、液粘度の低い有機溶媒を減圧留去する。液粘度の低い有機溶媒は、被覆剤分子の沸点、分散溶媒の沸点よりも、遥かに低い沸点を有する炭化水素溶媒であるため、液粘度の低い有機溶媒を減圧留去する際、被覆剤分子、分散溶媒は、蒸散しない。結果的に、液粘度の低い有機溶媒の減圧留去を終えると、所定量の金属微細粉末、所定量の被覆剤分子と金属ナノ粒子、所定量の分散溶媒を含んでなる分散液が得られる。得られる分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、含有される金属微細粉末を均一に分散させることで、目的の導電性金属ペーストが調製される。
以下に、具体例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの具体例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、これら具体例の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例1の導電性銀ペーストは、下記の原料を用いて調製されている。
金属サブミクロン粒子として、湿式法で作製される銀微細粉末である、三井金属(株)製SPQ−03S(平均粒子径0.5μm)を使用する。
金属ナノ粒子分散液として、ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液を利用する。該分散液中に分散されている、Agナノ粒子の平均粒子径は、10nmである。このAgナノ粒子の表面には、被覆剤分子ドデシルアミンの表面被覆剤分子層が形成されている。該ヘプタン分散液の組成は、ヘプタン(沸点98.42℃)を60.8質量部、Agナノ粒子を35質量部、被覆剤分子ドデシルアミンを4.2質量部含んでいる。
高沸点の非極性有機溶剤として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント5号を使用する。該AFソルベント5号の沸点は、275℃である。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液8.6質量部(Ag固形分で3質量部)、三井金属(株)製SPQ−03S 7質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント5号0.6質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで留去する。ヘプタンを除去した後、得られる分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銀微細粉末を均一に分散させ、導電性銀ペーストを得る。
調製された導電性銀ペーストは、銀微細粉末SPQ−03S 7質量部当たり、Agナノ粒子3質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.36質量部、分散溶媒のAFソルベント5号0.6質量部を含有している。
その際、体積比率に換算すると、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleは31.3体積%、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleは13.4体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは21.0体積%、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventは34.3体積%となっている。従って、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleと、Agナノ粒子分散液の体積比率(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)の比、Vmetal-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、1:2.2となっている。その際、Agナノ粒子分散液中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleと被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeの和(Vnano-particle+Vcoating-molecule)と、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventの比、(Vnano-particle+Vcoating-molecule):Vsolventは、1:1となっている。
実施例1の導電性銀ペースト中における、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-particle+Vnano-particle)は、44.7体積%である。また、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle:Vnano-particle)は、70:30である。従って、金属微細粉末の表面積の総和ΣSmetal-particleと、金属ナノ粒子自体の表面積の総和ΣSnano-particleの比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)は、1:21.4と見積もられる。該導電性銀ペースト液粘度は、36Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された導電性銀ペーストを、スライドガラス上に、10mm×50mmのパターンで塗布した。該ペースト塗布膜の平均厚さは、30μmであった。該ペースト塗布膜を、大気下、250℃、60min加熱処理して、含まれている銀微細粉末とAgナノ粒子の焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、13.8μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、2.7μΩ・cmであった。
また、調製された導電性銀ペーストを、スライドガラス上に、10mm×50mmのパターンで塗布し、厚膜のペースト塗布膜を形成した。該厚膜のペースト塗布膜の平均厚さは、70μmであった。該厚膜のペースト塗布膜を、大気下、250℃、60min加熱処理して、含まれている銀粉末とAgナノ粒子の焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、33.5μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、2.7μΩ・cmであった。なお、金属銀の抵抗率は、1.59μΩ・cm(20℃)である。
上記の二つの条件において、焼成物の平均膜厚とペースト塗布膜の平均厚さの比は、13.8/30=0.46、33.5/70≒0.48と、ほぼ等しい。また、得られた焼成物の体積固有抵抗率は、測定誤差の範囲で一致している。従って、調製された導電性銀ペーストは、平均膜厚が30μm以上の導電体層の形成に利用でき、また、形成される導電体層の体積固有抵抗率は、金属銀の抵抗率の(2.7/1.59)=1.70倍となっている。
なお、平均膜厚13.8μmの焼成物中に含有される銀の体積比率は、30μm×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/13.8μm、すなわち、97.2体積%と見積もられ、また、平均膜厚33.5μmの焼成物に含有される銀の体積比率は、70μm×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/33.5μm、すなわち、93.4体積%と見積もられる。
(実施例2)
本実施例2の導電性銀ペーストは、下記の手順で調製されている。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液11.4質量部(Ag固形分で4質量部)、三井金属(株)製SPQ−03S 6質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント5号0.6質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで留去する。ヘプタンを除去した後、得られる分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銀微細粉末を均一に分散させ、導電性銀ペーストを得る。
調製された導電性銀ペーストは、銀微細粉末SPQ−03S 6質量部当たり、Agナノ粒子4質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.48質量部、分散溶媒のAFソルベント5号0.6質量部を含有している。
その際、体積比率に換算すると、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleは25.1体積%、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleは16.7体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは26.1体積%、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventは32.1体積%となっている。従って、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleと、Agナノ粒子分散液の体積比率(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)の比、Vmetal-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、1:3となっている。その際、Agナノ粒子分散液中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleと被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeの和(Vnano-particle+Vcoating-molecule)と、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventの比、(Vnano-particle+Vcoating-molecule):Vsolventは、1:0.75となっている。
実施例2の導電性銀ペースト中における、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-particle+Vnano-particle)は、41.8体積%である。また、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle:Vnano-particle)は、60:40である。従って、金属微細粉末の表面積の総和ΣSmetal-particleと、金属ナノ粒子自体の表面積の総和ΣSnano-particleの比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)は、1:33.3と見積もられる。該導電性銀ペースト液粘度は、31Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された導電性銀ペーストを、スライドガラス上に、10mm×50mmのパターンで塗布した。該ペースト塗布膜の平均厚さは、35μmであった。該ペースト塗布膜を、大気下、250℃、60min加熱処理して、含まれている銀微細粉末とAgナノ粒子の焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、16.2μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、3.1μΩ・cmであった。
上記の条件において、焼成物の平均膜厚とペースト塗布膜の平均厚さの比は、16.2/35=0.46となっている。また、形成される導電体層の体積固有抵抗率は、金属銀の抵抗率の(3.1/1.59)=1.95倍となっている。
なお、平均膜厚16.2μmの焼成物中に含有される銀の体積比率は、35μm×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/16.2μm、すなわち、90.3体積%と見積もられる。
(実施例3)
本実施例3の導電性銀ペーストは、下記の手順で調製されている。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液2.8質量部(Ag固形分で1質量部)、三井金属(株)製SPQ−03S 9質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント5号0.6質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで留去する。ヘプタンを除去した後、得られる分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銀微細粉末を均一に分散させ、導電性銀ペーストを得る。
調製された導電性銀ペーストは、銀微細粉末SPQ−03S 9質量部当たり、Agナノ粒子1質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.118質量部、分散溶媒のAFソルベント5号0.6質量部を含有している。
その際、体積比率に換算すると、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleは46.8体積%、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleは5.2体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは8.0体積%、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventは40.0体積%となっている。従って、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleと、Agナノ粒子分散液の体積比率(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)の比、Vmetal-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、1:1.1となっている。その際、Agナノ粒子分散液中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleと被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeの和(Vnano-particle+Vcoating-molecule)と、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventの比、(Vnano-particle+Vcoating-molecule):Vsolventは、1:3となっている。
実施例3の導電性銀ペースト中における、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-particle+Vnano-particle)は、52.0体積%である。また、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle:Vnano-particle)は、90:10である。従って、金属微細粉末の表面積の総和ΣSmetal-particleと、金属ナノ粒子自体の表面積の総和ΣSnano-particleの比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)は、1:5.6と見積もられる。該導電性銀ペースト液粘度は、47Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された導電性銀ペーストを、スライドガラス上に、10mm×50mmのパターンで塗布した。該ペースト塗布膜の平均厚さは、35μmであった。該ペースト塗布膜を、大気下、250℃、60min加熱処理して、含まれている銀微細粉末とAgナノ粒子の焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、18.9μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、3.7μΩ・cmであった。
上記の条件において、焼成物の平均膜厚とペースト塗布膜の平均厚さの比は、18.9/35=0.54となっている。また、形成される導電体層の体積固有抵抗率は、金属銀の抵抗率の(3.7/1.59)=2.32倍となっている。
なお、平均膜厚18.9μmの焼成物中に含有される銀の体積比率は、35μm×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/18.9μm、すなわち、96.3体積%と見積もられる。
(実施例4)
本実施例4の導電性銀ペーストは、下記の手順で調製されている。
ドデシルアミンを被覆剤分子としているハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液8.62質量部中に2−エチルヘキサン酸0.28質量部を添加し、被覆剤分子ドデシルアミンの一部を2−エチルヘキサン酸で置換したAgナノ粒子分散液8.9質量部(Ag固形分で3質量部)、三井金属(株)製SPQ−03S 7質量部、1−デカノール0.6質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで留去する。ヘプタンを除去した後、得られる分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銀微細粉末を均一に分散させ、導電性銀ペーストを得る。
調製された導電性銀ペーストは、銀微細粉末SPQ−03S 7質量部当たり、Agナノ粒子3質量部、その被覆剤分子の2−エチルヘキサン酸0.28質量部ならびにドデシルアミン0.36質量部、分散溶媒の1−デカノール0.6質量部を含有している。
その際、体積比率に換算すると、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleは27.4体積%、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleは11.7体積%、2−エチルヘキサン酸の体積比率Vcoating-molecule-acidは12.7体積%、ドデシルアミンの体積比率Vcoating-molecule-amineは18.4体積%、分散溶媒1−デカノールの体積比率Vsolventは29.8体積%となっている。なお、2−エチルヘキサン酸の体積比率Vcoating-molecule-acidとドデシルアミンの体積比率Vcoating-molecule-amineの和(Vcoating-molecule-acid+Vcoating-molecule-amine)、31.1体積%が、被覆剤分子の体積比率Vcoating-moleculに相当している。従って、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleと、Agナノ粒子分散液の体積比率(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)の比、Vmetal-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、1:2.6となっている。その際、Agナノ粒子分散液中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleと被覆剤分子(2−エチルヘキサン酸とドデシルアミン)の体積比率Vcoating-moleculeの和(Vnano-particle+Vcoating-molecule)と、分散溶媒1−デカノールの体積比率Vsolventの比、(Vnano-particle+Vcoating-molecule):Vsolventは、1:0.7となっている。
実施例4の導電性銀ペースト中における、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-particle+Vnano-particle)は、39.1体積%である。また、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比(Vmetal-particle:Vnano-particle)は、70:30である。従って、金属微細粉末の表面積の総和ΣSmetal-particleと、金属ナノ粒子自体の表面積の総和ΣSnano-particleの比(ΣSmetal-particle:ΣSnano-particle)は、1:21.4と見積もられる。該導電性銀ペースト液粘度は、33Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された導電性銀ペーストを、スライドガラス上に、10mm×50mmのパターンで塗布した。該ペースト塗布膜の平均厚さは、32μmであった。該ペースト塗布膜を、大気下、250℃、60min加熱処理して、含まれている銀微細粉末とAgナノ粒子の焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、13.1μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、2.9μΩ・cmであった。
上記の条件において、焼成物の平均膜厚とペースト塗布膜の平均厚さの比は、13.1/32=0.41となっている。また、形成される導電体層の体積固有抵抗率は、金属銀の抵抗率の(2.9/1.59)=1.82倍となっている。
なお、平均膜厚13.1μmの焼成物中に含有される銀の体積比率は、32μm×(Vmetal-particle+Vnano-particle)/13.1μm、すなわち、95.5体積%と見積もられる。
(比較例)
比較例の導電性銀ペーストは、Agナノ粒子を含有してなく、銀微細粉末を高沸点溶媒中に分散させたものである。該比較例の導電性銀ペーストは、下記の手順で調製されている。
三井金属(株)製SPQ−03S 10質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント5号0.6質量部を均一に混合する。得られる分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銀微細粉末を均一に分散させ、導電性銀ペーストを得る。
調製された導電性銀ペーストは、銀微細粉末SPQ−03S 10質量部当たり、分散溶媒のAFソルベント5号0.6質量部を含有している。
その際、体積比率に換算すると、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleは56.6体積%、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventは43.4体積%となっている。銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleと、分散溶媒AFソルベント5号の体積比率Vsolventの比、Vmetal-particle:Vsolventは、1:0.8となっている。
比較例の導電性銀ペースト中における、銀微細粉末SPQ−03Sの体積比率Vmetal-particleは、56.6体積%である。該導電性銀ペースト液粘度は、56Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された導電性銀ペーストを、スライドガラス上に、10mm×50mmのパターンで塗布した。該ペースト塗布膜の平均厚さは、40μmであった。該ペースト塗布膜を、大気下、250℃、60min加熱処理して、含まれている銀微細粉末とAgナノ粒子の焼成を行った。
得られた焼成物の平均膜厚は、25.8μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、4.4μΩ・cmであった。
上記の条件において、焼成物の平均膜厚とペースト塗布膜の平均厚さの比は、25.8/40=0.645となっている。また、形成される導電体層の体積固有抵抗率は、金属銀の抵抗率の(4.4/1.59)=2.77倍となっている。
なお、平均膜厚25.8μmの焼成物中に含有される銀の体積比率は、40μm×(Vmetal-particle)/25.8μm、すなわち、87.8体積%と見積もられる。
上記の実施例1〜実施例3の導電性銀ペーストを利用して形成される導電体層の体積固有抵抗率と比較し、該比較例の導電性銀ペーストを利用して形成される導電体層の体積固有抵抗率は有意に高くなっている。従って、銀微細粉末とAgナノ粒子を併用している、実施例1〜実施例3の導電性銀ペーストを利用して形成される導電体層では、銀微細粉末相互の隙間に、Agナノ粒子が充填された状態で焼結がなされ、その結果、導電体層の体積固有抵抗率の低下がなされていると判断される。