JP2011198611A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能なプラズマディスプレイパネルを実現する方法を提供すること。
【解決手段】基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を有して成るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前面板および背面板を封着処理に付すに先立って、(i)前面板を真空下において加熱する工程、および(ii)加熱の後で前面板を冷却する工程を実施し、工程(ii)においては、工程(i)の加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガス供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を有して成るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前面板および背面板を封着処理に付すに先立って、(i)前面板を真空下において加熱する工程、および(ii)加熱の後で前面板を冷却する工程を実施し、工程(ii)においては、工程(i)の加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガス供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、テレビやコンピュータ等の画像表示に用いられるプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPにおいては、従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上の高精細テレビへの適用が進められており、エネルギー問題に対応してさらなる消費電力低減への取り組みや、環境問題に配慮した鉛成分を含まないPDPへの要求なども高まっている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法などにより製造された硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、ガラス基板の一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。
一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色及び青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にネオン(Ne)−キセノン(Xe)の放電ガスが400Torr〜600Torr程度の圧力で封入されている。PDPでは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
また、このようなPDPの駆動方法としては、書き込みをしやすい状態に壁電荷を調整する初期化期間と、入力画像信号に応じて書き込み放電を行う書き込み期間と、書き込みが行われた放電空間で維持放電を生じさせることによって表示を行う維持期間を有する駆動方法が一般的に用いられている。これらの各期間を組み合わせた期間(サブフィールド)が、画像の1コマに相当する期間(1フィールド)内で複数回繰り返されることによってPDPの階調表示を行っている。
かかるPDPにつき、前面板の誘電体層上に形成される保護層の役割は、放電によるイオン衝撃から誘電体層を保護すること、また、アドレス放電を発生させるための初期電子を放出することなどである。イオン衝撃から誘電体層を保護することは、放電電圧の上昇を防ぐ点で重要な役割である一方、アドレス放電を発生させるための初期電子を放出することは、画像のちらつきの原因となるアドレス放電ミスを防ぐ点で重要な役割である。
保護層からの初期電子の放出数を増加させて画像のちらつきを低減するために、例えば、MgO保護層に不純物を添加する例や、MgO粒子をMgO保護層上に形成した例が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4および5を参照のこと)。
PDPの動作電圧は、この保護層の2次電子放出係数に依存する。従って仕事関数が酸化マグネシウムよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物(たとえば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなど)を保護層として用いることで、動作電圧を低電圧化することが考えられる。しかしながら、かかるアルカリ土類金属の酸化物は吸湿性が高く、保護層形成後に雰囲気中の水分と反応して水酸化物に変質し、結果的に不安定な放電特性となるということが懸念される。あるいは、炭酸化物に変質し、動作電圧が低電圧化し得ないといったことも懸念される。それゆえ、保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法(例えば、特許文献6を参照)や、保護層形成工程後から封着工程までを真空雰囲気中で連続して行う方法(例えば、特許文献7を参照)などが提案されている。また、吸着ガスを吸着剤に移動させる方法(例えば、特許文献8を参照)や、真空ベーキングなどの活性化処理を行う方法(例えば、特許文献9を参照)なども提案されている。
テレビの高精細化、市場での低コスト・低消費電力化・高輝度のフルHD(ハイ・ディフィニション)(1920×1080画素:プログレッシブ表示)といったPDPの要求に鑑みると、保護層からの電子放出特性の制御が非常に重要となってきている。保護層からの電子放出特性はPDPの画質を決定するからである。
この点、高精細化された画像を表示するためには、1フィールドの時間が一定にもかかわらず書き込みを行う画素の数が増えるため、サブフィールド中の書き込み期間において、アドレス電極へ印加するパルスの幅を狭くする必要が生じる。しかしながら、電圧パルスの立ち上がりから放電空間内で放電が発生するまでには「放電遅れ」と呼ばれるタイムラグの存在があるため、パルスの幅が狭くなれば書き込み期間内で放電が終了できる確率が低くなってしまう。その結果、点灯不良が生じ、ちらつきといった画質性能の低下という問題も生じてしまう。
このようにPDPの高精細化や低消費電力化を進めるにあたっては、放電電圧が高くならないようにすることと、さらに、点灯不良を低減して画質を向上させることを、同時に実現させなければならないという課題がある。
ここで、上述の「保護層の水酸化や炭酸化を防ぐために保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法」は、保護層表面に変質層を形成させないことを意図したものであるものの、乾燥空気中にはある量の水分や二酸化炭素が含まれており、その含有量が十分小さくない限り、数十分〜数時間の曝露によって変質層が形成されてしまう(例えば、露点−20℃の乾燥空気中には0.1%、露点−40℃の乾燥空気中には0.013%、露点−60℃の乾燥空気中には0.0011%(11ppm)の水分が含まれている)。PDPの製造工程においては、一般に、保護層形成工程から封着工程までには数時間分以上の工程在庫があるため、仮に極めて露点の低い(−60℃以下の)乾燥空気を用いたとしても、変質層の形成は避けられないといえる。また、上述の「保護層形成工程後から封着工程までを真空雰囲気中で連続して行う方法」は、搬送系及び封着装置の構成が極めて複雑となり、実現は容易ではない。また、広大な空間を常時真空に保つ必要があり、多大のコストを要する。更に、上述の「吸着ガスを吸着剤に移動させる方法」は大気圧で処理するため、次に述べる真空ベーキングほどの活性化は望めないと考えられる。そして、その「真空ベーキングにより活性化処理」については、水酸化層や炭酸化層を除去することができ、非常に清浄な保護層を得ることができる。しかしながら、本願発明者らが鋭意検討した結果、真空ベーキングにより活性化処理を行う方法は、活性化処理後に前面板が真空中で冷却される過程で、保護層に炭化水素系ガスが多量に吸着し、封着後のパネルにおいて蛍光輝度が低下する、といったパネル品質の劣化が生じることが判明した。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の課題は、高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能なPDPを実現する方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明では、基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を有して成るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前面板および背面板を封着処理に付すに先立って、(i)前面板を真空下において加熱する工程、および(ii)その加熱の後で前面板を冷却する工程を実施し、
工程(ii)では、工程(i)の加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法が提供される。
前面板および背面板を封着処理に付すに先立って、(i)前面板を真空下において加熱する工程、および(ii)その加熱の後で前面板を冷却する工程を実施し、
工程(ii)では、工程(i)の加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法が提供される。
本発明は、真空下において加熱した前面板を冷却するに際して、その加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域より前面板を不活性ガスに曝露しつつ冷却することを特徴の1つとする。ここで、本発明における「加熱時の最高温度」とは例えば450℃以上560℃以下の温度である。
本明細書において「前面板」とは、映像を見る人から見て表面側となるパネル基板を指しており、実質的には、蛍光体層および隔壁が存在していない側のパネル基板を指している(換言すれば、蛍光体層および隔壁が存在する“背面板”と対向配置されるパネル基板が“前面板”であるといえる)。
また、本明細書において「不活性ガス供給を開始する」とは、前面板が不活性ガス雰囲気に曝されるように該不活性ガスの供給を行うことを意味している。別の表現を用いれば、「不活性ガス供給を開始する」とは、前面板が配置されている実質的な閉空間に対して不活性ガスを供給し始めることを意味している。例えば、工程(i)においてチャンバ内の真空雰囲気下で前面板が加熱される場合では、そのチャンバ内に不活性ガスを供給し始めることを意味している。
ある好適な態様では、不活性ガス供給を工程(i)の加熱時の最高温度以下〜300℃以上の温度域にて開始する。つまり、工程(ii)においては、工程(i)の真空下での加熱時の最高温度以下〜300℃以上の温度域にて不活性ガス供給を開始し、それによって、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却する。
別のある好適な態様では、工程(ii)の実施に際して、100℃以下の温度にまで前面板を冷却する。つまり、真空下において加熱した前面板を、不活性ガスに曝しつつ冷却するが、最終的には前面板を100℃以下にまで冷却する。
更に別の好適な態様では、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物であって、X線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在する金属酸化物から前面板の保護層を形成する。
ちなみに、本発明の製造方法で用いる不活性ガスとしては、窒素ガスまたは希ガスが好ましい。
また、本発明の製造方法では、上記の工程(i)および(ii)を実施した後に保護層に清浄化処理を施すことが好ましい。具体的には、以下の工程(a)〜(c)を実施することが好ましい:
(a)基板Aまたは基板Bの周縁領域にガラスフリット材料を供して、ガラスフリット封着部材を形成する工程、
(b)ガラスフリット封着部材を挟むように前面板と背面板とを対向配置する工程、および
(c)前面板と背面板とが封着されるように封着部材の軟化点以上の温度にまで前面板と背面板を加熱する工程であって、かかる加熱処理の開始から封着部材の軟化点(または場合によっては軟化点以上の温度)に至るまでの間において「対向配置された前面板と背面板との間」に清浄化ガス(例えば窒素ガスや希ガスなど)を流す工程。
(a)基板Aまたは基板Bの周縁領域にガラスフリット材料を供して、ガラスフリット封着部材を形成する工程、
(b)ガラスフリット封着部材を挟むように前面板と背面板とを対向配置する工程、および
(c)前面板と背面板とが封着されるように封着部材の軟化点以上の温度にまで前面板と背面板を加熱する工程であって、かかる加熱処理の開始から封着部材の軟化点(または場合によっては軟化点以上の温度)に至るまでの間において「対向配置された前面板と背面板との間」に清浄化ガス(例えば窒素ガスや希ガスなど)を流す工程。
本発明によれば、保護層の二次電子放出特性を向上させ、高輝度で低電圧駆動が可能な表示性能に優れたPDPを実現することができる。
つまり、「真空下において加熱した前面板を冷却するに際して、その加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域より前面板を不活性ガスに曝露しつつ冷却する」といった特徴に起因して、保護層における炭化水素系ガス吸着が効果的に減じられた前面板を得ることができる。また、そのような冷却処理に起因して、パネル封着時の清浄化処理に際して、前面板保護層の変質層除去効果がより向上することになる。従って、2次電子放出係数などの点で好ましい保護層材質を得ることができ、高輝度の表示性能を備えかつ低電圧駆動が可能なPDPを実現できる。
特に、本発明では、そのように保護層に対して冷却処理ないしは清浄化処理を実施するので、保護層をパネル特性にとって特に好適な成分から形成することができる点にも留意されたい。「パネル特性にとって特に好適な成分」とは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物であって、X線回折分析において、特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在する金属酸化物のことを指している。このような金属酸化物は、パネルの放電開始電圧がより低下し、放電遅れが小さくなり放電が特に安定するので好ましいものの、水、炭酸ガス等の不純物ガスとの反応性が特に高い。つまり、そのような金属酸化物が保護層成分に用いられることは、一般的には、保護層が水、二酸化炭素と反応して放電特性の劣化を引き起こしかないといえる。この点、本発明においては、上述したように「前面板の冷却処理」および「パネル封着時の清浄化処理」などを好適に実施するので、かかる不都合を回避することができ、所望の保護層成分を積極的に用いることができる。
以下にて、図面を参照して、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法を詳細に説明する。図面に示す各種の要素は、本発明の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比や外観などは実物と異なり得ることに留意されたい。
[プラズマディスプレイパネルの構成]
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるプラズマディスプレイパネルを簡単に説明する。図2(a)に、PDPの構成を断面斜視図で模式的に示すと共に、図2(b)にPDPの前面板の断面図を模式的に示す。
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるプラズマディスプレイパネルを簡単に説明する。図2(a)に、PDPの構成を断面斜視図で模式的に示すと共に、図2(b)にPDPの前面板の断面図を模式的に示す。
本発明のPDP(100)の構成は、図2(a)に示すように、「基板A(10)に電極A(11)と誘電体層A(15)と保護層(16)とが設けられた前面板(1)」および「基板B(20)上に電極B(21)と誘電体層B(22)と隔壁(23)と蛍光体層(25)とが設けられた背面板(2)」からなる。
図示するように、前面板(1)では基板A(10)上に電極A(11)が設けられ、電極A(11)を覆うように誘電体層A(15)が基板A(10)上に設けられ、また、誘電体層A(15)上に保護層(16)が設けられている。背面板(2)では基板B(20)上に電極B(21)が設けられ、電極B(21)を覆うように誘電体層B(22)が基板B(20)上に設けられ、誘電体層B(22)上に隔壁(23)および蛍光体層(25)が設けられている。前面板(1)と背面板(2)とは、保護層(16)と蛍光体層(25)とが互いに向き合うように対向配置されている。前面板(1)および背面板(2)の周縁部は、例えば低融点フリットガラス材料などから成る封着部材によって気密封着されている(図示せず)。前面板(1)と背面板(2)との間に形成された放電空間(30)には放電ガス(ヘリウム、ネオンまたはキセノンなど)が例えば20kPa〜80kPa程度の圧力で封入されている。
更に具体的に、本発明のPDP(100)を説明していく。本発明のPDP(100)の前面板(1)は、上述したように、基板A(10)、電極A(11)、誘電体層A(15)および保護層(16)を有して成る。基板A(10)は、透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm以上かつ約3mm以下)である。基板A(10)としては、例えば、フロート法などで製造されたフロートガラス基板を挙げることができる他、ソーダライムガラス基板またはホウケイ酸塩ガラス基板などを挙げることができる。電極A(11)は、基板A(10)上にストライプ状に平行に複数配置されるものであり、例えば、走査電極(12)および維持電極(13)から成る表示電極である。この場合、走査電極(12)および維持電極(13)は、それぞれ「酸化インジウム(ITO)または酸化スズ(SnO2)などから成る透明導電膜である透明電極(12a、13a)」、および、かかる透明電極上に形成された「銀を主成分としたバス電極(12b、13b)」から構成される(図2(b)参照)。透明電極(12a、13a)は、蛍光体層で発生した可視光を透過させる電極として主に機能する一方、バス電極(12b、13b)は、透明電極の長手方向に導電性を付与するための電極として主に機能する。透明電極(12a、13a)の厚さは、好ましくは約50nm〜約500nmである。また、バス電極(12b、13b)の厚さは、好ましくは約1μm以上かつ約20μm以下である。尚、図2(a)に示すように、基板A(10)上にはブラックストライプ(14)(遮光層)もパターン形成され得る。
誘電体層A(15)は、基板A(10)の表面に形成された電極A(11)を覆うように設けられている。かかる誘電体層A(15)は、主としてガラス成分およびビヒクル成分(=バインダ樹脂および有機溶剤を含んだ成分)から成る誘電体原料ペーストを塗布および熱処理して得られるガラス組成から成る膜である。誘電体層A(15)の上には、例えば酸化マグネシウム(MgO)などから成る保護層(16)が形成されている(厚さは例えば約0.5μm以上かつ約1.5μm以下)。
一方、本発明のPDPの背面板(2)は、上述したように、基板B(20)、電極B(21)、誘電体層B(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)を有して成る。基板B(20)は、透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm以上かつ約3mm以下)であることが好ましく、例えば、フロート法などで製造されたフロートガラス基板を挙げることができる他、ソーダライムガラス基板、ホウケイ酸塩ガラス基板または各種セラミック基板などを挙げることができる。電極B(21)は、基板B(20)上にストライプ状に複数形成される銀を主成分とした電極(厚さは例えば約1μm以上かつ約10μm以下)であり、例えば、アドレス電極(またはデータ電極)である。アドレス電極は、各放電セルを選択的に放電させる機能を主に有している。
誘電体層B(22)は、下地誘電体層と一般に呼ばれるものであり、基板B(20)の表面に形成された電極B(21)を覆うように設けられている。かかる誘電体層B(22)は、主としてガラス成分およびビヒクル成分(=バインダ樹脂および有機溶剤を含んだ成分)から成る誘電体原料ペーストを塗布および熱処理して得られるガラス組成から成る膜である。誘電体層B(22)の厚さは、例えば約5μm以上かつ約50μm以下である。誘電体層B(22)の上には、蛍光体材料を主成分とした蛍光体層(25)が形成されている(厚さは例えば約5μm以上かつ約20μm以下程度)。蛍光体層(25)は、放電によって放射された紫外線を可視光線に変換する機能を主に有している。かかる蛍光体層(25)は、赤色、緑色および青色を発する蛍光体層を構成単位としており、それぞれが隔壁(23)で区切られている。隔壁(23)は、放電空間をアドレス電極(21)毎に区画する目的で、ストライプ状または井桁状に誘電体層B(22)上に形成されている。かかる隔壁(23)は、ガラス成分、ビヒクル成分およびフィラー等を含んで成るペースト原料から形成される。
本発明のPDP(100)では、前面板(1)の表示電極(11)と背面板(2)のアドレス電極(21)とが直交するように、前面板(1)と背面板(2)とが放電空間(30)を挟んで対向して配置されている。このようなPDP(100)では、隔壁(23)によって仕切られ、アドレス電極(21)と表示電極(11)とが交差する放電空間(30)が放電セル(32)として機能することになる。換言すれば、マトリクス状に配列されている放電セルが画像表示領域を構成している。従って、外部駆動回路から表示電極(11)に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電ガスを放電させ、かかる放電によって生じる紫外線によって、各色の蛍光体層を励起させて赤色、緑色および青色の可視光を発生させると、カラー画像表示が実現される。
[PDPの一般的な製造方法]
次に、PDPの一般的な製造方法について簡潔に説明する。特に言及しない限り、本発明に係るPDPは、原則、一般的なPDP製造法に基づいて得ることができる。また、特に言及しない限り、各種構成部材の原材料(原料ペースト)/構成材料なども一般的なPDP製造法で常套的に用いられているものであってよい。
次に、PDPの一般的な製造方法について簡潔に説明する。特に言及しない限り、本発明に係るPDPは、原則、一般的なPDP製造法に基づいて得ることができる。また、特に言及しない限り、各種構成部材の原材料(原料ペースト)/構成材料なども一般的なPDP製造法で常套的に用いられているものであってよい。
まず、ガラス基板である基板A(10)上に、電極Aとして走査電極(12)と維持電極(13)とから構成される表示電極(11)を形成する。走査電極(12)および維持電極(13)のそれぞれの透明電極(12a、13a)とバス電極(12b、13b)とは、露光・現像するフォトリソグラフィ法などを用いてパターニングできる。透明電極(12a、13a)は薄膜プロセスなどを用いて形成でき、バス電極(12b、13b)は銀(Ag)材料を含むペーストを乾燥(100〜200℃程度)および焼成(400〜600℃程度)に付すことによって形成できる。また、電極Aの形成に際して、遮光層(14)も形成してよく、黒色顔料を含んだ原料ペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料を含んだ原料をガラス基板の全面に設けた後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することによって形成できる。次いで、走査電極(12)、維持電極(13)および遮光層(14)を覆うように基板A(10)上に、ガラス成分(SiO2、B2O3などから形成される材料)とビヒクル成分とを主成分とした誘電体原料ペーストをダイコート法または印刷法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。塗布した後、所定の時間放置すると塗布された誘電体ペーストの表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成すると誘電体層A(15)が形成される。誘電体層A(15)を形成した後、かかる誘電体層A(15)上に保護膜(16)を形成する。保護膜(16)は、一般的には、真空蒸着法、CVD法またはスパッタリング法などを用いて形成できる。
以上の工程により、基板A(10)上に所定の構成部材である電極A(走査電極(12)および維持電極(13))、誘電体層A(15)および保護層(16)が形成され、前面板(1)が完成する。
一方、背面板(2)は次のようにして形成する。まず、ガラス基板である基板B(20)上に、電極Bとしてアドレス電極(21)を形成する。具体的には、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば約400〜約600℃)で焼成することによりアドレス電極(21)を形成する。この「アドレス電極」は、クロム/銅/クロムの3層薄膜上にフォトレジストを塗布したものをフォトリソグラフィ及びウェットエッチングによりパターニングして形成してもよい。次いで、アドレス電極(21)が形成された基板B(20)上に、下地誘電体層となる誘電体層B(22)を形成する。まず、「ガラス成分(SiO2、B2O3などから形成される材料)およびビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。そして、かかる誘電体ペースト層を焼成することで誘電体層B(22)を形成できる。次いで、隔壁(23)を形成する。具体的には、誘電体層B(22)上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁(23)を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法でパターニングし、次いで、約400℃〜約600℃の焼成に付すことによって隔壁(23)を形成する。尚、隔壁(23)は、サンドブラスト法、エッチング法または成型法などを用いることによっても形成できる。次いで、蛍光体層(25)を形成する。隣接する隔壁(23)間の誘電体層B(22)上および隔壁(23)の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層(25)を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをダイコート法、印刷法、ディスペンス法またはインクジェット法などによって塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層(25)を形成する。
以上の工程により、基板B(20)上に、所定の構成部材たる電極B(アドレス電極(21))、誘電体層B(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)が形成され、背面板(2)が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板(1)と背面板(2)とは、表示電極(11)とアドレス電極(21)とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板(1)と背面板(2)の周囲をガラスフリットで封着すると共に、形成される放電空間(30)に放電ガス(ヘリウム、ネオンまたはキセノンなど)を封入することによってPDP(100)が完成する。
[本発明の製造方法]
本発明は、上述のPDP製造工程の中でも、特に前面板の形成後からパネル封着までの製造工程に特色を有している。
本発明は、上述のPDP製造工程の中でも、特に前面板の形成後からパネル封着までの製造工程に特色を有している。
本発明の製造方法では、まず、基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板を準備する。かかる前面板の準備は、上述の[PDPの一般的な製造方法]で説明しているので、重複を避けるために説明を省略する。ちなみに、保護層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物から形成することが好ましい。本発明では、かかる金属酸化物は、X線回折分析において特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するものであることが特に好ましい点に留意されたい。このような保護層成分を用いると、パネルの放電開始電圧が低下し、放電遅れが小さくなり放電が安定するからである。前記の金属酸化物は、水、炭酸ガス等の不純物ガスとの反応性が高いので、そのような金属酸化物が保護層成分に用いられていることは、一般的には、保護層が水、二酸化炭素と反応して放電特性の劣化を引き起こしかねないといえる。この点、本発明においては、後述するように「前面板の真空下の加熱処理・不活性ガス雰囲気下の冷却処理」および「パネル封着時の清浄化処理」を実施するので、上述のような不都合な反応は回避され、上記金属酸化物を積極的に用いることができる。
本発明では、準備された前面板を、背面板と対向配置させて封着処理に付すことになるが、その封着処理に先立って、前面板を真空雰囲気下で加熱処理し、引き続いて冷却処理を実施する(以下において、真空雰囲気下の加熱処理を「真空ベーキング」とも称する)。
図1を参照して説明すると、本発明では以下の工程(i)および(ii)を実施する:
工程(i):前面板をチャンバ内に仕込んだ後、チャンバ内雰囲気を真空状態して前面板を加熱する(図1(a)参照)
工程(ii):前面板の加熱を終了し、チャンバ内にて前面板の冷却を開始する。そして、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却させる(図1(b)参照)。
工程(i):前面板をチャンバ内に仕込んだ後、チャンバ内雰囲気を真空状態して前面板を加熱する(図1(a)参照)
工程(ii):前面板の加熱を終了し、チャンバ内にて前面板の冷却を開始する。そして、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却させる(図1(b)参照)。
本発明にいう「真空雰囲気下」とは、大気圧より減圧された雰囲気圧力のことを実質的に意味している。例えば、前面板が仕込まれているチャンバの内部雰囲気について0.00001Pa以上0.1Pa以下程度の圧力が本発明の“真空”に相当する。図3に示すような真空ベーキング装置(40)を用いる態様を想定すると、排気ポンプ(42)によりベーキングチャンバ(41)内を排気処理することによって、チャンバ(41)の内部雰囲気を“真空”にできる。排気ポンプ(42)としては、クライオポンプやターボ分子ポンプなど、排気速度の高いポンプを用いることが好ましい。
真空雰囲気下における前面板の加熱は、保護層から不純物ガス成分を脱離させることを意図している。従って、かかる加熱処理時の最高温度は、保護層から不純物ガス成分が脱離することになるのであれば、原則的に制限はない。但し、最も効果的な脱離や他の構成部材に与える影響などを考慮すると、加熱処理時の最高温度は450℃以上560℃以下であることが好ましい。加熱処理時の最高温度が450℃未満であると真空ベーキングによる“不純物ガス成分の脱離”が不十分となり得る一方、加熱処理時の最高温度が560℃を超えると誘電体層が軟化・溶融し得るからである。
本発明の工程(i)では、チャンバ(41)内にて前面板(1)を加熱する。加熱手段としては、図3に示すように、チャンバ(41)内に設置された「ランプ(43)」および「反射板(44)」を用いてよい。かかる場合、ランプ(43)への電極供給に起因してランプから発せられる熱が熱源として用いられ、この熱が反射板(44)によって効率的に前面板(1)へと伝えられることになる。
工程(i)の加熱処理では、上述したように、好ましくは前面板を450℃〜560℃の最高温度にまで加熱するが、この加熱処理時の最高温度は1〜30分程度保持することが好ましい。
加熱処理後においては、工程(ii)として前面板の冷却を実施する。図3に示す態様では、まず、ランプ(43)の電力供給を停止する。これにより、前面板(1)の温度が徐々に低下することになる。本発明においては、かかる冷却に際して、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却する。これにより、保護層から不純物ガス成分が効果的に除去された前面板を得ることができるからである。加熱処理で保護層から脱離した不純物ガス成分のうち炭化水素ガス成分(例えば一例を挙げればCH4ガスやC2H6ガスなど)は、冷却過程で保護層に吸着される可能性があるものの、本発明では、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域より前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却しており、その結果、炭化水素ガス成分の冷却過程での吸着は効果的に防止される(かかる本発明の効果については後述する)。
冷却過程で行う不活性ガスの供給は、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度範囲の所定温度から行う。つまり、冷却を開始して250℃に降温するまでにチャンバ41内へと不活性ガスを供給し始め、その後かかる供給を継続する。図3に示す真空ベーキング装置(40)では、流量コントローラ(45)からバルブ(46)を介して不活性ガスをベーキングチャンバ(41)内へと供給する。用いる不活性ガスは、特に制限されるわけではないが、例えば、窒素ガスや希ガス(He、Ne、Ar、Xeなど)であってよい。供給する不活性ガスの温度についても特に制限はなく、2℃〜35℃程度であってよく、例えば常温(例示すると約25℃程度)である。
特により好ましい態様では、前面板が300℃に降温するまでに不活性ガスの供給を開始する。つまり、加熱時の最高温度以下〜300℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、それによって、前面板を不活性ガス雰囲気下にさらしつつ冷却する。かかる態様では、“冷却過程における炭化水素ガス成分の保護層への再吸着”をより効果的に防止できる(かかる効果についても後述する)。
なお、不活性ガス供給を継続することによってチャンバ内部圧力は増加することなる。そして、最終的にはチャンバの内部圧力は実質的に大気圧と同じになる。チャンバ内の雰囲気圧力が大気圧程度になり、前面板の冷却温度が所望の温度に達したら、チャンバから前面板が取り出されて封着処理に供される。チャンバからの取り出しに際しては、前面板を100℃以下にまで冷却しておくことが好ましい。H2OやCO2に曝露された際に生じ得る保護層表面の変質層化(即ち水酸化または炭酸化)を効果的に減じる又は防止することができるからである。
本発明の工程(i)および(ii)の実施に伴う温度・圧力の経時変化の一例を図4に模式的に示す。図4を参照すると、「前面板を真空雰囲気下で加熱処理した後に冷却処理するに際して、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却する」といった本発明の特徴的なプロセスを理解できるであろう。尚、本発明の工程(ii)での冷却メカニズムについて触れておく。最高加熱温度から不活性ガス供給開始温度までの間は、主として輻射により前面板が冷却される。つまり、輻射により前面板から反射板への熱の移動が起きる。前面板は支持機構(図示せず)によって中空に保持されているので、ごく僅かだが支持機構を介した熱伝導によっても前面板は冷却されるものの、その影響は無視できるほど小さい。また、真空排気されているので、ガスを介した熱伝達もほぼ無視できる。一方、不活性ガスの供給開始後では、上記の輻射に加え、不活性ガスを介した熱伝達によっても前面板は冷却される。その影響が無視できないので、不活性ガス供給開始温度を境に、冷却速度が若干向上することになる。
図5は、本発明の製造方法に使用できる真空ベーキング装置の全体構成を概略的に示している。図示する真空ベーキング装置態様では、ロードロックチャンバ(49)がゲート(48)を介してベーキングチャンバ(41)と連通可能な状態で設けられている。かかる図5および前述の図3を用いて「前面板の保護層形成後から封着処理前のプロセス態様」を経時的に説明しておく。
まず、保護層が形成された前面板(1)は、ロードロックチャンバ(49)内に置かれたトレー(図示せず)上に載置させる。次いで、搬送系(図示せず)を用いて、前面板(1)をトレーと共にゲート(48)を通過させてベーキングチャンバ(41)へと搬送する。搬送後、ゲート(48)を閉めて、ベーキングチャンバ(41)内をポンプ(42)を用いて排気する。排気によってベーキングチャンバの内部雰囲気が減圧される。チャンバ内部雰囲気が所定の真空圧力(例えば0.001Pa以下)に達すると、ベーキングチャンバ(41)内に設けられたランプ(43)に電力を供して前面板(1)の加熱を開始する。加熱により前面板(1)の温度が上昇し始める。最終的には或る所定温度(例えば、約500℃)に達するまで前面板を加熱し、その到達最高温度を数分間(例えば2分間程度)保持する。引き続いて、ランプ(43)の電力を切り、前面板(1)の冷却を開始する。この冷却過程において、前面板の温度が徐々に下がることになる。そして、前面板(1)が250℃を下回る温度に降温するまでに不活性ガスの供給を開始する。具体的には、流量コントローラ(45)からバルブ(46)を介して不活性ガスをベーキングチャンバ(41)内へと供給する。これにより、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することができる。不活性ガスの供給によってベーキングチャンバ(41)内の雰囲気圧力は徐々に増加し、最終的には大気圧と同程度の圧力に達する。そして、前面板の温度が100℃以下に達するまで前面板の冷却を継続する。前面板(1)の冷却が終了すると、前面板(1)をトレーと共にロードロックチャンバ(49)へと搬送する。そして、搬送後の前面板(1)は、ロードロックチャンバ(49)から取り出され、次工程の封着処理へと供される。
(封着処理について)
前面板を上記の加熱処理・冷却処理に付した後において、即ち、ロードロックチャンバから前面板を取りだした後においては、封着処理を実施する。つまり、ガラスフリット封着部材を介して前面板と背面板とを対向配置させて封着処理を行う。前面板に対向配置されることになる背面板は、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板である。背面板の準備については、上述の[PDPの一般的な製造方法]で説明しているので、重複を避けるために説明を省略する。
前面板を上記の加熱処理・冷却処理に付した後において、即ち、ロードロックチャンバから前面板を取りだした後においては、封着処理を実施する。つまり、ガラスフリット封着部材を介して前面板と背面板とを対向配置させて封着処理を行う。前面板に対向配置されることになる背面板は、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板である。背面板の準備については、上述の[PDPの一般的な製造方法]で説明しているので、重複を避けるために説明を省略する。
封着処理およびその封着処理に伴って実施され得る清浄化処理について図6を参照して具体的に説明しておく。まず、この前面板(1)と背面板(2)とを、アライメント装置内で位置合わせし、2枚の基板をガラスフリット封着部材(86)を介して密着させ把持する。次いで、背面板(2)に設けられた貫通穴(29)に合わせてチップ管(55)を取り付ける。次いで、チップ管(55)から前面板(1)と背面板(2)との間の空間へと清浄化ガス(例えば窒素ガス)を吹込みながら、2枚の基板を封着排気炉にて加熱する。清浄化ガスを吹込みながら前面板(1)および背面板(2)を封着排気炉内で加熱することによって、ガラスフリット封着部材(86)が溶融して2枚の基板が封着される。清浄化ガスを吹き込まずに封着工程を実施すると、空気中の水分や二酸化炭素の影響で、保護層の水酸化・炭酸化が生じ得ることに起因して、最終的に得られるPDPにおいて放電開始電圧が高くなる。これを避けるために、封着工程に際して清浄化処理として窒素ガスなどを前面板と背面板との間の空間へと吹き込む。このような清浄化ガスの吹き込みは、基板温度がガラスフリット封着部材の軟化点に達した時点で停止させる。つまり、ガラスフリット封着部材が軟化して前面板と背面板との周囲が完全に封着された時点で、清浄化ガスの吹き込みを停止する。
清浄化ガスについて付言しておく。用いられる清浄化ガスは、保護層に対して不活性なガスであることが好ましい。例えば、窒素ガスを挙げることができる。また、ヘリウム、アルゴン、ネオンまたはキセノン等の希ガスを用いてもよい。ちなみに、吹き込まれる清浄化ガスは、少なくとも、水蒸気をほとんど含まないガスであることが望まれる。例えば、吹き込まれる清浄化ガスの水分濃度は1ppm以下が好ましい。ここでいう「ガスの水分濃度(ppm)」は、ガスの全体積(0℃1気圧の標準状態)に占める水分(水蒸気)の体積割合を百万分率で示したものであり、常套の露点計で測定することによって得られる値を指している。窒素ガスは比較的高価であるので、乾燥空気を用いるとコスト的に効率の良いPDP製造法が実現できる。吹込まれる清浄化ガスの流量は、パネルの大きさ、サイズ、ガラスフリット材料部材の厚さやその頂部凹凸の大きさ等によって最適値は変わってくるものの、概ね0.1SLM〜10SLMの範囲である(SLM:気体の標準状態において1分間に供給したガスの量をリットルで示す単位)。ガス流量が少なすぎると外部の大気が混入したり、清浄化が不十分になるおそれがある一方、逆にガス流量が多すぎるとコスト的に不利になり得る。尚、環状に形成されたガラスフリット封着部材の頂部と基板とは接触しているとはいえ、環状ガラスフリット封着部材の頂部は完全な平面ではなく数十〜百μm程度の凹凸が存在している。つまり、環状ガラスフリット封着部材の頂部と前面板表面との接触界面には、上記凹凸に起因して僅かな隙間が形成されている。従って、「前面板と背面板との間の空間」へと吹き込まれた清浄化ガスは、ガラスフリット封着部材が軟化するまでは、環状ガラスフリット封着部材と基板との間の隙間領域から排出されることになる。
封着後においては、前面板と背面板とを封着処理時の温度よりも若干低温に保持しながら、前面板と背面板との間を真空排気する。具体的には、前面板および背面板を封着時よりも低温(即ち、ガラスフリット封着部材の固化状態が維持される温度であって、ガラスフリットの溶融温度よりも10〜50℃程度低い温度)に保持しながら、前面板と背面板との間の空間が真空状態になるまでチップ管を介してガス排気する。排気後、前面板および背面板をほぼ常温になるまで冷却させた後、「表面板と背面板との間の空間」に放電ガスを導入し、所定の圧力に達した時点で放電ガスの導入を停止する(封入完了)。そして、最終的にはチップ管を溶かしてガス封止・切断することよりPDPが完成する。
[前面板の冷却工程における不活性ガス供給]
次に、本発明の特徴の1つである“前面板冷却時の不活性ガス供給の開始温度”について説明する。この“前面板冷却時の不活性ガス供給の開始温度”は、以下で説明する図7および図8のグラフに基づいたものである。図7および図8のグラフは、真空ベーキング後の前面板を冷却に付して得られた実験結果である。かかる実験結果を通じて、本願発明者らは、『保護層に吸着した不純物ガスは、真空ベーキングによりより一旦は脱離する。しかしながら、不純物ガスのうち特に炭化水素系ガスは、その後の冷却操作いかんによっては保護層に再度吸着してしまう』という現象を見出している。
次に、本発明の特徴の1つである“前面板冷却時の不活性ガス供給の開始温度”について説明する。この“前面板冷却時の不活性ガス供給の開始温度”は、以下で説明する図7および図8のグラフに基づいたものである。図7および図8のグラフは、真空ベーキング後の前面板を冷却に付して得られた実験結果である。かかる実験結果を通じて、本願発明者らは、『保護層に吸着した不純物ガスは、真空ベーキングによりより一旦は脱離する。しかしながら、不純物ガスのうち特に炭化水素系ガスは、その後の冷却操作いかんによっては保護層に再度吸着してしまう』という現象を見出している。
(炭化水素系ガス吸着量の不活性ガス供給開始温度依存性)
図7は、「炭化水素系ガス吸着量の不活性ガス供給開始温度依存性を表したグラフ」である(グラフを得た実験については“実施例”にて後述する)。かかるグラフでは、不活性ガス供給開始温度(℃)と炭化水素系ガスの脱ガス強度(a.u)との相関関係が示されている。「不活性ガス供給開始温度(℃)」は、真空ベーキング後の前面板の冷却に際して不活性ガスの供給を始めた温度である。脱ガス強度(a.u)は、前面板の保護層における炭化水素系ガスの吸着量を示唆している。即ち、脱ガス強度(a.u)の値が大きいほど、冷却時に前面板の保護層に再吸着した炭化水素系ガス吸着量が多いことを意味している。
図7は、「炭化水素系ガス吸着量の不活性ガス供給開始温度依存性を表したグラフ」である(グラフを得た実験については“実施例”にて後述する)。かかるグラフでは、不活性ガス供給開始温度(℃)と炭化水素系ガスの脱ガス強度(a.u)との相関関係が示されている。「不活性ガス供給開始温度(℃)」は、真空ベーキング後の前面板の冷却に際して不活性ガスの供給を始めた温度である。脱ガス強度(a.u)は、前面板の保護層における炭化水素系ガスの吸着量を示唆している。即ち、脱ガス強度(a.u)の値が大きいほど、冷却時に前面板の保護層に再吸着した炭化水素系ガス吸着量が多いことを意味している。
図7を参照すると、真空ベーキング後に前面板を常温(25℃)まで冷却してから不活性ガスを供給した場合では(図7のグラフに示す“1”)脱ガス強度が8.14となるのに対して、真空ベーキング後の冷却過程において不活性ガスを供給した場合、即ち、前面板の温度が400℃、350℃、300℃および250℃となる段階で不活性ガスを供給した場合では(図7のグラフに示す“2”)脱ガス強度が0.301〜0.54となる。つまり、図7に基づくと、真空ベーキング後の冷却に際して前面板を400℃、350℃、300℃および250℃と降温させる途中で不活性ガスの供給を開始すると、最終的に得られる前面板では、“保護層に再吸着する炭化水素系ガス量”を顕著に減少させることができる。それゆえ、本発明の特徴の1つである「前面板を真空雰囲気下で加熱処理した後に冷却処理するに際して、加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することによって、前面板の保護層の炭化水素系ガス吸着量を減らす」といった態様を理解できるであろう。
ここで、真空ベーキングされてH2O、CO2、炭化水素などの不純物ガスが脱離した保護層は、活性化された吸着サイトを有し得る。特に、多量の不純物ガスが脱離した保護層ほど、多くの活性化サイトを有することになる。そのように活性化されたサイトが大気に曝されると、かかるサイトに対して大気中の水分が吸着され得る。従って、この吸着された水分の量を調べることによって、保護層の活性化サイトの量を把握することができ、ひいては、脱離した不純物ガス量を間接的に把握することができる。
図8は、「活性化サイトに吸着した水分量の不活性ガス供給開始温度依存性を表したグラフ」である(グラフを得た実験については“実施例”にて後述する)。かかるグラフでは、不活性ガス供給開始温度(℃)と水分ガスの脱ガス強度(a.u)との相関関係が示されている。「不活性ガス供給開始温度(℃)」は、上述したように、真空ベーキング後の前面板の冷却に際して不活性ガスの供給を始めた温度である。水分ガスの脱ガス強度(a.u)は、活性化サイトに吸着した水分ガス量を示しており、その脱ガス強度(a.u)の値が大きいほど、前面板の保護層に吸着した水分ガス吸着量が多いこと、即ち、脱離した不純物ガス量が多いことを示している。
図8を参照すると、真空ベーキング後に前面板を400℃、350℃、300℃へと冷却する過程で不活性ガスを供給した場合では(図8のグラフに示す“5”)脱ガス強度が4.0〜5.0の範囲にあるのに対して、真空ベーキング後に前面板を250℃まで冷却してから不活性ガスを供給した場合では(図8のグラフに示す“4”)脱ガス強度が3.0〜4.0となる。つまり、図8に基づくと、真空ベーキング後の冷却に際して前面板温度が300℃に降温するまでに不活性ガス供給を行う場合の方が、前面板温度が250℃にまで降温してから不活性ガス供給を行う場合よりも、脱ガス強度が大きく、活性化サイトに吸着した水分ガス量がより多いことが分かる。ここで、上述したように、“活性化サイトに吸着された水分ガス量”は「脱離した不純物ガス量」と同一視して考えることができるものである。従って、より高い温度で不活性ガス供給を開始した方が冷却時に保護層に再吸着する炭化水素系ガスを減らすことができ、特に、前面板温度が300℃に降温するまでに不活性ガス供給を開始する場合の方が、前面板温度が250℃に降温してから不活性ガス供給を開始する場合よりも、真空ベーキング後の冷却過程で保護層に再吸着する炭化水素系ガス量を減少させることができる。以上より、本発明の特徴の1つである「前面板を真空雰囲気下で加熱処理した後に冷却処理するに際して、加熱時の最高温度以下〜300℃以上の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することによって、前面板の保護層の炭化水素系ガス吸着量を更に減らす」といった態様を理解できるであろう。
尚、真空ベーキングに起因した活性化サイトを有する保護層を大気に曝露すると、活性化サイトに大気中の水分が吸着され得るものの、かかる水分は非常に脱離しやすい形態で吸着されることには留意されたい。つまり、比較的低温の加熱によって容易に「吸着した水分」が脱離し得る。従って、上述の清浄化処理に際して、即ち、清浄化ガスとして窒素ガスを前面板と背面板との間に吹込みながら封着排気炉内で加熱するに際して、保護層から吸着水分が容易に脱離することになるので、最終的には水分ガス成分が効果的に脱離した保護層を得ることができる(真空ベーキング後に大気曝露後された保護層に対して吸着した水分につき、脱離温度は200℃以上かつ300℃以下の範囲にピークを有することを本願発明者らは見出している)。つまり、本発明の製造方法に従えば、最終的には炭化水素系ガスのみならず、水分ガスなども効果的に脱離した保護層を得ることができる。
[冷却終了温度]
本発明では、真空雰囲気下で加熱処理した前面板を冷却処理に付すに際して、加熱時の最高温度以下〜250℃以上(好ましくは300℃以上)の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却する。ここで、前面板は最終的には100℃以下の温度にまで冷却することが好ましい。具体的には、図3に示すようなベーキングチャンバ(41)から前面板(1)を取り出すに際しては、予め100℃以下の温度にまで冷却することが好ましい。これは、保護層が常温より高い温度で大気雰囲気に曝露されると、大気中のH2OやCO2との反応により保護層の表面領域の水酸化ないしは炭酸化が促進され得るからである。従って、本発明の工程(ii)の実施に際しては、100℃以下の温度にまで前面板を最終的に冷却することが好ましい。ちなみに、この「100℃以下」というのは、特に水の沸点(100℃)を踏まえている。
本発明では、真空雰囲気下で加熱処理した前面板を冷却処理に付すに際して、加熱時の最高温度以下〜250℃以上(好ましくは300℃以上)の温度域にて不活性ガスの供給を開始し、前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却する。ここで、前面板は最終的には100℃以下の温度にまで冷却することが好ましい。具体的には、図3に示すようなベーキングチャンバ(41)から前面板(1)を取り出すに際しては、予め100℃以下の温度にまで冷却することが好ましい。これは、保護層が常温より高い温度で大気雰囲気に曝露されると、大気中のH2OやCO2との反応により保護層の表面領域の水酸化ないしは炭酸化が促進され得るからである。従って、本発明の工程(ii)の実施に際しては、100℃以下の温度にまで前面板を最終的に冷却することが好ましい。ちなみに、この「100℃以下」というのは、特に水の沸点(100℃)を踏まえている。
[本発明における保護層]
次に、本発明の特徴部分の1つとなる“保護層”について詳述する。保護層(16)は、図2(b)に示すように、誘電体層(15)上に形成した下地膜(16a)と、下地膜(16a)上に酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)が複数個凝集させた凝集粒子(16b’)とから構成されていることが好ましい。また、保護層(16)において、下地膜(16a)は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)から選ばれる金属酸化物により形成されていることが好ましいが、更にいえば、本発明では、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成されていることが望ましい。
次に、本発明の特徴部分の1つとなる“保護層”について詳述する。保護層(16)は、図2(b)に示すように、誘電体層(15)上に形成した下地膜(16a)と、下地膜(16a)上に酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)が複数個凝集させた凝集粒子(16b’)とから構成されていることが好ましい。また、保護層(16)において、下地膜(16a)は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)から選ばれる金属酸化物により形成されていることが好ましいが、更にいえば、本発明では、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成されていることが望ましい。
下地膜(16a)は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の単独材料のペレットや、それらの材料を混合したペレットを用いて薄膜成膜方法によって形成できる。薄膜成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法を適用することができる。例えば、スパッタリング法では約1Pa、蒸着法の一例である電子ビーム蒸着法では約0.2Paが実際上取り得る圧力の上限と考えられる。また、下地膜(16a)の成膜時の雰囲気としては、水分付着や不純物の吸着を防止するために外部と遮断された密閉状態で行うことが好ましく、成膜時の雰囲気を調整することにより、所定の電子放出特性を有する金属酸化物よりなる下地膜(16a)を形成することができる。
次に、下地膜(16a)上に付着形成する酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)の凝集粒子(16b’)について述べる。これらの結晶粒子(16b)は、気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで製造することができる。気相合成法では、不活性ガスが満たされた雰囲気下で純度が99.9%以上のマグネシウム金属材料を加熱し、さらに、雰囲気に酸素を少量導入することによって、マグネシウムを直接酸化させることができ、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を作製することができる。
一方、前駆体焼成法では、酸化マグネシウム(MgO)の前駆体を約700℃以上の高温で均一に焼成し、これを徐冷して酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を得ることができる。前駆体としては、例えば、マグネシウムアルコキシド(Mg(OR)2)、マグネシウムアセチルアセトン(Mg(acac)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgCO2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硝酸マグネシウム(Mg(NO3) 2)、シュウ酸マグネシウム(MgC2O4)の内のいずれか1種以上の化合物を選ぶことができる。なお選択した化合物によっては、水和物の形態をとり得るが、本発明ではこのような水和物を用いることもできる。上記の化合物は、焼成後に得られる酸化マグネシウム(MgO)の純度が99.95%以上、望ましくは99.98%以上になるように調整する。これらの化合物中に、各種アルカリ金属、B、Si、Fe、Alなどの不純物元素が一定量以上混じっていると、熱処理時に不要な粒子間癒着や焼結を生じ、高結晶性の酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を得にくいためである。このため、不純物元素を除去するなどにより予め前駆体を調整することが必要となる。
上記いずれかの方法で得られた酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を、溶媒に分散させ、その分散液をスプレー法やスクリーン印刷法、スリットコート法、静電塗布法などによって下地膜(16a)の表面に分散散布させる。その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図ることによって、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を下地膜(16a)の表面に定着させることができる。
なお、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)を下地膜(16a)の表面に分散、定着させる方法としては、下地膜(16a)の不純物との反応を抑制する観点から約400℃以下の低温で実施することが望ましい。
更に、本発明の特徴部分の1つとなる“保護層”を詳述していく。本発明の製造方法では、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物であって、X線回折分析において、特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在する金属酸化物を含んで成る保護層を形成することが好ましいが、特に、保護層の下地膜(16a)をかかる金属酸化物から形成することが好ましい。換言すれば、保護層の下地膜(16a)を、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成し、金属酸化物が下地膜(16a)面のX線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにする。
図9は、本発明の実施の形態におけるPDPの保護層(16)を構成する下地膜(16a)面におけるX線回折結果を示す図である。また、図9中には、酸化マグネシウム(MgO)単体、酸化カルシウム(CaO)単体、酸化ストロンチウム(SrO)単体、及び酸化バリウム(BaO)単体のX線回折分析の結果も示す。
図9において、横軸はブラッグの回折角(2θ)であり、縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示し、強度は任意単位(arbitrary unit)で示している。図中には特定方位面である結晶方位面を括弧付けで示している。図9に示すように、結晶方位面の(111)では、酸化カルシウム(CaO)単体では回折角32.2度、酸化マグネシウム(MgO)単体では回折角36.9度、酸化ストロンチウム単体では回折角30.0度、酸化バリウム単体では回折角27.9度にピークを有していることがわかる。
図9には、下地膜(16a)を構成する単体成分が2成分の場合についてのX線回折結果が示されている。すなわち、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)の単体を用いて形成した下地膜(16a)のX線回折結果をA点、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ストロンチウム(SrO)の単体を用いて形成した下地膜(16a)のX線回折結果をB点、さらに、酸化マグネシウム(MgO)と酸化バリウム(BaO)の単体を用いて形成した下地膜(16a)のX線回折結果をC点で示している。
図示するX線回折結果から分かるように、A点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化カルシウム(CaO)単体の回折角32.2度との間である回折角36.1度にピークが存在している。同様に、B点、C点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の35.7度、35.4度にピークが存在している。
図10に、図9と同様に、下地膜(16a)を構成する単体成分が3成分以上の場合のX線回折結果を示している。すなわち、図10には、単体成分として酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ストロンチウム(SrO)を用いた場合の結果をD点、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をE点、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をF点で示している。
図示するX線回折結果から分かるように、D点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化ストロンチウム(SrO)単体の回折角30.0度との間である回折角33.4度にピークが存在している。同様に、E点、F点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の32.8度、30.2度にピークが存在している。
このように、本発明におけるPDP保護層の下地膜(16a)では、単体成分として2成分であれ、3成分であれ、下地膜(16a)を構成する金属酸化物のX線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。
なお、上記の説明では特定方位面としての結晶方位面として(111)を対象として説明したが、他の結晶方位面を対象とした場合も金属酸化物のピークの位置が上記と同様である。
酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の真空準位からの深さは酸化マグネシウム(MgO)と比較して浅い領域に存在する。そのため、PDPを駆動する場合において、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)のエネルギー準位に存在する電子がキセノン(Xe)イオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、酸化マグネシウム(MgO)のエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
X線回折分析の結果が、図9及び図10に示す特徴を有する金属酸化物は、そのエネルギー準位もそれらを構成する単体の酸化物の間に存在している。したがって、下地膜(16a)のエネルギー準位も単体の酸化物の間に存在し、オージェ効果により他の電子が獲得するエネルギー量が真空準位を超えて放出されるに十分な量とすることができる。
結果的に、下地膜(16a)では、酸化マグネシウム(MgO)単体と比較して、良好な二次電子放出特性を発揮することができ、それゆえ、放電維持電圧を低減することができる。つまり、特に輝度を高めるために放電ガスとしてのキセノン(Xe)分圧を高めた場合に、放電電圧を低減し、低電圧でなおかつ高輝度のPDPを実現することが可能となる。
ここで、本発明の製造方法で得られるPDPにおいて、下地膜(16a)の構成を変えた場合のPDPの放電維持電圧について説明する。まず、本発明によるサンプルとして、サンプルA(下地膜が酸化マグネシウムと酸化カルシウムによる金属酸化物)、サンプルB(下地膜が酸化マグネシウムと酸化ストロンチウムによる金属酸化物)、サンプルC(下地膜が酸化マグネシウムと酸化バリウムによる金属酸化物)、サンプルD(下地膜が酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化ストロンチウムによる金属酸化物)、サンプルE(下地膜が酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化バリウムによる金属酸化物)を準備し、また比較例として、下地膜を酸化マグネシウム単体で構成したものを準備した。
そして、これらのサンプルA〜Eについて、放電維持電圧を測定すると、比較例を100とした場合、サンプルAは90、サンプルBは87、サンプルCは85、サンプルDは81、サンプルEは82の値を示した。
放電ガスのキセノン(Xe)の分圧を10%から15%へと高めた場合には輝度が約30%上昇するが、下地膜(16a)が酸化マグネシウム(MgO)単体の場合の比較例では、放電維持電圧が約10%上昇する。一方、本発明の製造方法で得られるPDPでは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルEともに、放電維持電圧を比較例に比較して約10%〜20%低減することができるため、通常動作範囲内の放電開始電圧とすることができ、高輝度で低電圧駆動のPDPを実現することができるといえる。
なお、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)は、単体では反応性が高いために不純物と反応しやすく、そのために電子放出性能が低下しやすいものの、それらの金属酸化物の構成とすることによって、反応性を低減し、不純物の混入や酸素欠損の少ない結晶構造で形成される。つまり、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)を金属酸化物の構成とすることによって、PDPの駆動時に電子が過剰放出されるのが抑制され、低電圧駆動と二次電子放出性能の両立効果に加えて、適度な電子保持特性の効果も発揮される。この電荷保持特性は、特に初期化期間に貯めた壁電荷を保持しておき、書込期間において書込不良を防止して確実な書込放電を行う上で有効である。
次に、下地膜(16a)上に設けた、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)が複数個凝集した凝集粒子(16b’)について詳述する。酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子(16b’)は、本願発明者の実験により、主として書込放電における「放電遅れ」を抑制する効果と、「放電遅れ」の温度依存性を改善する効果が確認されている。そこで本発明では、凝集粒子(16b’)が下地膜(16a)に比べて高度な初期電子放出特性に優れる性質を利用して、放電パルス立ち上がり時に必要な初期電子供給部として配設している。
「放電遅れ」は、放電開始時において、トリガーとなる初期電子が下地膜(16a)表面から放電空間中に放出される量が不足することが主原因と考えられる。そこで、放電空間に対する初期電子の安定供給に寄与するため、酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子(16b’)を下地膜(16a)の表面に分散配置する。これによって、放電パルスの立ち上がり時に放電空間中に電子が豊富に存在し、放電遅れの解消が図られる。したがって、このような初期電子放出特性により、PDPが高精細の場合などにおいても放電応答性の良い高速駆動ができるようになっている。なお下地膜(16a)の表面に金属酸化物の凝集粒子(16b’)を配設する構成では、主として書込放電における「放電遅れ」を抑制する効果に加え、「放電遅れ」の温度依存性を改善する効果も得られる。
以上のように、本発明の製造方法で得られるPDPでは、低電圧駆動と電荷保持の両立効果を奏する下地膜(16a)と、放電遅れの防止効果を奏する酸化マグネシウム(MgO)の凝集粒子(16b’)とにより保護層を構成することによって、高精細なPDPでも高速駆動を低電圧で実現でき、且つ、点灯不良を抑制した高品位な画像表示性能を実現できる。
ちなみに、本発明の好適な実施形態では、下地膜(16a)上に、結晶粒子(16b)が数個凝集した凝集粒子(16b’)を離散的に散布させ、全面に亘ってほぼ均一に分布するように複数個付着させる。図11は凝集粒子(16b’)を説明する拡大図である。
図11に示すように、凝集粒子(16b’)とは、所定の一次粒径の結晶粒子(16b)が凝集またはネッキングした状態のものである。すなわち、固体として大きな結合力を持って結合しているのではなく、静電気やファンデルワールス力などによって複数の一次粒子が集合体の体をなしているもので、超音波などの外的刺激により、その一部または全部が一次粒子の状態になる程度で結合しているものである。凝集粒子の粒径としては、約1μm程度のもので、結晶粒子としては、14面体や12面体などの7面以上の面を持つ多面体形状を有するのが望ましい。
また、結晶粒子(16b)の一次粒子の粒径は、結晶粒子(16b)の生成条件によって制御できる。例えば、炭酸マグネシウムや水酸化マグネシウムなどのMgO前駆体を焼成して生成する場合、焼成温度や焼成雰囲気を制御することで粒径を制御することができる。一般的に、焼成温度は700℃〜1500℃の範囲で選択できるが、焼成温度を比較的高い約1000℃以上にすることで、その粒径を0.3〜2μm程度に制御することが可能である。さらに、結晶粒子(16b)をMgO前駆体を加熱して得ることにより、その生成過程において、複数個の一次粒子同士が凝集またはネッキングと呼ばれる現象により結合して凝集粒子(16b’)を得ることができる。
図12は、本発明の実施の形態におけるPDPのうち、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)との金属酸化物で構成した下地膜(16a)を用いた場合の放電遅れと保護層中のカルシウム(Ca)濃度との関係を示す図である。下地膜(16a)として酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)とからなる金属酸化物で構成し、金属酸化物は、下地膜(16a)面におけるX線回折分析において、酸化マグネシウム(MgO)のピークが発生する回折角と酸化カルシウム(CaO)のピークが発生する回折角との間にピークが存在するようにしている。なお、図12には、保護層として下地膜(16a)のみの場合と、下地膜(16a)上に凝集粒子(16b’)を配置した場合とについて示し、放電遅れは、下地膜(16a)中にカルシウム(Ca)が含有されていない場合を基準として示している。
電子放出性能は、大きいほど電子放出量が多いことを示す数値で、表面状態及びガス種とその状態によって定まる初期電子放出量によって表現する。初期電子放出量については表面にイオン、あるいは電子ビームを照射して表面から放出される電子電流量を測定する方法で測定できるが、PDPの前面板表面の評価を非破壊で実施することは困難を伴う。そこで、特開2007−48733号公報に記載されている方法を用いた。すなわち、放電時の遅れ時間のうち、統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しやすさの目安となる数値を測定し、その逆数を積分すると初期電子の放出量と線形に対応する数値になる。つまり、かかる数値を用いて評価している。放電時の遅れ時間とは、パルスの立ち上がりから放電が遅れて行われる放電遅れの時間を意味し、放電遅れは、放電が開始される際にトリガーとなる初期電子が保護層表面から放電空間中に放出されにくいことが主要な要因として考えられている。
図12より明らかなように、下地膜(16a)のみの場合と、下地膜(16a)上に凝集粒子(16b’)を配置した場合とにおいて、下地膜(16a)のみの場合はカルシウム(Ca)濃度の増加とともに放電遅れが大きくなるのに対し、下地膜(16a)上に凝集粒子(16b’)を配置することによって放電遅れを大幅に小さくすることができ、カルシウム(Ca)濃度が増加しても放電遅れはほとんど増大しないことがわかる。
次に、本発明の実施の形態における凝集粒子(16b’)を有する保護層の効果を確認するために行った実験結果について説明しておく。まず、構成の異なる下地膜(16a)と下地膜(16a)上に設けた凝集粒子(16b’)を有するPDPを試作した。試作品1は酸化マグネシウム(MgO)の下地膜(16a)のみの保護層を形成したPDP、試作品2は酸化マグネシウム(MgO)にAl、Siなどの不純物をドープした下地膜(16a)のみの保護層を形成したPDP、試作品3は酸化マグネシウム(MgO)による下地膜(16a)上に酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子(16b)の一次粒子のみを散布し付着させた保護層を形成したPDPである。
一方、試作品4は本発明の製造方法で得られるPDPであり、保護層として、前述のサンプルAを用いている。すなわち、保護層は、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)との金属酸化物で構成した下地膜(16a)と、下地膜(16a)上に結晶粒子(16b)を凝集させた凝集粒子(16b’)を全面に亘ってほぼ均一に分布するように付着させている。なお、下地膜(16a)は、下地膜(16a)面のX線回折分析において、下地膜(16a)を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。すなわち、この場合の最小回折角は酸化カルシウム(CaO)の32.2度、最大回折角は酸化マグネシウム(MgO)の36.9度であり、下地膜91の回折角のピークが36.1度に存在するようにしている。
これらのPDPについて、その電子放出性能と電荷保持性能を調べ、その結果を図13に示す。電子放出性能は上述の方法で評価し、電荷保持性能は、その指標として、PDPとして作製した場合に電荷放出現象を抑えるために必要とする走査電極に印加する電圧(以下Vscn点灯電圧と呼称する)の電圧値を用いた。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方が電荷保持能力の高いことを示す。このことは、PDPを設計する上で、電源や各電気部品として、耐圧及び容量の小さい部品を使用することが可能となる。現状の製品において、走査電圧を順次パネルに印加するためのMOSFETなどの半導体スイッチング素子には、耐圧150V程度の素子が使用されており、Vscn点灯電圧としては、温度による変動を考慮して約120V以下に抑えるのが望ましい。
図13から明らかなように、本発明の実施形態における下地膜(16a)に酸化マグネシウム(MgO)の単結晶粒子(16b)を凝集させた凝集粒子(16b’)を散布して全面に亘って均一に分布させた試作品4は、電荷保持性能の評価において、Vscn点灯電圧を120V以下にすることができ、なおかつ電子放出性能が酸化マグネシウム(MgO)のみの保護層の場合の試作品1に比べて格段に良好な特性を得ることができる。
一般的にはPDPの保護層の電子放出能力と電荷保持能力は相反する。例えば、保護層の製膜条件を変更することや、保護層中にAlやSi、Baなどの不純物をドーピングして製膜することにより電子放出性能を向上することは可能であるが、副作用としてVscn点灯電圧も上昇してしまう。
本発明実施の形態における試作品4のPDPにおいては、電子放出能力としては、酸化マグネシウム(MgO)のみの保護層を用いた試作品1の場合に比べて8倍以上の特性を有し、電荷保持能力としてはVscn点灯電圧が120V以下のものを得ることができる。したがって、高精細化により走査線数が増加し、かつセルサイズが小さいPDPに対しては有用で、電子放出能力と電荷保持能力の両方を満足させて、放電遅れを低減して良好な画像表示を実現することができる。
次に、結晶粒子(16b)の粒径についても詳細に説明しておく。なお、以下の説明において、粒径とは平均粒径を意味し、平均粒径とは、体積累積平均径(D50)のことを意味している。
図14は、上記図13で説明した本発明の試作品4において、結晶粒子(16b)の粒径を変化させて電子放出性能を調べた実験結果を示すものである。なお、図14において、結晶粒子(16b)の粒径は、結晶粒子をSEM観察することで測長した。図14に示すように、粒径が0.3μm程度に小さくなると、電子放出性能が低くなり、ほぼ0.9μm以上であれば、高い電子放出性能が得られることがわかる。
ところで、放電セル内での電子放出数を増加させるためには、下地膜上の単位面積あたりの結晶粒子(16b)の数は多い方が望ましいが、本発明者らの実験によれば、前面板の保護層と密接に接触する背面板の隔壁の頂部に相当する部分に結晶粒子が存在することで、隔壁の頂部を破損させ、その材料が蛍光体の上に乗るなどによって、該当するセルが正常に点灯消灯しなくなる現象が発生することが分かった。この隔壁破損の現象は、結晶粒子(16b)が隔壁頂部に対応する部分に存在しなければ発生しにくいことから、付着させる結晶粒子(16b)の数が多くなれば隔壁の破損発生確率が高くなる。このような観点からは、結晶粒子径が2.5μm程度に大きくなると、隔壁破損の確率が急激に高くなり、2.5μmより小さい結晶粒子径であれば、隔壁破損の確率は比較的小さく抑えることができる。
以上の結果より、本発明の製造方法においては、保護層に用いる結晶粒子(16b)として、粒径が0.9μm〜2μmの範囲にあるものを使用すれば、上述した本発明の効果を安定的に得られることがわかった。なお、結晶粒子(16b)として酸化マグネシウム(MgO)粒子を用いて説明したが、この他の単結晶粒子でも、酸化マグネシウム(MgO)同様に高い電子放出性能を持つSr、Ca、Ba、Alなどの金属酸化物による結晶粒子を用いても同様の効果を得ることができるため、粒子種としては酸化マグネシウム(MgO)に限定されるものではない。
“本発明における保護層”について、総括的に述べれば、上述の知見に基づいて保護層が形成されたPDPでは、保護層における二次電子放出特性が向上しており、輝度を高めるために放電ガスのXeガス分圧を大きくした場合であっても放電開始電圧を低減することが可能となっている。つまり、本発明で得られるPDPは、高精細画像でも高輝度で低電圧駆動が可能な表示性能に優れたものとなり得る。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。例えば以下の変更態様を挙げることができる。
● 上記説明では、ベーキングチャンバ内で前面板を冷却する態様を例示したが、ロードロックチャンバ内で前面板を冷却してもよい。この場合の具体的なプロセス態様を図3および図5を参照して説明しておく。保護層が形成された前面板を、まずロードロックチャンバ(49)内に置かれたトレー(図示せず)上に載置させる。次いで、搬送系(図示せず)を用いて、トレーと前面板(1)とをゲート(48)を通過させてベーキングチャンバ(41)へと搬送する。搬送後、ゲート(48)を閉めて、ベーキングチャンバ(41)内をポンプ(42)を用いて排気する。排気によってベーキングチャンバの内部雰囲気が所定の真空圧力(例えば0.001Pa以下)に達すると、ベーキングチャンバ(41)内のランプ(43)に電力を供して前面板の加熱を開始する。加熱により前面板の温度が上昇するが、最終的には或る所定温度(例えば、約500℃)に達するまで加熱し、その到達最高温度を数分間(例えば2分間程度)保持する。かかる保持の後、ランプ(43)に供する電力を切ることによって、前面板(1)の冷却を開始する。前面板(1)の温度が所定の温度(250℃以上500℃以下)にある間、バルブ(47)を閉め、流量コントローラ(45)を用いて、ベーキングチャンバ(41)内へと窒素ガスを供給し、ベーキングチャンバ(41)内の圧力を大気圧にする。そして、トレーと前面板とを、不活性ガスとして窒素ガスで満たされたロードロックチャンバ(49)へと搬送し、かかるロードロックチャンバ(49)内において前面板温度が100℃以下になるまで前面板の冷却を行う。
● あるいは、次のようなプロセス態様も可能である(図3および図5を参照して説明しておく)。まず、保護層が形成された前面板を、ロードロックチャンバ(49)内に置かれたトレー上に載置される。次いで、ロードロックチャンバ(49)内をポンプを用いて排気する。排気によってロードロックチャンバ(49)内が所定の圧力(例えば、10Pa以下)まで到達したら、ゲート(48)を開き、予め真空排気されているベーキングチャンバ(41)とロードロックチャンバ(49)とを連通させる。そして、搬送系を用いて、トレーと前面板(1)を、ゲート(48)を通過させてベーキングチャンバ(41)へと搬送する。ゲート(48)を閉めた後、ベーキングチャンバ(41)内が所定の圧力(例えば、0.001Pa以下)になったら、ランプ(43)に電力を供し、前面板(1)を約500℃まで加熱する。その500℃の最高加熱温度で数分間(例えば、2分間)保持した後、ランプ(43)供する電力を切り、前面板を冷却する。前面板の温度が所定の温度(例えば、450℃以下)になったら、ゲート(48)を開き、真空排気されているロードロックチャンバ(49)とベーキングチャンバ(41)とを連通させる。そして、搬送系(図示せず)を用いて、トレーと前面板とを、ゲート(48)を通過させてロードロックチャンバ(49)へと搬送する。次いで、ゲート(48)を閉じ、ロードロックチャンバ(49)内にガス供給系(図示せず)を用いて不活性ガスを供給し、ロードロックチャンバ(49)内を大気圧にする。そして、前面板の温度が100℃以下になるまで冷却した後、前面板を取り出す。このようなプロセス態様を採用すると、設備構成の点で最も高価となるベーキングチャンバ内における前面板の滞在時間が短くなるので、真空ベーキング装置の価格をより抑えることが可能となる。
● 上記説明では、前面板を冷却するに際して不活性ガスを供給する態様を例示したが、供給する不活性ガスの圧力は10Pa以上大気圧以下であることが好ましい。圧力が低すぎると、ベーキングチャンバの内壁面などにごく微量ながら付着している炭化水素系堆積物の沸点が上がる効果と、不活性ガスにより炭化水素系ガスが希釈される効果が低減するためである(後述の“実施例”を参照のこと)。
● 上記説明では、ベーキングチャンバ内が0.001Pa以下に到達した後、ランプに電力を供する態様を例示した。この到達圧力が低いほど、保護層の清浄化は促進される。しかしながら、あまりに低い圧力を実現しようとすると、非現実的な超大排気能力を有するポンプが必要となる。したがって、この到達圧力は、0.00001Pa以上0.1Pa以下であることが好ましいといえる。
● 上記説明では、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を、溶媒に分散させ、その分散液を下地膜の表面に分散散布し、その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図り、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を下地膜(16a)の表面に定着させた後に保護層を真空ベーキングする態様を例示したが、焼成工程を省略して真空ベーキングすることにより、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子の下地膜の表面への定着と、保護層(とくに下地膜)の清浄化とを一度に行うことも可能である。このようなプロセス態様では、大掛かりな焼成設備の不要化につながるだけでなく、製造に要するエネルギーを低減でき、PDPの製造コストを低減できる利点がある。
● 上記説明では、保護層が酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上の酸化金属を含んで成る態様を主に前提としてきたが、本発明は必ずしもかかる態様に限定されるわけではない。たとえば、保護層が特開2004−47193に開示されているようなものであってもよく(例示すれば、保護層が酸化ランタン、酸化セリウムなどのランタノイド酸化物などから形成されたものであってもよい)、かかる場合であっても本発明の効果としては変わりはない。
● 本発明の効果として変わりない点でいえば、保護層が電子ビーム蒸着法により形成されたものの他、微細な金属酸化物粒子を含むペーストを塗布・乾燥することによって形成されたPDPの製造法についても、本発明を好適に適用することができる。ベーキングチャンバ(41)内がポンプ(42)により排気され、真空に保持することができる。
● 前面板に形成する誘電体層は、第1誘電体層と第2誘電体層から構成される2層構造となっていてもよい。この場合、第1誘電体層の誘電体材料は、酸化ビスマス(Bi2O3)を20重量%〜40重量%、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んで成るものが好ましい。なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよい。このような組成から成る第1誘電体層用ペーストを、表示電極を覆うように前面ガラス基板にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜590℃で焼成することによって、第1誘電体層を形成することができる。
一方、第2誘電体層は、酸化ビスマス(Bi2O3)を11重量%〜20重量%、さらに、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6重量%〜21重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んで成るものが好ましい。なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよい。このような組成から成る第2誘電体層用ペーストを、第1誘電体層上にスクリーン印刷法あるいはダイコート法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の550℃〜590℃で焼成することによって、第2誘電体層を形成することができる。このようにして製造されたPDPは、表示電極に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板の着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘電体層中に気泡の発生などがなく、絶縁耐圧性能に優れた誘電体層を実現することができる。
一方、第2誘電体層は、酸化ビスマス(Bi2O3)を11重量%〜20重量%、さらに、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6重量%〜21重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んで成るものが好ましい。なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよい。このような組成から成る第2誘電体層用ペーストを、第1誘電体層上にスクリーン印刷法あるいはダイコート法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の550℃〜590℃で焼成することによって、第2誘電体層を形成することができる。このようにして製造されたPDPは、表示電極に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板の着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘電体層中に気泡の発生などがなく、絶縁耐圧性能に優れた誘電体層を実現することができる。
最後に、本発明における「温度」について付言しておく。本発明に関連する温度(例えば、250℃や300℃あるいは100℃)は、原則、前面板の温度(特に前面板の保護層の温度)を指している。しかしながら、そのような温度を直接的に把握できない場合には、チャンバ内温度(例えば“ベーキングチャンバの雰囲気温度”)を便宜的に採用してもよい。このとき、あらかじめ前面板の温度とチャンバ内温度との相関関係を測っておくことが好ましい。尚、本発明において、このような“前面板温度”や“チャンバ内温度”は熱電対または放射温度計などの温度計測機を用いて測定されたものである点に留意されたい。
本発明の特徴に関して試験(真空ベーキング試験)を行った。特に、本願発明者らは、以下で説明する試験を通じて、真空ベーキングによる活性化後に保護層を含む前面板が冷却される過程で保護層に炭化水素系ガスが多量に吸着し、封着処理後のパネルにおいて蛍光輝度の低下によりパネル品質の劣化が生じることを見出している(より具体的には、完成したパネルにおいては、吸着した炭化水素系ガスが脱離して、すす状の堆積物が蛍光体層に付着し、それによって、輝度劣化が生じるものと考えられる)。
真空ベーキング試験は、図3で示すような真空ベーキング装置(40)を用いて行った。かかる真空ベーキング装置(40)では、ベーキングチャンバ(41)内がポンプ(42)により排気され、真空に保持することができるようになっている。前面板の加熱手段として、ベーキングチャンバ(41)内にはランプ(43)、反射板(44)が設けられている。流量コントローラ(45)から不活性ガスとして窒素ガスが、バルブ(46)を介してベーキングチャンバ(41)内に供給される。ベーキングチャンバ(41)とポンプ(42)との間にはバルブ(47)が設けられ、排気のON/OFFが切り替え可能なようになっている。
真空ベーキング試験では、真空ベーキング後に前面板を冷却するときのベーキングチャンバ内の雰囲気に着目し、不活性ガス中で冷却する検討を行った。着眼点は以下の2点である。
(1)不活性ガス中では真空中に比べて、炭化水素系ガスの発生源と考えられる、ベーキングチャンバの内壁面などに、ごく微量ながら付着している炭化水素系堆積物の沸点が上がる。したがって、冷却中の雰囲気における炭化水素系ガスの絶対量が減ることが期待される。
(2) 不活性ガス中で冷却する場合は、真空中で冷却する場合に比べて、炭化水素系ガスの濃度が下がる。これは、不活性ガスにより炭化水素系ガスが希釈されるためである。
(1)不活性ガス中では真空中に比べて、炭化水素系ガスの発生源と考えられる、ベーキングチャンバの内壁面などに、ごく微量ながら付着している炭化水素系堆積物の沸点が上がる。したがって、冷却中の雰囲気における炭化水素系ガスの絶対量が減ることが期待される。
(2) 不活性ガス中で冷却する場合は、真空中で冷却する場合に比べて、炭化水素系ガスの濃度が下がる。これは、不活性ガスにより炭化水素系ガスが希釈されるためである。
真空ベーキングにより500℃まで昇温された前面板(最高加熱温度500℃における加熱時間は約2分間)を冷却するに際して、ベーキングチャンバ内に窒素ガスを供給する実験を行い、かかる不活性ガスの供給開始温度に対する前面板への炭化水素系ガスの吸着量を、昇温脱離法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)により測定した。結果を図7に示す。炭化水素系ガスの吸着量はCH3(=質量数15)の脱ガス強度により評価した。なお、不活性ガスとしての窒素ガスはベーキングチャンバ内が大気圧になるまで供給し、その後供給を停止した。
図7を参照すると、常温(25℃)まで真空中で冷却した場合(1)に、保護層9に炭化水素系ガスが多量に吸着している(脱ガス強度=8.14)のに対して、真空冷却温度が250℃以上の場合(2)には、吸着量が激減している(脱ガス強度=0.301〜0.543)ことが分かった。したがって、前面板を真空中で最高加熱温度(500℃)に加熱した後、前面板を冷却するに際して、250℃以上で、かつ、最高加熱温度以下の温度域より前面板を不活性ガスに曝露しつつ冷却することが好ましいということが判明した。
ところで、真空ベーキングにより清浄化された保護層は、大気に曝露されると、活性化された吸着サイトが露出しているので、そのサイトに大気中の水分が吸着する。ただし、非常に脱離しやすい形態で吸着することがわかっている。つまり、窒素ガスを吹込みながら封着するときに、その大半が脱離し、2枚の基板間の空間から外部へ速やかに排出されることになる。昇温脱離法による評価では、真空ベーキング後に大気曝露された保護層から脱離する水分の脱離温度は、200℃以上300℃以下の範囲にピークを有する。しかしながら、真空中で低温まで冷却された場合は、真空中で活性化された吸着サイトに炭化水素系ガスが吸着してしまったため、大気曝露後の水分の吸着量が低減し、200℃以上300℃以下の範囲にピークが現れなかった。
図8は、図7を得た実験において、水分の吸着量を、H2O(=質量数18)の脱ガス強度により評価した結果である。ただし、常温(25℃)まで真空中で冷却した場合(3)は、ピークが表れなかったので、250℃における脱離ガス強度をプロットしており、その他の不活性ガス供給開始温度が250℃の場合(4)及び300℃以上の場合(5)は、200℃以上300℃以下の範囲に現れた、水分の脱離強度のピーク値をプロットしている。図8より、不活性ガス供給開始温度が250℃の場合(4)は、不活性ガス供給開始温度が300℃以上の場合(5)に比べて水分の吸着量が少ないことがわかった。つまり、不活性ガス供給開始温度が250℃の場合(4)は、不活性ガス供給開始温度が300℃以上の場合(5)に比べて保護層の清浄度が少し悪いことがわかった。したがって、前面板を真空中で最高加熱温度(約500℃)に加熱した後、前面板を冷却するに際して、300℃以上で、かつ、最高加熱温度以下の温度域より前面板を不活性ガスに曝露しつつ冷却することがより好ましいということが判明した。
尚、上記実施例で取得した各温度は、熱電対をセラミックスボンドで前面板に接着することによって測定したものである。
本発明の製造方法を通じて最終的に得られるPDPは、高輝度で消費電力が低いので、一般家庭向けのプラズマテレビおよび商業用プラズマテレビとして好適に用いることができる他、その他の各種表示デバイスとしても好適に用いることができる。
1 前面板
2 背面板
10 前面板側の基板A
11 前面板側の電極A(表示電極)
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 ブラックストライプ(遮光層)
15 前面板側の誘電体層A
16 保護層
16a 保護層の下地膜
16b 保護層の下地膜上に配された結晶粒子
16b’ 結晶粒子が複数個凝集した凝集粒子
20 背面板側の基板B
21 背面板側の電極B(アドレス電極)
22 背面板側の誘電体層B
23 隔壁
25 蛍光体層
29 貫通孔(ガス供給開口部/清浄化ガスの吹込み開口部)
30 放電空間
32 放電セル
40 真空ベーキング装置
41 ベーキングチャンバ
42 排気ポンプ
43 ランプ
44 反射板
45 流量コントローラ
46 バルブ
47 バルブ
48 ゲート
49 ロードロックチャンバ
55 チップ管(排気管)
56 フリットリング
57 チャックヘッド
68 配管
70 クリップ
86 ガラスフリット封着部材
2 背面板
10 前面板側の基板A
11 前面板側の電極A(表示電極)
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 ブラックストライプ(遮光層)
15 前面板側の誘電体層A
16 保護層
16a 保護層の下地膜
16b 保護層の下地膜上に配された結晶粒子
16b’ 結晶粒子が複数個凝集した凝集粒子
20 背面板側の基板B
21 背面板側の電極B(アドレス電極)
22 背面板側の誘電体層B
23 隔壁
25 蛍光体層
29 貫通孔(ガス供給開口部/清浄化ガスの吹込み開口部)
30 放電空間
32 放電セル
40 真空ベーキング装置
41 ベーキングチャンバ
42 排気ポンプ
43 ランプ
44 反射板
45 流量コントローラ
46 バルブ
47 バルブ
48 ゲート
49 ロードロックチャンバ
55 チップ管(排気管)
56 フリットリング
57 チャックヘッド
68 配管
70 クリップ
86 ガラスフリット封着部材
Claims (4)
- 基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を有して成るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面板および前記背面板を封着処理に付すに先立って、(i)前記前面板を真空下において加熱する工程、および(ii)前記加熱の後で前記前面板を冷却する工程を実施し、
前記工程(ii)では、前記工程(i)の加熱時の最高温度以下〜250℃以上の温度域にて不活性ガス供給を開始し、前記前面板を不活性ガス雰囲気下で冷却することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記不活性ガス供給を前記工程(i)の加熱時の最高温度以下〜300℃以上の温度域にて開始することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記工程(ii)において、100℃以下の温度にまで前記前面板を冷却することを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物であって、X線回折分析において、特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在する金属酸化物から前記前面板の前記保護層を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2010064025A JP2011198611A (ja) | 2010-03-19 | 2010-03-19 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2010064025A JP2011198611A (ja) | 2010-03-19 | 2010-03-19 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2011198611A true JP2011198611A (ja) | 2011-10-06 |
Family
ID=44876554
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2010064025A Pending JP2011198611A (ja) | 2010-03-19 | 2010-03-19 | プラズマディスプレイパネルの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2011198611A (ja) |
-
2010
- 2010-03-19 JP JP2010064025A patent/JP2011198611A/ja active Pending
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