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JP2012199462A - 希土類ボンド磁石、希土類磁石粉末とその製造方法および希土類ボンド磁石用コンパウンド - Google Patents

希土類ボンド磁石、希土類磁石粉末とその製造方法および希土類ボンド磁石用コンパウンド Download PDF

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JP2012199462A
JP2012199462A JP2011063662A JP2011063662A JP2012199462A JP 2012199462 A JP2012199462 A JP 2012199462A JP 2011063662 A JP2011063662 A JP 2011063662A JP 2011063662 A JP2011063662 A JP 2011063662A JP 2012199462 A JP2012199462 A JP 2012199462A
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Application number
JP2011063662A
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Yoshinobu Motokura
義信 本蔵
Hiroshige Mitarai
浩成 御手洗
Chisato Mishima
千里 三嶋
Hiroshi Matsuoka
浩 松岡
Kenji Noguchi
健児 野口
Hiroyuki Doi
洋幸 土井
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Aichi Steel Corp
Original Assignee
Aichi Steel Corp
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Abstract

【課題】耐環境性に優れたボンド磁石等が得られる希土類磁石粉末を提供する。
【解決手段】本発明の希土類磁石粉末は、希土類元素(R)とホウ素(B)と遷移元素(TM)との正方晶化合物であるRTM14型結晶の集合体である基本磁石粒子と、この基本磁石粒子の表面を被覆する熱硬化性樹脂が熱硬化してなる熱硬化樹脂被膜と、により構成される被覆磁石粒子からなることを特徴とする。この希土類磁石粉末を用いて製造されたボンド磁石は、耐酸化性に優れた熱硬化樹脂被膜で被覆された被覆磁石粒子からなるため耐環境性に優れ、厳しい環境下に曝されても磁気特性が劣化し難い。こうして本発明の希土類磁石粉末を用いれば、非常に耐環境性に優れるボンド磁石が得られる。
【選択図】図1C

Description

本発明は、耐酸化性等に優れた希土類ボンド磁石、希土類磁石粉末とその製造方法およびその希土類磁石粉末を用いた希土類ボンド磁石用コンパウンドに関する。
希土類磁石は、非常に高い磁気特性を発揮するため、省エネルギー化や軽量化が望まれる電化製品や自動車等の各種機器へ利用されつつある。希土類磁石には、希土類磁石粉末(適宜「磁石粉末」という。)の焼結体や緻密な成形体からなる緻密磁石と、圧縮成形や射出成形により磁石粉末をバインダー樹脂で結着させたボンド磁石とがある。最近では、成形自由度が高く軽薄部品等の製造に適したボンド磁石が多用される傾向にある。
このボンド磁石を構成する磁石粉末は、鉄や希土類元素を主成分とするため、その製造過程や搬送中、さらにはボンド磁石の使用中に酸素や水分によって酸化され易い。中でも、水素化処理して得られた希土類磁石粉末は、微細なクラック(マイクロクラック)を多数内包しているために割れ易く、新たに酸化される新生面を出現させ易い。特に、ボンド磁石の原料となる磁石粉末を圧縮成形する際に、磁石粒子の割れが多く生じ、ボンド磁石を構成する磁石粒子はより酸化され易くなる。いずれにしろ、このような酸化は磁石粒子ひいてはボンド磁石の磁気特性を経時的に劣化させるため、従来から種々の酸化抑止策が提案されている。
例えば、ボンド磁石の表面に樹脂やメッキなどのコーティングを施すことが挙げられる。しかし、このようなコーティングはコスト高であり、必ずしも十分な酸化抑止効果が得られていない。
また、圧縮成形時に生じる磁石粒子の割れに起因する酸化を抑制する方法が下記の特許文献で提案されている。具体的には、水素化処理(d−HDDR)して得られた割れ易い粒径の大きい磁石粉末(粗粉末)に、粒径の小さい磁石粉末(微粉末)およびバインダー樹脂を加え、微粉末およびバインダー樹脂からなる強磁性緩衝体(若しくは強磁性流動層)を形成する。この強磁性緩衝体により、粗粉末を構成する磁石粒子同士の直接接触またはその磁石粒子への応力集中を回避し、その磁石粒子の割れを低減させて、結果的にその酸化を抑制している。
特許3731597号公報
確かに、特許文献1の方法によれば、耐候性に優れたボンド磁石が得られるが、これは酸化される磁石粒子の表面積を減少させて、ボンド磁石の耐酸化性を間接的に向上させるものである。すなわち、磁石粒子自体の耐酸化性を直接的または積極的に向上させるものではない。
また磁石粉末に防錆材等を混在させて、磁石粒子の表面の酸化を防止することも考えられる。しかしこのような防錆被膜では、ボンド磁石の成形時に?がれて、結局は、ボンド磁石中の磁石粒子自体の耐酸化性を向上させることにはならない。同様のことは、従来の希土類ボンド磁石用コンパウンド(以下適宜「コンパウンド」という。)を用いて成形したボンド磁石中の磁石粒子についてもいえる。従来のコンパウンド中の磁石粒子は、熱硬化前のバインダー樹脂で被覆された状態にあり、その状態だけを観ると、磁石粒子の耐酸化性の向上が期待される。しかし、そのコンパウンドを用いて実際に成形したボンド磁石中の磁石粒子を観ると、その表面は樹脂被膜で完全には被覆されておらず、磁石粒子の表面に酸化が生じていた。
本発明は、このような事情の下で為されたものである。すなわち、磁石粒子自体の耐酸化性を高め、耐候性に優れるボンド磁石が得られる希土類磁石粉末を提供することを目的とする。また、その磁石粉末の製造方法と、その希土類磁石粉末を用いたコンパウンドおよびボンド磁石も併せて提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、薄い熱硬化した樹脂被膜を磁石粒子の表面に形成することを思いつき、実際に、そのような被膜を磁石粒子の表面に形成することに成功した。そして、この樹脂被膜で被覆された磁石粒子からなるボンド磁石が優れた耐候性(耐環境性)を発揮することを確認した。この成果をさらに発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《希土類磁石粉末》
(1)本発明の希土類磁石粉末は、希土類元素(R)とホウ素(B)と遷移元素(TM)との正方晶化合物であるRTM14型結晶の集合体である基本磁石粒子と、該基本磁石粒子の表面を被覆する熱硬化性樹脂が熱硬化してなる熱硬化樹脂被膜と、により構成される被覆磁石粒子からなることを特徴とする。
(2)本発明の希土類磁石粉末(適宜「磁石粉末」という。)は、熱硬化性樹脂が熱硬化してできた熱硬化樹脂被膜により外表面が被覆された被覆磁石粒子からなる。この磁石粉末は、高い耐酸化性を発現し、保管性や取扱性に優れることは勿論、ボンド磁石の耐酸化性を大きく向上させ得る。
(3)ところで、本発明の磁石粉末が非常に高い耐酸化性を発現する理由は、必ずしも明らかではないが、現状では次のように考えられる。基本磁石粒子の表面に形成された熱硬化樹脂被膜は、熱硬化性樹脂の各分子が三次元的に架橋して熱硬化して形成されたものである。この熱硬化樹脂被膜は、緻密で酸素遮蔽性に優れることに加え、吸水率が非常に低いため、薄膜であっても、基本磁石粒子と酸素(または水分)との接触を効果的に遮断する。この結果、基本磁石粒子の耐酸化性が直接的に向上すると考えられる。
また熱硬化樹脂被膜は、基本磁石粒子の外表面を補強し、基本磁石粒子の割れも抑制すると考えられる。具体的にいうと、水素化処理を経た基本磁石粒子は、その表面や内部に多数のマイクロクラックを有するが、熱硬化樹脂被膜の形成時に、少なくともその一部が熱硬化した熱硬化性樹脂(以下「熱硬化樹脂」という。)によって充填、補強される。また、基本磁石粒子表面(全体)が熱硬化樹脂で被覆されることで、磁石粉末に掛かる応力が熱硬化樹脂被膜の弾性変形により吸収される。このため、基本磁石粒子の耐割れ性が増し(割れ感受性が低減し)、新生面の生成が低減する。この結果、基本磁石粒子の酸化表面積が減少して、基本磁石粒子の耐酸化性が間接的にも向上すると考えられる。
このように熱硬化樹脂被膜が酸化要因となる酸素や水分等を基本磁石粒子に対して遮断すると共に基本磁石粒子の割れを抑制し、これらが相乗的に作用することにより、基本磁石粒子の耐酸化性が著しく向上したと考えられる。そして、この基本磁石粒子(被覆磁石粒子)を用いることにより、優れた耐環境性と長期的に安定した磁気特性を発現するボンド磁石が得られたと考えられる。
なお、熱硬化樹脂被膜は薄いため、磁石粉末やボンド磁石の磁気特性への影響は少ない。また、被覆磁石粒子は流動性にも優れ、バインダー樹脂とのなじみ性、密着性、接着性等に優れる。このため、本発明の磁石粉末を用いれば、より緻密なボンド磁石を効率的に生産し得る。
(4)本発明の熱硬化樹脂被膜は、膜厚、樹脂の組成、構造、形態等を問わない。ただ、ボンド磁石の製造過程で剥離等せず、酸素等を安定的に遮蔽するために、その膜厚は、10nm以上、20nm以上、50nm以上さらには100nm以上であると好ましい。このように磁石粉末の耐酸化性の観点から膜厚の増加は好ましいが、一方、膜厚の増加は、磁石粉末やボンド磁石の磁気特性の低下を招く。特に本発明者が鋭意研究したところ、その膜厚がある範囲を超えて増加すると、ボンド磁石の残留磁束密度(Br)の低下が急になる。バインダー樹脂量を一定にして磁石粉末を圧縮成形する場合を考えると、熱硬化樹脂被膜となる樹脂(被膜樹脂)が増加すれば樹脂総量も増加する。バインダー樹脂量が一定なら圧縮成形時における磁石粉末の流動性は確保され、磁石粒子の割れは抑制されると共にボンド磁石の高充填率も維持、達成される。しかし、樹脂総量が増加することにより、ボンド磁石中の非磁性部である樹脂部が増加することになって、ボンド磁石全体としての磁気特性は低下する。このような観点から、熱硬化樹脂被膜の膜厚は700nm以下、600nm以下、500nm以下さらには400nm以下であると好ましい。
なお、膜厚が1200nm以上の熱硬化樹脂被膜を各磁石粒子毎の表面に均一に形成することは困難である。逆に、そのような熱硬化樹脂被膜を形成しようとすると、複数の磁石粒子が凝集した磁石粒子塊に熱硬化樹脂被膜が形成され易くなる。
熱硬化樹脂被膜の「膜厚」の特定方法は種々考えられるが、本明細書では、JIS K 5600−1−7 No.5A(塗装膜の膜厚測定方法、断面顕微鏡観察)を応用して熱硬化樹脂被膜の「膜厚」を特定することとした。具体的には図2に示すように、先ず、熱硬化樹脂被膜を形成した磁石粉末の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。次に、その視野内の10箇所(ポイント)で膜厚を測定し、これらの測定値の算術平均を「膜厚」とする。
なお、各ポイントにおける膜厚は、磁石粒子自体の最表面(結晶粒界ではない面)に立てた法線上における熱硬化樹脂被膜の厚さを測定して求めた。これらのポイントは、ほぼ一義的な接線を引ける滑らかな磁石粒子の表面上から選定され、さらに隣接するポイント間の直線距離が原則50〜500nmとなるように選定される。
ちなみに、図2に示したSEM像は3万倍の視野であり、この場合の膜厚は86.0nmであった。また、同じ被覆処理をした粉末の他の視野について測定したところ、その膜厚は87.2nmであった。これらのことから、上記の方法によれば、膜厚をある程度、正確に安定して特定できることがわかる。なお、本測定は、後述する実施例中の試料No.1−3について行った。
このようにして一つの磁石粒子あたり(磁石粒子単位)の「膜厚」が特定される。このような磁石粒子が集合した磁石粉末単位の「膜厚」は、さらに次のようにして特定できる。すなわち、対象となる磁石粉末中から無作為に抽出した5粒子について上述した「膜厚」を求め、それらの算術平均を磁石粉末の「膜厚」とする。
磁石粉末中の一部の磁石粒子について検討したが、数十nmレベルの非常に薄い膜が形成されていることは、同一試料の別視野により観察されるさまざまな粒径の粒子についても同様に観察されている。但し、このような熱硬化樹脂被膜の観察は、膜厚が非常に薄いため、相当大きな倍率で観察する必要がある。従って、一視野で観察できる磁石粒子数は自ずと限られ、多くの磁石粒子を一度に観察することは非常に困難であるというのが実情である。従って、熱硬化樹脂被膜の膜厚を厳密な意味で一義的に特定することは困難であり、現実的でもないため、本明細書では上述したような方法により膜厚を特定した。
(5)本発明に係る熱硬化性樹脂被膜の有用性は、圧縮成形や射出成形に用いるコンパウンドを製造するとき、そのコンパウンドを用いて射出成形したボンド磁石や圧縮成形したボンド磁石を製造するとき、さらには磁石粉末を輸送、搬送する際など、種々の場面で現れる。ここでは、磁石粒子および熱硬化樹脂被膜が非常に過酷な状況におかれ、磁石粒子の酸化が生じ易い一例として、ボンド磁石を加熱圧縮成形して製造する場合を取り上げて説明する。ちなみに、圧縮成形したボンド磁石は、高い磁気特性および耐候性が求められる一方、バインダー樹脂量が少ないため、射出成形したボンド磁石よりも大気中の酸素や水分によって酸化劣化し易い。従って、圧縮成形したボンド磁石は、本発明に係る熱硬化性樹脂の真価を検討するのに最適である。逆にいえば、圧縮成形したボンド磁石に関して熱硬化樹脂被膜の有用性が十分ならば、射出成形したボンド磁石に関しても、それらの原料となるコンパウンドに関しても、さらには長距離輸送や長時間保管される際の品質確保または可燃対策が要求される磁石粉末自体に関しても、熱硬化樹脂被膜は十分に有用性があるといえる。
先ず、圧縮成形したボンド磁石(以下、「圧縮ボンド磁石」という。)中の磁石粒子が酸化され易い理由は、明確には分からないが、結果から推測するに次のように考えられる。圧縮ボンド磁石は、キャビティへ供給されたコンパウンドを加熱しつつ圧縮成形して得られる。この際、そのキャビティ中に導入された空気は、加圧成形時に逃げ場を求めて、磁石粒子間の隙間を通じて、一気に金型外へ抜け出ようとする。このため、磁石粒子間に介在するバインダー樹脂中に、その空気の通り道となった貫通経路が形成され得る。
次に、従来のコンパウンド中の磁石粒子は、バインダー樹脂により全面が被覆された状態にあった。ところが、そのコンパウンドを圧縮成形して得られたボンド磁石中の磁石粒子は、バインダー樹脂により被覆されていない部分、つまり露出部分が存在していたと思われる。この理由は、コンパウンド中の磁石粒子の表面にあったバインダー樹脂は未硬化なため、加熱圧縮成形時に?がれたと考えられる。これは加熱圧縮成形時、バインダー樹脂は低粘度流体化して磁石粒子の姿勢変化を容易にするが、その一方で上記の貫通経路が形成される際に勢いよく抜け出る高圧空気に連れられて、磁石粒子の表面から引き剥がされ易くなっているためと考えられる。
そして従来は、このような状態のまま加熱圧縮成形が終了して、その後にバインダー樹脂を熱硬化させる加熱処理(キュアー処理)が完了していた。こうして得られたボンド磁石は、表面に連通した微細な貫通経路を多数有すると共に、その貫通経路中または貫通経路近傍に表面が部分的に露出した磁石粒子が存在している状態にあったと思われる。その結果、従来の希土類磁石粉末やコンパウンドからなるボンド磁石では、その貫通経路から酸素や水分が内部に侵入し、ボンド磁石を構成する磁石粒子を酸化させ、ひいてはボンド磁石の耐候性を低下させていたと考えられる。
これに対して本発明の希土類磁石粉末を構成する磁石粒子は、その表面が圧縮成形前から既に熱硬化している熱硬化樹脂被膜によって被覆されている。この熱硬化樹脂被膜は加熱時に可逆的に液状化することもなく強固である。このため熱硬化樹脂被膜は、加熱圧縮成形時におけるキャビティ内の空気やバインダー樹脂の挙動には影響されず、圧縮成形時に殆ど剥離することもない。そして熱硬化樹脂被膜は、圧縮成形後も磁石粒子のほぼ全表面を被覆したまま残存する。
この結果、圧縮ボンド磁石中へ貫通経路等を通じて酸素や水分が侵入することがあっても、各磁石粒子は緻密で酸素や水分を遮断する熱硬化樹脂被膜により被覆され保護されているため、磁石粒子は殆ど酸化劣化せず、ボンド磁石は高い耐候性を発現し得る。
なお、希土類磁石粉末を構成する全磁石粒子の全表面が熱硬化樹脂被膜で被覆されているのが好ましいが、本発明では熱硬化樹脂被膜による被覆割合は問わない。ボンド磁石に要求される磁気特性や耐候性等を踏まえて決定されればよい。そして、その所望する熱硬化樹脂被膜の被覆割合や膜厚に応じて、使用する熱硬化性樹脂量を決定すればよい。
《希土類磁石粉末の製造方法》
本発明は、上述した希土類磁石粉末の製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、RとBとTMとの正方晶化合物であるRTM14型結晶の集合体である基本磁石粒子の表面にカップリング剤を付着させるカップリング処理工程と、該カップリング処理工程後の基本磁石粒子の表面に熱硬化性樹脂を付着させる樹脂付着工程と、該熱硬化性樹脂を加熱して該基本磁石粒子の表面に該熱硬化性樹脂が熱硬化してなる熱硬化樹脂被膜を形成する被膜形成工程とを備え、上述した被覆磁石粒子からなる希土類磁石粉末が得られることを特徴とする希土類磁石粉末の製造方法でもよい。
《コンパウンドおよびボンド磁石》
(1)本発明は、さらに上述の希土類磁石粉末を用いたコンパウンドとしても把握できる。すなわち本発明は、上述の希土類磁石粉末と、該希土類磁石粉末の被覆磁石粒子を結着させ得るバインダー樹脂と、からなることを特徴とする希土類ボンド磁石用コンパウンドでもよい。
(2)また本発明は、上述の希土類磁石粉末やコンパウンドからなるボンド磁石としても把握できる。すなわち本発明は、上述の希土類磁石粉末と、該希土類磁石粉末の被覆磁石粒子を結着するバインダー樹脂と、からなることを特徴とする希土類ボンド磁石でもよい。
(3)なお、圧縮成形されたボンド磁石を構成する従来の磁石粒子がバインダー樹脂によって被包された状態にあるにもかかわらず酸化され易かったのは、硬化したバインダー樹脂間に、酸素等の通路となる微小な空孔路が形成されているためと考えられる。このような空孔路は、成形型のキャビティへ大気中で充填したコンパウンドを圧縮成形してボンド磁石を得る製造過程上、不可避的に形成され得る。
本発明のボンド磁石によれば、それを構成する被覆磁石粒子の表面に形成された熱硬化樹脂被膜が、ボンド磁石中に形成された空孔路を通過してくる酸素や水分等と基本磁石粒子との接触を遮断し、基本磁石粒子をそれらから保護する。この結果、上記の空孔路が存在する場合でも、圧縮成形されたボンド磁石を構成する基本磁石粒子は、酸化が抑制され、本発明のボンド磁石は高い耐候性を発揮する。
《その他》
(1)本明細書でいう希土類元素は、イットリウム(Y)、ランタノイドおよびアクチノイドの一種以上である。その中でも、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(TM元素)、ルテチウム(Lu)が代表的である。これら希土類元素(R)は一種でも二種以上でもよい。
ここでRとしては、特にNdが代表的であるが、Prを含んでもよい。磁石原料中または拡散原料中のNdの一部がPrに置換されても、磁気特性への影響は少なく、NdとPrの混在した混合希土類原料(ジジム)は比較的安価に入手可能だからである。なお、Dy、TbまたはHoなどの保磁力向上元素は稀少元素で高価なため、使用が抑制されると好ましい。そこで磁石粉末の製造に使用する磁石原料または拡散原料は、Dy、TbおよびHoを含まないと好適である。
TMは、特に3d遷移元素または4d遷移元素の1種以上であると好ましい。3d遷移元素は原子番号21(Sc)〜原子番号29(Cu)であり、4d遷移元素は原子番号39(Y)〜原子番号47(Ag)である。中でもTMは、8族の鉄(Fe)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)のいずれか、さらにいえばFeであると好適である。また、ホウ素の一部を炭素(C)に置換することも可能である。
(2)基本磁石粒子は、上述したR、BおよびTM以外に、その特性改善に有効な元素である「改質元素」を含み得る。改質元素には種々あり、各元素の組合せは任意であり、通常、その含有量は微量である。また当然ながら、本発明の希土類磁石粉末は、コスト的または技術的な理由等によって除去困難な「不可避不純物」をも含み得る。
(3)本明細書でいう「希土類磁石粉末」には、異方性希土類磁石粉末と等方性希土類磁石粉末の両方が含まれる。また単に「磁石粒子」というときは、基本磁石粒子の場合も、被覆磁石粒子の場合も、その他の粒子の場合もある。これは単に「磁石粉末」というときの構成粒子についても同様である。
(4)本明細書でいう「平均粒径」は、サンプル粉末をHELOS&RODOSレーザ回折式粒子径分布測定装置により測定し、その結果得られた体積球相当径(VMD)により特定される。
(5)本明細書でいう「x〜y」は、特に断らない限り、下限値xおよび上限値yを含む。また、本明細書に記載した種々の下限値または上限値を任意に組合わせて「a〜b」のように新たな数値範囲を構成し得る。さらに、本明細書に記載した数値範囲内に含まれる任意の数値を、新たな数値範囲を構成する上限値または下限値とすることもできる。
本実施例に係るボンド磁石の表面を観察したSEM写真である。 そのボンド磁石の一部を拡大したSEM写真である。 さらにその一部を拡大したSEM写真である。 磁石粒子の表面に形成された熱硬化樹脂被膜の膜厚の算出方法を説明する説明図である。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含めて本明細書で説明する内容は、本発明に係る希土類磁石粉末のみならず、その製造方法、その磁石粉末を用いたコンパウンドやボンド磁石にも適用され得る。上述した本発明の構成に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を付加し得る。この際、製造方法に関する構成は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成ともなり得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《樹脂コーティング》
本発明に係る熱硬化樹脂被膜は、磁石粉末やボンド磁石の磁気特性および耐酸化性を高次元で両立させるために、均一で薄いほど好ましい。そこで熱硬化樹脂被膜は、前述したように、カップリング処理した基本磁石粒子に(カップリング処理工程)、被膜樹脂(熱硬化性樹脂等)を付着させ(樹脂付着工程)、それを硬化させて形成される(被膜形成工程)とよい。以下、これらの工程について詳述する。
(1)先ず、カップリング処理工程により、基本磁石粒子の表面にカップリング剤を付着させる。これにより、基本磁石粒子の金属表面に、被膜樹脂が均一に付着し易くなる。カップリング剤の種類や量は、使用する被膜樹脂の種類や量に応じて適宜調整される。
このようなカップリング剤として、Tiを含むチタネート系カップリング剤、Siを含むシラン系カップリング剤、Alを含むアルミネート系カップリング剤等がある。これらの中でもチタネート系カップリング剤は、基本磁石粒子の表面における被膜樹脂の濡れ性を大幅に改善するので好ましい。
適切な溶媒または分散媒を用いることにより、カップリング剤を基本磁石粒子の表面に効率的にかつ均一に付着させることができる。このような溶媒または分散媒として、ヘキサン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の非極性有機溶媒、エタノール、メタノール、プロパノール、メチルエチルケトン等の極性有機溶媒等がある。カップリング剤は基本磁石粒子の表面に均一に薄く延在すれば足るので、基本磁石粒子からなる粉末(被処理粉末)100質量%に対して0.1〜1.0質量%であればよい。特に、均一に混合するために、カップリング剤と分散媒の有機溶媒とを容器に入れた後に、マグネティックスターラ等の撹拌機を用いて撹拌することが好ましい。
(2)次に、樹脂付着工程により、カップリング処理された基本磁石粒子の表面へ、熱硬化樹脂被膜の原料となる被膜樹脂を付着させる。被膜樹脂の種類や量は、所望する熱硬化樹脂被膜の種類や膜厚に応じて適宜調整される。このような被膜樹脂として、熱可塑性樹脂も考えられるが、緻密性、熱硬化性、その後の熱履歴(コンパウンド製造時の加熱混練、ボンド磁石製造時の加熱成形等)等を考慮すると、熱硬化性樹脂が好ましい。このような熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ウレア樹脂等がある。
被膜樹脂は、ボンド磁石のバインダー樹脂と同種でも異種でも良い。もっとも、被膜樹脂とバインダー樹脂が同種であると、両者の密着性や接着性の向上も図り易い。また、それらの樹脂が同種ならボンド磁石の生産性向上やコスト低減も図れ得る。
なお、本明細書でいう「樹脂」には、主剤のみの場合と、主剤の他に硬化剤や硬化促進剤などの種々の添加剤を含む場合との両方が含まれる。その主剤は単種でも複数種でもよい。上述した被膜樹脂とバインダー樹脂は、主剤が同種で添加剤が異なってもよい。添加剤を適切に選択することにより、各樹脂の軟化温度、ガラス転移点、硬化温度、硬化度等を調整できる。
適切な溶媒または分散媒を用いることにより、被膜樹脂もカップリング処理された基本磁石粒子の表面へ、均一的にかつ効率的に付着させ得る。このような溶媒または分散媒として、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルエーテル等がある。被膜樹脂量は、熱硬化樹脂被膜の所望する膜厚に応じて調整されるが、例えば、被処理粉末100質量%に対して0.1〜1.0質量%、0.2〜0.8質量%さらには0.3〜0.7質量%とすること好ましい。特に、均一に混合するために、樹脂と分散媒の有機溶媒とを容器に入れた後に、マグネティックスターラ等の撹拌機を用いて撹拌することが好ましい。
(3)基本磁石粒子の表面に付着させた熱硬化性樹脂を熱硬化樹脂被膜とするには、その熱硬化性樹脂を熱硬化させる熱処理が必要となる(被膜形成工程)。この際のヒートパターンは、被膜樹脂の種類や量に応じて適宜選択されるが、例えば、処理温度(被膜硬化温度)は70〜200℃さらには90〜150℃程度で、処理時間は0.5〜3時間さらには0.75〜2時間程度が好ましい。
なお、被膜硬化温度は、ボンド磁石のバインダー樹脂を熱硬化させる温度(バインダー硬化温度)と同じでも異なってもよい。また、ボンド磁石のバインダー樹脂を硬化させるキュア熱処理中に、熱硬化樹脂被膜中の樹脂(被膜樹脂)をさらに硬化させてもよい。この場合、先工程の被膜硬化温度は、後工程のバインダー硬化温度よりも低く設定しておいてもよい。
《基本磁石粒子》
(1)熱硬化樹脂被膜を形成する基本磁石粒子は、微細なRTM14型結晶の集合体からなり、磁石合金(母合金)に水素化処理を施して得た粒子(水素処理粒子)でも、それに拡散原料を拡散させた拡散処理後の粒子(拡散処理粒子)でもよい。
(2)水素化処理は、磁石合金(母合金)に吸水素させ不均化反応を生じさせる不均化工程と、この不均化工程後の母合金から脱水素して再結合させる再結合工程とからなる。この水素化処理には、HDDR法(hydrogenation−decomposition(もしくはdisproportionation)−desorption−recombination)、d−HDDR法(dynamic−HDDR)等がある。d−HDDR法によれば、特に高い磁気特性の磁石粉末が得られる。
d−HDDR法は、低温水素化工程と、高温水素化工程と、制御排気工程と、強制排気工程からなり、前述の不均化工程は高温水素化工程に、再結合工程は制御排気工程に対応する。ちなみに、低温水素化工程は、次工程(高温水素化工程)での水素化・不均化反応が緩やかに進むように、水素化・不均化反応を生じる温度以下の低温域で水素圧をかけて水素を十分固溶させる工程である。高温水素化工程は、磁石合金に対して水素化・不均化反応をさせる工程である。制御排気工程は、高温水素化工程で三相分解した組織を再結合反応をさせる工程である。強制排気工程は、磁石合金中に残留した水素を取除き、脱水素化処理を完了させる工程である。これら各工程の詳細は特開2006−28602号公報等に記載されている。
(3)拡散処理は、磁石原料(水素処理粒子からなる粉末)に拡散原料を混合した混合原料(混合粉末)を、例えば400〜900℃さらには600〜850℃の酸化防止雰囲気(真空雰囲気または不活性雰囲気等)で加熱処理してなされる。
拡散原料には、R−Cu系合金やR−Cu−Al系合金等を用いると好適である。これにより、Dy、Ga等の稀少な元素の使用を抑止しつつ、磁石粉末の保磁力を高めることができる。具体的にいうと拡散原料は、全体を100at%としたときに、Cuが1〜47at%さらには6〜39at%と、残部である希土類元素と、不可避不純物とからなると好適である。また拡散原料がAlを含む場合、拡散原料全体を100at%としたときにCuが5〜27at%、Al:20〜55at%と、残部である希土類元素と、不可避不純物とからなると好適である。
また拡散原料は、そのAlに替えまたはAlと共に、Co、Ni、Si、Mn、Cr、Mo、Ti、V、Ga、Zr、Ge、Feなどを含んでもよい。これらの元素の総量は、拡散原料全体を100at%として5〜64at%であると好ましい。
ところで、拡散処理が施される磁石原料は、理論近傍組成からなると好ましい。具体的には、Rが11.6〜12.7at%、11.7〜12.5at%、11.8〜12.4at%さらには11.9〜12.3at%であり、Bが5.5〜7at%さらには5.9〜6.5at%であると好ましい。理論近傍組成の磁石原料を用いることにより高磁化(残留磁束密度)の磁石粉末が得られる。従って、理論近傍組成の磁石原料に拡散処理を施せば、高磁化かつ高保磁力の磁石粉末が得られることになる。
このような拡散処理後の水素処理粒子(拡散処理粒子)は、全体を100at%とすれば、Cu:0.05〜2at%、0.05〜1at%、0.05〜0.8at%、0.2〜0.8at%さらには0.3〜0.7at%であると好ましい。またその拡散処理粒子全体を100at%としたときに、Al:0.1〜5at%さらには0.5〜3.0at%であると好ましい。
(4)基本磁石粒子は、保磁力等の改質元素として、TMであるチタン(Ti)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、タンタル(Ta)などの他、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)などを含んでもよい。これら改質元素は、基本磁石粒子全体を100at%としたとき、合計で3at%以下であると好ましい。
改質元素の中でもGaは、保磁力の向上に特に効果的な元素であるので、基本磁石粒子全体を100at%としたときに0.05〜1at%のGaが含まれてもよい。またNbは、残留磁束密度の向上に有効な元素であるので、基本磁石粒子全体を100at%としたときに0.05〜0.6%のNbが含まれてもよい。勿論、両者が同時に含まれると一層好ましい。Coは、磁石粉末または磁石のキュリー点向上ひいてはその耐熱性の向上に有効な元素であるので、基本磁石粒子全体を100at%としたときに0.1〜10at%のCoが含まれてもよい。
《コンパウンドおよびボンド磁石》
(1)本発明の磁石粉末をバインダー樹脂と加熱混練することによりボンド磁石の原料となるコンパウンドが得られる。このコンパウンドを圧縮成形または射出成形すればボンド磁石が得られる。
射出成形の場合、バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)、ナイロン等のポリアミド(PA)等が好ましい。圧縮成形の場合、バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂等をバインダー樹脂等が好ましい。
(2)コンパウンドまたはボンド磁石を構成する磁石粉末は、複数種の磁石粉末を混合した混合磁石粉末であってもよい。例えば本発明の磁石粉末は、平均粒径の粗い磁石粉末(粗粉末)と平均粒径の細かい磁石粉末(微粉末)とを混合した複合希土類磁石粉末でもよい。例えば、粗粉末がR−TM−B系異方性磁石粉末で、微粉末がSm−Fe−N系異方性磁石粉末であると好ましい。
《用途》
本発明に係る永久磁石(ボンド磁石等)は、耐環境性に優れ、高磁気特性を安定して発揮し得る。このため、常温域で使用される機器は勿論のこと、高温多湿の厳しい環境下で使用される機器にも適している。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
表1に示す各試料を次のようにして製造した。
(1)磁石原料
表1に示す磁石原料を次のようにして用意した。表1に示した磁石原料の組成に調製した磁石合金をストリップキャスト(SC)法により得た。この磁石合金を1140℃のArガス雰囲気中に10時間保持して組織を均質化させた(均質化熱処理工程)。これを室温まで冷却した後、水素圧力0.13MPaの水素雰囲気中で水素粉砕して母合金粉末とした。
この磁石合金粉末に水素化処理(d−HDDR)を施して希土類異方性磁石粉末(磁石原料)を得た。この水素化処理は次のようにして行った。先ず、磁石合金粉末15gを処理炉に入れて、室温×0.1MPaの低温水素雰囲気に1時間さらした(低温水素化工程)。これに続けて780℃×0.03MPaの高温水素雰囲気に、低温水素化工程後の粉末を30分間さらした(高温水素化工程)。この後、5分間かけてその雰囲気を840℃へ昇温し、840℃×0.03MPaの高温水素雰囲気に高温水素化工程の粉末を60分間さらした(組織安定化工程)。こうして反応速度を調整しつつ、三相(α−Fe、RH、FeB)に分解する順変態を生じさせた粉末を得た(不均化工程)。この後、処理炉内から水素を連続的に排気し、処理炉内を840℃×5〜1kPaの雰囲気に90分間して、順変態後の合金内にRTM14型結晶を生成する逆変態を生じさせた(制御排気工程/再結合工程)。
こうして得た粉末を急冷した(第1冷却工程)。この粉末を不活性ガス雰囲気中で乳鉢で解砕後、粒度調整して、平均粒径が122μmの磁石原料(水素処理粒子からなる粉末)を得た。
(2)拡散原料
表1に示す組成の拡散原料を次のようにして用意した。表1に示す拡散原料の組成に調製した原料合金(鋳塊)をブックモールド法により得た。この原料合金を水素粉砕した後、さらに乾式のボールミルで粉砕して平均粒経6μmの粉末状の拡散原料(水素化物粉末)を得た。
(3)拡散処理
磁石原料に拡散原料を加え、不活性ガス雰囲気中で混合して混合原料を得た(混合工程)。表1に示した混合割合は、混合原料全体を100質量%としたときにおける拡散原料の質量割合である。この混合原料を10−1Paの真空雰囲気中で800℃×1時間加熱した(拡散工程)。これに続けて混合原料を急冷した(第2冷却工程)。こうして拡散磁石粉末(拡散処理粒子からなる粉末)を得た。本実施例の場合、この拡散処理粒子が本発明でいう基本磁石粒子に相当し、その拡散磁石粉末が被処理粉末となる。
(4)樹脂コーティング(熱硬化樹脂被膜の形成)
ヘキサン0.65g中へチタネート系カップリング剤0.33gを均一に分散させたカップリング液を調製した。このカップリング液と拡散磁石粉末130gとを混合した後、真空排気して、乾燥させた(カップリング処理工程)。これにより、カップリング剤で被覆された粒子からなる粉末を得た。
次にエポキシ樹脂0.39gをメチルエチルケトン(MEK)1.56gに溶解させたコーティング液を調製した。ちなみに、そのエポキシ樹脂のガラス転移点(Tg)は約150℃であった。
このコーティング液を、カップリング処理した拡散磁石粉末(130g)へ加えて混合した後、真空排気して乾燥させた。拡散磁石粉末へ加えるコーティング液量は、拡散磁石粉末量とエポキシ樹脂量の総和に対してエポキシ樹脂量が表1に示す「被膜樹脂量」となるように調整した。
この乾燥後の粉末を、さらに真空中で100℃×2時間加熱した。こうして熱硬化したエポキシ樹脂の被膜(熱硬化樹脂被膜)により表面が均一にコーティングされた拡散処理粒子(被覆磁石粒子)からなる粉末(第一磁石粉末)を得た(試料No.1−1〜1−7)。この粉末が本発明でいう希土類(異方性)磁石粉末に相当する。
また比較のため、コーティングしたエポキシ樹脂を熱硬化させない粉末(つまり未硬化樹脂被膜で被覆された拡散処理粒子からなる粉末)も用意した(試料No.2−1〜2−6)。
なお表1中で、被膜樹脂量が零の磁石粉末は、樹脂コーティングを施さなかった試料である。便宜上、被膜樹脂量が零の粉末および被膜樹脂が未硬化の粉末も第一磁石粉末と呼ぶ。
《コンパウンドの製造》
第一磁石粉末124gとSmFeNからなる希土類磁石粉末(第二磁石粉末)21.9gとエポキシ(固形)樹脂4.1gとを、小型ロッキングミキサにより混合し、
得られた混合物をラボプラストミル(東洋精機製)で10分間加圧加熱混練(110 ℃ )した。これを室温まで冷却した後、粒度調整してコンパウンドを得た。
ここで用いたエポキシ樹脂(バインダー樹脂)のガラス転移点(Tg)は約200℃であった。なお、本実施例におけるバインダー樹脂量(エポキシ樹脂量)は、コンパウンド全体を100質量%としたときに2.75質量%とした。
また被膜樹脂とは異なり、バインダー樹脂には少量のステアリン酸亜鉛を添加した。これはコンパウンドを圧縮成形してボンド磁石を製造する際に、ボンド磁石と成形型の内壁との間に生じる抜出力(ノックアウト荷重)を低減するためである。
《ボンド磁石の製造》
コンパウンドを大気中で成形型のキャビティへ投入し、配向磁場中(1.5T)で温間圧縮成形(120℃×1t/cm (98MPa)×10秒)した。これにより14mm角の立方体状の成形体を得た。この成形体をArガス中で150℃×1時間加熱して(キュア処理)、バインダー樹脂であるエポキシ樹脂を熱硬化させた。これを4.5Tのパルス磁場中で着磁してボンド磁石を得た。
《表面観察》
試料No.1−3の磁石粉末からなるボンド磁石の表面をSEM観察した写真を図1A〜図1Cに示した。なお、SEM観察に際して、観察面には予めアルゴンシャワーの前処理を施した。写真中、黒色部分がバインダー樹脂部であり、灰色部分が被覆磁石粒子または基本磁石粒子である。その粒子の表面近傍を拡大した図1Cを観ると、粒子表面とバインダー樹脂との間に白色〜灰色をした薄層が明確に確認できる。この粒子表面上に密着し、緻密に形成された白色系の薄層が本発明でいう熱硬化樹脂被膜に相当する。
《測定》
(1)磁気特性
各第一磁石粉末の残留磁束密度(Br)をパルスBHトレーサを用いて測定した。この結果を表1に示した。
(2)磁気特性の経時劣化
各ボンド磁石の磁束の経時変化をフラックスメータを用いて測定した。具体的には、先ず、ボンド磁石の初期磁束量(フラックス)φ0を測定した。次に、そのボンド磁石を80℃、湿度95%の恒温恒湿状態に1000時間おいた後に室温まで冷却して、ボンド磁
石の磁束量φtを再度測定した。その減磁分(φ0−φt)の初期磁束量φ0に対する割合((φ0−φt)/φ0)を百分率で表し、1000時間経過後の減磁率(Flux−loss:%)とした。各種ボンド磁石の減磁率を表1に併せて示した。
さらに、120℃の大気雰囲気中に1000時間おいた後のボンド磁石の減磁率も同様に測定し、その結果を表1に併せて示した。
《評価》
(1)熱硬化樹脂被膜
表1に示した試料No.1−1と試料No.1−2〜1−7とを比較すると明らかなように、熱硬化樹脂被膜で被覆された磁石粒子からなる磁石粉末を用いると、ボンド磁石の減磁率が急激に改善され、耐候性が向上することがわかる。しかも、減磁率の改善は被膜樹脂量が0.1質量%程度で十分であった。逆に被膜樹脂量が増加しても、減磁率の向上はあまり望めず、残留磁束密度(Br)が低下した。特に被膜樹脂量が一定以上(例えば1質量%以上)になると、残留磁束密度(Br)の低下が急になった。従って、被膜樹脂量は、被処理粉末100質量%に対して0.1〜1質量%さらには0.2〜0.8質量%であると好ましいことがわかった。
なお、熱硬化樹脂被膜による減磁率の改善は、120℃のときよりも、80℃×95%RHのときの方が著しく大きかった。この理由として、本発明に係る熱硬化樹脂被膜は、単に酸素遮蔽性が高いのみならず、吸水率が非常に低いためと考えられる。従って、熱硬化樹脂被膜で被覆された磁石粉末を用いることにより、高温環境下のみならず、過酷な高湿環境下においても、優れた耐候性のボンド磁石が得られることがわかる。
(2)未硬化樹脂被膜
表1に示した試料No.2−1〜2−6と試料No.1−1〜1−7と比較すると明らかなように、樹脂被膜が熱硬化していない磁石粉末からなるボンド磁石の減磁率は、樹脂被膜を設けない場合と同レベルで、その改善はごく僅かであった。この傾向は、被膜樹脂量が増加しても、また試験環境が異なっても、同様であった。

Claims (7)

  1. 希土類元素(以下「R」と表す。)とホウ素(B)と遷移元素(以下「TM」と表す。)との正方晶化合物であるRTM14型結晶の集合体である基本磁石粒子と、
    該基本磁石粒子の表面を被覆する熱硬化性樹脂が熱硬化してなる熱硬化樹脂被膜と、
    により構成される被覆磁石粒子からなることを特徴とする希土類磁石粉末。
  2. 前記熱硬化樹脂被膜は、カップリング剤の塗布された前記基本磁石粒子の表面に形成されている請求項1に記載の希土類磁石粉末。
  3. 前記カップリング剤は、チタン(Ti)を含むチタネート系カップリング剤である請求項2に記載の希土類磁石粉末。
  4. RとBとTMとの正方晶化合物であるRTM14型結晶の集合体である基本磁石粒子の表面にカップリング剤を付着させるカップリング処理工程と、
    該カップリング処理工程後の基本磁石粒子の表面に熱硬化性樹脂を付着させる樹脂付着工程と、
    該熱硬化性樹脂を加熱して該基本磁石粒子の表面に該熱硬化性樹脂が熱硬化してなる熱硬化樹脂被膜を形成する被膜形成工程とを備え、
    請求項1に記載の被覆磁石粒子からなる希土類磁石粉末が得られることを特徴とする希土類磁石粉末の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の希土類磁石粉末と、
    該希土類磁石粉末を結着させ得るバインダー樹脂と、
    からなることを特徴とする希土類ボンド磁石用コンパウンド。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の希土類磁石粉末と、
    該希土類磁石粉末を結着させたバインダー樹脂と、
    からなることを特徴とする希土類ボンド磁石。
  7. 前記希土類磁石粉末は、平均粒径の異なる2種以上からなる複合希土類磁石粉末である請求項6に記載の希土類ボンド磁石。
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