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JP2012051750A - 誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品 Download PDF

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JP2012051750A
JP2012051750A JP2010194769A JP2010194769A JP2012051750A JP 2012051750 A JP2012051750 A JP 2012051750A JP 2010194769 A JP2010194769 A JP 2010194769A JP 2010194769 A JP2010194769 A JP 2010194769A JP 2012051750 A JP2012051750 A JP 2012051750A
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Toshio Sakurai
俊雄 櫻井
Tomohiro Arashi
友宏 嵐
Hisashi Kosara
恒 小更
Takahiro Nakano
貴弘 中野
Tomoko Nakamura
知子 中村
Taiji Miyauchi
泰治 宮内
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Abstract

【課題】組成変動を生じることなく、安定して優れた誘電特性を有することができる誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品を提供する。
【解決手段】本発明に係る誘電体磁器組成物の製造方法は、主成分原料と副成分原料とを水で混合して原料混合粉末を得る原料混合粉末の作製工程と、前記原料混合粉末を酸素雰囲気下において熱処理する熱処理工程と、熱処理後、原料混合粉末にLi2Oを含むガラスを添加し、有機溶剤を用いて粉砕するガラス成分添加・粉砕工程とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、誘電体磁器組成物を同時低温焼成して形成される誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品に関する。
チップフィルターやコンデンサなどの積層セラミックの電子部品を製造する場合、誘電体磁器組成物と電極や配線等の導体(以下、「導体材」という。)とを同時焼成する必要がある。マイクロ波など高周波数の領域で使用される積層セラミックの電子部品などは導体損失も製品特性に大きく寄与するため、低抵抗な金属を導体材として用いることが望ましい。
誘電体磁器組成物の製造に用いられる誘電体材料としては、例えば、フォルステライト(Mg2SiO4)を主成分として含む誘電体磁器組成物(以下、「フォルステライト系組成物」という。)がある。フォルステライト系組成物の焼結温度は約1000℃以下であり、従来の誘電体磁器組成物の焼結温度より低いため、PdやPtなどの従来から用いられてきた導体材に代えて金属Ag又はAg系合金(以下、Ag系金属という)を導体材として用いることができる。Ag系金属は、PdやPtなどの従来から用いられてきた導体材に比べて融点が低く、低抵抗であり、且つ安価である。フォルステライト系組成物は、Ag系金属の融点(例えば900℃)以下の温度(低温)で同時焼成することが可能であることから、フォルステライト系組成物はAg系金属などの導体材と同時焼成が可能な低温焼成材料(LTCC)として用いられ、LCフィルターやコンデンサなどを形成する誘電体材料に適している。
マイクロ波用セラミックス材料は、一般に、高周波特性の所望値を担う役割の主成分原料(母材)を配合した後、1100℃から1400℃程度の温度で熱処理(仮焼き)し、粉砕後、焼成を低温化させるために副成分原料(焼結助剤)を添加して混合した後、再び熱処理(仮焼き)を行い、微粉砕して誘電体磁器組成物を得る。
低温焼成を行うために、副成分原料として低融点酸化物(例えば、Li2O、B23、MoO3、Bi23など)やガラス類(SiO2-B23−アルカリ金属酸化物−アルカリ土類酸化物、硼珪酸亜鉛ガラスなど)を使用する(例えば、特許文献1、2参照)。特に、Li2Oを含む物質(例えば、酸化物としてのLi2O、またはLi2Oを含むガラスなど)は低軟化点のため、低温焼成には有効な副成分原料として用いられる。
特開平10−242604号公報 特開2008−37739号公報
しかしながら、Li2Oを含む物質の添加時期によっては、以下の問題が発生する。
即ち、主成分原料と副成分原料とを混合する段階では、製造コストを低減する観点から、有機溶剤よりも水を使用することが一般的であるが、Li2Oを含む物質は水に溶解し易いため、主成分原料と副成分原料とを混合する段階でLi2Oを含む物質を添加すると、スラリー中にLi2Oを含む物質が溶解するため、得られる誘電体磁器組成物の組成が変動する虞がある、という問題があった。
また、Li2Oを含む物質をシート成形のための塗料化する時に添加する場合、誘電体磁器組成物中におけるLi成分の分散性が低下し、得られる誘電体磁器組成物の特性が低下する、という問題があった。
このように、Li2Oは低温焼成の副成分原料として有効に用いられるが、Li2Oを含む物質を添加する時期によっては、得られる誘電体磁器組成物の組成変動を引き起こしたり、組成物中におけるLiの分散性が低下して得られる誘電体磁器組成物の特性の低下を招き、誘電特性に優れた誘電体磁器組成物を得ることができない場合があった。
そのため、より安定して優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物を得るためにも得られる誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、安定して優れた誘電特性を有することができる誘電体磁器組成物の製造方法が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、組成変動を生じることなく、安定して優れた誘電特性を有することができる誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明者らは誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品について鋭意研究をした。その結果、誘電体磁器組成物を作製する際、Li2Oを含むガラスの添加時期を最適化することにより、得られる誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、特性の低下を招かず、安定して高い特性が得られ、優れた誘電特性を有することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
本発明に係る誘電体磁器組成物の製造方法は、主成分原料と副成分原料とを水で混合して原料混合粉末を得る原料混合粉末の作製工程と、前記原料混合粉末を酸素雰囲気下において熱処理する熱処理工程と、熱処理後、原料混合粉末にLi2Oを含むガラスを添加し、有機溶剤を用いて粉砕するガラス成分添加・粉砕工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、Li2Oを含む物質の添加時期を最適化することで、得られる誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、特性の低下を招かず、安定して高い特性が得られ、優れた誘電特性を有することができる。
尚、誘電体磁器組成物とは、誘電体磁器の原料組成物であり、誘電体磁器とは、誘電体磁器組成物を焼結させることによって得られる焼結体である。また、焼結とは、誘電体磁器組成物を加熱することで、誘電体磁器組成物が焼結体(誘電体磁器)となり、緻密な物体になる現象である。一般に、加熱前の誘電体磁器組成物に比べて、焼結体(誘電体磁器)の密度、機械的強度等は大きくなる。また、焼結温度とは、誘電体磁器組成物が焼結する際の誘電体磁器組成物の温度である。また、焼成とは、焼結を目的とした加熱処理を意味し、焼成温度とは、加熱処理の際に誘電体磁器組成物が曝される雰囲気の温度である。
本発明の好ましい態様として、前記主成分として、少なくともMg2SiO4を含むことが好ましい。Mg2SiO4は、フォルステライト系組成物として、低温(Ag系金属の融点以下の温度)で同時焼成することが可能であるため、フォルステライト系組成物はAg系金属などの導体材と同時に焼成可能なLTCCとして用いられ、積層型セラミック電子部品などを形成する誘電体材料として好適に用いることができる。
本発明の好ましい態様として、前記副成分として、前記Li2Oを含むガラスを少なくとも1つ含むことが好ましい。ガラス成分がLi2Oを含むことで、更に未反応な副成分原料(焼結助剤)とMg2SiO4との反応を促進し、誘電体磁器組成物の焼成後、誘電体磁器中に未反応で残る副成分原料を更に低減すると共に、副成分原料を完全に反応させることができるので、誘電体磁器の焼結性は更に安定して確保できる。このため、得られる焼結体(誘電体磁器)のQ値は更に上昇させることができ、誘電損失を更に小さくすることができる。
本発明の好ましい態様として、前記副成分として、少なくとも亜鉛酸化物を含むことが好ましい。亜鉛酸化物(特に、ZnO)は、誘電体磁器組成物をAg系金属と同時焼成する際に、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で焼成するのに寄与するため、亜鉛酸化物を含めることで、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で誘電体磁器組成物をAg系金属と安定して同時焼成させることができる。
本発明に係る積層型セラミック電子部品は、上記何れか一つの誘電体磁器組成物の製造方法を用いて得られる誘電体磁器組成物を含む誘電体層を含む。誘電体層には、本発明に係る誘電体磁器組成物が含まれているため、誘電体層に含まれる成分の組成変動を生じることなく、安定して高い誘電特性が得られ、優れた誘電特性を有することができるので、例えば、高周波帯域での使用に適した特性が得られ、信頼性の高い積層型セラミック電子部品を提供することができる。
本発明によれば、組成変動を生じることなく、安定して優れた誘電特性を有することができる。
図1は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を誘電体層として適用したLCフィルターの一実施形態を模式的に示す概念断面図である。 図2は、本実施形態に係る積層型セラミック電子部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明を好適に実施するための形態(以下、実施形態という。)につき、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
<積層型セラミック電子部品>
本実施形態に係る誘電体磁器組成物を含む誘電体層を適用した積層型セラミック電子部品の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、積層型セラミック電子部品としてLCフィルターを用いた場合について説明する。図1は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を誘電体層として適用したLCフィルターの一実施形態を模式的に示す概念断面図である。図1に示すように、LCフィルター10は、複数の誘電体層11と、コイル部12と、キャパシタパターン部13−1〜13−3と、ビア(ビア導体)14とを含む。誘電体層11は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を用いて形成される。コイル部12およびキャパシタパターン部13−1から13−3はAg導体で形成されている。ビア部14は、コイル部12とキャパシタパターン部13−1とを導通させるAg導体が充填されたビアホール部分であり、LC共振回路が形成されている。キャパシタパターン部13−1はビア部14によってコイル部12と接続されている。LCフィルター10はキャパシタパターン部13−1〜13−3を設け、LCフィルター10のコンデンサ部は3層構造としているが、LCフィルター10は3層構造に限定されず、任意の多層構造とすることができる。
[誘電体層]
誘電体層11は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を含んで形成される誘電体層である。本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、主成分と、副成分とを含む。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、後述するように、主成分原料と副成分原料とを水で混合して原料混合粉末を得る原料混合粉末の作製工程と、前記原料混合粉末を酸素雰囲気下において熱処理する熱処理工程と、熱処理後、原料混合粉末にLi2Oを含むガラスを添加し、有機溶剤を用いて粉砕するガラス成分添加・粉砕工程と、を含む製造方法により得られる。
なお、本実施形態において、誘電体磁器組成物とは、誘電体磁器の原料組成物であり、誘電体磁器とは、誘電体磁器組成物を焼結させることによって得られる焼結体である。また、焼結とは、誘電体磁器組成物を加熱することで、誘電体磁器組成物が焼結体(誘電体磁器)となり、緻密な物体になる現象である。一般に、加熱前の誘電体磁器組成物に比べて、焼結体(誘電体磁器)の密度、機械的強度等は大きくなる。また、焼結温度とは、誘電体磁器組成物が焼結する際の誘電体磁器組成物の温度である。また、焼成とは、焼結を目的とした加熱処理を意味し、焼成温度とは、加熱処理の際に誘電体磁器組成物が曝される雰囲気の温度である。
誘電体磁器組成物を低温で焼成することが可能であるか否か(低温焼結性)の評価は、誘電体磁器組成物の焼成温度を徐々に下げて焼成し、本実施形態に係る誘電体磁器が所望の誘電体高周波特性が得られる程度に誘電体磁器組成物が焼結しているかどうかで判断することができる。また、本実施形態に係る誘電体磁器組成物についての誘電特性は、Q・f値、温度変化による共振周波数の変化(共振周波数の温度係数τf)、および比誘電率εrによって評価することができる。Q・f値、比誘電率εrは、日本工業規格「マイクロ波用ファインセラミックスの誘電特性の試験方法」(JIS R1627 1996年度)に従って測定することができる。本実施形態では、誘電損失の評価は、Q値を用いる。
(主成分)
誘電体層11の主成分は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。誘電体層11に含まれる主成分としては、例えば、フォルステライト(Forsterite:フォレストライトともいう。化学式は、一般に、2MgO・SiO2又はMg2SiO4で表わされる。)、エンスタタイト(MgO・SiO2)、ディオプサイド(CaO・MgO・2SiO2)、BaOとNd23とTiO2とを含むBaNdTiO系酸化物などが挙げられる。これらの主成分の中でも、特に、Mg2SiO4が好ましい。Mg2SiO4は誘電損失を小さくするという観点からフォルステライト結晶の形態で誘電体層11に含まれていることが好ましい。誘電体層11にフォルステライト結晶が含有されているか否かは、X線回折装置(X-Ray Diffraction spectroscopy:XRD)によって確認できる。
Mg2SiO4は、単体でのQ・f値が200000GHz以上であり、誘電損失が小さいため、誘電体磁器の誘電損失を低下させる機能を有する。また、Mg2SiO4は、その比誘電率εrが6から7程度と低いため、誘電体磁器の比誘電率εrを低下させる機能も有する。
ここで、誘電損失は、高周波のエネルギーの一部が熱となって放散する現象である。通常、理想的な誘電体磁器に交流を印加すると電流と電圧は90度の位相差をもつ。しかし、交流の周波数が高くなり高周波となると誘電体磁器の電気分極又は極性分子の配向が高周波の電場の変化に追従できないか、電子又はイオンが伝導することにより電束密度が電場に対して位相の遅れ(位相差)を持ち、現実の電流と電圧は90度以外の位相を持つことになる。このような位相差に起因して高周波のエネルギーの一部が熱となって放散する現象を誘電損失という。誘電損失の大きさは、現実の電流と電圧の位相差と、理想の電流と電圧の位相差90度との差である損失角度δの正接tanδの逆数Q(Q=1/tanδ)で表わされる。誘電体磁器組成物の誘電損失の評価は、このQと共振周波数fの積であるQ・f値を用いて表される。誘電損失が小さくなればQ・f値は大きくなり、誘電損失が大きくなればQ・f値は小さくなる。誘電損失は高周波デバイスの電力損失を意味するため、誘電体磁器組成物のQ・f値は大きいことが好ましい。
Mg2SiO4は、比誘電率εrが低く、かつQ・f値が大きいという観点から、誘電体層11は、Mg2SiO4を主成分とする誘電体層とすることで、比誘電率εrを低くすると共に、Q・f値を大きくすることができる。
誘電体磁器組成物の誘電損失を下げるという観点から、主成分に占めるMg2SiO4の割合が100質量%であることが好ましいが、比誘電率εrを調整するため、Mg2SiO4以外の主成分をMg2SiO4と併用することができる。Mg2SiO4以外の主成分としては、例えば、BaNdTiO系酸化物、比誘電率εrが17前後であるチタン酸マグネシウム(MgTiO3)、および比誘電率εrが200前後であるチタン酸カルシウム(CaTiO3)等が挙げられる。
Mg2SiO4を構成するMgOとSiO2とのモル比は、化学量論的にはMgO対SiO2が2対1であるが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、本実施形態に係る誘電体磁器の効果を損なわない範囲内で化学量論比から外れてもよい。例えば、MgO対SiO2は、1.9対1.1から2.1対0.9の範囲内とすることができる。
本実施形態の誘電体磁器組成物中の主成分の含有量は、誘電体磁器組成物全体から後述する各副成分を除いた残部であることが好ましい。誘電体磁器組成物がこのような条件で主成分としてMg2SiO4を含むことで、誘電損失および比誘電率εrを低下する効果が確実に得られるようになる。なお、主成分として上記のようなMg2SiO4以外の成分を含む場合、主成分の合計は誘電体磁器組成物全体から後述の各副成分を除いた残部となる。
誘電体層11は、主成分としてBaNdTiO系酸化物を含む場合、誘電体層11の主成分としては、例えば、BaO−Nd23−TiO2系、Bi23−BaO−Nd23−TiO2系等の誘電体セラミックスが挙げられる。BaOとNd23とTiO2との各々の含有量は特に限定されるものではなく、適宜調整するようにしてもよい。
BaNdTiO系酸化物がBaO−Nd23−TiO2系の化合物の場合、好ましくは、下記式(1)で表される組成式において下記式(2)から式(5)で表される関係を満たすものが好ましい。なお、下記式(1)から下記式(5)のx、y、zは、モル%である。
xBaO・yNd23・zTiO2 ・・・(1)
6.0≦x≦23.0 ・・・(2)
13.0≦y≦30.0 ・・・(3)
64.0≦z≦68.0 ・・・(4)
x+y+z=100 ・・・(5)
BaO−Nd23−TiO2系化合物は高い比誘電率εrを有し、比誘電率εrの値は55から105程度である。Mg2SiO4は単体で低い比誘電率εrを有し、比誘電率εrの値は6.8程度である。誘電体層11は、主成分が比誘電率εrの高いBaO−Nd23−TiO2系化合物と、比誘電率εrの低いMg2SiO4を含有することにより、誘電体層11の比誘電率εrを下げる。
BaO−Nd23−TiO2系化合物のQ・f値は2000GHz以上8000GHz以下である。一方、Mg2SiO4のQ・f値は200000GHz程度であり、Mg2SiO4の誘電損失はBaO−Nd23−TiO2系化合物の誘電損失に比べて小さい。本実施形態では、誘電体層11の主成分がBaO−Nd23−TiO2系化合物とMg2SiO4とを含むことで誘電損失が小さい誘電体層とすることができる。
(副成分)
誘電体層11は、主成分に対する副成分を更に含んでいる。副成分は、誘電体磁器組成物を焼成する際に液相を形成する副成分原料(焼結助剤)から得られる。副成分となる副成分原料を誘電体磁器組成物が含むことによって誘電体磁器組成物の焼結温度を低下させることができる。誘電体磁器組成物に副成分原料を含め、誘電体磁器組成物の焼結温度を導体材の融点より低くすることで、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を用いて誘電体層11を作製する際、誘電体磁器組成物を低温(Ag系金属の融点より低い温度)でAg系金属と同時に焼成することが可能となり、低温焼成化を図ることができる。これにより、LCフィルター10の内部導体としてAg系金属からなる導体材を用いることができる。また、本実施形態の誘電体磁器組成物は、低温で焼成して得ることを可能としつつ、焼結性を確保することができるので、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を用いて得られる誘電体層11は優れた誘電特性を有することができる。
誘電体層11に含まれる副成分としては、例えば、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、ビスマス酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、銅酸化物、リチウム酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及びガラス成分などが挙げられるが、特にこれに限定されるものでない。
副成分の含有量は特に限定されるものでないが、ガラス成分以外の全ての副成分の含有量は、全ての主成分の和に対して1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。また、誘電体層11に含まれる主成分がフォルステライトのみである場合、フォルステライトのみを低温焼結させる場合は副成分の含有量は多くなる。このため、誘電体層11に含まれる副成分の含有量は、全ての主成分の和に対するガラス成分以外の全ての副成分の含有量は16.1質量%以上48.0質量%以下であることが好ましい。
焼結助剤としては、亜鉛酸化物を含むことが好ましい。亜鉛酸化物としては、例えばZnO等が挙げられる。亜鉛酸化物(特に、ZnO)は、誘電体磁器組成物をAg系金属と同時焼成する際に、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で焼成するのに寄与するため、亜鉛酸化物を含めることで、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で誘電体磁器組成物をAg系金属と安定して同時焼成させることができる。
ガラス成分は、酸化リチウム(Li2O)を含有するガラスが用いられる。ガラス成分は、酸化リチウム(Li2O)を含むガラスを少なくとも1つ以上含むものであることが好ましい。副成分原料として含まれるガラス成分は液相としての役割を果たす。ガラス成分がLi2Oを含むことで、主成分原料としてMg2SiO4が含まれる場合、未反応で残る副成分原料(焼結助剤)と主成分原料であるMg2SiO4との反応性を促進する。これにより、誘電体磁器組成物の焼成後、焼結体(誘電体磁器)に未反応で残る副成分原料を低減できる。また、副成分原料を完全に反応させることができるので、誘電体磁器組成物の焼結性は更に安定して確保できる。これにより、得られる焼結体(誘電体磁器)のQ値は更に上昇させることができ、誘電損失を更に小さくすることができる。
このようなガラス成分としては、例えば、SiO2−RO−Li2O(ROはアルカリ土類金属酸化物を1種類以上含む)系ガラスとB23−RO−Li2O系ガラスとの何れか一方又は両方を含んで構成されるものが好ましい。ガラス成分として、具体的には、SiO2−RO−Li2O系ガラスとしては、SiO2−CaO−Li2O系ガラス、SiO2−SrO−Li2O系ガラス、SiO2−BaO−Li2O系ガラス、SiO2−CaO−SrO−Li2O系ガラス、SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラス、SiO2−SrO−BaO−Li2O系ガラス、SiO2−CaO−SrO−BaO−Li2O系ガラスなどが挙げられる。B23−RO−Li2O系ガラスとしては、B23−CaO−Li2O系ガラス、B23−SrO−Li2O系ガラス、B23−BaO−Li2O系ガラス、B23−CaO−SrO−Li2O系ガラス、B23−BaO−CaO−Li2O系ガラス、B23−SrO−BaO−Li2O系ガラス、B23−CaO−SrO−BaO−Li2O系ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスが好ましい。
副成分として亜鉛酸化物が含まれる場合、亜鉛酸化物の含有量は、亜鉛酸化物の質量をZnOとして換算したとき、ZnOの質量比率は主成分100質量%に対して0.1質量%以上7.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上7.0質量%以下であることがより好ましく、4.5質量%以上7.0質量%以下であることが更に好ましい。亜鉛酸化物(特に、ZnO)は、誘電体磁器組成物をAg系金属と同時焼成する際に、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で焼成するのに寄与する。このため、亜鉛酸化物の含有量を上記範囲内とすることで、低温(Ag系金属の融点より低い温度)で誘電体磁器組成物をAg系金属と安定して同時焼成させることが可能となる。
亜鉛酸化物の含有量が0.1質量%未満となると、低温焼結効果(即ち、より低い温度での誘電体磁器組成物の焼結を可能とする効果)が不充分となる傾向があり、本実施形態に係る誘電体磁器の焼結密度は小さくなり、品質係数Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。また、亜鉛酸化物の含有量が7.0質量%を超えると、品質係数Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。そのため、亜鉛酸化物の含有量を上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
誘電体層11に含まれる主成分がフォルステライトのみである場合、上述のように、フォルステライトのみを低温焼結させる場合は副成分の含有量は多くなるため、誘電体層11に含まれる副成分の含有量は、変動することになる。この場合、亜鉛酸化物の含有量は、亜鉛酸化物の質量をZnOとして換算したとき、ZnOの質量比率は主成分100質量%に対して8.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上16.0質量%以下であることがより好ましく、12.0 質量%以上16.0質量%以下であることが更に好ましい。
誘電体層11に含まれる主成分がフォルステライトのみである場合、亜鉛酸化物の含有量が8.0質量%未満となると、低温焼結効果(即ち、より低い温度での誘電体磁器組成物の焼結を可能とする効果)が不充分となる傾向があり、本実施形態に係る誘電体磁器の焼結密度は小さくなり、品質係数Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。また、亜鉛酸化物の含有量が20.0質量%を超えると、品質係数Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。そのため、亜鉛酸化物の含有量を上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
ホウ素酸化物としては、例えばB23等が挙げられる。副成分としてホウ素酸化物が含まれる場合、ホウ素酸化物の含有量は、酸化ホウ素の質量をB23として換算したとき、B23の質量比率は主成分100質量%に対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上2.5質量%以下であることがより好ましい。
ホウ素酸化物の含有量が0.1質量%未満となると、低温焼結効果が不十分となる傾向があり、品質係数Qが低下して誘電損失が大きくなる傾向がある。また、ホウ素酸化物の含有量が3.0質量%を超えると、本実施形態に係る誘電体磁器組成物の焼結密度が低くなり易く、品質係数Qが低下して誘電損失が大きくなる。そのため、ホウ素酸化物の含有量を上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
誘電体層11に含まれる主成分がフォルステライトのみである場合、上述のように、フォルステライトのみを低温焼結させる場合は副成分の含有量は多くなるため、誘電体層11に含まれる副成分の含有量は、変動することになる。この場合、ホウ素酸化物の含有量は、ホウ素酸化物の質量をB23として換算したとき、B23の質量比率は主成分100質量%に対して3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上7.0質量%以下であることが更に好ましい。
誘電体層11に含まれる主成分がフォルステライトのみである場合、ホウ素酸化物の含有量が3.0質量%未満となると、低温焼結効果が不十分となる傾向があり、品質係数Qが低下して誘電損失が大きくなる傾向がある。また、ホウ素酸化物の含有量が10.0質量%を超えると、本実施形態に係る誘電体磁器組成物の焼結密度が低くなり易く、品質係数Qが低下して誘電損失が大きくなる。そのため、ホウ素酸化物の含有量を上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
副成分として酸化ビスマスが含まれる場合、酸化ビスマスの含有量は、酸化ビスマスの質量をBi23として換算したとき、Bi23の質量比率は主成分100質量%に対して1.0質量%以上4.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上3.5質量%以下であることがより好ましい。
副成分として酸化コバルトが含まれる場合、酸化コバルトの含有量は、酸化コバルトの質量をCoOとして換算したとき、CoOの質量比率は主成分100質量%に対して0.5質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。
副成分として酸化マンガンが含まれる場合、酸化マンガンの含有量は、酸化マンガンの質量をMnOとして換算したとき、MnOの質量比率は主成分100質量%に対して0.3質量%以上1.5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。
副成分として酸化銅が含まれる場合、酸化銅の含有量は、酸化銅の質量をCuOとして換算したとき、CuOの質量比率は主成分100質量%に対して0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以上1.3質量%以下であることがより好ましい。
副成分としてアルカリ土類金属酸化物が含まれる場合、アルカリ土類金属酸化物の含有量は、アルカリ土類金属酸化物の質量をRO(Rはアルカリ土類金属元素を示す)に換算した場合、主成分100質量%に対して、1.0質量%以上4.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。アルカリ土類金属酸化物を誘電体磁器組成物に含有させることによって、誘電体磁器の低温焼結効果が顕著となる。
アルカリ土類金属酸化物の含有量が1.0質量%未満となると、低温焼結効果が十分に得られなくなる傾向があり、本実施形態に係る誘電体磁器の焼結密度が低くなり易く、品質係数Qが低下して誘電損失が大きくなる傾向がある。また、アルカリ土類金属酸化物の含有量が4.0質量%を超えると、低温焼結効果は顕著となるものの、品質係数Qが低下して、誘電損失が大きくなる傾向がある。そのため、アルカリ土類金属酸化物の含有量を上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
アルカリ土類金属であるRとしては、Ba、Sr、Ca、Mgの何れかが好ましく、これらの2種以上を混合して用いてもよい。具体的なアルカリ土類金属酸化物ROとしては、BaO、SrO、CaO、MgO等が挙げられる。副成分としてアルカリ土類金属酸化物を用いる場合、アルカリ土類金属酸化物は、酸化カルシウム(CaCO3)であることがより好ましい。
アルカリ土類金属酸化物として酸化カルシウムが含まれる場合、酸化カルシウムの含有量は、酸化カルシウムの質量をCaCO3として換算したとき、CaCO3の質量比率は主成分100質量%に対して0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。
副成分の一種であるガラス成分の含有量は、ガラス成分の質量をSiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスに換算した場合、副成分からガラス成分を除いた誘電体組成100質量%に対して、2.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上7.0質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以上6.0質量%以下であることが更に好ましい。
ガラス成分の含有量が2.0質量%未満となると、低温焼結効果が不充分となり、焼結が不足し、本実施形態に係る誘電体磁器の焼結密度は小さくなり、品質係数Qは低下し、誘電損失が大きくなる傾向がある。また、ガラス成分の含有量が10.0質量%を超えると、品質係数Qは低下し、誘電損失が大きくなる傾向がある。そのため、ガラス成分の含有量を上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
<積層型セラミック電子部品の製造方法>
本実施形態に係る積層型セラミック電子部品の製造方法の一例について図面を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る積層型セラミック電子部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係る積層型セラミック電子部品の製造方法は、以下の工程を含む。
(A) 主成分原料と副成分原料とを混合して誘電体磁器組成物を得る誘電体磁器組成物の作製工程(ステップS11)
(B) 誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)をシート状に形成するシート体(グリーンシート)を作製するシート体作製工程(ステップS12)
(C) 複数のシート体(グリーンシート)を交互に積層し、シート積層体を形成するシート積層体形成工程(ステップS13)
(D) シート積層体を酸素雰囲気下において800℃以上1000℃以下の温度で焼成して、積層焼結体を得る焼成工程(ステップS14)
<誘電体磁器組成物の作製工程:ステップS11>
誘電体磁器組成物の主成分の原料としては、上述の本実施形態に係る誘電体磁器組成物に用いられる主成分原料が用いられ、例えば、Mg2SiO4、BaNdTiO系酸化物などが挙げられる。Mg2SiO4は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の原料粉末と酸化珪素(SiO2)の原料粉末とを混合して熱処理(仮焼き)することで得られる。また、例えば、BaNdTiO系酸化物は、炭酸バリウム(BaCO3)の原料粉末と水酸化ネオジム(Nd(OH)3)の原料粉末と酸化チタン(TiO2)の原料粉末とを混合して熱処理(仮焼き)することで得られる。
誘電体磁器組成物の副成分の各原料としては、上述の本実施形態に係る誘電体磁器組成物に用いられる副成分原料が用いられ、例えば、亜鉛酸化物、ホウ素酸化物、ビスマス酸化物、コバルト酸化物、マンガン酸化物、銅酸化物、アルカリ土類金属酸化物、リチウム酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、及びガラス成分、または焼成(後述する仮焼等の熱処理)することによってこれらの酸化物や複合酸化物となる化合物などを用いることができる。焼成により上記酸化物となる化合物としては、例えば、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、硫化物、有機金属化合物等が例示される。
ガラス成分としては、上記のように、Li2Oを含むガラスが用いられる。Li2Oを含むガラスとしては、例えば、SiO2−RO−Li2O系ガラスやB23−RO−Li2O系ガラスなどが挙げられる。ガラス成分の原料としては、上述のガラス成分を構成するLiの酸化物やその混合物、複合酸化物、その他、焼成により該ガラス成分を構成する酸化物や複合酸化物となる各種化合物を用いることができる。ガラス成分は、該ガラス成分を構成する酸化物等の原料を混合して、焼成し、その後急冷し、ガラス化させることで得られる。ガラス成分がLi2Oを含むことで、更に未反応なまま存在する焼結助剤とMg2SiO4との反応を促進させることができるので、誘電体磁器組成物の焼結性を安定して確保できると共にAg系金属が溶融しない程度の低温で誘電体磁器組成物をAg系金属と同時焼成することができる。
誘電体磁器組成物の作製工程(ステップS11)は、誘電体磁器組成物を製造するにあたり、以下の工程を含む。
(A−1) 主成分原料と副成分原料とを水で混合して原料混合粉末を得る原料混合粉末の作製工程(ステップS11−1)
(A−2) 原料混合粉末を酸素雰囲気下において800℃以上950℃以下の温度で熱処理(仮焼き)する熱処理工程(ステップS11−2)
(A−3) 熱処理後の原料混合粉末にLi2Oを含むガラスを添加し、有機溶剤を用いて粉砕するガラス成分添加・粉砕工程(ステップS11−3)
各主成分原料とガラス成分以外の副成分原料を添加して水で混合し、原料混合粉末を得る(ステップS11−1)。各副成分原料の秤量は、完成後の誘電体磁器組成物において、副成分原料の含有量が、主成分に対して所望の質量比率(質量%)となるように行う。
主成分原料と副成分原料との混合は、湿式混合による混合方式が用いられ、例えば、ボールミルなどの混合分散機で溶媒として純水を用いて混合することができる。混合時間は、4時間から24時間程度とすればよい。
原料混合粉末を、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の乾燥温度で、12時間から36時間程度乾燥する。
乾燥させた原料混合粉末は、例えば酸素雰囲気下において800℃以上950℃以下で、熱処理(仮焼き)して原料混合粉末の仮焼き粉末を作製する(ステップS11−2)。熱処理する際の焼成温度は、800℃以上950℃以下であることが好ましく、800℃以上900℃以下であることがより好ましく、830℃以上870℃以下が最も好ましい。焼成時間は、特に限定されないが、1時間から10時間程度であることが好ましい。このように仮焼きを焼成温度以下の温度で行うことによって、原料混合粉末中の主成分原料が融解することを抑制でき、誘電体磁器組成物中に、結晶の形で主成分原料を含有させることができる。また、未反応な副成分原料を低減することができる。
仮焼き粉末を粉砕した後、副成分原料粉末の残りであるガラス成分を仮焼き粉末に添加して混合し、有機溶媒や分散剤などを添加する。ガラス成分を混合した仮焼き粉末に有機溶媒を添加する方法としては、特に限定されないが、ボールミル等を使用し、湿式混合により行う。有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノールなどのアルコールなどが用いられる。ガラス成分を混合した仮焼き粉末を、所望の粒度に微粉砕した後、乾燥する。これにより、誘電体磁器組成物が得られる(ステップS11−3)。
粉砕は乾式粉砕又は湿式粉砕等の粉砕方式で行なうことができる。粉砕時間は4時間から24時間程度とすればよい。粉砕後の原料混合粉末の乾燥は、好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の処理温度で12時間から36時間程度行えばよい。
誘電体磁器組成物の作製工程(ステップS11)では、ガラス成分の添加時期を主成分原料とガラス成分以外の副成分原料とを混合し、熱処理(仮焼き)後としている。これにより、得られる誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、誘電率εや誘電損失Q値などの低下を招かず、安定して高い誘電特性を得ることができ、優れた誘電特性を有することができる。
即ち、主成分原料とガラス成分以外の副成分原料を混合し、原料混合粉末を得る(ステップS11−1)段階で、残りの副成分原料であるガラス成分を主成分原料に添加する場合、主成分原料とガラス成分以外の副成分原料を含む混合液をスプレードライして乾燥させるため、主成分原料とガラス成分以外の副成分原料をボールミルなどの混合分散機には溶媒として一般的に水が用いられる。しかし、Li2Oは水に溶解し易いため、主成分原料と副成分原料とを含む水中にLi2Oが溶解することで、得られる誘電体磁器組成物の組成変動を生じる。また、主成分原料とガラス成分以外の副成分原料を混合する際、溶媒として水に代えてアルコールなどの有機溶媒を用いる場合、原料混合粉末を熱処理(仮焼き)した後、微粉砕する際、再度、アルコールなどの有機溶媒を用いて溶剤粉砕を行うため、製造コストが上昇し、好ましくない。更に、後述するように、ステップS12の段階で、誘電体磁器組成物を含むシート体を作製する際、誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)中にガラス成分を添加する場合、誘電体磁器組成物に対するLi成分の分散性は低下するため、得られる誘電体磁器組成物の特性が低下する。
従って、誘電体磁器組成物の作製工程(ステップS11)において、ガラス成分の添加時期を主成分原料とガラス成分以外の副成分原料とを混合し、熱処理(仮焼き)後とする。これにより、誘電体磁器組成物の主成分と副成分とが均一に混合されて、材質が均一な誘電体磁器組成物を得ることができる。Li2Oの水に対する溶解性、Li成分の誘電体磁器組成物に対する分散性を考慮してLi2Oを含むガラスの添加時期を最適化することで、得られる誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、誘電率εや誘電損失(Q値)などの低下を招かず、安定して高い誘電特性を得ることができ、優れた誘電特性を有することができる。
<シート体作製工程:ステップS12>
誘電体磁器組成物を作製した後、誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整し、得られたスラリーをシート状に形成し、グリーンシート(シート体)を作製する(ステップS12)。
誘電体磁器組成物を、アクリル系、又はエチルセルロース系等の有機バインダー等に所定量配合し、誘電体磁器組成物を含むスラリーを作製する。スラリーはシート成形用に用いられ、ドクターブレード法などにより基板上にスラリーをシート状に塗布し、基板上にシート状に塗布したスラリーを乾燥させることで、グリーンシートが得られる。グリーンシートの成形方法はシート状に塗布できる方法であれば特に限定されるものではなく、シート法や印刷法等の湿式成形法でもよく、プレス成形等の乾式成形でもよい。
<シート積層体形成工程:ステップS13>
グリーンシートを作製した後、グリーンシート上に、所定形状の内部電極が形成されるようにAgを含有する導電性ペーストを塗布し、導電性ペーストが塗布されたグリーンシートを作製する。導電性ペーストが塗布されたグリーンシートと導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートとを交互に複数積層する。グリーンシート同士の間に内部電極となる導体材のAg系金属を配した状態で交互に複数積層してプレスすることで、シート積層体が形成される(ステップS13)。
<焼成工程:ステップS14>
シート積層体を作製した後、シート積層体を基板から除去し、シート積層体を所定形状に切断して面取りを行い、チップ型のシート積層体を形成し、グリーンシートに含まれるバインダーを除去した後、シート積層体を焼成することで、積層焼結体が得られる(ステップS14)。焼成は、空気中のような酸素雰囲気にて行うことが好ましい。焼成温度は、例えば、800℃以上1000℃以下であることが好ましく、880℃以上920℃以下であることがより好ましく、900℃以上920℃以下が最も好ましい。
グリーンシートは焼成により誘電体層11となる。グリーンシートは主成分原料をシート状に形成したものであるから、主成分原料は、そのまま誘電体層11に主成分として含まれる。
積層焼結体の冷却後、得られた積層焼結体に必要に応じて、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、積層焼結体の両側面に外部電極用ペーストを塗布・乾燥した後、焼き付けすることにより外部電極等を形成する。焼付け温度は、チップを焼成する温度よりは低い温度で焼付け焼成する。例えば、650℃以上700℃以下の温度で焼付けする。外部電極用ペーストは、たとえば銀などの導電材と、上記の有機ビヒクルとを混練して調製することができる。また、外部電極上には、Cu−Ni−Sn、Ni−Sn、Ni−Au、Ni−Ag等で電気めっきを行うことが好ましい。
積層焼結体に外部電極等が形成された後、積層焼結体に所定の膜厚となるまでめっきを行なうことで、Ag系金属からなる内部電極を備える積層型セラミック電子部品が得られる。
このように、本実施形態に係るLCフィルター10は、本実施形態に係る積層型セラミック電子部品の製造方法により得られるものであり、誘電体磁器組成物を作製する際、上述した誘電体磁器組成物の作製工程(ステップS11)において、Li2Oの水に対する溶解性、Li成分の誘電体磁器組成物に対する分散性を考慮して、Li2Oを含むガラスの添加時期を最適化することにより、Li2Oを含むガラスを誘電体磁器組成物に安定して含めることができる。本実施形態に係る積層型セラミック電子部品の製造方法によれば、得られる焼結体(誘電体磁器)の組成変動を生じることなく、誘電率εや誘電損失(Q値)などの低下を招かず、安定して高い誘電特性を有し、優れた誘電特性を有する積層型セラミック電子部品を製造することができる。
また、上述の通り、副成分として含まれるガラス成分は、誘電体磁器組成物を焼成する際、液相としての役割を果たし、未反応で残る副成分原料と主成分原料との反応性を促進させることができる。このため、誘電体磁器組成物を低温で焼成しても未反応な副成分原料をなくし、副成分原料を完全に反応させ、誘電体磁器組成物の焼結性を確保することができる。これにより得られる誘電体磁器(焼結体)のQ値を上昇させることができ、誘電損失を小さくすることができる。
Q値の特性低下は電子部品の損失が大きくなることを意味し、Q値が大きいほど、電子部品の損失は小さく抑えられる。副成分として含まれるガラス成分の添加時期を最適化することで、本実施形態に係るLCフィルター10のQ値を、所定値(例えば、1000)以上を維持しながら、誘電体磁器組成物の低温焼結化を図ることができる。また、誘電体磁器組成物の低温焼成化を図ることで、Ag系金属が溶融しない程度の低温で誘電体磁器組成物をAg系金属と同時焼成することができる。
従って、本実施形態に係るLCフィルター10は、低温焼成を可能としつつ、誘電体層11の焼結性を確保し、誘電損失を安定して小さく維持することができ、優れた誘電特性を有する誘電体層11を含むため、信頼性の高い積層型セラミック電子部品とすることができる。
LCフィルター10は、はんだ付け等によってプリント基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。LCフィルター10は、多層型のSMD(Surface Mount Device)として好適に用いることができる。
本実施形態に係る積層型セラミック電子部品は、LCフィルター10のように、誘電体層11とキャパシタパターン部13−1から13−3とが交互に積層される積層型セラミック電子部品に限定されるものではなく、誘電体層を含む積層型セラミック電子部品であれば好適に用いることができる。また、本実施形態に係る積層型セラミック電子部品は、外部に更に素子が個別に実装される積層型セラミック電子部品であっても好適に用いることができる。
本実施形態においては、LCフィルター10の誘電体層として、本発明に係る誘電体磁器組成物を用いた場合について説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。本実施形態に係る誘電体磁器組成物を含む他の積層型セラミック電子部品としては、例えば、コンデンサ、共振器、回路基板、ロー・パス・フィルタ(Low-pass filter:LPF)、バンド・パス・フィルタ(Band-pass filter:BPF)、ダイプレクサ(DPX)、カプラ(方向性結合器)、バルン(又はバラン;平衡不平衡インピーダンス変換器)等の積層型セラミック電子部品の一部を構成する誘電体層として好適に用いることができる。
以上、本発明に係る積層型セラミック電子部品の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る積層型セラミック電子部品は、主成分および副成分が異なる材料で構成される誘電体層同士の熱収縮挙動を合わせ、同時に焼成させることができる効果を阻害しない範囲内で、他の化合物を含むようにしてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<誘電体層の作製>
[実施例1]
主成分としてMg2SiO4とBaNdTiO系酸化物とを含み、副成分として、ZnO,B23,Bi23,CoO,MnCO3およびLi系ガラスを含み、主成分100質量%に対し、副成分からガラス成分を除いた誘電体組成100質量%に対して、SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスの含有率が5質量%である誘電体磁器組成物を、以下に示す手順で作製した。
まず、本発明に係る誘電体磁器組成物を構成する主成分は、主成分1としてMg2SiO4のみか、更に主成分2としてBaNdTiO系酸化物を含むものを用いた。主成分原料として、MgO、SiO2、BaCO3、Nd(OH)3、TiO2を準備した。また、副成分原料として、SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスを準備した。なお、SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスとしては、市販のガラスを用いた。
主成分の原料であるMgOおよびSiO2を、マグネシウム原子のモル数がケイ素原子のモル数の2倍となるようにそれぞれ秤量した。秤量した原料に純水を加え、スラリー濃度が25質量%であるスラリーを調製した。このスラリーを、ボールミルにて16時間湿式混合した後、120℃程度で24時間乾燥して、主成分原料混合粉末を得た。この主成分原料混合粉末を、空気中で、3時間、1200℃程度で仮焼きして、Mg2SiO4結晶を得た。このMg2SiO4結晶に純水を加えて、スラリー濃度が25%であるスラリーを調製した。このスラリーを、ボールミルにて16時間粉砕した後、120℃で24時間乾燥して、誘電体磁器組成物の主成分であるMg2SiO4結晶粉末を作製した。
また、他の主成分の原料であるBaCO3、Nd(OH)3およびTiO2を、ネオジウム原子のモル数がバリウム原子のモル数とチタン原子のモル数の2倍となるようにそれぞれ秤量した。BaCO3とNd(OH)3とTiO2との和を100質量%とし、秤量した粉体をボールミルに入れ、純水と市販の分散剤を添加してスラリー濃度が25%のスラリーを作製し、16時間混合した。得られたスラリーを乾燥機にて、乾燥させ、乾燥させた混合粉体を加熱炉にて1000℃程度で仮焼きして、BaNdTiO系酸化物の仮焼き粉を得た。Mg2SiO4結晶粉末とBaNdTiO系酸化物の仮焼き粉との混合粉末を主成分原料混合粉末とした。
主成分原料混合粉末に、ガラス成分以外の副成分原料であるZnO、B23、Bi23、CoO,MnCO3の原料粉末を主成分(Mg2SiO4結晶粉末とBaNdTiO系酸化物との和)100質量%に対し、所定量配合し、更に純水を添加して、スラリー濃度が25質量%であるスラリーを作製した。このスラリーをボールミルに入れて16時間湿式混合した(混合工程)。その後、得られたスラリーを乾燥機にて、120℃で24時間程度乾燥させ、主成分原料混合粉末とガラス成分以外の副成分原料の原料粉末との原料混合粉末を得た。
得られた原料混合粉末を電気炉にて酸素雰囲気中で850℃、2時間仮焼きを行い、仮焼き粉を得た。この仮焼き粉に、副成分の原料であるSiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスを、SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラス以外の副成分原料を除いた誘電体組成(主成分とSiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスとの和)100質量%に対し、所定量配合し、アルコールを添加して、スラリー濃度が25質量%であるスラリーを作製した。このスラリーをボールミルに入れて16時間湿式混合した後、得られたスラリーを乾燥機にて、120℃程度で24時間乾燥させた後、粉砕機にてスラリーを乾燥させた乾燥塊を粉砕し、誘電体磁器組成物の原料を得た。
上述の方法により得た誘電体磁器組成物をボールミルに入れて有機バインダーなどを添加して誘電体磁器組成物を塗料化し、誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整し、シート体成形用のスラリーを得た。これをドクターブレード法によって基板上に塗布してシート体を複数作製した。複数のシート体を積層後プレスしてシート積層体を作製した。このシート積層体を所望のサイズに切断後、チップの面取りを行い、これをAgが溶融しない焼成温度(900℃)で2.5時間焼成して、積層焼結体を作製した。
[実施例2]
シート積層体の焼成温度を900℃から880℃に変更して積層焼結体を作製したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[実施例3]
シート積層体の焼成温度を900℃から860℃に変更して積層焼結体を作製したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[実施例4]
誘電体磁器組成物に含まれる主成分として、Mg2SiO4結晶粉末のみとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[実施例5]
誘電体磁器組成物に含まれる主成分として、Mg2SiO4結晶粉末のみとし、シート積層体の焼成温度を900℃から880℃に変更して積層焼結体を作製したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[実施例6]
誘電体磁器組成物に含まれる主成分として、Mg2SiO4結晶粉末のみとし、シート積層体の焼成温度を900℃から860℃に変更して積層焼結体を作製したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[比較例1、2]
SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスの添加時期を、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する前から主成分原料と副成分原料とを水で混合する段階(混合工程)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[比較例3]
主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の仮焼き粉を粉砕する際に使用する溶媒をアルコールから純水に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[比較例4]
誘電体磁器組成物に含まれる主成分として、Mg2SiO4結晶粉末のみとし、主成分原料と副成分原料とからなる原料混合粉末の仮焼き粉にSiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラスを添加して混合粉砕する際に使用する溶媒をアルコールから純水に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[比較例5]
ガラス成分の添加時期を、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する前から誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整している時に添加することに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
[比較例6]
誘電体磁器組成物に含まれる主成分として、Mg2SiO4結晶粉末のみとし、ガラス成分の添加時期を、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する前から誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整している時に添加することに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層焼結体を作製した。
実施例1〜6、比較例1〜6における用いた主成分の種類、ガラス成分(SiO2−BaO−CaO−Li2O系ガラス)の添加時期、原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する際に使用する溶媒の種類、シート積層体を焼成する際の焼成温度を表1に示す。
<評価>
主成分原料と副成分原料とを水で混合する段階(混合工程)におけるLiイオンの溶出量、シート体におけるLi成分の分散状態、誘電率εおよびQ値、焼結密度ρs、シート積層体の焼結後の保形性を確認した。これらの評価結果を表1に示す。
[誘電率ε]
空洞共振器摂動法により誘電率εを測定した。空洞共振器内に大きさが0.8mm四方の試験片を挿入し、空洞共振器内の容量の変化を測定し、誘電率ε換算した。測定周波数は1.9GHzで行い、誘電率εは、3回行なって得られた誘電率εの平均値とした。評価基準は、主成分がMg2SiO4結晶粉末およびBaNdTiO系酸化物からなる場合には、32.0以上を良好とし、主成分がMg2SiO4結晶粉末のみからなる場合には、7.0以上を良好とした。測定結果を表1に示す。
[Q値]
空洞共振器摂動法によりQ値を測定した。空洞共振器内に大きさが0.8mm四方の試験片を挿入し、空洞共振器内のQ値の変化を測定した。測定周波数は1.9GHzで行い、Q値は、3回行なって得られたQ値の平均値とした。評価基準は、Q値が1000以上であれば、良好とした。測定結果を表1に示す。
[焼結密度ρs]
焼成後の試験片がLWT方向で4.5×3.2×0.8mm前後になるように切断加工し、各方向の寸法をマイクロメーターで測定し、電子天秤で質量を測定し、そこからの嵩密度を焼結密度ρs(単位:g/cm3)とした。評価基準は、主成分がMg2SiO4結晶粉末およびBaNdTiO系酸化物からなる場合には、4.5程度を良好とし、主成分がMg2SiO4結晶粉末のみからなる場合には、3.3程度を良好とした。測定結果を表1に示す。
[焼結後の保形性]
焼結後に得られた積層焼結体の外観を目視により観察し、焼結後における積層焼結体の保形性を確認した。目視による観察結果を表1に示す。
Figure 2012051750
表1より、実施例1〜6では、ガラス成分の添加時期を、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の仮焼き後であって微粉砕する前とし、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の仮焼き粉を粉砕する際に使用する溶媒をアルコールとすることで、シート体におけるLi成分の分散状態は良好であり、誘電率εは良好であり、Q値も1000以上であり、焼結密度ρsも安定し、焼結後の保形性も安定していた。また、主成分がMg2SiO4結晶粉末およびBaNdTiO系酸化物からなる場合やMg2SiO4結晶粉末のみからなる場合でも、焼成温度が低下するに従ってQ値は低下傾向にあったが、何れの場合でもQ値は1400以上は維持されていることが確認された。また、主成分はMg2SiO4結晶粉末およびBaNdTiO系酸化物からなる場合よりもMg2SiO4結晶粉末のみからなる場合の方が、Q値が高いことが確認された。
これに対し、比較例1、2では、ガラス成分の添加時期を、主成分原料と副成分原料との混合時としたことで、混合工程でLiイオンの溶出が見られた。このことから、積層焼結体の誘電率εおよびQ値、焼結密度、焼結後の保形性は確認しなかったが、比較例1、2の積層焼結体の誘電率εおよびQ値、焼結密度、焼結後の保形性は低下すると考えられる。
また、比較例3、4では、実施例1〜6と同様、ガラス成分の添加時期を、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する前としているが、原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する際に使用する溶媒として純水を用いたことで、スラリー化する時点でゲル化して測定できなかった。これは、誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整している段階でのLi成分の分散性が起因していることが考えられる。実施例3および比較例3のLiの分散性を表2に示す。
Figure 2012051750
表2より、CV値が、実施例3の方が比較例3よりも低くなっていることから、実施例3の方が比較例3より分散性が良いことが確認された。よって、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の熱処理(仮焼き)後であって微粉砕する際に使用する溶媒として純水よりアルコールを用いることで、Li成分の分散性が向上し、誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整している時点でゲル化を防ぐことができるといえる。
また、比較例5、6では、ガラス成分の添加時期を誘電体磁器組成物を塗料化して誘電体磁器組成物を含むスラリー(ペースト)を調整している時とすることで、積層焼結体(誘電体磁器)の焼結性が低下し、積層焼結体に含まれるLi成分の分散性が悪かった。そのため、積層焼結体(誘電体磁器)の誘電率εも低下し、Q値も1000以下となり、電気特性は低下し、焼結後の保形性も維持できてなかったといえる。
よって、誘電体磁器組成物を製造する際、Li2Oの水に対する溶解性、Li成分の誘電体磁器組成物に対する分散性を考慮してLiを含むガラス成分の添加時期を、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の仮焼き後であって微粉砕する前として最適化し、主成分原料と副成分原料との原料混合粉末の仮焼き粉を粉砕する際に使用する溶媒としてアルコールを用いることで、シート体を作製した後におけるLi成分の分散状態は良好とすることができるので、誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、積層焼結体の誘電特性は安定に保つことができると共に、簡易に誘電体磁器組成物を製造することができることが判明した。
以上のように、本発明に係る誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品は、誘電体磁器組成物の組成変動を生じることなく、積層焼結体の誘電特性を安定して高く維持しつつ簡易に製造できるため、LTCCとして用いることができ、積層型セラミック電子部品として好適に用いることができる。
10 LCフィルター
11 誘電体層
12 コイル部
13−1〜13−3 キャパシタパターン部
14 ビア部(ビア導体)

Claims (5)

  1. 主成分原料と副成分原料とを水で混合して原料混合粉末を得る原料混合粉末の作製工程と、
    前記原料混合粉末を酸素雰囲気下において熱処理する熱処理工程と、
    熱処理後、原料混合粉末にLi2Oを含むガラスを添加し、有機溶剤を用いて粉砕するガラス成分添加・粉砕工程と、
    を含むことを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  2. 前記主成分として、少なくともMg2SiO4を含む請求項1に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  3. 前記副成分として、前記Li2Oを含むガラスを少なくとも1つ含む請求項1又は2に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  4. 前記副成分として、少なくとも亜鉛酸化物を含む請求項1から3の何れか1項に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の誘電体磁器組成物の製造方法を用いて得られる誘電体磁器組成物を含む誘電体層を含む積層型セラミック電子部品。
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