以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
[抵抗変化素子の構成]
まず、本発明の実施の形態1の抵抗変化素子の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の抵抗変化素子の構成の一例を示した模式図である。図1に示すように、本実施の形態の抵抗変化素子10は、基板1と、基板1の上に形成された第1電極2と、第1電極2の上に形成された遷移金属酸化物層3と、遷移金属酸化物層3の上に形成された第2電極4とを備えている。第1電極2及び第2電極4は、遷移金属酸化物層3と電気的に接続されている。
基板1は、例えばシリコン基板により構成される。さらに基板1は、トランジスタや配線等で構成された半導体回路により構成されていてもよい。また、第2電極4は、例えば、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)、Cu(銅)及びAg(銀)のうちの1つまたはそれらの材料を含む合金を用いて構成されてもよい。また、第1電極2は、窒化タンタル(TaN)等で構成されてもよい。
遷移金属酸化物層3は、第1電極2及び第2電極4間に介在し、両電極間に与えられる電気的パルスに応じてその抵抗値が増加または減少する抵抗変化層であり、第1電極2に接続される第1の遷移金属酸化物層3aと、第1の遷移金属酸化物層3aよりも酸素含有率が高く、第2電極4に接続される第2の遷移金属酸化物層3bとが積層されて構成されている。遷移金属酸化物層3は、例えば、第1の遷移金属酸化物層3aの一例である酸素不足型の第1のタンタル酸化物層と、第2の遷移金属酸化物層3bの一例である第2のタンタル酸化物層とが積層された構成でもよい。ここで、酸素不足型のタンタル酸化物層とは、化学量論的組成(ここでは、Ta2O5)より酸素含有量が不足しているタンタル酸化物層をいう。第2の遷移金属酸化物層の酸素含有率は、第1の遷移金属酸化物層の酸素含有率よりも高く、第2の遷移金属酸化物層の抵抗値も第1の遷移金属酸化物層の抵抗値より高い。
第1の遷移金属酸化物層3aの組成をTaOx(第1のタンタル酸化物層)とした場合にxが0.8以上1.9以下であり、且つ、第2の遷移金属酸化物層3bの組成をTaOy(第1のタンタル酸化物層)とした場合にyが2.1以上である場合に、遷移金属酸化物層3の抵抗値を安定して高速に変化させることができた。したがって、x及びyは上記の範囲内にあることが好ましい。
遷移金属酸化物層3の厚みは、1μm以下であれば抵抗値の変化が認められるが、大規模なメモリデバイスを構成する場合は200nm以下であることが好ましい。パターニングプロセスにおいてフォトリソグラフィープロセスとエッチングプロセスを使用する場合に、加工し易く、しかも遷移金属酸化物層3の抵抗値を変化させるために必要となる電圧パルスの電圧値を低くすることができるからである。他方、電圧パルス印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をより確実に回避するという観点からは、遷移金属酸化物層3の厚みは少なくとも5nm以上であることが好ましい。
また、第2の遷移金属酸化物層3bの厚みについては、大きすぎると初期抵抗値が高くなりすぎる等の不都合があり、また小さすぎると安定した抵抗変化が得られないという不都合があるため、1nm以上8nm以下程度が好ましい。
上述したように構成される抵抗変化素子10を動作させる場合、第1電極2及び第2電極4が、電源5の異なる端子に電気的に接続される。この電源5は、抵抗変化素子10を駆動するための電気的パルス印加装置として機能し、第1電極2と第2電極4との間に所定の極性、電圧及び時間幅の電気的パルス(電圧パルス)を第1電極2と第2電極4との間に印加することができるように構成されている。
なお、以下では、電極間に印加される電圧パルスの電圧の極性が、第1電極2を基準にした第2電極4の電位で特定されるものとする。
また、第2の遷移金属酸化物層3bと接するように配置される第2電極4は、例えば、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)、Cu(銅)及びAg(銀)等、前記第1の遷移金属酸化物層及び第2の遷移金属酸化物層を構成する遷移金属Mの標準電極電位より標準電極電位が高い材料のうちの1つまたは複数の材料を用いて構成され、第1電極2は第2電極4を構成する材料の標準電極電位より標準電極電位が小さい材料(例えば、W、Ni、あるいはTaN等)で構成されることが好ましい。
すなわち、遷移金属酸化物にタンタル酸化物を用いた場合、第1電極2の標準電極電位V1、第2電極4の標準電極電位V2、及びタンタルの標準電極電位VTaとが、VTa<V2かつV1<V2なる関係を満足することが好ましい。
また、V1≦VTa<V2なる関係を満足することがさらに好ましい。
このような構成とすることにより、第2電極4と接する第2の遷移金属酸化物層3b内で抵抗変化現象を安定に起こすことができる。
また、抵抗変化素子10はその上下が逆の構造であってもよい。
[抵抗変化素子の製造方法]
次に、抵抗変化素子10の製造方法について説明する。
まず、基板1上に、スパッタリング法により、厚さ0.2μmの第1電極2を形成する。その後、Taターゲットをアルゴン(Ar)ガス及び酸素(O2)ガス中でスパッタリングする所謂反応性スパッタリング(reactive sputtering)法によって、第1電極2の上にタンタル酸化物(TaOx)層を形成する。ここで、タンタル酸化物層における酸素含有率は、アルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板温度は特に加熱することなく室温とすることができる。
次に、上記のようにして形成されたタンタル酸化物層の最表面を酸化することによりその表面を改質する。これにより、タンタル酸化物層の表面に、当該タンタル酸化物層の酸化されなかった領域(第1領域:TaOx)よりも酸素含有率の高い領域(第2領域:TaOy、y>x)が形成される。これらの第1領域(TaOx)及び第2領域(TaOy)が第1の遷移金属酸化物層3a及び第2の遷移金属酸化物層3bにそれぞれ相当し、このようにして形成された第1の遷移金属酸化物層3a及び第2の遷移金属酸化物層3bによって遷移金属酸化物層3が構成されることになる。なお、第2の遷移金属酸化物層3bは、TaOyターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス及び酸素(O2)ガス中でスパッタリングして形成してもよい。
次に、上記のようにして形成された遷移金属酸化物層3の上に、スパッタリング法により、厚さ0.2μmの第2電極4を形成することにより、抵抗変化素子10が得られる。
以上のようにして、本実施の形態における抵抗変化素子10は、スパッタリング法等によって製造されるので、低温で製造可能である。
なお、第1電極2及び第2電極4並びに遷移金属酸化物層3の大きさ及び形状は、マスク及びリソグラフィによって調整することができる。本実施の形態では、第2電極4及び遷移金属酸化物層3の大きさを0.5μm×0.5μm(面積0.25μm2)とし、第1電極2と遷移金属酸化物層3とが接する部分の大きさも0.5μm×0.5μm(面積0.25μm2)とした。
また、本実施の形態では、第1の遷移金属酸化物層3aの組成を第1のタンタル酸化物層(TaOx(x=1.54))とし、第2の遷移金属酸化物層3bの組成を第2のタンタル酸化物層(TaOy(y=2.47))としている。さらに、遷移金属酸化物層3の厚みを50nmとし、第1の遷移金属酸化物層3aの厚みを45nm、第2の遷移金属酸化物層3bの厚みを5nmとしている。
なお、本実施形態においては、第1のタンタル酸化物層及び第2のタンタル酸化物層の酸素含有率として、x=1.54、y=2.47の場合にて説明をしているが、本発明に係る抵抗変化素子としては、これに限ることなく、xの範囲は0.8≦x≦1.9、yの範囲は2.1≦yであれば、本実施形態での抵抗変化特性と同様に、安定した抵抗変化を実現できる。
[抵抗変化素子の動作]
次に、上述した製造方法により得られた抵抗変化素子10の動作について説明する。
以下では、遷移金属酸化物層3の抵抗値が所定の高い値(例えば、100kΩ程度)にある場合を高抵抗状態といい、同じく所定の低い値(例えば、10kΩ程度)にある場合を低抵抗状態という。
電源5を用いて、高抵抗状態にある遷移金属酸化物層3に負極性でかつ所定の第1の閾値電圧より小さい(絶対値が大きい)電圧パルスである書き込み電圧パルスを第1電極2及び第2電極4間に印加することにより、遷移金属酸化物層3の抵抗値が減少し、遷移金属酸化物層3が高抵抗状態から低抵抗状態へ変化する。以下では、これを書き込み過程という。
他方、電源5を用いて、低抵抗状態にある遷移金属酸化物層3に正極性でかつ所定の第2の閾値電圧より大きい電圧パルスである消去電圧パルスを第1電極2及び第2電極4間に印加することにより、遷移金属酸化物層3の抵抗値が増加し、遷移金属酸化物層3が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する。以下では、これを消去過程という。
なお、遷移金属酸化物層3が低抵抗状態にある場合に、書き込み電圧パルスと同極性である負極性の電圧パルスが第1電極2及び第2電極4間に印加されたとしても、遷移金属酸化物層3は低抵抗状態のまま変化しない。同様にして、遷移金属酸化物層3が高抵抗状態にある場合に、消去電圧パルスと同極性である正極性の電圧パルスが第1電極2及び第2電極4間に印加されたとしても、遷移金属酸化物層3は高抵抗状態のまま変化しない。
上記の書き込み過程及び消去過程を抵抗変化素子10に実行することにより、抵抗変化素子10が動作する。なお、連続して書き込み過程または消去過程を実行する所謂オーバーライト(上書き)が行われる場合もある。
本実施の形態では、第1回目の上記の書き込み過程の前にブレーク過程及び追加処理過程が実行される。ここで、ブレーク過程とは、消去電圧パルスと同極性である正極性のブレーク電圧パルスを第1電極2及び第2電極4間に印加することによって、遷移金属酸化物層3の抵抗値を初期抵抗値(製造出荷されたあとの初期状態、つまり、製造された後であって、書き込み過程が未だ施されていない状態での抵抗値)から、第1の抵抗値に大きく低下させる過程をいう。なお、このブレーク過程は、絶縁体などの絶縁破壊を意味するブレークダウンとは異なり、遷移金属酸化物層3の中に局所的に導電性が良いパス(導電パス)を形成する過程であり、導電パスが書き込み過程及び消去過程において抵抗変化すると考えられる。第1の抵抗値は、高抵抗状態の抵抗値より大きくすることが好ましい。導電パスがブレーク過程で大きくなりすぎることを防ぎ、エンデュランス特性がより改善できることが期待されるためである。また、追加処理過程とは、消去電圧パルスと同極性である正極性の電圧パルスであって消去電圧パルスよりも電圧値が高い追加処理電圧パルスを第1電極2及び第2電極4間に印加することによって、遷移金属酸化物層3の抵抗値を上記第1の抵抗値から、それよりも低い第2の抵抗値にさらに低下させる過程をいう。ここで、第2の抵抗値は高抵抗状態と同一の抵抗値であってもよい。なお、この追加処理過程は、ブレーク過程で形成された導電パスに何らかの変化を与えているものと推察される。
従来、抵抗変化材料を上下の電極で挟んだ構造の抵抗変化素子において抵抗状態の変化を発現させるために、製造工程において、特殊な電気的刺激を上下電極間に加える「慣らし」の工程(以下、フォーミング工程と呼ぶ)が行われている。具体的には、例えば2Vの電圧で100nsのパルス幅を持つ電圧パルスにより抵抗状態が変化する潜在的能力を有する抵抗変化素子を動作させるために、その製造直後にこれとは異なる大きさ(通常はより大きい電圧)及び異なるパルス幅(通常はより大きいパルス幅)の電圧パルスを複数回加える(例えば、±3Vで1μsの電気的パルスを100回程度加える等)工程がフォーミング工程に相当する。本実施の形態におけるブレーク過程及び追加処理過程は、抵抗変化素子が製造されて出荷された後において、第1回目の書き込み過程の前に行われるものであり、かつ同一の極性の電気パルスを連続して抵抗変化素子に印加する工程で、上記のフォーミング工程とは異なるものである。
本実施の形態では、ブレーク過程後の第1の抵抗値をR1とし、追加処理過程後の第2の抵抗値をR2とした場合、R1>R2を満たすようにする。この関係を満たすことにより、後述のとおり、安定した抵抗変化動作を実現することができる。
上述した本発明の実施の形態1の抵抗変化素子10の動作をフローチャートに表すと図2の通りになる。まず、遷移金属酸化物層3の抵抗値が初期抵抗値R0のとき、すなわち第1回目の書き込み過程が行われる前に、電圧値V0のブレーク電圧パルスによってブレーク過程を実行する(S101)。このとき、遷移金属酸化物層3に導電パスが形成され、抵抗値は、初期抵抗値R0から、第1の抵抗値R1へ低下する。さらに、電圧値V1の追加処理電圧パルスによって追加処理過程を実行する(S102)。このとき、遷移金属酸化物層3の抵抗値は、第1の抵抗値R1から、それよりも低い第2の抵抗値R2へさらに低下する。
第2の抵抗値R2は、抵抗変化素子の高抵抗状態よりも高い抵抗値であっても、同一の抵抗値であってもよい。
その後、書き込み過程及び消去過程を繰り返すステップS103を実行する。具体的には、電圧値Vwの書き込み電圧パルスによる書き込み過程(S103A)と、電圧値Veの消去電圧パルスによる消去過程(S103B)とを繰り返す。ここで、ステップS103Aを実行したときには、遷移金属酸化物層3の抵抗値が高抵抗値RHから低抵抗値RLへ変化し、ステップS103Bを実行したときには、遷移金属酸化物層3の抵抗値が低抵抗値RLから高抵抗値RHへ変化する。
なお、第1回目の書き込み過程(S103A)の実行時においては、遷移金属酸化物層3の抵抗値は上述の通り第2の抵抗値R2であるため、書き込み電圧パルスを印加することにより、遷移金属酸化物層3の抵抗値が第2の抵抗値R2から低抵抗値RLへ変化することになる。その後の第2回目以降の書き込み過程(S103A)では、上述の通り、遷移金属酸化物層3の抵抗値が高抵抗値RHから低抵抗値RLへ変化することになる。
図3A、図3Bは、第2の遷移金属酸化物層3bの厚みが5.0nmである遷移金属酸化物層3の抵抗状態の変化の一例を示すグラフである。図3Aは、遷移金属酸化物層3の抵抗値が初期抵抗値からブレーク過程及び追加処理過程を経て変化する様子、及びその後の書き込み過程と消去過程を繰り返し実行したときの遷移金属酸化物層3の抵抗変化の様子である。図3Bは、ブレーク過程及び追加処理過程を終了後、書き込み過程と消去過程を100万回繰り返し実行した後の遷移金属酸化物層3の抵抗変化の様子である。この例では、ブレーク過程におけるブレーク電圧パルスの電圧値V0を、消去電圧パルスの電圧値Ve(+2.5V)以上である+4.5V、パルス幅を100μs、追加処理電圧パルスの電圧値V1を、消去電圧パルスの電圧値Ve(+2.5V)以上である+4.5V、パルス幅を500μsとしている。また、書き込み電圧パルスの電圧値Vwは−1.9V、パルス幅100nsとし、消去電圧パルスの電圧値Veは、その絶対値が書き込み電圧パルスの電圧値Vw(−1.9V)の絶対値以上である+2.5V、パルス幅100nsとしている。
図3Aを参照すると、ブレーク過程では、ブレーク電圧パルスを11回印加すると遷移金属酸化物層3の抵抗値は、初期抵抗値約36MΩから、その1/10以下となる約560kΩへ急激に低下している。その後、追加処理過程では、追加処理電圧パルスを20回(つまり、複数の追加処理電圧パルスを)印加することによって遷移金属酸化物層3の抵抗値は、約560kΩから、さらに低い約70kΩ程度へと追加処理電圧パルスの印加回数の増加とともに抵抗値の微小な増減はあるが、概ね徐々に減少している。ブレーク過程及び追加処理過程を終了後、書き込み過程と消去過程での遷移金属酸化物層3の抵抗値は、約8kΩと約50kΩから120kΩの間で比較的安定して変化している。
図3Bを参照すると、書き込み過程と消去過程での遷移金属酸化物層3の抵抗値は、約8kΩと約40kΩから100kΩの間で比較的安定して変化していることから、遷移金属酸化物層3の抵抗状態の変化がブレーク過程及び追加処理過程終了直後、及び、書き込み過程と消去過程を100万回繰り返し実行した後においても安定していることが分かる。このように、ブレーク過程後の第1の抵抗値R1と追加処理過程後の第2の抵抗値R2が、R1>R2を満たすように電圧パルスを両電極間に印加することにより、抵抗変化素子10を安定して動作させることが可能になる。
次に、抵抗変化素子10がメモリとして使用され、1ビットデータの書き込み/読み出し処理を行う場合について、説明する。なお、以下では、遷移金属酸化物層3が低抵抗状態にある場合を「1」に対応させ、高抵抗状態にある場合を「0」に対応させる。
図4は、本発明の実施の形態1の抵抗変化素子10を動作させる回路の構成の一例及び当該抵抗変化素子10にデータを書き込む場合における動作例を示す図である。図4に示すように、この回路は、抵抗変化素子10と、第1端子11及び第2端子12とを備えている。抵抗変化素子10の第2電極4は第1端子11に電気的に接続されており、第1電極2は第2端子12に電気的に接続されている。
図5は、本発明の実施の形態1の抵抗変化素子10にデータを書き込む場合(書き込み過程)及び消去する場合(消去過程)並びに第1回目の書き込みの前に行われるブレーク過程及び追加処理過程における遷移金属酸化物層3の抵抗値の変化を示す図である。なお、書き込み過程及び消去過程並びにブレーク過程及び追加処理過程においては、図4に示すように、第2端子12は接地(グランド:GND)され、第1端子11に電圧パルスが供給される。電圧パルスは、第1電極2及び接地点を基準に特定される。
抵抗変化素子10が初期状態にある場合(遷移金属酸化物層3の抵抗値が初期抵抗値R0にある場合)に、正極性のブレーク電圧パルス(電圧値V0)が第1端子11に供給されると、図5に示すように、遷移金属酸化物層3の抵抗値は初期抵抗値R0から第1の抵抗値R1に低下し、さらに正極性の追加処理電圧パルス(電圧値V1)が第1端子11に供給されると遷移金属酸化物層3の抵抗値は第1の抵抗値R1から第2の抵抗値R2へと低下する。次に、負極性の書き込み電圧パルス(電圧値Vw)が第1端子11に供給されると、図5に示すように遷移金属酸化物層3の抵抗値は、第2の抵抗値R2から低抵抗値RLへと低下する(第1回目の書き込み)。これにより、「1」を表す1ビットデータが書き込まれたことになる。次に、正極性の第1消去電圧パルス(電圧値Ve)が第1端子11に供給されると、遷移金属酸化物層3の抵抗値が低抵抗値RLから高抵抗値RHへと上昇する(第1回目の消去)。これにより、「0」を表す1ビットデータが書き込まれたことになる。
なお、遷移金属酸化物層3の抵抗値は初期抵抗値R0が最も高く、高抵抗値RHは低抵抗値RLよりも高いことから、R0>RH>RLの関係が成立することになる。また、本実施の形態においては、初期過程後の第1の抵抗値R1及び追加処理過程後の第2の抵抗値R2が、R1>R2の関係となった。
その後、遷移金属酸化物層3の抵抗値が高抵抗値RHである場合において、負極性の書き込み電圧パルス(電圧値Vw)が第1端子11に供給されると、遷移金属酸化物層3の抵抗値が高抵抗値RHから低抵抗値RLへと変化する。他方、遷移金属酸化物層3の抵抗値が低抵抗値RLである場合において、正極性の消去電圧パルス(電圧値Ve)が第1端子11に供給されると、遷移金属酸化物層3の抵抗値は低抵抗値RLから高抵抗値RHへ変化する。
この回路においても、抵抗変化素子10がブレーク過程後及び追加処理過程直後、並びに書き込み過程と消去過程を100万回繰返した後においても安定して高速に動作するメモリとして機能する。
図6は、本発明の実施の形態1の抵抗変化素子10を動作させる回路の構成の一例及び当該抵抗変化素子10に書き込まれたデータを読み出す場合における動作例を示す図である。図6に示すように、データの読み出しを行う場合には、第2端子12は接地(グランド:GND)され、第1端子11に読出電圧が供給される。この読出電圧は、第1電極2及び接地点を基準に特定され、抵抗変化素子10に供給されても抵抗変化素子10の抵抗を変化させないような電圧である。
図7は、データの読み出しの際に、本発明の実施の形態1の抵抗変化素子10を備える回路を流れる電流の電流値と遷移金属酸化物層3の抵抗値との関係を示す図である。第1端子11に読出電圧が供給されると、遷移金属酸化物層3の抵抗値に応じた電流が回路を流れる。すなわち、図7に示すように、遷移金属酸化物層3が低抵抗値RLである場合は電流値Iaの電流が回路を流れ、高抵抗値RHである場合は電流値Ibの電流が回路を流れる。
図6に示すように第2端子12が接地され、例えば+0.5Vの読出電圧が第1端子11に供給された場合に、第1端子11と第2端子12との間に流れる電流の電流値を検出することにより、遷移金属酸化物層3が高抵抗状態及び低抵抗状態の何れの抵抗状態にあるのかを判別する。具体的には、検出した電流値がIaであれば、遷移金属酸化物層3が低抵抗値RLであると判別する。その結果、抵抗変化素子10に書き込まれたデータが「1」であることが分かる。他方、検出した電流値がIbであれば、遷移金属酸化物層3が高抵抗値RHであると判別する。その結果、抵抗変化素子10に書き込まれたデータが「0」であることが分かる。このようにして、抵抗変化素子10に書き込まれたデータの読み出しが行われる。
本実施の形態の抵抗変化素子10は、電源を切ったとしても抵抗値が変化しない。そのため、この抵抗変化素子10を用いることにより、不揮発性記憶装置を実現することができる。
以下、本実施の形態に対する比較例として、3つの例を示す。なお、以下の比較例1〜3の抵抗変化素子の構成は、本実施の形態の抵抗変化素子10(第2の遷移金属酸化物層3bの厚みは5.0nm)と同様であるため、説明を省略する。
[比較例1]
図8は、比較例1の抵抗変化素子が備える遷移金属酸化物層の抵抗状態の変化の一例を示すグラフである。この比較例1では、上記実施の形態の場合と異なり、ブレーク過程及び追加処理過程が行われない。すなわち、初期抵抗値の遷移金属酸化物層に電圧値が−1.9Vでパルス幅が100nsの書き込み電圧パルスを両電極間に印加する書き込み過程と、電圧値が+2.5Vでパルス幅が100nsの消去電圧パルスを両電極間に印加する消去過程とが繰り返し実行されるのみである。
図8に示すように、比較例1においては、遷移金属酸化物層の抵抗値は初期抵抗値のままであり、抵抗状態の変化がみられない。したがって、この比較例1の状態の抵抗変化素子をメモリに用いることはできない。
[比較例2]
図9A、図9Bは、比較例2の抵抗変化素子が備える遷移金属酸化物層の抵抗状態の変化の一例を示すグラフである。この比較例2では、上記実施の形態の場合と異なり、ブレーク過程のみ行われ、追加処理過程は行われない。すなわち、ブレーク過程として、電圧値が+4.5Vでパルス幅が100μsの初期電圧パルスを両電極間に2回印加することによって遷移金属酸化物層の抵抗値が初期抵抗値約38MΩから約280kΩまで大きく低下した後、電圧値が−1.9Vでパルス幅が100nsの書き込み電圧パルスを両電極間に印加する書き込み過程と、電圧値が+2.5Vでパルス幅が100nsの消去電圧パルスを両電極間に印加する消去過程とが繰り返し実行される。
図9Aに示すように、比較例2においては、ブレーク電圧パルスが印加された後は上記実施の形態の場合と同様、遷移金属酸化物層は比較的安定な抵抗変化を示すが、図9Bに示すように、書き込み過程と消去過程を100万回実施した後では、遷移金属酸化物層の抵抗値は初期抵抗値程度まで上昇し、書き込み電圧パルス及び消去電圧パルスを印加しても抵抗状態の変化がみられなくなる。したがって、この比較例2の状態の抵抗変化素子をエンデュランス特性が100万回程度要求されるメモリに用いることはできない。本実施の形態と比較例2との違いは、追加処理過程の有無の違いであり、追加処理過程がエンデュランス特性に大きく影響していることがわかる。
[比較例3]
図10は、比較例3の抵抗変化素子が備える遷移金属酸化物層の抵抗状態の変化の一例を示すグラフである。この比較例3では、ブレーク過程、追加処理過程は行われるが、上記実施の形態の場合と異なり、書き込み電圧パルス、及び消去電圧パルスの電圧値が|Ve|<|Vw|の関係にある。具体的には、書き込み電圧パルスの電圧値が−2.5Vに、消去電圧パルスの電圧値が+1.9Vにそれぞれ設定される。電圧パルスもパルス幅は100nsである。
図10に示すように、比較例3においては、ブレーク電圧パルスを両電極間に印加することによって抵抗変化層の抵抗値は初期抵抗値から減少し、さらに追加処理電圧パルスを印加することによって抵抗値がさらに減少している。その後、第1回目の書き込み過程によって当該抵抗値がさらに減少しているが、その後は書き込み過程及び消去過程を繰り返しても抵抗状態の変化がみられない。したがって、この比較例3の状態の抵抗変化素子もメモリに用いることは不可能である。
これらの比較例1〜3から分かるように、ブレーク過程を実行しない場合、及び、消去電圧パルスの電圧値Ve、書き込み電圧パルスの電圧値Vwが|Ve|≧|Vw|の関係にない場合には、動作可能な抵抗変化素子を実現することができない。また、ブレーク過程を実行しても追加処理過程を実行しない場合は、消去電圧パルスの電圧値Ve、書き込み電圧パルスの電圧値Vwが|Ve|≧|Vw|の関係の場合であっても、エンデュランス特性が良好な抵抗変化素子を実現することができない。
[追加処理過程と抵抗変化動作]
追加処理過程がエンデュランス特性にどのように影響するか検討を行った。図11は、本発明の実施の形態1における抵抗変化素子10の遷移金属酸化物層3の抵抗値が、ブレーク過程終了時の抵抗値から、追加処理過程において与える電圧パルスの印加回数を変化させた場合にどのように変化するかを示すグラフである。本発明の実施の形態1では、追加処理電圧パルスの電圧値は+4.5V、パルス幅は500μsであるが、比較のために、電圧値が+3.0V、+3.5V、+4.0Vでパルス幅が500μsの電圧パルスによる抵抗値の変化も示している。なお、図11のグラフの横軸で示される累積パルス印加時間は、追加処理電圧パルスのパルス幅500μs×パルス印加回数としている。また、累積パルス印加時間の単位はmsで表している。
図11を参照すると、追加処理電圧パルスの電圧値によってブレーク過程終了時の抵抗値からの変化の仕方が異なることがわかる。追加処理電圧パルスの電圧値が+3.0Vでは、遷移金属酸化物層3の抵抗値はパルスが印加される毎にかなり変動しているが、累積パルス印加時間が50msでもブレーク過程終了時の抵抗値からあまり大きく変化していない。追加処理電圧パルスの電圧値が+3.5Vでは、累積パルス印加時間が15ms程度までは、ブレーク過程終了時の抵抗値よりも増大しているが、累積パルス印加時間が15ms以上になると徐々に低下している。追加処理電圧パルスの電圧値が+4.0V及び+4.5Vでは、遷移金属酸化物層3の抵抗値は累積パルス印加時間が5ms程度で急激に低下し、累積パルス印加時間が5ms以上では抵抗値の低下の仕方は飽和している。
図12は、追加処理電圧パルスの電圧値と各電圧値の累積パルス印加時間とを変化させ、エンデュランス特性を調べた結果である。図12の中の各条件で複数の抵抗変化素子を抵抗変化動作させたところ、○で示す条件では、エンデュランス特性がすべての抵抗変化素子において良好であり、△で示す条件では、エンデュランス特性が良好な抵抗変化素子と不良の抵抗変化素子とがあり、×で示す条件では、エンデュランス特性がすべての抵抗変化素子において不良であった。図11の抵抗値の変化の結果と比較すると、追加処理過程において抵抗値が低下するほどエンデュランス特性が良好になることがわかる。よって、1個の追加処理電圧パルスよりも複数の追加処理電圧パルスを用いて追加処理過程を実行することで、累積パルス印加時間が多くなり、より良好なエンデュランス特性が得られる。
ここで、抵抗変化素子10のブレーク過程と追加処理過程における遷移金属酸化物層3の抵抗値変化のメカニズムについて、再び、図2を参照しながら説明する。
第2電極4に消去電圧パルス以上の電圧値を有する正極性のブレーク電圧パルスを印加するブレーク過程(S101)においては、遷移金属酸化物層3の抵抗値は、初期抵抗値R0から第1の抵抗値R1へと低下する。
まず、このブレーク電圧パルスによる初期抵抗値R0から第1の抵抗値R1への変化のメカニズムを定性的に説明する。ブレーク電圧パルスを印加することによって第2の遷移金属酸化物層3bの微小部分の酸素イオンが急激に第2電極4の界面(第2電極4と第2の遷移金属酸化物層3bとの界面)付近から第1の遷移金属酸化物層3a側へ移動して、第2の遷移金属酸化物層3bの酸素濃度よりも酸素濃度が小さく、そのため抵抗が小さい微小なサイズの導電パスが形成される。その後、第2電極4に印加された正極性のブレーク電圧パルスによる正電界によって負電荷を有する酸素イオンが第2の遷移金属酸化物層3bに形成された導電パス内を移動し第2電極4の界面に蓄積される。すなわち、消去電圧パルス以上の電圧値を有するブレーク電圧パルスを印加することによって、第2の遷移金属酸化物層3b内の導電パス形成と酸素イオンの第2電極4の界面への蓄積がほぼ同時に起こると考えられる。
第2電極4界面に蓄積される酸素イオンの量は、初期の第2の遷移金属酸化物層3bの酸素濃度よりもかなり少ないため、初期抵抗値R0と第1の抵抗値R1を比較すると、抵抗値の比R1/R0は1/10以下になっている。また、第1の抵抗値R1の大きさは、消去過程で消去電圧パルスを印加したときの遷移金属酸化物層3の抵抗値RHよりも高くなることが多い。その理由は、ブレーク電圧パルスの電圧は消去電圧パルスの電圧よりも大きいため、正電界によって第2電極4の界面に蓄積される酸素イオンの量は、ブレーク電圧パルス印加時の方が消去電圧パルス印加時よりも多くなると考えられるからである。
次に第2電極4に消去電圧パルス以上の電圧値を有する正極性の追加処理電圧パルスを印加する追加処理過程(S102)においては、遷移金属酸化物層3の抵抗値は、第1の抵抗値R1から第2の抵抗値R2へと低下する。
この第1の抵抗値R1から第2の抵抗値R2への抵抗変化のメカニズムは、今のところ不明であるが、以下のように推測される。正極性の追加処理電圧パルスによる正電界によって負電荷を有する酸素イオンが第2の遷移金属酸化物層3b内に形成された導電パス内を移動し第2電極4の界面に蓄積され、遷移金属酸化物層3の抵抗値は、第1の抵抗値R1よりも高くなることが予想される。しかし、実際には第1の抵抗値R1よりも小さい第2の抵抗値R2へ変化している。この変化は、ブレーク過程で形成された導電パスのサイズが追加処理過程を経ることによって大きくなったと仮定するとうまく説明される。つまり、第2電極4の界面に蓄積される酸素イオンの量が増加して抵抗値が高くなるよりも、導電パスサイズが大きくなって抵抗値が低くなる効果が勝り、遷移金属酸化物層3の抵抗値が第1の抵抗値R1よりも小さい第2の抵抗値R2へ低下したと考えられる。また、図11に示すように追加処理電圧パルスの電圧値またはパルス幅が十分に大きい場合に、導電パスに流れる電流値または電流が流れる時間が大きくなり、導電パスサイズは、拡大していき抵抗値は低下していくと推測される。
次に書き込み過程及び消去過程を繰り返すステップS103においては、書き込み電圧パルスによる書き込み過程(S103A)によって遷移金属酸化物層3の抵抗値がRLへ変化し、消去過程(S103B)によって遷移金属酸化物層3の抵抗値がRHへ変化する。
この抵抗変化のメカニズムを定性的に説明する。負極性の書き込み電圧パルスを印加することによってブレーク過程(S101)及び追加処理過程(S102)で第2の遷移金属酸化物層3b内に形成された導電パス内を酸素イオンが第2電極4の界面から遠ざかる方向へ移動し、遷移金属酸化物層3の抵抗値はRLへ低下する。一方、正極性の消去電圧パルスを印加することによって第2の遷移金属酸化物層3b内に形成された導電パス内を酸素イオンが第2電極4側への方向へ移動し、第2電極4の近傍へ蓄積され、遷移金属酸化物層3の抵抗値は高抵抗値RHへ高くなる。消去電圧パルスは、追加処理電圧パルスの電圧よりも小さいため追加処理過程(S102)後の第2の抵抗値R2よりも消去過程後の高抵抗値RHは小さくなる。また、消去電圧パルス及び書き込み電圧パルスの電圧値、パルス幅は追加処理電圧パルスよりも小さいため繰返し印加しても導電パスの大きさを変化させることはなく、比較的安定して低抵抗値RLと高抵抗値RHを繰返し変化することが可能になる。
次に、ブレーク過程(S101)と追加処理過程(S102)を実施した場合と、追加処理過程(S102)を省略しブレーク過程(S102)のみを実施した場合におけるエンデュランス特性の違いについて定性的に説明する。
消去過程及び書き込み過程で導電パス内を移動する酸素イオンの量が正確に同じ場合は、繰返し消去過程及び書き込み過程を多数回実施しても安定して低抵抗値RLと高抵抗値RHの間を変化する。しかし、消去過程及び書き込み過程で移動する酸素イオンの量を正確に同じにすることは、実用上非常に困難である。従って、例えば消去過程における酸素イオン移動量が、書き込み過程における酸素イオン移動量よりもわずかに多い場合においては、初期の消去過程及び書き込み過程では、第2電極4の界面に蓄積される酸素イオンの量はほとんど無視できるが、消去過程及び書き込み過程を100万回といった多数回実施すると第2電極4の界面に蓄積される酸素イオンの量が無視できなくなってくる。その場合、導電パスの大きさが小さい場合ほど蓄積される酸素イオンの量による抵抗値の増加は顕著になってくる。ブレーク過程及び追加処理過程を実施した場合の方が、ブレーク過程のみ実施した場合に比べて導電パスの大きさが大きくなることを述べた。従って、追加処理過程を省略し、ブレーク過程のみの場合の方が、導電パスの大きさが小さいため繰返し回数とともに早く抵抗値が増大し、消去過程及び書き込み過程で印加する電圧パルスでは、抵抗変化を示さなくなると考えられる。
以上のように、実施の形態1における抵抗変化素子の駆動方法によれば、第1回目の書き込み過程の前に遷移金属酸化物層の初期状態の抵抗値を低下させるブレーク過程を実行し、その後に、さらに抵抗値を低下させる追加処理過程を実行することで、それらの過程の後で、書き込み過程と消去過程とを繰り返した場合に、遷移金属酸化物層が低抵抗値と高抵抗値との間の変化を安定して繰り返すという良好なエンデュランス特性が得られる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において説明した抵抗変化素子を備える不揮発性記憶装置である。以下、この不揮発性記憶装置の構成及び動作について説明する。
[不揮発性記憶装置の構成]
図13は、本発明の実施の形態2の不揮発性記憶装置200の構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、不揮発性記憶装置200は、抵抗変化素子を具備するメモリセルアレイ201と、アドレスバッファ202と、制御部203と、行デコーダ204と、ワード線ドライバ205と、列デコーダ206と、ビット線/プレート線ドライバ207とを備えている。また、ビット線/プレート線ドライバ207はセンス回路を備えており、ビット線またはプレート線に流れる電流や、発生した電圧を測定することができる。
メモリセルアレイ201は、図13に示すように、縦方向に延びる2本のワード線W1,W2と、当該ワード線W1,W2と交差して横方向に延びる2本のビット線B1,B2と、当該ビット線B1,B2に一対一で対応して設けられる横方向に延びる2本のプレート線P1,P2と、ワード線W1,W2及びビット線B1,B2との各交差点に対応してマトリクス状に設けられた4個の選択トランジスタT211,T212,T221,T222と、当該4個の選択トランジスタT211,T212,T221,T222に一対一で対応してマトリクス状に設けられたメモリセルMC211,MC212,MC221,MC222とを具備している。
なお、これらの各構成要素の個数または本数は上記のものに限定されるわけではない。例えば、メモリセルアレイ201は上記のように4個のメモリセルを具備しているが、これは一例であり、5個以上のメモリセルを具備する構成であってもよい。
なお、上記の構成例では、プレート線はビット線と平行に配置されているが、プレート線はワード線と平行に配置してもよい。また、プレート線は接続されているトランジスタに共通の電位を与える構成としているが、行デコーダ204やワード線ドライバ205と同様の構成のソース線選択回路やドライバを有し、選択されたソース線と非選択のソース線を異なる電圧(極性も含む)で駆動する構成としてもよい。
上述したメモリセルMC211,MC212,MC221,MC222は、実施の形態1において図4を参照して説明した抵抗変化素子10に相当する。図4を併せて参照しながらメモリセルアレイ201の構成についてさらに説明すると、選択トランジスタT211及びメモリセルMC211は、ビット線B1とプレート線P1との間に設けられており、選択トランジスタT211のソースとメモリセルMC211の端子11とが接続されるべく直列に並んでいる。より詳しくは、選択トランジスタT211は、ビット線B1とメモリセルMC211との間で、ビット線B1及びメモリセルMC211と接続されており、メモリセルMC211は、選択トランジスタT211とプレート線P1との間で、選択トランジスタT211及びプレート線P1と接続されている。また、選択トランジスタT211のゲートはワード線W1に接続されている。
なお、他の3個の選択トランジスタT212,T221,T222及びこれらの選択トランジスタT212,T221,T222と直列に配置される3個のメモリセルMC212,MC221,MC222の接続状態は、選択トランジスタT211及びメモリセルMC211の場合と同様であるので、説明を省略する。
以上の構成により、選択トランジスタT211,T212,T221,T222のそれぞれのゲートに、ワード線W1,W2を介して所定の電圧(活性化電圧)が供給されると、選択トランジスタT211,T212,T221,T222のドレイン及びソース間が導通することになる。
アドレスバッファ202は、外部回路(図示せず)からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このアドレス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROWを行デコーダ204に出力するとともに、列アドレス信号COLUMNを列デコーダ206に出力する。ここで、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211,MC212,MC221,MC222のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。また、行アドレス信号ROWは、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号COLUMNは、同じく列のアドレスを示す信号である。
制御部203は、外部回路から受け取ったモード選択信号MODEに応じて、ブレークモード、追加処理モード、書き込みモード、消去モード、及び読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択する。以下、電圧印加の場合、プレート線を基準に各電圧が印加されるものとする。
ブレークモードにおいて、制御部203は、「ブレーク電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。このブレークモードに続いて、追加処理モードが選択される。
追加処理モードにおいて、制御部203は、「追加処理電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。これらブレークモード及び追加処理モードは、第1回目の書き込みが行われる前に選択されるモードである。
また、書き込みモードにおいて、制御部203は、外部回路から受け取った入力データDinに応じて、「書き込み電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
また、読み出しモードの場合、制御部203は、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。この読み出しモードでは、制御部203はさらに、ビット線/プレート線ドライバ207から出力される信号IREADを受け取り、この信号IREADに応じたビット値を示す出力データDoutを外部回路へ出力する。この信号IREADは、読み出しモードのときにプレート線P1,P2を流れる電流の電流値を示す信号である。
さらに、消去モードにおいて、制御部203は、メモリセルMC211,MC212,MC221,MC222の書き込み状態を確認し、その書き込み状態に応じて、「消去電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
行デコーダ204は、アドレスバッファ202から出力された行アドレス信号ROWを受け取り、この行アドレス信号ROWに応じて、2本のワード線W1,W2のうちの何れか一方を選択する。ワード線ドライバ205は、行デコーダ204の出力信号に基づいて、行デコーダ204によって選択されたワード線に活性化電圧を印加する。
列デコーダ206は、アドレスバッファ202から出力された列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列アドレス信号COLUMNに応じて、2本のビット線B1,B2のうちの何れか一方を選択するとともに、選択されたビット線に対応する、2本のプレート線P1,P2のうちの何れか一方を選択する。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「ブレーク電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、各ビット線と各プレート線間にブレーク電圧VBREAK(ブレーク電圧パルス)を印加する。
また、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「追加処理電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、各ビット線と各プレート線間に追加処理電圧VADD(追加処理電圧パルス)を印加する。
また、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「書き込み電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて、列デコーダ206によって選択されたビット線と選択されたプレート線間に書き込み電圧VWRITE(書き込み電圧パルス)を印加する。
また、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて、列デコーダ206によって選択されたビット線と同じく選択されたプレート線間に読み出し電圧VREADを印加する。その後、ビット線/プレート線ドライバ207は、そのプレート線を流れる電流の電流値を示す信号IREADを制御部203に出力する。
さらに、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「消去電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて、列デコーダ206によって選択されたビット線と同じく選択されたプレート線間に消去電圧VRESET(消去電圧パルス)を印加する。
ここで、ブレーク電圧VBREAKの電圧値は、例えば+4.5Vに設定され、そのパルス幅は100μsに設定される。また、追加処理電圧VADDの電圧値は、例えば+4.5Vに設定され、そのパルス幅は500μsに設定される。また、書き込み電圧VWRITEの電圧値は、例えば−1.9Vに設定され、そのパルス幅が100nsに設定される。また、読み出し電圧VREADの電圧値は、例えば+0.5Vに設定される。さらに、消去電圧VRESETの電圧値は、例えば+2.5Vに設定され、そのパルス幅は100nsに設定される。
なお、機能的には、制御部203とビット線/プレート線ドライバ207によって、選択されたメモリセル(抵抗変化素子)に所定のパルス電圧を印加するパルス電圧印加部が構成されている。そのようなパルス電圧印加部とは、少なくとも、(1)第1の極性を有する書き込み電圧パルスをメモリセルに印加することによって、当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の抵抗状態を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる書き込み過程と、(2)第1の極性とは異なる第2の極性を有する消去電圧パルスをメモリセルに印加することによって、当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の抵抗状態を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる消去過程と、(3)第1回目の書き込み過程の前に、消去電圧パルス以上の電圧値を有する第2の極性を有するブレーク電圧パルスをメモリセルに印加することによって、当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の初期状態の抵抗値を低下させるブレーク過程と、(4)ブレーク過程の後であって第1回目の書き込み過程の前に、消去電圧パルス以上の電圧値を有する第2の極性を有する追加処理電圧パルスをメモリセルに印加することによって、前記ブレーク過程後の当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の抵抗値を低下させる追加処理過程とを実行する処理部である。
[不揮発性記憶装置の動作]
以下、上述したように構成される不揮発性記憶装置200の動作例を、上記のブレークモード、追加処理モード(以上、第1回目の書き込みの前に選択されるモード)、書き込みモード(メモリセルに入力データDinを書き込むモード)、消去モード(メモリセルに書き込まれたデータを消去するモード)、及び読み出しモード(メモリセルに書き込まれたデータを出力データDoutとして出力(読み出し)するモード)の各モードに分けて説明する。ここで、実施の形態1におけるブレーク過程はブレークモードに、追加処理過程は追加処理モードに、書き込み過程は書き込みモードに、消去過程は消去モードにそれぞれ該当する。
なお、説明の便宜上、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211のアドレスを示す信号であるものとする。
〔ブレークモード〕
制御部203は、第1回目の書き込みを実行する前に、「ブレーク電圧印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「ブレーク電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、各ビット線にブレーク電圧VBREAK(ブレーク電圧パルス)を印加するとともに、各プレート線を接地状態にする。
その結果、ブレーク電圧VBREAK、すなわち電圧値が+4.5Vでパルス幅が100μsのブレーク電圧パルスが、すべてのメモリセルに印加される。ここで、ブレーク電圧パルスは各メモリセルにおいて遷移金属酸化物の抵抗値が第1の抵抗値R1に低下するまで1回乃至複数回印加される。第1の抵抗値R1は、高抵抗状態の抵抗値RHより大きいことが好ましい。導電パスがブレーク過程で大きくなりすぎることを防ぎ、エンデュランス特性がより改善できることが期待されるためである。各ブレーク電圧パルス印加後は、読み出しモードで抵抗変化素子の抵抗値を読み出し、ブレーク過程が終了したかどうか確認する。ここでは、同じ電圧のブレーク電圧パルスを複数回印加してブレークさせているが、ブレーク電圧パルスの電圧をあらかじめ決められた電圧から徐々に増加させてブレークする構成としてもよい。
これにより、パルス電圧印加部によって実施の形態1におけるブレーク過程が実行され、すべてのメモリセルにおいて遷移金属酸化物層3の抵抗値が初期抵抗値R0から、第1の抵抗値R1へ減少する。
〔追加処理モード〕
制御部203は、第1回目の書き込みを実行する前に、「追加処理電圧印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「追加処理電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、各ビット線に、追加処理電圧VADD(追加処理電圧パルス)を印加するとともに、各プレート線を接地状態にする。
その結果、追加処理電圧VADD、すなわち電圧値が例えば+4.5Vでパルス幅が500μsの初期電圧パルスが、すべてのメモリセルに印加される。ここで、初期電圧パルスは、基本的にすべてのメモリセルにおいて遷移金属酸化物層3の抵抗値が第1の抵抗値R1から、それよりも低い第2の抵抗値R2に減少するまで印加される。第2の抵抗値R2は、あらかじめ実験的に確かめて設定してもよい。また、追加処理パルスの累積印加時間を、結果的に遷移金属酸化物層3の抵抗値が第1の抵抗値R1から、それよりも低い第2の抵抗値R2に減少するような時間、例えば10msに設定してもよい。これにより、パルス電圧印加部によって実施の形態1における追加処理過程が実行され、すべてのメモリセルにおいて遷移金属酸化物層3の抵抗値が第1の抵抗値R1から、それよりも低い第2の抵抗値R2へ減少する。
〔書き込みモード〕
制御部203は、外部回路から入力データDinを受け取る。ここで、制御部203は、この入力データDinが「1」である場合に、「書き込み電圧印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。一方、制御部203は、入力データDinが「0」である場合には制御信号CONTを出力しない。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「書き込み電圧印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1と選択されたプレート線P1間に書き込み電圧VWRITE(書き込み電圧パルス)を印加する。
このとき、行デコーダ204によって選択されたワード線W1には、ワード線ドライバ205によって活性化電圧が印加されている。そのため、選択トランジスタT211のドレイン及びソース間が導通状態となっている。
その結果、書き込み電圧VWRITE、すなわち電圧値が−1.9Vでパルス幅が100nsの書き込み電圧パルスが、メモリセルMC211に印加される。これにより、パルス電圧印加部によって実施の形態1における書き込み過程が実行され、メモリセルMC211の遷移金属酸化物層3の抵抗値は、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。他方、メモリセルMC221,MC222には書き込み電圧パルスは印加されず、且つメモリセルMC212と直列接続された選択トランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないため、メモリセルMC212,MC221,MC222の抵抗状態は変化しない。
このようにして、メモリセルMC211のみを低抵抗状態へ変化させることができ、これにより、メモリセルMC211に、低抵抗状態に対応する「1」を示す1ビットデータが書き込まれる(1ビットデータが記憶される)。
なお、メモリセルMC211への書き込みが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力され、上記の不揮発性記憶装置200の書き込みモードにおける動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
〔読み出しモード〕
制御部203は、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1と選択されたプレート線P1間に読み出し電圧VREADを印加する。
このとき、行デコーダ204によって選択されたワード線W1には、ワード線ドライバ205によって活性化電圧が印加されている。そのため、選択トランジスタT211のドレイン及びソース間が導通状態となっている。
このため、書き込み電圧VREADとして、例えば電圧値が+0.5Vの測定電圧が、メモリセルMC211に印加される。これにより、メモリセルMC211の抵抗値に応じた電流値を示す読み出し電流が、メモリセルMC212を介して、ビット線B1からプレート線P1に流れ込む。書き込み電圧VREADは、メモリセルに印加されてもメモリセルの抵抗値が変化しないような十分低い電圧である。
なお、メモリセルMC221,MC222には測定電圧が印加されず、且つメモリセルMC212と直列接続された選択トランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないため、メモリセルMC212,MC221,MC222には上記電流が流れない。
次に、ビット線に接続されたセンスアンプ(図示せず)は、ビット線B1に流れる読み出し電流の電流値を基準となる抵抗値を流れる電流値と比較し、その結果を示す信号IREADを制御部203に出力する。
制御部203は、その信号IREADに示された電流値に応じた出力データDoutを外部へ出力する。例えば、信号IREADに示された電流値が、メモリセルMC211が低抵抗状態のときに流れる電流の電流値に相当する場合、制御部203は、「1」を示す出力データDoutを出力する。
このようにして、メモリセルMC211のみに当該メモリセルMC211の抵抗値に応じた電流が流れ、当該電流がビット線B1からプレート線P1に流出される。これにより、メモリセルMC211から「1」を示す1ビットデータが読み出される。
なお、メモリセルMC211の抵抗値の測定は、あらかじめメモリセルMC211にプリチャージした電圧がメモリセルMC211の抵抗値に対応した時定数で減衰する過程の電圧を測定してもよい。
メモリセルMC211からの読み出しが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力され、上記の不揮発性記憶装置200の読み出しモードにおける動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
〔消去モード〕
消去モードにおいては、まず制御部203が、上記読み出しモードを実行することによってメモリセルMC211の抵抗値の状態(記憶状態)を取得する。そして、メモリセルMC211に「1」を示すビットデータが記憶されていると判定した場合(メモリセルMC211が低抵抗状態にあると判定した場合)、制御部203は、「消去電圧印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。他方、メモリセルMC211に「0」を示すビットデータが記憶されていると判定した場合(メモリセルMC211が高抵抗状態にあると判定した場合)は、制御部203は上記制御信号CONTを出力しない。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「消去電圧印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1と選択されたプレート線P1間に消去電圧VRESET(消去電圧パルス)を印加する。
このとき、行デコーダ204によって選択されたワード線W1には、ワード線ドライバ205によって活性化電圧が印加されている。そのため、選択トランジスタT211のドレイン及びソース間が導通状態となっている。
その結果、消去電圧VRESET、すなわち電圧値が+2.5Vでパルス幅が100nsの消去電圧パルスが、メモリセルMC211に印加される。これにより、パルス電圧印加部によって実施の形態1における消去過程が実行され、メモリセルMC211の遷移金属酸化物層3は、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する。他方、メモリセルMC221,MC222には消去電圧パルスは印加されず、且つメモリセルMC212と直列接続された選択トランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないため、メモリセルMC212,MC221,MC222の抵抗状態は変化しない。
このようにして、メモリセルMC211のみを低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させることができる。これにより、メモリセルMC211に記憶された低抵抗状態に対応する「1」を示す1ビットデータが、高抵抗状態に対応する「0」にリセットされる。
なお、メモリセルMC211のリセットが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力され、上記の不揮発性記憶装置200のリセットモードにおける動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
以上のように動作することにより、不揮発性記憶装置200は、安定した高速動作を実現することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1において説明した抵抗変化素子を備えるクロスポイント型の不揮発性記憶装置である。ここで、クロスポイント型の不揮発性記憶装置とは、ワード線とビット線との交点(立体交差点)にアクティブ層を介在させた態様の記憶装置である。
以下、この実施の形態3の不揮発性記憶装置の構成及び動作について説明する。
[不揮発性記憶装置の構成]
図14は、本発明の実施の形態3の不揮発性記憶装置100の構成の一例を示すブロック図である。図14に示すように、クロスポイント型の不揮発性記憶装置100は、抵抗変化素子を具備するメモリセルアレイ101と、アドレスバッファ102と、制御部103と、行デコーダ104と、ワード線ドライバ105と、列デコーダ106と、ビット線ドライバ107とを備えている。また、ビット線ドライバ107はセンス回路を備えており、ビット線に流れる電流や、発生した電圧を測定することができる。
メモリセルアレイ101は、図15に示すように、互いに平行にして横方向に延びるように形成された複数のワード線W1,W2,W3,…と、これらのワード線W1,W2,W3,…と交差し、互いに平行にして縦方向に延びるように形成された複数のビット線B1,B2,B3,…とを具備している。ここで、ワード線W1,W2,W3,…は、基板(図示せず)の主面に平行な第1の平面内において形成されており、ビット線B1,B2,B3,…は、その第1の平面より上方または下方に位置し且つ第1の平面に実質的に平行な第2の平面内において形成されている。そのため、ワード線W1,W2,W3,…とビット線B1,B2,B3,…とは立体交差しており、その立体交差点に対応して、複数のメモリセルMC11,MC12,MC13,MC21,MC22,MC23,MC31,MC32,MC33,…(以下、「メモリセルMC11,MC12,…」と表す)が設けられている。
個々のメモリセルMCは、直列に接続された抵抗変化素子と、例えば双方向ダイオードで構成される電流制御素子D11,D12,D13,D21,D22,D23,D31,D32,D33,…とを具備しており、当該抵抗変化素子はビット線B1,B2,B3,…と、電流制御素子は抵抗変化素子及びワード線W1,W2,W3…とそれぞれ接続されている。なお、この抵抗変化素子として、実施の形態1の抵抗変化素子10を用いることができる。また、電流制御素子としては、MIM(Metal Insurator Metal)ダイオードやMSM(Metal Semiconductor Metal)ダイオード、あるいはバリスタ等を用いることができる。
アドレスバッファ102は、外部回路(図示せず)からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このアドレス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROWを行デコーダ104に出力するとともに、列アドレス信号COLUMNを列デコーダ106に出力する。ここで、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC12,MC21,…のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。また、行アドレス信号ROWは、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号COLUMNは、同じく列のアドレスを示す信号である。
以下、電圧印加の場合、ビット線を基準に各電圧が印加されるものとする。
制御部103は、外部回路から受け取ったモード選択信号MODEに応じてブレークモード、追加処理モード(以上、第1回目の書き込みの前に選択されるモード)、書き込みモード(上記の書き込み過程及び消去過程に該当)及び読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択する。
ブレークモードにおいて、制御部103は、ブレーク電圧パルスをワード線ドライバ105に出力する。
また、追加処理モードにおいて、制御部103は、追加処理電圧パルスをワード線ドライバ105に出力する。
また、書き込みモードにおいて、制御部103は、外部回路から受け取った入力データDinに応じて、書き込み電圧パルスまたは消去電圧パルスをワード線ドライバ105に出力する。
さらに、読み出しモードの場合、制御部103は、読み出し電圧をワード線ドライバ105に出力する。この読み出しモードでは、制御部103はさらに、ビット線ドライバ107から出力される信号IREADを受け取り、この信号IREADに応じたビット値を示す出力データDoutを外部回路へ出力する。この信号IREADは、読み出しモードのときにワード線W1,W2,W3,…を流れる電流の電流値を示す信号である。
行デコーダ104は、アドレスバッファ102から出力された行アドレス信号ROWを受け取り、この行アドレス信号ROWに応じて、ワード線W1,W2,W3,…のうちの何れか一つを選択する。ワード線ドライバ105は、行デコーダ104の出力信号に基づいて、行デコーダ104によって選択されたワード線に活性化電圧を印加する。
列デコーダ106は、アドレスバッファ102から出力された列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列アドレス信号COLUMNに応じて、ビット線B1,B2,B3,…のうちの何れか一つを選択する。
ビット線ドライバ107は、列デコーダ106の出力信号に基づいて、列デコーダ106によって選択されたビット線を接地状態にする。
なお、本実施の形態は、1層型のクロスポイント型不揮発性記憶装置であるが、メモリセルアレイを積層することにより複層型のクロスポイント型不揮発性記憶装置としてもよい。
また、抵抗変化素子と電流制御素子とは、その位置関係が入れ替わっていてもよい。すなわち、ビット線が抵抗変化素子に、ワード線が電流制御素子にそれぞれ接続されていてもよい。
さらに、ビット線及び/またはワード線が抵抗変化素子における電極を兼ねるような構成であってもよい。
なお、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、機能的には、制御部103とワード線ドライバ105によって、選択されたメモリセル(抵抗変化素子)に所定のパルス電圧を印加するパルス電圧印加部が構成されている。そのようなパルス電圧印加部とは、少なくとも、(1)第1の極性を有する書き込み電圧パルスをメモリセルに印加することによって、当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の抵抗状態を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる書き込み過程と、(2)第1の極性とは異なる第2の極性を有する消去電圧パルスをメモリセルに印加することによって、当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の抵抗状態を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる消去過程と、(3)第1回目の書き込み過程の前に、消去電圧パルス以上の電圧値を有する第2の極性を有するブレーク電圧パルスをメモリセルに印加することによって、当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の初期状態の抵抗値を低下させるブレーク過程と、(4)ブレーク過程の後であって第1回目の書き込み過程の前に、消去電圧パルス以上の電圧値を有する第2の極性を有する追加処理電圧パルスをメモリセルに印加することによって、前記ブレーク過程後の当該メモリセルの遷移金属酸化物層3の抵抗値を低下させる追加処理過程とを実行する処理部である。
[不揮発性記憶装置の動作]
以下、上述したように構成される不揮発性記憶装置100の動作例を、上記の初期モード、書き込みモード及び読み出しモードの各モードに分けて説明する。なお、ビット線及びワード線を選択する方法、並びに電圧パルスを印加する方法などについては、周知のものが利用可能であるため、詳細な説明を省略する。
以下では、メモリセルMC22に対して書き込み/読み出しを行う場合を例にして説明する。
〔ブレークモード〕
ブレークモードにおいては、すべてのメモリセルに対してブレーク電圧パルスが与えられる。すなわち、ビット線ドライバ107により各ビット線が接地されるとともに、ワード線ドライバ105により各ワード線と制御部103とが電気的に接続される。そして、制御部103により、各ワード線にブレーク電圧パルスが印加される。ここで、ブレーク電圧パルスの電圧値は+4.5Vに、パルス幅は100μsに設定される。ここで、ブレーク電圧パルスは各メモリセルにおいて遷移金属酸化物層の抵抗値が第1の抵抗値R1に低下するまで1回乃至複数回印加される。第1の抵抗値R1は、高抵抗状態の抵抗値RHより大きいことが好ましい。導電パスがブレーク過程で大きくなりすぎることを防ぎ、エンデュランス特性がより改善できることが期待されるためである。各ブレーク電圧パルス印加後は、読み出しモードで抵抗変化素子の抵抗値を読み出し、ブレーク過程が終了したかどうか確認する。
ここでは、同じ電圧のブレーク電圧パルスを複数回印加してブレークさせているが、ブレーク電圧パルスの電圧をあらかじめ決められた電圧から徐々に増加させてブレークする構成としてもよい。
以上のような動作により、パルス電圧印加部によって実施の形態1におけるブレーク過程が実行され、すべてのメモリセルにおいて遷移金属酸化物層の抵抗値が初期抵抗値R0から、第1の抵抗値R1へ減少する。
〔追加処理モード〕
追加処理モードにおいては、すべてのメモリセルに対して追加処理電圧パルスが与えられる。すなわち、ビット線ドライバ107により各ビット線が接地されるとともに、ワード線ドライバ105により各ワード線と制御部103とが電気的に接続される。そして、制御部103により、各ワード線に追加処理電圧パルスが印加される。ここで、追加処理電圧パルスの電圧値は例えば+4.5Vに、パルス幅は500μsに設定される。ここで、初期電圧パルスは、基本的にすべてのメモリセルにおいて遷移金属酸化物層3の抵抗値が第1の抵抗値R1から、それよりも低い第2の抵抗値R2に減少するまで印加される。第2の抵抗値R2は、あらかじめ実験的に確かめて設定してもよい。また、追加処理パルスの累積印加時間を、結果的に遷移金属酸化物層3の抵抗値が第1の抵抗値R1から、それよりも低い第2の抵抗値R2に減少するような時間、例えば10msに設定してもよい。
以上のような動作により、パルス電圧印加部によって実施の形態1における追加処理過程が実行され、すべてのメモリセルにおいて遷移金属酸化物層の抵抗値が初期抵抗値R0から、それよりも低い第2の抵抗値R2へ減少する。
〔書き込みモード〕
メモリセルMC22に「1」を表す1ビットデータを書き込む(記憶する)場合、ビット線ドライバ107によりビット線B2が接地され、ワード線ドライバ105によりワード線W2と制御部103とが電気的に接続される。そして、制御部103により、ワード線W2に書き込み電圧パルスが印加される。ここで、書き込み電圧パルスの電圧値は−1.9Vに、パルス幅は100nsに設定される。
以上のような動作により、パルス電圧印加部によって実施の形態1における書き込み過程が実行され、メモリセルMC22の抵抗変化素子には書き込み電圧パルスが印加されるので、メモリセルMC22の抵抗変化素子は、「1」に対応する低抵抗状態になる。
他方、メモリセルMC22に「0」を表す1ビットデータを書き込む(記憶する)場合には、ビット線ドライバ107によりビット線B2が接地され、ワード線ドライバ105によりワード線W2と制御部103とが電気的に接続される。そして、制御部103により、ワード線W2に消去電圧パルスが印加される。ここで、消去電圧パルスの電圧値は+2.5Vに、パルス幅は100nsに設定される。
以上のような動作により、パルス電圧印加部によって実施の形態1における消去過程が実行され、メモリセルMC22の抵抗変化素子には書き込み電圧パルスが印加されるので、メモリセルMC22の遷移金属酸化物層3は、「0」に対応する高抵抗状態になる。
〔読み出しモード〕
メモリセルMC22に書き込まれているデータを読み出す場合、ビット線ドライバ107によりビット線B2が接地され、ワード線ドライバ105によりワード線W2と制御部103とが電気的に接続される。そして、制御部103により、ワード線W2に読出電圧が印加される。ここで、読出電圧の電圧値は+0.5Vに設定される。
メモリセルMC22に読出電圧が印加されると、メモリセルMC22の遷移金属酸化物層3の抵抗値に応じた電流値を有する電流がビット線B2とワード線W2との間に流れる。制御部103は、この電流の電流値を検知し、その電流値と読出電圧とに基づいてメモリセルMC22の抵抗状態を検出する。
メモリセルMC22の遷移金属酸化物層3が低抵抗状態であれば、メモリセルMC22に書き込まれているデータが「1」であることが分かる。他方、高抵抗状態であれば、メモリセルMC22に書き込まれているデータが「0」であることが分かる。
以上のように動作することにより、不揮発性記憶装置100は、安定した高速動作を実現することができる。
なお、上記では、ビット線を接地し、ワード線に所定の電圧パルスを印加するような構成について説明したが、ビット線、ワード線それぞれに別々の電圧パルスを印加し、その電位差が所定で電圧になるように構成してもよい。
(その他の実施の形態)
上記の各実施の形態において、遷移金属酸化物層3はタンタル酸化物の積層構造で構成されていたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、ハフニウム(Hf)酸化物の積層構造またはジルコニウム(Zr)酸化物の積層構造などであってもよい。
遷移金属酸化物層3としてハフニウム酸化物の積層構造を採用する場合は、第1の遷移金属酸化物層3aとなる第1のハフニウム酸化物の組成をHfOxとし、第2の遷移金属酸化物層3bとなる第2のハフニウム酸化物の組成をHfOyとすると、xが0.9以上1.6以下程度であって、yが1.8以上2.0以下程度、第2のハフニウム酸化物の膜厚は3nm以上、4nm以下であることが好ましい。
また、遷移金属酸化物層3としてジルコニウム酸化物の積層構造を採用する場合は、第1の遷移金属酸化物層3aとなる第1のジルコニウム酸化物の組成をZrOxとし、第2の遷移金属酸化物層3bとなる第2のジルコニウム酸化物の組成をZrOyとすると、xが0.9以上1.4以下程度であって、yが1.9以上2.0以下程度、第2のジルコニウム酸化物の膜厚は1nm以上、5nm以下であることが好ましい。
また、遷移金属酸化物層3がハフニウム酸化物である場合は、Hfターゲットを用い、アルゴンガス及び酸素ガス中でスパッタリングする所謂反応性スパッタリング法によって、第1電極2の上に第1のハフニウム酸化物層を形成する。第2のハフニウム酸化物層は第1のハフニウム酸化物層を形成後に、アルゴンガスと酸素ガスのプラズマに第1のハフニウム酸化物層の表面を暴露することにより形成できる。第1のハフニウム酸化物層の酸素含有率は、反応性スパッタ中のアルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板温度は特に加熱することなく室温とすることができる。
また第2のハフニウム酸化物層の膜厚は、アルゴンガスと酸素ガスのプラズマへの暴露時間により容易に調整することができる。第1のハフニウム酸化物層の組成をHfOx、第2のハフニウム酸化物層の組成をHfOyと表した場合、0.9≦x≦1.6、1.8<y、第2のハフニウム酸化物層の膜厚は3nm以上4nm以下の範囲で安定した抵抗変化特性を実現できる。
遷移金属酸化物層3がジルコニウム酸化物である場合は、Zrターゲットを用い、アルゴンガス及び酸素ガス中でスパッタリングする所謂反応性スパッタリング法によって、第1電極2の上に第1のジルコニウム酸化物層を形成する。第2のジルコニウム酸化物層は第1のジルコニウム酸化物層を形成後に、ArガスとO2ガスのプラズマに第1のジルコニウム酸化物層の表面を暴露することにより形成できる。第1のジルコニウム酸化物層の酸素含有率は、反応性スパッタ中のアルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板温度は特に加熱することなく室温とすることができる。
また第2のジルコニウム酸化物層の膜厚は、アルゴンガスと酸素ガスのプラズマへの暴露時間により容易に調整することができる。第1のジルコニウム酸化物層の組成をZrOx、第2のジルコニウム酸化物層の組成をZrOyと表した場合、0.9≦x≦1.4、1.9<y、第2のジルコニウム酸化物層の膜厚は1nm以上5nm以下の範囲で安定した抵抗変化特性を実現できる。
なお、上記の各実施の形態においては、上述したように安定した抵抗変化動作を実現することができるが、極めて稀に、書き込み過程または消去過程における書き込みに失敗する場合がある。そのように書き込みに失敗した場合において、初期電圧パルスを両電極間に印加する初期過程を実行し、その後書き込み過程及び消去過程を繰り返すようにすることによって、安定した動作を長期にわたり実現することが可能になる。
なお、上述した実施形態においては、抵抗変化層としての遷移金属酸化物としては、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物の場合について説明したが、上下電極間に挟まれる遷移金属酸化物層としては、抵抗変化を発現する主たる抵抗変化層として、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等の酸化物層が含まれていればよく、これ以外に例えば微量の他元素が含まれていても構わない。抵抗値の微調整等で、他元素を少量、意図的に含めることも可能であり、このような場合も本発明の範囲に含まれるものである。例えば、抵抗変化層に窒素を添加すれば、抵抗変化層の抵抗値が上がり、抵抗変化の反応性を改善できる。
したがって、酸素不足型の遷移金属酸化物Mを抵抗変化層に用いた抵抗変化素子について、抵抗変化層を、MOx(但し、ストイキオメトリーの構成の遷移金属酸化物の構成をMOsとしたとき、0<x<s)で表される組成を有する酸素不足型の第1の遷移金属酸化物層と、MOy(但し、x<y)で表される組成を有する第2の遷移金属酸化物層とを有した構成とした場合、酸素不足型の第1の遷移金属酸化物層および第2の遷移金属酸化物層は、対応する組成の遷移金属酸化物のほかに、所定の不純物(例えば、抵抗値の調整のための添加物)を含むことを妨げない。
また、スパッタリングにて抵抗膜を形成した際に、残留ガスや真空容器壁からのガス放出などにより、意図しない微量の元素が抵抗膜に混入することがあるが、このような微量の元素が抵抗膜に混入した場合も本発明の範囲に含まれることは当然である。