JP2012070725A - 酵素糖化用原料の製造方法、並びに糖の製造方法、及びエタノールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含有するバイオマス原料をアンモニアで原料中のエステル結合の少なくとも一部を切断するアンモニア処理工程と、前記処理されたバイオマスを湿式で粉砕する湿式粉砕工程と、を含み、前記アンモニア処理工程におけるバイオマスの乾燥質量(A)と、水の質量(B)とが、下記式(1)の関係を満たし、{B/(A+B)}×100≦30・・・(1)かつ、前記エステル結合の切断は、下記式(2)で求められるエステル結合残存率が90%以下となるまで行う酵素糖化用原料の製造方法である。エステル結合残存率(%)=(アンモニア処理されたバイオマスのエステル結合ピーク/バイオマス原料のエステル結合ピーク)×100・・・(2)
【選択図】なし
Description
また、前記蒸煮処理において生成する分解生成物は、酵素糖化後の発酵工程において、酵母等の微生物による発酵に対する阻害作用を及ぼすという問題もある。
そして、前記蒸煮処理では、バイオマス原料の粒子を流動化させるために水分量を多くする必要があり、そのために、酵素糖化後の糖液中における糖濃度が低くなり、その後の発酵工程における効率が低下するという問題もある。
また、バイオマス原料を水とアンモニアが共存する条件下に前処理する場合におけるセルロースI型結晶からセルロースIII型結晶への転移は、アンモニアに対する相対的な水の量が少ないほど進行することが知られている(例えば、非特許文献4参照)。
しかしながら、この提案の技術でも十分な酵素糖化率が得られていないのが現状であり、更なる改良が求められている。
そのため、乾燥されて水分を含まない、あるいは水分含有量の低いバイオマス原料を、水分を含まない、あるいは水分含有量の低いアンモニアを用いて前処理を行うことにより、より効率的にセルロースI型結晶をセルロースIII型結晶に転移させることができる。そして、アンモニア処理により生成したセルロースIII型結晶を保持するとの観点からは、アンモニア処理されたバイオマスを、酵素糖化工程の前に多量の水と接触させることは、酵素糖化率の観点からは好ましくないと考えられていた。
したがって、前記蒸煮処理の場合と同様に、分解生成物による発酵阻害の問題や、酵素糖化により得られる糖液の糖濃度が低くなる等の問題がある。
また、多量の水の共存下に処理を行うため、セルロースの結晶形態がIII型には転移せず、十分な酵素糖化率が得られないという問題がある。
したがって、より酵素糖化率を高めることのできる酵素糖化技術の開発、及び、前記酵素糖化に適したバイオマス原料の前処理技術の速やかな開発が、強く望まれているのが現状である。
<1> リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含有するバイオマス原料をアンモニアで処理し、前記バイオマス原料中のエステル結合の少なくとも一部を切断するアンモニア処理工程と、前記アンモニア処理されたバイオマスを湿式で粉砕する湿式粉砕工程と、を含み、前記アンモニア処理工程におけるバイオマスの乾燥質量(A)と水の質量(B)とが下記式(1)の関係を満たし、
{B/(A+B)}×100≦30 ・・・ (1)
かつ、
前記エステル結合の切断は、下記式(2)で求められるエステル結合残存率が90%以下となるまで行うことを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法である。
エステル結合残存率(%)=(アンモニア処理されたバイオマスのエステル結合ピーク/バイオマス原料のエステル結合ピーク)×100 ・・・(2)
ただし、前記式(2)中、「エステル結合ピーク」は、フーリエ変換赤外分光光度計で測定された吸光波数1730cm−1付近の、脂肪酸と脂肪族アルコールとの縮合により生成するエステル結合のC=O伸縮振動に帰属される吸収ピークの面積を、吸光波数1515cm−1付近のベンゼン核骨核振動(C=C)に帰属される吸収ピークの面積で除した値を表す。
<2> 前記アンモニア処理工程と前記湿式粉砕工程との間に、アンモニア処理されたバイオマスに、前記湿式粉砕工程において使用する水及び/又は有機溶剤を加える工程を含む前記<1>に記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<3> 前記アンモニア処理工程と前記湿式粉砕工程との間に、アンモニア処理されたバイオマスに、前記湿式粉砕工程において使用する水を加える工程を含む前記<1>に記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<4> 前記湿式粉砕工程における、アンモニア処理されたバイオマスの乾燥質量(C)と水及び/又は有機溶剤の質量(D)とが、下記式(3)の関係を満たす前記<1>に記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
5≦{C/(C+D)}×100≦67 ・・・ (3)
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化して糖を得ることを特徴とする糖の製造方法である。
<6> 前記<5>に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させてエタノールを得ることを特徴とするエタノールの製造方法である。
本発明の酵素糖化用原料の製造方法は、アンモニア処理工程と、湿式粉砕工程と、を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
以下、好ましい実施形態に沿って、本発明の酵素糖化用原料の製造方法について説明する。
前記アンモニア処理工程は、リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含有するバイオマス原料中のエステル結合の少なくとも一部を切断する工程である。
前記アンモニア処理工程では、アンモニアによりヘミセルロースとリグニンとの間のエステル結合を切断する(即ち、当該エステル結合のアミド化開裂を行う)ことにより、後述する酵素糖化工程において、酵素によるセルロースの加水分解を効率的に行うことができる。
前記リグニン、セルロース及びヘミセルロースを含むバイオマス原料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、農業や林業等の生産活動に伴う残渣として得られる「廃棄物バイオマス」や、エネルギー等を得る目的で意図的に栽培して得られる「資源作物バイオマス」などを使用することができる。前記「廃棄物バイオマス」としては、例えば、廃建材、間伐材、稲わら、麦わら、もみ殻、バガスなどが挙げられ、また、前記「資源作物バイオマス」としては、例えば、セルロース類の利用を目的として栽培されるシラカバ、ユーカリ、ポプラ、アカシア、ヤナギ、スギ、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、ミスカンサス、ススキ、リードカナリーグラスなどが挙げられる。また、前記バイオマスは、木に由来する「木質バイオマス」、草に由来する「草本バイオマス」などにも分類される。本発明においては、木質バイオマス及び草本バイオマス共に使用することができる。前記リグニン、セルロース及びヘミセルロースを含むバイオマス原料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記バイオマス原料に含まれるセルロースは、基本的にセルロースI型結晶から構成される。
前記リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含有するバイオマス原料を、アンモニア処理する場合、その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含有するバイオマス原料と、アンモニアとを、通常は圧力容器内に導入し、前記圧力容器内を所望の圧力及び温度に設定して、所望の時間処理することにより行うことができる。
前記圧力としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0MPa〜12.5MPa(ゲージ圧)とすることができる。
前記温度としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、−35℃〜180℃とすることができる。
前記アンモニアは、糖化率の観点からは、液相、又は超臨界状態のアンモニアが好ましく、アンモニア処理されたバイオマス中に残留するアンモニアを除去して回収する際に要するエネルギー、湿式粉砕の有無による糖化率の向上幅(湿式粉砕有りの酵素糖化用原料の酵素糖化率と、湿式粉砕無しの酵素糖化用原料の酵素糖化率との差)の観点からは、気相のアンモニアが好ましい。前記気相のアンモニアを用いた場合の湿式粉砕の有無による向上幅が著しく優れていることは、後述する実施例5、比較例5参照からもわかる。
前記アンモニア処理工程においては、前記バイオマス原料とアンモニアの他に、水(水分)が共存することがある。この水は前記バイオマス原料が包含している水、あるいは使用するアンモニアに含有される水などである。そして、得られる酵素糖化用原料の糖化率の向上の観点から、アンモニア処理工程に共存する水の量については、前記バイオマス原料の量との関係においてコントロールされることが好ましい。
アンモニア処理工程におけるバイオマスの乾燥質量(A)と水の質量(B)とは、{B/(A+B)}×100≦30(式(1))の関係を満たすことが好ましい。また、{B/(A+B)}×100(以下、「水分含有率」という場合もある。)は15以下であることがより好ましい。なお、ここで「水」とはアンモニア処理工程において処理を行う系内に存在する全ての水を意味し、該系内においてバイオマス中に包含されている水も含むものとする。
前記水分含有率が30より大きい場合、液相のアンモニア、又は超臨界状態のアンモニアを用いた処理の際に、前記バイオマス原料に含まれるセルロースを構成するセルロースI型結晶の少なくとも一部をセルロースIII型結晶に転移させることが困難となり、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率が十分に向上しないことがある。また、アンモニア処理されたバイオマスからアンモニアを分離・回収して再使用するに際して、効率的に前記分離・回収及び再使用を行うことが困難となる場合がある。すなわち、アンモニアは水に対する溶解度が高く、使用する前記バイオマス原料が多くの水を包含する場合には、アンモニア処理されたバイオマス中にも多くの水が包含されることが多く、この水にアンモニアが溶解するため、アンモニア処理されたバイオマス中に残留するアンモニアを除去して回収するためには、加熱等の大きなエネルギーを要する工程が必要となる。また、回収されたアンモニア中の水分の含有量が大きくなり、回収されたアンモニアから水分を除去する工程(例えば蒸留等)が必要となり、大きなエネルギーが必要となる。
一方、前記水分含有率が30以下であると、液相のアンモニア、又は超臨界状態のアンモニアを用いた処理の際に、前記バイオマス原料に含まれるセルロースを構成するセルロースI型結晶の少なくとも一部をセルロースIII型結晶に転移させることができ、更に前記水分含有率が15以下であると、更に容易に前記結晶の転移が進行し、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率が更に向上するとの点で有利である。また、アンモニア処理後に、更に効率的にアンモニアを分離・回収して再使用することが可能との点でも有利である。
前記アンモニア処理において、液相のアンモニア、又は超臨界状態のアンモニアを用いて処理されたバイオマスは、少なくともセルロースIII型結晶を有していることが好ましい。
前記バイオマスの乾燥方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大気下に高温で乾燥すると、バイオマスの組織が破壊されたり酸化されたりするため、例えば、天日乾燥、自然乾燥、100℃以下での通風による乾燥、減圧乾燥、ジメチルエーテルを用いた乾燥などが好ましい。
なお、前述した、アンモニア処理後のアンモニアの分離・回収及び再使用を効率的に行うとの観点からは、前記バイオマス原料を予め十分に乾燥して、その水分含有量を極力低減することが好ましい。一方、バイオマス原料中に残存する水分の含有量を低減するに伴い、乾燥に要するエネルギーは増大する。したがって、乾燥後のバイオマス原料中の水分含有量の設定は、前記アンモニア処理工程における水分含有率が前記式(1)を満たす範囲において、バイオマス原料の乾燥に使用する設備、消費エネルギー、アンモニア処理後に分離・回収されて再使用されるにアンモニアの水分含有量の設定等の因子を勘案して決定することが好ましい。
前記エステル結合残存率は、下記式(2)により求められる。
エステル結合残存率(%)=(アンモニア処理されたバイオマスのエステル結合ピーク/バイオマス原料のエステル結合ピーク)×100 ・・・(2)
ただし、前記式(2)中、「エステル結合ピーク」は、フーリエ変換赤外分光光度計で測定された吸光波数1730cm−1付近の、脂肪酸と脂肪族アルコールとの縮合により生成するエステル結合のC=O伸縮振動に帰属される吸収ピークの面積を、吸光波数1515cm−1付近のベンゼン核骨核振動(C=C)に帰属される吸収ピークの面積で除した値を表す。
なお、前記吸光波数1515cm−1付近のベンゼン核骨核振動(C=C)に帰属される吸収ピークの面積は、前記のアンモニア処理工程の前後で変化しない。
また、エステル結合のアミド化開裂の進行は、フーリエ変換赤外分光分析における1662cm−1付近のアミド結合のC=O(リグニン共役カルボニル)伸縮振動に帰属される吸収ピークの増大によっても確認することができる。
なお、前記エステル結合は、前記バイオマス原料中のヘミセルロースとリグニンとの間の結合であり、ヘミセルロースはセルロースと水素結合による強い相互作用を有している。したがって、リグニンはヘミセルロースを介してセルロースと強い相互作用を有し、これがリグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含むバイオマス原料が容易に酵素糖化を受けない理由である。アンモニア処理により前記エステル結合が切断されると、リグニンはヘミセルロースから分離され、その結果、セルロースとの相互作用も弱まることとなり、酵素糖化が促進される大きな要因となる。
前記エステル結合の残存率が90%を超えると、セルロースとリグニンとを分離するとのアンモニア処理の効果が不十分となり、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率が十分に向上しないことがある。
一方、前記エステル結合残存率が前記範囲内であると、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率が向上する。
なお、前述の作用機構から、一般的に、前記エステル結合の切断の進行(前記エステル結合残存率の低下)に伴い、セルロースの酵素糖化率は向上することとなる。
なお、前述のように、アンモニア処理されたバイオマス中に水が包含される場合には、この水にアンモニアが溶解することから、アンモニア処理されたバイオマス中に残留するアンモニアの含有量が増大する傾向にある。また、バイオマス中に包含される水に溶解したアンモニアを除去するためには、この水もバイオマスから除去する必要があることから、アンモニアの除去に要するエネルギーが増大する傾向にある。
前記湿式粉砕工程は、前記アンモニア処理されたバイオマスを湿式で粉砕する工程である。ここで、「湿式」とは水及び/又は有機溶剤の共存下であることを意味する。
前記有機溶剤としては、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族の1価、2価、又は多価アルコールのような各種アルコール、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのアルコール類又はそのアルキルエーテルなどの誘導体が挙げられる。
前記湿式粉砕工程において有機溶剤を使用する場合は、酵素糖化における阻害防止、発酵における阻害防止等の観点から、湿式粉砕後に、前記湿式粉砕工程から得られる、粉砕されたバイオマス及び前記有機溶剤又は前記有機溶剤を含む水を含む粉砕物から、前記有機溶剤あるいは場合によりその反応物を除去することが好ましい。前記有機溶剤の除去を実施することは、装置コスト及びエネルギーコストの上昇を招くことから、有機溶剤は使用せず、水を用いて湿式粉砕することが好ましい。
前記湿式粉砕工程における、アンモニア処理されたバイオマスの乾燥質量(C)と水及び/又は有機溶剤の質量(D)との関係としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5≦{C/(C+D)}×100≦67(式(3))が好ましく、5≦{C/(C+D)}×100≦30がより好ましく、5≦{C/(C+D)}×100≦15が特に好ましい。
前記{C/(C+D)}×100(以下、「固形分率」という場合もある。)が67を超えると、水及び/又は有機溶剤の質量が相対的に少なくなり、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率が向上しないことがある。一方、前記固形分率が5未満であると、水及び/又は有機溶剤の質量が相対的に多くなり、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率は向上するものの、該酵素糖化用原料を糖化処理して得られる糖液中の糖濃度が低くなり、その後の発酵工程における効率が低下することがある。一方、前記固形分率が前記好ましい範囲内であると、酵素糖化率の向上、及び発酵工程における効率などの点で有利である。
なお、前記固形分率が15未満である場合には、前記湿式粉砕工程から、必要により有機溶媒を除去する工程を経て得られる水を含む粉砕物を酵素糖化用原料として、そのままスラリーとして酵素糖化工程に供することが可能である。すなわち、前記水を含む粉砕物はスラリーとして流動性を有しており、均一に酵素糖化を行うことができる。
本実施形態では、前記アンモニア処理工程と、前記湿式粉砕工程との間に、アンモニア処理されたバイオマスに前記湿式粉砕工程において使用する水及び/又は有機溶剤を加える工程を含むことが好ましい。
前記アンモニア処理されたバイオマスに水及び/又は有機溶剤を加える工程により、前記湿式粉砕工程において必要なアンモニア処理されたバイオマスと水及び/又は有機溶剤とを含む混合物が提供される。また、当該工程により、アンモニア処理されたバイオマスの質量と水及び/又は有機溶剤の質量との比率を調整し易くなる。
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アンモニア処理されたバイオマスの量と水の量との比率を調整する工程、pHを調整する工程、などが挙げられる。
前記アンモニア処理されたバイオマスの量と水の量との比率を調整する工程においては、前記粉砕物に水を添加して酵素糖化に適したバイオマスの量と水の量との比率とする方法などが挙げられる。
前記pHを調整する工程は、前記湿式粉砕工程から得られた水を含む粉砕物を、後述する糖の製造方法の酵素糖化工程における酵素糖化に適切となるようなpHに調整する工程である。
以上のようにして本発明に係る酵素糖化用原料が得られる。
本発明の糖の製造方法は、前記本発明の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化する酵素糖化工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
以下、好ましい実施形態に沿って、本発明の糖の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態の糖の製造方法に係る酵素糖化工程は、前記酵素糖化用原料と酵素とを接触させることにより、前記酵素糖化用原料中に含まれる、アンモニア処理され、湿式粉砕されたバイオマスを構成するセルロース、及びヘミセルロースを加水分解して単糖類を得る工程である。
前記酵素糖化工程において使用する酵素としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルラーゼ、セロビアーゼ(β−グルコシダーゼ)などが挙げられる。また、これら酵素を適当な担体又はマトリックスに固定化した固定化酵素を使用することもできる。
本発明のエタノールの製造方法は、前記本発明の糖の製造方法により得られた糖を発酵する発酵工程(エタノール発酵工程)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
以下、好ましい実施形態に沿って、本発明のエタノールの製造方法について詳細に説明する。
本実施形態のエタノールの製造方法に係る発酵工程は、前記糖液にエタノール発酵微生物を添加し、エタノール発酵を行う工程である。
前記並行複発酵としては、前記本実施形態の酵素糖化用原料の製造方法によって得られた酵素糖化用原料に、酵素糖化のための酵素、及び、酵素糖化により生成する糖をそのまま反応系内でエタノール発酵させるための微生物を添加し、酵素糖化及びエタノール発酵を行う。
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、精製工程を含むことが好ましい。
前記精製工程は、前記発酵工程において得られたエタノールを含む培地からエタノールを分離・精製する工程である。前記精製工程により、エタノールは発酵培地中に含まれる種々の物質から分離・精製され、また濃縮される。
前記分離・精製の方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、まず発酵培地を、菌体等の固形分を遠心分離及び/又はろ過などにより固液分離し、エタノールを含む水溶液を回収し、その後、該水溶液を蒸留、膜分離などの方法によりエタノールを濃縮、精製する方法が好ましい。
前記本発明の糖の製造方法により得られた糖を用いて、乳酸を製造することができる。この場合の乳酸の製造方法においては、前記糖を乳酸発酵する発酵工程(乳酸発酵工程)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
前記乳酸発酵工程は、前記糖液に乳酸菌等を添加し、乳酸発酵を行う工程である。
前記乳酸菌としては特に制限はなく、公知の乳酸菌を適宜選択して用いることができ、例えば、ラクトバチルス・マニホティヴォランス(Lactobacillus manihotivorans)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)などが挙げられる。なお、前記乳酸菌は、天然の乳酸菌であってもよいし、遺伝子組換え乳酸菌であってもよい。
前記発酵工程における前記乳酸菌の使用量、糖以外の添加物、発酵温度、pH、発酵時間等の条件としては特に制限はなく、公知の条件を適宜選択して用いることができる。
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乳酸の精製工程を含むことが好ましい。
<バイオマス原料>
リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含むバイオマス原料として、エリアンサスを用いた。
収穫したエリアンサスを目開き4mmのスクリーンで粒度を制御しながらカッターミルを用いて粉砕し、バイオマス原料の粗粉砕品を得た。前記バイオマス原料の粗粉砕品の粒径はレーザー回折法(装置:レーザー回折粒子径測定装置LMS−2000e(セイシン企業社製))で測定したメジアン径(d50)として975μmであった。
前記バイオマス原料の粗粉砕品の含水率は29質量%であり、これをバイオマス1とし、後述する実施例1及び比較例1で使用した。
前記バイオマスの粗粉砕品を40℃、5kPa(絶対圧)の減圧下に一昼夜乾燥し、バイオマスの含水率(水分を含むバイオマスの質量を基準とした水分質量の比率)を0.5質量%とし、バイオマス2を得た。前記バイオマス2は後述する実施例3−1、実施例3−2、比較例3−1、比較例3−2、比較例4−1、比較例4−2、実施例5、及び比較例5で使用した。
前記バイオマス2を湿度を調節した容器内で吸湿させて、バイオマスの含水率を15質量%に調整し、バイオマス3を得た。前記バイオマス3は、後述する実施例2及び比較例2で使用した。
また、前記バイオマス2をポリプロピレン樹脂製容器に所定量取り、該容器を回転させながら、ここへ、バイオマスの含水率が40質量%となる量の水を滴下し、更に該容器を5時間回転させて、バイオマスの含水率が40質量%であり、均一に水が吸収されたバイオマス4を得た。前記バイオマス4は、後述する比較例6−1及び比較例6−2で使用した。
<アンモニア処理工程>
内容積約5Lの、撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに前記バイオマス1を200g充填し、窒素ガスによる加圧、脱圧を数回繰り返して、オートクレーブ内の空気を除去した後、減圧により窒素ガスを除去した。そして、オートクレーブ内をアンモニア処理温度(80℃)近くまで昇温した。別途、ステンレス鋼製オートクレーブを用いて、処理温度(80℃)より高い温度(100℃)まで乾燥したアンモニアを予め昇温した。前記2つのオートクレーブを導通し、バイオマスが充填されたオートクレーブに、アンモニアを80℃において処理圧力3.9MPaGで導入し、その後前記条件にて撹拌下に0.5時間(処理時間)アンモニア処理を行った。その後、脱圧し、更にオートクレーブに窒素ガスを流通させ、バイオマス内に残留したアンモニアを除去し、アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス1のエステル結合残存率を以下のように測定した。
フーリエ変換赤外分光光度計Thermo社製NICOLET380を用い、吸光波数400cm−1〜4000cm−1の範囲を反射法で、アンモニア処理されたバイオマス1の赤外分光分析を行った。同様にして、アンモニア処理前のバイオマス1の赤外分光分析を行った。アンモニア処理前のバイオマス1についての、吸光波数1730cm−1付近の、脂肪酸と脂肪族アルコールとの縮合により生成するエステル結合のC=O伸縮振動に帰属される吸収ピークの面積を、アンモニア処理前後で変化しない吸光波数1515cm−1付近のリグニンのベンゼン核骨核振動(C=C)に帰属される吸収ピークの面積で除した値に対して、アンモニア処理されたバイオマス1の前記値の百分率を求め、得られた値をエステル結合残存率(%)(下記式(2))とした。
エステル結合残存率(%)=(アンモニア処理されたバイオマスのエステル結合ピーク/バイオマス原料のエステル結合ピーク)×100 ・・・(2)
その結果、エステル結合残存率は85%であった。
−被粉砕物1の調製−
実施例1においては、前記アンモニア処理されたバイオマス1の乾燥質量15部に対して85部の水(既にバイオマスが含有している水を含む、即ち、含水分を除いた質量分の水を加えて85部となるように調整。)を加えて均一に混合し、マッド状の、アンモニア処理されたバイオマス1と水との混合物(固形分率15質量%)である被粉砕物1を得た。
実施例1においては、ディスクミル型粉砕機グローエンジニアリング社製RD1−15を用い、前記被粉砕物1の湿式粉砕を行った。前記粉砕機の上下に炭化ケイ素製砥石を装着し、前記砥石間の間隙を150μmとした。片側の砥石を900rpmの速度で回転させ、中心部に前記被粉砕物1(マッド状のバイオマスと水の混合物)を投入して、粉砕による発熱を除去するための冷却水を流通させて、室温(25℃〜30℃)にて粉砕し、酵素糖化用原料1(乾燥固形分率15質量%)を得た。
酵素糖化用原料として、前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1、固形物)、及び前記酵素糖化用原料1(実施例1、マッド状の水を含む混合物)のそれぞれを用い、以下の操作により、酵素糖化反応を行った。
内容積1.5mLのマイクロチューブに、乾燥固形分として10mgとなるように精秤した試料を取り、試料濃度1%(乾燥質量/体積)、酵素としてCelluclast@1.5L及びNovozyme@188(共に商品名、Novozyme社製)を各酵素濃度0.01%(質量/体積)、計0.02%(質量/体積)の酵素濃度、pH4.5(酢酸緩衝液)となるように酵素糖化反応液を調製した。これを37℃の恒温室にて、回転振とう機(15回転/分)を用いて24時間転倒振とうして酵素糖化反応を行った。反応後、遠心分離によって得られた上澄み液中のグルコース濃度を、グルコースCIIテストワコー(商品名、和光純薬社製)を用いて測定し、酵素糖化率の尺度としてグルコース収率を算出した。その結果、前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)のグルコース収率は31%であり、前記酵素糖化用原料1(実施例1)のグルコース収率は62%であった。
なお、グルコース収率は下記式(4)で定義される。
グルコース収率(%)=[酵素糖化反応液中のグルコース量/(酵素糖化原料の乾燥質量×全グルコース化率/100)]×100 ・・・(4)
全グルコース化率(%):(バイオマス原料を別途化学的に完全に加水分解したときに得られるグルコースの量/バイオマス原料の乾燥質量)×100(バイオマス原料基準のグルコースの理論収率に相当)
<アンモニア処理工程>
バイオマス原料として使用した前記バイオマス1を前記バイオマス3に代えた以外は、前記実施例1及び比較例1と同様にしてアンモニア処理を行い、アンモニア処理されたバイオマス3(比較例2)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス3のエステル結合残存率を、前記実施例1及び比較例1と同様にして測定した結果、エステル結合残存率は85%だった。
−被粉砕物3の調製−
実施例2においては、前記アンモニア処理されたバイオマス1を前記アンモニア処理されたバイオマス3に代えた以外は、前記実施例1と同様にして、マッド状のバイオマスと水の混合物(固体濃度15質量%)である被粉砕物3を得た。
実施例2においては、前記被粉砕物1を前記被粉砕物3に代えた以外は、前記実施例1と同様にしてディスクミルによる湿式粉砕を行い、酵素糖化用原料3(乾燥固形分率15質量%)を得た。
酵素糖化用原料として、前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)及び前記酵素糖化用原料1(実施例1)のそれぞれを、前記アンモニア処理されたバイオマス3(比較例2)及び前記酵素糖化用原料3(実施例2)のそれぞれに代えた以外は、比較例1及び実施例1と同様にして、それぞれ酵素糖化反応を行った。
その結果、前記アンモニア処理されたバイオマス3(比較例2)のグルコース収率は51%であり、前記酵素糖化用原料3(実施例2)のグルコース収率は68%であった。
<アンモニア処理工程>
バイオマス原料として使用した前記バイオマス1を前記バイオマス2に代えた以外は、前記実施例1及び比較例1と同様にしてアンモニア処理を行い、アンモニア処理されたバイオマス2A(比較例3−1)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス2Aのエステル結合残存率を、前記実施例1及び比較例1と同様にして測定した結果、エステル結合残存率は85%だった。
−被粉砕物2Aの調製−
実施例3−1においては、前記アンモニア処理されたバイオマス1を前記アンモニア処理されたバイオマス2Aに代えた以外は、前記実施例1と同様にして、マッド状の、アンモニア処理されたバイオマス2Aと水との混合物(乾燥固形分率15質量%)である被粉砕物2Aを得た。
実施例3−1においては、前記被粉砕物1を前記被粉砕物2Aに代えた以外は、前記実施例1と同様にしてディスクミルによる湿式粉砕を行い、酵素糖化用原料2A−1(乾燥固形分率15質量%)を得た。
−ボールミル粉砕−
実施例3−2においては、ボールミル型粉砕機レッチェ社製ミキサーミル(MM300)を用い、前記被粉砕物2Aの湿式粉砕を行った。前記被粉砕物2A(マッド状の、アンモニア処理されたバイオマス2と水の混合物)2.2gを粉砕ジャー(50mL容器)に投入して密閉後、振とう速度20回/秒で5分間、粉砕による発熱を除去するための冷却水を流通させて、室温(25℃〜30℃)にて粉砕し、酵素糖化用原料2A−2(乾燥固形分率15質量%)を得た。
比較例3−2においては、前記被粉砕物1の湿式粉砕に代えて、前記アンモニア処理されたバイオマス2Aの乾式粉砕を行った以外は、実施例1と同様に粉砕を行った。すなわち、実施例1と同一の粉砕機を用いて、同様の運転条件で、前記アンモニア処理されたバイオマス2Aに水を添加することなく粉砕した。これにより酵素糖化用原料2A−3(固形物)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス2A(比較例3−1)、前記アンモニア処理されたバイオマス2Aを湿式粉砕して得られた前記酵素糖化用原料2A−1(実施例3−1)に含まれるバイオマス、及び前記アンモニア処理されたバイオマス2Aを乾式粉砕して得られた前記酵素糖化用原料2A−3(比較例3−2)のそれぞれについて、以下の操作により、X線回折分析を行った。
前記酵素糖化用原料2A−1(実施例3−1)の少量を乾燥して水分を除去し、これに含まれるバイオマスの固形分試料を得た。この試料、前記アンモニア処理されたバイオマス2A(比較例3−1)、及び前記酵素糖化用原料2A−3のそれぞれの試料100mgを、20MPaGの圧力にて加圧成型してX線回折分析に供した。X線回折分析は管球型X線発生装置RINT2200(商品名、リガク社製)を用い、ディフラクトメトリー法によって行った。電圧38kV、電流50mA、モノクロメーターで単色化したCuKα線(波長0.15418nm)を用い、操作範囲2θ=5〜30°、ステップ幅0.1°、積算時間20秒の条件にてステップスキャン法で測定した。前記3種の試料のX線回折パターンを図1に示す。
酵素糖化用原料として、前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)を前記アンモニア処理されたバイオマス2A(比較例3−1)、及び前記酵素糖化用原料2A−3(比較例3−2)に、前記酵素糖化用原料1(実施例1)を前記酵素糖化用原料2A−1(実施例3−1)、及び前記酵素糖化用原料2A−2(実施例3−2)に、それぞれ代えた以外は、比較例1及び実施例1と同様にして、それぞれ酵素糖化反応を行った。
その結果、前記アンモニア処理されたバイオマス2A(比較例3−1)のグルコース収率は50%であり、前記酵素糖化用原料2A−1(実施例3−1)は70%であり、前記酵素糖化用原料2A−2(実施例3−2)のグルコース収率は71%であり、前記酵素糖化用原料2A−3(比較例3−2)のグルコース収率は52%であった。
<アンモニア処理工程>
アンモニア処理時間を0.5時間から0.17時間に変えた以外は、実施例3−1と同様にしてアンモニア処理を行い、アンモニア処理されたバイオマス2B(比較例4−2)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス2Bのエステル結合残存率を、前記実施例1及び比較例1と同様にして測定した結果、エステル結合残存率は95%だった。
−被粉砕物2Bの調製−
比較例4−1においては、前記アンモニア処理されたバイオマス1を前記アンモニア処理されたバイオマス2Bに代えた以外は、前記実施例1と同様にして、マッド状のバイオマスと水の混合物(乾燥固形分率15質量%)である被粉砕物2Bを得た。
比較例4−1においては、前記被粉砕物1を前記被粉砕物2Bに代えた以外は、前記実施例1と同様にして湿式粉砕し、酵素糖化用原料2B(乾燥固形分率15質量%)を得た。
酵素糖化用原料として、前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)及び前記酵素糖化用原料1(実施例1)のそれぞれを、前記アンモニア処理されたバイオマス2B(比較例4−2)及び前記酵素糖化用原料2B(比較例4−1)のそれぞれに代えた以外は、比較例1及び実施例1と同様にして、酵素糖化反応を行った。
その結果、前記アンモニア処理されたバイオマス2B(比較例4−2)のグルコース収率は15%であり、前記酵素糖化用原料2B(比較例4−1)のグルコース収率は19%であった。
<アンモニア処理工程>
処理温度を80℃から150℃に、処理圧力を3.9MPaGから1.0MPaGに、及び処理時間を0.5時間から2.5時間に変えた以外は、前記実施例3−1及び比較例3−1と同様にして、アンモニア処理を行い、アンモニア処理されたバイオマス2C(比較例5)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス2Cのエステル結合残存率を、前記実施例1及び比較例1と同様にして測定した結果、エステル結合残存率は90%だった。
−被粉砕物2Cの調製−
実施例5においては、前記アンモニア処理されたバイオマス1を前記アンモニア処理されたバイオマス2Cに代えた以外は、前記実施例1と同様にして、マッド状のバイオマスと水の混合物(乾燥固形分率15質量%)である被粉砕物2Cを得た。
実施例5においては、前記被粉砕物1を前記被粉砕物2Cに代えた以外は、前記実施例1と同様にして湿式粉砕し、酵素糖化用原料2C(乾燥固形分率15質量%)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)及び前記酵素糖化用原料1(実施例1)のそれぞれを、前記アンモニア処理されたバイオマス2C(比較例5)及び前記酵素糖化用原料2C(実施例5)のそれぞれに代えた以外は、比較例1及び実施例1と同様にして、酵素糖化反応を行った。
その結果、前記アンモニア処理されたバイオマス2C(比較例5)のグルコース収率は29%であり、前記酵素糖化用原料2C(実施例5)は62%であった。
<アンモニア処理工程>
前記バイオマス1を前記バイオマス4に代えた以外は、前記実施例1及び比較例1と同様にして、アンモニア処理を行い、アンモニア処理されたバイオマス4(比較例6−1)を得た。
前記アンモニア処理されたバイオマス4のエステル結合残存率を、前記実施例1及び比較例1と同様にして測定した結果、エステル結合残存率は85%だった。
−被粉砕物4の調製−
前記アンモニア処理されたバイオマス1を前記アンモニア処理されたバイオマス4に代えた以外は、前記実施例1と同様にして、マッド状のバイオマスと水の混合物(乾燥固形分率15質量%)である被粉砕物4を得た。
比較例6−1においては、前記被粉砕物1を前記被粉砕物4に代えた以外は、前記実施例1と同様にして湿式粉砕し、酵素糖化用原料4(乾燥固形分率15質量%)を得た。
酵素糖化用原料として、前記アンモニア処理されたバイオマス1(比較例1)及び前記酵素糖化用原料1(実施例1)を、前記アンモニア処理されたバイオマス4(比較例6−2)、及び前記酵素糖化用原料4(比較例6−1)のそれぞれに代えた以外は、前記比較例1及び実施例1と同様にして、酵素糖化反応を行った。
その結果、前記アンモニア処理されたバイオマス4(比較例6−2)のグルコース収率は19%であり、前記酵素糖化用原料4のグルコース収率は41%であった。
また、図1に示すX線回折パターンの結果から、所定の要件を満たしてアンモニア処理されたバイオマスにおいて、生成したセルロースIII型結晶は、湿式粉砕することにより、その一部がセルロースI型結晶へと戻っていることがわかる。一方、同一のアンモニア処理されたバイオマスを乾式粉砕した場合には、X線回折パターンは粉砕前と大きな変化はなく、セルロースIII型結晶のセルロースI型結晶への転移は見られない。表1が示すように、より酵素糖化を受けやすいセルロースIII型結晶を多く有する乾式粉砕を受けたバイオマス(比較例3−2)よりも、湿式粉砕を受け、セルロースIII型結晶が減少したバイオマス(実施例3−1)の方が高いグルコース収率を与えた。これは、酵素糖化率の向上に対して、セルロースIII型結晶と同I型結晶間の転移よりも大きな影響を与えるセルロースの構造変化(非晶化と推定)が、アンモニア処理されたバイオマスの湿式粉砕によってより進行することに起因するものと推定される。この変化による酵素糖化率の向上効果は、アンモニア処理における含水率及びアンモニア処理されたバイオマス中のエステル残存率が所定の条件を満たす場合に、顕著に発現される。
<酵素糖化工程>
実施例3−1で得た酵素糖化用原料2A−1について、実施例3−1で実施したマイクロチューブ内での酵素糖化を、内容積100mLの三角フラスコに規模を拡大して実施した。
<エタノール発酵工程>
得られた酵素糖化後の懸濁液は、遠心分離及びろ過により固液分離し、得られた溶液をロータリーエバポレーターによりグルコース濃度が10%になるように濃縮して糖化液を得た。内容積100mLの三角フラスコ中にて前記糖化液にサッカロマイセス・セルビシエを植菌し、28℃、80rpmで振盪しながら発酵した。24時間後にエタノール濃度4.3wt%の発酵液を得た。
また、本発明の糖の製造方法、エタノールの製造方法、及び乳酸の製造方法によれば、糖の生産効率、エタノールの生産効率、及び乳酸の生産効率を格段に向上させることができる。
したがって、本発明の酵素糖化用原料の製造方法、並びに本発明の糖の製造方法、エタノールの製造方法、及び乳酸の製造方法は、例えば、近年注目されている、環境に優しい燃料を産出することを目的としたバイオマス原料からのエタノール製造、また、環境に優しい生分解性プラスチックの製造等に、好適に利用可能である。
Claims (6)
- リグニン、セルロース、及びヘミセルロースを含有するバイオマス原料をアンモニアで処理し、前記バイオマス原料中のエステル結合の少なくとも一部を切断するアンモニア処理工程と、
前記アンモニア処理されたバイオマスを湿式で粉砕する湿式粉砕工程と、
を含み、
前記アンモニア処理工程におけるバイオマスの乾燥質量(A)と水の質量(B)とが下記式(1)の関係を満たし、
{B/(A+B)}×100≦30 ・・・ (1)
かつ、
前記エステル結合の切断は、下記式(2)で求められるエステル結合残存率が90%以下となるまで行うことを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法。
エステル結合残存率(%)=(アンモニア処理されたバイオマスのエステル結合ピーク/バイオマス原料のエステル結合ピーク)×100 ・・・ (2)
ただし、前記式(2)中、「エステル結合ピーク」は、フーリエ変換赤外分光光度計で測定された吸光波数1730cm−1付近の、脂肪酸と脂肪族アルコールとの縮合により生成するエステル結合のC=O伸縮振動に帰属される吸収ピークの面積を、吸光波数1515cm−1付近のベンゼン核骨核振動(C=C)に帰属される吸収ピークの面積で除した値を表す。 - 前記アンモニア処理工程と前記湿式粉砕工程との間に、アンモニア処理されたバイオマスに、前記湿式粉砕工程において使用する水及び/又は有機溶剤を加える工程を含む請求項1に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
- 前記アンモニア処理工程と前記湿式粉砕工程との間に、アンモニア処理されたバイオマスに、前記湿式粉砕工程において使用する水を加える工程を含む請求項1に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
- 前記湿式粉砕工程における、アンモニア処理されたバイオマスの乾燥質量(C)と水及び/又は有機溶剤の質量(D)とが、下記式(3)の関係を満たす請求項1に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
5≦{C/(C+D)}×100≦67 ・・・ (3) - 請求項1から4のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化して糖を得ることを特徴とする糖の製造方法。
- 請求項5に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させてエタノールを得ることを特徴とするエタノールの製造方法。
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