JP2011238671A - 複合磁性素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 銅損、コアロス、熱応力、騒音の改善
【解決手段】 複合磁性素子4は、導線束21、22および導線束間を電気的に接続する導線3よりなる巻き線、さらに導線束21、22、導線3が埋設される複合磁性体1より構成されている。巻き線は導線束21、22よりなり、導線束21の端部より導線3が導出され、導線束22の端部より導入されている。すなわち、導線束21を巻いた後、導線を切断せずにそのまま間隔を空けて導線束22を巻くことで、導線束21と導線束22の間には導線3が露出する。
【選択図】図3
【解決手段】 複合磁性素子4は、導線束21、22および導線束間を電気的に接続する導線3よりなる巻き線、さらに導線束21、22、導線3が埋設される複合磁性体1より構成されている。巻き線は導線束21、22よりなり、導線束21の端部より導線3が導出され、導線束22の端部より導入されている。すなわち、導線束21を巻いた後、導線を切断せずにそのまま間隔を空けて導線束22を巻くことで、導線束21と導線束22の間には導線3が露出する。
【選択図】図3
Description
本発明は、主にインバータ等の電源回路に用いられ、大電流を通電して使用するリアクトル等の複合磁性素子に関する。
特許文献1には、絶縁被覆を施したコイルを磁性粉末と結合剤との混合物により包み込むように成形し、コイルに外部電極を接続して成るインダクタの構成が開示されている。また図11に示すような、導線2同士が隣接するよう巻き線を施したコイルを磁性粉末と結合剤との混合物である複合磁性体1により包み込むように成形したインダクタの構成も開示されている。
特許文献2には、コアの突合せコーナ部の内側における磁束の集中を、コア同士が対向する端面に、内側に行くに従って磁気ギャップが広くなり、傾斜してゆくような切欠部を設けたリアクトルの構成が開示されている。この傾斜した切欠部は、コアに形成されるループ状の磁束経路に沿った方向におけるギャップGの長さが、磁束経路の外側よりも内側のほうが大きくなるように設けることによって、コイルを通過する漏れ磁束の発生を解消している。
特許文献1に開示された、導線2同士が隣接するよう巻き線を施した図11に示すインダクタでは、導線1本を周回し、隣接する導線に入り込む磁束Bが存在し、磁束Bが時間変化する場合には、隣接する導線に発生する渦電流による銅損が生じる。また、導線2の集合体であるコイルを周回する磁界Hは、全ての導線2による磁界が合成されたものであるため、導線2に大電流が通電された際には、磁界Hによって生じる磁束密度Bは巻き線の表面近傍の磁性体に集中しやすく磁気飽和が生じやすかった。
また特許文献2の構成では、コア間に磁気ギャップを設けているために、特許文献1のインダクタよりも磁束密度は不均一である。磁束密度が不均一であれば、コアロスが磁束密度の二乗に比例することから、コアロスが増大することになる。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、銅損、渦電流損失、コアロスが改善され、電力変換効率が高く、省エネ効果が高く、更に大電流用途にも耐えうる複合磁性素子を提供することにある。
本発明は上記課題を、軟磁性粉と結合材を備える複合磁性体と、らせん状の導線による巻き線を有し、前記巻き線は前記複合磁性体に埋設するとともに、前記複合磁性体の少なくとも一部を前記導線の間に配することを特徴とする複合磁性素子により解決する。
なお、導線とは線状の導体であり、表面に絶縁被覆を形成し、絶縁を確保するのが望ましい。
上記の導線間に配した複合磁性体へ磁束が流れ込むことで、隣接する導線への磁束の侵入を防ぐことができるため、隣接する導線の渦電流損失が改善する。
さらに、導線間に配した複合磁性体がヒートシンクの役割を果たし、通電による導線の過剰な発熱を防ぐことができる。また、図11に示す従来の構成では、通電による発熱で起こる導線の熱膨張が一つの巻き線を中心に発生し、条件によっては複合磁性体に大きな熱応力を及ぼし、複合磁性体内部での亀裂発生が懸念されるが、本発明によれば発熱源となる導線の周囲にヒートシンクの役割を果たす複合磁性体が配置され、さらに複合磁性体内部で磁束が分散されていることでコアロスによる発熱も分散されるため、熱応力に起因する亀裂を未然に防ぐことが可能となる。
また、導線間に配した複合磁性体へ磁束が分散されることで、磁束密度が均一となることから、磁束Bの飽和を防ぎ、同時にコアロスを改善することができる。さらに、図11に示す従来の構成では、一つの巻き線の周囲に集中する磁束により、複合磁性体内部に生じる電磁吸引力が大きな力となっていたのに対し、本発明の構成では、磁束の発生部位が分散されるため電磁吸引力に起因する素子の振動や騒音も分散・低減することができる。また、巻き線間に生じるローレンツ力に起因する素子の振動や騒音も、巻き線間に配した複合磁性体により低減される。
さらに本発明は上記課題を、巻き線を複数の導線束より構成し、前記導線束の間に複合磁性体が配されている複合磁性素子により解決する。これら導体の表面には絶縁被膜が形成されているものをもちいることが望ましいが、さらに前記導線束の表面に絶縁層を形成し、さらに絶縁を強化しても良い。
各導線の間に複合磁性体を配する構成でも本発明の効果は得られるが、導線を導線束にまとめることで、導線束間の隙間を大きく空けることができるため、複合磁性体を導線間に充填する際の作業性が向上する。
さらに本発明は上記課題を、導線束における、互いに近接する導線の断面が、数珠状に連なるよう構成することで解決する。
導線の断面が数珠状に連なるよう配置することで、各導線は全て複合磁性体と接するため、隣接する導線への磁束の侵入を、より確実に防ぐことができる。
特に、導線の断面が巻き軸に平行な直線に沿って数珠状に連なる、すなわちソレノイドコイルを作成するのは既存の設備で可能であり、巻き線時の作業性も良い。
さらに本発明は上記課題を、内側の導線束における導線の断面積を、外側の導線束における導線の断面積と異なるよう構成することで解決する。
導線の銅損、複合磁性体のコアロスによる発熱は、複合磁性素子の表面より放熱されるが、特に複合磁性素子の内側での発熱を極力抑え、放熱を促進する必要がある。そこで、内側の導線束における導線の断面積を、外側の導線束における導線の断面積よりも大きくすると、内側の導線束の電気抵抗が低いことから銅損による発熱が抑えられ、同時に断面積の大きい内側の導線から外側の導線へ伝熱し、外側の導線および複合磁性体から放熱される。
さらに本発明は上記課題を、導線の断面が円とすることで解決する。
導線の断面が円である、いわゆる丸線は、断面が四角形のいわゆる平角線と比べて隣接する導線間の接触面積を最小限とすることができるため、隣接する導線間の隙間に複合磁性体が充填されることで隣接する導線への磁束の侵入を最小限に防ぐことで渦電流損失も改善する。また同時に複合磁性体がヒートシンクの役割を果たし、放熱の効果も高めることができる。また丸線では、平角線で生じる巻き線時のよじれが生じない。
本発明により、銅損、渦電流損失、コアロスが改善され、電力変換効率が高く、省エネ効果の高い複合磁性素子を提供することができる。
また、磁気飽和しにくいことから、通電電流に対するインダクタンスの低下が少ない、いわゆる直流重畳特性に優れている上、放熱性にも優れているため、インバータ等の大電流を通電する用途にも耐えうる複合磁性素子を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
本発明における複合磁性素子の一例を図1、図2及び図3に示す。複合磁性素子4は、導線束21、22および導線束間を電気的に接続する導線3よりなる巻き線、さらに導線束21、22、導線3が埋設される複合磁性体1より構成されている。
巻き線は導線束21、22よりなり、導線束21の端部より導線3が導出され、導線束22の端部より導入されている。すなわち、導線束21を巻いた後、導線を切断せずにそのまま間隔を空けて導線束22を巻くことで、導線束21と導線束22の間には導線3が露出する。もちろん、前記2つの導線束は別々に製作し、各々の導線束における導線の端末部同士を複合磁性素子4の外部で接続しても良い。いずれの場合も、2つの導線束に流れる電流の向きを同一とすることが望ましい。
複合磁性体1は、例えば金属系の磁性粉末と熱硬化性の液状の樹脂を混合しスラリー状としたものを用いることができる。熱硬化性の樹脂はスラリーとしたときの流動性が十分であるよう低粘度のものが好ましく、例えばエポキシ樹脂などを用いることができる。ここで磁性粉末としてはFe−Si6.5%材のガスアトマイズ粉末等のダスト粉末を用いることができる。これらを樹脂と混合してスラリー状とする際に、アルミナ粉末、シリカ粉末などを同時に配合し、磁性体であるダスト粉末の占積率を下げて透磁率を調整してもよい。前記手順により配合した磁性スラリーを、導線束21、22、導線3よりなる巻き線をセットした型に注型し加熱硬化させることで複合磁性素子4を得ることができる。もちろん、先に巻き芯となりうる形状の複合磁性体を形成しておき、これに巻き線を施した後、型にセットし空間となっている部分へ複合磁性体のスラリーで注型しても良い。
複合磁性素子4は、通電電流は例えば50A以上700A以下の範囲で好適に用いられ、その場合は複合磁性体の磁気飽和を防ぐため、比透磁率は500以下に設定することが望ましい。一方、比透磁率を低く設定することで、磁束が巻き線全体を周回することができず導線へ侵入し易くなるが、図3に示されるように、本発明における導線束の断面を周回する磁束Bは、導線束21と22の間を流れることから、導線3への磁束Bの侵入を防ぐことができる。なお、導線3としては、例えば直径3mm程度の丸銅線を用いることができる。
また、導線束における互いに近接する導線の断面が、数珠状に連なっている、いわゆるソレノイドコイル状とした図4、図5、図6、図7の構成であってもよい。
導線束における導線は、必要とされるインダクタンスが低く、大電流を通電する用途に用いる場合は図5のように隣接する導線間に間隔を設ける。
また、比較的必要とされるインダクタンスが高く、通電電流が比較的小さい場合は図6のように、隣接する導線間が接するよう配置する。
また、図7のように内側の導線束21における導線の断面積を、外側の導線束22における導線の断面積よりも大きくすることで、内側の導線束21の電気抵抗が低いことから銅損による発熱が抑えられ、同時に断面積の大きい内側の導線21から外側の導線22へ伝熱し、外側の導線22および複合磁性体1から放熱されるため望ましい。また、図7に於ける巻き軸中心近傍の複合磁性体をアルミ等の熱伝導率の高い部材に置き換え、内部の冷却性能を高くした場合は、逆に内側の導線束における導線の断面積を小さくしても良い。
また、内側の導線21と外側の導線22を接続する導線3は、磁束に平行な平面状とすることで内側の導線21から外側の導線22への伝熱が促進されるため望ましい。もちろん、前記2つの導線束は別々に製作し、端末部を磁性素子の外部で接続しても良い。いずれの場合も、2つの導線束に流れる電流の向きを同一とすることが望ましい。
さらに、図8、図9のように導線2の断面が互いに円環状に連なる構成としてもよい。導線2の一部に予め隙間を設けておき、スラリーを注型することで磁性素子を形成できる。この場合、導線2の内側の磁束Bと、外側の磁束Bが互いに逆方向となる。
また、導線2は断面が円であることが望ましい。断面が円のいわゆる丸線であれば、図10のように、導線間にも複合磁性体が充填されることで、隣接する導線間の接触面積を最小限とすることができる、さらに隣接する導線間の隙間に複合磁性体が充填されるため複合磁性体がヒートシンクの役割を果たし、放熱の効果を得られるが、同時に隣接する導線への磁束の侵入を最小限に防ぐことで渦電流損失を抑えることができる。
なお、本発明が適用される磁性素子においては、巻き線の直流損失と交流損失が約50%、鉄損が約50%程度であり、これら両者の損失を低下させることによりインバータ動作の効率を高めることができ、燃費、省エネ等の環境対応の観点からも本発明による損失の低減効果を享受することができる。
また、巻き線の交流損失は一本の素線断面における表面に電流が流れやすい表皮損と近傍の素線が発生する磁界が巻き線を貫通する際に渦電流を発生することによる近接損によるものであるが、これらの分離は容易で、巻きまわした巻き線の交流抵抗を測定すると両者の合計の損失が得られ、巻きまわしをほどいて素線が近接しない状態で測定すれば素線の表皮損のみが測定される。例えば、10KHzでは表皮損が10% 近接損が90%と近接損の影響が大きい。このように影響の大きな近接損を本発明により低減することができる。
1 複合磁性体
2、3 導線
21、22 導線束
4 複合磁性素子
B 磁束
2、3 導線
21、22 導線束
4 複合磁性素子
B 磁束
Claims (6)
- 軟磁性粉と結合材を備える複合磁性体と、らせん状の導線による巻き線を有し、前記巻き線は前記複合磁性体に埋設するとともに、前記複合磁性体の少なくとも一部を前記導線の間に配することを特徴とする複合磁性素子。
- 前記巻き線は複数の導線束よりなり、前記導線束の間に前記複合磁性体を配することを特徴とする請求項1記載の複合磁性素子。
- 前記導線束における、互いに近接する前記導線の断面が、数珠状に連なるよう配置されていることを特徴とする請求項2記載の複合磁性素子。
- 前記導線束における、互いに近接する前記導線の断面が、前記巻き線の巻き軸に平行な直線に沿って数珠状に連なるよう配置されていることを特徴とする請求項3記載の複合磁性素子。
- 巻き線における内側の前記導線束における導線の断面積が、外側の前記導線束における導線の断面積と異なることを特徴とする請求項4記載の複合磁性素子。
- 前記導線の断面が円であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複合磁性素子。
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