JP2012035771A - 車両用衝撃吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本体部の肉厚が薄い場合でも取付プレートが適切に固設されて所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるようにする。
【解決手段】本体部52の軸方向の一端部に折曲げフランジ56が一体に設けられ、取付プレート54に密着する状態で一体的に溶接固定されるだけでなく、その折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート54との間に形成される空隙に硬化性樹脂60が充填されているため、その硬化性樹脂60によって曲げR部58が補強され、本体部52の肉厚が薄い場合でも、本体部52の軸方向に圧縮荷重Fが加えられた場合にその曲げR部58が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるようになる。特に、硬化性樹脂60を充填するだけで良いため、L字型のブラケット等を用いて補強する場合に比較して、製造が簡単で軽量且つ安価に構成できる。
【選択図】図1
【解決手段】本体部52の軸方向の一端部に折曲げフランジ56が一体に設けられ、取付プレート54に密着する状態で一体的に溶接固定されるだけでなく、その折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート54との間に形成される空隙に硬化性樹脂60が充填されているため、その硬化性樹脂60によって曲げR部58が補強され、本体部52の肉厚が薄い場合でも、本体部52の軸方向に圧縮荷重Fが加えられた場合にその曲げR部58が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるようになる。特に、硬化性樹脂60を充填するだけで良いため、L字型のブラケット等を用いて補強する場合に比較して、製造が簡単で軽量且つ安価に構成できる。
【選択図】図1
Description
本発明は車両用衝撃吸収部材に係り、特に、蛇腹状に圧壊させられる筒形状の本体部の肉厚が薄い場合でも取付プレートが適切に固設されて所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られる衝撃吸収部材に関するものである。
筒形状の本体部と、その本体部の軸方向の端部に一体的に固設される取付プレートとを有し、その本体部の軸方向に圧縮荷重を受けることによりその本体部が蛇腹状に圧壊させられて衝撃エネルギーを吸収する車両用衝撃吸収部材が知られている(特許文献1参照)。図10は、このような車両用衝撃吸収部材の一例を説明する図で、(a) は車両のフロント側のバンパービーム10の近傍を車両の上方から見た概略平面図であり、左右のサイドメンバー12R、12Lの前端部にはそれぞれ衝撃吸収部材としてクラッシュボックス14R、14Lが配設されており、バンパービーム10は、その左右の両端部においてクラッシュボックス14R、14Lを介してサイドメンバー12R、12Lに取り付けられている。図10の(b) は、(a) におけるXB−XB断面すなわち右側の取付部付近の断面図で、クラッシュボックス14Rは、多角形断面の筒形状の本体部20と、その本体部20の軸方向の一端部に一体的に溶接された取付プレート22とを備えており、本体部20の軸方向が車両の前後方向となる姿勢で、その取付プレート22を介して図示しないボルト等によりサイドメンバー12Rに固定されるようになっている。
そして、車両前方から衝撃が加えられて圧縮荷重Fを受けると、図10の(c) に示すように本体部20が軸方向に蛇腹状に圧壊させられ、この時の変形で衝撃エネルギーを吸収し、サイドメンバー12R等の車両の構造物に加えられる衝撃を緩和する。なお、バンパービーム10は左右対称で、左側の取付部も同様に構成されている。また、このバンパービーム10は、バンパーのリインフォースメント(補強部材)および取付部材として機能するもので、合成樹脂等から成るバンパー本体16が一体的に取り付けられるようになっている。
図11の(a) 〜(c) は、上記本体部20と取付プレート22との溶接固定の幾つかの態様を説明する図で、各図の上の図は斜視図、下の図は溶接固定部分の断面図である。(a) は、本体部20の端部を取付プレート22に対して垂直に突き当てた状態でアーク溶接により一体的に固設する場合で、(b) は本体部20の端部を外側へ直角に折り曲げて折曲げフランジ32を一体に設け、その折曲げフランジ32をアーク溶接により取付プレート22に一体的に固定する場合で、(c) は、本体部20の端部を90°より小さい所定の角度で折り曲げて傾斜フランジ34を一体に設けるとともに、その傾斜フランジ34と面接触させられる膨出部36を取付プレート22に一体に設け、傾斜フランジ34を膨出部36に密着させた状態でアーク溶接により一体的に固定する場合である。この(c) は、特許文献1に記載の衝撃吸収部材の一例である。なお、本体部20の反対側の端部も、取付プレート24を介してバンパービーム10に一体的に固定される場合、その取付プレート24も例えば図11の(a) 〜(c) のようにして本体部20に一体的に固設される。
しかしながら、上記図11の(a) の場合は、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるものの、本体部20の肉厚(板厚)が薄いと溶接時に溶けて穴が空いたり肉厚が薄くなって強度が低下したりする恐れがある。(b) の場合は、本体部20の肉厚が薄い場合でも良好に溶接固定できるが、荷重入力時にフランジ32の曲げR部が曲げ変形(座屈)して本体部20が倒れ易く(図5の破線参照)、衝撃エネルギー吸収性能が損なわれる可能性がある。(c) の場合は、(b) と同様に本体部20の肉厚が比較的薄い場合でも良好に溶接固定できるとともに、傾斜フランジ34の曲げ変形が抑制されるが、荷重入力方向によっては依然として傾斜フランジ34の曲げに起因して本体部20が倒れる場合があり、未だ改善の余地があった。すなわち、(a) のように本体部20の端部を取付プレート22に対して垂直に突き当てて固定した場合に比較すると、本体部20の倒れによって衝撃エネルギー吸収性能がばらつき易く、倒れを防止するためには肉厚を厚くする必要があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、本体部の肉厚が薄い場合でも取付プレートが適切に固設されて所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、筒形状の本体部と、その本体部の軸方向の端部に一体的に固設される取付プレートとを有し、その本体部の軸方向に圧縮荷重を受けることによりその本体部が蛇腹状に圧壊させられて衝撃エネルギーを吸収する車両用衝撃吸収部材であって、(a) 前記本体部の軸方向の端部には、前記取付プレートに面接触させられるように折り曲げられた折曲げフランジが一体に設けられ、その折曲げフランジがその取付プレートに密着する状態で一体的に溶接固定されるとともに、(b) その折曲げフランジの曲げR部と前記取付プレートとの間に形成される空隙に合成樹脂が充填されていることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両用衝撃吸収部材において、(a) 前記取付プレートには、前記空隙を閉塞するように前記本体部側に突き出す蓋部材が設けられており、(b) その蓋部材によって閉塞された前記空隙の内部に前記合成樹脂が充填されていることを特徴とする。
第3発明は、第2発明の車両用衝撃吸収部材において、(a) 前記取付プレートには、前記本体部側へ膨出するようにその取付プレートを変形させた膨出部が一体に設けられており、(b) その膨出部が前記蓋部材として機能することを特徴とする。
このような車両用衝撃吸収部材においては、本体部の軸方向の端部に折曲げフランジが一体に設けられ、取付プレートに密着する状態で一体的に溶接固定されるだけでなく、その折曲げフランジの曲げR部と取付プレートとの間に形成される空隙に合成樹脂が充填されている。このため、その合成樹脂によって曲げR部が補強され、本体部の肉厚が薄い場合でも、本体部の軸方向に圧縮荷重が加えられた場合にその曲げR部が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるようになる。特に、合成樹脂を充填するだけで良いため、L字型のブラケット等を用いて補強する場合に比較して、製造が簡単で軽量且つ安価に構成できる。
第2発明は、空隙を閉塞するように本体部側に突き出す蓋部材が取付プレートに設けられており、その蓋部材によって閉塞された空隙の内部に合成樹脂が充填されているため、樹脂の溶け広がりが防止されて所定の充填密度を安定して確保でき、合成樹脂による所定の補強効果が確実に安定して得られる。
第3発明では、取付プレートから本体部側へ膨出するようにその取付プレートを変形させた膨出部によって上記蓋部材が構成されているため、別体の蓋部材を用意して取付プレートに一体的に固設する場合に比較して、部品点数や製造工数が少なくなって安価に構成できる。
本発明の車両用衝撃吸収部材は、例えば車両のサイドメンバー等の車両構造物とバンパービームとの間に配設されるが、ラジエーターサポート等のバンパービーム以外の荷重入力部材と車両構造物との間に配設することもできる。このような車両用衝撃吸収部材は、例えば車両の前後両方に配設されるが、前側のみに配設されても良いし、後側のみに配設されても良く、車両の前後に配設される場合に何れか一方のみに本発明を適用するだけでも差し支えない。
上記バンパービームの長手方向の形状、すなわち車両の上方から見た平面視の形状は、例えば前側バンパーについては中央部が前方へ突き出すように滑らかに湾曲した形状とすることが望ましいが、略直線状であっても良いし、両端部のみ後方へ傾斜させたり湾曲させたりするなど、種々の態様が可能である。衝撃吸収部材が取付プレートを介してバンパービームに固定される場合、その取付プレートは、例えば本体部の軸心Oに対して直角になる姿勢で固設されるが、バンパービームが軸心Oに対して傾斜している場合には、取付プレートもそのバンパービームと平行となるように軸心Oに対して傾斜する姿勢で固設することが望ましい。
本発明は、少なくとも本体部の軸方向の何れか一端部に取付プレートが一体的に溶接固定される場合に適用される。取付プレートは、サイドメンバー等の車両構造物に固定するためのものでも良いし、バンパービーム等の荷重入力部材に固定するためのものでも良い。本体部の軸方向の両端部に一対の取付プレートが設けられる場合、その一対の取付プレートの固設構造にそれぞれ本発明を適用することができるが、何れか一方の取付プレートの固設構造に本発明を適用するだけでも良い。
折曲げフランジは、取付プレートと平行になるように本体部の軸心Oに対して直角、或いは所定角度で傾斜するように折り曲げられる。この折曲げフランジは、本体部の全周に設けることが望ましいが、本体部の断面形状に応じて複数に分割して設けることも可能で、例えば上下・左右の4箇所に設けるだけでも良いなど、種々の態様が可能である。また、折曲げフランジは、例えば筒状の本体部の外側へ折り曲げることが望ましいが、筒状の本体部の内側へ折り曲げることも可能である。
上記折曲げフランジと取付プレートとは、面接触している部分をスポット溶接で固定したり、折曲げフランジの先端縁や側端縁、或いは外周縁等をアーク溶接で隅肉溶接したりして固設できるが、スポット溶接およびアーク溶接を併用して固設することも可能である。
折曲げフランジの曲げR(外側のRの半径)は、本発明では合成樹脂が充填されることからそれ程小さくする必要はなく、本体部の材質によっても異なるが、例えば3〜5mm程度の範囲内が望ましい。本体部の材質としては、例えば圧延鋼板や炭素鋼管等が好適に用いられるが、蛇腹状に圧壊させられることにより所望の衝撃エネルギー吸収性能が得られる他の種々の金属板材やパイプ材を採用することができる。
筒形状の本体部は、断面四角形等の単純な角筒形状や円筒形状であっても良いが、所定の圧壊強度が得られるように筒形状の内側へ突き出すように複数の凹溝が軸方向に設けられても良いなど、種々の態様が可能である。
合成樹脂は、例えば150℃〜250℃等の所定温度の加熱処理で発泡、硬化する熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えば尿素樹脂やメラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイトなどが知られており、高強度繊維と組み合わせた繊維強化プラスチック(FRP)を採用することもできる。また、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド等比較的高い強度を有する熱可塑性樹脂や、高強度繊維と熱可塑性樹脂を組み合わせた繊維強化プラスチック(FRTP)を採用しても良い。
第2発明、第3発明では、折曲げフランジの曲げR部と取付プレートとの間の空隙が蓋部材によって閉塞されるようになっているが、第1発明の実施に際しては、そのような蓋部材は必ずしも必要ない。第3発明では、蓋部材として機能する膨出部が、プレスによる絞り加工などで取付プレートに一体に設けられるが、第2発明の実施に際しては、取付プレートとは別に蓋部材を用意し、抵抗溶接などで取付プレートに一体的に固設するようにしても良い。また、取付プレートの一部を切断して曲げ起こしたりバーリング加工などで、蓋部材を取付プレートと一体に形成することもできるなど、種々の態様が可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1のクラッシュボックス50は、前記図10のクラッシュボックス14Rの代わりにサイドメンバー12Rとバンパービーム10との間に配設されて使用されるもので、本発明の車両用衝撃吸収部材に相当する。このクラッシュボックス50は、筒形状の本体部52と、その本体部52の軸方向の一端部に一体的に溶接固定された取付プレート54とを備えており、本体部52の軸心が車両の前後方向と略平行となる姿勢でサイドメンバ12Rとバンパービーム10との間に配設され、取付プレート54を介して図示しないボルト等によりサイドメンバー12Rに一体的に固定される。本体部52の他端部には、バンパービーム10が直接または図示しない取付プレート等を介して一体的に固定されるようになっており、車両前方から衝撃が加えられて圧縮荷重Fを受けると、前記クラッシュボックス14Rと同様に、図10の(c) に示すように軸方向に蛇腹状に圧壊させられ、この時の変形で衝撃エネルギーを吸収し、サイドメンバー12R等の車両の構造物に加えられる衝撃を緩和する。
図1のクラッシュボックス50は、前記図10のクラッシュボックス14Rの代わりにサイドメンバー12Rとバンパービーム10との間に配設されて使用されるもので、本発明の車両用衝撃吸収部材に相当する。このクラッシュボックス50は、筒形状の本体部52と、その本体部52の軸方向の一端部に一体的に溶接固定された取付プレート54とを備えており、本体部52の軸心が車両の前後方向と略平行となる姿勢でサイドメンバ12Rとバンパービーム10との間に配設され、取付プレート54を介して図示しないボルト等によりサイドメンバー12Rに一体的に固定される。本体部52の他端部には、バンパービーム10が直接または図示しない取付プレート等を介して一体的に固定されるようになっており、車両前方から衝撃が加えられて圧縮荷重Fを受けると、前記クラッシュボックス14Rと同様に、図10の(c) に示すように軸方向に蛇腹状に圧壊させられ、この時の変形で衝撃エネルギーを吸収し、サイドメンバー12R等の車両の構造物に加えられる衝撃を緩和する。
図1の(a) は、本実施例のクラッシュボックス50の斜視図で、(b) は軸心Oを含む位置で軸方向に切断した縦断面図である。本体部52は、例えば円筒状のパイプ部材(炭素鋼管)をプレス加工や液圧成形等により所定形状に成形したもので、本実施例では軸心Oに対して直角な断面が略正方形を成すように成形されており、図1(a) に示すように4つの平坦な側面が上下、左右に位置する姿勢でサイドメンバー12Rに配設される。本体部52の軸方向の一端部には、軸心Oに対して直角に筒形状の外側へ折り曲げられた折曲げフランジ56が、筒形状の全周に連続して設けられており、その折曲げフランジ56に面接触する状態で平板状の取付プレート54が一体的に溶接固定されている。取付プレート54は、本体部52よりも十分に大きい正方形状を成しており、外周部が略均等に折曲げフランジ56から外側へ突き出すように位置合わせした状態で、その折曲げフランジ56の外周縁にアーク溶接で隅肉溶接が施されることにより、その折曲げフランジ56に取付プレート54が一体的に溶接接合されている。図1の溶接部Wは、この隅肉溶接部である。
上記折曲げフランジ56は、図1(b) に矢印(→)で示す外側の曲げRが例えば3mm程度の曲げR部58を有し、その曲げR部58と取付プレート54との間に形成される断面が三角形状の空隙には、合成樹脂として硬化性樹脂60が充填されている。この硬化性樹脂60は、熱硬化性樹脂が加熱により発泡、硬化されたもので、本実施例ではエポキシ系発泡硬化樹脂が用いられている。そして、この硬化性樹脂60により曲げR部58と取付プレート54との間の隙間が埋められることにより、曲げR部58がそれ以上曲げ変形しないように補強される。取付プレート54には、本体部52の内寸と略同じ外寸の四角柱形状の蓋部材62が抵抗溶接等により一体的に固設されており、取付プレート54が折曲げフランジ56に密着するように組み合わされる際に、その蓋部材62が本体部52の内側に嵌合されることによって上記三角形状の空隙が閉塞される。すなわち、蓋部材62の周囲にその蓋部材62と曲げR部58と取付プレート54とによって囲まれた環状の閉空間が形成されるのであり、これにより、硬化性樹脂60が加熱されて発泡、硬化させられる際に、その閉空間に良好に保持されて所定の充填密度で硬化させられる。閉空間は、必ずしも樹脂の流出を完全に阻止するように密閉する必要はなく、硬化性樹脂60の流出が制限されて、所定の充填密度で硬化性樹脂60が硬化させられれば良く、樹脂が多少流れ出しても差し支えない。
図2および図3は、本実施例のクラッシュボックス50の製造手順を説明する図で、先ず、折曲げフランジ56が設けられた本体部52、正方形状の取付プレート54、および平坦な四角柱形状の蓋部材62を用意する。本体部52は、例えば炭素鋼管にプレス加工や液圧成形を施すことによって断面四角形に成形するとともに、しごき加工などで一端部を外周側へ拡開させることにより折曲げフランジ56を形成する。平板状の炭素鋼板等を四角柱形状に巻き付けるなどして本体部52を製作することも可能である。取付プレート54は、例えば所定の板厚の鋼板をプレスにより打ち抜き加工することによって製作できる。蓋部材62は、例えば四角柱の高さに相当する厚さの鋼板を用いて、プレスによる打ち抜き加工で製作することができるが、鍛造加工などで製作することも可能である。
そして、硬化性樹脂60からなる発泡、硬化前の軟質の樹脂シート64を前記蓋部材62の外周面に巻き付けて貼り付けるとともに、その蓋部材62を抵抗溶接などで取付プレート54に一体的に固設する。その後、蓋部材62が本体部52内に嵌合されるとともに、取付プレート54が折曲げフランジ56に密着するように、その取付プレート54を本体部52に位置合わせした状態で、アーク溶接により折曲げフランジ56に取付プレート54を一体的に固設する。図3は、このように本体部52の折曲げフランジ56に取付プレート54が一体的に溶接固定された状態で、樹脂シート64は、取付プレート54と曲げR部58と蓋部材62とによって囲まれた断面三角形状の空隙内に保持されており、この状態で170〜200℃程度まで加熱して約20分間保持することにより、樹脂シート64をその空隙内で発泡、硬化させる。これにより、図1に示すように断面三角形状の空隙に硬化性樹脂60が充填されたクラッシュボックス50が得られる。
このように、本実施例のクラッシュボックス50によれば、本体部52の軸方向の一端部に折曲げフランジ56が一体に設けられ、取付プレート54に密着する状態で一体的に溶接固定されるだけでなく、その折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート54との間に形成される空隙に硬化性樹脂60が充填されているため、その硬化性樹脂60によって曲げR部58が補強され、本体部52の肉厚が薄い場合でも、本体部52の軸方向に圧縮荷重Fが加えられた場合にその曲げR部58が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるようになる。特に、硬化性樹脂60を充填するだけで良いため、L字型のブラケット等を用いて補強する場合に比較して、製造が簡単で軽量且つ安価に構成できる。
また、本実施例では、空隙を閉塞するように本体部52内に突き出す蓋部材62が取付プレート54に設けられており、その蓋部材62によって閉塞された空隙の内部に硬化性樹脂60が閉じ込められているため、加熱による発泡、硬化時に樹脂の溶け広がりが防止されて所定の充填密度を安定して確保でき、硬化性樹脂60による所定の補強効果が確実に安定して得られる。
ここで、上記実施例の本発明品と、蓋部材62および硬化性樹脂60が無い従来品(図11(b) 相当品)とを用意し、図4の(a) に示すように取付プレート54が下方に位置するように配置した状態で、本体部52の軸方向から50mm/minの静荷重負荷により荷重/変位を測定したところ、図4の(b) に示す結果が得られた。図4(b) の実線は本発明品で、破線は従来品であり、EA量(吸収エネルギー)は荷重の積分値に相当する。なお、本発明品、従来品共に、本体部52の肉厚は1.2mmで、軸方向長さは150mm、断面正方形の1辺の長さ(外寸)は40mmである。
上記図4の(b) の結果から明らかなように、本発明品によれば荷重入力初期の曲げ変形が抑制され、初期荷重の低下が防止される。また、本体部52が倒れることなく、その本体部52を介して荷重が適切に伝達されることから、変位が20mm以上になっても適正な軸圧壊形態が維持され、適切に衝撃エネルギーを吸収することができる。これに対し、蓋部材62および硬化性樹脂60が無い従来品の場合は、荷重入力初期に図5に破線で示すように曲げR部58が曲げ変形(座屈)して本体部52が傾き、初期荷重が低下するとともに、変位が20mm以上になると、本発明品に比べて荷重が低くなり、十分な衝撃エネルギー吸収性能が得られなくなる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図6のクラッシュボックス70は、前記四角柱形状の蓋部材62の代わりに、板材にプレスによる絞り加工等を施すことによりハット形状に成形した蓋部材72を有する場合で、ハット形状の突出側(ハットの頭頂側)を取付プレート54に抵抗溶接などで一体的に固設することにより、その蓋部材72の周囲に取付プレート54と曲げR部58と蓋部材72とによって囲まれた環状の閉空間が形成され、その閉空間内で硬化性樹脂60が発泡、硬化させられたものである。このようなクラッシュボックス70は、図6の(b) に示すようにプレスによる打ち抜き加工や絞り加工などでハット形状の蓋部材72を用意するとともに、そのハット形状の頭部74の周囲に発泡、硬化前の樹脂シート64を巻き付けて貼着する。そして、この蓋部材72を、(c) に示すように取付プレート54に抵抗溶接等により一体的に固設するとともに、ハット形状の鍔部76が本体部52内に嵌合されるように取付プレート54を本体部52に組み付け、折曲げフランジ56の外周縁に隅肉溶接を施して取付プレート54を一体的に溶接固定する。その後、加熱により樹脂シート64を発泡、硬化させることにより、(a) に示すように蓋部材72の周囲の環状の閉空間内が硬化性樹脂60によって満たされる。図6の(a) は前記図1(b) に相当する縦断面図で、(b) は蓋部材72を示す斜視図で、矢印の右側は蓋部材72に樹脂シート64が貼着された状態であり、(c) は樹脂シート64が発泡、硬化させられる前の組付状態で前記図3に相当する縦断面図である。
本実施例においても、折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート54との間に形成される空隙に硬化性樹脂60が充填されているため、その硬化性樹脂60によって曲げR部58が補強され、本体部52の肉厚が薄い場合でも、本体部52の軸方向に圧縮荷重Fが加えられた場合にその曲げR部58が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
図7のクラッシュボックス80は、蓋部材82を合成樹脂材料にて構成した場合で、この蓋部材82は、前記蓋部材72と同様に頭部84および鍔部86を一体に有するハット形状を成している。また、頭部84の中央部分には、外向きに突き出すように掛止爪88が一体に設けられており、取付プレート54に設けられた掛止穴90を挿通させられて掛止されることにより、蓋部材82が取付プレート54にワンタッチで一体的に取り付けられるようになっている。このようなクラッシュボックス80は、図7の(b) に示すようにハット形状の蓋部材82を一体成形するとともに、そのハット形状の頭部84の周囲に発泡、硬化前の樹脂シート64を巻き付けて貼着する。そして、この蓋部材82の掛止爪88を取付プレート54の掛止穴90内に挿入することにより、(c) に示すように取付プレート54に対して蓋部材82をワンタッチで一体的に取り付けるとともに、ハット形状の鍔部86が本体部52内に嵌合されるように取付プレート54を本体部52に組み付け、折曲げフランジ56の外周縁に隅肉溶接を施して取付プレート54を一体的に溶接固定する。その後、加熱により樹脂シート64を発泡、硬化させることにより、(a) に示すように蓋部材82の周囲の環状の閉空間内が硬化性樹脂60によって満たされる。図7の(a) は前記図1(b) に相当する縦断面図で、(b) は蓋部材82を示す斜視図で、矢印の右側は蓋部材82に樹脂シート64が貼着された状態であり、(c) は樹脂シート64が発泡、硬化させられる前の組付状態で前記図3に相当する縦断面図である。
本実施例においても、折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート54との間に形成される空隙に硬化性樹脂60が充填されているため、その硬化性樹脂60によって曲げR部58が補強され、本体部52の肉厚が薄い場合でも、本体部52の軸方向に圧縮荷重Fが加えられた場合にその曲げR部58が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。加えて、蓋部材82が合成樹脂材料にて構成されているため、プレス成形品に比較して軽量で一層簡単且つ安価に構成できるとともに、掛止爪88によりワンタッチで取付プレート54に取り付けることができるため、抵抗溶接等で溶接固定する場合に比較して製造コストが低減される。
図8のクラッシュボックス100は、前記実施例のように蓋部材62、72、または82を別体に設ける代わりに、本体部52内に嵌合される膨出部104が絞り加工等によって一体に形成された取付プレート102を備えており、その膨出部104の周囲に断面三角形状の環状の閉空間が形成され、その閉空間内で硬化性樹脂60が発泡、硬化させられたものである。このようなクラッシュボックス100は、図8の(b) に示すようにプレスによる打ち抜き加工や絞り加工などで膨出部104を有するハット形状の取付プレート102を用意するとともに、その取付プレート102の膨出部104の周囲に発泡、硬化前の樹脂シート64を巻き付けて貼着する。そして、この取付プレート102は、(c) に示すように膨出部104が本体部52内に嵌合されるとともに、ハット形状の鍔部に相当する外周側の平坦部106が折曲げフランジ56に密着するように、本体部52に組み付けられ、その状態で折曲げフランジ56の外周縁に隅肉溶接を施して取付プレート102と本体部52とを一体的に溶接固定する。その後、加熱により樹脂シート64を発泡、硬化させることにより、(a) に示すように膨出部104の周囲の環状の閉空間内が硬化性樹脂60によって満たされる。図8の(a) は前記図1(b) に相当する縦断面図で、(b) は取付プレート102を示す斜視図で、矢印の右側は膨出部104に樹脂シート64が貼着された状態であり、(c) は樹脂シート64が発泡、硬化させられる前の組付状態で前記図3に相当する縦断面図である。
本実施例においても、折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート102の平坦部106との間に形成される空隙に硬化性樹脂60が充填されているため、その硬化性樹脂60によって曲げR部58が補強され、本体部52の肉厚が薄い場合でも、本体部52の軸方向に圧縮荷重Fが加えられた場合にその曲げR部58が曲げ変形(座屈)することが抑制され、所定の衝撃エネルギー吸収性能が安定して得られるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。加えて、前記蓋部材62、72、82として機能する膨出部104が取付プレート102に一体に設けられているため、部品点数や製造工数が少なくなって一層安価に構成できる。
図9は、図8のクラッシュボックス100において、本体部52の軸方向の反対側、すなわちバンパービーム10に固定される側の端部にも取付プレートが溶接固定されている2種類の例を示す図で、図9の(a) 、(b) は何れも前記図1(b) に対応する縦断面図である。図9の(a) のクラッシュボックス110は、本体部52の軸方向の両端部に対称的に一対の取付プレート102が溶接固定されている場合で、本体部52の両端部にはそれぞれ折曲げフランジ56が設けられている。そして、その本体部52の両端部において、折曲げフランジ56の曲げR部58と取付プレート102の平坦部106との間に形成される空隙には、それぞれ硬化性樹脂60が充填されており、その曲げR部58が補強されるようになっている。
図9の(b) のクラッシュボックス120は、バンパービーム10が軸心Oに対して傾斜している場合で、そのバンパービーム10側の取付プレート122も、バンパービーム10の傾斜に対応して傾斜する姿勢で本体部52に溶接固定されており、本体部52に一体に設けられる折曲げフランジ130も取付プレート122の平坦部126に密着するように軸心Oに対して傾斜させられている。取付プレート122には、本体部52内に嵌合されるように軸心Oと平行に本体部52側へ突き出す膨出部124が絞り加工等により一体に設けられており、その膨出部124が蓋部材として機能して折曲げフランジ130の曲げR部132と取付プレート122の平坦部126との間に形成される空隙が閉塞され、その閉空間内に硬化性樹脂60が充填されて曲げR部132が補強されるようになっている。
なお、上記図9は、前記図8のクラッシュボックス100に関して、本体部52の軸方向の両端部に取付プレート102または122が溶接固定されている場合であるが、他のクラッシュボックス50、70、80についても、図9のように必要に応じて軸方向の反対側にも取付プレートが溶接固定される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
50、70、80、100、110、120:クラッシュボックス(車両用衝撃吸収部材) 52:本体部 54、102、122:取付プレート 56、130:折曲げフランジ 58、132:曲げR部 60:硬化性樹脂(合成樹脂) 62、72、82:蓋部材 104、124:膨出部(蓋部材) W:溶接部 O:軸心 F:圧縮荷重
Claims (3)
- 筒形状の本体部と、該本体部の軸方向の端部に一体的に固設される取付プレートとを有し、該本体部の軸方向に圧縮荷重を受けることにより該本体部が蛇腹状に圧壊させられて衝撃エネルギーを吸収する車両用衝撃吸収部材であって、
前記本体部の軸方向の端部には、前記取付プレートに面接触させられるように折り曲げられた折曲げフランジが一体に設けられ、該折曲げフランジが該取付プレートに密着する状態で一体的に溶接固定されるとともに、
該折曲げフランジの曲げR部と前記取付プレートとの間に形成される空隙に合成樹脂が充填されている
ことを特徴とする車両用衝撃吸収部材。 - 前記取付プレートには、前記空隙を閉塞するように前記本体部側に突き出す蓋部材が設けられており、
該蓋部材によって閉塞された前記空隙の内部に前記合成樹脂が充填されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収部材。 - 前記取付プレートには、前記本体部側へ膨出するように該取付プレートを変形させた膨出部が一体に設けられており、
該膨出部が前記蓋部材として機能する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用衝撃吸収部材。
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