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JP2011230033A - 塗膜形成方法 - Google Patents

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JP2011230033A
JP2011230033A JP2010101089A JP2010101089A JP2011230033A JP 2011230033 A JP2011230033 A JP 2011230033A JP 2010101089 A JP2010101089 A JP 2010101089A JP 2010101089 A JP2010101089 A JP 2010101089A JP 2011230033 A JP2011230033 A JP 2011230033A
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Abstract

【課題】水性二液型ウレタン塗料を塗装して厚膜の硬化塗膜を形成させる場合において、ワキの発生のない高品質な硬化塗膜を短時間でより確実に形成させることが可能な塗膜形成方法を提供すること。
【解決手段】被塗物の表面に水性二液型ウレタン塗料を塗装して未硬化の塗膜を形成する工程と、
乾球温度Tdryと湿球温度Twetが下記式(1)〜(2):
25℃≦Tdry≦45℃ (1)
15℃≦Tdry−Twet≦25℃ (2)
で表される条件を満たす雰囲気下で、前記未硬化の塗膜に3〜50分間の予備乾燥を施す工程と、
前記予備乾燥後の塗膜を焼付けて膜厚が55〜140μmの硬化塗膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする塗膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜形成方法に関し、より詳しくは、厚膜の塗膜を形成する方法に関する。
水性二液型ウレタン塗料の塗装においては、通常、ウェット塗膜中のポリイソシアナートとアクリル樹脂中の水酸基を反応させて硬化塗膜を形成させる。しかしながら、ウェット塗膜中に水が存在すると、前記ポリイソシアナートは、一般的に水と反応してウレア結合を形成し、アクリル樹脂の水酸基とは反応しにくくなる。このウレア結合は、ポリイソシアナートとアクリル樹脂の水酸基との反応により生成するウレタン結合に比べて、脆弱であり、塗膜硬度の低下の原因となっていた。このため、水性二液型ウレタン塗料の塗装においては、ウェット塗膜中の水を速やかに蒸発させる必要があった。
そこで、ウェット塗膜を短時間で乾燥させる方法として種々の方法が提案されている。例えば、特開2009−22856号公報(特許文献1)には、水性二液型ウレタン塗料を乾燥させる際に、温度60〜80℃、相対湿度10%程度の空気を用いることによって塗料の乾燥を促進させ、塗膜の性状を安定化できることが開示されている。しかしながら、焼付け後の塗膜の膜厚が55μm以上となるような厚膜のウェット塗膜を上記のような高温低湿度の空気により乾燥させると、塗膜の表面近傍のみが乾燥し、ウレタン反応が急激に進行して塗膜表面の粘度が上昇(塗膜の上乾き)し、内部が硬化していないといった状態が発生しやすく、このような塗膜をその後焼き付けすると内部の水分が蒸発するため、ワキが発生するという問題があった。
また、特開2003−340361号公報(特許文献2)には、単位時間当たりの塗膜不揮発分の変化量を所定の範囲に制御しながら、塗装物を35〜60℃の温度で加熱して塗膜を乾燥させることによってワキのない塗膜が得られることが開示されている。しかしながら、焼付け後の塗膜の膜厚が55μm以上となるような厚膜のウェット塗膜を上記温度に加熱して乾燥させるとワキが発生するという問題があり、しかも、特許文献2の実施例には、ワキが発生しない限界膜厚が34〜37μmであることが開示されている。
さらに、特開2007−319762号公報(特許文献3)には、温度20〜100℃、湿度0〜30%RHのエアーを当てて塗膜を乾燥させることにより高品質の塗膜が得られることが開示されている。しかしながら、焼付け後の塗膜の膜厚が55μm以上となるような厚膜のウェット塗膜を上記のようなエアーにより乾燥させるとワキのない塗膜が必ずしも得られるわけではなかった。
このように、焼付け後の塗膜の膜厚が50μm以下となる薄膜のウェット塗膜の乾燥については種々の方法が提案されているが、これらの方法は、焼付け後の塗膜の膜厚が55μm以上となるような厚膜のウェット塗膜の乾燥に必ずしも適用できるものではなく、ワキの発生のない厚膜の塗膜を確実に得るために、従来は、ウェット塗膜の乾燥を中低温で長時間かけて行なっており、乾燥時間が長く、エネルギー効率が悪いといった問題があった。このため、ワキの発生のない厚膜の塗膜を確実に得ることができ、しかも、塗膜形成にかかる時間(全工程の合計時間)が短い塗膜形成方法が求められていた。
特開2009−22856号公報 特開2003−340361号公報 特開2007−319762号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、水性二液型ウレタン塗料を塗装して厚膜の硬化塗膜を形成させる場合において、ワキの発生のない高品質な硬化塗膜を短時間でより確実に形成させることが可能な塗膜形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水性二液型ウレタン塗料を塗装して膜厚が55μm以上の硬化塗膜を形成させる場合に、温度が比較的低く且つ乾球温度と湿球温度との差が特定の範囲内となるように相対湿度が調整された雰囲気下で、未硬化の塗膜を予備乾燥することによって、予備乾燥後の塗膜を焼き付けてもワキの発生のない高品質な硬化塗膜を短時間でより確実に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の塗膜形成方法は、
被塗物の表面に水性二液型ウレタン塗料を塗装して未硬化の塗膜を形成する工程と、
乾球温度Tdryと湿球温度Twetが下記式(1)〜(2):
25℃≦Tdry≦45℃ (1)
15℃≦Tdry−Twet≦25℃ (2)
で表される条件を満たす雰囲気下で、前記未硬化の塗膜に3〜50分間の予備乾燥を施す工程と、
前記予備乾燥後の塗膜を焼付けて膜厚が55〜140μmの硬化塗膜を形成する工程とを含むことを特徴とする方法である。
本発明の塗膜形成方法においては、前記予備乾燥後の塗膜を赤外線と熱風とを併用して焼付けることが好ましい。
本発明によれば、水性二液型ウレタン塗料を塗装して厚膜の硬化塗膜を形成させる場合において、ワキの発生のない高品質な硬化塗膜を短時間でより確実に形成させることが可能となる。
本発明にかかる、乾球温度Tdry、乾球温度と湿球温度との差(Tdry−Twet)との関係を示す図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の塗膜形成方法は、
被塗物の表面に水性二液型ウレタン塗料を塗装して未硬化の塗膜を形成する工程(塗装工程)と、
乾球温度Tdryと湿球温度Twetが下記式(1)〜(2):
25℃≦Tdry≦45℃ (1)
15℃≦Tdry−Twet≦25℃ (2)
で表される条件を満たす雰囲気下で、前記未硬化の塗膜に3〜50分間の予備乾燥を施す工程(予備乾燥工程)と、
前記予備乾燥後の塗膜を焼付けて膜厚が55〜140μmの硬化塗膜を形成する工程(焼付工程)と、
を含む方法である。
本発明に用いられる水性二液型ウレタン塗料としては特に制限はなく、例えば、水酸基を有するバインダー樹脂を含有する主剤と、ポリイソシアナートを含有する硬化剤とからなるものなど、公知の水性二液型ウレタン塗料が挙げられる。また、前記バインダー樹脂としてはアクリル樹脂など水溶性の樹脂が挙げられる。このような、水性二液型ウレタン塗料は、従来の塗膜形成方法で厚膜の硬化塗膜を形成させるとワキが発生しやすかったが、本発明の塗膜形成方法を適用することによって、厚膜の硬化塗膜を形成させる場合であっても、ワキが発生せず、高品質の硬化塗膜を形成させることが可能となる。
本発明により塗装される被塗物としては特に制限はなく、金属製や樹脂製のものなど公知の被塗物が挙げられる。また、被塗物の形状についても特に制限はなく、平板状でも立体形状でもよい。このような被塗物のうち、厚膜の硬化塗膜を形成させるという観点から、重車両、建設機械、工作機械など被塗物である金属板が厚いもの、または鋳物などの被塗物に本発明の塗膜形成方法を適用して硬化塗膜を形成させることが好ましい。
また、前記被塗物には、表面を保護するために無機膜などの保護膜を形成する化成処理や基材表面の油脂を除去するための脱脂処理などの前処理が施されていてもよい。前記化成処理に用いられる化成剤としては、リン酸亜鉛系化成剤、リン酸鉄系化成剤、リン酸カルシウム系化成剤など公知の化成剤が挙げられる。前記脱脂処理に用いられる脱脂剤としては水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液、界面活性剤などが挙げられる。化成処理や脱脂処理の方法としては特に制限はなく、基材に化成剤や脱脂剤をスプレー噴霧する方法、化成剤や脱脂剤に基材を浸漬する方法などの公知の方法が挙げられる。
また、被塗物の表面に余分な薬剤が付着していると、形成した塗膜にムラが発生するため、水性二液型ウレタン塗料を塗装する前に、基材表面に水洗処理を施して化成処理や脱脂処理に由来する余分な薬剤を除去し、ムラの発生を抑制することが好ましい。水洗処理の方法としては特に制限はなく、被塗物に水をスプレー噴霧する方法、水に基材を浸漬する方法などの公知の方法が挙げられる。さらに、被塗物の表面に水などが付着していると塗膜形成にムラが生じやすいため、予め、被塗物を加熱して乾燥させることが好ましい。
次に、本発明にかかる各工程について説明する。
<塗装工程>
この工程では、被塗物の表面に水性二液型ウレタン塗料を塗装して未硬化の塗膜を形成する。このとき、焼付け後の硬化塗膜の膜厚が55〜140μm(好ましくは55〜100μm)となるように水性二液型ウレタン塗料を塗装する。焼付け後の膜厚が前記下限未満の場合には本発明の塗膜形成方法を適用する利点がなく、他方、前記上限を超えるように水性二液型ウレタン塗料を塗装すると未硬化塗膜(ウェット塗膜)の膜厚が著しく厚くなり、予備乾燥において塗膜中の水分を十分に蒸発させることが困難となり、その後の焼付け処理により塗膜内部の水分が蒸発してワキが発生したり、硬化塗膜の硬度が不十分なものとなる。
水性二液型ウレタン塗料を塗装する方法としては特に制限はなく、スプレーコーティング、ディップコーティング、刷毛塗り、ロールコーティング、シャワーコーティングなど公知の水性塗料の塗装方法が挙げられる。
<予備乾燥工程>
この工程では、乾球温度Tdryと湿球温度Twetが所定の条件を満たす雰囲気下で、前記未硬化の塗膜に予備乾燥を施す。このような予備乾燥により未硬化塗膜中の水分が十分に蒸発するため、その後の焼付け処理において、水とポリイソシアナートとの反応が起こりにくくなり、ウレア結合の生成を抑制したり、焼付け処理時の水分の蒸発が少なくなり、ワキの発生を防止したりすることが可能となる。なお、本発明において、湿球温度Twetは、棒状のアルコール温度計や水銀温度計において、温度計の球部を水で湿らせたガーゼ等の布で包んで湿らせた状態の温度計により測定される温度である。
本発明にかかる予備乾燥雰囲気においては、乾球温度Tdryと湿球温度Twetが下記式(1)〜(2):
25℃≦Tdry≦45℃ (1)
15℃≦Tdry−Twet≦25℃ (2)
で表される条件を満たす。図1は、乾球温度と湿球温度の差(Tdry−Twet)(x軸)、乾球温度Tdry(y軸)との関係を示すグラフである。グラフ中の長方形で表される領域には、Tdryと(Tdry−Twet)を実際に設定することが困難な範囲が含まれている。このTdryと(Tdry−Twet)を実際に設定することが困難な範囲は、TdryおよびTwetから算出される相対湿度が0%RH以下となる範囲であるが、このような範囲をグラフ中に厳密に表すことは不可能である。ただし、算出される相対湿度が0%RH以下となるかどうか、すなわち、TdryとTdry−Twetが実際に設定可能かどうかについては、以下のようにTdryおよびTwetにおける相対湿度を算出することによって確認することができる。先ず、TdryとTwetとを仮設定し、Twet(単位:℃)に対応する水(または氷)の飽和蒸気圧Ewetを下記式(3):
wet=6.11×10aTwet/(b+Twet) (3)
(式中、EwetはTwetにおける水(または氷)の飽和蒸気圧(単位:hPa)を表し、aおよびbは定数であり、乾球および湿球が氷結していない場合にはa=7.5、b=237.3であり、湿球が氷結している場合にはa=9.5、b=265.5である。)
により求める。次に、仮設定したTdryおよびTwetに対応する蒸気圧e(単位:hPa)をSprungの式:
e=Ewet−AP(Tdry−Twet)/755
(式中、Ewetは式(3)により求めたTwetにおける水(または氷)の飽和蒸気圧(単位:hPa)を表し、Pは予備乾燥雰囲気の気圧(hPa)を表し、Aは定数であり、湿球が氷結していない場合にはA=0.5であり、氷結している場合にはA=0.44である。)
により求める。また、仮定したTdry(単位:℃)における水の飽和蒸気圧Edryを下記式(4):
dry=6.11×10aTdry/(b+Tdry) (4)
(式(4)中、EdryはTdryにおける水の飽和蒸気圧(単位:hPa)を表し、aおよびbは前記式(3)中のaおよびbと同義である。)
により求める。Sprungの式により求めた蒸気圧eと前記式(4)により求めたTdryにおける水の飽和蒸気圧Edryから相対湿度(単位:%RH)を次式:
相対湿度=e/Edry×100
により求める。
このようにして求めた相対湿度が正の数値であれば、仮設定したTdryとTwetは実際に設定可能な条件であり、0%RH以下であれば、仮設定したTdryおよびTwetは実際に設定することが困難な条件であることが確認できる。
また、本発明にかかるTdryおよびTwetは、予備乾燥雰囲気の温度および湿度を、設定したTdryおよび算出した相対湿度となるように制御することによって調整することができる。
本発明において、予備乾燥雰囲気の乾球温度Tdryが25℃未満、または乾球温度と湿球温度の差(Tdry−Twet)が15℃未満になると予備乾燥において未硬化塗膜中の水分を十分に蒸発させることが困難となり、その後の焼付け処理により塗膜内部の水分が蒸発してワキが発生する。また、予備乾燥時間を十分取った場合でも、Tdryが25℃未満またはTdry−Twetが15℃未満では、予備乾燥工程において水が長時間存在するため、未硬化塗膜中のポリイソシアナートと水が反応してウレア結合が形成され、予備乾燥後の塗膜の表面にタック性(粘着性)が残り、硬化塗膜の外観品質が低下したり、指触による跡が消えなかったり、塗膜にマスキングテープなどを貼り付けた場合に、マスキングテープの剥離とともの塗膜も被塗物から剥がれるといった不具合が発生する。また工程が長くなり塗装効率が低下する傾向にある。他方、Tdryが45℃を超える場合、またはTdry−Twetが25℃を超える場合には、未硬化塗膜の表面近傍が優先して乾燥するために塗膜内部に水分が残存しやすく、その後の焼付け処理により塗膜内部の水分が蒸発してワキが発生する。
本発明にかかる予備乾燥工程において、予備乾燥時間は、3〜50分間である。予備乾燥時間が前記下限未満になると未硬化塗膜中の水分を十分に蒸発させることが困難となり、その後の焼付け処理により塗膜内部の水分が蒸発してワキが発生する。他方、前記上限を超えると工程が長くなり塗装効率が低下する。また、このような観点から前記予備乾燥時間としては10〜20分間が好ましい。なお、予備乾燥工程において予備乾燥時間を前記範囲のように設定すると、セッティングから焼付け終了までの時間が、従来より10〜57分間短縮することが可能になる。
このような予備乾燥工程においては、温度と湿度を制御できる乾燥機を用いて前記条件を満たす予備乾燥雰囲気を作製してもよいが、除湿装置またはヒートポンプを用いて乾球温度Tdryと湿球温度Twetが前記式(1)〜(2)で表される条件を満たす空気を作製し、この空気を乾燥機に循環させることが好ましい。
また、本発明においては、このような予備乾燥工程の前に、未硬化の塗膜を静置(セッティング)することが好ましい。これにより、ワキの発生がさらに抑制されたり、未硬化塗膜が十分にレベリングされ、高品質の硬化塗膜を得ることができる。このようなセッティングの温度としては、乾球温度で30℃以下が好ましい。なお、セッティング温度とはセッティング雰囲気中の温度を指す。セッティング温度が前記上限を超えると塗膜中に含まれた空気が抜ける前に塗膜表面の粘度が高くなり、ワキの発生が起こり易い傾向にある。また、セッティング時間としては5〜30分間が好ましい。セッティング時間が前記下限未満になると未硬化の塗膜が十分にレベリングされず、硬化塗膜の外観品質が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると未硬化塗膜中のポリイソシアナートと水が反応してウレア結合が形成され、塗膜の表面にタック性(粘着性)が残り、硬化塗膜の外観品質が低下したり、指触による跡が消えなかったり、塗膜にマスキングテープなどを貼り付けた場合に、マスキングテープの剥離とともの塗膜も被塗物から剥がれるといった不具合が発生する傾向にある。
本発明の塗膜形成方法により単層塗膜を形成する場合には、上記のようにして予備乾燥した未硬化塗膜に後述する焼付け処理を施す。一方、複層塗膜を形成する場合には、前記塗装工程と前記予備乾燥工程と後述する焼付工程を各層ごとに繰り返してもよいし(マルチコートマルチベーク)、前記塗装工程と前記予備乾燥工程を複数回繰り返して未硬化の複層塗膜を形成(ウェットオンウェット塗装)した後、後述する焼付け処理を一度に施してもよい(マルチコート1ベーク)。
<焼付工程>
この工程では、予備乾燥後の塗膜に焼付け処理を施す。これにより、膜厚が55〜140μmの硬化塗膜を形成することができる。このような焼付け処理としては特に制限はなく、公知の方法により塗膜の焼付けを行なうことができる。
本発明における焼付温度としては、前記予備乾燥後の塗膜が硬化する温度、すなわち、水性二液型ウレタン塗料の硬化温度以上の温度であれば特に制限はないが、例えば、60〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。焼付温度が前記下限未満になると塗膜が十分に硬化せず、硬化塗膜の硬度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると塗膜表面が先に硬化してから塗膜内部に残存する水が蒸発し、ワキが発生する傾向にある。
また、焼付時間としては15分間以上が好ましく、20分間以上がより好ましい。なお、本発明において焼付時間とは、室温から焼付温度までの昇温時間と焼付温度での保持時間の合計時間である。焼付時間が前記下限未満になると塗膜が十分に硬化せず、硬化塗膜の硬度が低下する傾向にある。特に、焼付温度までの昇温時間が短くなりすぎると塗膜の温度が急激に上昇してワキが発生する傾向にあるため、焼付温度までの昇温時間としては5分間以上が好ましい。また、焼付温度での保持時間が短くなりすぎると塗膜が十分に硬化せず、硬化塗膜の硬度が低下する傾向にあるため、焼付温度での保持時間としては5分間以上が好ましい。
このような焼付工程に用いられる加熱方法としては、熱風、赤外線照射、電子線照射、誘導加熱などによる方法が挙げられるが、高硬度の硬化塗膜を形成でき、また、硬化塗膜の形成時間が短縮できるという観点から、赤外線照射と熱風とを併用することが好ましい。赤外線照射により焼付温度までの昇温時間を短くすることができ、熱風により焼付温度での保持を安定して行なうことが可能となる。赤外線の種類は特に規定しないが、遠赤外線を使用することが好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
予め、脱脂処理、リン酸亜鉛による化成処理および水洗処理を施した被塗物(表面材質:Fe、寸法:150mm×70mm×0.8mm)の表面に、焼付け後の硬化塗膜の膜厚が70μmとなるようにエアスプレーガンを用いて水性二液型ウレタン塗料(日本ペイント(株)製「オーデウレトップ」)を吹付け、未硬化の塗膜を形成した。
この未硬化の塗膜を備える前記被塗物を、15℃で10分間セッティングした後、ヒートポンプ式除湿装置を用いてTdry=35℃、Tdry−Twet=15℃に調整した空気を循環させた乾燥機に入れ、10分間予備乾燥を行なった。
予備乾燥後の被塗物を遠赤外線照射装置を備える熱風乾燥機に入れ、遠赤外線と熱風を併用して80℃で20分間の焼付け処理を行い、膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。なお、前記焼付時間(20分間)は、室温から焼付温度(80℃)までの昇温時間(10分間)と焼付温度での保持時間(10分間)の合計時間である。
(実施例2)
予備乾燥条件をTdry=40℃、Tdry−Twet=15℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例3)
予備乾燥条件をTdry=40℃、Tdry−Twet=20℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例4)
予備乾燥条件をTdry=45℃、Tdry−Twet=15℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例5)
予備乾燥条件をTdry=45℃、Tdry−Twet=20℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例6)
予備乾燥条件をTdry=45℃、Tdry−Twet=25℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例7)
予備乾燥条件をTdry=30℃、Tdry−Twet=15℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例8)
予備乾燥条件をTdry=36℃、Tdry−Twet=20℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして作製した未硬化の塗膜を備える前記被塗物を15℃で10分間セッティングした後、赤外線照射装置を備える熱風乾燥機に入れ、赤外線と熱風を併用して80℃で20分間の焼付け処理を行い、膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。なお、前記焼付時間(20分間)は、室温から焼付温度(80℃)までの昇温時間(10分間)と焼付温度での保持時間(10分間)の合計時間である。
(比較例2)
予備乾燥条件をTdry=35℃、Tdry−Twet=10℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例3)
予備乾燥条件をTdry=40℃、Tdry−Twet=10℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例4)
予備乾燥条件をTdry=50℃、Tdry−Twet=25℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例5)
予備乾燥条件をTdry=49℃、Tdry−Twet=30℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例6)
予備乾燥条件をTdry=60℃、Tdry−Twet=35℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例7)
予備乾燥条件をTdry=25℃、Tdry−Twet=11℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例8)
予備乾燥条件をTdry=20℃、Tdry−Twet=10℃に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(参考例1)
実施例1と同様にして作製した未硬化の塗膜を備える前記被塗物を15℃で30分間セッティングした後、熱風乾燥機に入れ、60℃の熱風で60分間の焼付け処理を行い、膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。なお、前記焼付時間(60分間)は、室温から焼付温度(60℃)までの昇温時間(15分間)と焼付温度での保持時間(45分間)の合計時間である。
<外観観察>
実施例1〜8、比較例1〜8および参考例1で得られた塗装物の硬化塗膜を目視により観察し、以下の基準で判定した。その結果を表1に示す。
A:ワキの発生なし
A−:ワキが微細に発生(Aよりやや劣るが、Bほどではない状態)
B:ワキが若干発生
C:ワキが顕著に発生
Figure 2011230033
表1および図1に示した結果から明らかなように、乾球温度と湿球温度が所定の条件を満たす雰囲気下で未硬化塗膜に予備乾燥を施した場合(実施例1〜8)には、予備乾燥を実施しなかった場合(比較例1)、予備乾燥条件が本発明にかかる条件の範囲外である場合(比較例2〜8)に比べて、ワキの発生がない外観に優れた硬化塗膜を形成することができた。また、本発明の塗膜形成方法によれば、本発明にかかる予備乾燥を行わず、熱風による焼付けを行う従来の塗膜形成方法(参考例1)に比べて、塗装工程全体に要した時間が短いにもかかわらず、従来の塗膜形成方法と同等のワキの発生がない外観に優れた硬化塗膜を形成することができた。
(実施例9)
焼付け後の硬化塗膜の膜厚が55μmとなるように水性二液型ウレタン塗料を吹付けた以外は実施例5と同様にして膜厚が55μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例10)
焼付け後の硬化塗膜の膜厚が100μmとなるように水性二液型ウレタン塗料を吹付けた以外は実施例5と同様にして膜厚が100μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例11)
焼付け後の硬化塗膜の膜厚が140μmとなるように水性二液型ウレタン塗料を吹付けた以外は実施例5と同様にして膜厚が140μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例12)
焼付温度(80℃)での保持時間を10分間から5分間に変更した以外は実施例9と同様にして膜厚が55μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例13)
予備乾燥後の被塗物を熱風乾燥機に入れ、熱風により80℃で20分間の焼付け処理を実施した以外は実施例5と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。なお、前記焼付時間(20分間)は、室温から焼付温度(80℃)までの昇温時間(15分間)と焼付温度での保持時間(5分間)の合計時間である。
(比較例9)
焼付け後の硬化塗膜の膜厚が150μmとなるように水性二液型ウレタン塗料を吹付けた以外は実施例5と同様にして膜厚が150μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例10)
焼付け後の硬化塗膜の膜厚が140μmとなるように水性二液型ウレタン塗料を吹付けた以外は比較例1と同様にして膜厚が140μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
<外観観察>
実施例9〜13および比較例9〜10で得られた塗装物の硬化塗膜を目視により観察し、前記基準で判定した。その結果を表2に示す。なお、表2には、比較例1および参考例1で得られた塗装物の硬化塗膜についての結果も示した。
<硬度>
実施例9〜13、比較例1、9〜10および参考例1で得られた塗装物の硬化塗膜の硬度を、以下の方法により測定し、判定した。すなわち、硬化塗膜の水平な面に鉛筆(三菱鉛筆(株)製「日塗検検査済 鉛筆引かき値試験用」)を押しつけて動かし、鉛筆の芯による傷跡の有無を目視により観察した。押しつける鉛筆の硬度を次第に高くして同様の観察を行い、傷跡が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を硬化塗膜の鉛筆硬度とし、下記基準で判定した。
A:鉛筆硬度HB以上。
B:鉛筆硬度B以下。
−:測定不能。
Figure 2011230033
表2に示した結果から明らかなように、硬化塗膜の膜厚が55〜100μmである場合(実施例9〜10、12〜13)には、本発明にかかる予備加熱を施すことによってワキの発生がない外観に優れた硬化塗膜を形成することができた。一方、硬化塗膜の膜厚が150μmの場合(比較例9)には、本発明にかかる予備加熱を施してもワキが発生し、しかも硬度に劣る硬化塗膜が形成された。また、膜厚が140μmの場合には、予備乾燥を実施しないとワキが発生し、しかも硬度に劣る硬化塗膜が形成された(比較例10)が、本発明にかかる予備加熱を施すことによってワキの発生が少なく、高硬度の硬化塗膜を形成することができた(実施例11)。
さらに、実施例9と実施例12を比較すると、焼付時間(特に、焼付温度での保持時間)を長くすることによって硬化塗膜の硬度が向上することが確認された。
また、実施例5と実施例13を比較すると、熱風単独の場合より赤外線と熱風を併用した場合の方が同じ焼付時間において高硬度の硬化塗膜を形成できることが確認された。
(実施例14)
厚さ0.4mmの被塗物を用いた以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例15)
厚さ50.0mmの被塗物を用いた以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例16)
厚さ500.0mmの被塗物を用いた以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
<外観観察>
実施例14〜16で得られた塗装物の硬化塗膜を目視により観察し、前記基準で判定した。その結果を表3に示す。
Figure 2011230033
表3に示した結果から明らかなように、被塗物の膜厚が0.4〜500.0mmである場合(実施例2、14〜16)には、本発明にかかる予備加熱を施すことによってワキの発生がない外観に優れた硬化塗膜を形成することができた。
(実施例17)
予備乾燥時間を3分とした以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例18)
予備乾燥時間を15分とした以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(実施例19)
予備乾燥時間を50分とした以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例11)
予備乾燥時間を0分とした以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
(比較例12)
予備乾燥時間を60分とした以外は実施例2と同様にして膜厚が70μmの硬化塗膜を備える塗装物を得た。
<外観観察>
実施例17〜19、比較例11〜12で得られた塗装物の硬化塗膜を目視により観察し、前記基準で判定した。その結果を表4に示す。
<硬度>
実施例17〜19、比較例11〜12で得られた塗装物の硬化塗膜の硬度を前記方法により測定し、判定した。
Figure 2011230033
表4に示した結果から明らかなように、乾球温度と湿球温度が所定の条件を満たす雰囲気下で未硬化塗膜に所定時間の予備乾燥を施した場合(実施例17〜19)には、予備乾燥時間が本発明にかかる条件の範囲外である場合(比較例11〜12)に比べて、ワキの発生がない、高硬度の硬化塗膜を形成することができた。
以上説明したように、本発明によれば、水性二液型ウレタン塗料を塗装して厚膜の硬化塗膜を形成させる場合において、ワキの発生のない高品質な硬化塗膜を短時間でより確実に形成させることが可能となる。
したがって、本発明の塗膜形成方法は、水性二液型ウレタン塗料を塗装して厚膜の硬化塗膜を形成させる場合に適しているため、重車両、建設機械、工作機械や、鋳物など厚膜塗装をする必要がある被塗物に対する塗膜形成方法として有用である。

Claims (2)

  1. 被塗物の表面に水性二液型ウレタン塗料を塗装して未硬化の塗膜を形成する工程と、
    乾球温度Tdryと湿球温度Twetが下記式(1)〜(2):
    25℃≦Tdry≦45℃ (1)
    15℃≦Tdry−Twet≦25℃ (2)
    で表される条件を満たす雰囲気下で、前記未硬化の塗膜に3〜50分間の予備乾燥を施す工程と、
    前記予備乾燥後の塗膜を焼付けて膜厚が55〜140μmの硬化塗膜を形成する工程と
    を含むことを特徴とする塗膜形成方法。
  2. 前記予備乾燥後の塗膜を赤外線と熱風とを併用して焼付けることを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
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