以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従うフィルムコンデンサを構成するコンデンサ素子を与える積層フィルムの一例が、その縦断面形態において示されている。かかる図1において、10は、シート状の積層フィルム(第一の基本素子)であって、誘電体としての樹脂フィルム12を有し、それによって積層構造における一つの誘電体層を構成している。この樹脂フィルム12は、ここでは、ポリプロピレン製の延伸フィルムからなり、1〜10μm程度の適度に薄い厚さを有している。なお、この樹脂フィルム12の形成材料は、ポリプロピレンに何等限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等、従来のフィルムコンデンサの樹脂フィルムの形成材料として使用される絶縁性の樹脂材料が、ポリプロピレンに代えて、適宜に用いられ得る。
そして、そのような樹脂フィルム12の一方の面(図1における樹脂フィルム12の上面)には、第一蒸着重合膜14aが、また、他方の面(図1における樹脂フィルム12の下面)にも、第二蒸着重合膜14bが、樹脂フィルム12とは別の誘電体層として、それぞれ積層形成されている。これによって、複合誘電体16が、樹脂フィルム12と第一及び第二蒸着重合膜14a,14bとの積層構造体として、構成されている。
ここで、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bは、何れも、従来より公知の真空蒸着重合法を実施することによって、樹脂フィルム12の両側の面に形成される。即ち、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの形成に際しては、先ず、樹脂フィルム12が、10-5〜100Pa程度の圧力にコントロールされた真空槽内に配置される。その後、かかる真空槽内で、複数種類の原料モノマーが蒸発させられて、樹脂フィルム12の両面上で重合反応が惹起される。これにより、樹脂フィルム12の一方に、第一蒸着重合膜14aが、また、他方の面に、第二蒸着重合膜14bが、それぞれ成膜されるのである。
このように、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bは、何れも、誘電体となる重合体を与える原料(モノマー)を気体で供給し、重合させて、生成した重合体による成膜を行なう蒸着重合方式により、真空中で生成した重合体にて構成されている。そのため、ナノオーダーでの膜厚制御が可能となっており、膜厚が、極めて薄く且つ均一にコントロールされている。しかも、膜中の不純物量が十分に少なくされている。そうして、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bのそれぞれにおいて、高い誘電率と高い耐電圧の実現が図られている。
また、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの膜厚が均一にコントロールされていることによって、それら各蒸着重合膜14a,14bの表面平滑性が効果的に高められている。そして、そのような第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bとによって、樹脂フィルム12の表面が構成されているところから、樹脂フィルム12の表面平滑性も、有利に高くされている。それ故、樹脂フィルム12の膜厚が1〜10μm程度の比較的に薄い厚さとされているにも拘わらず、樹脂フィルム12において、高い耐電圧が効果的に確保されている。
かくして、薄肉の樹脂フィルム12と第一及び第二蒸着重合膜14a,14bとの積層体からなる複合誘電体16において、高い誘電率と高い耐電圧との両立が、極めて有利に実現されているのである。
なお、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bのそれぞれの膜厚は、0.001〜10μm程度とされていることが望ましい。何故なら、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bを0.001μm未満の膜厚で形成することは容易ではない。そのため、各蒸着重合膜14a,14bの膜厚が、現実的には、0.001μm以上とされるからである。また、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bを10μmを超える厚さ、即ち、樹脂フィルム22の厚さの好適な範囲の上限値を超える厚さとしても、第一及び第二蒸着重合膜24a,24bの積層形成による樹脂フィルム12の表面平滑性の向上効果を更に高めることが出来ず、却って、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの形成作業における作業性の低下や高コスト化を招く結果となる可能性があるからである。
第一及び第二蒸着重合膜14a,14bは、蒸着重合方式によって成膜可能な樹脂膜であれば、その種類が特に限定されるものではない。それら第一及び第二蒸着重合膜14a,14bをそれぞれ構成する樹脂膜としては、例えば、ポリユリア樹脂膜や、ポリアミド樹脂膜、ポリイミド樹脂膜、ポリアミドイミド樹脂膜、ポリエステル樹脂膜、ポリアゾメチン樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜、アクリル樹脂膜等が挙げられ、その中でも、樹脂フィルム12よりも高い誘電率を有する樹脂膜が、好適に採用される。そのような樹脂膜にて第一及び第二蒸着重合膜14a,14bを形成することによって、フィルムコンデンサの静電容量を効果的に増大させることが可能となる。なお、そのような誘電率の差異を有する樹脂フィルム12や第一及び第二蒸着重合膜14a,14bを形成する樹脂材料の組合せも、何等限定されるものではない。
そして、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bは、上記に例示した樹脂膜のうちで、樹脂フィルム12よりも高い誘電率を有する樹脂膜の中でも、特に、ポリユリア樹脂膜にて構成されていることが、より望ましい。何故なら、ポリユリア樹脂は、原料モノマー(ジイソシアネートとジアミン)の重合に際して、加熱処理が不要であり、しかも、水やアルコール等の脱離が全くない重付加重合反応において、形成されるものであるからである。このため、原料モノマーの重合時に加熱処理を実施するための設備が不要となって、低コスト化が実現され得る。また、加熱処理時の熱によって、樹脂フィルム12が変形する、所謂熱負けが惹起されることが有利に回避され得るのである。更に、重合反応によって脱離した水やアルコール等を、重合反応が進行する真空槽中から除去する必要がない。そのため、脱離された水やアルコール等を除去するための設備も不要となる。これによっても、低コスト化が、有利に実現可能となる。加えて、ポリユリア樹脂膜は、優れた耐湿性を有している。かくして、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの高い耐電圧が、より安定的に確保され得ることとなる。
ところで、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bのそれぞれの表面に対しては、プラズマ処理が施されている。これによって、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bに三次元架橋構造が導入されているのである。そうして、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの耐電圧や耐熱性が、より効果的に高められている。この第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの表面に対するプラズマ処理の具体的手法としては、公知の手法が何れも採用され得る。また、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bへの三次元架橋構造の導入方法としては、プラズマ処理以外に、例えば、各蒸着重合膜14a,14bに対するUV処理や熱処理等による方法も、適宜に採用可能である。
そして、そのような第一蒸着重合膜14aの樹脂フィルム12側とは反対側の面には、第一金属蒸着膜18aが、内部電極膜として積層形成されて、一つの層を構成している。この第一金属蒸着膜18aは、従来品と同様に、フィルムコンデンサの内部電極膜を形成する公知の金属材料(例えば、アルミニウムや亜鉛等)を蒸着材として用いて、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法を実施することにより、第一蒸着重合膜14a上に成膜される。この第一金属蒸着膜18aの膜厚抵抗値は1〜50Ω/cm2 程度とされ、また、その膜厚は、膜厚抵抗値等によって適宜に決定される。
かくして、樹脂フィルム12の両面に第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層されてなる複合誘電体16に対して、第一金属蒸着膜18aが、第一蒸着重合膜14a上に更に積層形成されることにより、図1に示される如き構造を有する積層フィルム10が形成されているのである。
そして、このような積層フィルム10からなる基本素子を用いて、フィルムコンデンサを作製する際には、先ず、複数の積層フィルム10を互いに積層して、平板状乃至はシート状の積層構造体が形成される。このとき、互いに積層される積層フィルム10のうちの一方における第一金属蒸着膜18aと、それらのうちの他方における第二蒸着重合膜14bとが互いに重ね合わされる。なお、この互いに積層される積層フィルム10の個数は、特に限定されるものではない。
次いで、図2に示されるように、複数の積層フィルム10の積層構造体が、例えば、第二蒸着重合膜14bを内側にして複数回巻き付けられる。或いは、第二蒸着重合膜14bを内側にして、所定の巻芯(図示せず)に、1回又は複数回巻き付けられる。これにより、巻回型素子20が形成されるのである。このような巻回型素子20では、複合誘電体16と第一金属蒸着膜18aとが交互に位置するように互いに重ね合わされている。なお、図示されてはいないものの、樹脂フィルム12の一方の面に第一金属蒸着膜18aのみが積層されてなる積層フィルムと、図1に示される積層フィルム10とを、前者の第一金属蒸着膜18aが後者の第二蒸着重合膜14bと重なり合うように積層してなる積層構造体を用い、これを巻回して、巻回型素子20を形成することも出来る。
その後、図示されてはいないものの、かかる巻回型素子20の外周面に対して、従来と同様な保護フィルム等が巻き付けられると共に、一対のメタリコン電極等の外部電極や所定の端子等が取り付けられる。これによって、巻回タイプのフィルムコンデンサが、作製されるのである。
このように、本実施形態のフィルムコンデンサにあっては、樹脂フィルム12が薄肉化されていることによって、フィルムコンデンサ全体の小型化が有利に図られ得ているのである。また、樹脂フィルム12の両面に、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層形成されていることにより、複合誘電体16において、高い誘電率と高い耐電圧の両立が、有利に実現されている。そして、それらの結果として、本実施形態のフィルムコンデンサでは、十分な耐電圧を確保しつつ、小型化・大容量化(高性能化)が、極めて効果的に実現され得ているのである。
また、本実施形態のフィルムコンデンサにおいては、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bがポリユリア樹脂膜にて構成されている。そのため、それら第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの蒸着重合による形成に際して余分な設備が可及的に省略され得る。それによって、製造コストの低減が、有利に達成され得る。また、樹脂フィルム12の加熱による弊害が効果的に排除されて、安定した品質が有効に確保され得る。更に、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bにおいて、優れた耐湿性が発揮されて、高い耐電圧が、より安定的に確保され得る。これによって、フィルムコンデンサの高性能化が、更に効果的に実現され得る。
さらに、本実施形態では、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bに三次元架橋構造が導入されて、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの耐電圧性が更に高められている。これによっても、品質の向上と安定化とが、効果的に達成され得る。
更にまた、本実施形態のフィルムコンデンサにおいては、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが、極めて薄い膜厚とされている上に、樹脂フィルム12よりも高い誘電率を有している。これによっても、フィルムコンデンサ全体の静電容量が有効に増大されて、高品質化が図られ得る。
ところで、図1に示されるような構造を有する積層フィルム10を用いる場合には、例えば、図3に示されるように、かかる積層フィルム10の複数(ここでは四つ)を、複合誘電体16と第一金属蒸着膜18aとが交互に一つずつ位置するように積層することにより、積層タイプの複合素子22を得ることが出来る。この積層タイプの複合素子22においても、適度に薄肉の樹脂フィルム12の両面に第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層形成された複合誘電体16を有している。それ故、そのような複合素子22に対して、保護フィルムや一対のメタリコン電極等の外部電極、所定の端子等が取り付けられて形成された積層タイプのフィルムコンデンサにあっても、上記の実施形態に係る巻回タイプのフィルムコンデンサにおいて奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得ることとなる。なお、図3及び後述する図4乃至図10、図12、図13に示される幾つかの実施形態に関しては、上記の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1及び図2と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
なお、上記に例示された巻回タイプと積層タイプのフィルムコンデンサでは、何れも、樹脂フィルム12の両面に、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bとが積層形成されて、複合誘電体16が構成されていた。しかしながら、樹脂フィルム12の何れか一方の面だけに、蒸着重合膜(第一蒸着重合膜14a又は第二蒸着重合膜14b)を形成して、複合誘電体16を構成することも可能である。そして、そのような樹脂フィルム12の片面のみに蒸着重合膜が形成された複合誘電体16を用いて、基本素子としての積層フィルム10を構成する場合には、樹脂フィルム12における蒸着重合膜の非形成面上と蒸着重合膜上との両方に、或いはそれらのうちの何れか一方(望ましくは、蒸着重合膜上)に対して、金属蒸着膜(第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bの両方、若しくはそれらのうちの何れか一方)が形成されることとなる。なお、金属蒸着膜は、蒸着重合膜上に形成されていることが望ましい。それによって、複合誘電体に対する金属蒸着膜の接合性の向上等が有利に図られ得るからである。
次に、図4には、本発明に従うフィルムコンデンサを構成する基本素子を与える積層フィルムの別の例が、その縦断面形態において示されている。かかる図4から明らかなように、積層フィルム24(第二の基本素子)は、樹脂フィルム12の両面に、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層形成されてなる複合誘電体16を有している。また、この複合誘電体16における第一蒸着重合膜14aの樹脂フィルム12側とは反対側には、第一金属蒸着膜18aが積層形成されている。第二蒸着重合膜14bの樹脂フィルム12側とは反対側には、第二金属蒸着膜18bが積層形成されている。それら樹脂フィルム12と第一及び第二蒸着重合膜14a,14bと第一及び第二金属蒸着膜18a,18bは、何れも、前記第一及び第二の実施形態の巻回タイプや積層タイプのフィルムコンデンサが有するものと、同一の材料を用いた同一の構造を有し、それぞれの厚さも同一とされている。
そして、本実施形態では、第一金属蒸着膜18aの第一蒸着重合膜14a側とは反対側の面上に、第三蒸着重合膜14cが、積層形成されている。かくして、積層フィルム24が、図4に示される如き積層構造を有して、構成されている。
第一金属蒸着膜18a上に形成される第三蒸着重合膜14cは、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bと同様な構造を有している。即ち、第三蒸着重合膜14cは、真空中において、蒸着重合を、公知の手法に従って実施することにより形成されたポリユリア樹脂膜から、構成されている。そして、かかる第三蒸着重合膜14cの表面に対して、プラズマ処理が施されている。これによって、第三蒸着重合膜14cに三次元架橋構造が導入されて、その耐電圧や耐熱性が、より効果的に高められている。
なお、第三蒸着重合膜14cは、ポリユリア樹脂膜からなるものに、特に限定されるものではなく、ポリアミド樹脂膜や、ポリイミド樹脂膜、ポリアミドイミド樹脂膜、ポリエステル樹脂膜、ポリアゾメチン樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜、アクリル樹脂膜等、公知の蒸着重合法によって成膜可能な樹脂膜にて構成しても、何等差し支えない。その中でも、上記した理由から、ポリユリア樹脂膜が好適に採用される。耐電圧及び耐熱性を高めるために実施される第三蒸着重合膜14cの表面処理は、プラズマ処理以外に、UV処理や熱処理等による方法も、適宜に採用可能である。
そして、このような積層フィルム24が、図5に示されるように、例えば、第三蒸着重合膜14cを内側にして複数回巻き付けられることにより、或いは積層フィルム24が、第三蒸着重合膜14cを内側にして、所定の巻芯(図示せず)に、1回又は複数回巻き付けられることによって、巻回型素子26が形成される。
このような巻回型素子26では、複合誘電体16と第三蒸着重合膜14cのうちの何れか一方が第一及び第二金属蒸着膜18a,18bの間に必ず挟まれた状態で、それらが互いに重ね合わされている。そして、図示されてはいないものの、かかる巻回型素子26に対して、その外周面に、従来と同様な保護フィルム等が巻き付けられると共に、一対のメタリコン電極等の外部電極や所定の端子等が取り付けられることによって、巻回タイプのフィルムコンデンサとして形成されるのである。
なお、本実施形態の巻回タイプのフィルムコンデンサの作製に際しては、上記のように、一つの積層フィルム24を巻回する場合と、2個以上の複数の積層フィルム24を、第三蒸着重合膜14cと第二金属蒸着膜18bとが互いに重ね合わされるように積層した状態で巻き付ける場合とがある。後者の場合にあっても、複合誘電体16と第三蒸着重合膜14cのうちの何れか一方が金属蒸着膜18a,18bの間に必ず挟まれた状態で、それらが互いに重ね合わされることとなる。
かくして形成される本実施形態のフィルムコンデンサにあっては、図2に示されるフィルムコンデンサと同様に、適度に薄肉化された樹脂フィルム12の両面に、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層形成されてなる複合誘電体16を有している。それ故、図2に示されるフィルムコンデンサにおいて奏される、前記した如き作用・効果と同様な作用・効果が、極めて有効に享受され得る。
そして、本実施形態のフィルムコンデンサでは、図5から明らかなように、樹脂フィルム12に第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層された複合誘電体16を間に挟んで、その内側に第一金属蒸着膜18aが、その外側に第二金属蒸着膜18bが、それぞれ配置されてなる構造(A)と、第三蒸着重合膜14cのみを間に挟んで、その内側に第二金属蒸着膜18bが、その外側に第一金属蒸着膜18aが、それぞれ配置されてなる構造(B)が、積層フィルム24の巻回物からなる巻回型素子26において実現されている。
このように、本実施形態のフィルムコンデンサにおいては、樹脂フィルム12と第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの積層体からなる複合誘電体16を第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが間に挟んでなるA構造だけでなく、極めて薄く且つ均一な膜厚を有すると共に、膜中の不純物量が極めて少ない第三蒸着重合膜14cを、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが間に挟んでなるB構造をも有している。
それ故、本実施形態のフィルムコンデンサにあっては、複合誘電体16を第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが間に挟んでなるA構造のみを有する巻回タイプのフィルムコンデンサとは異なって、B構造の存在によって、樹脂フィルム12を極端に薄肉化したり、樹脂フィルム12の材料中の不純物を低減させたりすることなく、コンデンサ全体の小型化と静電容量の増大とが、効果的に達成され得るのである。
そして、かかるフィルムコンデンサでは、樹脂フィルム12が極端に薄肉化されていない。そのため、樹脂フィルム12中に不可避的に存在する不純物の影響で、樹脂フィルム12、ひいてはコンデンサ全体としての耐電圧が低下することが回避される。また、それに加えて、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bにより、樹脂フィルム12の表面の平滑性が高められていることによって、十分な耐電圧が更に有効に確保され得る。更に、複合誘電体16の両面に第一及び第二金属蒸着膜18a,18bを連続的に形成する際に、樹脂フィルム12が薄過ぎることが原因で、高速巻取りによって樹脂フィルム12に皺が寄ったり、或いは樹脂フィルム12が、高温の金属原子との接触によって変形する等して、品質低下が惹起されることが有利に防止され得る。
従って、本実施形態のフィルムコンデンサにあっては、必ずしも、薄肉化や不純物の残存量の低減等による樹脂フィルム12の高機能化を図らなくとも、また、樹脂フィルム12の薄肉化による問題を発生させることもなしに、十分な耐電圧を確保しつつ、小型・大容量化による高性能化が、極めて有利に実現され得るのである。
上記から明らかなように、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bは、樹脂フィルム12の表面平滑性を向上させて、耐電圧を高めること等を目的として、樹脂フィルム12上に積層形成されるものである。一方、第三蒸着重合膜14cは、第一及び第二金属蒸着膜18a,18bの間に挟まれた前記B構造を実現して、フィルムコンデンサ全体の小型化を図るものである。それ故、そのような第三蒸着重合膜14cの膜厚の好適範囲は、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bと多少異なっている。具体的には、第三蒸着重合膜14cは、0.01〜30μm程度の厚さとされていることが望ましいのである。何故なら、第三蒸着重合膜14cが0.01μm未満の余りに薄い膜厚であると、耐電圧特性を十分に確保出来なくなる恐れがあるからである。また、第三蒸着重合膜16cの厚さが30μmを超える余りに大きな厚さとされていると、フィルムコンデンサの小型化を図ることが困難となってしまうからである。なお、第三蒸着重合膜16cの厚さは、0.01〜10μm程度とされていることが、より望ましい。
ところで、図4に示される如き構造を有する積層フィルム24を用いる場合には、例えば、図6に示されるように、かかる積層フィルム24の複数(ここでは四つ)を積層することにより、積層タイプの複合素子28を得ることが出来る。この積層タイプの複合素子28では、互いに積層される二つの積層フィルム24,24のうちの一方のものにおける第三蒸着重合膜14cに対して、それらのうちの他方のものにおける第二金属蒸着膜18bが重ね合わされる。それにより、複合誘電体16と第三蒸着重合膜14cのうちの何れか一方が金属蒸着膜18a,18bの間に必ず挟まれた状態で、それらが互いに積層される。
このような積層タイプの複合素子28においても、適度に薄肉化された樹脂フィルム12の両面に、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bが積層形成された複合誘電体16を有している。それ故、そのような複合素子28に保護フィルムや端子又は外部電極が取り付けられて形成された積層タイプのフィルムコンデンサにあっても、前記幾つかの実施形態に係るフィルムコンデンサにおいて奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得ることとなる。
また、かかる積層タイプの複合素子28にあっても、複合誘電体16を第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが間に挟んでなるA構造だけでなく、極めて薄く且つ均一な膜厚を有すると共に、膜中の不純物量が極めて少ない第三蒸着重合膜14cを、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが間に挟んでなるB構造をも有している。従って、かかる積層タイプの複合素子28においては、必ずしも、薄肉化や不純物の残存量の低減等による樹脂フィルム12の高機能化を図らなくとも、また、樹脂フィルム12の薄肉化による問題を発生させることもなしに、小型・大容量化による高性能化が、極めて有利に実現され得ることとなる。
ところで、積層フィルム24を有する、上記した本実施形態の巻回タイプと積層タイプのフィルムコンデンサでは、何れも、樹脂フィルム12の両面に、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bとが積層形成されて、複合誘電体16が構成されていた。しかしながら、樹脂フィルム12の何れか一方の面だけに、蒸着重合膜(第一蒸着重合膜14a又は第二蒸着重合膜14b)を形成して、複合誘電体16を構成することも可能である。また、第一の金属蒸着膜18aに代えて、第二金属蒸着膜18bの複合誘電体16側とは反対側の面上に、第三蒸着重合膜14cを積層配置して、積層フィルム24を構成することも、勿論可能である。
前記第一の実施形態に係るフィルムコンデンサを構成する、図1に示された積層フィルム10の少なくとも一つと、前記第二の実施形態に係るフィルムコンデンサを構成する、図4に示された積層フィルム24の少なくとも一つとを、それぞれ用い、それら2種類の積層フィルム10,24を互いに積層して、積層タイプのフィルムコンデンサを形成しても良い。更に、少なくとも一つの積層フィルム10と少なくとも一つの積層フィルム24とを互いに重ね合わせた状態で、巻回することにより、巻回タイプのフィルムコンデンサを形成することも出来る。なお、そのような積層タイプや巻回タイプのフィルムコンデンサでは、複合誘電体16と第三蒸着重合膜14cのうちの何れか一方が、第一及び第二金属蒸着膜18a,18bの間に必ず挟まれるようにして、それらが互いに積層されることとなる。
図7に示されるように、第一金属蒸着膜18aの複合誘電体16側とは反対側の面上に、第三蒸着重合膜14cを、蒸着重合法により積層形成する一方、第二金属蒸着膜18bの複合誘電体16側とは反対側の面上に、第四蒸着重合膜14dを、蒸着重合法により積層形成して、積層フィルム34(第四の基本素子)を構成することも出来る。この積層フィルム34においても、第三及び第四蒸着重合膜14c,14dの形成材料や厚さ等と、第一及び第二蒸着重合膜14a,14bの形成材料や厚さ等とが、必ずしも同一である必要はない。
図7に示される積層フィルム34を用いる場合には、図8に示されるように、複合誘電体16の一方の面に第一金属蒸着膜18aが積層形成される一方、その他方の面に第二金属蒸着膜18bが積層形成されてなる積層フィルム40(第三の基本素子)の少なくとも一つと、図7に示される積層フィルム34とが、互いに積層されて、或いは互いに重ね合わされた状態で巻回されて、複合素子又は巻回型素子、更には積層タイプ又は巻回タイプのフィルムコンデンサが形成されることとなる。このようなフィルムコンデンサにおいても、第三蒸着重合膜14cと樹脂フィルム12と複合誘電体16のうちの何れか一つが、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとの間に必ず挟まれるようにして、それらが互いに積層されることとなる。
なお、図8に示される積層フィルム40においては、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが、必ずしも、同一の金属材料からなるものでなくとも良く、フィルムコンデンサに対する要求性能等に応じて、形成材料が決定される。また、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bのそれぞれの厚さや膜抵抗値も、フィルムコンデンサに対する要求性能等に応じて、互いに同一の値とされるか、若しくは互いに異なる値とされることとなる。
図9に示されるように、複合誘電体16の第一蒸着重合膜14a上に、第一金属蒸着膜18aが積層形成された第一の積層フィルム42aと、樹脂フィルム12の一方の面に、第二金属蒸着膜18bが積層形成された第二の積層フィルム42bとを用い、そして、第一の積層フィルム42aの第二蒸着重合膜14bが、第二の積層フィルム42bの第二金属蒸着膜18b上に重ね合わされるように、それら第一の積層フィルム42aと第二の積層フィルム42bとを互いに積層して、積層フィルム42を構成することも出来る。即ち、第一及び第二金属蒸着膜18a,18bは、複合誘電体16の厚さ方向両側に存在するように積層配置されておれば、複合誘電体16に対して、必ずしも一体的に積層形成されていなくても良いのである。
このような積層フィルム42を用いる場合にも、その複数のものが相互に積層されて、複合素子、更には積層タイプのフィルムコンデンサが形成される。また、かかる積層フィルム42の一つが巻回されて、あるいは複数のものが互いに重ね合わされた状態で巻回されて、巻回型素子、更には巻回タイプのフィルムコンデンサが形成されることとなる。
上記で例示した幾つかの種類の積層フィルム34,40,42を用いて形成されるフィルムコンデンサにあっては、何れも、樹脂フィルム12に対して、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bのうちの少なくとも何れか一方が積層された複合誘電体16を有している。これによって、前記した前記第一の実施形態と第二の実施形態とにおいて奏される作用・効果と同一の作用・効果が、有効に享受され得るのである。
なお、巻回タイプのフィルムコンデンサでは、積層フィルムの巻回数が、何等限定されるものではない。積層タイプのフィルムコンデンサでは、積層フィルムの積層数が、何等限定されるものではない。
次に、図10には、本発明に従うフィルムコンデンサを構成する基本素子を与える積層フィルムの別の例が、その縦断面形態において示されている。図10に示される積層フィルム44は、一つの樹脂フィルム12をベースとして有し、この樹脂フィルム12の一方の面上に、第一蒸着重合膜14aが積層形成されている。また、そのような第一蒸着重合膜14aの樹脂フィルム12側とは反対側の面上には、第一金属蒸着膜18aと第一蒸着重合膜14aとが、その順番で、交互に一つずつ位置するように、それぞれ複数ずつ積層形成されている。この積層フィルム44が有する樹脂フィルム12と第一蒸着重合膜14aと第一金属蒸着膜18aは、何れも、前記した第一の実施形態に係る積層フィルム10が有するものと、同一の材料を用いた同一の構造を有し、それぞれの厚さも同一とされている。
また、樹脂フィルム12上に形成された複数層(ここでは7層)の第一蒸着重合膜14aのうち、樹脂フィルム12側から数えて1層目と3層目と5層目の第一蒸着重合膜14aには、それらの一方の端部上に、第一金属蒸着膜18aが積層形成されていないマージン部46a,46c,46eが、それぞれ形成されている。また、2層目と4層目と6層目の第一蒸着重合膜14aには、それらの他方の端部(1層目と3層目と5層目の各第一蒸着重合膜14aにおけるマージン部46a,46c,46eの形成側とは反対側の端部)上に、マージン部46b,46d,46fが、それぞれ形成されている。なお、図示されてはいないものの、先に詳述した幾つかの積層タイプの複合素子にも、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bの各端部上に、第一金属蒸着膜18aや第二金属蒸着膜18bの非形成部分たるマージン部が、それぞれ、同様に形成されている。
そして、積層フィルム44の一つのものが、そのままの状態で用いられることにより、或いは積層フィルム44の複数が互いに重ね合わされることにより、複合素子として構成される。また、かかる積層フィルム44の一つが、一回又は複数回巻回されることにより、或いは複数の積層フィルム44が、互いに重ね合わされた状態で一回又は複数回巻回されることにより、巻回型素子として構成される。更に、それらの複合素子や巻回型素子に対して、保護フィルムや一対のメタリコン電極等の外部電極、所定の端子等が取り付けられることによって、積層タイプ又は巻回タイプのフィルムコンデンサが形成されるのである。なお、積層フィルム44を一つだけ用いてなるフィルムコンデンサでは、樹脂フィルム12が誘電体としての機能を有することなく、単に、ベースとしての機能を有するに過ぎない。
上記のように、積層フィルム44の一つ又は複数を用いて形成される本実施形態のフィルムコンデンサでは、何れも、隣り合う第一金属蒸着膜18a,18aの間に、薄肉の第一蒸着重合膜14aが、それぞれ一つずつ位置している。また、一つの積層フィルム44が、樹脂フィルム12をベースとして一つだけ有し、薄肉の第一蒸着重合膜14aの複数のものにて誘電体が構成されている。従って、かかる本実施形態のフィルムコンデンサにおいては、コンデンサ全体の小型化と静電容量の増大とが、更に一層効果的に達成され得るのである。
そして、一つの積層フィルム44の樹脂フィルム12の第一蒸着重合膜14a形成側とは反対側の面に対して、別の一つの積層フィルム44における樹脂フィルム12側とは反対側の最上層に位置する第一蒸着重合膜14aを重ね合わせるように、複数の積層フィルム44を重ね合わせてなる複合素子を用いて形成されたフィルムコンデンサでは、両面上に第一蒸着重合膜14aがそれぞれ積層された樹脂フィルム12が、隣り合う第一金属蒸着膜18a,18aの間に挟まれて配置される。また、かかる複合素子と同様にして、複数の積層フィルム44を重ね合わせてなる積層構造体を巻回して構成した巻回型素子を用いて形成されたフィルムコンデンサにあっても、両面上に第一蒸着重合膜14aがそれぞれ積層された樹脂フィルム12が、隣り合う第一金属蒸着膜18a,18aの間に挟まれて配置される。従って、そのような構造を有する積層タイプや巻回タイプのフィルムコンデンサでは、コンデンサ全体の小型・大容量化に加えて、高い耐電圧と高い誘電率の両立が有利に実現され得ることとなる。
ところで、本実施形態のフィルムコンデンサを与える積層フィルム44は、例えば、図15に示される如き構造を有する積層フィルム製造装置48を用いて製造される。
図11から明らかなように、積層フィルム製造装置48は、真空槽50を有している。この真空槽50は、図示しない真空ポンプの作動により、内部が所定の圧力にまで減圧されて、真空状態とされるようになっている。真空槽50内には、回転ドラム52が配置されている。この回転ドラム52は、電動モータ等の回転駆動装置(図示せず)により、一方向(ここでは、時計回りの方向であって、図11における白抜き矢印の方向)に連続的に回転駆動するようになっており、また、その外周面に対して、樹脂フィルム12が巻き付けられるようになっている。真空槽50内の回転ドラム52の周囲には、マージン部形成装置54と金属蒸着膜形成装置56とオイル薄膜除去装置58と蒸着重合膜形成装置60とプラズマ処理装置62とが、その順番で、時計回りの方向に並べられ、且つ回転ドラム52の周方向に互いに間隔を開けて配置されている。
マージン部形成装置54は、回転ドラム52に巻き付けられた樹脂フィルム12に積層形成される第一蒸着重合膜14aに対して、蒸着等によりオイル薄膜を部分的に形成し、それらのオイル薄膜の形成部位にて、第一蒸着重合膜14aにマージン部46a〜46fをそれぞれ形成するものである。このマージン部形成装置54は、回転ドラム52の回転時に、一定の時間間隔を開けつつ、間欠的に作動するようになっている。
金属蒸着膜形成装置56は、所定の金属材料からなる蒸着材を加熱し、蒸発させて、真空蒸着を実施することにより、回転ドラム52に巻き付けられた樹脂フィルム12の外周面に形成される第一蒸着重合膜14a上に、第一金属蒸着膜18aを形成するものである。なお、上記したマージン部形成装置54によって樹脂フィルム12や第一蒸着重合膜14aに形成されたマージン部46a〜46fには、金属蒸着膜形成装置56によって加熱、蒸発させられた金属原子が付着しない。従って、そのようなマージン部46a〜46f上には、第一金属蒸着膜18aが形成されないようになっている。
オイル薄膜除去装置58は、マージン部形成装置54にて、樹脂フィルム12や第一蒸着重合膜14aに形成されて、マージン部46a〜46fを構成するオイル薄膜を除去するものである。このオイル薄膜除去装置58は、従来より公知の構造を有する。
蒸着重合膜形成装置60は、複数種類の原料モノマーを加熱し、蒸発させる機構を有している。そして、回転ドラム52に巻き付けられた樹脂フィルム12の外周面上や第一金属蒸着膜18a上において、蒸発した複数種類の原料モノマーの重合反応を惹起させることにより、樹脂フィルム12の外周面上や第一金属蒸着膜18a上に、第一蒸着重合膜14aを形成するものである。
プラズマ処理装置62は、プラズマを発生させる公知の構造を有している。そして、発生させたプラズマを、第一蒸着重合膜14aの表面に照射して、かかる第一蒸着重合膜14aの表面をプラズマ処理するものである。このようなプラズマ処理装置62による第一蒸着重合膜14a表面のプラズマ処理によって、第一蒸着重合膜14aの耐電圧や耐熱性の向上が図られる。また、第一蒸着重合膜14a表面が活性化されて、かかる第一蒸着重合膜14aのオイル薄膜や第一金属蒸着膜18aに対する密着性も高められる。
このような構造を有する積層フィルム製造装置48を用いて、積層フィルム44を得る際には、例えば、先ず、回転ドラム52に樹脂フィルム12を巻き付けた後、真空槽50内を真空状態とする。その一方で、回転ドラム52を、図11の白抜き矢印の方向に回転駆動させる。
真空槽50内が所定の真空状態となったら、回転ドラム52を回転駆動させつつ、蒸着重合膜形成装置60を作動させる。これにより、樹脂フィルム12の外周面上に、第一蒸着重合膜14aを形成していく。
その後、樹脂フィルム12の外周面上に形成された第一蒸着重合膜14aの形成始端部が、回転ドラム52の回転によって、プラズマ処理装置62の配設位置と対応する位置に達したら、プラズマ処理装置62を作動させる。これにより、樹脂フィルム12の外周面上に形成された第一蒸着重合膜14aの表面を次々とプラズマ処理していく。
そして、プラズマ処理された第一蒸着重合膜14aの始端部が、回転ドラム52の回転により、マージン部形成装置54の配設位置と対応する位置に達したら、マージン部形成装置54を所定の時間だけ作動させる。これにより、第一蒸着重合膜14aの表面の一部に、オイル薄膜(図示せず)を所定の周方向長さで形成する。そうして、そのような第一蒸着重合膜14aの表面におけるオイル薄膜の形成部位にて、マージン部46aを形成する。
その後、回転ドラム52の回転により、樹脂フィルム12のマージン部46aが、金属蒸着膜形成装置56の配設位置と対応する位置に達したら、金属蒸着膜形成装置56の作動を開始する。これにより、樹脂フィルム12の外周面上に、第一金属蒸着膜18aを形成する。このとき、樹脂フィルム12の外周面に設けられたマージン部46a上には、第一金属蒸着膜18aが形成されない。即ち、金属蒸着膜形成装置56によって、マージン部46aの形成部位を除く第一蒸着重合膜14aの表面部分に、第一金属蒸着膜18aを形成するのである。
そして、回転ドラム52の更なる回転に伴って、樹脂フィルム12のマージン部46aが、オイル薄膜除去装置58の配設位置と対応する位置に達したら、マージン部46aに設けられたオイル薄膜を、オイル薄膜除去装置58にて、除去する。
その後、オイル薄膜が除去された、樹脂フィルム12のマージン部46aが、回転ドラム52の更なる回転によって、蒸着重合膜形成装置60の配設位置と対応する位置に達したら、蒸着重合膜形成装置60の作動を開始する。これにより、樹脂フィルム12のマージン部46a上と第一金属蒸着膜18a上とに、第一蒸着重合膜14aを形成する。
かくして、回転ドラム52を1回転させる間に、樹脂フィルム12の外周面(樹脂フィルム12の厚さ方向一方の面)におけるマージン部46aを除く部位に、第一金属蒸着膜18aを形成すると共に、樹脂フィルム12のマージン部46a上と第一金属蒸着膜18a上とに、第一蒸着重合膜14aを積層形成する(図10参照)。
そして、金属蒸着膜形成装置56と蒸着重合膜形成装置60とプラズマ処理装置62を、目的とする積層フィルム44の製造が完了するまで、継続して、連続的に作動させる。その一方で、樹脂フィルム12のマージン部46aがマージン部形成装置54の配設位置に達して、回転ドラム52の回転が2回転目に突入してからは、それ以降、回転ドラム52の2,4,6回転目の終了前と3,5回転目の開始後において、それぞれ所定の時間だけ、マージン部形成装置54を作動させる。これによって、図10に示されるように、樹脂フィルム12の外周面上に積層される各第一蒸着重合膜14aの一方又は他方の端部上に、マージン部46b〜46fを形成する。また、それら各マージン部46b〜46fがオイル薄膜除去装置58の前を通過する毎にオイル薄膜除去装置58を作動させて、各マージン部46b〜46fに形成されるオイル薄膜を除去する。かくして、図10に示される如き構造を有する積層フィルム44を製造するのである。
なお、積層フィルム製造装置48を用いて積層フィルム44を製造する際には、回転ドラム52が一回転する間に、第一蒸着重合膜14a表面の周上の複数箇所にマージン部46aを形成しつつ、上記の如き複数の第一金属蒸着膜18aと複数の第一蒸着重合膜14aの積層形成操作等を行っても良い。そうすることによって、回転ドラム52上に、図10に示される如き構造を有する積層フィルム44の複数個を、回転ドラム52の周方向に連続して形成することが出来る。この場合には、それら複数個の積層フィルム44が互いに切り離されて、それぞれ、複合素子として利用されることとなる。
そして、図12に示されるように、積層フィルム44のマージン部46a,46c,46eが形成される一方側の側面に対して、外部電極(メタリコン電極)64aを、また、マージン部46b,46d,46fが形成される他方側の側面に対して、外部電極(メタリコン電極)64bを、それぞれ形成する。これにより、樹脂フィルム12に積層された複数層(ここでは6層)の第一金属蒸着膜18aのうち、1層目と3層目と5層目の第一金属蒸着膜18aを、マージン部46a,46c,46eとの隣接側とは反対側の端面において、外部電極64bの内側面に接触位置させて、外部電極64bのみに対して導通状態とする。一方、2層目と4層目と6層目の第一金属蒸着膜18aを、マージン部46b,46d,46fとの隣接側とは反対側の端面において、外部電極64aの内側面に接触位置させて、外部電極64aのみに対して導通状態とする。そして、それら二つの外部電極64a,64bのうちの何れか一方を正極とする一方、それらのうちの何れか他方を負極とする。また、必要に応じて、積層フィルム44の外部電極64a,64bの形成面以外の面に、保護フィルム等を取り付ける。かくして、積層タイプのフィルムコンデンサ66が得られるのである。
なお、外部電極64a,64bは、例えば、第一金属蒸着膜18aの形成材料と同じ金属材料を用いた溶射を実施することにより形成されていることが望ましい。それによって、外部電極64a,64bと第一金属蒸着膜18aとの密着性が高められる。また、第一蒸着重合膜14aが、官能基(例えば、−OH基やC=O基)を有しているため、溶射によって形成された外部電極64a,64bとの付着性が、水素結合やファンデルワース力に基づいて効果的に高められる。その結果、外部電極64a,64bの積層フィルム44からの剥離が、有利に防止され得ることとなる。
次に、図13には、本発明に従うフィルムコンデンサを構成する基本素子を与える積層フィルムの更に別の例が、その縦断面形態において示されている。図13に示される積層フィルム68は、一つの樹脂フィルム12をベースとして有し、この樹脂フィルム12の一方と他方の面とに、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bとが、それぞれ積層形成されている。また、第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bの樹脂フィルム12側とは反対側の面上には、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとが、それぞれ積層形成されている。更に、第一金属蒸着膜18aの樹脂フィルム12側とは反対側の面上には、第一蒸着重合膜14aと第一金属蒸着膜18aとが、その順番で、交互に一つずつ位置するように積層形成されている。
このような積層フィルム68も、図11に示される積層フィルム製造装置48とは、多少、構造の異なる装置を用いて製造することが出来る。即ち、例えば、真空槽50内に、回転ドラム52とは別の回転ドラムが設けられ、また、そのような別の回転ドラムの周囲に、金属蒸着膜形成装置56や蒸着重合膜形成装置60とは別の金属蒸着膜形成装置及び蒸着重合膜形成装置が配設されてなる構造を有するものを、製造装置として用いる。そして、樹脂フィルム12を別の回転ドラムに巻き付けて、樹脂フィルム12の一方の面に、別の蒸着重合膜形成装置と別の金属蒸着膜形成装置とにて、第二蒸着重合膜14bと第二金属蒸着膜18bとを積層形成する。その後、かかる樹脂フィルム12を、第二蒸着重合膜14bと第二金属蒸着膜18bの形成面が内側となるように、回転ドラム52に巻き付けた後、上記した積層フィルム44の製造工程と同様な工程を実施する。これにより、図13に示される如き構造を備えた積層フィルム68を製造するのである。なお、図示されてはいないものの、この積層フィルム68においても、図10に示される積層フィルム44と同様に、各第一蒸着重合膜14aの一方側又は他方側の端部上とに、マージン部がそれぞれ形成される。また、積層フィルム68が有する樹脂フィルム12と第一及び第二蒸着重合膜14a,14bと第一及び第二金属蒸着膜18a,18bは、何れも、前記第一及び第二の実施形態に係る積層フィルム10,32が有するものと、同一の材料を用いた同一の構造を有し、それぞれの厚さも同一とされている。
そして、上記した積層フィルム44を用いてフィルムコンデンサを得る場合と同様にして、積層フィルム68の一つ、又は複数のものが用いられて、積層タイプや巻回タイプのフィルムコンデンサが形成されるのである。
このような積層フィルム68を用いて形成される本実施形態のフィルムコンデンサでは、隣り合う第一金属蒸着膜18a,18aの間に、薄肉の第一蒸着重合膜14aが、それぞれ一つずつ位置している。また、一つの積層フィルム68が有する樹脂フィルム12が一つだけとされている。従って、本実施形態のフィルムコンデンサにあっては、コンデンサ全体の静電容量の増大と更なる小型化とが、より一層効果的に達成され得る。
また、本実施形態のフィルムコンデンサにおいては、第一金属蒸着膜18aと第二金属蒸着膜18bとの間に、樹脂フィルム12の両面に第一蒸着重合膜14aと第二蒸着重合膜14bとが積層されてなる複合誘電体16が配置されている。従って、このような本実施形態のフィルムコンデンサでは、コンデンサ全体の小型・大容量化の実現に加えて、十分な耐電圧と高い誘電率とが、共に有利に確保され得ることとなる。
以上、本発明の具体的な構成について詳述したが、これはあくまでも例示に過ぎない。その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものである。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。