JP2012064485A - 色素増感光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 太陽電池などとして有用で、光の利用率が向上した色素増感光電変換装置を提供すること。
【解決手段】 光入射側から順に、少なくとも、光透過性支持体1と、光透過性支持体1の、光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層2と、光増感色素13を保持する多孔質半導体層3と、電解液が多孔質半導体層3に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が電解液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、短径に対する長径の比が2以上である異方的形状を有する高屈折率微粒子14を含有する電解質層4と、対向電極5とを配置して、色素増感光電変換装置10を構成する。高屈折率微粒子14は、酸化チタンTiO2微粒子などであり、平均長径が0.3μm以上であり、短径に対する長径の比が2以上であり、例えば、針状、棒状、または楕円体状などの形状であるのが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 光入射側から順に、少なくとも、光透過性支持体1と、光透過性支持体1の、光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層2と、光増感色素13を保持する多孔質半導体層3と、電解液が多孔質半導体層3に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が電解液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、短径に対する長径の比が2以上である異方的形状を有する高屈折率微粒子14を含有する電解質層4と、対向電極5とを配置して、色素増感光電変換装置10を構成する。高屈折率微粒子14は、酸化チタンTiO2微粒子などであり、平均長径が0.3μm以上であり、短径に対する長径の比が2以上であり、例えば、針状、棒状、または楕円体状などの形状であるのが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、太陽電池などとして有用な色素増感光電変換装置に関するものであり、より詳しくは、光利用率が向上した色素増感光電変換装置に関するものである。
エネルギー源として石炭や石油などの化石燃料を用いると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は地球温暖化を引き起こす原因物質の1つである。原子力エネルギーの利用では放射性元素が生成し、放射能汚染などの危険性が伴う。また、これらのエネルギー資源は有限であり、いずれ枯渇する。従って、これらのエネルギー源に過度に依存していくことには問題がある。近年、これらに代わる、無尽蔵なエネルギー源として、太陽光が注目されている。太陽電池は、太陽光のもつエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置であり、太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に与える影響が極めて小さい。このため、太陽電池のより一層の普及が期待されている。
太陽電池の原理や構成材料として、様々なものが提案されている。そのうち、半導体のpn接合を利用する太陽電池は、現在最も普及しており、シリコンを半導体材料とした太陽電池が多数市販されている。しかし、pn接合を用いた太陽電池の製造には、高純度の半導体材料を製造する工程や、pn接合を形成する工程が必要である。このため、高温プロセスなどの製造工程におけるエネルギー消費が大きいという問題がある。また、製造工程数が多く、クリーンルームや真空装置などの大がかりな装置が必要であるので、製造コストが高くなるという問題もある。
一方、色素によって光増感された光誘起電子移動を応用した色素増感型太陽電池が、グレッツェルらによって提案されている(特許公報第2664194号(第2および3頁、図1)、およびB.O'Regan and M.Graetzel,Nature,353,p.737-740(1991)など参照。)。
図6は、一般的な色素増感型太陽電池100の構造を示す要部断面図である。色素増感型太陽電池100は、主として、ガラスなどの透明基板101、透明導電層(負極集電体)102、光増感色素を保持した半導体電極層(負極)103、電解質層104、対向電極(正極)105、対向基板106、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
透明導電層102は、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム・スズ複合酸化物)やFTO(フッ素がドープされた酸化スズ)などからなり、透明基板101の上に設けられており、負極集電体として機能する。負極である半導体電極層103は、透明導電層102に接して設けられている。半導体電極層103としては、酸化チタンTiO2などの金属酸化物半導体の微粒子を焼結させた多孔質層が用いられることが多い。光増感色素は、半導体電極層103を構成する金属酸化物の表面に吸着されている。電解質層104としては、酸化還元種(レドックス対)を含む電解液などが用いられる。対向電極105は白金層などで構成され、対向基板106上に設けられている。
色素増感型太陽電池100は、光が透明基板101側から入射するように構成されている。入射した光の一部は光増感色素によって吸収され、この光吸収によって励起された電子の一部が半導体電極層103に取り出される。一方、電子を失った光増感色素は、電解質層104中の還元剤によって還元される。この反応によって電解質層104中に生じた酸化剤は、対向電極(正極)105から電子を受け取り還元される。この結果、色素増感型太陽電池100は、透明導電層102および半導体電極層103を負極、対向電極105を正極とする光電池として動作する。
色素増感型太陽電池には、製造に真空処理工程が必要ないので、大がかりな装置を必要とせず、また、酸化チタンなどの安価な酸化物半導体を用いて、少ない工程で、生産性よく製造できる長所がある。また、可視光領域を中心として広い波長領域に、各波長領域の光を吸収できる光増感色素が種々存在するので、用いる色素を変えることによって、吸収する光の波長を選択したり、あるいは複数の色素を組み合わせることによって、広い波長領域の光を利用したりできる長所がある。加えて、プラスチックなどの、軽量でフレキシブルな基材を用いて、ロール・ツー・ロール・プロセスで、さらに生産性よく安価に製造できる可能性を秘めている。このため、新世代の太陽電池として、近年非常に注目されている。
しかしながら、色素増感太陽電池の光電変換効率は、まだ、シリコン系太陽電池の光電変換効率に比べると低いのが現状である。そこで、光電変換効率の向上のために、様々な取り組みが報告されている。その1つに、半導体電極層103に光散乱機能をもたせ、入射した光の利用率を向上させ、光電変換効率を向上させる技術が知られている。
例えば、後述の特許文献1には、図7に示すように、ガラス基板201、電極206、高屈折材料薄膜207、光吸収粒子層203、光反射粒子層208、電解液部204、および対向電極205で構成されている色素増感型太陽電池200などが提案されている。特許文献1には下記のように説明されている。
電極206は、格子状あるいは複数の帯状に形成された金属からなる。高屈折材料薄膜207は、例えば酸化チタン(ルチル)などの高屈折率材料の薄膜であり、その膜厚は約50〜100nm程度が好ましい。光吸収粒子層203は、高屈折材料薄膜207が形成されたガラス基板201に半導体微粒子213を堆積させ、光増感色素を吸着させた層である。半導体微粒子213は、例えば酸化チタン微粒子(アナターゼ)などであり、その粒径は約80nm以下で、光吸収粒子層203の厚さは約10μm以下であるのが好ましい。光反射粒子層208は、光吸収粒子層203に高屈折材料粒子218を堆積させた層である。高屈折材料粒子218は、例えば酸化チタン微粒子(ルチル)などであり、その粒径は約200〜500nmで、光反射粒子層208の厚さは、約5〜10μm程度であるのが好ましい。電解液部204は、光吸収粒子層203および光反射粒子層208を含むか、あるいは電解液が光吸収粒子層203および光反射粒子層208を浸潤するように設けられている。
色素増感型太陽電池200の特徴の1つは、高屈折材料粒子218の粒径が、光の散乱が最大になるように、約200〜500nmの範囲で制御されていることである。これにより、光吸収粒子層203を一旦透過した光を光反射粒子層208で効率よく反射させ、再度光吸収粒子層203内に戻すことができる。光反射粒子層208による散乱は、散乱による1次回折波の散乱角が、電解液と高屈折材料粒子218の全反射に相当するような散乱をおこす角度になるように、高屈折材料粒子218の粒径を制御した場合に最大になる。
色素増感型太陽電池200の他の特徴は、光反射粒子層208によって反射され、光吸収粒子層203に戻された光が、再び光吸収粒子層203を透過してしまっても、この反射光のほとんどは高屈折材料薄膜207によって全反射され、光吸収粒子層3内に再度戻されることである。なお、高屈折材料薄膜207は、ガラス基板201側からの光の入射に対しては反射防止膜と同等に作用するので、入射光の透過を低下させることはない。
このように、一旦色素増感型太陽電池200の光吸収粒子層203に入射した光は、光反射粒子層208による散乱と、高屈折率薄膜207による全反射とを繰り返すことにより、光吸収粒子層203内に閉じ込められる。このため、光吸収粒子層203を薄層化しても、入射された光は光増感色素によって有効に吸収される。これと、光吸収粒子層203の薄層化による集電効率の向上と低抵抗化とによって、変換効率を大幅に高めることができる。
なお、光反射粒子層208の高屈折材料粒子218にも光増感色素を吸着させ、光反射粒子層208においても光電変換を行わせ、変換効率を高めることも可能である。また、色素増感型太陽電池200では、高屈折材料粒子218を光反射粒子層208として光吸収粒子層203上に堆積させる例を示したが、高屈折材料粒子218を電解液部204内に分散させるようにしてもよい。また、高屈折材料粒子208は、光の波数kに対して1.3×π/kの粒径をもつ酸化チタンの粒子を用いるもので、その粒径は約200〜500nmの範囲に包含される。
また、上述した光吸収粒子層203と光反射粒子層208とのような積層構造にするのではなく、光吸収粒子層中に光散乱を目的とした粗大粒子を添加する構成も提案されている。例えば、後述の非特許文献1では、高性能色素増感型太陽電池の実現のために、光散乱に適した酸化チタン微粒子の粒径および形状が検討され、六角星状の高純度酸化チタン微粒子を添加することにより、10%の光電変換効率を達成することができた例が示されている。
従来の、一般的な色素増感型太陽電池100の半導体電極層103では、表面積を大きくして、多くの光増感色素を吸着できるように、粒径が数十nmの酸化チタン微粒子が用いられる。この場合、半導体電極層103の透明性が高く、入射光が光増感色素によって十分に吸収されず、一部が半導体電極層103を透過してしまい、この結果、入射光の吸収率が不十分になるという問題がある。これは、光増感色素の吸光係数が低い波長領域で顕著である。この対策として、半導体電極層103の厚さを厚くすると、光の吸収率は向上するものの、厚くし過ぎると、集電効率の低下と内部抵抗の増加とによって、かえって変換効率は低下する。すなわち、半導体電極層103の厚さには最適厚さがあり、半導体電極層103の厚さの調節だけでは、光エネルギーの利用率を向上させることはできない。
そこで、光を散乱させやすい、粒子径の大きい高屈折材料粒子を用い、特許文献1のように光反射粒子層208を形成したり、非特許文献1のように半導体電極層を構成する酸化物微粒子層中に混在させたりして、透過してしまう光を減らし、光の利用率を向上させる提案がなされている。このような工夫によって光の多重散乱効果を利用して、光路の増長や光の閉じ込め効果により、光の吸収率を上げることは可能である。しかし、光反射粒子層208や半導体電極層103の厚さを厚くし過ぎると、内部抵抗の増加を招くので、透過してしまう光をなくすことはできない。半導体電極層103や光反射粒子層208を透過した光は、電解液や対向電極で吸収されてしまい、利用できない。
また、特許文献1には、高屈折材料粒子218を電解液部204内に分散させるようにしてもよいと記載されているが、実際にそれを行った実施例は示されていない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、太陽電池などとして有用で、光の利用率が向上した色素増感光電変換装置を提供することにある。
即ち、本発明は、光入射側から順に、少なくとも、
光透過性基体と、
前記光透過性基板の、前記光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層と 、
光増感色素を保持する多孔質半導体層と、
電解液が前記多孔質半導体層に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が前記電解 液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、異方的形状を有する高屈折 率微粒子を含有する電解質層と、
対向電極と
が配置されている、第1の色素増感光電変換装置に係わるものである。
光透過性基体と、
前記光透過性基板の、前記光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層と 、
光増感色素を保持する多孔質半導体層と、
電解液が前記多孔質半導体層に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が前記電解 液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、異方的形状を有する高屈折 率微粒子を含有する電解質層と、
対向電極と
が配置されている、第1の色素増感光電変換装置に係わるものである。
また、光入射側から順に、少なくとも、
光透過性基体と、
前記光透過性支持体の、前記光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層 と、
光増感色素を保持する多孔質半導体層と、
電解液が前記多孔質半導体層に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が前記電解 液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、平均粒子径が異なる2種類以上の球形高屈折率微粒子を含有する電解質層と、
対向電極と
が配置されている、第2の色素増感光電変換装置に係わるものである。
光透過性基体と、
前記光透過性支持体の、前記光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層 と、
光増感色素を保持する多孔質半導体層と、
電解液が前記多孔質半導体層に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が前記電解 液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、平均粒子径が異なる2種類以上の球形高屈折率微粒子を含有する電解質層と、
対向電極と
が配置されている、第2の色素増感光電変換装置に係わるものである。
本発明の色素増感光電変換装置によれば、前記電解質層には、屈折率が前記電解液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなる高屈折率微粒子が含有されている。このため、前記多孔質半導体層を一旦透過してしまった透過光を前記高屈折率微粒子の表面で効率よく散乱させ、再度前記多孔質半導体層内に戻すことができる。これにより光の利用率を高めることができる。後述の実施例で示すように、前記高屈折率微粒子の表面で透過光を効率よく散乱させるには、前記高屈折率微粒子の屈折率が、周囲にある前記電解液の屈折率に比べ0.3以上大きいことが必要である。
この際、前記高屈折率微粒子が球形である場合には、透過光を最も効果的に散乱させることのできる最適粒子径は波長によって変化し、透過光の波長が400nmである場合と800nmである場合とでは2倍程度異なる。本発明の第2の色素増感光電変換装置では、平均粒子径が異なる2種類以上の前記球形高屈折率微粒子を前記電解質層が含有しているので、波長400〜800nmの透過光を効率よく散乱させることができる。一方、本発明の第1の色素増感光電変換装置では、前記異方的形状を有する高屈折率微粒子を前記電解質層が含有している。前記異方的形状を有する高屈折率微粒子は、その配向方向の変化によって透過光に対する実効的な粒子径が変化するので、1種類の平均粒子径の高屈折率微粒子で波長400〜800nmの光をすべて効率よく散乱させることができる。
本発明の第1の色素増感光電変換装置において、前記高屈折率微粒子の前記屈折率が1.7以上であり、平均長径が0.3μm以上であるのがよい。
また、前記高屈折率微粒子の短径に対する長径の比が2以上であるのがよい。
また、前記異方性形状が、針状、棒状、紡錘状、惰円体状、又はカプセル形状であるのがよい。
また、短径に対する長径の比が2未満である球状又は粒状の微粒子が、前記電解質層にさらに含有されているのがよい。この際、前記球状又は粒状の微粒子が、屈折率が前記電解液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるのがよい。また、前記球状又は粒状の微粒子の平均粒子径が、前記高屈折率微粒子の短径以上であり、かつ長径以下であるのがよい。
本発明の第2の色素増感光電変換装置において、前記高屈折率微粒子の前記屈折率が1.7以上であるのがよい。
また、前記平均粒子径が最大で2倍異なる前記球形高屈折率微粒子を、少なくとも2種類添加するのがよい。
本発明の第1及び第2の色素増感光電変換装置において、前記高屈折率微粒子が酸化チタンTiO2微粒子であるのがよい。
また、前記電解質層における前記高屈折率微粒子の含有率が、1〜50質量%であるのがよい。
また、前記電解質層にゲル化剤が含有されているのがよい。ゲル化剤は、液体状の電解質をゲル状にする目的で用いられる。
以下、本発明の実施の形態に基づき、詳細を図面参照下に具体的に説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1では、請求項1〜7および11〜13に記載した色素増感光電変換装置の例として、色素増感型太陽電池として好適な例について説明する。
実施の形態1では、請求項1〜7および11〜13に記載した色素増感光電変換装置の例として、色素増感型太陽電池として好適な例について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に基づく色素増感光電変換装置10の断面構造を示す概略図である。色素増感光電変換装置10は、主として、光透過性基板1、光透過性導電層(負極集電体)2、光増感色素を保持する多孔質半導体層(負極)3、電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
多孔質半導体層(負極)3は、酸化チタンTiO2などの金属酸化物半導体微粒子からなる多孔質層であり、金属酸化物半導体微粒子11および12などの表面に光増感色素13が保持されている。多孔質半導体層(負極)3は、平均粒子径の小さい半導体微粒子11からなる透過層3aと、平均粒子径の小さい半導体微粒子11と平均粒子径の大きい半導体微粒子12とが含まれており、透過層3aで吸収されずに透過してきた透過光を散乱させ、透過層3aへ戻す働きを有する散乱層3bとからなるのがよい。これにより光の利用率を高めることができる。
さらに、本実施の形態の特徴として、異方的形状を有する高屈折率微粒子14が電解質層4に含まれている。高屈折率微粒子14は、電解質層4を構成している電解液よりも屈折率が0.3以上大きい高屈折率材料からなる。このため、多孔質半導体層3を一旦透過してしまった光を高屈折率微粒子14の表面で効率よく散乱させ、再度多孔質半導体層3内に戻すことができる。これにより光の利用率をさらに高めることができる。後述の実施例で示すように、高屈折率微粒子14の表面で透過光を効率よく散乱させるには、高屈折率微粒子14の屈折率が、周囲にある電解液の屈折率に比べ0.3以上大きいことが必要である。電解液の屈折率は1.45〜1.50程度であるので、高屈折率微粒子14の屈折率は1.75〜1.80程度であるのがよい。例えば、高屈折率微粒子14が酸化チタンTiO2微粒子であるのがよい。
高屈折率微粒子が球形である場合には、透過光を最も効果的に散乱させることのできる最適粒子径は波長によって変化するので、透過光を効率よく散乱させるには、高屈折率微粒子の粒子径を透過光の波長に合わせる必要がある。高屈折率微粒子が、異方性のない、均一な光学的性質をもつ、球形の微粒子である場合には、光散乱が最も大きくなる最適粒子径DoptはMieの散乱理論によって計算することができる。しかし、Mie理論の一般式は非常に複雑であるので、最適粒子径Doptについて経験式が複数提案されている(非特許文献1参照。)。これらの経験式では、最適粒子径は波長に比例する。
表1は、これらの経験式に基づいて計算した最適粒子径の値である。ここで球状粒子は酸化チタンであり、溶媒はアセトニトリルであるとした。
表1に示すように、波長400nmの光を最も効果的に散乱させる、高屈折率微粒子の最適粒子径(最小値)は0.15〜0.22μmである。また、波長800nmの光を最も効果的に散乱させる、高屈折率微粒子の最適粒子径は0.30〜0.45μm(最大値)である。従って、波長400〜800nmの透過光をすべて効率よく散乱させるには、理想的には、最小値から最大値まで種々の粒子径をもつ非常に多種類の球形微粒子を添加する必要がある。実際上これは不可能であるとしても、少なくとも、粒子径が最大で2倍異なる複数種の球形微粒子を添加する必要がある。
これに対し、本実施の形態では、高屈折率微粒子14は異方的形状を有するので、その配向方向によって、透過光に対する実効的な粒子径が連続的に変化する。従って、異方的形状を有する高屈折率微粒子14では、後述の実施例で示すように、平均長径が0.3μm以上であり、短径に対する長径の比が2以上である高屈折率微粒子を用いれば、1種類添加しておくだけで、波長400〜800nmの光をすべて効率よく散乱させることができる。なお、異方的形状は、とくに限定されることはなく、例えば、針状、棒状、紡錘状、惰円体状、又はカプセル形状などである。
図2は、本発明の実施の形態の変形例に基づく色素増感光電変換装置20の断面構造を示す概略図である。色素増感光電変換装置20では、電解質層4に、球状で、平均直径が高屈折率微粒子14の短径以上であり、かつ長径以下である微粒子15が、含まれている。微粒子15が多孔質半導体層3と対向電極5とのスペーサになるように電解質層4を薄く形成すると、高屈折率微粒子14は長径が電解質層4の厚さより大きいので、長径が対向電極5の面におおよそ平行になるように、すなわち透過光の進路におおよそ直交するように配向する。この結果、高屈折率微粒子14がランダムに配向している場合に比べて、透過光を効率よく散乱して、多孔質半導体層3内へ戻すことができ、これにより光の利用率を高めることができる。
この際、球状微粒子15が、屈折率が前記電解液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるのがよい。このようにすれば、球状微粒子15も、多孔質半導体層3を一旦透過してしまった透過光をその表面で効率よく散乱させ、再度多孔質半導体層3内に戻す高屈折率材料粒子として機能する。
電解質層4における高屈折率微粒子14の含有率が、1〜50質量%であるのがよい。
高屈折率微粒子14の含有率が1質量%より小さいと、高屈折率微粒子14の、有意な効果が得られない。高屈折率微粒子14の含有率が50質量%をこえると、取り扱いが難しくなる。
高屈折率微粒子14の含有率が1質量%より小さいと、高屈折率微粒子14の、有意な効果が得られない。高屈折率微粒子14の含有率が50質量%をこえると、取り扱いが難しくなる。
また、記電解質層4にゲル化剤が含有されているのがよい。色素増感型太陽電池20からの電解液の漏液や、電解液を構成する溶媒の揮発を減少させる目的で、電解質構成物にゲル化剤、ポリマー、架橋モノマーなどを溶解させるほか、無機セラミック粒子を分散させてゲル状電解質として用いることも可能である。ゲル化材料と電解質構成物の比率は、電解質構成物が多ければイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。逆に、電解質構成物が少なすぎると、機械的強度は大きいが、イオン導電率は低下する。
また、電解質が、ポリマーなどを用いてゲル化された電解質や、全固体型の電解質である場合、電解質と可塑剤とを含むポリマー溶液を、半導体電極層の上にキャスト法などによって塗布する。その後、可塑剤を揮発させ、完全に除去した後、上記と同様に封止材によって封止する。この封止は、真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質層の電解液が半導体電極層に十分に浸透するように、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
その他の色素増感光電変換装置10または20の部材は、従来の色素増感型太陽電池と同様である。すなわち、光透過性基板1は、ガラス板や、PENやPETなどのプラスチックフィルムなどからなる。光透過性導電層(負極集電体)2は、ITOやFTOなどからなり、光透過性基板1上に設けられている。電解質層4は多孔質半導体層3と対向電極5との間に配置され、I-/I3 -(三ヨウ化物イオンI3 -は、I2がヨウ化物イオンI-と結びついてイオンとして存在している化学種である。)などの酸化還元種(レドックス対)を含む電解液などで構成されている。電解液は、多孔質半導体層3に浸潤できるように配置されている。対向電極5は、下地層に積層された白金層や、カーボン層などからなり、対向基板6の上に設けられている。対向基板6はガラス板やプラスチックフィルムなどからなる。
色素増感光電変換装置10および20は、光が入射すると、対向電極5を正極、半導体電極層3を負極とする光電池として動作する。
すなわち、光透過性基板1および光透過性導電層2を透過してきた光子を光増感色素13が吸収すると、光増感色素13中の電子が基底状態から励起状態へ励起される。励起状態の電子は、光増感色素13と多孔質半導体層3との間の電気的結合を介して、多孔質半導体層3の伝導帯に取り出され、多孔質半導体層3を通って光透過性導電層2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素13は、電解質層4中の還元剤、例えばI-から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層4中に酸化剤、例えばI3 -を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層4中に酸化剤、例えばI3 -を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
光透過性導電層2から外部回路へ流れ出した電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極5に戻る。このようにして、光増感色素13にも電解質層4にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
色素増感光電変換装置10または20を作製するには、まず、光透過性基板1に設けられた光透過性導電層2上に、金属酸化物半導体微粒子からなる微粒子層を形成した後、焼成して金属酸化物半導体多孔質層(多孔質半導体層)3を形成する。次に、多孔質半導体層3に光増感色素を吸着させる。色素を吸着させる方法に特に制限はないが、例えば、色素分子を溶解させた溶液を調製し、多孔質半導体層3が形成された光透過性基板1を色素溶液に浸漬するか、または、多孔質半導体層3に色素溶液を塗布、噴霧、または滴下するかなどして、多孔質半導体層3に色素溶液をしみこませた後、溶媒を蒸発させる。次に、多孔質半導体層3と対向電極5とが対向するように光透過性基板1と対向基板6とを配置して、封止剤7を介して貼り合わせる。最後に、電解液を注入して電解質層4を形成する。
金属酸化物半導体多孔質層(多孔質半導体層)3は、多くの光増感色素を吸着することができるように、多孔質層内部の空孔に面する微粒子表面も含めた実表面積の大きいものが好ましく、多孔質半導体層3の実表面積は、多孔質半導体層3の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。
一般に、多孔質半導体層3の厚さが増し、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子11または12の数が増加するほど、実表面積が増加し、単位投影面積あたりに保持できる色素量が増加するので、入射光に対する光吸収率が高くなる。一方、多孔質半導体層3の厚さが増加すると、光増感色素13から多孔質半導体層3に移行した電子が光透過性導電層2に達するまでに拡散する距離が増加するため、多孔質半導体層3内での電荷再結合による電子のロスも大きくなる。従って、多孔質半導体層3には好ましい厚さが存在するが、一般的には0.1〜100μmであり、1〜30μmであるのがより好ましい。
色素増感光電変換装置10および20の他の部材について、従来の色素増感型太陽電池と同様であるが、以下、さらに詳述する。
多孔質半導体層は、典型的には光透過性導電性基板上に設けられる。この光透過性導電性基板は、導電性または非導電性の光透過性基板上に光透過性導電層を形成したものであっても、全体が導電性の光透過性基板であってもよい。この光透過性基板の材質は特に制限されず、光透過性であれば種々の基材を用いることができる。この光透過性基板は、色素増感光電変換装置外部から侵入する水分やガスの遮断性、耐溶剤性、耐候性などに優れているものが好ましく、具体的には、石英、サファイア、ガラスなどの光透過性無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、テトラアセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類などの光透過性プラスチック基板が挙げられ、これらの中でも特に可視光領域の透過率が高い基板を用いるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。この光透過性基板としては、加工性、軽量性などを考慮すると光透過性プラスチック基板を用いるのが好ましい。また、この光透過性基板の厚さは特に制限されず、光の透過率、色素増感光電変換装置の内部と外部との遮断性などによって自由に選択することができる。
光透過性導電性基板の表面抵抗(シート抵抗)は低いほど好ましい。具体的には、光透過性導電性基板の表面抵抗は500Ω/□以下が好ましく、100Ω/□がさらに好ましい。光透過性基板上に光透過性導電膜を形成する場合、この光透過性導電膜の材料としては公知のものを使用可能であり、具体的には、インジウム・スズ複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム・亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。また、光透過性導電性基板の表面抵抗を低減し、集電効率を向上させる目的で、光透過性導電性基板上に、導電性の高い金属などやカーボンなどの導電材料からなる配線を別途設けてもよい。この配線に用いる導電材料に特に制限はないが、耐食性、耐酸化性が高く、導電材料自体の漏れ電流が低いことが望ましい。ただし、耐食性が低い導電材料でも、金属酸化物などからなる保護層を別途設けることで使用可能となる。また、この配線を腐食などから保護する目的で、配線は光透過性導電性基板と保護層との間に設置することが好ましい。
半導体電極層の材料として、各種の金属酸化物半導体や、ペロブスカイト構造を有する化合物などを用いることができる。この際、金属酸化物半導体微粒子の材料が、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体材料であることが好ましい。このような半導体材料は、具体的に例示すると、TiO2、ZnO、WO3、Nb2O5、SrTiO3、およびSnO2などであり、これらの中でもアナターゼ型のTiO2がとくに好ましい。ただし、金属酸化物半導体微粒子2の材料はこれらに限定されるものではない。また、これらの材料を2種類以上混合して用いることもできる。さらに、半導体微粒子は粒子状、チューブ状、棒状など必要に応じて様々な形態を取ることが可能である。
金属酸化物半導体多孔質層1の厚さは1〜30μmであるのがよい。厚さが1μm未満である場合、十分な光電変換効率が得られない。厚さが厚いほど光電変換効率は向上するが、厚さが30μmをこえると、膜厚の増加による光電変換効率向上の効果が乏しくなる。従って、厚さは30μm以下が好ましい。金属酸化物半導体微粒子2の形状は、特に限定されるものではなく、一般的な形状であってよい。金属酸化物半導体微粒子2の粒子径は、可視光を透過させるために、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmであるのが好ましい。
半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、この平均粒径の半導体微粒子にこの平均粒径より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、平均粒径の大きい半導体微粒子により入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する半導体微粒子の平均粒径は20〜500nmであることが好ましい。
半導体微粒子からなる多孔質半導体層の作製方法に特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合には湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水や有機溶媒などの溶媒に均一分散したペーストを調製し、光透過性導電性基板上に塗液の層を被着させるのが好ましい。その方法に特に制限はなく、公知の方法、例えば、塗布法または印刷法などによって行うことができる。塗布方法としては、例えば、ディップ法、スプレーコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、およびスクリーン印刷法などにより行うことができる。半導体微粒子の材料として結晶酸化チタンを用いる場合、その結晶型はアナターゼ型が光触媒活性の点から好ましい。アナターゼ型酸化チタンは市販の粉末、ゾル、スラリーでもよいし、あるいは、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを作ってもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、塗布液調製時に乳鉢やボールミルや超音波分散装置などを使用して粒子の分散を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解かれた粒子が再度凝集するのを防ぐため、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などを添加することができる。また、増粘の目的でポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、セルロース系の増粘剤など、各種の増粘剤を添加することもできる。
半導体微粒子からなる多孔質半導体層、言い換えると半導体微粒子層は多くの光増感色素を吸着することができるように、表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体微粒子層を基板上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限に特に制限はないが、通常1000倍程度である。半導体微粒子層は一般に、その厚さが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。従って、半導体微粒子層には好ましい厚さが存在するが、その厚さは一般的には0.1〜100μmであり、1〜50μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。半導体微粒子層は基板に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために、焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなってしまい、溶融することもあるため、通常は40〜700℃であり、より好ましくは40〜650℃である。また、焼成時間も特に制限はないが、通常は10分〜10時間程度である。焼成後、半導体微粒子層の表面積を増大させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学めっきや三塩化チタン水溶液を用いたネッキング処理や直径10nm以下の半導体超微粒子ゾルのディップ処理などを行ってもよい。光透過性導電性基板にプラスチック基板を用いる場合は、結着剤を含むペーストを基板上に塗布し、加熱プレスによる基板への圧着を行うことも可能である。
多孔質半導体層に保持させる光増感色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、例えば、ローダミンBやローズベンガルやエオシンやエリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニンやキノシアニンやクリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニンやカブリブルーやチオシンやメチレンブルーなどの塩基性染料、その他のアゾ色素、クロロフィルや亜鉛ポルフィリンやマグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、クマリン系化合物、ルテニウムRuのビピリジン錯体やテルピリジン錯体、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、スクアリリウム系色素などが挙げられる。中でも、配位子がピリジン環を有するルテニウムRuのビピリジン錯体は、量子収率が高く、光増感色素として好ましい。ただし、光増感色素はこれに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
光増感色素の多孔質半導体層への吸着方法に特に制限はないが、上記の光増感色素を例えばアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、これに多孔質半導体層を浸漬させたり、色素溶液を多孔質半導体層上に塗布したりすることができる。また、酸性度の高い色素を用いる場合には、色素分子同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などを添加してもよい。
光増感色素を吸着させた後に、過剰に吸着した色素の除去を促進する目的で、アミン類を用いて多孔質半導体層の表面を処理してもよい。アミン類の例としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
電解質層4としては、電解液、またはゲル状あるいは固体状の電解質が使用可能である。電解質としては、酸化還元系(レドックス対)を含む溶液が挙げられ、具体的には、ヨウ素I2と金属ヨウ化物塩または有機ヨウ化物塩との組み合わせや、臭素Br2と金属臭化物塩または有機臭化物塩との組み合わせを用いる。そのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。上記金属化合物を構成するカチオンは、リチウムLi+、ナトリウムNa+、カリウムK+、セシウムCs+、マグネシウムMg2+、およびカルシウムCa2+などであり、上記有機化合物を構成するカチオンは、テトラアルキルアンモニウムイオン類、ピリジニウムイオン類、イミダゾリウムイオン類などの第4級アンモニウムイオンが好適であるが、これらに限定されるものではなく、単独もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
上記の中でも特に、ヨウ素I2と、ヨウ化リチウムLiI、ヨウ化ナトリウムNaI、またはイミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好適である。電解液における電解質塩の濃度は0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜3Mである。ヨウ素I2または臭素Br2の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.3Mである。
電解液を構成する溶媒として、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、および炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。また、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系第4級アンモニウム塩の室温イオン性液体を用いることも可能である。
対向電極は導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性の物質でも多孔質半導体層に面している側に導電性の触媒層が設置されていれば、これも使用可能である。ただし、対向電極の材料としては電気化学的に安定である材料を用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、導電性ポリマーなどを用いることが望ましい。また、酸化還元の触媒効果を向上させる目的で、多孔質半導体層に面している側は微細構造で表面積が増大していることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒状態に、カーボンであれば多孔質状態になっていることが望まれる。白金黒状態は白金の陽極酸化法、白金化合物の還元処理などによって、また多孔質状態のカーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法により形成することができる。また、光透過性導電性基板上に白金など酸化還元触媒効果の高い金属を配線するか、表面に白金化合物を還元処理することにより、光透過性な対向電極として使用することもできる。
色素増感光電変換装置が1枚の光透過性基板上に積層されたいわゆるモノリシック構造であって多孔質絶縁層を設ける場合、その材料は導電性を持たない材料であれば特に制限はないが、特にジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカが好適である。多孔質絶縁層はこれら酸化物の粒子から構成され、空孔率は10%以上であることが好ましい。空孔率の上限に制限はないが、絶縁層の物理的強度の観点から通常は10〜80%程度が好ましい。空孔率が10%以下であると、電解質の拡散に影響を及ぼし、セル特性を著しく低下させてしまう。また、細孔径は1〜1000nmが好ましい。1nm以下であると、電解質の拡散や色素の含浸に影響を及ぼし、セル特性を低下させてしまう。さらに、1000nm以上であると絶縁層中に触媒電極層の触媒粒子が侵入するためショートする恐れが生じる。この多孔質絶縁層の製造方法に制限はないが、上記酸化物粒子の焼結体であることが好ましい。
色素増感光電変換装置の製造方法は特に限定されないが、例えば電解質組成物が液状、もしくは光電変換装置内部でゲル化させることが可能であり、導入前は液状の電解質組成物の場合、多孔質半導体層と対向電極とを向かい合わせ、これらの電極が接しないように多孔質半導体層が形成されていない基板部分を封止する。このとき、多孔質半導体層と対向電極との隙間の大きさに特に制限はないが、通常1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmである。この電極間の距離が長すぎると、導電率の低下から光電流が減少してしまう。封止方法は特に制限されないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料を用いることが好ましく、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、EVA(エチレンビニルアセテート)、アイオノマー樹脂、セラミック、各種熱融着フィルムなどを用いることができ、また、種々の溶接法を用いることができる。また、電解質組成物の溶液の注液方法に特に制限はないが、外周が予め封止され、溶液の注入口を開けられた上記セルの内部に減圧下で注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧もしくは加熱下で注液の操作を行うこともできる。完全に溶液が注入された後、注入口に残った溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はないが、必要であればガラス板やプラスチック基板を封止剤で貼り付けて封止することもできる。また、この方法以外にも、液晶パネルの液晶滴下注入(ODF;One Drop Filling)工程のように、電解液を基板上に滴下して減圧下で貼り合わせて封止することもできる。また、ポリマーなどを用いたゲル状電解質や全固体型の電解質の場合、多孔質半導体層上で電解質組成物と可塑剤とを含むポリマー溶液をキャスト法により揮発除去させる。可塑剤を完全に除去した後、上記方法と同様に封止を行う。この封止は真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質を多孔質半導体層へ十分に含漬させるため、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
色素増感光電変換装置はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。色素増感光電変換装置は、最も典型的には、色素増感太陽電池として構成される。ただし、色素増感光電変換装置は、色素増感太陽電池以外のもの、例えば色素増感光センサーなどであってもよい。電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。この場合、色素増感光電変換装置は、例えばこれらの電子機器の電源として用いられる色素増感太陽電池である。
[実施の形態2]
実施の形態2では、請求項8〜10に記載した色素増感光電変換装置の例として、色素増感型太陽電池として好適な例について説明する。
実施の形態2では、請求項8〜10に記載した色素増感光電変換装置の例として、色素増感型太陽電池として好適な例について説明する。
図3は、本発明の実施の形態2に基づく色素増感光電変換装置30の断面構造を示す概略図である。色素増感光電変換装置30は、主として、光透過性基板1、光透過性導電層(負極集電体)2、光増感色素を保持する多孔質半導体層(負極)3、電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
色素増感光電変換装置30が色素増感光電変換装置10と異なるのは、異方的形状をもつ高屈折率微粒子14の代わりに、平均粒子径が小さい球形高屈折率微粒子21と、平均粒子径が大きい球形高屈折率微粒子22とを用いて、透過光を効率よく散乱させるようにした点である。これ以外は実施の形態1と同じであるので、重複を避け、説明を省略する。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。本実施例では、実施の形態で説明した色素増感光電変換装置10(図1参照。)を作製し、その性能を評価した。
<色素増感光電変換装置の作製>
(1)光透過性基板1および光透過性導電層2として、アモルファス太陽電池用のFTO層付き導電性ガラス基板(日本板硝子(株)製、シート抵抗10Ω/□、厚さ1.1mm)を用い、縦15mm×横25mmの長方形に加工した。この導電性ガラス基板を、洗浄用溶媒としてアセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、および超純水を順に用いて超音波洗浄した後、十分に乾燥させた。この導電性ガラス基板のうち、横方向の一方の端部から10mmまでの領域を電極引き出し部として用い、残りの縦15mm×横15mmの正方形の領域に多孔質半導体層3を形成する。
(1)光透過性基板1および光透過性導電層2として、アモルファス太陽電池用のFTO層付き導電性ガラス基板(日本板硝子(株)製、シート抵抗10Ω/□、厚さ1.1mm)を用い、縦15mm×横25mmの長方形に加工した。この導電性ガラス基板を、洗浄用溶媒としてアセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、および超純水を順に用いて超音波洗浄した後、十分に乾燥させた。この導電性ガラス基板のうち、横方向の一方の端部から10mmまでの領域を電極引き出し部として用い、残りの縦15mm×横15mmの正方形の領域に多孔質半導体層3を形成する。
(2)次に、導電性ガラス基板1、2の上記正方形の領域のFTO層上に、直径5mm、厚さ20μmの酸化チタン微粒子ペースト層を形成した。この際、スクリーン印刷機と円形スクリーンマスクを用い、まずFTO層上に透明なTi-Nanoxide TSPペースト(商品名;Solaronix社製)層を7μmの厚さで形成し、次に散乱粒子を含むTi-Nanoxide DSPペースト(商品名;Solaronix社製)層を13μmの厚さで積層し、合計20μmの厚さの酸化チタン微粒子ペースト層を形成した。
(3)次に、電気炉を用いて、500℃の下で30分間酸化チタンペースト層を焼成し、酸化チタン多孔質層を作製した。放冷後、酸化チタン多孔質層を0.1mol/Lの四塩化チタンTiCl4水溶液中に浸漬し、70℃の下で30分間保持した。次に、純水およびエタノールを用いて酸化チタン多孔質層を十分に洗浄し、乾燥させた。この後、電気炉を用いて500℃の下で30分間酸化チタン多孔質層を再び焼成した。これらの工程で、次式
TiCl4 + 2H2O → TiO2 + 4HCl
で表される化学反応が起こり、生成した酸化チタンによって、酸化チタン多孔質層における酸化チタン微粒子間のネッキングが強化される。次に、エキシマーランプを用いて酸化チタン多孔質層に紫外光を3分間照射し、酸化チタン多孔質層の活性を高める処理を行った。このとき、酸化チタン多孔質層に含まれる有機物などの不純物が、酸化チタンの触媒作用によって酸化分解され、除去される。
TiCl4 + 2H2O → TiO2 + 4HCl
で表される化学反応が起こり、生成した酸化チタンによって、酸化チタン多孔質層における酸化チタン微粒子間のネッキングが強化される。次に、エキシマーランプを用いて酸化チタン多孔質層に紫外光を3分間照射し、酸化チタン多孔質層の活性を高める処理を行った。このとき、酸化チタン多孔質層に含まれる有機物などの不純物が、酸化チタンの触媒作用によって酸化分解され、除去される。
(4)次に、室温にて24時間酸化チタン多孔質層をZ907色素溶液に浸漬し、酸化チタン多孔質層に光増感色素Z907を吸着させた。Z907は、シス−ビス(イソチオシアナト)(H2dcbpy)(dnbpy)ルテニウム錯体(ここで、H2dcbpyは4,4'-ジカルボキシ-2,2'-ビピリジンであり、dnbpyは4,4'-ジノニル-2,2'-ビピリジンである。)である。色素溶液は、tert−ブチルアルコールとアセトニトリルとを1:1の体積比で混合した混合溶媒に、Z907を0.5mMの濃度で溶解させた溶液を用いた。次に、アセトニトリルを用いて酸化チタン多孔質層を洗浄した後、暗所でアセトニトリルを蒸発させ、酸化チタン多孔質層を乾燥させた。この結果、光増感色素が吸着された多孔質半導体層3を得た。
(5)次に、1,3−ジメチル−3−イミダゾリウムヨーダイド1.65g(1mol/L)、ヨウ素I20.28g(0.15mol/L)、N−ブチル−ベンズイミダゾール0.64g(0.5mol/L)、およびグアニジンチオシアネート0.09g(0.1mol/L)を3−メトキシプロピオニトリル7.35gに溶解させ、液体状の電解質組成物を調製した(上記()内の濃度は、電解質組成物における各成分のモル濃度である。)。得られた電解質組成物1.84gに対し、ゲル化剤として、表面が疎水性化されたシリカ微粒子R805(商品名;日本アエロジル(株)製)0.16gを添加した後、ミキサー(THINKY社製)を用いてよく攪拌し、ゲル電解液を調製した。ゲル電解液における質量比は、
液体状電解質組成物:シリカ微粒子R805 = 92:8
である。
液体状電解質組成物:シリカ微粒子R805 = 92:8
である。
(6)次に、上記ゲル電解液に高屈折微粒子として針状酸化チタン微粒子FTL100(商品名;石原産業(株)製)を加え、光散乱性ゲル電解液を調製した。光散乱性ゲル電解液における質量比は
ゲル電解液:酸化チタン微粒子FTL100 = 95:5
である。この光散乱性ゲル電解液を、導電性ガラス基板1および2上の多孔質半導体層3に被着させた。
ゲル電解液:酸化チタン微粒子FTL100 = 95:5
である。この光散乱性ゲル電解液を、導電性ガラス基板1および2上の多孔質半導体層3に被着させた。
(7)一方、対向基板6として、前述した光透過性基板1および光透過性導電層2と同様、アモルファス太陽電池用のFTO層付き導電性ガラス基板(日本板硝子(株)製、シート抵抗10Ω/□、厚さ1.1mm)を、縦15mm×横25mmの長方形に加工したものを用意した。この導電性ガラス基板のうち、横方向の一方の端部から10mmまでの領域を電極引き出し部として用いた。残る縦15mm×横15mmの正方形の領域のFTO層上に、スパッタリング法によって、厚さ50nmのクロムCr層と厚さ100nmの白金Pt層とを順次積層して形成し、対向電極5を作製した。
(8)次に、ディスペンサーを用いて、正方形の領域の外周から内側の領域に2mmの幅で硬化するよう、導電性ガラス基板1、2上に紫外線(UV)硬化型接着剤を被着させた。この後、多孔質半導体層3と対向電極5とが向かい合うように、導電性ガラス基板1、2および対向基板6のそれぞれの正方形の領域を対向させ、貼り合せた。対向基板6には直径0.5mmの孔が設けられており、この孔は接着する際の空気の逃げ道として機能する。
(9)次に、対向基板6に設けられた孔を紫外線(UV)硬化型接着剤で埋めて封止した後、紫外線(UV)を照射して紫外線(UV)硬化型接着剤を硬化させ、色素増感光電変換装置を作製した。
光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:FTL100 = 90:10
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
ゲル電解液:FTL100 = 90:10
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:FTL100 = 80:20
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
ゲル電解液:FTL100 = 80:20
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:FTL100 = 70:30
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
ゲル電解液:FTL100 = 70:30
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として針状酸化チタン微粒子FTL200(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子FTL200 = 80:20
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
ゲル電解液:酸化チタン微粒子FTL200 = 80:20
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
実施例3と同様、高屈折微粒子として針状酸化チタン微粒子FTL100を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子FTL100 = 80:20
として、色素増感光電変換装置を作製した。ただし、光増感色素としてZ907と少し構造の異なる光増感色素を用いた。
ゲル電解液:酸化チタン微粒子FTL100 = 80:20
として、色素増感光電変換装置を作製した。ただし、光増感色素としてZ907と少し構造の異なる光増感色素を用いた。
[比較例1]
高屈折微粒子を加えず、ゲル電解液をそのまま電解質として用いた。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子を加えず、ゲル電解液をそのまま電解質として用いた。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例2]
高屈折微粒子として針状炭酸カルシウム微粒子Whiscal(商品名;丸尾カルシウム(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:炭酸カルシウム微粒子Whiscal = 80:20
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として針状炭酸カルシウム微粒子Whiscal(商品名;丸尾カルシウム(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:炭酸カルシウム微粒子Whiscal = 80:20
とした。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例3]
実施例6と同様、光増感色素としてZ907と少し構造の異なる光増感色素を用いた。これ以外は比較例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
実施例6と同様、光増感色素としてZ907と少し構造の異なる光増感色素を用いた。これ以外は比較例1と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例4]
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子ST01(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子ST01 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子ST01(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子ST01 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例5]
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子P25(商品名;日本アエロジル(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子P25 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子P25(商品名;日本アエロジル(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子P25 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例6]
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子PT501A(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子PT501A = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子PT501A(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子PT501A = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例7]
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子ST41(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子ST41 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子ST41(商品名;石原産業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子ST41 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例8]
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子TA300(商品名;富士チタン工業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子TA300 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子TA300(商品名;富士チタン工業(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子TA300 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
[比較例9]
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子G2(商品名;昭和タイタニウム(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子G2 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
高屈折微粒子として球状酸化チタン微粒子G2(商品名;昭和タイタニウム(株)製)を用い、光散乱性ゲル電解液における質量比を
ゲル電解液:酸化チタン微粒子G2 = 80:20
とした。これ以外は実施例6と同様にして、色素増感光電変換装置を作製した。
表2は、実施例1〜6および比較例2、4〜9で用いた高屈折微粒子などの特徴を示す表である。
<色素増感光電変換装置の評価>
0.188cm2の円形マスクを用いて擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)を照射しながら、作製した色素増感光電変換装置の短絡電流、開放電圧、フィルファクタ、および光電変換効率を24℃にて評価した。
0.188cm2の円形マスクを用いて擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)を照射しながら、作製した色素増感光電変換装置の短絡電流、開放電圧、フィルファクタ、および光電変換効率を24℃にて評価した。
表3は、実施例1〜5および比較例1、2で作製した色素増感光電変換装置の特性を示す表である。
表4は、実施例6およびこれと対比される比較例3〜9で作製した色素増感光電変換装置の特性を示す表である。表中、記載が2行になっている例は、2回の実験結果を示している。
比較例1と実施例1〜5との光電変換効率の比較、および比較例3と比較例4〜9との変換効率の比較から、電解質層に添加する微粒子として、酸化チタン微粒子のような高屈折率微粒子であれば、光電変換効率を向上させる効果があることがわかる。
一方、比較例1と比較例2との比較から、炭酸カルシウム微粒子を添加した場合には、わずかではあるが変換効率は低下することがわかる。これは、炭酸カルシウム程度の屈折率であれば、透過光を散乱させる効果よりも、炭酸カルシウム微粒子の添加によって電解質層の内部抵抗が増加することによる損失の方が大きいからであると考えられる。ただし、変換効率の低下はわずかであるので、炭酸カルシウムの屈折率よりも少し大きい屈折率を有する微粒子であれば、微粒子の添加によって透過光を散乱させる効果の方が、電解質層の内部抵抗が増加することによる損失を上回ると期待される。炭酸カルシウムの短径方向の屈折率は約1.68であるので、高屈折率微粒子に求められる屈折率は、それより少し大きい1.75〜1.8程度と予想される。電解質液の屈折率は1.45〜1.5程度であるので、高屈折率微粒子は電解質液の屈折率より0.3程度大きい屈折率を有していればよいことがわかる。
実施例1〜4間の比較から、高屈折率微粒子の添加率が20質量%までは、添加率が大きいほど光電変換効率が向上するが、添加率が30質量%に達すると、添加率が20質量%である場合に比べて変換効率がやや低下することがわかる。これは、添加率が20質量%をこえるあたりから、微粒子の添加によって透過光を散乱させる効果が頭打ちになり、微粒子の添加によって電解質層の内部抵抗が増加することによる損失が上回るためであると考えられる。
図4および図5は、それぞれ、本発明の実施例6および比較例3〜9による色素増感光電変換装置の電流−電圧特性を示すグラフおよび光電変換効率を示すグラフである。これらの例では、同じ光増感色素を用いており、高屈折率微粒子の添加率も20質量%と同じであるので、光電変換効率を直接比較して高屈折率微粒子の効果を検討することができる。図5から、高屈折率微粒子が1種類の平均粒子径をもつ球状微粒子である比較例4〜9においては、平均粒子径が0.2μmより大きく、0.39μm近傍である場合に、光電変換効率が最良になることがわかる。また、図5に示されているように、高屈折率微粒子として長径1.68μm、短径0.13μmの針状微粒子FTL100(商品名;石原産業(株)製)を用いた実施例6では、比較例4〜9のどの場合よりも高い光電変換効率が得られた。これは、既述したように、異方的形状を有する高屈折率微粒子は、その配向方向の変化によって透過光に対する実効的な粒子径が変化するので、1種類の粒子径の高屈折率微粒子で効率よく透過光を散乱させることができるためであると考えられる。
実施の形態1で述べた最適粒子径Doptについて経験式、および比較例3〜9の結果を参考にすると、波長400〜800nmの透過光をすべて効率よく散乱させるには、異方的形状を有する高屈折率微粒子の平均長径が0.3μm以上であり、短径に対する長径の比が2以上であるのが好ましい、と結論することができる。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、光利用効率のよい色素増感型太陽電池などの色素増感光電変換装置を提供し、その普及に寄与する。
1…光透過性基板、2…光透過性導電層(負極集電体)、
3…光増感色素を保持する半導体電極層(負極)、3a…透過層、3b…散乱層、
4…電解質層、5…対向電極(正極)、6…対向基板、10…光増感型太陽電池、
11…平均粒子径の小さい半導体微粒子、12…平均粒子径の大きい半導体微粒子、
13…光増感色素、14…異方的形状を有する高屈折率微粒子、15…球状微粒子、
100…光増感型太陽電池、101…透明基板、102…透明導電層(負極集電体)、
103…光増感色素を保持した半導体電極層(負極)、104…電解質層、
105…対向電極(正極)、106…対向基板、200…光増感型太陽電池、
201…ガラス基板、203…半導体電極層(負極)、204…電解液部、
205…対向電極(正極)、206…電極(負極集電体)
3…光増感色素を保持する半導体電極層(負極)、3a…透過層、3b…散乱層、
4…電解質層、5…対向電極(正極)、6…対向基板、10…光増感型太陽電池、
11…平均粒子径の小さい半導体微粒子、12…平均粒子径の大きい半導体微粒子、
13…光増感色素、14…異方的形状を有する高屈折率微粒子、15…球状微粒子、
100…光増感型太陽電池、101…透明基板、102…透明導電層(負極集電体)、
103…光増感色素を保持した半導体電極層(負極)、104…電解質層、
105…対向電極(正極)、106…対向基板、200…光増感型太陽電池、
201…ガラス基板、203…半導体電極層(負極)、204…電解液部、
205…対向電極(正極)、206…電極(負極集電体)
住友大阪セメント株式会社、テクニカルレポート2005年度、色素増感太陽電池用酸化チタン、p.36-40
Claims (13)
- 光入射側から順に、少なくとも、
光透過性基体と、
前記光透過性支持体の、前記光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層 と、
光増感色素を保持する多孔質半導体層と、
電解液が前記多孔質半導体層に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が前記電解 液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、異方的形状を有する高屈折 率微粒子を含有する電解質層と、
対向電極と
が配置されている、色素増感光電変換装置。 - 前記高屈折率微粒子の前記屈折率が1.7以上であり、平均長径が0.3μm以上である、請求項1に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記高屈折率微粒子の短径に対する長径の比が2以上である、請求項1に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記異方性形状が、針状、棒状、紡錘状、惰円体状、又はカプセル形状である、請求項1に記載した色素増感光電変換装置。
- 短径に対する長径の比が2未満である球状又は粒状の微粒子が、前記電解質層にさらに含有されている、請求項1に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記球状又は粒状の微粒子が、屈折率が前記電解液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなる、請求項5に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記球状又は粒状の微粒子の平均粒子径が、前記高屈折率微粒子の短径以上であり、かつ長径以下である、請求項5に記載した色素増感光電変換装置。
- 光入射側から順に、少なくとも、
光透過性基体と、
前記光透過性支持体の、前記光入射側とは反対側の表面に設けられた光透過性導電層 と、
光増感色素を保持する多孔質半導体層と、
電解液が前記多孔質半導体層に浸潤するように配置され、加えて、屈折率が前記電解 液よりも0.3以上大きい高屈折率材料からなるとともに、平均粒子径が異なる2種類以上の球形高屈折率微粒子を含有する電解質層と、
対向電極と
が配置されている、色素増感光電変換装置。 - 前記高屈折率微粒子の前記屈折率が1.7以上である、請求項8に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記平均粒子径が最大で2倍異なる前記球形高屈折率微粒子を、少なくとも2種類添加する、請求項8に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記高屈折率微粒子が酸化チタンTiO2微粒子である、請求項1又は8に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記電解質層における前記高屈折率微粒子の含有率が、1〜50質量%である、請求項請求項1又は8に記載した色素増感光電変換装置。
- 前記電解質層がゲル化剤を含有している、請求項1又は8に記載した色素増感光電変換装置。
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-
2010
- 2010-09-17 JP JP2010208825A patent/JP2012064485A/ja active Pending
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| US8802976B2 (en) | 2011-02-09 | 2014-08-12 | Fujikura Ltd. | Dye-sensitized solar cell |
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