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JP2012115781A - 砒素を含む含銅物の選鉱方法 - Google Patents

砒素を含む含銅物の選鉱方法 Download PDF

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竜也 伊藤
Hidemasa Okamoto
秀征 岡本
Katsuya Kimura
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善之 田中
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Abstract

【課題】 砒素を含有する含銅物から浮遊選鉱法によって砒素鉱物を効率よく分離することができる含銅物の選鉱方法を提供する。
【解決手段】 砒素を含有する含銅物を粉砕し、水を加えて得たスラリーに、抑制剤、気泡剤及び捕収剤からなる浮選剤を添加し、カラム浮選機を使用して、空気吹き込み量をカラム内部の水平断面積で除した値(Jg値)が1.0〜3.0cm/secの範囲になるように空気吹き込み量を制御し、且つフロス洗浄水の流量とフロス中の水流量値の差をカラム内部の水平断面積で除した値(Jb値)が−0.1〜+0.1cm/secの範囲を維持するようにフロス洗浄水の流量を調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、浮遊選鉱により砒素等の不純物を含有する含銅物から不純物を分離して、高品位の銅精鉱を得る選鉱方法に関する。
銅精錬の分野では、銅を含有する銅鉱石や銅精鉱などの含銅物から銅を回収する様々な方法が提案されている。例えば、含銅物の一形態である硫化銅鉱石から銅を回収する場合、一般的に、選鉱工程、乾式製錬工程及び電解工程の各工程を経た処理が行われている。
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕し、水を加えてスラリーとした後、浮遊選鉱を行う。この浮遊選鉱工程では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加し、空気を吹き込んで銅を含む鉱物を浮遊させると同時に、脈石などの不純物を沈降させて分離する。この浮遊選鉱により、銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。得られた銅精鉱は次工程の乾式製錬工程に送られる。
次の乾式製錬工程では、上記選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉及び精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。この乾式製錬において、銅精鉱に含まれる砒素はスラグやダストや粗銅に分配される。スラグは水砕して埋立て材などに利用され、ダストは炉に繰り返される。また、銅精鉱に含まれる硫黄は亜硫酸ガスとして分離され、硫酸の原料となる。得られた粗銅はアノードに鋳造された後、次工程の電解工程に送られる。
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に上記アノードを装入し、カソードとの間に通電して電解精製を行う。この電解精製において、アノードの銅は溶解され、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出する。このとき、アノードに分配されていた砒素は電解液中に溶出する。溶出した砒素は、後の脱銅電解によって脱銅スライムとして回収される。この脱銅スライムは中間原料とされるか、若しくは炉に繰り返される。
上記乾式製錬工程においてスラグに分配された砒素は、安定した形態で固定されている。しかし、ダストや脱銅スライムに分配された砒素は不安定な形態であるため、そのままの状態で系外に払い出して処分することは望ましくない。そこで、これらのダストや脱銅スライムは、炉に繰り返されるか、別途処理される。こうして銅精鉱中の大部分の砒素分は最終的にスラグに分配され、安定した形態で固定化される。
ところで、近年では銅製錬の原料事情が変化し、銅鉱石中の不純物、特に砒素の品位が年々増加傾向にあり、選鉱工程で得られる銅精鉱中の砒素品位も徐々に高くなってきている。具体的に例示すると、以前の銅精鉱中の砒素品位は0.1〜0.2%程度であったが、近年では砒素品位が1%を超える場合も珍しくない。従って、銅精鉱の処理量が以前と同じであっても、砒素の含有量が増加しているため、砒素をスラグに固定する処理が追いつかない場合も生じてきた。
この問題を解決するために、スラグ処理設備を新設したり増強したりすることが考えられるが、多大の投資を必要とするためコストを増加させてしまう。そこで、銅鉱石から選鉱工程で銅精鉱を得る際に、効率よく砒素を分離除去することが検討されている。例えば、選鉱工程で砒素を分離除去して以前と同レベルの砒素品位の銅精鉱にすることができれば、スラグ処理のための投資が不要となり、砒素処理の負荷を以前のまま変更することなく操業することができる。
このような選鉱工程での効率的な砒素の分離除去に関して、特許文献1には、浮遊選鉱を用いて黄鉄鉱に含まれる硫砒鉄鉱を分離する方法が記載されている。この方法は、黄鉄鉱に亜硫酸水素ナトリウムなど亜硫酸水素イオンを含む硫酸系の抑制剤を添加し、更にスラリーのpHを8以下に維持し、且つスラリー温度を30℃以上として浮遊選鉱を行うことによって、黄鉄鉱と硫砒鉄鉱とを分離するものである。
しかしながら、この方法を銅鉱石や銅精鉱からの砒素の分離にそのまま適用することは困難である。なぜなら、例えば黄銅鉱や斑銅鉱などを主成分とする銅精鉱では、砒素は四面砒銅鉱((CuFe)12As13)や硫砒銅鉱(CuAsS)などの砒素鉱物として存在する場合が多く、これらの砒素鉱物は黄銅鉱や斑銅鉱などと似た浮遊特性を持つため、浮遊選鉱によって銅と砒素とを分離することが困難なためである。
また、特許文献2には、砒素を含む銅精鉱を対象として、銅精鉱を90〜120℃で加熱処理した後、銅の抑制剤としてヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム(黄血塩:K[Fe(CN)])を銅精鉱1トン(t)あたり10〜15kg添加し、浮遊選鉱することによって砒素鉱物を浮遊させ、沈降する黄銅鉱や斑銅鉱などと分離する方法が開示されている。
この方法では、加熱によって銅精鉱中の銅鉱物表面を酸化し、表面に不活性の酸化皮膜を形成することで、銅鉱物と砒素鉱物の表面化学的あるいは結晶化学的な状態に違いを生じさせ、後の浮遊選鉱における浮遊性に差を生じさせることにより両者の分離が可能になるものと考えられている。しかし、この方法を実操業で用いるためには、大量の銅精鉱を加熱するための設備とエネルギーが必要となり、そのためコストが著しく増加するという問題がある。
更に、特許文献3には、砒素を含む非鉄金属硫化鉱物を対象として、空気、過酸化水素、その他の酸化剤を添加し、ザンセートを捕収剤とし、ポリアミン及び硫黄化合物を抑制剤として、pH9〜10で浮選することにより砒素鉱物を分離する方法が示されている。しかし、この特許文献3には主として硫化ニッケル鉱と砒素鉱物との分離方法が述べられているだけで、銅鉱物と砒素鉱物との分離性については明らかにされていない。
一方、非特許文献1には、銅鉱物を含有するスラリーを過酸化水素で処理した後、硝酸ナトリウムを加えてpH5に調整し、浮遊選鉱を行う方法が記載されている。また、同じ非特許文献1には、銅鉱物に過酸化水素とEDTAを添加した後、水酸化カリウムでpH11に調整して、浮遊選鉱を行う方法も提案されている。しかし、これら二つの方法は、劇物を使用するなど取扱い時の安全性やコストの点で問題があった。
米国特許第5171428号明細書 特開2006−239553号公報 米国特許第7004326号明細書
D.Fornasiero,D.Fullston,C.Li and J.Ralston、「Mineral Processing」,61(2001),p.109−119
上述したように、従来の技術では、浮遊選鉱法を用いて含銅鉱物から砒素鉱物を高効率で分離することは困難であった。また、従来の技術は主に鉱物自体の浮遊性の差に着目したものであり、特定の鉱物を分離するために浮選機の形状や気泡の発生量などを最適化することは行われていなかった。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、砒素を含有する含銅物から浮遊選鉱法によって砒素鉱物を効率よく分離することができる含銅物の選鉱方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する含銅物の選鉱方法は、浮遊選鉱により砒素を含有する含銅物から砒素鉱物を分離して、高品位の銅精鉱を回収する含銅物の選鉱方法であって、砒素を含有する含銅物を粉砕し、水を加えてスラリー化した後、得られたスラリーに抑制剤、気泡剤及び捕収剤からなる浮選剤を添加し、カラム浮選機を使用して、空気吹き込み量をカラム内部の水平断面積で除した値(Jg値)が1.0〜3.0cm/secの範囲となるように該浮選機に供給する空気吹き込み量を制御し、且つフロス洗浄水の流量とフロス中の水流量値の差をカラム内部の水平断面積で除した値(Jb値)が−0.1〜+0.1cm/secの範囲を維持するように該浮選機に供給するフロス洗浄水の流量を調整することを特徴とする。
本発明によれば、特別な設備や危険な薬品を使用することなく、浮遊選鉱法によって砒素を多く含む含銅物から高品位の銅精鉱を得ることができる。従って、本発明により得られた高品位の銅精鉱を用いて銅を製錬することにより、製錬工程中の砒素による環境への影響を抑制できるうえ、硫黄や砒素副産物の処理負荷の増加に伴う投資と操業費を抑制することができる。
本発明の選鉱方法を示す概略のフロー図である。
本発明の含銅物の選鉱方法では、砒素を含有する含銅物から砒素鉱物を分離して高品位の銅精鉱を得るための選鉱装置として、カラム浮選機を使用する。カラム浮選機は、細長い円筒状のカラムに含銅物のスラリーを供給しながら、カラム下端から空気を細かい気泡状態にして吹き込み、含銅物と気泡とをカラム内で接触させることにより、目的とする黄銅鉱や班銅鉱などの鉱物を気泡に付着させて上昇させ、フロスとして回収する装置である。
また、本発明の選鉱方法で処理する含銅物は、銅鉱石や銅精鉱など銅精錬で処理対象となる銅を含有する物質であって、含銅物中に含まれる銅その他の金属品位や鉱物種類は特に限定されない。ただし、浮遊選鉱を行うには砒素鉱物や黄鉄鉱が単体粒子で存在していなければ効果的でないため、処理すべき含銅物は粉砕等の前処理を行うことによって砒素鉱物や黄鉄鉱の多くが単体分離されていることが望ましい。
次に、本発明の含銅物の選鉱方法について、含銅物が銅鉱石の場合を例に、高品位に砒素を含有する銅鉱石から脈石と共に砒素鉱物を分離して、低砒素品位の銅精鉱を回収する場合を詳しく説明する。尚、本発明はこの例に限定されるものではなく、含銅物は銅精鉱などであってもよい。例えば、従来から行われている一般的な浮遊選鉱法を用いて得られた不純物を多く含む低品位の銅精鉱から、砒素鉱物や黄鉄鉱を分離して高品位の銅精鉱を回収する場合にも、本発明を適用することができる。
本発明の含銅物の選鉱方法により高砒素品位の銅鉱石を含銅物として処理する場合、まず、前処理として銅鉱石をボールミルなどで粉砕し(粉砕工程)、これに水を加えてスラリー化する(スラリー化工程)。得られたスラリーに浮選剤として起泡剤、捕収剤及び抑制剤を添加して、カラム浮選機を用いて浮遊選鉱を行う(カラム浮選工程)。この浮遊選鉱により、含銅物に含まれる砒素鉱物や黄鉄鉱を脈石と共に沈降させると共に、黄銅鉱や班銅鉱などを主体とする低砒素品位の銅精鉱を浮遊させて分離する。
カラム浮選機は通常の機械撹拌式浮選機に比べて厚いフロス層を持ち、カラム上部からフロス洗浄水が供給される。カラム浮選機に供給された銅鉱石中の銅鉱物は、カラム下端のスパージャーで発生した気泡に吸着し、カラム上部に形成されたフロス層を上昇する間に、フロス上面から滴下されるフロス洗浄水によって砒素鉱物や黄鉄鉱などの不純分との分離が促進され、高品位の銅精鉱となって回収される。尚、カラム浮選機のカラムの高さは、銅鉱石や銅精鉱を用いた予備試験によれば、4〜15mの高さが好ましい。
一般的に、カラム浮選機における回収目的鉱物の実収率と不純物の分離成績に最も大きな影響を与えるファクターは、カラム浮選機に供給される空気の流量とフロス層における淘汰作用である。上記空気の流量は、異なるサイズのカラム浮選機においても比較しやすいように、スパージャーからの空気吹き込み量をカラム内部の水平断面積で除した値(空気流速値とも称する)、即ち下記数式1に示すJg(cm/sec)値で表すことができる。
Figure 2012115781
カラム浮選機への空気吹き込み量が多くなると、黄銅鉱や班銅鉱など疎水性の目的鉱物の回収が促進されるが、同時に本来は気泡に吸着されにくい親水性の不純物の混入も増加する。逆に空気吹き込み量が少なくなると、目的鉱物の回収速度が低下し、実収率が低下してしまう。空気吹き込み量を調整することにより、最も好ましい目的鉱物の実収率と不純物に対する選択性を得ることができる。
一方、上記フロス層における淘汰作用は、フロスとしてカラム上端から流出しようとする上昇流と、フロス洗浄水がフロスを洗い流す下降流とのバランスに左右される。これを定量的に把握するため、フロス洗浄水の流量からフロスとして流出する水の流量を差し引き、これをカラム内部の水平断面積で除した値(バイアス流速値とも称する)、即ち下記数式2に示すJb(cm/sec)値で表すことができる。Jbが正に大きいほどフロス層内の下降流が大きく、Jbが負に大きいほどフロス層内の上昇流が大きい。また、Jbが0であれば上昇流と下降流が釣り合った状態である。
Figure 2012115781
本発明では、カラム浮選機に供給する空気吹き込み量とフロス洗浄水の流量を同時に調整することにより、上記Jg値及びJb値を砒素鉱物の分離にとって最適となる範囲内に維持することが重要である。即ち、空気吹き込み量をカラム内部の水平断面積で除した空気流速値(Jg値)を1.0〜3.0cm/secの範囲とし、且つカラム内部のフロス洗浄水の流量とフロス中の水の流量値との差をカラム内部の水平断面積で除したバイアス流速値(Jb値)を−0.1〜+0.1cm/secの範囲に維持する。
上記Jg値が1.0cm/sec未満ではカラムを通過する空気の総量が減少して処理能力が著しく低下し、逆に3.0cm/secを超えるとフロスへのスラリーの混入の増加とフロスの滞留時間の減少により分離度が低下してしまう。また、上記Jb値が−0.1cm/sec未満ではカラム上端からの水の下降流が不足してフロスの洗浄効果が低下するためフロスへの砒素分布率が上昇し、+0.1cm/secを超えると水の下降流が過大となり銅実収率が低下する。
本発明の浮遊選鉱における浮選剤は、抑制剤、気泡剤及び捕収剤の3種を組み合わせて使用する。好適な抑制剤としてはチオ硫酸ナトリウムなどがある。また、気泡剤としてはMIBC(メチルイソブチルカービノール)などを使用することができ、捕収剤としてはCytec社製のAP208(商品名)などを使用することができる。
以上に述べた本発明方法により、高砒素品位の含銅物中に含まれる砒素鉱物を沈鉱とし、低砒素品位の銅精鉱(銅品位30%程度)を浮鉱として分離することができる。従って、選鉱工程において砒素濃縮物と低砒素品位の銅精鉱とを得ることができるので、含銅物の砒素含有量が増加しても、乾式製錬工程でスラグ処理や脱銅電解など砒素を除去回収する設備を増強するといった多大な投資を必要とせず、以前と同様に処理して製品電気銅を得ることができる。また、砒素濃縮物は別途処理することで、砒素を回収して金属砒素や砒素化合物などの原料として用いることができるうえ、砒素濃縮物に分配した銅を回収することもできる。
以下に示す実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例えば、実施例では1段のカラム浮遊によって最終の銅精鉱を得ているが、この段数は含銅物の性状や経済性等に応じて適宜定められる。尚、実施例及び比較例においては、含銅物として下記表1に示す化学分析値及び鉱物割合を有するペルー産銅精鉱を使用した。また、化学分析値はICP発光分析法を用いて求め、鉱物割合は顕微鏡観察によって求めた。
Figure 2012115781
[実施例1]
上記表1に示すペルー産の銅精鉱を、図1に示すフローに沿って選鉱し、砒素品位が低い高品位銅精鉱と砒素濃縮物である精選尾鉱とを得た。具体的に説明すると、上記表1の銅精鉱200kgに水400リットルを混合し、ビーズミルで80%通過粒径が28μmになるように粉砕した(粉砕工程)。この粉砕物に水を加え、全体の重量が1000kgで体積が850リットルのスラリーとした(スラリー化工程)。
このスラリーに砒素鉱物の抑制剤としてチオ硫酸ナトリウム5.74kg(銅精鉱1t当り28.7kg)を加え、8分間撹拌した。次に、米国Cytec Industries Inc.社製の捕収剤AP208(商品名)15g(銅精鉱1t当たり75g)を添加した。更に、起泡剤としてMIBC(メチルイソブチルカービノール)10g(銅精鉱1t当たり50g)添加し、2分間撹拌した。
上記抑制剤、捕収剤及び起泡剤を添加したスラリーを、カラムの寸法が直径20cm及び高さ4mのカラム浮選機に1分当り2.8リットルの流量で投入し、5時間かけて浮遊選鉱した(カラム浮選工程)。浮遊選鉱処理中は、カラム下端に設置したろ布とパイプからなるスパージャー4本から空気を吹き込むと共に、カラム上端から約20cm上部に設置した散水パイプによりフロス洗浄水を滴下させた。
カラム浮選工程での空気吹き込み量は28リットル/minに設定した。これは空気流速(Jg)=1.5cm/secに相当する。また、フロス洗浄水を2.0リットル/minの流量で滴下させ、フロスはカラム上端からオーバーフローさせると共にカラム下端に設置した自動バルブを開閉して沈鉱を排出することで、カラム浮選機内のパルプレベルをカラム上端から60cmの位置に調整した。この状態でフロスとして流出するスラリーの固形分濃度からフロス中の水の流量を算出し、フロス洗浄水の流量から差し引いて、上記数式2によりバイアス流速(Jb)を計算したところ、Jb=+0.07cm/secであった。
全てのスラリーをカラム浮選機に投入し、カラム上端から浮鉱が流出しなくなった後、カラム下端から内部のスラリーを沈鉱として抜き取って回収した。得られた浮鉱と沈鉱をそれぞれ脱水・乾燥させ、縮分して分析用の試料とした。
[実施例2〜5]
スパージャーに供給する空気の流量を、実施例2では37リットル/min(Jg=2.0cm/sec)とし、実施例3では32リットル/min(Jg=1.8cm/sec)とした以外は、いずれも上記実施例1と同じ条件で銅精鉱を浮選処理した。上記実施例1と同様の方法でJbを求めたところ、実施例2ではJb=+0.04cm/sec、実施例3ではJb=+0.05cm/secであった。
また、実施例4では、カラム浮選機に供給するスラリーの流量を1.4リットル/minとしたこと以外は、上記実施例1と同じ条件で銅精鉱を浮選処理した。上記実施例1と同様の方法でJbを測定したところ、Jb=+0.09cm/secであった。更に、実施例5では、フロス洗浄水を供給しなかったこと以外は上記実施例1と同じ条件で銅精鉱を浮選処理した。上記実施例1と同様の方法でJbを測定したところ、Jb=−0.04cm/secであった。
[比較例1〜4]
比較例1ではスパージャーに供給する空気の流量を64リットル/min(Jg=3.5cm/s)とし、比較例2では9.2リットル/min(Jg=0.4cm/s)とした以外は、上記実施例1と同じ方法で上記表1の銅精鉱を処理した。また、比較例3では供給するスラリー流量を3.5リットル/minとし且つフロス洗浄水を使用せず、比較例4では供給するスラリーの流量を1.4リットル/minとし且つフロス洗浄水の流量を4.0リットル/minに増加させた以外は、いずれも上記実施例1と同じ条件で上記表1の銅精鉱を処理した。
比較例1〜4のバイアス流速(Jb)を上記実施例1と同様に測定したところ、比較例1が−0.13cm/sec、比較例2が0.13cm/sec、比較例3が−0.12cm/sec、及び比較例4が0.14cm/secであった。
上記した実施例1〜5並びに比較例1〜4のカラム浮選工程について、カラム浮選機に供給したスラリーとフロス洗浄水の流量、空気流速(Jg)及びバイアス流速(Jb)を下記表2にまとめて示した。
Figure 2012115781
[参考例1〜3]
カラム浮選機の代わりに機械撹拌式浮選機の1種であるアジテア式浮選試験機を使用して、上記表1に示す銅精鉱を浮選処理した。即ち、実施例1と同様に調整したスラリーの400ミリリットルをアジテア式浮選試験機に投入し、空気吹き込み量を最も良いフロスの状態が得られるように調整して、バッチ式により浮選した。その際の浮選時間を、参考例1では2分間、参考例2では4分間、及び参考例3では8分間とした。
上記した実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例1〜3について、得られた浮鉱の量、銅(Cu)と砒素(As)の実収率を求めると共に、浮鉱である高品位銅精鉱の成分を分析し、銅と砒素の分離度を求めて、それぞれ下記表3に示した。銅と砒素の分離度については、下記数式3に示す分離度の計算式を用いて算出した。尚、銅と砒素の分離度は、浮鉱側に含有される銅の分配率が高く、砒素の分配率が低くなるほど高い値となる。即ち、この分離度の値が高ければ高いほど、本発明の目的に合った好ましい結果が得られていることを示している。
Figure 2012115781
Figure 2012115781
上記表2及び表3から分かるように、Jgが1.5cm/secである実施例1の銅実収率は77.3%及び分離度は8.8であった。Jgを2.0cm/secとした実施例2及び1.8cm/secとした実施例3では、銅実収率はそれぞれ74.0%及び73.3%、分離度は7.9%及び10.8%であった。また、スラリーの流量を1.4リットル/minに半減させた実施例4では、79.8%の銅実収率と13.4の分離度が得られた。フロス洗浄水を使用しなかった実施例5では、銅実収率が80.3%及び分離度が7.7であった。
一方、Jgを3.5cm/secに上昇させた比較例1では、銅実収率が79.2%に上昇したものの分離度が6.1に低下した。これは、Jbが−0.13cm/secとなりフロス層中の上昇流が大きすぎるため、銅鉱物と砒素鉱物との分離が不完全なままでオーバーフローしたためと考えられる。また、Jgを0.4cm/secに低下させた比較例2では、Jbが+0.13cm/secとなりフロス層中の下降流が大きすぎるため、銅実収率が56.9%に低下し、分離度も6.2となり実施例に比べて低くなった。
スラリー流量を3.5リットル/minに上昇させ、フロス洗浄水を供給しなかった比較例3では、Jbが−0.12cm/secと上昇流が過大となり、銅実収率が95.3%と大幅に上昇したものの、分離度は6.2と低くなった。スラリー流量を0.4リットル/minに減じ、フロス洗浄水流量を4.0リットル/minに倍増させた比較例4では、Jbが0.14cm/secと下降流が過大となり、銅実収率が62.3%に減少して分離度も6.2と低くなった。
一方、機械式のアジテア浮選機を使用した参考例1〜3では、浮選時間が長くなるにつれて銅実収率及び砒素実収率とも上昇するが、分離度はカラム浮選機に比べて低い5.5前後に留まった。これは、機械撹拌式浮選機ではフロス層の厚さが薄いので、銅鉱物と砒素鉱物との分離が不完全なままフロスが流出するためと考えられる。

Claims (1)

  1. 浮遊選鉱により砒素を含有する含銅物から砒素鉱物を分離して、高品位の銅精鉱を回収する含銅物の選鉱方法であって、砒素を含有する含銅物を粉砕し、水を加えてスラリー化した後、得られたスラリーに抑制剤、気泡剤及び捕収剤からなる浮選剤を添加し、カラム浮選機を使用して、空気吹き込み量をカラム内部の水平断面積で除した値(Jg値)が1.0〜3.0cm/secの範囲となるように該浮選機に供給する空気吹き込み量を制御し、且つフロス洗浄水の流量とフロス中の水流量値の差をカラム内部の水平断面積で除した値(Jb値)が−0.1〜+0.1cm/secの範囲を維持するように該浮選機に供給するフロス洗浄水の流量を調整することを特徴とする含銅物の選鉱方法。
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