実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1は単相誘導電動機100の横断面図、図2は図1のA部拡大図、図3は固定子12の横断面図、図4は固定子12の巻線20の1極分を示す図、図5は固定子鉄心12aの横断面図、図6は回転子11の横断面図、図7は回転子鉄心11aの横断面図、図8は回転子11の斜視図、図9は単相誘導電動機100の角度αに対する起動トルク特性図である。
図1乃至図8により、単相誘導電動機100の構成を説明する。
単相誘導電動機100は、固定子12と回転子11とを備える。
単相誘導電動機100を、以下、単にモータまたは電動機と呼ぶ場合もある。
固定子12は、固定子鉄心12aと、固定子鉄心12aの固定子スロット12bに挿入される主巻線20b及び補助巻線20aとを備える。主巻線20b及び補助巻線20aには一般的に、銅線の外側に絶縁被膜が施されたマグネットワイヤなどが用いられる。
尚、固定子スロット12bには、巻線20(主巻線20b及び補助巻線20a)と固定子鉄心12aとの間に、電気的に絶縁を確保するために絶縁材(例えば、スロットセル、ウェッジ、セパレータ等)が挿入されるが、ここでは図示を省略している。
固定子鉄心12aは、板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板(例えば、無方向性電磁鋼板(鋼板の特定方向に偏って磁気特性を示さないよう、各結晶の結晶軸方向をできる限りランダムに配置させたもの))を所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数軸方向(積層方向)に積層し、抜きカシメや溶接等により固定して製作される。
固定子鉄心12aには、内周縁に沿って固定子スロット12bが形成されている。固定子スロット12bは、周方向にほぼ等間隔に配置される。図1の例では、固定子スロット12bはすべて同じ形状であるが、一部の大きさを変更した大小スロットで構成しても良い。例えば、固定子鉄心12aの外周縁に切欠きが形成される場合には、コアバックの磁路面積を確保するために、外周縁に切欠きがある箇所の固定子スロットを、外周縁に切欠きがない箇所の固定子スロットよりも小さくする(径方向の寸法が小さい)。
図5に示すように、固定子スロット12bの間の鉄心部をティース12eという。ティース12eは、周方向の幅が略等しく径方向に延びている。図5に示す例では、ティース12eの数は、固定子スロット12bと同数の、24個である。また、固定子鉄心12aの外周部は、略円筒状のコアバック12dになっている。この略円筒状のコアバック12dから、複数(図5では、24個)のティース12eが放射状に、周方向に略等間隔に内側に延びている。
固定子スロット12bは、半径方向に延在している。固定子スロット12bは、内周縁に開口している。この開口部をスロットオープニングと言う。このスロットオープニングから主巻線20b及び補助巻線20aが挿入される。図1の例では、固定子鉄心12aは、24個の固定子スロット12bを備える。但し、固定子スロット12bの数は、24個に限定されない。
主巻線20bは、二極の同心巻方式の巻線である。図1の例では、固定子スロット12b内の内周側(回転子11に近い側)に、主巻線20bが配置される。ここでは、同心巻方式の主巻線20bは、大きさ(特に周方向の長さ)が異なる5個(5段)のコイルから構成される。そして、それらの5個のコイルの中心が同じ位置になるように固定子スロット12bに挿入される。そのため、同心巻方式と呼ばれる。主巻線20bが5個のコイルのものを示したが、一例であって、その数は問わない。
主巻線20bの5個のコイルを、大きい方(固定子スロット12bのスロットピッチが11のもの、図4(図3も参照)の#1〜#12(もしくは#13〜#24)に跨って巻かれるもの)から順にM1、M2(固定子スロット12bのスロットピッチが9、図4(図3も参照)の#2〜#11(もしくは#14〜#23)に跨って巻かれる)、M3(固定子スロット12bのスロットピッチが7、図4(図3も参照)の#3〜#10(もしくは#15〜#22)に跨って巻かれる)、M4(図3も参照)(固定子スロット12bのスロットピッチが5、図4(図3も参照)の#4〜#9(もしくは#16〜#21)に跨って巻かれる)、M5(固定子スロット12bのスロットピッチが3、図4(図3も参照)の#5〜#8(もしくは#17〜#20)に跨って巻かれる)とする。それら(M1〜M5コイル)の分布(巻数の分布)が略正弦波になるように選択される。主巻線20bに主巻線電流が流れた場合に発生する主巻線磁束が正弦波になるようにするためである。即ち、M1〜M5の巻数は、通常は、M1≧M2≧M3>M4>M5である。
主巻線20bは、固定子スロット12b内の内周側、外周側のどちらに配置しても良い。但し、主巻線20bを固定子スロット12b内の内周側に配置すると、固定子スロット12bの外周側に配置する場合に比べて、巻線(コイル)周長が短くなる。また、主巻線20bを固定子スロット12b内の内周側に配置すると、固定子スロット12b内の外周側に配置する場合に比べて、漏れ磁束が少なくなる。よって、主巻線20bを固定子スロット12b内の内周側に配置すると、固定子スロット12b内の外周側に配置する場合に比べて、主巻線20bのインピーダンス(抵抗値、漏れリアクタンス)が小さくなる。そのため、単相誘導電動機100の特性が良くなる。
主巻線20bに主巻線電流を流すことで、主巻線磁束が生成される。この主巻線磁束の向きは、図1の左右方向である。前述したように、この主巻線磁束の波形ができるだけ正弦波になるように、主巻線20bの5個のコイル(M1、M2、M3、M4、M5)の巻数が選ばれる。主巻線20bに流れる主巻線電流は交流であるから、主巻線磁束も流れる主巻線電流に従って大きさと向きを変える。
また、固定子スロット12bには、主巻線20bと同様に同心巻方式の補助巻線20aが挿入される。図1では、補助巻線20aは、固定子スロット12b内の外側に配置されている。補助巻線20aに補助巻線電流を流すことで補助巻線磁束が生成される。この補助巻線磁束の向きは、主巻線磁束の向きに直交する(図1の上下方向)。つまり、補助巻線20aは主巻線20bに対して、90度ずれた位置に配置されている。補助巻線20aに流れる補助巻線電流は交流であるから、補助巻線磁束も電流に従って大きさと向きを変える。
一般的には主巻線磁束と補助巻線磁束のなす角度が電気角で90度(ここでは極数が二極であるため、機械角も90度である)になるように、主巻線20bと補助巻線20aとが固定子スロット12bに挿入される。
図1の例では、補助巻線20aは大きさ(周方向の長さが特に)が異なる3個のコイルから構成される。補助巻線20aの3個のコイルを、大きい方(固定子スロット12bのスロットピッチが11のもの、図4(図3も参照)の#7〜#18(もしくは#6〜#19)に跨って巻かれるもの)から順にA1、A2(固定子スロット12bのスロットピッチが9、図4(図3も参照)の#8〜#17(もしくは#5〜#20)に跨って巻かれる)、A3(固定子スロット12bのスロットピッチが7、図4(図3も参照)の#9〜#16(もしくは#4〜#21)に跨って巻かれる)とする。その分布が、略正弦波になるように選択される。補助巻線20aに補助巻線電流が流れた場合に発生する補助巻線磁束が正弦波になるようにするためである。
そして、それらの3個のコイル(A1、A2、A3)の中心が同じ位置になるように固定子スロット12bに挿入される。
補助巻線磁束の波形ができるだけ正弦波になるように、補助巻線20aの3個のコイル(A1、A2、A3)の巻線が選ばれる。通常は、A1>A2>A3である。
補助巻線20aと直列に運転コンデンサ(図示せず)を接続したものに主巻線20bを並列に接続させる。その両端を単相交流電源へ接続する。運転コンデンサを補助巻線20aに直列に接続することにより、補助巻線20aに流れる補助巻線電流の位相を主巻線20bに流れる主巻線電流の位相に対して約90度進めることができる。
主巻線20bと補助巻線20aの固定子鉄心12aにおける位置を電気角で90度ずらし、且つ主巻線20bと補助巻線20aの電流の位相を約90度異なるようにすることで、二極の回転磁界が発生する。
固定子鉄心12aの外周面には、外周円形状を略直線状に切り欠いた略直線部をなす固定子切欠12cが四ヶ所に設けられている。四ヶ所の固定子切欠12cは、隣り合うもの同士が略直角に配置される。従って、四ヶ所の固定子切欠12cを通る直線により略四角形が形成される。但し、これは一例であり、固定子切欠12cの数、配置は任意でよい。
密閉型圧縮機に図1の単相誘導電動機100を搭載する場合、固定子12は密閉型圧縮機の円筒状の密閉容器の内周に焼き嵌めされる。密閉型圧縮機の内部では、冷媒(冷凍機油も含む)が単相誘導電動機100を通過する。そのため、単相誘導電動機100には、冷媒の通路が必要である。
略直線部の固定子切欠12cを設けることにより、固定子12と密閉容器との間に冷媒の通路が形成される。単相誘導電動機100の冷媒の通路には、この固定子鉄心12aの外周面の固定子切欠12cによるもの以外に、例えば、回転子11の風穴部11b(図6参照)、固定子12と回転子11のと間の空隙60(図2参照)がある。
例えば、後述するロータリ圧縮機の場合、密閉容器の内部に圧縮要素と電動機が収納され、且つ電動機が上部に、圧縮要素が下部に配置される。圧縮要素は、密閉容器の底部に貯留する冷凍機油を吸い上げ、冷凍機油で圧縮要素の摺動部を潤滑し、冷凍機油の一部は圧縮要素から吐出される冷媒とともに電動機を通過する。このとき、冷凍機油を含む冷媒は、電動機の回転子の風穴、固定子と回転子の間の空隙、固定子鉄心の外周面の固定子切欠等を通過する。電動機を通過した冷凍機油を含む冷媒は、電動機の上部において、油分離機等により冷媒から冷凍機油が分離され、冷凍機油は主に固定子鉄心の外周面の固定子切欠から密閉容器の底部に戻る。冷媒は、密閉容器の外部の冷凍サイクルへ吐出される。
また、固定子12の内周側には空隙60(図2参照)を介して回転子11が設けられ、回転子11は回転子鉄心11aとかご形二次導体(バー(例えば、アルミバー)と、エンドリング32とで構成される)を備える。固定子12と回転子11との間の空隙60は、例えば、径方向寸法が0.2〜2.0mm程度である。
回転子鉄心11aは、固定子鉄心12aと同様に板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板(例えば、無方向性電磁鋼板(鋼板の特定方向に偏って磁気特性を示さないよう、各結晶の結晶軸方向をできる限りランダムに配置させたもの))を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層して製作される。通常、固定子鉄心12aの内側(内周側)の部分の電磁鋼板を利用する。
一般的に回転子鉄心11aは固定子鉄心12aと同一の材料から打ち抜くことが多いが、回転子鉄心11aは固定子鉄心12aと材料を変えても構わない。
回転子鉄心11aには半径方向外周側に、回転子鉄心11aの外周縁に沿って設けられ、アルミバー30aが形成される回転子スロット40aと、アルミ以外に一部に銅バー30c(アルミよりも電気抵抗率の低い導電性材料)が挿入される回転子スロット40cとを有する。
図1(図7)の例では、回転子スロットの数は、回転子スロット40aが26個、回転子スロット40cが4個であり、合わせて30個である。結局、図1の単相誘導電動機100は、固定子鉄心12aのスロット数が24、回転子鉄心11aの総スロット数が30の組合せである。但し、これは一例であり、固定子鉄心12aのスロット数と、回転子鉄心11aのスロット数の組合せは、この限りではない。
かご形誘導電動機は、同期トルク、非同期トルク、振動・騒音等の異常現象があることが知られている。かご形誘導電動機の異常現象は、空隙磁束密度の空間高調波によって起きるものであることは明白であるが、その空間高調波が生じる原因としては次の二つが考えられる。一つは巻線配置に起因する起磁力に含まれる高調波であり、他は固定子スロット、回転子スロットが存在するために空隙のパーミアンス(磁気抵抗の逆数)が一様でないことから生じる、空隙磁束密度中に含まれる高調波である。
このように、かご形誘導電動機では、固定子のスロット数と回転子のスロット数との組合せが、同期トルク、非同期トルク、振動・騒音等の異常現象に密接に関係する。そのため、固定子のスロット数と回転子のスロット数との組合せは、慎重に選ばれる。
回転子スロット40cに銅バー30cを挿入した後、回転子スロット40aと共に、導電性材料であるアルミが鋳込まれ(アルミダイキャスティング)、アルミバー30aを形成する。導電性材料は、アルミが一般的に用いられる。
銅バー30cが挿入された回転子スロット40cに形成されるバー(アルミと銅からなる)は、回転子スロット40aに形成されるアルミバー30aよりも抵抗値が小さくなる。
アルミバー30a(正確には、26個のアルミのみのバー、4個のアルミと銅からなるバー)は、回転子11の積層方向端面に設けられたエンドリング32(図8参照)と共にかご形二次導体を形成する。一般的にアルミバー30aとエンドリング32はダイキャスティングにより同時にアルミを鋳込むことで製作される。
図1及び図6に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子11の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。単相誘導電動機100の停止時、もしくは始動時に上記位置関係になるようにしている。
また、図9に示す起動トルク特性図は、図6に示す角度αに対する起動トルク比率を表しており、縦軸の起動トルク比は、全ての回転子スロットが,アルミバー30aのみで構成された回転子スロット40aである場合の起動トルクに対する比率を示している。
図9において、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となり、またαが約135度及び約315度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最小となることがわかる。二極の単相誘導電動機100であるため、180度毎に周期性を持つ。
単相誘導電動機の場合、起動時において、補助巻線20aに流れる補助巻線電流に対して、主巻線20bに流れる主巻電電流が非常に大きく、つまり、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束に対して、主巻線20bで生成された主巻線磁束が大きくなり、それぞれの合成磁界からなる二極の回転磁界は、交番磁界に近い楕円磁界となる傾向がある。
回転子スロットを、アルミバー30aのみで構成された回転子スロット40a(26個)と、アルミに加えて銅バー30cが充填された回転子スロット40c(連続した4個)とからなる非対称な構成とすると、楕円磁界の影響により、図9に示すように、角度αに対する起動トルク特性が変化することになる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子スロット40cを配置することで、起動トルク特性が良好となり、信頼性の高い単相誘導電動機を得ることができる。
図4に示すように、角度αが約45度の位置で起動トルクが最大となり、最も良好な起動特性を示しているが、角度αは、20〜70度の範囲であれば、良好な起動特性を得ることが可能である。
前述の通り、起動トルク特性は180度の周期性を持つため、角度αは、200〜250度の範囲に設定しても同様の特性を示す。
また、銅バー30cが充填された回転子スロット40cを非対称に配置することにより起動トルクが改善するが、全てアルミバー30aのみで構成された回転子スロット40aと同等の起動トルクで良い場合は、固定子鉄心12a及び回転子鉄心11aの積層枚数(積層厚さ)を少なくすることが可能である。
固定子鉄心12a及び回転子鉄心11aの積層枚数が少なくなると、電磁鋼板の使用量が減ると共に、主巻線20b及び補助巻線20aの周長が減ることに伴う、巻線の使用量も削減することができ、低コストな単相誘導電動機100を得ることができる。更には、電磁鋼板及び巻線の使用量削減による、軽量な単相誘導電動機100を得ることができる。
この単相誘導電動機100を密閉型圧縮機に搭載した場合、回転子11の回転軸50は密閉型圧縮機の圧縮要素に連結され、圧縮要素の圧力がバランスして停止しているときは一般的に、回転子11は所定の回転位置で停止する。例えば、密閉型圧縮機がロータリ圧縮機の場合、圧縮要素の圧力がバランスして停止しているときは、ローリングピストンが下死点に位置する傾向がある。従って、図1及び図6の角度α=45度(連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置)の位置と、圧縮要素の下死点(後述する)の位置とが略一致するように、ロータリ圧縮機を組立れば、ロータリ圧縮機の起動性を改善することができ、信頼性の高いロータリ圧縮機を得ることができる。角度α=45度が最も好ましいが、角度α=20〜70度でもよい。
ここで、ロータリ圧縮機について、説明する。図10、図11は実施の形態1を示す図で、図10はロータリ圧縮機510の縦断面図、図11は図10のA−A断面図である。
図10に示すロータリ圧縮機510の一例は、密閉容器70内が高圧の縦型のものである。密閉容器70内の下部に圧縮要素501が収納される。密閉容器70内の上部で、圧縮要素501の上方に圧縮要素501を駆動する電動要素である単相誘導電動機100(図1参照)が収納される。
密閉容器70内の底部に、圧縮要素501の各摺動部を潤滑する冷凍機油90が貯留されている。
先ず、圧縮要素501の構成を説明する。内部に圧縮室が形成されるシリンダ1は、外周が平面視略円形で、内部に平面視略円形の空間であるシリンダ室1bを備える。シリンダ室1bは、軸方向両端が開口している。シリンダ1は、側面視で所定の軸方向の高さを持つ。
シリンダ1の略円形の空間であるシリンダ室1bに連通し、半径方向に延びる平行なベーン溝1aが軸方向に貫通して設けられる。
また、ベーン溝1aの背面(外側)に、ベーン溝1aに連通する平面視略円形の空間である背圧室1cが設けられる。
シリンダ1には、冷凍サイクルからの吸入ガスが通る吸入ポート(図示せず)が、シリンダ1の外周面からシリンダ室1bに貫通している。
シリンダ1には、略円形の空間であるシリンダ室1bを形成する円の縁部付近(単相誘導電動機100側の端面)を切り欠いた吐出ポート(図示せず)が設けられる。
シリンダ1の材質は、ねずみ鋳鉄、焼結、炭素鋼等である。
ローリングピストン2が、シリンダ室1b内を偏心回転する。ローリングピストン2はリング状で、ローリングピストン2の内周が回転軸50の偏心軸部50aに摺動自在に嵌合する。
ローリングピストン2の外周と、シリンダ1のシリンダ室1bの内壁との間は、常に一定の隙間があるように組立られる。
ローリングピストン2の材質は、クロム等を含有した合金鋼等である。
ベーン3がシリンダ1のベーン溝1a内に収納され、背圧室1cに設けられるベーンスプリング8でベーン3が常にローリングピストン2に押し付けられている。ロータリ圧縮機510は、密閉容器70内が高圧であるから、運転を開始するとベーン3の背面(背圧室1c側)に密閉容器70内の高圧とシリンダ室1bの圧力との差圧による力が作用するので、ベーンスプリング8は主にロータリ圧縮機510の起動時(密閉容器70内とシリンダ室1bの圧力に差がない状態)に、ベーン3をローリングピストン2に押し付ける目的で使用される。
ベーン3の形状は、平たい(周方向の厚さが、径方向及び軸方向の長さよりも小さい)略直方体である。
ベーン3の材料には、高速度工具鋼が主に用いられている。
主軸受け4は、回転軸50の主軸部50b(偏心軸部50aより上の部分で、回転子11に嵌合する部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ1のシリンダ室1b(ベーン溝1aも含む)の一方の端面(単相誘導電動機100側)を閉塞する。
主軸受け4は、吐出弁(図示せず)を備える。但し、主軸受け4、副軸受け5のいずれか一方、または、両方に付く場合もある。
主軸受け4は、側面視略逆T字状である。
副軸受け5が、回転軸50の副軸部50c(偏心軸部50aより下の部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ1のシリンダ室1b(ベーン溝1aも含む)の他方の端面(冷凍機油90側)を閉塞する。
副軸受け5は、側面視略T字状である。
主軸受け4、副軸受け5の材質は、シリンダ1の材質と同じで、ねずみ鋳鉄、焼結、炭素鋼等である。
主軸受け4には、その外側(単相誘導電動機100側)に吐出マフラ7が取り付けられる。主軸受け4の吐出弁から吐出される高温・高圧の吐出ガスは、一端吐出マフラ7に入り、その後吐出マフラ7から密閉容器70内に放出される。但し、副軸受け5側に吐出マフラ7を持つ場合もある。
密閉容器70の横に、冷凍サイクルからの低圧の冷媒ガスを吸入し、液冷媒が戻る場合に液冷媒が直接シリンダ1のシリンダ室に吸入されるのを抑制する吸入マフラ21が設けられる。吸入マフラ21は、シリンダ1の吸入ポートに吸入管22を介して接続する。吸入マフラ21本体は、溶接等により密閉容器70の側面に固定される。
密閉容器70には、電力の供給源である電源に接続する端子24(ガラス端子という)が、溶接により固定されている。図1の例では、密閉容器70の上面に端子24が設けられる。端子24には、電動要素である単相誘導電動機100からのリード線23が接続される。
密閉容器70の上面に、両端が開口した吐出管25が嵌挿されている。圧縮要素501から吐出される吐出ガスは、密閉容器70内から吐出管25を通って外部の冷凍サイクルへ吐出される。
ロータリ圧縮機510の一般的な動作について説明する。端子24、リード線23から電動要素である単相誘導電動機100の固定子12(巻線20)に電力が供給されることにより、回転子11が回転する。すると回転子11に固定された回転軸50が回転し、それに伴いローリングピストン2はシリンダ1のシリンダ室1b内で偏心回転する。シリンダ1のシリンダ室1bとローリングピストン2との間の空間は、ベーン3によって2分割されている。回転軸50の回転に伴い、それらの2つの空間の容積が変化し、片側はだんだん容積が広がることにより吸入マフラ21より冷媒を吸入し、他側は容積が除々に縮小することにより、中の冷媒ガスが圧縮される。圧縮された吐出ガスは、吐出マフラ7から密閉容器70内に一度吐出され、更に電動要素である単相誘導電動機100を通過して密閉容器70の上面にある吐出管25より密閉容器70外へ吐出される。
電動要素である単相誘導電動機100を通過する吐出ガスは、例えば、図1、図2、図6に示すように、単相誘導電動機100の回転子11の風穴部11b(貫通孔)、固定子鉄心12aのスロットオープニング(図示せず、スロット開口部ともいう)含む空隙60、固定子鉄心12aの外周に配置された固定子切欠12c等を通る。
ロータリ圧縮機510が上記運転動作を行う場合、部品同士が摺動する摺動部が以下に示すように複数ある。
(1)第1の摺動部:ローリングピストン2の外周2aとベーン3の先端3a(内側);
(2)第2の摺動部:シリンダ1のベーン溝1aとベーン3の側面部3b(両側面);
(3)第3の摺動部:ローリングピストン2の内周2bと回転軸50の偏心軸部50a;
(4)第4の摺動部:主軸受け4の内周と回転軸50の主軸部50b;
(5)第5の摺動部:副軸受け5の内周と回転軸50の副軸部50c。
圧縮要素501に設けられる、摺動部を構成する部品をまとめる。
(1)シリンダ1;
(2)ローリングピストン2;
(3)ベーン3;
(4)主軸受け4;
(5)副軸受け5;
(6)回転軸50。
既に述べたように、ロータリ圧縮機510の場合、圧縮要素501の圧力がバランスして停止しているときは、ローリングピストン2が下死点に位置する傾向がある(図11の状態)。従って、図1及び図6の角度α=45度(連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置)の位置と、圧縮要素の下死点の位置とが略一致するように、ロータリ圧縮機510を組立れば、ロータリ圧縮機510の起動性を改善することができ、信頼性の高いロータリ圧縮機510を得ることができる。
上記のように、停止時の回転方向の位置(下死点)が略一定の負荷(この場合はロータリ圧縮機510の圧縮要素501)と本実施の形態の単相誘導電動機100を組み合わせることで、図1及び図6の角度α=45度(連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置)で起動トルクが最大になるという特徴を生かすことができる。
停止時の回転方向の位置が一定しない負荷(例えば、送風ファン等)と、本実施の形態の単相誘導電動機100を組み合わせても、図10のどの角度αで起動するか決まらないので、本実施の形態の単相誘導電動機100の特徴を生かすことができない。
図1及び図6の角度α=45度(連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置)の位置と、圧縮要素501の下死点の位置とが略一致するように、ロータリ圧縮機510を組立るために、例えば、以下に示す方法がある。即ち、図1(図3、図5)に示すように、固定子鉄心12aの外周縁の角度αの位置に切欠12fを設ける。この切欠12fは、例えば、略半円形のものを示すが、形状は任意でよい。四角、三角、楕円、台形、楔状等どのような形状でもよい。
さらに、圧縮要素501側では、シリンダ1の外周縁の下死点の位置に切欠1dを設ける。この切欠1dは、例えば、略半円形のものを示すが、形状は任意でよい。四角、三角、楕円、台形、楔状等どのような形状でもよい。
ロータリ圧縮機510の組立時に、圧縮要素501と固定子12とが密閉容器70に焼き嵌めされる。密閉容器70を加熱して、密閉容器70の内径を常温よりも大きくし、その状態で圧縮要素501と固定子12とを密閉容器70に挿入し、密閉容器70の温度が常温もしくは常温に近づけば、密閉容器70の内径が高温の状態よりも小さくなって、圧縮要素501と固定子12とを固定される。このとき、シリンダ1の切欠1d(外周縁の下死点の位置)と、固定子12の切欠12fとを周方向において一致するようにすれば、先ず、固定子12の角度αの位置と圧縮要素501のシリンダ1の下死点の位置とを合わせることができる。
図12は実施の形態1を示す図で、角度αの位置に円形(小)の風穴部11b−1を設けた回転子11の横断面図である。回転子11の角度αの位置とシリンダ1の下死点の位置とを合わせるためには、回転軸50の偏心軸部50aの偏心方向が回転子11の角度αの位置と一致させる必要がある。そのために、図12に示すように、回転子11の角度αの位置にある風穴部11b−1の形状を他の風穴部11bの形状と異なるようにする。
そして、回転軸50の主軸部50b(偏心軸部50aより上の部分で、回転子11に嵌合する部分)に回転子11を嵌合するときに、回転軸50の偏心軸部50aの偏心方向が風穴部11b−1の位置(周方向)と一致するようにする。
そのように構成することにより、回転子11の角度αの位置とシリンダ1の下死点の位置とを合わせることができる。
尚、回転子11の角度αの位置にある風穴の形状は、他の風穴部11bの形状と異なるようにすればよいので、どのような形状でもよい。
図13乃至図15は実施の形態1を示す図で、図13は角度αの位置に円形(大)の風穴部11b−2を設けた回転子11の横断面図、図14は角度αの位置に四角形の風穴部11b−3を設けた回転子11の横断面図、図15は角度αの位置に楕円の風穴部11b−4を設けた回転子11の横断面図である。
回転子11の角度αの位置にある風穴の形状は、図12の円形(小)の風穴部11b−1以外に、図13に示すように、円形(大)の風穴部11b−2としてもよい。また、図14に示すように、四角形の風穴部11b−3としてもよい。さらに、図15に示すように、楕円の風穴部11b−4としてもよい。
以上のように、単相誘導電動機100の回転子11のスロット(ここでは、一例として、30スロット)を、銅バー30cが挿入される回転子スロット40c(例えば、4個)と、アルミバー30aが形成される回転子スロット40a(例えば、26個)とで構成し、且つ回転子11の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置(反時計方向)に並べて配置した位置(角度α)とする。さらに、ロータリ圧縮機510の圧縮要素501の下死点の位置を、単相誘導電動機100の回転子11の上記角度αと一致するようにする。そのように構成することにより、通常、ロータリ圧縮機510が高低圧がバランスして停止した場合、圧縮要素501の下死点の位置で停止するので、起動トルクが大きくなる回転子11の上記角度αの位置と圧縮要素501の下死点とを略一致させることにより、ロータリ圧縮機510の起動性を改善することができる。
ロータリ圧縮機510の組立時の、圧縮要素501と固定子12とが密閉容器70に焼き嵌めされるときに、シリンダ1の切欠1d(外周縁の下死点の位置)と、固定子12の切欠12fとを周方向において一致するようにすれば、固定子12の角度αの位置とシリンダ1の下死点の位置とを合わせることができる。また、回転軸50の主軸部50b(偏心軸部50aより上の部分で、回転子11に嵌合する部分)に回転子11に嵌合するときに、回転軸50の偏心軸部50aの偏心方向が風穴部11b−1(風穴部11b−2、風穴部11b−3、風穴部11b−4)の位置(周方向)と一致するようにすることにより、回転子11の角度αの位置とシリンダ1の下死点の位置とを合わせることができる。それにより、起動トルクが大きくなる回転子11の上記角度αの位置と圧縮要素501の下死点とを略一致させることが可能になる。
次に、変形例1の単相誘導電動機200について、図16乃至図19を参照しながら説明する。
図16乃至図19は実施の形態1を示す図で、図16は変形例1の単相誘導電動機200の横断面図、図17は回転子211の横断面図、図18は回転子鉄心211aの横断面図、図19は角度αに対する起動トルク特性図である。
図16乃至図18に示す変形例1の単相誘導電動機200は、図1に示す単相誘導電動機100と比べると、回転子211の形状が異なる(図17参照)。
回転子211は、角度α=45度(補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子211の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット40cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している)に4個並べて配置された回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)を、180度ずれた位置にも4個並べて配置させている。つまり、回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)が合計8個、アルミバー30aが形成される回転子スロット40aが合計22個で、合わせて30個の回転子スロットを有している。
また、図19に示す起動トルク特性図は、図17等に示す角度αに対する起動トルク比率を表しており、縦軸の起動トルク比は、回転子スロットが、全て回転子スロット40a(アルミバー30aが形成される)で構成された場合の起動トルクに対する比率を示している。
図19において、前述の図9と同様に、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となっている。図9の特性図と比べても、更に大きな起動トルク特性を持つことがわかる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)を180度ずれた位置にも配置することで、更に起動トルク特性が良好となり、交流電源の電圧が低くなった状態でも起動が可能な、信頼性の高い単相誘導電動機200を得ることができる。
次に、変形例2の単相誘導電動機300について、図20乃至図23を参照しながら説明する。
図20乃至図23実施の形態1を示す図で、図20は変形例2の単相誘導電動機300の横断面図、図21は図20のB部拡大図、図22は図20のC部拡大図、図23は偏心位置βに対する起動トルク特性図である。
図20に示す変形例2の単相誘導電動機300は、図1に示す単相誘導電動機100と比べると、固定子12の中心軸に対して、回転子11の中心軸(回転軸)が右下にずれた位置(偏心)に設けられている。回転子11の形状は図1と同一であり、回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)及び回転子スロット40a(アルミバー30aが形成される)からなる非対称配置の回転子スロットを有しており、図1に示すように、角度αは45度である。
図20において、回転子11が時計回りに回転する場合、図中下向きの補助巻線磁束に対して、回転子11の偏心位置をβと設定すると、図20に示す単相誘導電動機300はβ=45度である。
固定子12に対して回転子11を偏心させた位置に配置しているため、固定子12と回転子11の間の空隙寸法が一定ではなく、図21、図22に示すように、空隙60a(図20のB部、図21に拡大図を示す)と空隙60b(図20のC部、図22に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定するが、この寸法は一例であり、この限りではない。
図23に示す起動トルク特性は、偏心位置βに対するものであり、縦軸の起動トルク比は、図1に示す固定子12の中心軸と、回転子11の中心軸(回転軸)が一致している、偏心がない場合の起動トルクに対する比率である。
図23において、偏心位置βを変更することで、起動トルクが変化しており、偏心位置β=45度の位置、つまり回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)が配置された位置に回転子11を偏心させることで起動トルクを更に大きくすることができる。
図20の例では、偏心位置β=45度の場合について説明したが、βは0〜60度程度の範囲であれば、起動特性が良好な単相誘導電動機300を得ることができる。
起動トルクが改善するということは、単相誘導電動機300に印加される交流電源の電圧が低くなった場合でも起動することが可能な、信頼性の高い単相誘導電動機300を得ることができる。
図24乃至図26は実施の形態1を示す図で、図24は変形例3の単相誘導電動機400の横断面図、図25は回転子411の横断面図、図26は回転子鉄心411aの横断面図である。
図24に示す変形例3の単相誘導電動機400は、回転子が単相誘導電動機100(図1)と異なる。単相誘導電動機100の回転子11は、回転子スロット40cの一部に銅バー30cが挿入される構成であるが、変形例3の単相誘導電動機400の回転子411は、回転子スロット40cに相当する回転子スロット40d(連続する4個)全体に銅バー30dが挿入される。
銅バー30dは、断面形状が回転子スロット40dと略相似形で、銅バー30dの面積は回転子スロット40dの面積より若干小さい。スキュー(斜溝、ねじる)が施される場合は、回転子スロット40dと銅バー30dとの隙間が大きくなる。また、その隙間には、アルミが充填される。
その他の構成は、図1に示す単相誘導電動機100と同じである。即ち、図24乃至図26に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子411の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット40d(スロット全体に銅バー30dが挿入される)の中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。単相誘導電動機400の停止時、もしくは始動時に上記位置関係になるようにしている。
変形例3の単相誘導電動機400の回転子411は、回転子スロット40d(連続する4個)全体に銅バー30dが挿入されるので、回転子スロット40d内での銅バー30dの位置決めが不要という利点がある。図1に示す単相誘導電動機100の回転子11では、回転子スロット40c内での銅バー30cの位置決めが必要である。
次に、変形例4の単相誘導電動機500について、図27乃至図29を参照しながら説明する。
図27乃至図29は実施の形態1を示す図で、図27は変形例4の単相誘導電動機500の横断面図、図28は回転子511の横断面図、図29は回転子鉄心511aの横断面図である。
図27に示す変形例4の単相誘導電動機500は、回転子が単相誘導電動機100(図1)と異なる。
回転子511は、角度α=45度(補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子511の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット40d(スロット全体に銅バー30dが挿入される)の中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している)に4個並べて配置された回転子スロット40d(スロット全体に銅バー30dが挿入される)を、180度ずれた位置にも4個並べて配置させている。つまり、回転子スロット40d(スロット全体に銅バー30dが挿入される)が合計8個、アルミバー30aが形成される回転子スロット40aが合計22個で、合わせて30個の回転子スロットを有している。
変形例4の単相誘導電動機500の起動トルク特性は、図19に示す特性と略同等となる。即ち、図9と同様に、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となっている。図9の特性図と比べても、更に大きな起動トルク特性を持つことがわかる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子スロット40d(スロット全体に銅バー30dが挿入される)を180度ずれた位置にも配置することで、更に起動トルク特性が良好となり、交流電源の電圧が低くなった状態でも起動が可能な、信頼性の高い単相誘導電動機500を得ることができる。
次に、変形例5の単相誘導電動機600について、図30乃至図32を参照しながら説明する。
図30乃至図32は実施の形態1を示す図で、図30は変形例5の単相誘導電動機600の横断面図、図31は図30のD部拡大図、図32は図30のE部拡大図である。
図30に示す変形例5の単相誘導電動機600は、図24に示す単相誘導電動機400と比べると、固定子12の中心軸に対して、回転子411の中心軸(回転軸)が右下にずれた位置(偏心)に設けられている。回転子411の形状は図24と同一であり、回転子スロット40d(スロット全体に銅バー30dが挿入される)及び回転子スロット40a(アルミバー30aが形成される)からなる非対称配置の回転子スロットを有しており、図24に示すように、角度αは45度である。
図30において、回転子411が時計回りに回転する場合、図中下向きの補助巻線磁束に対して、回転子411の偏心位置をβと設定すると、図30に示す単相誘導電動機600はβ=45度である。
固定子12に対して回転子411を偏心させた位置に配置しているため、固定子12と回転子411の間の空隙寸法が一定ではなく、図31、図32に示すように、空隙60a(図30のD部、図31に拡大図を示す)と空隙60b(図30のE部、図32に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定するが、この寸法は一例であり、この限りではない。
単相誘導電動機600の起動トルク特性は、図23に示した起動トルク特性と略同等である。即ち、図23において、偏心位置βを変更することで、起動トルクが変化しており、偏心位置β=45度の位置、つまり回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)が配置された位置に回転子11を偏心させることで起動トルクを更に大きくすることができる。
起動トルクが改善するということは、単相誘導電動機600に印加される交流電源の電圧が低くなった場合でも起動することが可能な、信頼性の高い単相誘導電動機600を得ることができる。
次に、変形例6の単相誘導電動機700について、図33乃至図36を参照しながら説明する。
図33乃至図37は実施の形態1を示す図で、図33は変形例6の単相誘導電動機700の横断面図、図34は回転子711の横断面図、図35は図34のF部拡大図、図36は回転子鉄心711aの横断面図、図37は回転子スロット740a,740cの拡大断面図である。
図33に示す変形例6の単相誘導電動機700は、回転子が単相誘導電動機100(図1)と異なる。単相誘導電動機100(図1)の回転子11は普通かご形であるが、変形例6の単相誘導電動機700の回転子711は、二重かご形である。
変形例6の単相誘導電動機700は、固定子12と、回転子711とを備える。固定子12は、単相誘導電動機100(図1)のものと同じである。回転子711は、回転子鉄心711aと、二重かご形導体とを備える。
回転子鉄心711aには半径方向外周側に、回転子鉄心711aの外周縁に沿って設けられる回転子スロット740a(アルミバーが形成されるスロット)と、回転子スロット740c(銅バーが挿入されるスロット)とが形成されている。但し、回転子スロット740aと回転子スロット740cとは、同一形状である(図37参照)。
図33(図36)の例では、回転子スロットの数は、回転子スロット740a(アルミバーが形成されるスロット)が26個、回転子スロット740c(銅バーが挿入されるスロット)が4個であり、合わせて30個である。結局、図33の単相誘導電動機700は、固定子鉄心12aのスロット数が24、回転子鉄心711aの総スロット数が30の組合せである。
回転子スロット740aには、導電性材料であるアルミが鋳込まれており(アルミダイキャスティング)、アルミバー730a(図34参照)を形成する。アルミバー730aは、外層アルミバー730a−1と、内層アルミバー730a−2と、連結アルミバー730a−3とを有する。導電性材料は、アルミが一般的であるが、銅を用いても良い。
また、回転子スロット740cにも、導電性材料であるアルミが鋳込まれるが、アルミの他に銅バーが挿入される。回転子スロット740cには、銅バー入りアルミバー730cが形成される。
図35(a)に示すように、銅バー入りアルミバー730cは、内層スロット740a−2に、銅バー730c−1が挿入される。さらに内層スロット740a−2には、アルミが鋳込まれて内層アルミバー730a−2が形成される。内層スロット740a−2には、銅バー730c−1並びに内層アルミバー730a−2が存在することになる。回転子スロット740cの外層スロット740a−1は、回転子スロット740aと同様、アルミが鋳込まれて外層アルミバー730a−1が形成される。また、連結スロット740a−3にもアルミが鋳込まれて連結アルミバー730a−3が形成される。
図35(b)に示すように、アルミバー730aは、回転子スロット740aの外層スロット740a−1、内層スロット740a−2、連結スロット740a−3にアルミのみが鋳込まれて、夫々外層アルミバー730a−1、内層アルミバー730a−2、連結アルミバー730a−3が形成される。
アルミバー730a、銅バー入りアルミバー730cは、回転子711の積層方向両端面に設けられたエンドリング32(図9参照)と共に二重かご形二次導体を形成する。
回転子スロット740a,740cは、回転子鉄心711aの外周縁に沿って設けられる外層スロット740a−1と、外層スロット740a−1の内周側に設けられた内層スロット740a−2と、外層スロット740a−1と内層スロット740a−2を連結する連結スロット740a−3とからなる(図37参照)。連結スロット740a−3にも、アルミが鋳込まれる。
図33、図34に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子711の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット740cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。
二重かご形状の回転子711を有する単相誘導電動機700は、以下に示すような一般的な特徴を有する。即ち、起動時はすべり周波数(回転磁界の周波数と回転子711の回転数との差)が高くなる。内層アルミバー(例えば、内層アルミバー730a−2)の漏れ磁束は、外層アルミバー(例えば、外層アルミバー730a−1)の漏れ磁束より多くなる。すべり周波数が大きい起動時には、リアクタンス分により電流分布が決まり、二次電流は外層アルミバー(例えば、外層アルミバー730a−1)に主に流れる。そのため、二次抵抗が大きくなることにより起動トルクが増大して起動特性が改善される。
また通常運転時は、すべり周波数が低いので、二次電流はアルミバー全体に流れるため、アルミ断面積が大きくなり、二次抵抗が小さくなる。従って、二次銅損が低くなることで、高効率化が実現できるという特性を有している。
それに加えて、変形例6の単相誘導電動機700は、図33、図34に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子711の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット740cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)ので、図9に示した起動トルク特性を有し、さらに起動トルク特性が改善される。
次に、変形例7の単相誘導電動機800について、図38乃至図40を参照しながら説明する。
図38乃至図40は実施の形態1を示す図で、図38は変形例7の単相誘導電動機800の横断面図、図39は回転子811の横断面図、図40は回転子鉄心811aの横断面図である。
図38乃至図40に示す変形例7の単相誘導電動機800は、図33に示す変形例6の単相誘導電動機700と比べると、回転子811の形状が異なる(図39参照)。
回転子811は、角度α=45度(補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子811の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット740cの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している)に4個並べて配置された回転子スロット740c(銅バー730c−1が挿入される回転子スロット)を、180度ずれた位置にも4個並べて配置させている。つまり、回転子スロット740c(銅バー730c−1が挿入される回転子スロット)が合計8個、アルミバー730aが形成される回転子スロット740aが合計22個で、合わせて30個の回転子スロットを有している。
変形例7の単相誘導電動機800の起動トルク特性は、図19に示す起動トルク特性と略同等である。
図19において、前述の図9と同様に、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となっている。図9の特性図と比べても、更に大きな起動トルク特性を持つことがわかる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子スロット740c(銅バー730c−1が挿入される回転子スロット)を180度ずれた位置にも配置することで、更に起動トルク特性が良好となり、交流電源の電圧が低くなった状態でも起動が可能な、信頼性の高い単相誘導電動機800を得ることができる。
次に、変形例8の単相誘導電動機900について、図41乃至図43を参照しながら説明する。
図41乃至図43は実施の形態1を示す図で、図41は変形例8の単相誘導電動機900の横断面図、図42は図41のG部拡大図、図43は図42のH部拡大図である。
図41に示す変形例8の単相誘導電動機900は、図33に示す単相誘導電動機700と比べると、固定子12の中心軸に対して、回転子711の中心軸(回転軸)が右下にずれた位置(偏心)に設けられている。回転子711の形状は図33と同一であり、回転子スロット740c(銅バー730c−1が挿入される)及び回転子スロット740a(アルミバー730aが形成される)からなる非対称配置の回転子スロットを有しており、図33に示すように、角度αは45度である。
図41において、回転子711が時計回りに回転する場合、図中下向きの補助巻線磁束に対して、回転子711の偏心位置をβと設定すると、図41に示す単相誘導電動機900はβ=45度である。
固定子12に対して回転子711を偏心させた位置に配置しているため、固定子12と回転子711の間の空隙寸法が一定ではなく、図42、図43に示すように、空隙60a(図41のG部、図42に拡大図を示す)と空隙60b(図41のH部、図43に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定するが、この寸法は一例であり、この限りではない。
単相誘導電動機900の起動トルク特性は、図23に示した起動トルク特性と略同等である。即ち、図23において、偏心位置βを変更することで、起動トルクが変化しており、偏心位置β=45度の位置、つまり回転子スロット740c(銅バー730c−1が挿入される)が配置された位置に回転子711を偏心させることで起動トルクを更に大きくすることができる。
起動トルクが改善するということは、単相誘導電動機900に印加される交流電源の電圧が低くなった場合でも起動することが可能な、信頼性の高い単相誘導電動機900を得ることができる。
次に、変形例9の単相誘導電動機1000について、図44乃至図46を参照しながら説明する。
図44乃至図46は実施の形態1を示す図で、図44は変形例9の単相誘導電動機1000の横断面図、図45は回転子1011の横断面図、図46は回転子鉄心1011aの横断面図である。
図44に示す変形例9の単相誘導電動機1000は、単相誘導電動機700(図33)と同様、回転子が二重かご形ではある。しかし、単相誘導電動機700の回転子711は、回転子スロット740cの一部に銅バー730c−1が挿入される構成であるが、変形例9の単相誘導電動機1000の回転子1011は、回転子スロット740cに相当する回転子スロット740d(連続する4個)全体に銅バー730dが挿入される。
銅バー730dは、断面形状が回転子スロット740dと略相似形で、銅バー730dの面積は回転子スロット740dの面積より若干小さい。スキュー(斜溝、ねじる)が施される場合は、回転子スロット740dと銅バー730dとの隙間が大きくなる。また、その隙間には、アルミが充填される。
その他の構成は、図33に示す単相誘導電動機700と同じである。即ち、図44乃至図46に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1011の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット740d(スロット全体に銅バー730dが挿入される)の中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。単相誘導電動機1000の停止時、もしくは始動時に上記位置関係になるようにしている。
変形例9の単相誘導電動機1000の回転子1011は、回転子スロット740d(連続する4個)全体に銅バー730dが挿入されるので、回転子スロット740d内での銅バー730dの位置決めが不要という利点がある。図33に示す単相誘導電動機700の回転子711では、回転子スロット740c内での銅バー730c−1の位置決めが必要である。
次に、変形例10の単相誘導電動機1100について、図図47乃至図49を参照しながら説明する。
図47乃至図49は実施の形態1を示す図で、図47は変形例10の単相誘導電動機1100の横断面図、図48は回転子1111の横断面図、図49は回転子鉄心1111aの横断面図である。
図47乃至図49に示す変形例10の単相誘導電動機1100は、図44に示す変形例9の単相誘導電動機1000と比べると、回転子1111の形状が異なる(図48参照)。
回転子1111は、角度α=45度(補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1111の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子スロット740dの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している)に4個並べて配置された回転子スロット740d(スロット全体に銅バー730dが挿入される)を、180度ずれた位置にも4個並べて配置させている。つまり、回転子スロット740d(スロット全体に銅バー730dが挿入される)が合計8個、アルミバー730aが形成される回転子スロット740aが合計22個で、合わせて30個の回転子スロットを有している。
変形例10の単相誘導電動機1100の起動トルク特性は、図19に示す起動トルク特性と略同等である。
図19において、前述の図9と同様に、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となっている。図9の特性図と比べても、更に大きな起動トルク特性を持つことがわかる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子スロット740d(スロット全体に銅バー730dが挿入される)を180度ずれた位置にも配置することで、更に起動トルク特性が良好となり、交流電源の電圧が低くなった状態でも起動が可能な、信頼性の高い単相誘導電動機1100を得ることができる。
次に、変形例11の単相誘導電動機1200について、図50乃至図52を参照しながら説明する。
図50乃至図52は実施の形態1を示す図で、図50は変形例11の単相誘導電動機1200の横断面図、図51は図50のI部拡大図、図52は図50のJ部拡大図である。
図50に示す変形例11の単相誘導電動機1200は、図44に示す単相誘導電動機1000と比べると、固定子12の中心軸に対して、回転子1011の中心軸(回転軸)が右下にずれた位置(偏心)に設けられている。回転子1011の形状は図44と同一であり、回転子スロット740d(スロット全体に銅バー730dが挿入される)及び回転子スロット740a(アルミバー730aが形成される)からなる非対称配置の回転子スロットを有しており、図44に示すように、角度αは45度である。
図50において、回転子1011が時計回りに回転する場合、図中下向きの補助巻線磁束に対して、回転子1011の偏心位置をβと設定すると、図50に示す単相誘導電動機900はβ=45度である。
固定子12に対して回転子1011を偏心させた位置に配置しているため、固定子12と回転子1011の間の空隙寸法が一定ではなく、図42、図43に示すように、空隙60a(図41のG部、図42に拡大図を示す)と空隙60b(図41のH部、図43に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定するが、この寸法は一例であり、この限りではない。
単相誘導電動機1200の起動トルク特性は、図23に示した起動トルク特性と略同等である。即ち、図23において、偏心位置βを変更することで、起動トルクが変化しており、偏心位置β=45度の位置、つまり回転子スロット740c(銅バー730c−1が挿入される)が配置された位置に回転子1011を偏心させることで起動トルクを更に大きくすることができる。
起動トルクが改善するということは、単相誘導電動機1200に印加される交流電源の電圧が低くなった場合でも起動することが可能な、信頼性の高い単相誘導電動機1200を得ることができる。
次に、変形例12の単相誘導電動機1300について、図53乃至図57を参照しながら説明する。
図53乃至図57は実施の形態1を示す図で、図53は変形例12の単相誘導電動機1300の横断面図、図54は図53のK部拡大図、図55は回転子1311の横断面図、図56は回転子鉄心1311aの横断面図、図57(a)は回転子大スロット40fの横断面図、図57(b)は回転子小スロット40eの横断面図である。
これまで説明してきた単相誘導電動機100〜1200は、回転子スロット(例えば、回転子スロット40a,40c)が同じ形状である。変形例12の単相誘導電動機1300の回転子スロットは、銅バーを挿入する回転子スロットを他の回転子スロットよりも面積を大きくする点に特徴がある。何らかな理由(例えば、銅とアルミの比重の違いによる回転子のアンバランス)で、銅バーの断面積(重量)を大きくできない場合に有効である。
変形例12の単相誘導電動機1300は、固定子12と、固定子12の内周側に空隙60(図54参照)を介して設けられる回転子1311とを備える。
固定子12は、単相誘導電動機100のものと同じ故、説明を省略する。
回転子1311は回転子鉄心1311aとかご形二次導体(バー(例えば、アルミバーもしくは銅バーが挿入されるアルミバー))と、エンドリング32(図8参照)とで構成される)を備える。固定子12と回転子1311との間の空隙60は、例えば、径方向寸法が0.2〜2.0mm程度である。
回転子鉄心1311aは、固定子鉄心12aと同様に板厚が0.1〜1.5mmの電磁鋼板(例えば、無方向性電磁鋼板(鋼板の特定方向に偏って磁気特性を示さないよう、各結晶の結晶軸方向をできる限りランダムに配置させたもの))を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層して製作される。通常、固定子鉄心12aの内側(内周側)の部分の電磁鋼板を利用する。
一般的に回転子鉄心1311aは固定子鉄心12aと同一の材料から打ち抜くことが多いが、回転子鉄心1311aは固定子鉄心12aと材料を変えても構わない。
回転子鉄心1311aには半径方向外周側に、回転子鉄心1311aの外周縁に沿って設けられる回転子小スロット40eと、回転子大スロット40fからなる回転子スロットを有する。
図53(図56)の例では、回転子スロットの数は、回転子小スロット40e(図57(b)参照)が26個、回転子大スロット40f(図57(a)参照)が4個であり、合わせて30個である。結局、図53の単相誘導電動機1300は、固定子鉄心12aのスロット数が24、回転子鉄心1311aの総スロット数が30の組合せである。但し、これは一例であり、固定子鉄心12aのスロット数と、回転子鉄心1311aのスロット数の組合せは、この限りではない。
回転子小スロット40eには、導電性材料であるアルミが鋳込まれており(アルミダイキャスティング)、アルミバー30e(図55参照)を形成する。
回転子大スロット40fには、先ず断面形状が略円形の銅バー30gが挿入される。その後、導電性材料であるアルミが鋳込まれており(アルミダイキャスティング)、アルミバー30fが形成されて銅バー30gが固定される(図55参照)。銅バー30gは、断面形状が略円形でなくてもよい。また、銅バー30gの回転子大スロット40f内での位置は、図55では回転子鉄心1311aの外周側にしているが、その位置は問わない。
アルミバー30e(26個)、銅バー30gが挿入されるアルミバー30f(4個)は、回転子1311の積層方向両端面に設けられたエンドリング32(図8参照)と共にかご形二次導体を形成する。
図53に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1311の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット40fの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。単相誘導電動機1300の停止時、もしくは始動時に上記位置関係になるようにしている。
単相誘導電動機1300の起動トルク特性は、図9に示す起動トルク特性と略同等になる。
図9において、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となり、またαが約135度及び約315度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最小となることがわかる。二極の単相誘導電動機1300であるため、180度毎に周期性を持つ。
単相誘導電動機の場合、起動時において、補助巻線20aに流れる補助巻線電流に対して、主巻線20bに流れる主巻電電流が非常に大きく、つまり、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束に対して、主巻線20bで生成された主巻線磁束が大きくなり、それぞれの合成磁界からなる二極の回転磁界は、交番磁界に近い楕円磁界となる傾向がある。
楕円磁界の影響により、回転子スロットを、回転子大スロット40fと回転子小スロット40eからなる非対称に配置するとともに、回転子小スロット40eにはアルミバー30e(図55参照)が形成され、且つ回転子大スロット40fには銅バー30gとともにアルミバー30fが形成されることにより、図9に示すように、角度αに対する起動トルク特性が変化することになる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子大スロット40fを配置することで、起動トルク特性が良好となり、信頼性の高い単相誘導電動機1300を得ることができる。
図9に示すように、角度αが約45度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となり、最も良好な起動特性を示しているが、角度αは、20〜70度の範囲であれば、良好な起動特性を得ることが可能である。
前述の通り、起動トルク特性は180度の周期性を持つため、角度αは、200〜250度の範囲に設定しても同様の特性を示す。
また、回転子スロットを非対称に配置することにより起動トルクが改善するが、回転子スロットが全て同じ形状であるものと同等の起動トルクで良い場合は、固定子鉄心12a及び回転子鉄心1311aの積層枚数(積層厚さ)を少なくすることが可能である。
固定子鉄心12a及び回転子鉄心1311aの積層枚数が少なくなると、電磁鋼板の使用量が減ると共に、主巻線20b及び補助巻線20aの周長が減ることに伴う、巻線の使用量も削減することができ、低コストな単相誘導電動機1300を得ることができる。更には、電磁鋼板及び巻線の使用量削減による、軽量な単相誘導電動機1300を得ることができる。
尚、図55に示す回転子鉄心1311aは、回転子小スロット40eに対して、回転子大スロット40fを周方向の幅を広げて面積を大きくしたが、径方向の長さを長くして面積を大きくしてもよい。
図58乃至図60は実施の形態1を示す図で、図58は径方向に長い回転子大スロット40hを設けた回転子1311の横断面図、図59は径方向に長い回転子大スロット40hを設けた回転子鉄心1311aの横断面図、図60(a)は回転子大スロット40hの横断面図、図60(b)は回転子小スロット40eの横断面図である。
図58に示す回転子1311は、回転子鉄心1311aの半径方向外周側に、回転子鉄心1311aの外周縁に沿って設けられる回転子小スロット40eと、回転子大スロット40hからなる回転子スロットを有する。
図58の例でも、回転子スロットの数は、回転子小スロット40e(図60(b)参照)が26個、回転子大スロット40h(図60(a)参照)が4個であり、合わせて30個である。
回転子大スロット40f(図57(a)参照)は回転子小スロット40eに対して周方向に面積を拡大しているが、回転子大スロット40h(図60(a)参照)は、回転子小スロット40eに対して径方向に面積を拡大している。
回転子小スロット40eには、導電性材料であるアルミが鋳込まれており(アルミダイキャスティング)、アルミバー30e(図58参照)を形成する。
回転子大スロット40hには、先ず断面形状が略円形の銅バー30gが挿入される。その後、導電性材料であるアルミが鋳込まれており(アルミダイキャスティング)、アルミバー30fが形成されて銅バー30gが固定される(図58参照)。銅バー30gは、断面形状が略円形でなくてもよい。また、銅バー30gの回転子大スロット40h内での位置は、図58では回転子鉄心1311aの外周側にしているが、その位置は問わない。
図58のような構成でも、図9に示す起動トルク特性と略同等の特性が得られる。
次に、変形例13の単相誘導電動機1400について、図61乃至図63を参照しながら説明する。
図61乃至図63は実施の形態1を示す図で、図61は変形例13の単相誘導電動機1400の横断面図、図62は回転子1411の横断面図、図63は回転子鉄心1411aの横断面図である。
図61乃至図63に示す変形例13の単相誘導電動機1400は、図53に示す単相誘導電動機1300と比べると、回転子1411の形状が異なる(図62参照)。
回転子1411は、角度α=45度(補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1411の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット40fの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している)に4個並べて配置された回転子大スロット40f(銅バー30gが挿入される回転子スロット)を、180度ずれた位置にも4個並べて配置させている。つまり、回転子大スロット40f(銅バー30gが挿入される回転子スロット)が合計8個、アルミバー30eが形成される回転子小スロット40eが合計22個で、合わせて30個の回転子スロットを有している。
変形例13の単相誘導電動機1400の起動トルク特性は、図19に示す起動トルク特性と略同等である。
図19において、前述の図9と同様に、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となっている。図9の特性図と比べても、更に大きな起動トルク特性を持つことがわかる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子大スロット40f(銅バー30gが挿入される回転子スロット)を180度ずれた位置にも配置することで、更に起動トルク特性が良好となり、交流電源の電圧が低くなった状態でも起動が可能な、信頼性の高い単相誘導電動機1400を得ることができる。
図64、図65は実施の形態1を示す図で、図64は径方向に長い回転子大スロット40hを設けた回転子1411の横断面図、図65は径方向に長い回転子大スロット40hを設けた回転子鉄心1411aの横断面図である。
変形例13の単相誘導電動機1400においても、回転子大スロットは、周方向だけではなく、回転子小スロット40eよりも径方向に長い形状にしてもよい。
図64に示す回転子1411は、回転子鉄心1411a(図65)の半径方向外周側に、回転子鉄心1411aの外周縁に沿って設けられる回転子小スロット40eと、径方向に長い回転子大スロット40hからなる回転子スロットを有する。
図64、図65の例でも、回転子スロットの数は、回転子小スロット40e(図60(b)参照)が22個、回転子大スロット40h(図60(a)参照)が8個であり、合わせて30個である。
図64のような構成でも、図23に示す起動トルク特性と略同等の特性が得られる。
次に、変形例14の単相誘導電動機1500について、図66乃至図68を参照しながら説明する。
図66乃至図68は実施の形態1を示す図で、図66は変形例14の単相誘導電動機1500の横断面図、図67は図66のL部拡大図、図68は図66のM部拡大図である。
図66に示す変形例14の単相誘導電動機1500は、図53に示す単相誘導電動機1300と比べると、固定子12の中心軸に対して、回転子1311の中心軸(回転軸)が右下にずれた位置(偏心)に設けられている。回転子1311の形状は図53と同一であり、回転子大スロット40f(銅バー30gが挿入される回転子スロット)及び回転子小スロット40e(アルミバー30eが形成される)からなる非対称配置の回転子スロットを有しており、図53に示すように、角度αは45度である。
図66において、回転子1311が時計回りに回転する場合、図中下向きの補助巻線磁束に対して、回転子1311の偏心位置をβと設定すると、図66に示す単相誘導電動機1500は、β=45度である。
固定子12に対して回転子1311を偏心させた位置に配置しているため、固定子12と回転子1311の間の空隙寸法が一定ではなく、図67、図68に示すように、空隙60a(図66のL部、図67に拡大図を示す)と空隙60b(図66のM部、図68に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定するが、この寸法は一例であり、この限りではない。
変形例14の単相誘導電動機1500の起動トルク特性は、図23に示す起動トルク特性と略同等である。
図23において、偏心位置βを変更することで、起動トルクが変化しており、偏心位置β=45度の位置、つまり回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)が配置された位置に回転子1311を偏心させることで起動トルクを更に大きくすることができる。
図66の例では、偏心位置β=45度の場合について説明したが、βは0〜60度程度の範囲であれば、起動特性が良好な単相誘導電動機300を得ることができる。
起動トルクが改善するということは、単相誘導電動機1500に印加される交流電源の電圧が低くなった場合でも起動することが可能な、信頼性の高い単相誘導電動機1500を得ることができる。
次に、変形例15の単相誘導電動機1600について、図図69乃至図71を参照しながら説明する。
図69乃至図71は実施の形態1を示す図で、図69は変形例15の単相誘導電動機1600の横断面図、図70は図69のN部拡大図、図71は図69のP部拡大図である。
図69に示す径方向に長い回転子大スロット40hを設けた変形例15の単相誘導電動機1600は、図66に示す単相誘導電動機1500と比べると、回転子大スロットの形状が異なる。図66に示す単相誘導電動機1500では、回転子大スロット40hが回転子小スロット40eよりも周方向の幅が大きい構成であるが、図69に示す径方向に長い回転子大スロット40hを設けた変形例15の単相誘導電動機1600では、回転子大スロット40hが回転子小スロット40eよりも径方向の長さが長い構成である。
このように、回転子小スロット40eよりも径方向の長さが長い回転子大スロット40hを用い、固定子12に対して回転子1311を偏心させた位置に配置し、固定子12と回転子1311の間の空隙寸法が一定ではなく、図70、図71に示すように、空隙60a(図69のN部、図70に拡大図を示す)と空隙60b(図69のP部、図71に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定する。このような構成においても、図29に示す起動トルク特性と略同等の起動トルク特性が得られる。
次に、変形例16の単相誘導電動機1700について、図図72乃至図77を参照しながら説明する。
図72乃至図77は実施の形態1を示す図で、図72は変形例16の単相誘導電動機1700の横断面図、図73は回転子1711の横断面図、図74は図73のQ部拡大図(銅バー入りアルミバー730fの横断面図)、図75はアルミバー730aの横断面図、図76は回転子鉄心1711aの横断面図、図77(a)は回転子大スロット740fの横断面図、図77(b)は回転子小スロット740a−0の横断面図である。
図72に示す変形例16の単相誘導電動機1700は、図33に示す変形例6の単相誘導電動機700と同様、回転子1711が、二重かご形である。
変形例16の単相誘導電動機1700は、固定子12と、回転子1711とを備える。固定子12は、単相誘導電動機100(図1)のものと同じである。回転子1711は、回転子鉄心1711aと、二重かご形導体とを備える。
回転子鉄心1711aには半径方向外周側に、回転子鉄心1711aの外周縁に沿って設けられる回転子小スロット740a−0(アルミバーが形成されるスロット)と、回転子大スロット740f(銅バーが挿入されるスロット)とが形成されている。
回転子大スロット740f(銅バーが挿入されるスロット)は、回転子小スロット740a−0(アルミバーが形成されるスロット)よりも面積が大きい。回転子大スロット740fは、回転子小スロット740a−0よりも周方向に長い形状である。
図77(a)に示すように、回転子大スロット740fは、回転子鉄心1711aの外周縁に沿って設けられる外層スロット740f−1と、外層スロット740f−1の内周側に設けられる内層スロット740f−2と、外層スロット740f−1と内層スロット740f−2を連結する連結スロット740f−3とからなる。
図74に示すように、回転子大スロット740fには、銅バー入りアルミバー730fが形成される。即ち、外層スロット740f−1に、外層アルミバー730f−1が形成されるとともに、内層スロット740f−2に、銅バー730g−1が挿入されるとともに内層アルミバー730f−2が形成される。連結スロット740f−3にも、アルミが鋳込まれ、連結アルミバー730f−3が形成される。
また、図77(b)に示すように、回転子小スロット740a−0は、回転子鉄心1711aの外周縁に沿って設けられる外層スロット740a−1と、外層スロット740a−1の内周側に設けられた内層スロット740a−2と、外層スロット740a−1と内層スロット740a−2を連結する連結スロット740a−3とからなる。
回転子小スロット740a−0には、アルミのみが鋳込まれる。外層スロット740a−1に、外層アルミバー730a−1が形成されるとともに、内層スロット740a−2に、内層アルミバー730a−2が形成される。連結スロット740a−3にも、アルミが鋳込まれて、連結アルミバー730a−3が形成される(図75参照)。
図72(図76)の例では、回転子スロットの数は、回転子小スロット740a−0(アルミバーが形成されるスロット)が26個、回転子大スロット740f(銅バーが挿入されるスロット)が4個であり、合わせて30個である。結局、図72の単相誘導電動機1700は、固定子鉄心12aのスロット数が24、回転子鉄心1711aの総スロット数が30の組合せである。
アルミバー730a(26個)、銅バー入りアルミバー730f(4個)は、回転子1711の積層方向両端面に設けられたエンドリング32(図9参照)と共に二重かご形二次導体を形成する。
図72、図73に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1711の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット740fの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。
二重かご形状の回転子1711を有する単相誘導電動機1700は、以下に示すような一般的な特徴を有する。即ち、起動時はすべり周波数(回転磁界の周波数と回転子1711の回転数との差)が高くなる。内層アルミバー(例えば、内層アルミバー730a−2)の漏れ磁束は、外層アルミバー(例えば、外層アルミバー730a−1)の漏れ磁束より多くなる。すべり周波数が大きい起動時には、リアクタンス分により電流分布が決まり、二次電流は外層アルミバー(例えば、外層アルミバー730a−1)に主に流れる。そのため、二次抵抗が大きくなることにより起動トルクが増大して起動特性が改善される。
また通常運転時は、すべり周波数が低いので、二次電流はアルミバー全体に流れるため、アルミ断面積が大きくなり、二次抵抗が小さくなる。従って、二次銅損が低くなることで、高効率化が実現できるという特性を有している。
それに加えて、変形例16の単相誘導電動機1700は、図72、図73に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1711の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット740fの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)ので、図9に示した起動トルク特性を有し、さらに起動トルク特性が改善される。
次に、変形例17の単相誘導電動機1800について、図78乃至図82を参照しながら説明する。
図78乃至図82は実施の形態1を示す図で、図78は変形例17の単相誘導電動機1800の横断面図、図79は回転子1811の横断面図、図80は図79のR部拡大図(銅バー入りアルミバー730hの横断面図)、図81は回転子鉄心1811aの横断面図、図82(a)は回転子大スロット740hの横断面図、図82(b)は回転子小スロット740a−0の横断面図である。
図78に示す変形例17の単相誘導電動機1800は、図72に示す変形例16の単相誘導電動機1700と同様、回転子1711が、二重かご形であるが、銅バー入りアルミバー730hが形成される回転子大スロット740hが、径方向に長く形成されている。
変形例17の単相誘導電動機1800は、固定子12と、回転子1811とを備える。固定子12は、単相誘導電動機100(図1)のものと同じである。回転子1811は、回転子鉄心1811aと、二重かご形導体とを備える。
回転子鉄心1811aには半径方向外周側に、回転子鉄心1811aの外周縁に沿って設けられる回転子小スロット740a−0(アルミバーが形成されるスロット)と、回転子大スロット740h(銅バーが挿入されるスロット)とが形成されている。
回転子大スロット740h(銅バーが挿入されるスロット)は、回転子小スロット740a−0(アルミバーが形成されるスロット)よりも面積が大きい。回転子大スロット740hは、回転子小スロット740a−0よりも径方向に長い形状である。
図82(a)に示すように、回転子大スロット740hは、回転子鉄心1811aの外周縁に沿って設けられる外層スロット740h−1と、外層スロット740h−1の内周側に設けられる内層スロット740h−2と、外層スロット740h−1と内層スロット740h−2を連結する連結スロット740h−3とからなる。
図79、図80に示すように、回転子大スロット740hには、銅バー入りアルミバー730hが形成される。即ち、外層スロット740h−1に、外層アルミバー730h−1が形成されるとともに、内層スロット740h−2に、銅バー730j−1が挿入されるとともに内層アルミバー730h−2が形成される。連結スロット740h−3にも、アルミが鋳込まれ、連結アルミバー730h−3が形成される。
また、図82(b)に示すように、回転子小スロット740a−0は、回転子鉄心1711aの外周縁に沿って設けられる外層スロット740a−1と、外層スロット740a−1の内周側に設けられた内層スロット740a−2と、外層スロット740a−1と内層スロット740a−2を連結する連結スロット740a−3とからなる。
回転子小スロット740a−0には、アルミのみが鋳込まれる。外層スロット740a−1に、外層アルミバー730a−1が形成されるとともに、内層スロット740a−2に、内層アルミバー730a−2が形成される。連結スロット740a−3にも、アルミが鋳込まれて、連結アルミバー730a−3が形成される(図75参照)。
図78(図81)の例では、回転子スロットの数は、回転子小スロット740a−0(アルミバーが形成されるスロット)が26個、回転子大スロット740h(銅バーが挿入されるスロット)が4個であり、合わせて30個である。結局、図78の単相誘導電動機1800は、固定子鉄心12aのスロット数が24、回転子鉄心1811aの総スロット数が30の組合せである。
アルミバー730a(26個)、銅バー入りアルミバー730h(4個)は、回転子1811の積層方向両端面に設けられたエンドリング32(図9参照)と共に二重かご形二次導体を形成する。
図78、図79に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1811の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット740hの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)。
二重かご形状の回転子1811を有する単相誘導電動機1800は、既に述べたように、起動時はすべり周波数(回転磁界の周波数と回転子1811の回転数との差)が高くなる。内層アルミバー(例えば、内層アルミバー730a−2)の漏れ磁束は、外層アルミバー(例えば、外層アルミバー730a−1)の漏れ磁束より多くなる。すべり周波数が大きい起動時には、リアクタンス分により電流分布が決まり、二次電流は外層アルミバー(例えば、外層アルミバー730a−1)に主に流れる。そのため、二次抵抗が大きくなることにより起動トルクが増大して起動特性が改善される。
また通常運転時は、すべり周波数が低いので、二次電流はアルミバー全体に流れるため、アルミ断面積が大きくなり、二次抵抗が小さくなる。従って、二次銅損が低くなることで、高効率化が実現できるという特性を有している。
それに加えて、変形例17の単相誘導電動機1800は、図78、図79に示すように、補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1811の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット740hの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している(角度α=45度)ので、図9に示した起動トルク特性を有し、さらに起動トルク特性が改善される。
次に、変形例18の単相誘導電動機1900について、図83乃至図85を参照しながら説明する。
図83乃至図85は実施の形態1を示す図で、図83は変形例18の単相誘導電動機1900の横断面図、図84は回転子1911の横断面図、図85は回転子鉄心1911aの横断面図である。
図83乃至図85に示す変形例18の単相誘導電動機1900は、図72に示す単相誘導電動機1700と比べると、回転子1911の形状が異なる(図84参照)。
回転子1911は、角度α=45度(補助巻線20aで生成された補助巻線磁束の向きを下向き、主巻線20bで生成された主巻線磁束の向きを右向き、回転子1911の回転方向を時計回りとした場合、連続して配置される4個の回転子大スロット40fの中央部を、補助巻線磁束の向きに対して、45度遅れた位置に並べて配置している)に4個並べて配置された回転子大スロット740f(銅バー730g−1が挿入される回転子スロット)を、180度ずれた位置にも4個並べて配置させている。つまり、回転子大スロット740f(銅バー730g−1が挿入される回転子スロット)が合計8個、アルミバー730aが形成される回転子小スロット740a−0が合計22個で、合わせて30個の回転子スロットを有している。
変形例18の単相誘導電動機1900の起動トルク特性は、図19に示す起動トルク特性と略同等である。
図19において、前述の図9と同様に、角度αを変更すると起動トルク特性が変化しており、αが約45度及び約225度の位置で起動トルク(起動トルク比)が最大となっている。図9の特性図と比べても、更に大きな起動トルク特性を持つことがわかる。
本実施の形態では、角度αが約45度の位置になるように、回転子大スロット740f(銅バー730g−1が挿入される回転子スロット)を180度ずれた位置にも配置することで、更に起動トルク特性が良好となり、交流電源の電圧が低くなった状態でも起動が可能な、信頼性の高い単相誘導電動機1900を得ることができる。
次に、変形例19の単相誘導電動機2000について、図86乃至図88を参照しながら説明する。
図86乃至図88は実施の形態1を示す図で、図86は変形例19の単相誘導電動機2000の横断面図、図87は回転子2011の横断面図、図88は回転子鉄心2011aの横断面図である。
変形例18の単相誘導電動機1900においても、回転子大スロットは、周方向だけではなく、回転子小スロット740a−0よりも径方向に長い形状にしてもよい。
図86、図87に示す回転子2011は、回転子鉄心2011a(図88)の半径方向外周側に、回転子鉄心2011aの外周縁に沿って設けられる回転子小スロット740a−0と、径方向に長い回転子大スロット740hからなる回転子スロットを有する。
図86乃至図88の例でも、回転子スロットの数は、回転子小スロット740a−0が22個、回転子大スロット740hが8個であり、合わせて30個である。
図86のような構成でも、図23に示す起動トルク特性と略同等の特性が得られる。
次に、変形例20の単相誘導電動機2100について、図89乃至図91を参照しながら説明する。
図89乃至図91は実施の形態1を示す図で、図89は変形例20の単相誘導電動機2100の横断面図、図90は図89のS部拡大図、図91は図89のT部拡大図である。
図89に示す変形例20の単相誘導電動機2100は、図72に示す単相誘導電動機1700と比べると、固定子12の中心軸に対して、回転子1711の中心軸(回転軸)が右下にずれた位置(偏心)に設けられている。回転子1711の形状は図89と同一であり、回転子大スロット740f(銅バー730g−1が挿入される回転子スロット)及び回転子小スロット740a−0(アルミバー730aが形成される)からなる非対称配置の回転子スロットを有しており、図72に示すように、角度αは45度である。
図89において、回転子1711が時計回りに回転する場合、図中下向きの補助巻線磁束に対して、回転子1711の偏心位置をβと設定すると、図89に示す単相誘導電動機2100は、β=45度である。
固定子12に対して回転子1711を偏心させた位置に配置しているため、固定子12と回転子1711の間の空隙寸法が一定ではなく、図90、図91に示すように、空隙60a(図89のS部、図90に拡大図を示す)と空隙60b(図89のT部、図91に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定するが、この寸法は一例であり、この限りではない。
変形例14の単相誘導電動機2100の起動トルク特性は、図23に示す起動トルク特性と略同等である。
図23において、偏心位置βを変更することで、起動トルクが変化しており、偏心位置β=45度の位置、つまり回転子スロット40c(銅バー30cが挿入される回転子スロット)が配置された位置に回転子1711を偏心させることで起動トルクを更に大きくすることができる。
図89の例では、偏心位置β=45度の場合について説明したが、βは0〜60度程度の範囲であれば、起動特性が良好な単相誘導電動機2100を得ることができる。
起動トルクが改善するということは、単相誘導電動機2100に印加される交流電源の電圧が低くなった場合でも起動することが可能な、信頼性の高い単相誘導電動機2100を得ることができる。
次に、変形例21の単相誘導電動機2200について、図92乃至図94を参照しながら説明する。
図92乃至図94は実施の形態1を示す図で、図92は変形例21の単相誘導電動機2200の横断面図、図93は図92のU部拡大図、図94は図93のV部拡大図である。
図92に示す径方向に長い回転子大スロット40hを設けた変形例21の単相誘導電動機2200は、図89に示す単相誘導電動機2100と比べると、回転子大スロットの形状が異なる。図89に示す単相誘導電動機2100では、回転子大スロット740fが回転子小スロット740a−0よりも周方向の幅が大きい構成であるが、図92に示す変形例21の単相誘導電動機2200では、回転子大スロット740hが回転子小スロット740a−0よりも径方向の長さが長い構成である。
このように、回転子小スロット740a−0よりも径方向の長さが長い回転子大スロット740hを用い、固定子12に対して回転子1811を偏心させた位置に配置し、固定子12と回転子1811の間の空隙寸法が一定ではなく、図93、図94に示すように、空隙60a(図92のU部、図93に拡大図を示す)と空隙60b(図92のV部、図94に拡大図を示す)の径方向寸法が異なる。例えば、空隙60aの径方向寸法Gaを0.7mm、空隙60bの径方向寸法Gbを0.3mmに設定する。このような構成においても、図29に示す起動トルク特性と略同等の起動トルク特性が得られる。