JP2012051130A - 繊維強化複合材料の製造方法及びエレベータかごの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】VaRTM法を大型成形体に適用する場合に未含浸部分の発生を十分に防止することができ、含浸完了から脱型までの工程時間を短縮し、且つ貯蔵中の液状樹脂の増粘を抑制することができる繊維強化複合材料、並びに該繊維強化複合材料を用いたエレベータかごの製造方法を提供する。
【解決手段】繊維強化複合材料の製造方法は、硬化触媒が予め付与された繊維基材を積層した積層体28を密閉部材22で覆って内部を減圧する工程と、硬化触媒の作用によって硬化する樹脂31を減圧された密閉部材22内に注入して繊維基材に含浸させる工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】繊維強化複合材料の製造方法は、硬化触媒が予め付与された繊維基材を積層した積層体28を密閉部材22で覆って内部を減圧する工程と、硬化触媒の作用によって硬化する樹脂31を減圧された密閉部材22内に注入して繊維基材に含浸させる工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、繊維強化複合材料の製造方法及びエレベータかごの製造方法に関するものである。
繊維強化複合材料(FRP)は、軽量で高い機械特性を発揮できるため、各種分野に使用されている。FRPの成形方法の一つとして、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形法がある。VaRTM成形法は、成形設備が簡易であるとともに、大型成形体を低コストで成形できるという利点を有している。VaRTM法を大型成形体に適用する場合、硬化炉の大きさの制約から、室温硬化型の液状樹脂が用いられる。しかし、室温硬化型の液状樹脂は、成形作業中に硬化反応が進行し増粘する。そのため、液状樹脂が十分に繊維基材に含浸できないうちに液状樹脂がゲル化してしまい、未含浸部分が生じ易いという問題があった。そこで、例えば、特許文献1及び2には、VaRTM成形法において液状樹脂を繊維基材に均一に含浸させるための手法が提案されている。
しかし、上記特許文献1及び2の手法でも未含浸部分の発生を十分に防止することはできず、また貯蔵中に一旦増粘してしまった液状樹脂はその後使用できなくなるといった問題がある。一方、成形作業中の増粘を抑制するために液状樹脂の反応性を低下させるといった手法も考えられるが、硬化時間が長くなるため、成形体の金型からの脱型に時間がかかり作業効率が低下するという問題が起こる。
従って、本発明は、未含浸部分の発生を防止することができ、含浸完了から脱型までの工程時間が短く、且つ貯蔵中の液状樹脂の増粘を抑えることができる繊維強化複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、硬化触媒が予め付与された繊維基材を積層した積層体を密閉部材で覆って内部を減圧する工程と、硬化触媒の作用によって硬化する樹脂を減圧された密閉部材内に注入して繊維基材に含浸させる工程とを備えることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法である。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法では、未含浸部分の発生を防止することができ、そして繊維基材に含浸された樹脂は、含浸完了後、直ちに硬化触媒と反応し硬化が進むため、含浸完了から脱型までの工程時間が短く、生産効率を向上させることができる。また、貯蔵中の樹脂には室温硬化に必要な量の硬化触媒を配合する必要がないため、特に、成形に時間を要する大型の成形体の製造において樹脂の増粘を顕著に抑えることができ、量産において樹脂を効率的に使用することができる。
実施の形態1.
以下、本実施の形態に係る繊維強化複合材料の製造方法を図面に基づいて説明する。
図1は、繊維強化複合材料の製造方法に使用する真空含浸装置の概観図である。図1において、真空含浸装置20は、ベース(成形型)21と、このベース21の上面を覆うバギングフィルム等の密閉部材22と、この密閉部材22とベース21との間の隙間を塞いで内部を気密にする粘着性のシール材23a,23bと、一方のシール材23aを貫通し先端部が気密空間内に通じ、他端部が樹脂タンク24に接続されている注入配管25と、他方のシール材23bを貫通し先端部が気密空間内に通じ、他端部が真空ポンプ26に接続されている吸引配管27とを備えている。
以下、本実施の形態に係る繊維強化複合材料の製造方法を図面に基づいて説明する。
図1は、繊維強化複合材料の製造方法に使用する真空含浸装置の概観図である。図1において、真空含浸装置20は、ベース(成形型)21と、このベース21の上面を覆うバギングフィルム等の密閉部材22と、この密閉部材22とベース21との間の隙間を塞いで内部を気密にする粘着性のシール材23a,23bと、一方のシール材23aを貫通し先端部が気密空間内に通じ、他端部が樹脂タンク24に接続されている注入配管25と、他方のシール材23bを貫通し先端部が気密空間内に通じ、他端部が真空ポンプ26に接続されている吸引配管27とを備えている。
この真空含浸装置20を用いて繊維強化複合材料を製造するには、先ず、ベース21上に硬化触媒が予め付与された繊維基材の積層体28を配置し、この積層体28の上面に29樹脂拡散用のフローメディア(樹脂拡散用シート)及び剥離用のピールプライ(剥離用シート)30を順に配置する。この積層体28は、硬化触媒が予め付与された繊維基材が複数積層されたものであり、この層数により積層体28の厚みが適宜設定される。その後、積層体28の上面を密閉部材22で覆い、密閉部材22の縁部をシール材23a,23bでベース21に接着し、密閉部材22の内部を外気と遮断する。次に、真空ポンプ26を駆動し、密閉部材22内の空気を吸引配管27を介して吸引し、密閉部材22内を減圧する。この空気の吸引とともに、樹脂タンク24内の触媒作用によって硬化する樹脂31を、注入配管25を介して、減圧された密閉部材22内に注入する。積層体28は、上下方向に沿った空隙率が高く、水平方向に沿った空隙率が低い。従って、積層体28に対する樹脂31の含浸速度は、上下方向が水平方向に対して著しく大きくなる。また、フローメディア30は、上下方向に沿った空隙率が高くなるように構成されている。そのため、樹脂31が、密閉部材22内に注入されると、主にフローメディア30を通じて積層体28の最上部層から内部に浸入し、ベース21に向けて含浸が進行する。繊維基材に予め付与される硬化触媒の量を調整することで、樹脂の硬化速度を調節することができ、繊維基材の内部に樹脂が浸入する際に、途中で硬化した樹脂で浸入が妨げられることなく、積層体28全体に樹脂が行き渡り、かつ短時間で樹脂を硬化させることができる。含浸後、所定の硬化方法にて樹脂を硬化させた後、ピールプライ29を剥離することでフローメディア30を積層体28から分離し、繊維強化複合材料が得られる。
本実施の形態で使用する繊維基材としては、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられ、高い比強度を有する繊維強化複合材料を得る観点から、炭素繊維が望ましい。炭素繊維としては、後述の樹脂含浸性の観点から、1,000以上24,000以下のフィラメント数及び55g/m2以上550g/m2以下の繊物重量(目付け)を有するものが好ましい。炭素繊維の組織は、平織り、綾織り、朱子織り等が挙げられ、強度の異方性がないという点で平織りが好ましい。
繊維基材には、硬化触媒を予め付与しておく必要がある。硬化触媒の付与は、金属塩化合物等の硬化触媒を溶剤に溶解させた硬化触媒溶液に繊維基材を浸漬し、乾燥させるか、又は刷毛等で硬化触媒溶液を繊維基材に直接塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。硬化触媒としては、樹脂の種類に応じて種々な金属塩化合物を用いることができ、良好な硬化性を有するという観点から、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト及びナフテン酸コバルトが好ましい。これらの金属塩化合物を硬化触媒として使用することで、室温(25℃)での硬化反応による適度な機械特性を有する繊維強化複合材料を得ることができる。繊維基材に付与される硬化触媒の量は、硬化時に樹脂の硬化反応を促進すること及び含浸時に樹脂の硬化反応を抑制して樹脂含浸性を確保することを両立させるため、繊維基材1m2あたり、0.005mg以上300g以下とすることが好ましく、1mg以上50g以下とすることが更に好ましい。
本実施の形態で使用する樹脂(主剤)31としては、上記した硬化触媒の作用によって硬化できる樹脂であればよいが、室温(25℃)で硬化可能であるという観点から、ビニルエステル樹脂、シアネート樹脂及びエポキシ樹脂が好ましい。室温硬化可能な樹脂を用いることで、樹脂硬化工程時に加熱炉が不要となるので、大型の成形物の製造にも対応することができる。室温硬化可能な樹脂の中でも、室温での粘度が低くて(室温で液状)含浸性に優れ且つ硬化物の機械的特性が良好であるという観点から、下記式(1)で表される構造(ビスフェノールA骨格)、(2)で表される構造(ビスフェノールF骨格)、(3)で表される構造(ビスフェノールE骨格)及び(4)で表される構造(ビフェニル骨格)の少なくとも1つを分子骨格中に有し、且つビニル基及びシアネート基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有するものが望ましい。
このような樹脂を用いることで、繊維基材への含浸を短時間で完了させることができる上、室温での硬化反応による適度な機械特性を有する繊維強化複合材料を得ることができる。また、繊維強化複合材料に難燃性が要求される場合には、樹脂31に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、赤燐等の無機充填剤を添加してもよい。
本実施の形態によれば、樹脂タンク24内の樹脂31は、(室温硬化に必要な量の)硬化触媒を含まないため、成形に時間を要する大型の成形体の製造においても樹脂31の増粘を抑えることができ、樹脂31を繊維基材により均一に含浸させることができる。また繊維基材に含浸された樹脂31は直ちに硬化触媒と反応して硬化が進むため、含浸完了から脱型までの工程時間を短くすることができる。さらに、従来、樹脂タンク内の樹脂は室温で除々に反応して増粘してしまうため、一旦増粘してしまった樹脂は含浸に使用することができず、廃棄していたが、本実施の形態では、樹脂タンク24内の樹脂31は室温で反応しないため、量産において樹脂を効率的に使用することができる。
さらに、本実施の形態によれば、オートクレーブ(加圧炉)等の大掛かりな設備が不要で、低コストで繊維強化複合材料を成形することができる。また、本実施の形態では、フローメディア30及び積層体28への樹脂の透過性の点で、樹脂が低粘度である必要性があるものの、成形時の樹脂のハンドリングが容易であるだけでなく、設備の規模の制約を受けることなく短時間で成形することができ、大型の成形体の製造に好適である。
図2は、本実施の形態による繊維強化複合材料を構成部材として使用したエレベータかごを備えるエレベータ装置の斜視図である。図2において、エレベータ装置は、駆動シーブを有する巻上機40と、巻上機40により昇降路内を昇降されるかご41及び釣合おもり42と、駆動シーブに巻き掛けられ、かご41及び釣合おもり42を吊り下げるロープ43とを備えており、かご41のかご室は、床板44、側板45、天板46、背板47等のかご室パネルと、かごドア48とを有している。本実施の形態による繊維強化複合材料は、軽量で高い機械的強度を備えていることから、床板44、側板45、天板46、背板47等のかご室パネル、かごドア48のパネルに好適であり、また、乗場ドアのパネルに用いることもできる。
図3は、かご41のかご室の分解斜視図である。かご室は、断面L字形状の連結部材49(例えば、アングル材)で連結された床板44、側板45、天板46及び背板47により構成されている。このかご室は、所定の大きさの繊維複合材料を複数準備し、隣接する繊維複合材料を断面L字形状の連結部材49で連結することにより製造することができる。連結部材49の材質は、床板44、側板45、天板46及び背板47を高強度に固定することができるものであれば特に限定されるものではなく、金属であってもよいし、本発明の繊維複合材料であってもよい。このように、かご室を構成する床板44、側板45、天板46及び背板47に本実施の形態による繊維強化複合材料を用いることで、軽量で高強度なエレベータかご室を得ることができる。
以下、本発明の繊維強化複合材料の製造方法を実施例により具体的に説明する。
炭素繊維平織りクロス(東レ株式会社製トレカ(登録商標)T300、フィラメント数:12,000、織物重量:200g/m2)を1m×1mの大きさにカットした。カットされた各炭素繊維平織りクロスに、アセトンとミネラルスピリッツとの混合溶剤にオクチル酸コバルトを溶解させたオクチル酸コバルト溶液を刷毛で塗布した後、溶剤を揮発させた。得られた炭素繊維平織りクロスには、1m2あたり5mgのオクチル酸コバルトが付着していることを確認した。オクチル酸コバルトが付与された炭素繊維平織りクロスを積層して、高さ3cmの積層体を作製した。
炭素繊維平織りクロス(東レ株式会社製トレカ(登録商標)T300、フィラメント数:12,000、織物重量:200g/m2)を1m×1mの大きさにカットした。カットされた各炭素繊維平織りクロスに、アセトンとミネラルスピリッツとの混合溶剤にオクチル酸コバルトを溶解させたオクチル酸コバルト溶液を刷毛で塗布した後、溶剤を揮発させた。得られた炭素繊維平織りクロスには、1m2あたり5mgのオクチル酸コバルトが付着していることを確認した。オクチル酸コバルトが付与された炭素繊維平織りクロスを積層して、高さ3cmの積層体を作製した。
次に、積層体をベース上に配置し、その上にフローメディア(AirTech製BLEEDER LEASE−B、耐熱温度232℃)及び剥離用のピールプライ(剥離用シート)を順に配置した。これらをバギングフィルム(AirTech製WL7400、耐熱温度204℃)で覆い、テフロン(登録商標)製バルブが途中に設けられたテフロン(登録商標)製チューブ(外径:9.52mm、内径:6.35mm、耐熱温度260℃)で吸引配管及び注入配管を形成し、バギングフィルムとベースとの隙間をシール材(AirTech製AT−200Y、耐熱温度204℃)で密閉した。次に、吸引配管を真空ポンプに接続し、注入配管のバルブを閉じ、密閉された空間内を真空ポンプで減圧した。その後、注入配管を樹脂タンクに接続し、注入配管のバルブを開け、減圧された密閉空間内に、ビニルエステル樹脂(昭和高分子株式会社製リポキシ(登録商標)R806)100重量部、有機過酸化物(化薬アクゾ株式会社製328E)1重量部を注入配管から注入し、炭素繊維平織りクロスに含浸させた。室温で約30分間静置し樹脂が硬化していることを確認した後、バギングフィルム、フローメディア、注入配管、吸引配管及びシール材を取り除いた。次に、箱型成形型から成形体を脱型し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料に未含浸部分は見られなかった。
20 真空含浸装置、21 ベース、22 密閉部材、23a,23b シール材、24 樹脂タンク、25 注入配管、26 真空ポンプ、27 吸引配管、28 積層体、29 ピールプライ、30 フローメディア、31 樹脂、40 巻上機、41 かご、42 釣合おもり、43 ロープ、44 床板、45 側板、46 天板、47 背板、48 かごドア、49 連結部材。
Claims (6)
- 硬化触媒が予め付与された繊維基材を積層した積層体を密閉部材で覆って内部を減圧する工程と、硬化触媒の作用によって硬化する樹脂を減圧された密閉部材内に注入して繊維基材に含浸させる工程とを備えることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記繊維基材が、炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記樹脂が、ビニルエステル樹脂、シアネート樹脂又はエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記硬化触媒が、金属塩化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法により複数の板状繊維強化複合材料を準備する工程と、隣接する前記板状繊維強化複合材料を断面L字形状の連結部材で連結してエレベータかごの構成部材とする工程とを有することを特徴とするエレベータかごの製造方法。
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