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JP2012012670A - 冷延鋼板 - Google Patents

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Shinjiro Kaneko
真次郎 金子
Reiko Sugihara
玲子 杉原
Tetsuya Mega
哲也 妻鹿
Tetsuo Shimizu
哲雄 清水
Takako Yamashita
孝子 山下
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Abstract

【課題】摺動性に優れた冷延鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板両面の表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上である。かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15°以上である。このような集合組織分布を有する鋼板は、表面の極表層に高硬度の分布を有するため、面圧が加わる状態での摺動抵抗が小さい。そして、自動車の外板パネルをプレス成形する場合には、金型のダイ部と摺動する際に、摩擦抵抗を低減することで深絞り成形性を向上させる。また、このような集合組織分布とするには、固溶Tiが関与しており、Ti:0.01〜0.1%、かつ、Ti*=(Ti%)−3.4×(N%)−1.5×(S%)−4×(C%)とする時に、Ti*>0.007を満たす範囲で含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用、特に絞り性が要求されるプレス部品に使用される、摺動性に優れた冷延鋼板に関する。
近年、自動車用などに使用される鋼板においては、意匠性などの観点から複雑で深い絞り加工を施している。特に、ドア・フードなどのパネル部材には、プレス時の割れを回避するために材料を金型内に流入させる必要があり優れた摺動性が要求されている。
これを解決するためには、鋼板の機械的特性として高い延性(El)や高いランクフォード値(r値)を高める方法がある。もしくは、特許文献1、特許文献2に示されるように表面の凹凸形状を幾何学的に制御する方法がある。または、特許文献3に示されるように表面に硬質層を形成する方法がある。
しかしながら、機械的特性の向上には限界がある。特許文献1および2に記載の表面形状制御は調質圧延ロールの制御・管理の点で生産性を低下させる。特許文献3に記載の表面の硬質層の形成は主に溶融亜鉛めっき鋼板において適用され、冷延鋼板においては付加的な製造工程が必要となり現実的ではない。
特公平3−54006号公報 特開平2−280902号公報 特公平03−055544号公報
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、製造工程の追加や生産性の阻害が無く、コスト面で有利な、摺動性に優れる冷延鋼板を提案することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、研究を行った。その結果、以下の知見を得た。
摺動性の向上には、表層部分に特定結晶方位の未再結晶粒を形成させて表層組織を制御することが有効である。
さらに好ましくは、この未再結晶粒の形成には表層の析出物強化が大きく関与し、Tiを中心とする成分組成の制御が重要となる。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]鋼板両面の表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上であり、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15°以上であることを特徴とする冷延鋼板。
[2]前記[1]において、質量%で、C:0.0005〜0.01%、Si:0.2%以下、Mn:0.3%以下、P:0.03%以下、S:0.003〜0.03%、Ti:0.01〜0.1%、Al:0.01〜0.10%、N: 0.005%以下を含み、かつ、Ti*=(Ti%)−3.4×(N%)−1.5×(S%)−4×(C%)とする時に、Ti*>0.007を満たす範囲で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
ただし、(Ti%)、(N%)、(S%)、(C%)は、それぞれTi、N、S、Cの含有量(質量%)を示す。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべて質量%である。
本発明によれば、摺動性に優れた冷延鋼板が得られる。そして、本発明の冷延鋼板は、製造工程の追加や生産性の阻害なく上記特性が得られるので、自動車用パネル部材などとして好適な材料となる。
摺動性の測定、評価方法を示す図である。
本発明の冷延鋼板は、鋼板両面の表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上であり、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15°以上であることを特徴とする。これは本発明において最も重要な要件である。また、その時の成分組成は質量%で、C:0.0005〜0.01%、Si:0.2%以下、Mn:0.3%以下、P:0.03%以下、S:0.003〜0.03%、Ti:0.01〜0.1%、Al:0.01〜0.10%、N:0.005%以下を含み、かつ、Ti*=(Ti%)−3.4×(N%)−1.5×(S%)−4×(C%)とする時に、Ti*>0.007を満たす範囲で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることが好ましい。ただし、(Ti%)、(N%)、(S%)、(C%)は、それぞれTi、N、S、Cの含有量(質量%)を示す。このように、鋼板表面の状態を規定することにより、摺動性に優れた冷延鋼板を得ることができる。
なお、本発明において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上で、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15°以上であるとは、α→γ変態や再結晶をおこさず回復現象のみを経過した、再結晶粒と比較して転位密度が高く圧延方向に伸展した形態の未再結晶粒が板面に平行な方向の{100}面に集積した状態であることを示している。したがって、変態点以上の温度で行われる焼鈍により得られるα→γ→α変態を経て生成した再結晶粒が集積した組織とは異なるものである。
このように、本発明では、板面に平行な方向の{100}面の集積において、その{100}面方位に集積した結晶粒の形態および転位密度に特徴があり、通常得られる再結晶粒γ→α変態を経て形成された{100}面方位が集積した組織からなる物とは構成が異なる。ゆえに、本発明では、未再結晶粒と再結晶粒の違いを明らかにすべく、ランダム強度比に加え、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅を測定し、ランダム強度比と半価幅を用いて冷延鋼板の構成を示すこととする。
板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上であれば、表面における板面に平行な方向での{100}面の面積比率が十分に高くなる。さらに、表面の{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15゜以上であれば、それらの転位密度が十分に高いため、高い硬度分布を持つようになり、摺動性を向上させることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
従来、自動車のパネル外板の集合組織は、板面に平行な方向に{111}面が多く形成することが知られている。本発明者らが様々な製造条件での実験を繰返し実施したところ、鋼板の内部では{111}面が多く存在するが、表層には{100}面が多く存在する鋼板が得られることを見出した。そして、この{100}面の集積が、変態点以上で焼鈍することにより得られる通常の{100}面ではなく、転位密度が高い未再結晶粒の{100}面である場合に摺動性が格段に優れることも見出した。
未再結晶粒の{100}面は、結晶面内に歪を多く内包するため、再結晶粒である{111}面に比べて硬度が高い。従って、表層に未再結晶粒の集合組織分布を有する鋼板は、表面の極表層に高い硬度分布を有するため、面圧が加わる状態での摺動抵抗が小さくなる。そして、このような特性は自動車の外板パネルをプレス成形する場合には、金型のダイ部と摺動する際に、摩擦抵抗を低減することで深絞り成形性を向上させる。一方で、表面の硬質層は極表層部に限定されるため、鋼板としての機械的性質(El,r値)には影響を及ぼさず、成形性の低下は招かない。
以上の検討結果を踏まえて、本発明では、優れた摺動性を得るために、鋼板両面の表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度をランダム強度比で2.5以上、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅を0.15°以上とする。
なお、板面に平行な方向の{100}面X線強度は逆極点図法により測定することができる。また、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅は、X線源にMoを用い、θ−2θ法により表面での{100}面X線回折ピークを測定して求めることができる。測定方法の詳細条件については、後述する実施例で述べる。
また、未再結晶粒が多く存在する領域の、最表層から板厚中心方向への厚さは、鋼板の圧延方向断面を光学顕微鏡で観察することにより測定することができる。未再結晶粒の圧延方向断面の形態は、再結晶粒に比べ厚みが小さく、かつ圧延方向に伸展した形態であるため、容易に区別することができる。そして、摺動性改善という効果を得るためには、概ね、最表層から板厚中心方向5μmの領域までは未再結晶粒の{100}面が多く存在することが好ましい。さらに好ましくは最表層から板厚中心方向10μmの領域までである。
また、上記のような鋼板表面において板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比2.5以上で表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15゜以上である鋼板は、熱間圧延および焼鈍工程での製造条件を制御することにより得られる。具体的には、例えば、熱間圧延での巻取り温度を630℃以下とし、焼鈍の加熱工程での雰囲気、特に雰囲気(窒素と水素の混合ガス)中の水素濃度を5vol%以上、露点を−40℃以下とすることにより、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15゜以上となる。
さらに、検討を進めた結果、鋼板の焼鈍過程において、Tiとして、C、N、SとのTi化合物を形成して析出に寄与していない、すなわち、鋼中に固溶したTiが存在するような鋼成分とすることが、上記のような、表層で未再結晶粒の{100}面方位を多く集積させるのに重要であることも見出した。
固溶Tiの存在が表層で未再結晶粒の{100}面方位を多く集積させる正確な機構は明らかではないが、冷延後の焼鈍時に、Tiが雰囲気中に存在するNと反応して、鋼板表層近傍で形成される窒化物が、再結晶に影響して、本来多く形成される{111}面の形成を阻害させることによるものと推察される。
以上より、このように固溶Tiを存在させるための成分組成として、Ti*=(Ti%)−3.4×(N%)−1.5×(S%)−4×(C%)とする時に、Ti*>0.007を満たす範囲で含有することが好ましい。ただし、(Ti%)、(N%)、(S%)、(C%)は、それぞれTi、N、S、Cの含有量(質量%)を示す。詳細な説明は後述する。
次に、成分元素の限定理由について説明する。
C:0.0005〜0.01%
Cは、固溶強化元素であり、降伏強度の上昇に寄与し、摺動性の向上には有利である。しかし、過剰に添加すると加工性や時効性の劣化を招く場合がある。また、Cを多量に含有すると鋼中でのTi炭化物量が増加し、鋼中の固溶Ti量が減少して、表層部での板面に平行な方向の{100}面の生成が阻害される場合がある。以上より、0.01%以下が好ましい。一方、0.0005%未満では、結晶粒径が著しく粗大化して降伏強度が大きく低下するため、摺動性が低下する場合がある。また、脱炭コストの増大を招く場合がある。よって、0.0005%以上0.01%以下が好ましい。
Si:0.2%以下
Siは、脱酸剤として作用するほかに固溶強化により鋼を強化する有用な元素である。一方で、炭化物形成を抑制する作用をもち、Ti炭化物の形成を促進する効果をもつ。また、過剰に含有すると加工性を阻害する場合がある。よって、0.2%以下が好ましい。
Mn:0.3%以下
Mnは、脱酸材として作用するほかに、固溶体強化により鋼を強化し、降伏強度を上昇させ、摺動性には有効である。しかし、Mnの硫化物は、Ti析出物の析出サイトとして作用し、固溶Ti量を減少させるとともに、過剰な添加は加工性を阻害する場合がある。よって、0.3%以下が好ましい。
P:0.03%以下
Pは固溶体強化元素であり、鋼の強化と降伏強度には有効である。また、摺動性にも有利である。一方で、粒界に偏析しやすい元素であり、熱間、冷間割れの原因となり、2次加工性が著しく阻害される場合がある。よって、0.03%以下が好ましい。
S:0.003〜0.03%
Sは不可避的不純物として鋼中に存在するが、0.03%超えでは鋼板製造時の熱間割れが生じ易くなるとともに、鋼中で介在物を形成して、加工性を著しく低下させる場合がある。また、過度の添加は、Ti硫化物の形成を促進し、固溶Tiの減少につながる。よって、0.03%以下が好ましい。一方、S量は少ない方が好ましいが、0.003%未満とするには脱硫コストが増大するので、0.003%以上が好ましい。
Al:0.01〜0.10%
Alは脱酸剤として添加する元素である。また、AlはNと窒化物を形成するが、含有量が少ないと余剰のNがTiと窒化物を形成して、固溶Ti量が減少することがある。よって、Al量は、0.01%以上が好ましい。しかし、多量に添加してもより一層の脱酸効果は得られない。よって、0.10%以下が好ましい。
N: 0.005%以下
Nは、少ないほど加工性には有利であるので、少ないほど望ましい。また、0.005%を超えて、過剰に添加すると、成形性の著しい低下と固溶Ti量の低下につながる場合がある。よって、0.005%以下が好ましい。
Ti:0.01〜0.1%
Tiは本発明における最も重要な元素のひとつである。Tiは、鋼中のC、N、Sを析出物として固定することにより、加工性向上効果を有する。また、本発明においては、析出物を形成するのに必要な量よりも余剰にTiを添加することにより、製造時に雰囲気中のNとの窒化物を形成させて表層の未再結晶粒の{100}面方位を増大させる。0.01%未満では、このような効果を得ることができない場合がある。一方、Tiを0.1%を超えて添加してもそれ以上の効果が望めないばかりでなく、板内部に異常組織の形成を促進し、加工性を低下させる場合がある。以上より、0.01%以上0.1%以下が好ましい。
さらに、前述したように、鋼中のTiは、鋼中のC、N、Sと析出物を形成するため、これらC、N、Sの成分に対して、当量を超えてTiを添加して固溶Tiを余剰に存在させることで、表層に未再結晶粒の{100}面を集積させることが本発明においては重要である。そのため、上記0.01%以上0.1%以下との規定に加え、以下の関係式を満たすことが好ましい。
Ti*=(Ti%)−3.4×(N%)−1.5×(S%)−4×(C%)とする時、Ti*>0.007
ただし、(Ti%)、(N%)、(S%)、(C%)は、それぞれTi、N、S、Cの含有量(質量%)を示す。
Ti*が、0.007を超えるとき、焼鈍時に鋼中に侵入する雰囲気中の窒素と固溶Tiがごく微細な窒化物を形成し、結晶粒界の移動を妨げて再結晶を抑制する。その結果、高い硬度分布を有する未再結晶粒が残存しやすくなり、鋼板両面の表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15゜以上となりやすくなる。よって、Ti*>0.007が好ましい。
なお、上記以外の残部はFe及び不可避的不純物からなる。不可避的不純物として、例えば、Oは非金属介在物を形成し品質に悪影響を及ぼすため、0.003%以下に低減するのが好ましい。また、本発明では、本発明の作用効果を害さない微量元素として、Cu、Cr、Ni、W、V、Zr、Sn、Sbを0.1%以下の範囲で含有してもよい。
次に、本発明の冷延鋼板の製造方法について説明する。
本発明の冷延鋼板は、好適には上記化学成分範囲に調整された鋼を、粗圧延し、所望の仕上温度で仕上圧延し、次いで、所望の冷却条件で冷却し、巻取り、酸洗後、冷間圧延し、連続焼鈍を行うことにより得られる。中でも、本発明の特徴である鋼板表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅を0.15°以上とするためには、巻取り温度を630℃以下とするのが好ましい。630℃以下とすることで、Tiを含有する析出物が微細になり、後の焼鈍時に再溶解して固溶Tiを増大させ、鋼板両面の表面に、板面に平行な方向の未再結晶粒の{100}面を集積させることができる。
また、焼鈍時の加熱工程における雰囲気を、水素を5 vol %以上含有する水素と窒素の混合ガスとし、露点を−40℃以下とすることで、より効果的に、鋼板両面の表面に、転位密度の高い板面に平行な方向での未再結晶粒の{100}面を集積させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、水素濃度が高いほど、また露点が低いほど、窒素の鋼中への侵入が促進されて鋼中のTiとより多くのごく微細な窒化物を形成させることができ、再結晶抑制効果が高まるためと推定される。より好ましくは、水素濃度8 vol %以上、露点−45℃以下である。
表1に示す成分からなる溶鋼を、真空脱ガス処理後、連続鋳造によりスラブとし、1180℃に再加熱した後、仕上温度900℃で3.5mm厚まで熱間圧延し、熱間圧延後は水冷却を施して鋼板を巻取り温度600℃でコイルに巻き取った。
次いで、巻取り後の鋼板を酸洗し、板厚0.65mmまで冷間圧延し、連続焼鈍ラインにて、820℃、30秒で焼鈍した。鋼Aについては、水素濃度が1 vol%もしくは10 vol %の水素と窒素の混合雰囲気で、露点が−20℃もしくは−50℃と、4種類の条件組み合わせで行い、それ以外の鋼については、水素濃度が10 vol %の水素と窒素の混合雰囲気で、露点が−50℃で行った。次いで、伸び率0.8%の調質圧延を行った。
Figure 2012012670
以上により得られた冷延鋼板に対して、以下に示す方法により、{100}面X線ランダム強度比、半価幅、機械的特性、摺動試験による摩擦抵抗、限界絞り比(LDR)を測定、評価した。得られた結果を表2に示す。
{100}面X線ランダム強度比および半価幅
板面に平行な方向の{100}面X線強度は逆極点図法により測定した。表面での{100}面X線強度は、試験片を洗浄、乾燥した後に、一方で、板厚中心部での板面に平行な方向の{100}面X線強度は、試験片の片面をシュウ酸により化学研磨して、板厚中心部を表面に露出させた後に、各々測定を行った。X線源には白色X線を用い、{100}面X線の検出にはGe半導体検出器を用いた。また同時に、選択配向のない、結晶方位が不規則な分布をするランダム試料の{100}面X線強度(ランダム強度)を測定した。ランダム強度比は、ランダム試料の{100}面X線強度に対する実試験片の{100}面X線強度の比により算出した。
表面での板面に平行な方向の{100}面X線ピーク半価幅は、θ−2θ法でX線源にはMoを使用し、表面での{100}面X線回折ピークを測定し求めた。
機械的特性
成形性は、引張特性とr値の機械的特性により評価した。引張特性は、JISZ 2201記載の5号試験片に加工した後、JISZ 2241記載の試験方法に従って行った。また平均r値は、15%の引張予歪を与えた後、3点法にて測定し、鋼板の1方向に対して、90°方向、45°方向、0°方向のr値の平均=(r(0°)+2×r(45°)+r(90°))/4として求めた。平均r値が1.6以上を絞り性が良好であると判断した。
摺動性
平面摺動試験で評価した。試験装置は図1に示すような材料1の両面を工具2(材質:SKD11)で一定面圧20kgf/mm2で押しつけた状態で材料を引き抜き、そのときの引き抜き荷重Dから摩擦係数μをμ=D/(2・P)で求めた。鋼板表面には通常用いられる潤滑油(粘度:15cST/40℃)を両面に塗布して実験した。摩擦係数が0.15未満を摺動性が良好であると判断した。
限界絞り比(LDR)
限界絞り比(LDR)は、鋼板表面に通常用いられる潤滑油(粘度:15cST/40℃)を両面に塗布した円形形状のブランク板を、しわ抑え力1tfで、パンチ径が33mmφ、パンチRが4.5mm、ダイRが2.5mmの円筒絞り試験を実施し、破断なく絞り抜ける最大のブランク径とポンチ径の比で求めた。LDRが2.4以上を良好と判断した。
Figure 2012012670
本発明例では、表層に板面に平行な方向の{100}面が多く集積し、摺動が小さく、絞り性に優れる。
また、未再結晶粒が多く存在する領域の、最表層から板厚中心方向への厚さを、鋼板の圧延方向断面を光学顕微鏡で観察した結果、いずれも5μm以上であることを確認した。
一方、比較例では、表層に板面に平行な方向の{100}面の集積が十分得られないために摺動抵抗が大きく、絞り性が劣る。
本発明の冷延鋼板は、摺動性に優れているため、特に絞り性が要求されるプレス部品を中心に、自動車用鋼板など多様な用途での使用が可能となる。
1 材料
2 工具

Claims (2)

  1. 鋼板両面の表面において、板面に平行な方向の{100}面X線強度がランダム強度比で2.5以上であり、かつ、表面での{100}面X線回折ピークの半価幅が0.15°以上であることを特徴とする冷延鋼板。
  2. 質量%で、C:0.0005〜0.01%、Si:0.2%以下、Mn:0.3%以下、P:0.03%以下、S:0.003〜0.03%、Ti:0.01〜0.1%、Al:0.01〜0.10%、N:0.005%以下を含み、かつ、Ti*=(Ti%)−3.4×(N%)−1.5×(S%)−4×(C%)とする時に、Ti*>0.007を満たす範囲で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
    ただし、(Ti%)、(N%)、(S%)、(C%)は、それぞれTi、N、S、Cの含有量(質量%)を示す。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20150267284A1 (en) * 2014-03-21 2015-09-24 Am/Ns Calvert Llc Methods for production of highly formable extra deep draw enameling steel -- product and process for manufacture thereof
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