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JP2011222842A - エピタキシャルウェーハの製造方法、エピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法 - Google Patents

エピタキシャルウェーハの製造方法、エピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法 Download PDF

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JP2011222842A JP2010091990A JP2010091990A JP2011222842A JP 2011222842 A JP2011222842 A JP 2011222842A JP 2010091990 A JP2010091990 A JP 2010091990A JP 2010091990 A JP2010091990 A JP 2010091990A JP 2011222842 A JP2011222842 A JP 2011222842A
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幸治 江原
Shizuo Igawa
静男 井川
Tetsuya Oka
鉄也 岡
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

【課題】欠陥のほとんどないシリコンエピタキシャル層を形成できるエピタキシャルウェーハの製造方法、当該方法により製造されたエピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法を提供することを目的とする
【解決手段】前記シリコン基板に急速熱処理を施すことによって、少なくとも前記シリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させるRIE欠陥消滅工程と、前記RIE法により検出される欠陥を消滅させたシリコン基板の表面上に前記シリコンエピタキシャル層を形成する工程とを具備するエピタキシャルウェーハの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン基板上にエピタキシャル層を形成するエピタキシャルウェーハの製造方法、当該方法により製造されたエピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法に関する。
近年の半導体素子の高集積化・高性能化に伴い、半導体中の結晶欠陥、特に表面および表面近傍の結晶欠陥の低減が重要になってきている。このため、シリコン基板上に結晶性の優れたエピタキシャル層を形成したエピタキシャルウェーハの需要は年々高まっている。
ここでエピタキシャルウェーハの製造方法について、枚葉式気相成長を例に説明する(特許文献5参照)。図6は、一般的な枚葉式の気相成長装置の概略図である。
図6に示す気相成長装置100は、シリコン基板Wが載置される座ぐり101aを有する厚さ数mmのサセプター101と、該サセプター101を下面側から支持して回転駆動するサセプター支持部材103と、シリコン基板Wを加熱するための加熱装置104と、反応ガスを反応容器102内に導入する反応ガス導入管105と、これと同じ側に設けられパージガスを導入するパージガス導入管106と、ガスを排気する排気管107を備えて構成されている。
まず、シリコン基板Wを、反応容器102内にある円盤状のサセプター101上に載置する。反応容器102内は、あらかじめ、反応ガス導入管105及びパージガス導入管106から水素ガスが導入されている。次いで、シリコン基板Wを、加熱装置104により所定温度(例えば1000℃から1200℃程度)にまで加熱する。次に、シリコン基板Wに、反応ガス導入管105から塩化水素ガスを導入して気相エッチングを0.1μm〜0.3μm程度行う気相エッチング工程、あるいは、水素ガスを流しながら所定温度で10−30秒程度保持する水素アニールを実施する。次に、シリコン基板Wの温度を成長温度にする。そして、反応ガス(例えばトリクロロシラン(TCS)及びキャリアガス(例えば水素ガス)を反応ガス導入管105から供給し、シリコン基板W上にエピタキシャル層を気相成長(気相成長工程)させて、エピタキシャルウェーハを製造することができる。この製造したエピタキシャルウェーハを、設定温度(例えば700℃程度)まで降温し、気相成長装置100より取り出す。
ここで、エピタキシャル層成長前に塩化水素による気相エッチングを行う効果は、シリコン基板表層に存在する線状形状欠陥を、エッチングにより消えやすい形状に変化させることができるため、その後、気相成長工程を行うことにより欠陥をエピタキシャル層に埋没させて殆ど観測されないくらいに消滅させることができる。これ以外にも、気相エッチング工程を行うと、エピタキシャル層に積層欠陥が発生することを抑制できることが知られている。
このように、シリコン基板表層にエピタキシャル層に欠陥を誘発あるいは完全に消滅させることができずに残存してしまう欠陥がある場合を考慮し、予めこれらの欠陥を消えやすい形にしたり、あるいは欠陥を取り除くために、エピタキシャル成長工程においてはエピタキシャル成長ステップの前に、塩化水素ガスによる気相エッチングを行う場合と、Hアニールを行う場合の2種類の工程があり、どちらも広く量産工程で採用されている。
しかし、エピタキシャルウェーハ製造の問題点としては、例えばCOP等のグローイン欠陥が存在するシリコン基板上にエピタキシャル層を形成した場合、上記のような気相エッチング等を予め行っても、エピタキシャル層に欠陥が発生してしまうことがあった。
このグローイン欠陥は、CZ法で単結晶育成する際に、シリコン単結晶に取り込まれたベーカンシー(Vacancy、以下Vaと略記すことがある)と呼ばれる空孔型の点欠陥及びインタースティシアル−シリコン(Interstitial−Si、以下Iと略記すことがある)と呼ばれる格子間型シリコン点欠陥が、結晶冷却中に過飽和になって、酸素とともに凝集した複合欠陥であり、FPD、LSTD、COP、OSF等がある。また、このようなグローイン欠陥の評価をする方法としては、RIE法等がある(特許文献10参照)。
これらの欠陥を説明するに当たって、先ず、シリコン単結晶に取り込まれるVaとIのそれぞれの取り込まれる濃度を決定する因子について、一般的に知られていることを説明する。
図7(a)は、特許文献1に記載されたCZ法で育成したシリコン単結晶インゴットの欠陥領域と引き上げ速度の関係を示す説明図であり、図7(b)は、シリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン単結晶ウェーハの面内欠陥分布を示す説明図である。
図7(a)は、単結晶育成時の引き上げ速度V(mm/min)を変化させることによって、シリコン融点から1300℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値G(℃/mm)との比であるV/Gを変化させたものである。
一般に、単結晶内の温度分布は、CZ炉内構造(以下、ホットゾーン(HZ)という)に依存しており、引き上げ速度を変えてもその分布は殆ど変わらないことが知られている。このため、同一構造のCZ炉の場合は、V/Gは引き上げ速度の変化のみに対応することになる。即ち、引き上げ速度VとV/Gは近似的には正比例の関係がある。したがって、図7(a)の縦軸には引き上げ速度Vを用いている。
図7(a)に示すように、引き上げ速度Vが比較的高速な領域では、上述したベーカンシーと呼ばれる点欠陥である空孔が凝集したボイドと考えられるFPD、LSTD、COP等のグローイン欠陥が結晶径方向のほぼ全域に高密度に存在し、これらの欠陥が存在する領域はV−Rich領域と呼ばれている。
成長速度を遅くしていくと、結晶周辺部に発生していたOSFリングが結晶内部に向かって収縮していき、ついには消滅する。さらに成長速度を遅くすると、VaやIの過不足が少ないニュートラル(Neutral:以下Nという)領域が出現する。このN領域はVaやIの偏りはあるが飽和濃度以下であるため、凝集してグローイン欠陥とはならない。
このN領域は、Vaが優勢なNv領域とIが優勢なNi領域に分別される。Nv領域のウェーハでは、熱酸化処理した際に酸素析出物(Bulk Micro Defect、以下BMDという)が多く発生し、一方Ni領域のウェーハではこの酸素析出物が殆ど発生しないことがわかっている。
更に成長速度を遅くするとIが過飽和となり、その結果、Iが集合した転位ループと考えられるL/D(Large Dislocation:格子間転位ループの略語、LSEPD、LEPD等)のグローイン欠陥が低密度に存在するI−Rich領域と呼ばれる領域になる。
これらのことから、結晶の中心から径方向全域に渡ってN領域となるような範囲に成長速度を制御しながら引き上げた単結晶を切断、研磨することにより、ウェーハ全面がN領域になる極めて欠陥の少ないウェーハを得ることができる。
例として、図7(a)のA−Aの位置から切り出したウェーハは、図7(b)に示すようにウェーハ全面がNv領域となる。図7(a)のB−Bの位置から切り出したウェーハは、図7(b)に示すようにウェーハ中心部がNv領域で、その外周部がNi領域となるなる。図7(a)のC−Cから切り出したウェーハは、図7(b)に示すようにウェーハ全面がNi領域となる。
しかし、上記したようなN領域のシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板上にシリコンエピタキシャル層を形成してもエピタキシャル層に欠陥が生じる場合があり、エピタキシャル層の欠陥を抑制する方法として、例えば特許文献6に記載されている方法がある。
特許文献6では、常圧下でエピタキシャル成長するとエピタキシャル層の厚さが2μm以上でないとエピタキシャル層表面にCOPの消え残りが発生すると記載されている。この対策として、特許文献6では、シリコン基板を1150〜1200℃で1〜10分間、Hガス雰囲気中で熱処理した後に、常圧下でエピタキシャル成長する場合は0.4μm以上、減圧下でエピタキシャル成長する場合は4μm以上の厚さのエピタキシャル層を形成することで、大きさ130nm以上のCOPの消え残りが0.3個/cm以下に抑制できると報告している。
しかしながらデバイスの微細化が進展した現在では、欠陥サイズの要求は50nm以下のサイズの欠陥発生がないことが要求されており、要求品質を満足できない状況となっている。また、COPの消え残りを無くすためには、ある厚さ以上のエピタキシャル層を形成する必要がある点や、減圧下のエピタキシャル成長条件は圧力200Torr以上でないと効果がない点から、成長条件に制約があるといった問題点がある。
このようなシリコン基板表面のCOP、OSF核、酸素析出物等のような酸素関連の欠陥を縮小あるいは消滅させるためには、酸素濃度を固溶限以下にする必要がある。例えば通常の熱処理炉を用いて1150℃以上で熱処理し、酸素の外方拡散を利用して表層の酸素濃度を低下させることにより固溶限以下にする方法で欠陥を縮小あるいは消滅させることができる。しかし、熱処理時間が長いため、酸素の外方拡散により表層の酸素濃度が著しく低下してしまい、表層の機械的強度も低下し、エピタキシャル成長を行うとスリップ転位が発生しやすいという問題点もある。
また、特許文献6に記載のCOPを消滅あるいは縮小させるための熱処理をエピタキシャル炉中で行い、その後連続してエピタキシャル成長を行う方法も考えられる。しかし、この場合においてもエピタキシャル成長工程中で1分〜10分の熱処理を行うと、特に枚葉式気相成長装置の場合、エピタキシャルウェーハの生産性が著しく低下するため生産コストの増大を招くといった問題点もある。
また、特許文献7には、COPのサイズが130nm以下のシリコン基板を用いて1100℃以上の温度で等温・等圧の熱処理後に連続してエピタキシャル層を形成する一連のアニール−エピタキシャル工程を行うことにより、アニール工程でCOP形状を浅い形状にすることができ、その後連続して行うエピタキシャル成長でCOPを埋めることができると報告されている。
しかし、120nm以上のサイズのCOPの消え残りのデーターであり、上記したように、デバイスの微細化が進展した現在では、欠陥サイズの要求は50nm以下のサイズの欠陥発生がないことが要求されており、要求品質を満足できない状況となっている。またCOPの消え残りを無くすためには、ある厚さ以上のエピタキシャル層を形成する必要がある点は、特許文献6と基本的に同様である点や、シリコン基板のCOPサイズを130nm以下にする必要があるといった制約があり、問題である。
特許文献6及び特許文献7の問題点は、いずれもエピタキシャル成長前の熱処理でCOP等を消えやすい形あるいは縮小させて、エピタキシャル成長中に完全に消滅あるいはCOPの溝を埋めることにより、欠陥を消滅させるため、当然エピタキシャル成長条件に制約を生じるという根本的な問題がある。
また、エピタキシャルウェーハの一般的な問題として、上記シリコン基板表面の欠陥以外に、エピタキシャル成長は、通常1100℃以上の水素雰囲気中で行われるために、基板内部に格子間シリコンの注入が生じ、シリコン基板中に存在する酸素析出物が消滅してしまうため、必要なBMDが得られないという問題がある。
このようなBMDがデバイス活性領域以外のバルクに存在すると、デバイスプロセス中に混入した金属不純物を捕獲するゲッタリングサイトとして機能するため有効である。
また、BMDはサイズが小さい場合は転位の運動を抑制するため、ウェーハの強度を高める作用、所謂析出強化の作用を発揮し有効であるが、密度が高すぎたりBMDサイズが大きすぎると、ウェーハに大きなソリが生じるといった弊害が発生するため、密度とサイズを、使用するデバイスに応じて適切な範囲に制御することが重要であり、そのためにはBMDを精度良く制御する技術が重要である。
近年、BMDのほとんど発生しないNi領域等のシリコン基板内部に、BMDを形成する方法として、RTP(Rapid Thermal Process)処理する方法(以下、急速加熱・急速冷却処理、または急速熱処理ともいう)が提案されている。
このRTP処理とは、N、NH等の窒化物形成雰囲気ガス、あるいは、これらのガスとAr、H等の窒化物非形成雰囲気ガスとの混合ガスの雰囲気中で、例えば50℃/秒といった昇温速度で室温から急速昇温し、1200℃前後の温度で数十秒程度加熱保持した後、例えば50℃/秒といった降温速度で急速に冷却する熱処理方法である。
ここで、RTP処理後に酸素析出熱処理を行うことによって、BMDが形成されるメカニズムについて、簡単に説明する(特許文献2、特許文献3参照)。
まず、RTP処理では、例えばN雰囲気中で1200℃という高温保持中にウェーハ表面よりVaの注入が起こり、1200℃から700℃の温度範囲を例えば5℃/秒という降温速度で冷却する間に、Vaの拡散による再分布及びIとの消滅が起きる。
その結果、バルク中にはVaが不均一に分布した状態になる。このような状態のウェーハを例えば800℃で熱処理すると、高いVa濃度の領域では酸素が急速にクラスター化するが、低いVa濃度の領域では酸素がクラスター化しない。
次いで、この状態で例えば1000℃で一定時間熱処理すると、クラスター化した酸素が成長してBMDが形成される。このように、RTP処理後のシリコン基板に酸素析出熱処理を施すと、RTP処理で形成されたVaの濃度プロファイルに従って、ウェーハ深さ方向に分布を有するBMDが形成されることになる。したがって、RTP処理の雰囲気や最高温度、保持時間等の条件を制御して行うことにより、シリコン基板に所望のVa濃度プロファイルを形成し、その後シリコン基板に酸素析出熱処理を行うことによって、所望のDZ幅及び深さ方向のBMDプロファイルを有するウェーハを製造することができる。
また、特許文献4には、酸素ガス雰囲気中でRTP処理すると、表面に酸化膜が形成されることにより酸化膜界面からウェーハ内にIが注入され、BMD形成が抑制されることが開示されている。
このようにRTP処理は雰囲気ガス、最高保持温度および他の条件により、BMD形成を促進することも、逆に抑制することも可能である。またRTP処理は、極めて短時間のアニールであるため、酸素の外方拡散が殆ど発生せず、ウェーハ表層での酸素濃度の低下は少ない。
また、特許文献8には、シリコン基板を1200℃以上かつ融点以下の温度で10〜30秒の急速加熱・急速冷却の熱処理(RTP処理)を行うことにより、シリコン基板中に空孔を新たに形成し、その後1170℃以下でRTP処理温度より30℃以上低い温度でエピタキシャル成長する製造方法が開示されている。
特許文献8には、BMDを制御するにはRTP温度とエピタキシャル成長温度との差は65−115℃が良いと記載されている。このため、特許文献8では、エピタキシャル成長温度を1170℃以下と規定していることから、RTP温度は最大でも1285℃であることになる。実際、特許文献8の実施例のRTP処理の最高温度は1200℃である。この方法は確かにエピタキシャルウェーハにBMDを形成するには有効であるが、エピタキシャル成長用のシリコン基板のCOPなどのグローイン欠陥についての検討がされていない。
一方、RTP処理によりCOPやOSFといったグローイン欠陥が消滅するといった報告もなされている。
例えば特許文献9には、水素ガス雰囲気で1200℃以上の温度でRTP処理することによりCOPが消滅し、表層にDZ層が形成され、酸化膜信頼性のひとつであるTZDB(Time Zero Dielectric Breakdown)特性と長期信頼性である経時絶縁破壊特性であるTDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)特性が改善することが開示されている。
特開2007−191320号公報 特開2001−203210号公報 特表2001−503009号公報 特開2003−297839号公報 特開2003−197547号公報 特許第3763629号公報 特開2001−68420号公報 特許第3791446号公報 特開平10−326790号公報 特開2000−58509号公報 特開2009−249205号公報
しかし、上記いずれの方法でも、シリコンエピタキシャル層に生じる50nm以下のサイズの欠陥を十分に抑制することはできなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、欠陥のほとんどないシリコンエピタキシャル層を形成できるエピタキシャルウェーハの製造方法、当該方法により製造されたエピタキシャルウェーハ及び撮像用デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板の表面上にシリコンエピタキシャル層を形成してエピタキシャルウェーハを製造する方法であって、少なくとも、前記シリコン基板に急速熱処理を施すことによって、少なくとも前記シリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させるRIE欠陥消滅工程と、前記RIE法により検出される欠陥を消滅させたシリコン基板の表面上に前記シリコンエピタキシャル層を形成する工程とを具備することを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法を提供する。
このように、シリコン基板に急速熱処理を施すことによって、少なくともシリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させるRIE欠陥消滅工程を行うことによって、シリコン基板の表層を研磨、気相エッチング等により除去しても、シリコン基板表面に欠陥が露出することもなく、その後の工程において、欠陥のほとんどないシリコンエピタキシャル層を成長条件等によらず形成することができる。さらに、シリコンエピタキシャル層形成前の研磨、気相エッチング等を十分に行うことができるため、汚染や欠陥をより低減することができる。また、急速熱処理であれば、内部のBMD密度を効果的に制御することができる。
以上より、本発明によれば、所望のBMD密度を有し、欠陥のほとんどない高品質のエピタキシャルウェーハを製造することができる。
このとき、前記RIE欠陥消滅工程において、前記急速熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、窒化膜形成雰囲気ガス及びArガスのうちの少なくとも一種類のガスを含む雰囲気で1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間施し、前記シリコンエピタキシャル層形成工程において、前記シリコン基板の表面上に1175℃以下の成長温度で前記シリコンエピタキシャル層を形成することができる。
このように、急速熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、窒化膜形成雰囲気ガス及びArガスのうちの少なくとも一種類のガスを含む雰囲気で1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間施すことにより、少なくともシリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を確実に消滅させることができ、同時にシリコン基板内部に新たな空孔を形成することができる。そして、シリコンエピタキシャル層形成工程で、欠陥の無いシリコンエピタキシャル層を形成しながら、1175℃以下の成長温度であれば、急速熱処理より125℃以上低温であるため、形成した新たな空孔がエピタキシャル層形成工程で消滅することも抑制できる。これにより、デバイス作製工程等の際に、BMD形成が大幅に促進されてゲッタリング能力を効率的に向上させることができる。
また、前記RIE欠陥消滅工程において、前記急速熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、酸素雰囲気で1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間施し、前記シリコンエピタキシャル層形成工程において、前記シリコン基板の表面上に1175℃以下の成長温度で前記シリコンエピタキシャル層を形成することができる。
このように、急速熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、酸素雰囲気で1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間施すことによって、少なくともシリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を確実に消滅させることができ、同時にシリコン基板内部に新たな格子間シリコンを形成することができる。そして、シリコンエピタキシャル層形成工程で、欠陥の無いシリコンエピタキシャル層を形成しながら、1175℃以下の成長温度であれば、急速熱処理より125℃以上低温であるため、形成した新たな格子間シリコンがエピタキシャル層形成工程で消滅することも抑制できる。これにより、デバイス作製工程等の際に、BMD形成を抑制することもできる。
このとき、シリコン基板を、全面がOSF領域、全面がN領域、又はOSF領域及びN領域が混合した領域であるシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン単結晶ウェーハとすることが好ましい。
このように、シリコン基板を、全面がOSF領域、全面がN領域、又はOSF領域及びN領域が混合した領域であるシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン単結晶ウェーハとすれば、急速熱処理によって、シリコン基板の表面からより深い領域に存在する欠陥を消滅させることができ、シリコンエピタキシャル層形成前の研磨、エッチング等を十分に行っても、シリコン基板表面に欠陥の露出が無く、より高品質のエピタキシャルウェーハを製造することができる。
このとき、前記シリコン基板を、9×1017atoms/cm(JEIDA:日本電子工業振興協会による換算係数)以下の濃度の酸素を含有するシリコン単結晶ウェーハとすることが好ましい。
このように、シリコン基板を、9×1017atoms/cm(JEIDA)以下の濃度の酸素を含有するシリコン単結晶ウェーハとすることで、グローイン欠陥のサイズがより小さいため、急速熱処理によって容易に欠陥を消滅させることができる。
このとき、前記シリコン基板を、1×1011〜1×1015atoms/cmの濃度の窒素及び/又は1×1016〜1×1017atoms/cmの濃度の炭素を含有するシリコン単結晶ウェーハとすることが好ましい。
このように、シリコン基板を、1×1011〜1×1015atoms/cmの濃度の窒素及び/又は1×1016〜1×1017atoms/cmの濃度の炭素を含有するシリコン単結晶ウェーハとすることで、製造されるシリコンエピタキシャルウェーハの強度をより向上させることができ、BMD形成促進も、より効率的に行うことができる。
また、本発明のエピタキシャルウェーハの製造方法により製造されたものであることを特徴とするエピタキシャルウェーハを提供する。
本発明のエピタキシャルウェーハの製造方法により製造されたエピタキシャルウェーハであれば、所望のBMD密度を有し、欠陥のほとんどない高品質のエピタキシャルウェーハとすることができる。
また、本発明のエピタキシャルウェーハを用いて撮像用デバイスを製造することを特徴とする撮像用デバイスの製造方法を提供する。
本発明のエピタキシャルウェーハであれば、欠陥がほとんどなく、ウェーハ全体にわたって均一なBMDを有するため、撮像用デバイスの製造に用いることで、CCDやMOSイメージセンサーの特性の面内バラツキを低減することができる。
以上のように、本発明によれば、所望のBMD密度を有し、欠陥のほとんどない高品質のエピタキシャルウェーハを製造することができる。
本発明のエピタキシャルウェーハの製造方法の実施態様の一例を示すフロー図である。 シリコン単結晶の引き上げ速度V、引き上げたシリコン単結晶から得られたシリコン単結晶ウェーハをRTP処理するときの温度、RTP処理後のウェーハについてTDDB特性を評価した結果の関係を示した説明図である。 シリコン単結晶インゴットの成長速度と各欠陥分布を示す。 急速加熱・急速冷却装置を示す概略図である。 RIE法による欠陥の評価を説明するための説明図である。 一般的な枚葉式の気相成長装置の概略図である。 図7(a)CZ法で育成したシリコン単結晶インゴットの欠陥領域と引き上げ速度の関係を示す説明図であり、図7(b)シリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン単結晶ウェーハの面内欠陥分布を示す説明図である。 単結晶引き上げ装置の概略図である。
近年のデバイスにおいては、デバイス動作領域には酸素関連のグローイン欠陥やグローイン酸素析出物がなく、しかも、デバイス動作領域より深いバルクにおいてはBMDが適切に制御されたエピタキシャルウェーハが有効である。
そこで、本発明者らは、従来技術について考察するとともに、上記のようなエピタキシャルウェーハを得るために、RTP処理やTDDB特性、RIE欠陥、さらにはウェーハ表層の酸素濃度の関係について鋭意研究を行った。
まず、前述した特許文献2には、シリコン基板としてVaやIの凝集体の存在しないN領域の単結晶から切り出し、全面がN領域からなるシリコン基板をRTP処理する方法が記載されている。
この方法の場合は、材料となるシリコン基板中にグローイン欠陥が存在しないため、RTP処理しても問題ないように考えられるが、全面がN領域のシリコン基板を準備し、RTP処理を行った後、酸化膜の長期信頼性であるTDDB特性を測定すると、シリコン基板のNv領域においてTZDB特性は殆ど低下しないが、TDDB特性は低下する場合がある(特許文献1参照)。
図2は、特許文献1に記載されたシリコン単結晶の引き上げ速度V、引き上げたシリコン単結晶から得られたシリコン単結晶ウェーハをRTP処理するときの温度、RTP処理後のウェーハについてTDDB特性を評価した結果(○:良好、△:やや低下、×:低下)の関係を示した説明図である。
図2から分かるように、引き上げ速度Vが0.56mm/min以下の場合、すなわち図7(a)に示すウェーハ全面がNi領域の場合、そのウェーハをRTP処理し、その後にTDDB特性を評価すると、RTP処理温度とは無関係にTDDB特性は良好である。
しかしながら、0.57mm/minで引き上げられたシリコン単結晶インゴットから切り出されたウェーハの場合は、RTP処理温度が1190℃以上になると酸化膜の真性故障モードであるγモードの良品率が低下し、1270℃でも低下したままであることが判る。
該ウェーハは、図7(b)で示したB−Bのウェーハに相当し、中心がNv領域で、その外周部にNi領域が存在するウェーハである。
ここで、特許文献1の実験結果ではRTP処理によりTDDB特性が低下しているのに対して、特許文献9の図5、6に開示された結果では、1200℃以上の温度でRTP処理するとTZDB特性、TDDB特性は共に改善しており、矛盾しているように考えられる。
特許文献1と特許文献9との違いは、特許文献1がNv領域とNi領域混在のウェーハを用いて、NHとArガスの混合ガス雰囲気中でRTP処理しているのに対して、特許文献9に開示された実験では、点欠陥である空孔が凝集したグローイン欠陥であるCOPが発生しているV−Rich領域のウェーハを、水素ガス中でRTP処理した後にTDDB特性の評価を行っている点にある。
特許文献2には、水素ガス雰囲気のRTP処理は、ArガスやArガスとNガス混合雰囲気のRTP処理に比べてCOP分解性が高いことが開示されている。
また特許文献9には、RTP処理後に1050℃で30分の酸化処理をすると、TZDB、TDDB特性が15−20%程度低下することも報告されている。
これらのことから判断すると、特許文献9においては、Hガス雰囲気のRTP処理で、表面あるいは表面から極浅の領域のみのCOPは消滅したためTDDB特性は回復したが、RTP処理後に1050℃で30分酸化処理し、極薄の酸化膜の形成後に、当該酸化膜を除去して、表層の極浅の領域を除去するとTDDB特性が低下している。すなわち、酸化膜の厚さの分だけ除去された深さの位置にあったCOPは完全には分解できていないことを、本発明者らは見出した。
Nv領域には、グローイン酸素析出物が存在、すなわちRIE欠陥が存在する。特許文献1の実験は、1270℃以下の温度で、かつ、欠陥分解性がHガスより劣るNHとAr混合雰囲気でRTP処理しており、この温度範囲では、Nv領域に存在するグローイン酸素析出物が完全には溶解しなかったためTDDBが低下したと考えられる。
以上により、特許文献1と特許文献9に矛盾がないことが判る。
前述したようにエピタキシャル成長工程では、エピタキシャル層を成長する前段階で塩化水素ガスでシリコン基板の表層を0.1〜0.3μm程度気相エッチングを行う工程も広く採用されており、表層から少なくとも0.3μm以上は欠陥が完全に消滅している必要があるが、特許文献9記載の方法では表層から0.3μm以内にCOPが残存しており、問題である。
次に、本発明者はRIE欠陥とTDDB特性との関係を、鋭意検討した。
ここで、RIE法とは、半導体単結晶基板中の酸化珪素(以下、SiOxという)を含有する微小な結晶欠陥を、深さ方向の分解能を付与しつつ評価する方法として、特許文献10に開示された方法が知られている。
この方法は、基板の主表面に対して、反応性イオンエッチングなどの高選択性の異方性エッチングを一定厚さで施し、残ったエッチング残渣を検出することにより結晶欠陥の評価を行うものである。
SiOxを含有する結晶欠陥の形成領域と、含有しない非形成領域とでは、エッチング速度が相違するので(前者の方がエッチング速度が小さい)、上記反応性イオンエッチングを施すと、基板の主表面にはSiOxを含有する結晶欠陥を頂点とした円錐状のヒロックが残留する。結晶欠陥が異方性エッチングによる突起部の形で強調され、微小な欠陥であっても容易に検出することができる。
以上のようなRIE法とTDDB特性を比較した場合、例えば特許文献11に記載されているように、Nv領域にはRIE欠陥が存在する領域と存在しない領域があり、RIE欠陥が存在しない領域ではTDDB特性の低下が発生しないことを見出した。
また、RIE欠陥はあっても、その密度が少ない場合は、TDDB特性が低下しないことも見出した。すなわちRIE法による欠陥評価方法はTDDB特性より欠陥検出精度が高いことを見出した。
以上のような考察を踏まえ、さらに調査を行い、RTP処理後にTDDB特性が低下する原因を、本発明者らがRIE法を用いて鋭意検討を行った。
その結果、急速熱処理により、BMD密度の制御を行いながら、基板表面から深さ0.5μmまでのRIE欠陥を消滅させることで、後工程の気相エッチング等で表層を除去しても、エピタキシャル層欠陥を効果的に低減できることを見出した。また、従来報告されている温度領域である1300℃以下でのRTP処理を行ったときには、表面の欠陥のみしか除去できず、TDDB特性が悪化する場合においても、1300℃より高い温度でRTP処理することによって、少なくとも基板表面から深さ0.5μmまでのRIE欠陥を確実に消滅させることができることを本発明者らは見出した。このような高い温度でのRTP処理であれば、表層のCOPやOSF核も消滅させることができる。
これにより、本発明の急速熱処理したシリコン基板上にエピタキシャル層を形成し、その欠陥をレーザー異物検査装置でサイズ47nm以上の欠陥の評価を行った結果、従来の方法と比較して欠陥発生の少ない良好なエピタキシャルウェーハが得られることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明のエピタキシャルウェーハの製造方法の実施態様の一例を示すフロー図である。
図1(a)に示すように、本発明の製造方法では、まずシリコン単結晶インゴットを育成して、当該シリコン単結晶インゴットを切り出したシリコン基板を作製する。
育成するシリコン単結晶インゴットの直径等は特に限定されず、例えば150mm〜300mm、あるいはそれ以上とすることができ、用途に合わせて所望の大きさに育成することができる。
また、育成するシリコン単結晶インゴットの欠陥領域については、例えば、全面がV−Rich領域、OSF領域、N領域、又はこれらの領域が混合した領域からなるものを育成することができるが、好ましくは、全面がOSF領域、全面がN領域、又はOSF領域及びN領域が混合した領域であるシリコン単結晶インゴットを育成する。
COP等が発生しやすい、V−Rich領域を含むシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板であっても、本発明であれば、欠陥の少ないエピタキシャルウェーハを製造できる。また、全面がOSF領域、全面がN領域、又はOSF領域及びN領域が混合した領域であるシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板であれば、最も消滅しにくいCOPをほとんど含まないため、本発明の急速熱処理によって確実に欠陥を消滅させることができ、また、より深い位置のRIE欠陥も消滅させることが容易であるため、特に有効である。
ここで、本発明の製造方法に用いることができる単結晶引き上げ装置について説明する。
図8に単結晶引き上げ装置30を示す。この単結晶引き上げ装置30は、引き上げ室31と、引き上げ室31中に設けられたルツボ32と、ルツボ32の周囲に配置されたヒータ34と、ルツボ32を回転させるルツボ保持軸33及びその回転機構(図示せず)と、シリコンの種結晶を保持するシードチャック41と、シードチャック41を引き上げるワイヤ39と、ワイヤ39を回転または巻き取る、巻き取り機構(図示せず)とを備えて構成されている。ルツボ32は、その内側のシリコン融液(湯)38を収容する側には石英ルツボが設けられ、その外側には黒鉛ルツボが設けられている。また、ヒータ34の外側周囲には断熱材35が配置されている。
また製造条件に合わせて、図8のように環状の黒鉛筒(整流筒)36を設けたり、結晶の固液界面37の外周に、環状の外側断熱材(図示せず)を設けることもできる。さらに、冷却ガスを吹き付けたり、輻射熱を遮って単結晶を冷却する筒状の冷却装置を設けることも可能である。
また、引き上げ室31の水平方向の外側に、磁石(図示せず)を設置し、シリコン融液38に水平方向あるいは垂直方向の磁場を印加することによって、融液の対流を抑制し、単結晶の安定成長を図る、いわゆるMCZ法の装置を用いることもできる。
これらの装置の各部は、例えば従来と同様のものとすることができる。
以下に、上記のような単結晶引き上げ装置30による単結晶育成方法の一例について説明する。
まず、ルツボ32内で、シリコンの高純度多結晶原料を融点(約1420℃)以上に加熱して融解する。次に、ワイヤ39を巻き出すことにより、シリコン融液38の表面略中心部に種結晶の先端を接触または浸漬させる。その後、ルツボ保持軸33を適宜の方向に回転させるとともに、ワイヤ39を回転させながら巻き取り、種結晶を引き上げることにより、シリコン単結晶インゴット40の育成を開始する。
以後、引き上げ速度と温度を適切に調整することにより、略円柱形状のシリコン単結晶インゴット40を得る。
この所望の引き上げ速度(成長速度)を効率よく制御するにあたっては、例えば、予め、引き上げ速度を変化させながらインゴットを育成し、引き上げ速度と欠陥領域の関係を調査する予備試験を行い、その後、その関係に基づいて、改めて、本試験で引き上げ速度を制御して、所望の欠陥領域が得られるようにシリコン単結晶インゴットを製造することができる。
以下に、上記予備試験及び本試験について説明する。
予備試験では、シリコン単結晶インゴットを引き上げる際に、成長速度を、0.7mm/minから0.4mm/minの範囲で、結晶頭部から尾部にかけて漸減させるように制御した。単結晶の酸素濃度は、6×1017〜7×1017atoms/cm(JEIDA)となるように育成した。
引き上げたシリコン単結晶インゴットを結晶軸方向に縦割り切断して、複数の板状ブロックを作製した。
この板状ブロックの1つ目は、結晶軸方向に10cm毎の長さに切断し、ウエーハ熱処理炉で650℃、2時間、窒素雰囲気中で熱処理し、その後800℃まで昇温し、4時間保持した後、酸素雰囲気に切り替えて1000℃まで昇温し、16時間保持した後、冷却して取り出した。
その後、X線トポグラフィー像を撮影し、SEMILAB社製WT−85によりウェーハライフタイムのマップを作成した。
また板状ブロックの2つ目は、Wet 酸素雰囲気中で1100℃、1時間のOSF熱処理後にセコエッチングして、OSFの分布状況を確認した。
これらの知見に基づいて、V−Rich領域、OSF領域、Nv領域、Ni領域、I−Rich領域を特定した。この予備試験によるシリコン単結晶インゴットの成長速度と各欠陥分布を図3に示す。
以下、図3に示す引き上げた単結晶の各欠陥領域の境界の成長速度を一例として示す。
V−Rich/OSF領域境界: 0.591mm/min
OSF消滅境界 : 0.581mm/min
Nv/Ni領域境界 : 0.520mm/min
Ni/I−Rich領域境界 : 0.503mm/min
ここで、本試験として、上記の成長速度と欠陥分布の関係を踏まえ、欠陥領域を同定したのと同一の炉内構造で、所望の欠陥領域を有するように引き上げ速度を制御して、新たにシリコン単結晶インゴット40を育成する。
例えば、図3の場合、引き上げ速度Vが0.610mm/minになるように制御しながらシリコン単結晶インゴットを育成し、径方向に切り出せば、ウエーハほぼ全面にわたってCOPが存在するV−Rich領域で、最外周部近傍にOSF領域が存在するV−Rich領域とOSF領域の混合ウエーハを得ることができる(以下、V−Rich+OSFウエーハという)。
また、引き上げ速度Vが0.586mm/minになるように制御しながらシリコン単結晶インゴットを育成し、径方向に切り出せば、ウエーハ中心部がOSF領域で、その外周部がNv領域となって、OSF領域とNv領域の混合ウエーハを得ることができる(以下、OSF+Nvウエーハという)。
当然これらの欠陥領域に限定されず、引き上げ速度、さらには炉内構造等を調整し、径方向において、上記したような所望の欠陥領域を有するシリコン単結晶インゴットを育成することができる。
また、育成するシリコン単結晶インゴットの酸素濃度についても特に限定されず、例えば、9×1017atoms/cm(JEIDA)以下の濃度の酸素を含有するようにインゴットを育成することにより、これをスライスして9×1017atoms/cm(JEIDA)以下の濃度の酸素を含有するシリコン単結晶ウェーハを得て、本発明で用いるシリコン基板とすることが好ましい。
このように、9×1017atoms/cm(JEIDA)以下の酸素濃度のシリコン単結晶ウェーハであれば、グローイン欠陥やグローイン酸素析出物のサイズが大きくなりすぎるのを防ぐことができ、本発明の急速熱処理の条件において必要以上に高温化/長時間化する必要性がなくなり、より効率的に本発明の製造方法を実施することができ、工業生産的に有利である。
また、例えば、育成するシリコン単結晶インゴットに1×1011〜1×1015atoms/cmの濃度の窒素をドープすることにより、1×1011〜1×1015atoms/cmの濃度の窒素を含有するシリコン単結晶ウェーハを得て、本発明で用いるシリコン基板とすることが好ましい。
このような窒素濃度のウェーハとすれば、ウエーハ強度の向上や、バルク部でのBMD形成の促進を図ることができる。
さらには、例えば、育成するシリコン単結晶インゴットに1×1016〜1×1017atoms/cmの濃度の炭素をドープすることにより、1×1016〜1×1017atoms/cmの濃度の炭素を含有するシリコン単結晶ウェーハを得て、本発明で用いるシリコン基板とすることが好ましい。
このような炭素濃度のウェーハとすれば、デバイス工程時の熱処理が低温長時間(例えば400−600℃)の場合、当該熱処理中に発生する酸素ドナーの形成を抑制することができる。また、バルク部でのBMD形成の促進を図ることもできる。
次に、図1(b)に示すように、上記のように作製したシリコン基板に急速熱処理を施すことによって、少なくともシリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させるRIE欠陥消滅工程を行う。
このRIE欠陥消滅工程でシリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させることにより、エピタキシャル成長工程で通常行われる塩化水素ガスによる気相エッチングを例えば0.3μm程度行っても、シリコン基板の表面には欠陥が露出しないため、欠陥のないシリコン基板表面にエピタキシャル成長を行うことができるため、成長条件等によらずエピタキシャル層に生じる欠陥を効果的に抑制できる。
ここで、RIE法を用いた結晶欠陥の評価方法について、図5を参照して説明する。
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板W中には、熱処理等によって過飽和に溶存していた酸素が、SiOxとして析出した酸素析出欠陥111が形成されている。
そして、このシリコン基板Wを、市販のRIE装置を用いて、ハロゲン系混合ガス(例えば、HBr/Cl/He+O)雰囲気中で、シリコン基板Wの主表面から、シリコン基板W内に含まれる酸素析出欠陥111に対して高選択比の異方性エッチングを行うと、図5(b)に示すようになる。すなわち、酸素析出欠陥111に起因した円錐状突起物がエッチング残渣(ヒロック112)として形成される。したがって、このヒロック112に基づいて結晶欠陥を評価することができる。
例えば、得られたヒロック112の数を数えれば、エッチングした範囲のシリコン基板W中のBMDの密度を求めることができる。
このRIE法で検出できる欠陥(RIE欠陥)は、酸素析出物関連欠陥であり、空孔が酸素とともに凝集した複合欠陥であるCOPやOSF核といったグローイン欠陥および酸素単体が凝集したグローインの酸素析出物である。
本発明の製造方法では、急速熱処理後のシリコン基板表面をエッチング、研磨等により0.5μm除去し、その表面を上記RIE法で欠陥評価することで、急速熱処理条件を調べることができる。上記したように、RIE法は欠陥検出精度が高いため、急速熱処理によって、基板表面から深さ0.5μmまでの欠陥が消滅したかを確実に調べることができ、エピタキシャル層に生じる50nm以下の欠陥の抑制も効果的に行うことができる。
また、本発明の急速熱処理に用いることができる急速加熱・急速冷却装置としては、特に限定されず、市販されている従来と同様のものを用いることができ、本発明の急速熱処理に用いることができる急速加熱・急速冷却装置の一例の概略図を図4に示す。
この急速加熱・急速冷却装置52は、石英からなるチャンバー53を有し、このチャンバー53内でシリコン基板Wを急速熱処理できるようになっている。加熱は、チャンバー53を上下左右から囲繞するように配置される加熱ランプ54(例えばハロゲンランプ)によって行う。この加熱ランプ54は、それぞれ独立に供給される電力を制御できるようになっている。
ガスの排気側は、オートシャッター55が装備され、外気を封鎖している。オートシャッター55は、ゲートバルブによって開閉可能に構成される不図示のウエーハ挿入口が設けられている。また、オートシャッター55にはガス排気口51が設けられており、炉内雰囲気を調整できるようになっている。
そして、シリコン基板Wは、石英トレイ56に形成された3点支持部57上に配置される。石英トレイ56のガス導入口側には、石英製のバッファ58が設けられており、酸化性ガスや窒化性ガス、Arガス等の導入ガスが、シリコン基板Wに直接当たるのを防ぐことができる。
また、チャンバー53には不図示の温度測定用特殊窓が設けられており、チャンバー53の外部に設置されたパイロメータ59により、その特殊窓を通してシリコン基板Wの温度を測定することができる。
このような急速加熱・急速冷却装置を用い、シリコン基板に急速熱処理を施すが、急速熱処理条件としては、少なくともシリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させることができれば、特に限定されないが、1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間の急速熱処理を行うことが好ましい。
このような熱処理条件の急速熱処理であれば、シリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するグローイン欠陥やRIE欠陥を効果的に消滅させることができ、同時に新たな空孔等をシリコン基板中に形成できる。また、全面がOSF領域、全面がN領域、又はOSF領域及びN領域が混合した領域であるシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板を用いた場合には、急速熱処理によって少なくともシリコン基板表面から5μmの深さまでのRIE欠陥を消滅させることができる。このため、シリコンエピタキシャル層形成工程前に、異物や汚染を除去するために、例えば4μm程度の研磨代で研磨しても、基板表面にRIE欠陥が露出することが無い。さらに、このような研磨により、表層の酸素濃度が低下した領域を完全に除去して表層の酸素濃度低下が無いシリコン基板とすることができるため、エピタキシャル成長時の温度によりスリップ転位が発生することを防止でき、より生産性良くエピタキシャルウェーハを製造することができる。
また、本発明の急速熱処理の昇温、降温速度としては、例えば、50℃/秒の昇温速度で昇温し、一定時間保持した後、50℃/秒の降温速度で降温することができる。この昇温速度、降温速度は適宜設定することができる。
このような急速熱処理の雰囲気としては、例えば窒素、NH等の窒化膜形成雰囲気ガス及びArガスのうちの少なくとも一種類のガスを含む雰囲気とすることができる。
このような雰囲気であれば、基板表層のRIE欠陥を消滅させると同時に、基板内部に新たな空孔等の点欠陥を均一に形成することができ、後工程のシリコンエピタキシャル層形成工程やデバイス熱処理時等にBMD形成が大幅に促進され、ゲッタリング能力の高いエピタキシャルウェーハを製造することができる。
また、急速熱処理の雰囲気としては、例えば酸素雰囲気とすることもできる。
この場合は、基板表層のRIE欠陥を消滅させると同時に、基板内部に新たな格子間シリコン等の点欠陥を均一に形成することができ、後工程のシリコンエピタキシャル層形成工程やデバイス熱処理時等にBMD形成が大幅に抑制される。
このように、本発明の製造方法では、急速熱処理の際の雰囲気によっても、後工程で形成されるBMD密度を高精度かつ大幅に制御することができる。
次に、図1(c)に示すように、上記表層のRIE欠陥を消滅させたシリコン基板上に、シリコンエピタキシャル層を形成する。このエピタキシャル成長前に、気相エッチングを行って、シリコン基板表面の異物、汚染等を除去することが好ましい。また、さらにポリッシングを行うこともより好ましい。
このような、本発明の急速熱処理を施したシリコン基板であれば、上記のポリッシング、気相エッチングを行っても、基板表面に欠陥が露出しないため、欠陥のほとんどないシリコンエピタキシャル層を形成することができる。
このときのエピタキシャル成長条件としては、特に限定されず、例えば、シリコン基板の表面上に1175℃以下の成長温度でシリコンエピタキシャル層を形成することが好ましい。
このように、成長温度1175℃以下とすることで、本発明の急速熱処理を1300℃より高い温度で行った場合と比べて125℃以上低温であるため、急速熱処理において基板内部に形成された空孔、格子間シリコン等がエピタキシャル成長中に消滅することを抑制できる。これにより、後工程でのエピタキシャルウェーハ中のBMD密度制御を効果的に行うことができる。
以上より、本発明であれば、シリコンエピタキシャル層の厚さを厚くする等のエピタキシャル成長中に欠陥を消滅させるための従来方法の制約から解放され、エピタキシャル成長条件やエピタキシャル層の厚さとは無関係に欠陥の極めて少ない良好な品質のエピタキシャルウエーハを製造できる。
このように、本発明の製造方法により製造されたエピタキシャルウェーハであれば、欠陥がほとんどなく、ウェーハ全体にわたって均一なBMDを有するため、撮像用デバイスの製造に用いることで、CCDやMOSイメージセンサーの特性の面内バラツキを低減することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1−4、比較例1−6)
図8の単結晶引き上げ装置を用い、横磁場を印加して、MCZ法により様々な欠陥領域のシリコン単結晶インゴット(直径12インチ(300mm)、方位<100>、導電型P型)を育成し、そこから切り出したシリコン基板を準備した。
なお、シリコン単結晶インゴットの成長速度及び欠陥領域の関係に関する予備試験では、図3と同様の関係が得られ、この関係を基にして、本試験で所望の欠陥領域(V−Rich+OSFとOSF+Nv)を有するインゴットを育成して、シリコン基板を切り出した。
次に、図4の急速加熱・急速冷却装置(ここでは、Applied Materials社製VANTAGE)を用い、Arガス雰囲気中で50℃/秒の昇温速度で室温より急速昇温し、1200−1350℃の最高温度で10秒間保持した後、50℃/秒の降温速度で急速冷却し、シリコン基板(サンプル1−3)を3枚ずつ準備した。また、上記RTP処理を施していないシリコン基板(サンプル1−3)も3枚ずつ準備した。
サンプル1は、ポリッシュを0.5μm程度行った後、マグネトロンRIE装置(Applied Materials社製P−5000)を用いてエッチングを行った。その後レーザー散乱方式の異物検査装置(KLA−Tencor社製 SP1)で、エッチング後のヒロックを計測した。また、ヒロックの個数を電子顕微鏡を用いて計測し、欠陥密度を算出した。
サンプル2は、ポリッシュを5μm程度行った後、マグネトロンRIE装置(Applied Materials社製P−5000)を用いてエッチングを行った。その後、レーザー散乱方式の異物検査装置(KLA−Tencor社製 SP1)で、エッチング後のヒロックを計測した。また、ヒロックの個数を電子顕微鏡を用いて計測し、欠陥密度を算出した。
サンプル3は、市販の枚葉式エピタキシャル成長装置(Applied Materials社製Centura)にて、エピタキシャル成長を行った。エピタキシャル成長は、常圧下でまず1150℃まで加熱し、塩化水素ガスを流して0.5μm気相エッチングを行った後、TCSガスを流してエピタキシャル成長を行った。
エピタキシャル層の厚さは0.5μm形成し、導電型はP型で抵抗率10Ωcmである。その後、レーザー散乱方式の異物検査装置(KLA−Tencor社製SP2)で、エピタキシャル層表面の47nm以上の大きさの欠陥を測定した。
実施例1−4、比較例1−6のエピタキシャルウエーハ作製条件は以下の通りである。
(実施例1)(V−Rich+OSF)
引き上げ速度:0.610mm/min、 RTP処理温度:1320℃
(実施例2)(V−Rich+OSF)
引き上げ速度:0.610mm/min、 RTP処理温度:1350℃
(実施例3)(OSF+Nv)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1320℃
(実施例4)(OSF+Nv)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1350℃
(比較例1)(V−Rich+OSF)
引き上げ速度:0.610mm/min、 RTP処理なし
(比較例2)(V−Rich+OSF)
引き上げ速度:0.610mm/min、 RTP処理温度:1250℃
(比較例3)(V−Rich+OSF)
引き上げ速度:0.610mm/min、 RTP処理温度:1270℃
(比較例4)(OSF+NV)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理なし
(比較例5)(OSF+NV)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1250℃
(比較例6)(OSF+NV)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1270℃
表1に、サンプル1、2のRIE法で検出された欠陥密度と、サンプル3のエピタキシャルウエーハ表面の欠陥数を示す。
Figure 2011222842
表1から明確なように、V−Rich+OSFウエーハとOSF+Nvウエーハのいずれにおいても、RTP温度が1300℃より高くなると(実施例1−4)、欠陥数が急激に減少し、RIE法で検出される欠陥が完全に消滅している。これは、いずれの場合にも、実施例のRTP処理によって、ウェーハの少なくとも表面から0.5μmの深さに存在するRIE欠陥が消滅したことが分かる。
また、OSF+Nvウエーハの場合は、消滅しにくいCOPが存在しないため、RTP処理後に5μmポリッシュした場合でも(サンプル2)、RIE欠陥は完全に消滅しており、このOSF+Nvウエーハの場合は、1300℃より高温でRTP処理すれば、表面から少なくとも5μmより深い位置までの欠陥を完全に消滅できることがわかる。
また、サンプル3のRTP処理後にエピタキシャル成長したエピタキシャルウエーハの欠陥は、いずれの場合も1300℃より高温でRTP処理した実施例では、47nmという極めて小さなサイズの欠陥まで評価しても10個以下であり、本発明の製造方法により製造されたエピタキシャルウエーハは良好な品質を有していることが分かる。
本実施例の場合はエピタキシャル成長ステップ直前に塩化水素ガスによる気相エッチングを0.5μm行っている。このことから、1300℃より高温でRTP処理したシリコン基板においては、表面から少なくとも0.5μmの範囲に存在していた欠陥は全て消滅したことが分かる。逆に、比較例に示したようにRTP温度が1300℃以下の場合は、欠陥数が10個以上のものがあり、エピタキシャル層に欠陥の消え残りが発生していることがわかる。
(実施例5、6、比較例7−9)
図3に示すシリコン単結晶インゴットの成長速度及び欠陥領域の関係に基づいて、シリコン単結晶インゴットを育成して、OSF+Nvウエーハを準備した。
次に、図4の急速加熱・急速冷却装置(Applied Materials社製VANTAGE)を用い、Arガス雰囲気中で50℃/秒の昇温速度で室温より急速昇温し、1200−1350℃の最高温度で10秒間保持した後、50℃/秒の降温速度で急速冷却し、エピタキシャルウエーハ成長用のシリコン基板(サンプル)を準備した。また、同様に準備され、ただし上記RTP処理を施していないシリコン基板(サンプル)も準備した。
これらのサンプルを5μm程度ポリッシュした後、市販の枚葉式エピタキシャル成長装置(Applied Materials社製Centura)にて、エピタキシャル成長を行った。エピタキシャル成長は、常圧下で、まず1150℃まで加熱し、塩化水素ガスを流して0.5μm気相エッチングを行った後、TCSガスを流してエピタキシャル成長を行った。
エピタキシャル層の厚さは0.5μmであり、導電型はP型で抵抗率10Ωcmである。その後、レーザー散乱方式の異物検査装置(KLA−Tencor社製SP2)で、47nm以上の大きさの欠陥を測定した。
実施例、比較例のエピタキシャルウエーハ作製条件は以下の通りである。
(実施例5)(OSF+Nv)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1320℃
(実施例6)(OSF+Nv)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1350℃
(比較例7)(OSF+NV)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理なし
(比較例8)(OSF+NV)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1250℃
(比較例9)(OSF+NV)
引き上げ速度:0.585mm/min、 RTP処理温度:1270℃
表2に、各サンプルの製造されたエピタキシャルウエーハ表面の欠陥数を示す。
Figure 2011222842
表2から明確なように、実施例5、6では、OSF+Nvウエーハの場合は、1300℃より高温でRTP処理後に5μmと多めにポリッシュし、エピタキシャル成長しても、エピタキシャル層の欠陥数は3個と良好である。
この結果と表1の結果とを合わせて考えると、OSF+Nvウエーハに存在するOSF核やRIE欠陥は、1300℃より高温であれば、表面から少なくとも5μmにわたって完全に消滅させることができるため、RTP処理後に5μmのポリッシュを行っても、シリコン基板表面は欠陥のない無欠陥状態を保っており、この表面にエピタキシャル成長した場合、欠陥の発生のない良質なエピタキシャル層が形成できることが分かる。このことから、OSF領域とNv領域が混在するウエーハをエピタキシャル成長用のシリコン基板に用いる場合は、RTP処理後に表面をポリッシュできるため、RTP処理中に異物付着や汚染を受けた場合でも、その後行うポリッシュで除去でき、歩留まり向上と品質向上の両者を達成できるというメリットがある。
(実施例7、8、比較例10)
図3に示すシリコン単結晶インゴットの成長速度および欠陥領域の関係に基づいて、シリコン単結晶インゴットを育成し、OSF+Nvウエーハを3枚準備した。
1枚目は、図4の急速加熱・急速冷却装置(ここでは、Applied Materials社製VANTAGE)を用い、Arガス雰囲気中で50℃/秒の昇温速度で室温より急速昇温し、1350℃の最高温度で10秒間保持した後、50℃/秒の降温速度で急速冷却し、その後表面を5μm程度ポリッシュした(シリコン基板−1)。
2枚目は酸素ガス雰囲気中で50℃/秒の昇温速度で室温より急速昇温し、1350℃の最高温度で10秒間保持した後、50℃/秒の降温速度で急速冷却し、その後表面を5μm程度ポリッシュした(シリコン基板−2)。
3枚目はRTP処理を行わずに、表面を5μm程度ポリッシュした(シリコン基板−3)。
シリコン基板−1、シリコン基板−2、シリコン基板−3に、市販の枚葉式エピタキシャル成長装置(Applied Materials社製Centura)にて、エピタキシャル成長を行った。
エピタキシャル成長は、常圧下で、まず1150℃まで加熱し塩化水素ガスを流して0.5μm気相エッチングを行った後、TCSガスを流してエピタキシャル成長を行った。エピタキシャル層の厚さは5μmである。その後、酸素析出熱処理としてNガス雰囲気中で800℃で4時間の熱処理を施した後、さらに1000℃で16時間の熱処理を行った。その後、シリコン基板をBMD測定した。
BMD測定結果を表3に示す。
Figure 2011222842
表3から明確なように、Ar雰囲気中でRTP処理したシリコン基板にエピタキシャル層を形成したエピタキシャルウエーハのBMDは(実施例7)、3×10と極めて高密度のBMDが発生している。これはRTP処理中にシリコン基板中に新たに形成させた空孔が、エピタキシャル成長工程中の熱処理やその後の熱処理で、析出核形成の不均一核として働く結果である。
逆に、酸素雰囲気中でRTP処理したシリコン基板上にエピタキシャル層を形成した場合のBMDは(実施例8)、1×10であり、RTP処理せずに作製したエピタキシャルウエーハ(比較例10)のBMDの1×10より約2桁程度BMD発生が抑制されている。
これはRTP処理中にシリコン基板中に新たに形成させた格子間シリコンが、エピタキシャル成長工程中の熱処理や、その後の熱処理で析出核形成を抑制する結果である。
このように、RTP処理の雰囲気を変えることにより、BMDを増加させることも、抑制することも可能である。また、雰囲気以外にもRTP処理の保持温度、保持時間、あるいは冷却速度等の条件を適宜選択することにより、シリコン基板の欠陥を溶解させるだけでなく、同時に所望のBMDを形成させることが可能となり、デバイスで要求されるエピタキシャル層中の欠陥発生がなく、しかもシリコン基板中にはゲッタリング能力や強度改善に必要量のBMDを形成させたエピタキシャルウエーハが製造可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
30…単結晶引き上げ装置、 31…引き上げ室、 32…ルツボ、
33…ルツボ保持軸、 34…ヒータ、 35…断熱材、 36…整流筒、
37…固液界面、 38…シリコン融液、 39…ワイヤ、
40…シリコン単結晶インゴット、 41…シードチャック、
51…ガス排気口、 52…急速加熱・急速冷却装置、 53…チャンバー、
54…加熱ランプ、 55…オートシャッター、 56…石英トレイ、
57…支持部、 58…バッファ、 59…パイロメーター
W…シリコン基板。

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板の表面上にシリコンエピタキシャル層を形成してエピタキシャルウェーハを製造する方法であって、少なくとも、
    前記シリコン基板に急速熱処理を施すことによって、少なくとも前記シリコン基板の表面から0.5μmの深さまでの領域に存在するRIE法により検出される欠陥を消滅させるRIE欠陥消滅工程と、前記RIE法により検出される欠陥を消滅させたシリコン基板の表面上に前記シリコンエピタキシャル層を形成する工程とを具備することを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
  2. 前記RIE欠陥消滅工程において、前記急速熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、窒化膜形成雰囲気ガス及びArガスのうちの少なくとも一種類のガスを含む雰囲気で1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間施し、前記シリコンエピタキシャル層形成工程において、前記シリコン基板の表面上に1175℃以下の成長温度で前記シリコンエピタキシャル層を形成することを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
  3. 前記RIE欠陥消滅工程において、前記急速熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、酸素雰囲気で1300℃より高く1400℃以下の温度で1〜60秒間施し、前記シリコンエピタキシャル層形成工程において、前記シリコン基板の表面上に1175℃以下の成長温度で前記シリコンエピタキシャル層を形成することを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
  4. 前記シリコン基板を、全面がOSF領域、全面がN領域、又はOSF領域及びN領域が混合した領域であるシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン単結晶ウェーハとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
  5. 前記シリコン基板を、9×1017atoms/cm(JEIDA)以下の濃度の酸素を含有するシリコン単結晶ウェーハとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
  6. 前記シリコン基板を、1×1011〜1×1015atoms/cmの濃度の窒素及び/又は1×1016〜1×1017atoms/cmの濃度の炭素を含有するシリコン単結晶ウェーハとすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法により製造されたものであることを特徴とするエピタキシャルウェーハ。
  8. 請求項7に記載のエピタキシャルウェーハを用いて撮像用デバイスを製造することを特徴とする撮像用デバイスの製造方法。
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