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JP2011211311A - 光学式超音波マイクロフォン - Google Patents

光学式超音波マイクロフォン Download PDF

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JP2011211311A JP2010074664A JP2010074664A JP2011211311A JP 2011211311 A JP2011211311 A JP 2011211311A JP 2010074664 A JP2010074664 A JP 2010074664A JP 2010074664 A JP2010074664 A JP 2010074664A JP 2011211311 A JP2011211311 A JP 2011211311A
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Ushio Sagawa
潮 寒川
Masahiko Hashimoto
雅彦 橋本
Hidetomo Nagahara
英知 永原
Yuriko Kaneko
由利子 金子
Takuya Iwamoto
卓也 岩本
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Panasonic Corp
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Abstract

【課題】超音波領域までの広帯域な音圧計測が可能で、小形・高感度かつ環境変動に耐性を有する光学式超音波マイクロフォンを提供する。
【解決手段】本発明の光学式超音波マイクロフォンは、開口部71から音波を取り込み伝搬させる音響導波路60と、音響導波路60の壁面の少なくとも一部を形成するとともに集音作用を有する光音響伝搬媒質52と、レーザドプラー振動計ヘッド8とを備え、音響導波路60を進行する音波を光音響伝搬媒質52に取り込んで音響焦点57に集音することによって屈折率変化を高効率で発生させ、それをLDVヘッド8により光変調信号として計測する。更なる環境耐性や測定ダイナミックレンジを実現する場合は、LDVをマッハツェンダー型干渉計と光ヘテロダイン干渉法に置き換える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光を利用したマイクロフォンに関する。空気などの気体を伝搬する超音波を受波し、光を用いて受波した超音波を電気信号に変換する光学式超音波マイクロフォンに関する。
音波を収集して電気信号に変換するデバイスとしては、可聴帯域ではダイナミックマイ
クロフォン又はコンデンサマイクロフォンが広く利用されている。また、超音波領域では圧電センサが広く利用されている。これらのデバイスは、音波のエネルギーの主要な成分が空気の粗密波として伝搬することを利用し、音波を振動板に入射させることによって振動板に励起される微細な振動を導電的、静電的、または圧電的に電気信号に変換している。
また、レーザ光に代表される単色光を利用して、微細で高速な振動を計測するレーザドプラー振動計(以下、LDVと言う)などの光学システムが広く利用されており、このような装置を利用した音波の収集が試みられている。
特許文献1には、通常のマイクロフォンにみられる振動板と光三角法による光計測を応用した光マイクロフォンが開示されている。
特許文献2には、音場中にレーザ光を直接伝搬させて、音波によって空気中に生じる屈折率変化をLDVにより直接捉えることにより、音圧を計測するレーザドプラーマイクロフォンが開示されている。
図20を参照して、特許文献2におけるレーザドプラーマイクロフォンを説明する。図20に示すレーザドプラーマイクロフォンは、LDV121と、一対の反射鏡122及び123と、キュービックミラー124と、音場126と、演算部127とを備える。反射鏡122及び反射鏡123は、音場126を挟んで平行に配置されている。LDV121及びキュービックミラー124は、反射鏡123における反射鏡122と対向する免と直交する面の両端に設けられている。
LDV121は、反射鏡122に向かって、90度以外の角度でレーザ光が発射する。発射されたレーザ光は、反射鏡122及び反射鏡123において、複数回の反射を繰り返して、レーザ光路125に沿って伝搬し、反射鏡123の終端に設けられたキュービックミラー124に達する。LDV121に達したレーザ光は、LDV121と演算部127によって、戻ってきたレーザ光の振動数変化と各振動数変化量に対する振幅と位相が計測される。
図20において、音場126に音波が存在しない場合、レーザ光がドプラー変調を受けないため、レーザ光の振動数の変化量は0である。しかし、音場126に音波が存在する場合、音場126の空気密度に時間的ゆらぎが生じる。この時間的ゆらぎは、空気屈折率の時間変動を誘起する。これはレーザ光線波長に換算した経路長であるレーザ光路125の光学長の時間的伸縮に同値であり、光学的にはあたかもキュービックミラー124がレーザ光の進行方向に対して、時間的ゆらぎ(時間的伸縮)に等しい運動を行っている状況と考えられる。
従って、レーザ光はドプラー変調されるため、ドプラー周波数と各ドプラー周波数における振幅と位相を計測する。それらを実時間信号にフーリエ変換することにより、音場126における空気屈折率の時間変動量が再現される。それを積分処理することにより任意時刻の空気屈折率が算出される。その結果、音場126における音波(レーザ光路125上の音圧の平均値)が測定される。
本願発明者らは、特許文献3において、気体中において超音波の屈折を利用して高感度、広帯域に超音波を送受波しうる気体用超音波送受波器に関する発明を開示している。非特許文献1において、500kHzの超高周波領域における送受信特性が報告されている。
図21に、特許文献3及び特許文献4に開示されている発明の超音波送受波器を示す。
図21に示すように、特許文献3の発明の超音波送受波器101は、少なくとも、超音波振動子102と、超音波振動子102の前面に設けられ、環境流体104と超音波振動子102の間を埋める伝搬媒質部103とを有している。ここで、「環境流体」とは、超音波受波器101の外部に存在する流体を示す。環境流体は、例えば、空気などである。
また、超音波振動子102と伝搬媒質部103の界面を第1表面領域111と定義し、伝搬媒質部103と環境流体104の界面を第2表面領域112として定義する。
超音波受波器101は、その周囲が環境流体104で囲まれている。環境流体104から超音波受波器101に向かって、超音波伝搬経路105を伝搬する超音波を、超音波受波器101を受波する。
特許文献3の超音波送受波器101は、空気などの音響インピーダンスの極めて小さい媒質から、超音波を高い効率で伝搬媒質の伝搬媒質部内に取り込むことで高感度に超音波を送受波することを可能としたものである。
通常、気体及び固体の界面ように、音響インピーダンスの大きく異なる媒質の界面では、殆どの超音波が反射されるため、高効率に送波すること及び高感度に受波することが困難である。
このように気体中を伝搬する超音波を高効率に送波すること及び高感度に受波するために、超音波送受波器101は、その内部を伝搬する音速が環境流体104より遅く、密度が環境流体104より大きいシリカ骨格からなる乾燥ゲル材料(以下、「シリカ乾燥ゲル」と言う)を用いている。シリカ乾燥ゲルは、製造プロセスによって様々な音速と密度を持たせることが可能な材料である。例えば、密度200kg/m3、音速150m/sのように、高効率で超音波を透過しうる伝搬媒質部103の条件を満足する。
伝搬媒質部103をシリカ乾燥ゲルで構成し、かつ、図21に示すように伝搬媒質部103の内部における第2表面領域112の法線と超音波伝搬方向のなす角度θ1と、環境流体104内における超音波伝搬方向とのなす角度θ2を適切にそれぞれ選択する事によって、第2表面領域112における超音波の反射をほぼ0にして、超音波送受波器の送受波感度を向上させることができる。また、第2表面領域112における透過効率には、伝搬する超音波の周波数が無関係であるため、原理的に広帯域特性を実現し、様々な周波数を高い効率で測定することができる。
具体的には、超音波振動子102に不図示の駆動回路から電気信号を与えることによって超音波を発生する。ここで、図21に示すように、XYZ方向を設定する。超音波振動子102で発生した超音波は、第1表面領域111から第2表面領域112に向かって、伝搬媒質部103をY軸の正方向に伝搬していく。そして、第2表面領域112に達した超音波は、屈折の法則に従って伝搬方向を変えて、超音波伝搬経路105の方向(この場合には、矢印の反対方向)に向けて流体104へ伝搬していく。
超音波を受波する場合には、送波の場合と逆に、周囲空間の流体104を伝搬してきた超音波は第2表面領域112に到達すると屈折して伝搬媒質部103に透過し、Y軸の負方向に向かって伝搬媒質部103の内部を伝搬して超音波振動子102に到達する。超音波振動子102に到達した超音波は超音波振動子102を変形させることで電極間に電位差を発生させるため、不図示の受波回路により検出される。
超音波送受波器101では、環境流体104が空気等の音響インピーダンス(材質の音速×材質の密度)の極めて小さい媒質の場合でも、環境流体104から伝搬媒質部103に超音波が高い効率で入射し、あるいは伝搬媒質部103から環境流体104へ高い効率で超音波を出射することができる。
超音波送受波器101において、超音波の透過効率を高くするために、(ρ2/ρ1)<(C1/C2)<1を満たすように設定されている。ここで、超音波の伝搬媒質部103での音速C1、超音波の環境流体104での音速C2、伝搬媒質部103の密度ρ1、環境流体104の密度ρ2を示す。
また、θ1はC1、C2、ρ1、ρ2を用いて、(tanθ12={(ρ2/ρ12−(C1/C22}/{(C1/C22−1}
を満たすように設定されている。
また、θ1およびθ2は、(sinθ1/C1)=(sinθ2/C2)を満たすように設定されている。
特許文献4に示すように、上記の式を満たしたときに、第2表面領域112における超音波の透過効率がほぼ1となる。従って、高効率に超音波を送波及び受波可能な超音波送受波器101を提供することが可能になる。
特開2004−12421号公報 特開2004−279259号公報 国際公開第2004/098234号 米国特許出願公開第2005/0139013号明細書
「ナノフォーム材料の音響特性と超音波センサへの応用(一般/アコースティックイメージング)(Acoustic Properties of Nanofoam Material and its Applied Ultrasonic Sensors)」橋本 雅彦、永原 英知、杉ノ内 剛彦、社団法人 電子情報通信学会発行、電子情報通信学会技術研究報告、Vol.105,No.619、US2005−127(P.29−34)
特許文献1に開示された光マイクロフォンは、通常のマイクロフォンと同様に振動板の機械共振特性が周波数帯域に大きく影響する。すなわち、振動板の機械共振周波数よりも低い周波数では比較的平坦な周波数特性を持つ。しかしながら、共振周波数以上では、急激に感度が低下するためマイクロフォンとしての計測可能周波数帯の上限が共振周波数付近までに限定される。このため、振動板を用いる現状のコンデンサマイクロフォンの特性保証上限周波数は100kHz程度までであり、それ以上の場合には圧電型が用いられる。従って、充分な感度を保持しながら100kHz以上まで帯域特性が伸びた振動板を持つマイクロフォンを構成することは極めて困難である。
また、特許文献2において開示されたレーザドプラーマイクロフォンは振動板を持たないため、機械共振による高周波域の制限がない。また、使用しているLDVの振動計測における高域限界は1MHzを容易に超える。ところが、空気の音圧に関する屈折率変化が小さいことから、充分な感度を確保するには極めて長い光路が必要となる。
特許文献2に開示された例では、充分なS/Nを得るためには10m以上の光路長が必要である。従って、測定領域の小型化が極めて困難である。これにより、高周波領域では、測定領域内において音波干渉が容易に発生し、正確な音圧の測定が困難となる。この現象は、振動板タイプの場合の機械共振に相当し、「空洞共振」と呼ばれる。
すなわち、測定範囲の寸法がマイクロフォンの高域限界を決定し、空気の音速は一般的な振動板の弾性波速度よりも遅いために、測定領域と振動板が同じ面積の場合、高域限界はレーザドプラーマイクロフォンの方が低くなる。以上のように従来構成の光マイクロフォンでは、光計測の帯域幅は充分広いものの、利用する機械共振や空洞共振によって高周波帯域が制限され、特に100kHz以上の超高周波領域で動作をさせることが困難になるという課題を有している。
さらに、10m以上の光路長が必要とされる点は、上記と異なる課題が生じる。一般に、自由空間における空気は、温度によるゆらぎや流動による屈折率分布の空間的・時間的不均一性を有している。従って、LDVなどの光干渉計を用いて音波を光路上の屈折率変動として捉える場合、長大な光路長による屈折率分布の大きな空間的・時間的不均一性が音波のみによる屈折率変動に混入する。それゆえ、本来排除されるべき信号が測定された音波信号に混入し、正しい音波計測が困難になるという課題もまた有している。
特許文献2の構成を適用しつつも、力学的に強固な構造体で構成し、光路を真空やヘリウム等の流動性に富む希薄気体雰囲気中にとり、かつ、高いアライメント精度を実現することによって、本課題を解決することも原理的には可能であるが、その処方は装置全体として相当な価格上昇を招くという他の課題を誘発する。
また、特許文献3の超音波送受波器101においては、シリカ乾燥ゲルで構成された伝搬媒質部103への音波取り込みに周波数特性が無いため、広い周波数領域において音波が取り込こむことが可能であるが、取り込まれた音波を電気信号に変換するために、圧電セラミックなどの超音波振動子102が必要である。
伝搬媒質部103をシリカ乾燥ゲルで構成し、超音波振動子102を圧電セラミックで構成すると、音響インピーダンス値は2桁から3桁の違いがあるため、伝搬媒質部103を伝搬して超音波振動子102に進入する音波は、伝搬媒質部103と超音波振動子102の界面(第1表面領域111)において大部分が反射される。反射された音波は、伝搬媒質部103内を逆向きに伝搬して一部は空気へ放出されるが、残りは伝搬媒質部103内の境界(第2表面領域112)で反射を繰り返しながら伝搬媒質部103内を伝搬して残響となる。
この伝搬媒質部103と超音波振動子102の界面(第1表面領域111)における反射現象は、シリカ乾燥ゲルで構成された伝搬媒質部103内に、電気信号への変換のための素子として圧電セラミックなどの音響インピーダンスの異なる物質を配置した構成においては、本質的に避けられない。この反射に伴う残響は、後から到達する音波信号に重畳してS/Nを低下させる要因となり、また不要な共振現象など周波数特性を悪化させるという課題がある。
さらに、特許文献3の超音波送受波器101においては、受波感度が低いという課題も有している。以下、この課題の原因について説明する。
環境流体104を伝搬してきた超音波のエネルギー密度は、超音波送受波器101に受波されるときに低下する。これが低い受波感度の原因である。図21を用いて、受波感度が低い原因を説明する。図21においては、超音波伝搬経路105を実線の矢印で示している。前記したように、超音波送受波器101が高効率で超音波を受波するためには、(ρ2/ρ1)<(C1/C2)<1、(tanθ12={(ρ2/ρ12−(C1/C22}/{(C1/C22−1}、(sinθ1/C1)=(sinθ2/C2)を満たす必要がある。このとき、環境流体104を伝搬してくる超音波の経路は、第2表面領域112の法線とのなす角度がθ2を満たしている。
よって、図21では、超音波は、流体104の長さ(L2+L3+L4)の範囲を超音波送受波器101に向かって伝搬し、さらに超音波の伝搬経路と第2表面領域112の法線とのなす角度がθ2を満たしているとする。ここで、長さL2の範囲とは、超音波伝搬経路105に平行な範囲であって、超音波が、第2表面領域112に全く到達しない範囲を意味する。長さL3の範囲とは、長さL2の範囲に隣接し、かつ、超音波伝搬経路105に平行な範囲であって、超音波が、第2表面領域112に全て到達可能な範囲を意味する。長さL4の範囲とは、長さL3の範囲に隣接し、かつ、超音波伝搬経路105に平行な範囲であって、超音波が、第2表面領域112に全て到達しない範囲を意味する。
図21に示すように、環境流体104の長さ(L2+L3+L4)の範囲を伝搬してくる全ての超音波が、超音波送受波器101に受波されるわけではない。長さL3の範囲を伝搬してくる超音波は、第2表面領域112に到達して、超音波送受波器101に受波される。しかし、長さL2の範囲及び長さL4の範囲を伝搬してくる超音波は、第2表面領域112に到達することができず、超音波送受波器101に受波されない。
つまり、環境流体104を伝搬してきた超音波(長さL2+L3+L4の範囲を伝搬してくる超音波)のうちの一部の超音波(長さL3の範囲を伝搬してくる超音波)が、超音波送受波器101に受波される。
そして、環境流体104の長さL3の範囲を伝搬してきた超音波は第2表面領域112を透過し、長さL1の範囲の超音波振動子102に検出される。このとき、L3<<L1であるために、超音波送受波器101で受波される超音波は、第2表面領域112で拡散されて超音波振動子102に到達する。従って、超音波が超音波送受波器101に受波されるときに、そのエネルギー密度が低下する。この超音波が有するエネルギー密度の低下により、超音波送受波器101の受波感度が低下する。
以上の理由により、超音波送受波器101の受波感度は低いものである。すなわち、第2表面領域112で受波することが可能な超音波の伝搬範囲の長さL3が超音波振動子102の長さL1より小さいため、超音波受波器101の受波感度は低いものとなっている。
本発明の目的は、前記の課題を鑑みてなされたものであり、従来のマイクロフォンの高域限界を大きく越えた超音波領域まで音圧計測が可能で、かつ環境変動に対する高い耐性と高感度・高効率な計測を両立させた光学式超音波マイクロフォンを提供するものである。
本発明のマイクロフォンは、環境流体で満たされた周囲の空間を伝搬する音波の受波を行うマイクロフォンであって、前記音波が入射する第1の開口部と、前記第1の開口部から入射した音波が伝搬する音響導波路と、透過面を有し、前記透過面が前記超音波の伝搬方向に沿って前記音響導波路の一面を構成するように前記導波路に設けられた光音響伝搬媒質部であって、前記導波路を伝搬するにしたがって前記超音波の一部が前記透過面からそれぞれ前記伝搬媒質部へ透過し、所定の収束点に収束するように前記透過面が構成され、前記導波路に対して配置されている光音響伝搬媒質部と、前記収束点に向かって光波を放射し、かつ、放射した光波が光音響伝搬媒質部を伝搬して反射した光波を受信し、受信した光波から前記音波の音圧を求める検出部とを備え、前記光音響伝搬媒質部の密度ρn、前記光音響伝搬媒質部における音速Cn、前記音響導波路を満たす気体の密度ρa、及び前記音響導波路を満たす気体における音速Caが、(ρa/ρn)<(Cn/Ca)<1の関係を満たし、前記導波路の第1の開口部から、前記透過面上の前記超音波の伝搬方向に沿った任意の位置に設定した点Pまでの導波路の長さをLaとし、前記点Pから前記収束点までの長さをLnとしたとき、点Pの位置にかかわらず、La/Ca+Ln/Cnが一定である。
本発明の光学式超音波マイクロフォンによれば、周囲空間の気体を伝搬してくる音波を開口部から音響導波路に取り込み、音響導波路内から光音響伝搬媒質部内を進行する音波を、マッハツェンダー形光干渉計を用いて計測することにより、従来の振動板の機械共振などによる限界を大きく超える高周波領域まで測定可能であり、かつ従来の圧電セラミックなどの電気音響変換器による音波の反射の影響を回避するとともに、小形かつ周辺環境の変動に対する高い安定性を実現することによって、より高感度で精密な音圧測定が可能な光学式超音波マイクロフォンを提供することができる。
第1実施形態の光学式超音波マイクロフォン51の概略構造を示した斜視図 図1に示す光学式超音波マイクロフォン51の一部を、X方向における収束部77及び音響導波部材56の中央で、YZ平面と平行な平面によって切断した断面図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンのベースの一部および音響導波部材の一部を示す斜視図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波の伝搬・屈折を説明するための模式図 本発明第1実施形態における光学式超音波マイクロフォンの音波収束を説明するための模式図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図 図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図 図6から図11に示す実験に用いた入力音波信号の時間波形を示すグラフ 第1実施形態の変形例にかかる光学式超音波マイクロフォン51Aの概略装置構成を示す断面図 本発明第1実施形態における光学式超音波マイクロフォンの光音響伝搬媒質部の音波伝搬の等位相面の計測結果を示す等高線図 音波音響焦点57の付近における光学式超音波マイクロフォン51のLDV出力波形(振幅計測波形)81の一例を示す時間波形図 本発明の光学式超音波マイクロフォンの第2実施形態における光学式音圧測定部1300の光学系構造を示した構成図 本発明の第2実施形態における光学式超音波マイクロフォンの原理実証用の実験装置を示した装置の構成図 図17の光学式超音波マイクロフォンの原理実証用の実験装置により測定されたデジタル・オシロスコープ1408からの出力信号の時間波形およびスピーカ1410への入力信号の時間波形を示した図 本発明の第3実施形態における測定ダイナミックレンジが広くかつ信号歪のない光学式超音波マイクロフォン1300の光学系構成を示した構成図 特許文献2における従来の超音波送受波器の断面図 特許文献3における従来の光マイクロフォンの構成図
本願発明者らは、シリカ乾燥ゲルが光学的に透明に近い性質を有していることに着目し、
例えばシリカ乾燥ゲルにおける音圧と屈折率の変化率が空気中における変化率に対して、1桁程度高いことを見出した。
音圧による屈折率の変化率は、通常固体、液体、気体の順番で大きくなり、通常のバルク材料には見られない極めて特異な性質である。
本発明は、気体などの音響インピーダンスの極めて低い物体から固体へと高い効率で超音波を伝搬させることの出来る超音波受波器の界面現象の基本原理を利用するとともに、これらの条件を満たす固体材料が、音波によって極めて大きな屈折率変化を発生させるという現象を使って、極めて高周波領域まで帯域特性が伸びる光学式超音波マイクロフォンを構成した点にある。
また、本発明は、マッハツェンダー型干渉計を用いて、可能な限り短い経路長で全光学系を構成するとともに、音圧により光音響伝搬媒質中に生成される屈折率変動を光路長変動として、干渉光の振幅変動、あるいは、干渉光の位相変動から直接的に計測できる利点を有する。
以下、図面を参照しながら、本発明の光学式超音波マイクロフォンを説明する。
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態の光学式超音波マイクロフォン51を示す。第1実施形態の光学式マイクロフォン51は、環境流体14を伝搬する超音波を入射する音響ホーンの開口部71と、開口部71から入射した超音波が伝搬する音響導波路60と、音響導波路60を伝搬する少なくとも一部の超音波が伝搬する光音響伝搬媒質部52と、光音響伝搬媒質部52を伝搬する超音波が収束する音響焦点57に向かってレーザ光58を発射するLDVヘッド8と、発射したレーザ光58の反射波から超音波を検出するLDV演算処理部9とを備える。
光学式マイクロフォン51の動作の概要を説明する。光学式マイクロフォン51の外部に存在する環境流体14から音波伝搬方向55に沿って、超音波が光学式マイクロフォン51の内部に入射する。光学式マイクロフォン51の内部に入射した超音波は、音響導波路60及び光音響伝搬媒質部52を伝搬し、音響焦点57に収束する。LDVヘッド8は、音響焦点57に向かって、レーザ光58を発射する。LDVヘッド8は、発射したレーザ光58の反射波を受信する。LDV演算処理部9は、LDVヘッド8が受信した反射波から、音響焦点57に収束した超音波による光音響伝搬媒質部52の屈折率の変化を求める。光学式マイクロフォン51は、この屈折率の変化量に対応する超音波(例えば、超音波の音圧)を検出できる。
以下、図1の光学式超音波マイクロフォン51の各部を詳細に説明する。
(収束部77)
図2は、図1に示す光学式超音波マイクロフォン51の一部を、X方向における収束部77及び音響導波部材56の中央において、YZ平面と平行な平面で切断した断面図を示す。
収束部77は、外部から伝搬する超音波が入射する第1の開口部71と、音響導波路部材56(音響導波路60)に接続される第2の開口部63とを備える。第1の開口部と第2の開口部との間は、超音波が伝搬する内空間70を形成している。
環境流体14を音波伝搬方向55で伝搬する超音波は、第1の開口部71から入射した後に、内空間70を伝搬する際に、その伝搬方向が制御されるとともに、音圧を高められる(圧縮される)。収束部77で音圧が高められた音波は、収束部77に接続された音響導波路60へ伝搬する。
内空間70は、第1の開口部71から音波の伝搬する伝搬方向g7に沿って、伝搬方向g7に直行する平面の断面積a7が徐々に小さくなっている。より好ましくは、第1の開口部71から第2の開口部63に向う伝搬方向g7に対して、断面積a7が指数関数的に減少するように、内空間70の形状を規定する収束部77の内側面が伝搬方向g7に沿って曲面形状を有しているように構成する。
収束部77のX方向の幅寸法は一定でもよいし、幅寸法が徐々に小さくなっていてもよい。収束部77のX方向の幅寸法が一定である場合には、Z方向の幅寸法は伝搬方向g7に対して指数関数的に減少するように構成するのが好ましい。また、収束部77のX方向の幅寸法及びZ方向の幅寸法を伝搬方向g7に対して√eに比例して減少させることにより、断面積a7を指数関数的に減少させてもよい。このように断面積a7が指数関数的に減少することにより、収束部77での音波の反射を最小に抑えて、位相の乱れなく音波を圧縮し、音圧を高めることができる。
収束部77は、例えば、Y方向に100mmの長さを有し、第1の開口部71はZ方向及びX方向にそれぞれ50mmの長さを有する正方形状である。また、端部72は、X方向及びZ方向に2mmの長さを有する正方形状である。第1実施形態では、Z方向及びX方向の2方向に長さを変化させている。開口部71の位置をY方向の原点(0)とした場合、原点からのY方向の位置=0mm/20mm/40mm/60mm/80mm/100mmのそれぞれの位置における内空間70のX方向及びZ方向の長さ(X方向の長さとZ方向の長さとはそれぞれの位置で同一。)は、50.0mm/26.3mm/13.8mm/7.2mm/3.8mm/2.0mmである。
上述のサイズを備えた収束部77によれば、収束部77が無い場合に比べて、約10dB程度の音波の音圧上昇の効果が得られる。また、音圧の時間変化となる音圧波形の形状は、開口部71と端部72とでの測定結果において、ほとんど変化が見られず、環境流体14(例えば空気)を伝搬する音波を乱すことなく、端部72において音波エネルギーが圧縮されている。
収束部77は、例えば、金属である肉厚5mmのアルミニウム板を機械加工により所定の形状に加工することによって構成することができる。内空間70を伝搬する音波がほとんど透過せず、形状の効果によって音波エネルギーの密度を高めることのできる材料であれば、アルミニウム以外の材料によって収束部77を形成してもよい。例えば、樹脂やセラミックなどの材料を用いて収束部77を構成してもよい。また、収束部77はホーン型の外形を有していなくてもよく、内空間70が上述したようなホーン形状を有していればよい。
(音響導波路60)
次に、音波を所定の方向へ伝搬させる音響導波路60を説明する。音響導波路60は、音響導波部材56により構成される。音響導波路60は、収束部77の第2の開口部63に接続されている。環境流体14から入射し、収束部77を伝搬する音波は、第2の開口部63と接続された部分から音響導波路60に入射する。
図2に示すように、音響導波路60は、音波の伝搬方向と直交する平面における音響導波路60の断面積を小さくする。ここでは、ZY平面に対して平行な超音波の伝搬方向g6に沿って、ZY平面における幅寸法が位置によって変化している。音響導波路60のX軸方向の幅寸法は一定であり、例えば、2mmである。X軸方向の幅寸法も変化するように設計することも可能である。
このような形状を音響導波路60が有する理由を説明する。音響導波路60は、光音響伝搬媒質部52と接し、光音響伝搬媒質部52との界面により規定される透過面61と、音響導波部材56により規定される導波路外面62とを含んでいる。また、音響導波路60のX方向の手前側及び奥側も、音響導波部材56により規定されている。音波は、音響導波路60内を伝搬するに従って、光音響伝搬媒質部52と音響導波路60とが接した透過面61から光音響伝搬媒質部52へ少しずつ浸潤(伝搬)してゆく。このとき、透過面61において、音波の伝搬方向が屈折する。光音響伝搬媒質部52は、音響導波路60の一部を構成するように、設けられても良い。
音響導波路60を音波が伝搬するに従って、少なくとも一部の音波が透過面61から光音響伝搬媒質部52へ透過する結果、音響導波路60を伝搬する音波のエネルギーが低下していく。エネルギーの低下を補うために、音波を圧縮させる(音波の音圧を高める)ために、音波の伝搬方向と直交する平面における音響導波路60の断面積を小さくする。
具体的には、透過面61と導波路外面62との間の空間である音響導波路60は、YZ平面における伝搬方向g6に垂直な幅が伝搬方向に対して単調減少する形状である。また、音響導波路60の導波路終端64は、閉塞されている。この形状により、音響導波路60を伝搬する音波のエネルギー密度を一定に保ちながら、音波を光音響伝搬媒質部52へ効率的に屈折透過させることができる。音響導波路60を伝搬する音波が光音響伝搬媒質部52に入射するまでの具体的な動作については、後述する。
(光音響伝搬媒質部52)
次に、音響導波路60から音響伝搬媒質部52に音波が透過する透過面61を規定する光音響伝搬媒質部52を説明する。光音響伝搬媒質部52は、環境流体14よりも音波の伝搬速度が遅い材料によって構成されている。つまり、伝搬媒質における音波の速度をCn、環境流体14における音波の音速をCaとしたとき、(Cn/Ca)<1を満たしている。この条件を満たす材料としては、無機酸化合物又は有機高分子の乾燥ゲルがある。無機酸化合物の乾燥ゲルとしては、シリカ乾燥ゲルを用いることが好ましい。以下、シリカ乾燥ゲルの製造方法を説明する。
まず、テトラエトキシシラン(以下、TEOSと略す。)、エタノール及びアンモニア水を混合した溶液を作製し、これをゲル化させることによって湿潤ゲルを作製する。「湿潤ゲル」とは、乾燥ゲルの空孔部分に液体が満たされた状態のものを言う。この湿潤ゲルの液体部分を液化炭酸ガスで置換し、炭酸ガスを用いた超臨界乾燥法によって除去することによってシリカ乾燥ゲルが得られる。シリカ乾燥ゲルの密度は、TEOS、エタノール及びアンモニア水の混合比を変えることにより調整でき、音速は密度に応じて変化する。
シリカ乾燥ゲルは、酸化ケイ素の微細な多孔質構造からなる材料であり、骨格部分は疎水化されている。空孔及び骨格部分の大きさは数nm程度である。このような構造体の空孔部分に液体が含まれた状態から直接溶媒を乾燥させると、溶媒が揮発する際に毛管現象による大きな力が働き、骨格部分の構造が壊れやすい。この破損を防止するために表面張力の働かない超臨界乾燥法を用いることにより、シリカ骨格部分を壊さずに乾燥ゲル体を得ることができる。
光音響伝搬媒質部52の伝搬媒質は、より好ましくは、伝搬媒質における音波の速度をCn、環境流体14における音波の音速をCa、伝搬媒質の密度をρn、環境流体14の密度をρaとしたとき、(ρn/ρa)<(Ca/Cn)<1を満足している。
光音響伝搬媒質部52の伝搬媒質は、伝搬媒質の密度をρnが100kg/m3以上であり、伝搬媒質における音波の速度をCnが300m/s以下であることがより好ましい。
第1実施形態で用いる光音響伝搬媒質部52を構成するシリカ乾燥ゲルの密度ρnは、200kg/m3であり、シリカ乾燥ゲルにおける音速Cnは、150m/sである。これらの値は、特許文献1に示した屈折伝搬現象を満たす材料である。なお、空気の密度ρaは、1.12kg/m3であり、音速Caは、室温付近で340m/sである。
また、光音響伝搬媒質部52は、環境流体14から取り込んだ音波を音響焦点57まで伝搬させる役割を果たすため、内部損失が大きいと、音響焦点57に到達する音波が弱まってしまう。このため、光音響伝搬媒質部52は、内部損失が少ない材料が好ましい。シリカ乾燥ゲルは、上述の音速及び密度の条件を満たし、内部損失が小さい材料である。
(ベース53)
光音響伝搬媒質部52を支持するベース53を説明する。光音響伝搬媒質部52を構成するシリカ乾燥ゲルは密度が低いため、機械的強度も低い。このため、取り扱いが困難である。従って、光音響伝搬媒質部52を安定に支持するためにベース53が設ける。
図1は、理解しやすくするため、光音響伝搬媒質部52の表面側に位置するベース53の一部を破断させて、光音響伝搬媒質部52を露出させるように図示している。実際には、光音響伝搬媒質部52の表面は、後述する計測用貫通穴53aを除き、ベース53で全て覆われていても良い。光音響伝搬媒質部52の表面が、計測用貫通穴53aを除いて全て覆われている場合には、検出対象となる超音波以外の音波等が入射することを避けることができる。
図1に示すように、光音響伝搬媒質部52の表面(図1に示す光音響伝搬媒質部52の裏面、左側面、および底面等)をベース53で覆う。さらに、図1に示す光音響伝搬媒質部52の右側面を音響導波部材56で覆って、音響導波路60の一部として構成する。その結果、光音響伝搬媒質部52は、ベース53及び音響導波部材56で保持される。
図3(a)及び図3(b)に示す形状によって、音響導波部材56及びベース53を構成することができる。図3(a)は、図1に示す光学式超音波マイクロフォン51のベース53の一部を示す斜視図である。また、図3(b)は、図1に示す光学式超音波マイクロフォンの音響導波部材の一部を示す斜視図である。
図3(a)に示すように、アルミニウム部材を用いて、導波路外面62を含む音響導波路60を規定する音響導波部材56を成形する。一方、図3(b)に示すように、光音響伝搬媒質部52を保持するベース53を用意する。ベース53によって保持された光音響伝搬媒質部52の露出した面は、透過面61を規定する。
例えば、多孔質セラミックスからなるベース53を成形する。透過面61を規定する面がフッ素系樹脂などから構成される型にベース53をはめ込み、空間内に湿潤ゲルを導入する。その後、液体部分を液化炭酸ガスで置換し、乾燥させることにより、光音響伝搬媒質部52とベース53とが一体化した部材を得る。
図3(b)に示されるように光音響伝搬媒質部52を保持したベース53のA及びBの両端部分と、図3(a)に示す音響導波部材56のC及びDの両端部分をそれぞれ対応させて、エポキシ樹脂などの接着材などにより接合することによって、光音響伝搬媒質部52によって透過面61が規定された音響導波路60を形成する。
(音響導波路60を伝搬する音波)
次に、音響導波部材56が規定する音響導波路60及び光音響伝搬媒質部52の幾何学的形状と音波の伝搬を詳細に説明する。
図4は、光学式超音波マイクロフォン51における音響導波路60の一部を拡大した図である。図4を用いて、音波の伝搬及び屈折を説明する。
図4において、透過面61及び導波路外面62を点線で示し、透過面61の任意の点における接線の垂線を一点鎖線で示している。また、音波の伝搬方向を矢印55aで示している。
開口63から入射し、音響導波路60内を進行する音波は、音響導波路60の形状に従って進行方向を変化させながら、音響導波路60を伝搬していく。音響導波路60の内部は、環境流体14で満たされている。
音響導波路60と光音響伝搬媒質部52との界面である透過面61へ接触する音波の成分は、透過面61の法線に対して角度θaで透過面61に入射し、スネルの法則を満足するように、透過面61の法線と一定の角度θnをもって光音響伝搬媒質部52へ屈折透過していく。
光音響伝搬媒質部52の内部における音波の伝搬方向の角度θnは、数1で示される。ここで、(Cn/Ca)<1の関係を満たすとき、数1によって求められる角度θnは正の値となり、光音響伝搬媒質部52内に音波が屈折透過する。
Figure 2011211311
数1において、伝搬媒質における音波の速度をCn、環境流体14における音波の音速をCa、伝搬媒質の密度をρn、環境流体14の密度をρaである。
一方、音響導波路60と光音響伝搬媒質部52との界面における反射率Rは、数2で示される。
Figure 2011211311
音響導波路60から光音響伝搬媒質部52へできるだけ高効率で音波を屈折透過させるためには、反射率Rは小さいほうが好ましい。Cn、Ca、ρn、ρaが(ρn/ρa)<(Ca/Cn)<1を満たす場合、数2の分子がゼロとなる角度θa、θnが必ず存在する。つまり、反射率Rがゼロにすることができる。
第1実施形態では、上述のとおり、シリカ乾燥ゲルの密度ρnは、200kg/m3であり、シリカ乾燥ゲルにおける音速Cnは、150m/sであり、空気の密度ρaは、1.12kg/m3であり、音速Caは、室温付近で340m/sである。
これらの値を数1に代入すると、角度θnは約26度となる。このとき、角度θaが約89度であれば、反射率Rはほぼゼロとなる。よって、第1実施形態の条件においては、透過面61の法線に対して、約89度で透過面61に音波が入射することによって、角度θnが約26度となる方向へ、音波は高い透過効率で光音響伝搬媒質部52の内部へと透過していく。
反射率Rがほぼゼロとなる場合、屈折角度θnは約26度の一定となるが、透過面61を曲面にすることによって、透過面61の異なる位置から光音響伝搬媒質部52へ透過した音波を所定の音響焦点57に向かって伝搬させ、音波を収束させることができる。
また、透過面61に沿って音響導波路60を屈曲させることによって、音波が音響導波路60を伝搬するに従って、音波の一部を常に一定の角度θaで透過面61に入射させることができる。この現象を利用して、音響導波路60を伝搬する音波を少しずつ光音響伝搬媒質部52へ屈折透過させ、光音響伝搬媒質部52内の一点に音波を収束させることによって、高い受波感度を実現する。
また、数1で示される屈折角度θn及び数2で示される反射率Rは、音波の周波数に依存しない。よって、伝搬する音波の周波数に関わらず、音波を高い透過効率で光音響伝搬媒質部52へ透過させることができる。従って、第1実施形態の光学式超音波マイクロフォン51は、広帯域の音波を高い感度で検出することが可能である。すなわち、第1実施形態によれば、従来では困難であった高い周波領域でかつ広帯域な超音波の受波が高い感度で可能となり、100kHz以上の実効的な帯域及び高い感度を持つ標準マイクロフォンが実現できることになる。
なお、光学レンズの分野において、例えば、日本特許第2731389号は、光導波路の側面から放出される光を収束させる構造を開示している。しかし、一般に光導波路では、クラッド層と導波路との境界で光が反射を繰り返しながら伝搬するのに対し、本第1実施形態の音響導波路60では音波は音響導波路60の外面や側面で反射しない。このため、光導波路では伝搬する光の位相が揃っていないのに対して、第1実施形態では位相の揃った音波を伝搬させることが重要である。
(透過面61及び導波路外面62の形状)
次に、音響導波路60を規定する透過面61及び導波路外面62の形状の設計を説明する。透過面61及び導波路外面62の形状は、次のようなステップで設計される。
まず、音響導波路60の開口部63の大きさから、音波を効率良く光音響伝搬媒質部52に取り込める音響導波路60の長さが決定される。音響導波路60の長さより、透過面61が音波を収束する形状として設計される。その後、決定した透過面61の形状と音響導波路60に必要な幅を考慮して、透過面61の形状が設計される。
音響導波路60の開口部63の大きさは、受波する音波の波長の1/2以下であることが好ましい。導波路の幅が伝搬する音波の波長の1/2よりも大きい場合、音響導波路60の内部で音波が反射し易くなり、音波の伝搬を乱し、正確な音波の測定が困難になるからである。
第1実施形態においては、一例として、周波数80kHzまでの音波の受波を考慮しているため、周波数80kHzの1/2波長である2.1mmより小さい2.0mmとし、開口部63は一辺が2.0mmの正方形状を有している。収束部77の端部72は、開口部63と等しいサイズに設計されている。
音響導波路60の長さが大きいほど、音響導波路60から光音響伝搬媒質52に伝搬する音波が多くなる。よって、音響導波路60内を伝搬する音波が、光音響伝搬媒質部52に屈折透過していくように、十分な長さを備えていることが好ましい。
図21を参照して説明したように、超音波受波器101において、長さL3の範囲を伝搬してきた音波が第2表面領域112を介して伝搬媒質部103の内部へと透過していく。図21の長さL3及び長さL5は、図5に示す音響導波路60のYZ平面における開口部63のZ方向の長さ及び透過面61のYZ平面における長さに対応している。透過面61のYZ平面における長さ、つまり、音響導波路60における音波の伝搬方向g6の長さが十分に長くすることで、音波を十分に光音響伝搬媒質部52へ透過させることができ、受波感度の向上、又は取り込めなかった音波の反射の影響などを低減することができ、測定精度が向上させることができる
第1実施形態においては、環境流体14中における光音響伝搬媒質部52の法線と、音波伝搬方向55aのなす角度であるθa(図4)が、約89.3度であるため、長さL2と長さL1の比は、約L1/L2=88となる。このため、理想的には開口部63の約90倍以上の長さを音響導波路60が有していることが好ましい。本第1実施形態では、音響導波路60の開口部63が2mmであり、音響導波路60の長さを開口部63の100倍となる200mmに設定している。
このように、開口部63及び音響導波路60の長さが決定される。音響導波路60の長さに基づいて透過面61の形状および導波路外面の形状が設計される。
(音波の収束)
図5は、音響導波路60と光音響伝搬媒質部52とを拡大した図である。図5を用いて、第1実施形態における光学式超音波マイクロフォン51において、音波が収束させることを説明する。
音波を収束させる音響焦点57を光音響伝搬媒質部52内に設定する。音響焦点57には、LDVヘッド8を対向させて、レーザ光58を利用してLDVヘッド8及びLDV演算処理部9で音波を検出するようにしている。
図5において、透過面61の開口部63における点を始点P0とし、透過面61の開口部63に近い方から順に点P1、P2、P3、・・・・、Pnとする。また、点P0から点P1までの距離をLa1、点P1から点P2までの距離をLa2、・・・、点Pn−1から点Pnまでの距離をLanとする。さらに、点P1、P2、・・・・Pnと音響焦点57との距離を、それぞれLn1、Ln2、・・・・、Lnnとする。
開口部63から入射し、音響導波路60内を伝搬し、さらに光音響伝搬媒質部52へ屈折透過した音波が、音響焦点57で集束するためには、以下の数3を満たすことが必要である。
Figure 2011211311
光音響伝搬媒質部52内の音響焦点57に音波が集束するということは、音響焦点57において音波の位相が揃うということを意味している。すなわち、開口部63から音響焦点57までの音波の到達時間が、どの経路を通った場合も同一であることを意味する。
具体的には、数3において、最も左の等号の左辺(La1/Ca)+(Ln1/Cn)は、音波が環境流体14中を距離La1だけ伝搬し、光音響伝搬媒質部52中を距離Ln1だけ伝搬することによって、音響焦点57に到達するまでの時間を示している。また、最も左の等号の右辺である{(La1+La2)/Ca}+(Ln2/Cn)は、音波が環境流体14中を距離(La1+La2)だけ伝搬し、光音響伝搬媒質部52中を距離Ln2だけ伝搬することによって、音響焦点57に到達するまでの時間を示している。
同様の手順により、各点Pkにおいて、音響導波路60から光音響伝搬媒質部52へ透過した音波が音響焦点57に到達するまでの時間を、求めることができる。
数3を一般化し、音響導波路60の開口部63から、透過面61上の音波の伝搬方向に沿った任意の点Pkまでの導波路の距離をLakとし、点Pkから、光音響伝搬媒質部52中の、点Pkとは異なる音響焦点F(57)までの距離をLnkとしたとき、数3は、1からnまでの任意のkに対して、(Lak/Ca)+(Lnk/Cn)が一定である条件として表される。
(Lak/Ca)+(Lnk/Cn)が一定とは、上述したように、透過面61の任意の位置における開口部63から音響焦点57までの所要時間が、どの点を取っても一定であることを示している。言い換えれば、(Lak/Ca)+(Lnk/Cn)が一定を満たすことにより、光音響伝搬媒質部52内に取り込まれた音波は、音波音響焦点57に収束することを意味している。図1における構成において、光音響伝搬媒質部52の音響導波路60側の形状は、(Lak/Ca)+(Lnk/Cn)が一定を満たしている。
図5は、(Lak/Ca)+(Lnk/Cn)が一定であることを説明する図である。音響導波路の開口部63を始点として、光音響伝搬媒質部52の音響導波路60の透過面61の任意の点からシリカ乾燥ゲルで構成された光音響伝搬媒質部52内に進入した音波であっても、(Lak/Ca)+(Lnk/Cn)が一定を満たす透過面61であれば、音響焦点57に収束する。これは、光音響伝搬媒質部52内で、音響焦点57を中心とした円筒形(部分円筒形)の波面を構成する形状になっているためである。
なお、厳密には、音響導波路60を伝搬する音波の伝搬距離は、音響導波路60の中央の経路を用いて算出するのが、より正確であると思われる。しかし、以下で説明するように音響導波路60の幅寸法は、その長さに比べて十分小さい。このため、上述の近似で実用的には十分な精度を有している。
(光源及び検出部)
図1では、便宜上、空中におけるレーザ光58の伝搬経路のみを記載している。音響焦点57に収束させた超音波を検出する検出部を説明する。図1において、光源はLDVヘッド8で構成され、検出部はLDV演算処理部9で構成されている。
音響焦点57に音波を収束させることによって、振幅の大きな粗密波の定在波が生成される。その結果、音響焦点57には収束部77で受信した音響信号の音圧に依存した屈折率の変動が生じる。
LDVヘッド8は、レーザ光58を伝搬媒質部52に向かって出射(発射)する。また、LDVヘッド8は、出射された後に、伝搬媒質部52を伝搬し、反射したレーザ光58を受光する。LDV演算処理部9は、受光されたレーザ光58を電気信号への変換および信号処理がなされる。
LDVヘッド8から出射したレーザ光58は、屈折率の変動の速度に応じたドプラー周波数だけ周波数変調を受ける。その変調周波数は自己ヘテロダイン検波などの検波方法によりLDV演算処理部9で検出する。
例えば、レーザ光58を発射した方向における光音響伝搬媒質部52の厚み情報及び検出部と計測用貫通穴53aの距離の2倍と、検出部から出射したレーザ光58の速度を用いて、レーザ光58を出射してからその反射波を受信するまでの時間を予め求めておく。その求めた時間と実際に計測した時間との差異から、レーザ光58の周波数変調の量がわかる。その周波数変調の量から音波の音圧を求めることができる。
第1実施形態にかかる光学式超音波マイクロフォン51は、気体などの音響インピーダンスの極めて小さい環境流体14から固体へ高い効率で音波を伝搬させ、固体に透過した音波を固体内部で収束させることによって音波のエネルギー密度を高めることができる。これにより、音波を高感度で受信することができる。
(実験結果)
図6〜図11に、第1実施形態の光学式超音波マイクロフォン51の音響導波路60を伝搬する音波が光音響伝搬媒質部52へ透過し、音響焦点57に収束する過程を計算実験により求めた結果を示す。図6〜図11は、図1に示す光学式超音波マイクロフォンにおける音波伝搬に対する計算実験結果を示す音圧分布図である。図6〜図11では、音波の位置や位相を分かりやすく表示するため、光学式超音波マイクロフォン51の音響導波路60と光音響伝搬媒質部52のみを示している。
図6〜図11は、音波が伝搬する様子を、時間を追って示している。図6が時間的に一番早く、図11が一番遅い状態を示している。図6〜図11に示す音響導波路60を規定する透過面61及び導波路外面62は、上述した手順によって、音響焦点57に音響導波路60を伝搬する音波が収束するように設計されている。音響導波路60の開口部63は上方に位置し、閉塞した終端は下方に位置している。音響導波路60内は環境流体14、ここでは空気で満たされている。
図12に、図6〜図11に示す実験に用いた入力音波信号の時間波形を示す。具体的には、開口部63から入射させる音波の波形を示している。音波の中心周波数は約40kHzであり、音波は約5波長分の長さを有している。
図6〜図11において、光音響伝搬媒質部52の内部及び音響導波路60の内部の音波の音圧レベルを色の濃淡で示している。色の濃い部分(黒)は大気圧より高い音圧を示しており、色の薄い部分(白)は大気圧より低い音圧を示している。同じ色、例えば黒と黒、あるいは白と白との間が40kHzを示し、つまり、音波の1波長に相当する。
図6〜図11において、音響導波路60が非常に狭いため確認が困難であるが、音響導波路60の内部においては、空気の音速が340m/sであることから、同じ色の間の距離、すなわち、1波長の距離は約8.5mmとなる。
一方、光音響伝搬媒質部52の内部においては、光音響伝搬媒質部52を構成する乾燥ゲルの音速が150m/sであることから、同色の間の距離、すなわち、1波長の距離は約3.75mmとなる。
図6は、開口部63より音波の3波長分が音響導波路60に伝搬し、4波目の振幅の山が開口部63より音響導波路60の内部へと伝搬した瞬間を示している。音波の音響導波路60の内部に伝搬した部分は、音響導波路60と接している透過面61から光音響伝搬媒質部52へ伝搬している。光音響伝搬媒質部52の内部に濃淡で示されている部分は透過面61から光音響伝搬媒質部52に屈折透過した音波の成分である。
図7は、図6に示す状態から時間的に少し進んだ状態を示している。音響導波路60の内部では、音波が音響導波路60の形状に沿って伝搬している。また、音響導波路60の内部を伝搬する音波が、徐々に光音響伝搬媒質部52に屈折透過し、光音響伝搬媒質部52内部を伝搬していく状態を示している。図6及び図7に示されるように、音響導波路60を伝搬する音波の方が、光音響伝搬媒質部52を伝搬する音波に比べて、開口部63からより長い距離を伝搬している。これは、音響導波路60の環境流体14である空気の音速のほうが、伝搬媒質である乾燥ゲルの音速に比べて速いことを示している。
図8も同様に、音波の一部が音響導波路60を伝搬するにつれて、光音響伝搬媒質部52に屈折透過し、光音響伝搬媒質部52内部を音波が伝搬していく様子を示している。屈折透過のため、透過面61において黒と白の濃淡で示されるパターンは折り曲がっているが、光音響伝搬媒質部52内においては、黒と白の濃淡で示されるパターンは、きれいな曲線を描きつつある。これは、光音響伝搬媒質部52内を伝搬する音波の位相が揃っていることを示している。
図9は、音響導波路60のほぼ終端近傍を伝搬する音波と、光音響伝搬媒質部52の内部で音響焦点57に向けて徐々に収束しつつある音波の様子を示している。
図10は、さらに音波の伝搬が進行し、音響導波路60の内部を伝搬する音波が導波路終端に達し、全て光音響伝搬媒質部52の内部に屈折透過し、光音響伝搬媒質部52の内部を伝搬する音波は、さらに音響焦点57に向かって収束しつつある様子を示している。
図11は、光音響伝搬媒質部52の内部を伝搬した音波の最初の波面が、音響焦点57に到達している。図6Fに示されるように、黒の濃淡がより濃くなっている、これは、音響焦点57において、音波が収束し、音圧が高められていることを示している。
図6〜図11では具体的な数値は示していないが、実験結果から、音響導波路60の内部における大気圧からの音波による音圧の変化が約4Paである場合、音響焦点57付近における大気圧からの音圧の変化は約34Paであることが分った。これは、音波の音圧が8倍以上に高められたことを示しており、第1実施形態によれば、高い感度で環境流体中の音波を観測することができることが明らかとなった。
このように第1実施形態によれば、音波を屈折させて環境流体14から光音響伝搬媒質部52に透過させることによって、音響インピーダンスの異なる界面での音波の反射を抑制し、高い効率で音波を光音響伝搬媒質部52に透過させることができる。
また、環境流体14で満たされた音響導波路60の一面を構成するように光音響伝搬媒質部52を配置し、音響導波路60を伝搬するに従って、音波の一部が光音響伝搬媒質部52へ透過し、かつ所定の音響焦点57に収束するように、音響導波路60と接している面の形状を設計することにより、少しずつ光音響伝搬媒質部52へ透過した音波の位相を一致させて音響焦点57に収束させることができる。従って、音響導波路60の開口部63から入射した音波の大部分を利用して音波を収束させることができ、受波した音波の音圧を高めることができる。これにより、高い感度で音波を検出することができる。
なお、第1実施形態の光学式超音波マイクロフォン51では、音響導波路60の終端は閉塞しているが、その終端を開放してもよい。図13は、第1実施形態の変形例にかかる光学式超音波マイクロフォン51Aの概略装置構成を示す断面図である。図13に示された光学式超音波マイクロフォン51Aでは、音響導波路60の導波路終端64Aが開放されている。音響導波路60を伝搬する音波のエネルギーが比較的高く、全てのエネルギーを取り込む必要が無い場合は、音響導波路60を伝搬する音波のうち光音響伝搬媒質部52へ透過しなかった部分が終端で反射して悪影響を与えないように、音響導波路60から除去することが好ましい。音波受波器103によれば、音響導波路60の終端64が開放されているため、光音響伝搬媒質部52へ透過しなかった音波を除去することができる。これにより、受波した音波が乱れることなく、目的の音波を正確に検出できる。この場合音響導波路60の長さは上述したように開口部との関係で定められる好ましい長さよりも短くてもよい。
図14は、本発明第1実施形態における光学式超音波マイクロフォンの光音響伝搬媒質部の音波伝搬の等位相面の計測結果を示す等高線図である。図14は、光学式超音波マイクロフォン51において、シリカ乾燥ゲルで構成された光音響伝搬媒質部52の内部の音波伝搬を、LDVヘッド8で2次元走査して計測した伝搬時間の結果から、音波伝搬の等位相面(波面)902の状況を示したものである。
ここでは、光音響伝搬媒質部52の一例として、密度270kg/m3、音速145m/sのシリカ乾燥ゲルを使用した。この場合の各点における入射角は89.5度で、屈折角は26度となる。この音速値を基に曲面を設計した。音波伝搬方向901、等位相面902はシリカ乾燥ゲル52を円筒波として音波音響焦点57に向かって伝搬していることが観察でき、理論設計どおりの動作を確認した。
図15は、音波音響焦点57の付近における光学式超音波マイクロフォン51のLDV出力波形81(振幅計測波形)の一例を示す時間波形図である。図15は、計測する音波として中心周波数40kHz、駆動信号1波長で広帯域ツィータから放射した場合の結果である。
中心周波数40kHzを考慮して、音響導波路60の幅と初期高さ(開口部54での高さ)は共に4mmとした。光音響伝搬媒質部52として用いたシリカ乾燥ゲルの厚みも4mmである。光音響伝搬媒質部52を往復するレーザ光58の計測には、波長633nmのHe−Neレーザを使用したヘテロダイン方式のレーザドプラー振動計(LDVヘッド8)を、光源及び光検出手段の一例として用いた。
音波による光の変調は、周波数変調である。ベース3にはアルミニウム材を用いている。He−Neレーザから照射されるレーザ光58は、シリカ乾燥ゲル52の表面側に位置するベース53の計測用貫通穴(音響焦点57に形成された貫通穴)53aを介して光音響伝搬媒質部52に入射し、光音響伝搬媒質部52を厚み方向に貫通したのち、光路を逆に伝搬し、光音響伝搬媒質部52の裏面側のベース53の内面で反射したのち、再び、光音響伝搬媒質部52を厚み方向に貫通し、光音響伝搬媒質部52の表面側に位置する前記ベース53の貫通穴53aから出射して、LDVヘッド8に戻る。従って、音波計測用の光路は、光音響伝搬媒質部52の厚み4mmの2倍である8mmである。
図15の結果より、第1実施形態と同様に極めて広帯域な受波特性を有していることがわかる。図15の波形81からピーク変位は約5nmである。換算される音圧Pは約54.2Pa程度である。音響ホーン終端での入力換算音圧は25Pa程度で2倍程度の収束効果が確認できた。この場合も、前記計測されて換算される音圧と前記入力換算音圧とは、オーダー的には十分に一致しており、前記計測されて換算される音圧を適切に校正することにより、極めて正確な音圧測定が可能である。
第1実施形態においては、光音響伝搬媒質部52の内部で音波を収束させることにより、より高い感度で広帯域受波が可能となる。
(第2実施形態)
図16から図18を用いて、第2の実施形態の光学式超音波マイクロフォンを説明する。
第2実施形態と第1実施形態との差異は、音響焦点57における音圧を光学的に検出する光学系の構成にある。以下、この光学系を光学式音圧測定部1300と称する。
第1実施形態では、光学式音圧測定部1300はLDVヘッド8とLDV演算処理部9で構成されていた。LDVは汎用性と安定性に富むが、LDVの構成上小型化が困難であるとともに高価である。従って、光学式超音波マイクロフォンを小形かつ低価格に提供するためには、小形で、かつ低価格な光学式音圧測定部1300にすることが望まれる。以下、光学式音圧測定部1300の構成について説明する。第2実施形態においても、第1実施形態で説明した構成と変更のないものは、図示および説明を割愛する。
図16に、本発明の光学式超音波マイクロフォンの第2実施形態における光学式音圧測定部1300の光学系構造を示す。
図16に示す単色光光源1301は、可干渉性の光を発する。単色光光源1301から出射された単色光1302は光学系1303により、波面の平坦性の確保と適当なビームサイズへの拡大縮小がなされる。その後、単色光1302はビームスプリッタ1304によって2つの単色光1307,1308に分割される。そして、単色光1307は光音響伝搬媒質部52に向かい、単色光1308は平面鏡1306に向かう。
単色光1307は、単色光1307を透過可能でかつ光音響伝搬媒質部52中に良好に音響振動を束縛可能な材質(例えば、透明な強化アクリル板)で構成された透明ベース1314と、光音響伝搬媒質部52の音響焦点57を通過し、平面鏡1310で反射された後に再度音響焦点57を通過する。そして、その一部はビームスプリッタ1304を通過し、集光光学系1311でビームの形状の成形が行われとともに光強度測定器1312に導かれる。以上述べた単色光1307が経由する光路をL11と記した。
また、単色光1308は平面鏡1306で反射されて再度ビームスプリッタ1304方向に進行するが、その一部がビームスプリッタ1340で反射された後、先ほどと同様に集光光学系1311により集光されて光強度測定器1312に導かれる。以上述べた単色光1308が経由する光路をL12と記した。
以上、光学式超音波マイクロフォン1300の概略構成と単色光1302が経由する経路について説明した。次に、光学式超音波マイクロフォン1300の動作原理について図16を用いて説明する。ビームスプリッタ1304を透過した単色光1307と、ビームスプリッタ1304で反射された単色光1308の波面は十分平行であり、両単色光が高コントラスト(コントラストは干渉光の最大強度変動量を時間平均強度で割ったもので定義。従って、コントラストは0から2までの実数値をとる)の干渉光を生成できるように全光学系は光軸調整されているとともに、ビームスプリッタ1304の反射・透過率が選択されている。
従って、2つの単色光が経由する光路L11,L12の光路長差に依存して光強度測定器1312で受光する干渉光強度が高コントラストで変動する。光路長差の時間変動がない場合は光強度測定器1312からの出力信号1313は時間に依らず一定値を示す。しかしながら、光音響伝搬媒質部52により音響焦点57に集音される音響信号強度の時間変動によって音響焦点57の屈折率が時間的に変動し、それに応じて前記光路長差が時間的に変動するため、出力信号1313は時間的に変動する。屈折率変動は入力音圧に依存しているため、出力信号1313を信号解析することにより音圧変動を観測できる。以上が、光学式超音波マイクロフォン1300の動作である。
第2実施形態の光学式超音波マイクロフォン1300における可能な装置構成のバリエーションと、設計時の考慮点について説明する。
図16においては、ビームスプリッタ1304、透明ベース1314、平面鏡1306、及び平面鏡1310を全て互いに接触させてあるよう記したが、それらの間に空気層などの他の光学媒体を挟み互いに離れた位置に配置してもよいことは言うまでもない。しかしながら、本構成における干渉光強度の安定性は、主に単色光1307,1308が異なる光路を通過する間に被る空気ゆらぎ等による音響信号以外の影響による屈折率変動をいかに抑圧するかに依存する。従って、安定性の高い出力信号1313を得るためには、図16に記したように極力空気層や力学的に不安定な光学媒体の挿入を排除するとともに、光路L11,L12が異なる経路を辿る領域を出来るかぎり小形にするよう構成することが望ましい。
図16には、光学系1303及び集光光学系1311で構成しているが、単色光光源1301からの単色光1302が十分な可干渉性と測定に必要なビームサイズを単色光光源1301からの出射時点から備えている場合には省略可能であることは言うまでもない。
しかしながら、必要とされる音響信号の測定可能周波数帯域において、光音響伝搬媒質部52の焦点位置のずれが問題となる場合(すなわち、光音響伝搬媒質部52が音響信号に対して“色収差”を持つ場合)、単色光1302のビームサイズには収差による音響焦点57の位置変動を十分覆うだけの大きさが必要とされる。なぜならば、もしある周波数帯の音響信号が単色光1302のビームスポット外に焦点を形成する場合には、その周波数帯の音響信号が受信されないため、音響信号の測定可能周波数帯域において音響信号の受信特性に周波数依存性が生じるからである。受信特性に周波数依存性が存在すると、音響焦点57での音響信号の時間波形と出力信号1313の信号波形の相似性が確保できなくなるいわゆる信号歪が発生し特性上好ましくない。従って、広範な音響測定可能周波数帯域を確保するためにはこの問題の回避が必要不可欠であり、光学系1303を挿入してある程度のビームサイズを持つように単色光1302を拡張する必要がある。
ところで、単色光1302に要求されるスペクトル幅は光学式超音波マイクロフォン1300の光学系構成に依存する。例えば、ビームスプリッタ1304と平面鏡1306の間に平行平板ガラスを挿入し、音響焦点57に音響信号が入力されていない状況において光路L11,L12が等しくなるよう調整されている場合は、単色光1302としては所望の波長に最大強度を持った発光ダイオード光などの広帯域光線ないしは白色光を用いることができる。単色光1302のスペクトル幅が狭くなるに従い、単色光光源1301の物理的サイズが大型化するとともに高額になるため、光学式音響測定装置を小形かつ低価格に実現する場合には、出来る限り光路L11,L12の光路長が等しくなるよう光学系を構成することが望ましい。
また、透明ベース板1314は単色光1307が十分透過できるよう透明な材質より構成されているとして説明したが、両透明ベース板1314に小開口部を設け、単色光1307の光路が前記小開口部中を通過できるようにすることによって、透明ベース板1314は不透明なものでも適用可能となることは言うまでもない。上述した干渉光強度安定性に対する要求仕様が満足されるのであれば、単色光1307が透明ベース1314を通過しうる構成はすべて等しく動作可能である。
次に、図17及び図18を用いて、図16に記した光学式超音波マイクロフォン1300の測定原理を実証した結果を説明する。
光学式超音波マイクロフォン1300は、音圧により生成される音響媒体中の屈折率変動を光干渉法により光路長変動として計測する。そこで、図17に示す光干渉計を実際に構成し原理実証を行なった。
図17は、第2実施形態における光学式超音波マイクロフォンの原理実証用の実験装置を示す。図17において、He−Neレーザ1400から発せられたレーザ光はビームスプリッタ1401で2つの経路L21と経路L22に分割される。経路L21中のレーザ光線は反射鏡1402により折り返され、ビームスプリッタ1405において経路L22のレーザ光線と干渉する。
また、経路L22を経由するレーザ光は、反射鏡1403で折り返され音響媒体1404を通過した後に経路L21の光線と干渉する。そして、生成された干渉光の強度が光検出器1406で電気信号として出力される。その電気信号は、デジタル・オシロスコープ1408で信号に含まれるDC成分の除去や平均化処理など必要な信号処理を経て音響受信信号として出力される。
なお、経路L22の反射鏡1403とビームスプリッタ1405の中間には音響媒体1404が挿入されている。更に、音響媒体1404にはホーン1409が接続されており、スピーカ1410から発せられる音響信号を音響媒体1404に導入できるようになっている。本実験装置構成では、経路L21と経路L22の光路長差をマッハツェンダー型干渉計で干渉光強度として計測するため、干渉光強度は音響媒体1404に導入された音響信号により生成される屈折率変化に依存する。
次に、実際の実験状況を説明する。実験においては、スピーカ1410への入力信号は、ファンクションジェネレータ(不図示)により生成された振幅0.5V,周波数40kHzの正弦波1波を用いた。また、スピーカ1410前面からホーン1409開口部面までの距離は100mmとし、音響媒体1404としては厚さ5mm(図17紙面に対して左右方向)で一辺20mmの正方形形状のものを用いた。なお、音響媒体1404は40kHzの正弦波に対して音速約70mを有している。
図18に、測定された結果を示す。図18(a)は、図17の光学式超音波マイクロフォンの原理実証用の実験装置により測定されたデジタル・オシロスコープ1408からの出力信号の時間波形を記したグラフである。また、図18(b)は、スピーカ1410への入力信号の時間波形を記したグラフである。図18(a)及び(b)は、横軸の時間幅が同一となるように、また、両信号波頭が一致するように配置されている。
図18から分かるように、図18(b)に記したスピーカ1410への出力信号が音響信号に変換されて空気中を伝搬し、ホーン1409により集音され音響媒体1404に導入され粗密波として進行し、それに応じて音響媒体1404と光路L22の交差領域に生成される屈折率変動がデジタル・オシロスコープ1408からの干渉光強度出力として検出されている。従って、光学式音響測定部1300は実際に機能しうることがこの測定結果より分かる。
(第3実施形態)
次に、図19を用いて、第3実施形態の光学式超音波マイクロフォンを説明する。
第3の実施形態の光学式超音波マイクロフォンも第2実施形態と同様に、音響焦点57における音圧を光学検出する光学系を構成する。図16で述べた光学式超音波マイクロフォン1300ではマイケルソン・モーレー干渉計を構成している2つの異なる経路L21,L22の光路長差を干渉光強度に変換して計測している。
しかしながら、単色光1302がレーザ光のような可干渉性の単色光である場合、干渉光強度は、単色光1302の波長に換算して整数波長の差異を有する光路長差変動は全て同一強度を与えるため(すなわち、ピッチ飛び)、そのような光路長差変動に相当する強大な音圧を持つ音響信号や、音響信号がない状況において光路長差が既に半奇数波長である場合においては、出力信号1313と音響焦点57における音響信号の時間波形の相似性が崩れるといういわゆる信号歪が発生することになる。
この問題は、図16に記載の光学式超音波マイクロフォンを構成する干渉計の光路長差変動量の絶対量測定可能範囲が1波長以下であることに起因しており、広い測定ダイナミックレンジを有した光学式音響マイクロフォンを構成する場合には課題となる。この課題を解決するためには光路長差の絶対量測定可能範囲が大きな干渉計を用いることが必要である。以下に述べるように、実際にそのような特徴を持つ干渉計を適用した光学式超音波マイクロフォンを構成することができる。
図19を参照して、上記課題を解決可能な光学式超音波マイクロフォンの構成を説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態に現れる構成と変更のないものは、その図示および説明を割愛する。
図19に、第3実施形態における測定ダイナミックレンジが広くかつ信号歪のない光学式超音波マイクロフォン1300の光学系構成を示す。なお、図19では、図16の装置構成から何の変更もなく適用可能な構成要素については図16と同一符号を適用する。
図19において1601は2周波直線偏波レーザ光源であり、互いに偏波面が直交し、それぞれの周波数がω,ω+Δωの直線偏波光からなるレーザ光1602を発射する。
以下では、説明を明瞭にするために前記2つの直線偏波光の1つの偏波面は図19紙面に平行で周波数ωを持つと規定する(従って、もう一方の偏波面は図19紙面に対して垂直であり周波数ω+Δωを持つ)。
図17に記載の装置構成と同様な目的で、レーザ光1602は光学系1303により波面の平坦性の確保と適当なビームサイズへの拡大縮小が行われる(光学系1303の挿入によるレーザ光1602の偏波状況の変化は通常極めて微少であり無視しうる)。調整後のレーザ光1602は無偏光ビームスプリッタ1603で両偏波成分ともにその一部が反射され、集光光学系1604により光強度測定器1605に導かれる。反射は無偏光面においてなされるので、反射直後のレーザ光1602に含まれ2つの偏波成分は偏波面の回転や直線偏波性、および、両成分の振幅強度比は反射前のレーザ光1602と同一である。
ところで、無偏光ビームスプリッタ1603と集光光学系1604の間には偏光板1606が挿入されている。なお、偏光板1606の偏光軸は図19の紙面に対して45°傾いており、前記偏光軸はレーザ光1602中の2つの偏波面に対して等しく45°の角度をなしているので、偏光板1606により両偏波面は前記偏光軸へ射影されるため、それまで偏波面の直交性により非可干であったそれぞれ周波数ω,ω+Δωを持つ直線偏波成分は干渉し、生成された差周波Δωのビート光が光強度測定器1605に入射する。そのため、基準ビート信号1607の時間波形は周波数Δωの正弦波となる。なお、周波数ω,ω+Δωを持つ直線偏波成分は常に同一経路を経由するので、基準ビート信号1607中には音響信号に関する情報は含まれていない。
次に、無偏光ビームスプリッタ1603を通過したレーザ光1602の行方について説明する。無偏光ビームスプリッタ1603を通過したレーザ光1602は、偏光ビームスプリッタ1608で偏波面方向による反射・透過による経路の選択が行われる。ここでも説明を簡単にするため、偏光ビームスプリッタ1608は図19紙面に平行な偏波面を持つ直線偏波光は完全反射されるとする。従って、無偏光ビームスプリッタ1603を通過したレーザ光1602に含まれる図19紙面に平行な偏波面を持つ直線偏波光のみ音響焦点57に向かって反射され、図19紙面に垂直な偏波面を持つ直線偏波光は完全に透過して平面鏡1617に向かう。
以上のように偏波面方向により経路分割されたレーザ光のうち、音響焦点57方向に反射されたレーザ光1609の行方についてまず説明する。レーザ光1609は、平面鏡1618で反射される間に音響焦点57を2回通過するので、光音響伝搬媒質部52に入力された音響信号により生成される屈折率変動応じた光路長変動を被る。この点は図17に記載の構成例に同一であるが、図19の構成では経路の途中に1/8λ波長板1610を2回通過する点に相違がある。1/8λ波長板1610はそれを通過する光の偏波面を45°回転させる作用を有する。従って、平面鏡1618で反射されて偏光ビームスプリッタ1608内に戻ってきたレーザ光1609の偏波面は90°回転し図19紙面に対して垂直となるため偏光ビームスプリッタ1608を通過し、偏光板1613を経て集光光学系1611によって光強度測定器1612に導かれる。
次に、偏光ビームスプリッタ1608で偏波面方向により経路分割されたレーザ光で、平面鏡1617に向かうレーザ光1614の行方について説明する。レーザ光1614は平面鏡1617で反射され再び偏光ビームスプリッタ1608の反射面直前に戻った時点で1/8λ波長板1615を2回通過しているため偏波面が90°回転し、図19紙面に対して平行となる。従って、レーザ光1614は偏光ビームスプリッタ1608で反射され、偏光板1613を通過後に集光光学系1611により光強度測定器1612に導かれる。
以上のように、2つのレーザ光1609,1614は偏光板1613の直前で再び偏波面が互いに直交した一本のレーザ光に統合されるが、偏光板1613の偏光軸は図19紙面に対して45°傾いており上述の偏光板1606と同様に作用し、偏光板1614通過後2つのレーザ光1609,1614は可干渉性となる。従って、レーザ光1609,1614は干渉し差周波数Δωのビート光となり、同一周波数を有する正弦波形を有する測定ビート信号1616が光強度測定器1612から出力される。
基準ビート信号1607と異なり、測定ビート信号1616の位相φは2つのレーザ光1609,1614各々が独立に経由する経路の光路長差に依存し、周波数ωの単色光波長λ=2πc/ω(cは光速)で換算して1波長の光路長差の変動は位相φの2πの変動に相当する。位相φの測定は、光強度測定器1605,1612から電気信号として出力された基準ビート信号1607と測定ビート信号1616の位相比較により行われる。位相比較は、例えばロックインアンプ(不図示)を用いて基準ビート信号1607を基準とした測定ビート信号1616の位相差測定を行うことにより高精度に行うことができる。
図19の装置構成は連続量である位相φを測定するため、図16での課題の1つであるピッチ飛びによる信号歪は一切生じない。また、もう一つの課題である2πを超える位相φの変動量の計測は次のようにしてなされる。まず、光音響伝搬媒質部52に音響信号の入力が無い状態での位相φ0を測定して置き、それからの位相変動Δφ(すなわち、φ=φ0+Δφ)を常モニターすることにより、2πを超える位相φの変動量の計測は可能となる。上述のように位相変動Δφは前記光路長差変動を経由して音響信号に起因する音響焦点57での屈折率変動を反映するため、測定された位相変動Δφを解析することにより、上記の2つの課題を解決しながら前記音響信号の測定ができる。
図19に示した光学式超音波マイクロフォン1300において、装置構成上可能なバリエーションや変更を説明する。図19の構成においても図16と同様に、2周波直線偏波レーザ光源1601からの出射光が、そのままで十分なコントラストを有する干渉光を生成可能な波面の平坦度、および、音響焦点57の十分な被覆を実現するビームサイズを有する場合には、光学系1303、集光光学系1604,1611を省略することが可能である。
また、2周波直線偏波レーザ光源1601は既存の2周波レーザ光源が等しく適用可能であることは言うまでもない。例えば、2周波ゼーマンレーザや、音響光学変調素子(Acoustic−optic modulator)により周波数差Δωを有した直線偏波レーザ光を生成し、各々の偏波面が直交するように変調後の2つの直線偏波レーザ光を1光束に統合した光源が適用できる。
更に、図19において、偏光板1606,1613、無偏光ビームスプリッタ1603、偏光ビームスプリッタ1608、1/8λ波長板1610,1615、平面鏡1617,1618、光音響伝搬媒質部52は完全に接触するように表現したが、空気層などの他の光学媒体が各々の素子の間に挿入されていても同様な機能を生じうることは言うまでもない。しかしながら、音響焦点57に生成される屈折率変動のみを良好に計測しうる高い装置安定性、および、装置全体の小型化のためには、空気層や力学的に弱い光学媒体を挿入しないほうがよい。
図19において、レーザ光1602、無偏光ビームスプリッタ1603、偏光ビームスプリッタ1608、偏光板1606,1613の偏光面・偏光軸を、図19紙面を基準に設定したが、各々の相対的角度関係が一致しているのであれば、それぞれの偏光面・偏光軸を、光軸を中心に任意角度一斉に回転しても良いことは言うまでもない。また、偏光ビームスプリッタ1608の反射・透過の偏波選択性を逆にとっても同様に機能することも言うまでもない。
本発明の光学式超音波マイクロフォンによれば、従来では困難であった高い周波領域でかつ広帯域な超音波の受波が可能となり、100kHz以上の実効的な帯域を持つ標準マイクロフォンが実現できる。
8 LDVヘッド
9 LDV演算処理部
14、104 環境流体
51、51A 光学式超音波マイクロフォン
52 光音響伝搬媒質部
53 ベース
53a 計測用貫通穴
55、901 音波伝搬方向
56 音響導波部材
57 音響焦点
58、1614、1602、1609 レーザ光
60 音響導波路
61 透過面
62 導波路外面
63 開口部
64、64A 導波路終端
70 内空間
71 開口部
72 端部
77 収束部
81 LDV出力波形
101 超音波送受波器
102 超音波振動子
103 伝搬媒質部
105 超音波伝搬経路
111 第1表面領域
112 第2表面領域
121 LDV
122、123、1402、1403 反射鏡
124 キュービックミラー
125 レーザ光路
126 音場
127 演算部
902 等位相面
1300、1600 光学式音圧測定部
1301 単色光光源
1302、1307、1308 単色光
1303 光学系
1304、1401、1405 ビームスプリッタ
1306、1310、1617、1618 平面鏡
1311、1604、1611 集光光学系
1312、1612、1605 光強度測定器
1313 出力信号
1314 透明ベース
1400 He−Neレーザ
1402、1403 反射鏡
1404 音響媒質
1406 光検出部
1407 デジタル・オシロスコープ
1408 ホーン
1409 スピーカ
1602 2周波直線偏波レーザ光源
1603 無偏光ビームスプリッタ
1606、1613 偏光板
1607 基準ビート信号
1608 偏光ビームスプリッタ
1610、1615 1/8λ波長板
1616 測定ビート信号

Claims (16)

  1. 環境流体で満たされた周囲の空間を伝搬する音波の受波を行うマイクロフォンであって、
    前記音波が入射する第1の開口部と、
    前記第1の開口部から入射した音波が伝搬する音響導波路と、
    透過面を有し、前記透過面が前記超音波の伝搬方向に沿って前記音響導波路の一面を構成するように前記導波路に設けられた光音響伝搬媒質部であって、前記導波路を伝搬するにしたがって前記超音波の一部が前記透過面からそれぞれ前記伝搬媒質部へ透過し、所定の収束点に収束するように前記透過面が構成され、前記導波路に対して配置されている光音響伝搬媒質部と、
    前記収束点に向かって光波を放射する光源と、
    前記放射した光波が光音響伝搬媒質部を伝搬して反射した光波を受信し、受信した光波から前記音波の音圧を求める検出部とを備え、
    前記光音響伝搬媒質部の密度ρn、前記光音響伝搬媒質部における音速Cn、前記音響導波路を満たす気体の密度ρa、及び前記音響導波路を満たす気体における音速Caが、(ρa/ρn)<(Cn/Ca)<1の関係を満たし、
    前記導波路の第1の開口部から、前記透過面上の前記超音波の伝搬方向に沿った任意の位置に設定した点Pまでの導波路の長さをLaとし、前記点Pから前記収束点までの長さをLnとしたとき、点Pの位置にかかわらず、La/Ca+Ln/Cnが一定である
    マイクロフォン。
  2. 前記光音響伝搬媒質部は、無機酸化物又は有機高分子の乾燥ゲルから構成されている、
    請求項1に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  3. 前記乾燥ゲルは、密度100kg/m3以上、音速300m/s以下の物性を有する、
    請求項2に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  4. 前記乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されている、
    請求項2又は3に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  5. 前記光源はレーザ光源であり、レーザ光を発射する、
    請求項1から4のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
  6. 前記光源及び前記検出部は、レーザドプラー検出手段で構成されている、
    請求項5に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  7. 前記光源及び前記検出部は、マッハツェンダー型光干渉計で構成されている、
    請求項1から4のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
  8. 前記マッハツェンダー型光干渉計において、
    前記光源から出射される前記光波は1本の光線であり、
    さらに、前記1本の光線を2本の光線に分割するビームスプリッタを有し、
    前記ビームスプリッタで分割された2本の光線の一方のみが前記収束点を通過し、その後前記2本の光線の残り一方の光線と干渉させ、
    前記検出部は、前記干渉させた光の強度の変化に基づいて、前記音波の音圧を求める、
    請求項7に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  9. 前記2本の光線の光路長の差が、前記光源から出射される前記光波のコヒーレント長に概ね等しい、
    請求項8に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  10. 前記マッハツェンダー型光干渉計において、
    前記光源から出射される前記光波は1本の光線であり、かつ、前記1本の光線は、周波数が異なり、偏波面が直交する2つの直線偏波単色光からなり、
    さらに、前記1本の光線を2本の光線に分割するビームスプリッタを有し、
    前記ビームスプリッタで分割された2本の光線の一方のみが前記収束点を通過し、その後前記2本の光線の残り一方の光線と干渉させ、
    前記検出部は、前記干渉させた光の強度の変化に基づいて、前記音波の音圧を求める、
    請求項7に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  11. 前記検出手段は、複数のマッハツェンダー型光干渉計を有し、
    前記複数のマッハツェンダー型光干渉計の少なくとも1つは基準干渉計で、残りは計測干渉計であり
    前記基準干渉計で検出される光波は前記収束点を経由させず、
    前記計測干渉計で検出される光波光路は前記収束点を経由させ、
    前記基準干渉計から出力される干渉光強度と、前記計測干渉計から出力される干渉光の強度の位相差を検出する、
    請求項10に記載の光学式超音波マイクロフォン。
  12. 前記2本の光線が空気以外の媒質中を伝搬する、
    請求項8から12のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
  13. 前記音響導波路の前記第1の開口部の前端に音響ホーンが接続されている、請求項1から12のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
  14. 前記音響導波路の高さ及び幅が、前記マイクロフォンで受波する超音波の波長の1/2以下である、
    請求項1から13のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
  15. 前記音響導波路の高さが、前記音響導波路の終端側に向かって減少するように前記音響導波路が前記ベースと前記光音響伝搬媒質部とにより構成されている、
    請求項1から14のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
  16. 前記環境流体は空気である、
    請求項1から15のいずれか1つに記載の光学式超音波マイクロフォン。
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