JP2011180042A - ガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質体を一対の電極で挟んでなるセルを有するガスセンサ素子のセンサ出力を精度よく補正することができるガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システムを提供する。
【解決手段】センサ素子10のセンサ出力の補正情報(補正係数Kに対応する抵抗値)をもった補正抵抗体220はセンサ素子10と一体に設けられ、VSセル245と電気的に接続されている。固体電解質体140が非活性のとき、固体電解質体140は絶縁性を示し、VSセル245への微小電流Icpの通電によって補正抵抗体220の抵抗値が読み取られる。固体電解質体140が活性化したら、微小電流Icpを通電しても、固体電解質体140の10倍以上の抵抗値の補正抵抗体220には、ほとんど電流が流れない。微小電流Icpの通電に応じてポンプ電流Ipを制御し、酸素濃度に対応する検出信号を得て、補正係数Kで補正する。
【選択図】図5
【解決手段】センサ素子10のセンサ出力の補正情報(補正係数Kに対応する抵抗値)をもった補正抵抗体220はセンサ素子10と一体に設けられ、VSセル245と電気的に接続されている。固体電解質体140が非活性のとき、固体電解質体140は絶縁性を示し、VSセル245への微小電流Icpの通電によって補正抵抗体220の抵抗値が読み取られる。固体電解質体140が活性化したら、微小電流Icpを通電しても、固体電解質体140の10倍以上の抵抗値の補正抵抗体220には、ほとんど電流が流れない。微小電流Icpの通電に応じてポンプ電流Ipを制御し、酸素濃度に対応する検出信号を得て、補正係数Kで補正する。
【選択図】図5
Description
本発明は、測定対象ガス中の特定ガス濃度を検出するためのガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システムに関する。
従来、自動車などの排気ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサとして、ジルコニア等の固体電解質体を一対の電極で挟んだセルを有し、その電極間を流れる電流に基づいて特定ガス濃度の検出を行うガスセンサ素子を用いる構成が知られている。
ところで、ガスセンサ素子は、製造バラツキに起因して、センサ出力値に、バラツキ(個体差)を生ずる場合がある。そこで、このようなセンサ出力値のバラツキを補正するための手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、絶縁性のセラミック基板の一面に形成した測定部をなす抵抗体に対して、分圧抵抗体を並列に接続し、この分圧抵抗体をレーザートリミングして抵抗値を調整することによって、センサ出力値を所定の値に揃えるようにしている。
しかしながら、上記の特許文献1では、アルミナやムライトといった絶縁性のセラミック基板の一面に設けた抵抗体に分圧抵抗体を並列接続した構成であり、セラミック基板自身の温度変化に伴う抵抗値変化が殆どみられない。そのため、抵抗体に分圧抵抗体を電気的に並列に接続するだけで、センサ出力値(検出信号)の補正が可能であった。これに対し、固体電解質体を一対の電極で挟んだセルを有するガスセンサに関して、特許文献1と同じようにセル(一対の電極)に電気的に並列にセンサ出力(検出信号)の補正用の抵抗体を接続した場合には、固体電解質体が温度変化に伴って抵抗値が比較的大きく変化するため、固体電解質体が晒される温度によって補正用の抵抗体の寄与率が変化してしまう。そのため、固体電解質体を一対の電極で挟んだセルに電気的に並列にセンサ出力(検出信号)の補正用の抵抗体を接続させる構成では、単純にセンサ出力(検出信号)だけをモニタしておけば補正が可能になる訳ではなく、固体電解質体の温度変化を考慮に入れた上でのセンサ出力の補正を行う装置(ガスセンサの制御装置)の開発が必要となる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、固体電解質体を一対の電極で挟んでなるセルを有するガスセンサ素子のセンサ出力を精度よく補正することができるガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システムを提供することを目的とする。
本発明の第1態様によれば、固体電解質体および前記固体電解質体に設けられた一対の電極を有するセルを少なくとも一つ以上備え、前記セルのうちの一つは、前記一対の電極間への定電流の通電により基準酸素源の生成を行う基準酸素生成セルとして機能するガスセンサ素子を有するガスセンサであって、測定対象ガス中の特定ガス濃度に応じた検出信号を、ガスセンサ素子を介して出力するガスセンサに電気的に接続され、前記検出信号を取得するガスセンサの制御装置であって、前記ガスセンサ素子の前記基準酸素生成セルには、前記検出信号の補正処理を行うための補正情報が反映された抵抗値を有する補正抵抗体が、電気的に並列接続されており、前記基準酸素生成セルに前記定電流を通電する通電手段と、前記固体電解質体の活性状態の有無を判断する判断手段と、前記判断手段によって前記固体電解質体が非活性であると判断された場合に、前記基準酸素生成セルに向けて通電した前記定電流に基づいて、前記補正抵抗体の抵抗値に対応した対応信号を取得する第一取得手段と、前記対応信号に基づいて前記補正情報を算出する算出手段と、前記判断手段によって前記固体電解質体が活性化したと判断された場合に、前記検出信号を取得する第二取得手段と、前記補正情報を用いて前記検出信号の補正を行う補正手段と、を備えたガスセンサの制御装置が提供される。
本発明の第1態様では、セルの1つである基準酸素生成セルに補正抵抗体を電気的に並列接続しているため、補正抵抗体の抵抗値の取得と、基準酸素生成セルへの通電とを、同一の通電経路を用いて行うことができる。このようにすれば両者それぞれへの通電経路を用意する必要がないので、ガスセンサひいてはガスセンサの制御装置のコストダウンを図ることができる。そして、本発明の第1態様では、補正抵抗体の抵抗値に関する情報についての取得(補正抵抗体の抵抗値に対応した対応信号の取得)を、固体電解質体が非活性であると判断されるとき、つまりは素子活性前(例えば、常温)に行うようにしている。固体電解質体は非活性時には、酸素イオン導電性を実質的に呈さない(非常に高抵抗である)ことから、この非活性時に基準酸素生成セルに向けて定電流を通電すると、定電流は実質的に補正抵抗体に対して選択的に供給されることになる。そのため、補正抵抗体の抵抗値に対応した対応信号の取得を固定電解質体の非活性時に行えば、固体電解質体自身の抵抗値変化の影響を受けずに補正抵抗体の抵抗値に関する情報(対応信号)を取得することができる。そして、本発明では、固体電解質体自身の抵抗値変化の影響を受けずに取得した対応信号をもとにして補正情報を算出し、算出した補正情報を用いて検出信号を補正するようにしているため、ガスセンサ素子の製造バラツキ(個体差)が精確に補正された検出信号を出力することができる。
第1態様において、前記補正抵抗体は、前記ガスセンサ素子と一体に設けられていてもよい。補正抵抗体をガスセンサ素子と一体に設ければ、ガスセンサの製造過程において取り扱いが容易であり、脱落することもないため、運用中の信頼性が高い。また、ガスセンサを取り替えた場合、ガスセンサ素子とともに補正抵抗体も取り替えられるため、制御装置において、新たなガスセンサに対応させるための再設定を行う必要がない。
第1態様において、前記補正抵抗体の抵抗値が、常温における前記固体電解質体の抵抗値よりも低く、800℃における前記固体電解質体の抵抗値の10倍以上であってもよい。常温において基準酸素生成セルと補正抵抗体に電流を流した場合には、補正抵抗体には電流が流れるものの、常温で絶縁性を示す固体電解質体には電流が流れないため、補正抵抗体の抵抗値に対応した対応信号を精度良く取得することができる。固体電解質体が800℃にあるときに基準酸素生成セルと補正抵抗体に電流を流した場合には、酸素イオン導電性を示す固体電解質体には電流が流れるものの、固体電解質体の10倍以上の抵抗値を有する補正抵抗体にはほとんど電流が流れないため、補正抵抗体の影響を受けずに基準酸素生成セルに電流を流すことができる。800℃における固体電解質体の抵抗値、すなわち基準酸素生成セルの素子抵抗(抵抗値)は、その10倍以上の抵抗値を持つ補正抵抗体の抵抗値に対し、無視できるほど十分に小さいため、基準酸素生成セルと電気的に並列接続されている補正抵抗体が、基準酸素生成セルの駆動(基準酸素源の生成)に影響を及ぼすことはない。
第1態様において、前記補正抵抗体は、前記ガスセンサ素子の外面に設けられており、その抵抗値が、トリミングによって前記補正情報を反映するように調整されたものであってもよい。補正抵抗体がガスセンサ素子の外面に設けられていれば、ガスセンサ素子の形成後でも、補正抵抗体に容易に加工を加えることができる。そして、補正抵抗体の抵抗値の調整をトリミングによって行えば、調整が容易であり、また、精度も高い。
本発明の第2態様によれば、第1態様に係るガスセンサの制御装置と、その制御装置に接続され、前記ガスセンサ素子を備えた前記ガスセンサと、を備えたガスセンサの制御システムが提供される。このようなガスセンサの制御システムを用いれば、ガスセンサ素子の製造バラツキ(個体差)が補正された精確な検出信号を得ることができるので、検出結果に応じたその他の機器の制御を精度よく行うことができる。
以下、本発明を具体化したガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システムの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、ガスセンサの一例として酸素センサ1を挙げ、その機械的な構造について、図1〜図4を参照して説明する。なお、以下の図面において、図1,図2,図4では上下方向を、図3では左右方向をそれぞれ酸素センサ1(またはセンサ素子10)の軸線O方向とする。この軸線O方向は、図1および図2においては一点鎖線で示し、図3,図4においては矢印で示す。そして、図1,図2,図4では下側を、図3では左側を、酸素センサ1(またはセンサ素子10)の先端側とし、また、図1,図2,図4では上側を、図3では右側を、酸素センサ1(またはセンサ素子10)の後端側として説明するものとする。
図1に示す酸素センサ1は、自動車の排気管(図示外)に取り付けられ、排気管内を流通する排気ガス(測定対象ガス)中の酸素(特定ガス)の濃度、ひいては排気ガスの空燃比を検出する、いわゆる全領域空燃比センサを一例とする。酸素センサ1のセンサ素子10からは、排気ガス中の酸素濃度に応じた検出信号が出力される。この検出信号をもとに、後述するセンサ駆動装置250およびECU(電子制御ユニット)280(図5参照)にて排気ガスの空燃比情報が求められて、空燃比フィードバック制御等に利用される。
酸素センサ1のセンサ素子10は、軸線O方向に延びる細幅で板状の素子で、後述する検出素子2とヒータ3とからなる(図1では、紙面左右方向を板厚方向、紙面表裏方向を板幅方向として示している。)。なお、本実施の形態では、検出素子2とヒータ3とが一体となったセンサ素子10を、本発明の「ガスセンサ素子」としているが、本発明における「ガスセンサ素子」は、ヒータ3を備えない検出素子2のみであってもよい。酸素センサ1は、このセンサ素子10を金属カップ40内に保持し、さらに、自動車の排気管(図示外)に取り付けるための主体金具50内にて金属カップ40を支持することで、センサ素子10を主体金具50内に保持した構造を有する。なお、センサ素子10の詳細な構造については後述する。
センサ素子10の先端部11には、酸素濃度の検出を担う検出部14(後述)が設けられており、先端部11よりも後端側の本体部13は、後述する主体金具50内に収容されている。そして本体部13の先端側の部位には、筒状の金属カップ40が配置され、筒内にセンサ素子10を挿通させている。金属カップ40は主体金具50内にてセンサ素子10を保持するための保持部材である。金属カップ40の先端側の開口25からセンサ素子10の先端部11が突出されている。また、金属カップ40の開口25の開口端を含む先端周縁部23は、テーパ状に形成されている。金属カップ40内には、アルミナ製のセラミックリング21と滑石粉末を圧縮して固めた滑石リング22とが、それぞれ、自身の穴内にセンサ素子10を挿通させた状態で収容されている。滑石リング22は金属カップ40内で押し潰されて細部に充填されており、これにより、センサ素子10が金属カップ40内で位置決めされて保持されている。
金属カップ40と一体となったセンサ素子10は、その周囲を筒状の主体金具50に取り囲まれて保持されている。主体金具50は酸素センサ1を自動車の排気管(図示外)に取り付け固定するためのものである。そして、主体金具50の外周先端側には、排気管への取り付け用のねじ山が形成されたねじ部51が設けられている。このねじ部51よりも先端側には、後述するプロテクタ8が係合される先端係合部56が形成されている。また主体金具50の外周中央には、排気管への取り付け用の工具が係合する工具係合部52が形成されており、その工具係合部52の先端面とねじ部51の後端との間には、排気管に取り付けた際のガス抜けを防止するためのガスケット55が嵌挿されている。さらに、工具係合部52の後端側には、後述する外筒65が係合される後端係合部57と、その後端側に、主体金具50内にセンサ素子10を加締め保持するための加締部53とが形成されている。
また、主体金具50の内周でねじ部51付近には段部54が形成されている。この段部54には、センサ素子10を保持する金属カップ40の先端周縁部23が係止されている。さらに、主体金具50の内周には滑石リング26が、自身にセンサ素子10を挿通させた状態で、金属カップ40の後端側から装填されている。そして、滑石リング26を後端側から押さえるように、筒状のスリーブ27が主体金具50内に嵌め込まれている。スリーブ27の後端側外周には段状をなす肩部28が形成されており、その肩部28には、円環状の加締パッキン29が配置されている。この状態で主体金具50の加締部53が、加締パッキン29を介してスリーブ27の肩部28を先端側に向けて押圧するように加締められている。スリーブ27に押圧された滑石リング26は、主体金具50内で押し潰されて、細部にわたって充填されている。そして、この滑石リング26と、金属カップ40内にあらかじめ装填された滑石リング22とによって、金属カップ40およびセンサ素子10が、主体金具50内で気密に保持される。
主体金具50の先端係合部56は筒状に形成されており、プロテクタ8が嵌められている。このプロテクタ8は、センサ素子10の先端部11の外周を取り囲んで、センサ素子10を、被水や物理的な衝撃による折損等から保護している。プロテクタ8は、スポット溶接やレーザ溶接によって先端係合部56に固定されている。このプロテクタ8は、有底筒状の内側プロテクタ90と、内側プロテクタ90の外周面との間に空隙を有した状態でその径方向周囲を取り囲む筒状の外側プロテクタ80とから構成される2重構造を有する。
内側プロテクタ90には、周壁92の後端側に複数の内側導入孔95と、周壁92の先端側に複数の水抜き孔96と、底壁93に排出口97とが開口されている。そして開口端側(後端側)の基端部91が先端係合部56の外周に係合されている。また、外側プロテクタ80には、周壁82の先端側に、複数の外側導入孔85が開口されている。そして、開口端側の基端部81が内側プロテクタ90の基端部91の外周に係合されている。その状態で、基端部81の外周を一周してレーザ溶接が施されており、内側プロテクタ90の基端部91ごと主体金具50の先端係合部56に接合され、外側プロテクタ80と内側プロテクタ90とが主体金具50に固定されている。さらに、外側プロテクタ80と内側プロテクタ90との間の空隙を閉じるように、外側プロテクタ80の先端部83が内側プロテクタ90の周壁92に向けて、内側に折り曲げられている。
一方、内部に保持するセンサ素子10の本体部13の後端側は、主体金具50後端(加締部53)から突出されている。この、センサ素子10の本体部13には、検出素子2やヒータ3への通電のため、接続端子61との電気的な接続を担う、白金(Pt)からなる電極パッド231〜235(図2,図3参照)が形成されている(図1ではそのうちの電極パッド233,235を図示している。)。さらに、本体部13には、絶縁性セラミックスからなる筒状のセパレータ60が被せられている。セパレータ60は、内部に、電極パッド231〜235のそれぞれに接触(電気的に接続)させる5つの接続端子61(図1ではそのうちの3つを図示している。)を保持している。セパレータ60は、先端側セパレータ63と後端側セパレータ64とからなり、先端側セパレータ63の後端に設けられた鍔部62に後端側セパレータ64の先端が係合している。先端側セパレータ63内には、センサ素子10の電極パッド231〜235と、5つの接続端子61との接続部位が、互いに電気的に接触することがないように配置された状態で収容されている。後端側セパレータ64には、各接続端子61と、酸素センサ1の外部に引き出される5本のリード線69との各接続部位が、互いに電気的に接触することがないように配置された状態で収容されている。
次に、上記した外筒65は、筒状に形成されたステンレス(例えばSUS304)製の部材である。外筒65は、主体金具50の後端側に取り付けられて、主体金具50の後端から露出されるセンサ素子10の本体部13やセパレータ60の周囲を覆って保護する。外筒65は、自身の先端側の開口端66が主体金具50の後端係合部57の外周に係合され、外周側から加締められると共に、外周を一周して後端係合部57にレーザ溶接されて、主体金具50に固定されている。
また、外筒65と先端側セパレータ63との間の間隙には、保持金具70が配設されている。保持金具70は筒状に形成された金属製の部材で、自身の後端を内側に折り曲げて構成した支持部71を有する。保持金具70は、自身の内部に挿通される先端側セパレータ63の鍔部62を支持部71に係止させて、先端側セパレータ63を支持している。この状態で、保持金具70が配置された部分の外筒65の外周面が加締められ、先端側セパレータ63を支持した保持金具70が、外筒65に固定されている。
そして外筒65の後端側の開口には、フッ素系ゴム製のグロメット75が嵌合されている。グロメット75は5つの挿通孔76(図1ではそのうちの3つを図示している。)を有し、各挿通孔76に、後端側セパレータ64から引き出された5本のリード線69が、気密に挿通されている。この状態でグロメット75は、セパレータ60を先端側に押圧しつつ、外筒65の外周から加締められて、外筒65の後端に固定されている。
次に、センサ素子10について説明する。まず、センサ素子10の外面的な構成について説明する。図2に示すセンサ素子10は、軸線O方向に延びる細幅で板状に形成された検出素子2とヒータ3とを、厚み方向に積層して一体化したものである。センサ素子10の先端側に設けられた検出部14は、検出素子2において、排気ガスを取り込んで排気ガス中の酸素濃度の検出を行うためのガス検出室132(図3参照)が設けられた部分を中心に構成されている。この検出部14を含めた素子先端側の周囲には、多孔質の保護層9が設けられている。
また、センサ素子10の本体部13において、自身の厚み方向と直交する外表面のうち、検出素子2側の外表面(以下、「主面」という。)16には、上述したセパレータ60の5つの接続端子61(図1参照)のうちの3つとそれぞれ対になって接触し、電気的に接続される電極パッド231,232,233が形成されている。同様に、主面16とは厚み方向において反対側となるヒータ3側の外表面(以下、「裏面」という。)17にも、接続端子61の残る2つとそれぞれ対になって接触して電気的に接続される電極パッド234,235が形成されている。
さらに、センサ素子10の本体部13の主面16には、例えば酸化ルテニウムなど、抵抗温度係数が比較的小さな材料からなる補正抵抗体220が、パターン印刷されセンサ素子10と一体に形成されている。そして、補正抵抗体220の両端に接続する電極リード部236,237が、それぞれ電極パッド232,233に接続されている。そして、補正抵抗体220は、セラミックやガラス等からなる保護層224で覆われて保護され、周囲雰囲気(周囲ガス)との接触が遮断されている。
次に、センサ素子10の構造の詳細について、図3を参照して説明する。図3に示すように、センサ素子10を構成する検出素子2およびヒータ3を積層したものである。
検出素子2は、絶縁性を有するアルミナを主体とする絶縁基体110,130と、ジルコニアを主体とする固体電解質体120,140とが、主面側から裏面側に向けて、絶縁基体110,固体電解質体120,絶縁基体130,固体電解質体140の順に積層された構造を有する。そして、固体電解質体120および固体電解質体140の各両面には、それぞれ、白金を主体とする一対の通電パターン170,180および一対の通電パターン190,200が形成されている。
固体電解質体120の主面上に形成される通電パターン170は、固体電解質体120の先端側(図中左手側)から後端側(図中右手側)に延びるリード部173を有し、そのリード部173の先端側には幅広の電極171が形成されている。固体電解質体120の主面側には絶縁基体110が積層され、通電パターン170は両者間に挟まれている。また、絶縁基体110の後端側で、通電パターン170のリード部173の後端部172の位置に対応する位置には、スルーホール113が形成されている。センサ素子10の主面16(図2参照)となる絶縁基体110の主面上で、そのスルーホール113に対応する後端側の位置には、電極パッド231が形成されている。この電極パッド231は、スルーホール113内に形成される導体を介して、通電パターン170のリード部173の後端部172と電気的に接続されている。
次に、絶縁基体110の先端側で、上記電極171が配置される位置には、自身の厚み方向に貫通する開口部111が設けられている。この開口部111内には、アルミナを主体とし、多孔質となるように形成されたポーラス層112が設けられている。通電パターン170の電極171は、このポーラス層112を介し、外気と連通されるように構成されている。
一方、固体電解質体120の裏面上には、通電パターン170と対となる通電パターン180が形成されている。通電パターン180は、通電パターン170と同様に、固体電解質体120の先端側から後端側に延びるリード部183と、リード部183の先端側にて幅広に形成された電極181とを有する。電極181は、固体電解質体120を挟んで通電パターン170の電極171と対向する位置に配置されている。固体電解質体120を挟む一対の電極171,181と、固体電解質体120とが、酸素の汲み入れ、汲み出しを行う酸素ポンプセル(以下、「IPセル」という。)240として機能する。また、固体電解質体120および絶縁基体110の後端側で通電パターン180のリード部183の後端部182に対応する位置には、それぞれスルーホール124およびスルーホール114が形成されている。さらに、絶縁基体110の後端側の主面上でスルーホール114に対応する位置には、電極パッド232が形成されている。電極パッド232は、絶縁基体110の後端側の主面上にて幅方向に電極パッド231と並ぶ位置に配置されている。そして電極パッド232は、スルーホール114内に形成される導体、およびスルーホール124内に形成される導体を介して、通電パターン180のリード部183の後端部182と電気的に接続されている。
また、固体電解質体120の裏面側には、上記通電パターン180を固体電解質体120との間に挟み込んだ状態で、絶縁基体130が積層される。この絶縁基体130の先端側で、通電パターン180の電極181が配置される位置にも、自身の厚み方向に貫通する開口部131が設けられている。この開口部131は、絶縁基体130の厚み方向両側に積層配置される固体電解質体120と固体電解質体140とによって閉じられ、内部がガス検出室132として構成される。通電パターン180の電極181は、このガス検出室132内に配置されている。センサ素子10の先端部11(図2参照、図3における左手側)に配置される、このガス検出室132を中心として、排気ガス中の酸素濃度を検出するための検出部14が構成されている。
また、開口部131の側壁のうち、絶縁基体130の幅方向両側の側壁には、拡散律速部133が設けられている。拡散律速部133はアルミナからなる多孔質体として形成され、この拡散律速部133を介し、検出素子2の周囲の排気ガスがガス検出室132内に導入されるように構成されている。
次に、固体電解質体140は、絶縁基体130の裏面側に積層される。固体電解質体140の主面上には、通電パターン170と同様に、固体電解質体140の先端側から後端側に延びるリード部193と、リード部193の先端側にて幅広に形成された電極191とを有する通電パターン190が形成されている。通電パターン190の電極191も、ガス検出室132内に露出されている。また、絶縁基体130の後端側で、通電パターン190のリード部193の後端部192に対応する位置にも、スルーホール134が形成されている。このスルーホール134の形成位置は、絶縁基体130の主面側の通電パターン180のリード部183の後端部182の形成位置にも対応している。そして、スルーホール134内に形成される導体を介して、通電パターン180のリード部183の後端部182と、通電パターン190のリード部193の後端部192とが電気的に接続されている。つまり、通電パターン180と、通電パターン190と、電極パッド232とは、互いに電気的に接続されている。
一方、固体電解質体140の裏面上にも通電パターン190と対となる通電パターン200が形成されている。通電パターン200は、通電パターン190と同様に、固体電解質体140の先端側から後端側に延びるリード部203と、リード部203の先端部分にて幅広に形成された電極201とを有する。電極201は、固体電解質体140を挟んで通電パターン190の電極191と対向する位置に配置されている。固体電解質体140を挟む一対の電極191,201と、固体電解質体140とが、基準となる酸素源の生成を行う基準酸素生成セル(以下、「VSセル」という。)245として機能する。
ところで、上記絶縁基体110の後端側の主面上には、電極パッド231および電極パッド232に並んで、電極パッド233が形成されている。通電パターン200のリード部203の後端部202の配置位置は、厚み方向において、この電極パッド233の形成位置に対応している。通電パターン200の後端部202と、電極パッド233との間に介在する絶縁基体110,固体電解質体120,絶縁基体130,固体電解質体140には、厚み方向に貫通して連続するスルーホール115,125,135,145がそれぞれ形成されている。そして、通電パターン200の後端部202と、電極パッド233とは、これらスルーホール115,125,135,145内に形成される導体を介して、互いに電気的に接続される。
また、上記した絶縁基体110の主面で、軸線O方向(図3においては矢印Oで示す。)の中央よりやや後端側の位置には、補正抵抗体220が設けられている。補正抵抗体220は軸線O方向に延びており、幅方向両側の縁端に、全長にわたり、電極リード部236,237がそれぞれ接続されている。電極リード部236,237は軸線O方向後端側へ延びており、それぞれ電極パッド232,233に接続されている。絶縁基体110の主面上には、さらに、補正抵抗体220を覆う保護層224が設けられている。
次に、ヒータ3の構成について説明する。ヒータ3は、絶縁性を有するアルミナを主体とする絶縁基体150の裏面と絶縁基体160の主面との間に、白金からなる発熱抵抗体210を挟んだ構造となっている。発熱抵抗体210は、ヒータ3内でつながった1本の導電パターンからなる。発熱抵抗体210は、主に発熱がなされるように断面積が小さく形成されたパターンからなる発熱部211を有しており、その発熱部211は、センサ素子10の先端部11(図2参照、図3における左手側)に配設されている。発熱部211の両端にそれぞれ接続される2本のリード部213は、発熱部211より大きな断面積を有し、幅方向に並列した状態で、軸線O方向に沿って絶縁基体150,160の後端側(図3における右手側)まで延設されている。
一方、センサ素子10の裏面17(図2参照)となる絶縁基体160の裏面上には、後端側に、絶縁基体160の幅方向に並ぶ2つの電極パッド234,235が設けられている。電極パッド234,235は、絶縁基体160の後端側に形成された2つのスルーホール164,165内にそれぞれ形成される導体を介し、発熱抵抗体210の2本のリード部213の後端部212とそれぞれ電気的に接続されている。そしてヒータ3は、検出素子2に積層されることでセンサ素子10として一体に構成される。
そして上記したように、本実施の形態では、図2に示すように、センサ素子10の本体部13における主面16側に補正抵抗体220が一体に設けられている。補正抵抗体220は、センサ素子10の製造バラツキ(個体差)によって生じうる酸素濃度検出結果のバラツキを補正するため、個体ごとにあらかじめ取得される固有の補正情報(後述する補正係数K)を、抵抗値に反映させて記録するよう設けられるものである。補正抵抗体220は、両端それぞれが電極リード部236,237に接続されており、この電極リード部236,237が、それぞれ、電極パッド232,233に接続されている。また、電極パッド232,233は、上記の通り、それぞれ通電パターン190,200に接続されている。すなわち、補正抵抗体220は、VSセル245の一対の電極191,201への通電を行う一対の通電経路に接続されると共に、VSセル245に対して電気的に並列接続されている。このように、補正抵抗体220をセンサ素子10と一体に設ければ、酸素センサ1の製造過程において取り扱いが容易であり、脱落することもないため、運用中の信頼性が高い。また、酸素センサ1を取り替えた場合、センサ素子10とともに補正抵抗体220も取り替えられるため、後述するセンサ駆動装置250やECU280において、新たな酸素センサ1に対応させるための再設定を行う必要がない。
ところで、固体電解質体は、常温を含む低温下では絶縁性を示す一方、活性化温度(例えば600℃)以上に加熱されて活性化すると、酸素イオン導電性を示す。本実施の形態では、補正抵抗体220の抵抗値が、電気的に並列接続されるVSセル245を構成する固体電解質体140の常温における抵抗値よりも低い値を示し、活性化温度以上の常用温度(例えば800℃)における抵抗値の10倍以上の値を示すよう、補正抵抗体220の材質や大きさ(通電経路に対する断面積)が設定されている。具体的には、上記したように、酸化ルテニウム等の材質を適宜調整することで補正抵抗体220が形成されている。こうした構成により、常温において電極パッド232,233間に電流を流した場合には、補正抵抗体220に電流が流れるものの、常温で絶縁性を示す固体電解質体140(すなわちVSセル245)には電流が流れないため、補正抵抗体220の抵抗値を読み取ることができる。また、固体電解質体140が常用温度にあるときに電極パッド232,233間に電流を流した場合には、酸素イオン導電性を示す固体電解質体140には電流が流れるものの、固体電解質体140の10倍以上の抵抗値を有する補正抵抗体220にはほとんど電流が流れないため、VSセル245を駆動させることができる。常用温度における固体電解質体140の抵抗値、すなわちVSセル245の素子抵抗(抵抗値)は、その10倍以上の抵抗値を持つ補正抵抗体220の抵抗値に対し、無視できるほど十分に小さいため、VSセル245と電気的に並列接続されている補正抵抗体220が、VSセル245の駆動に影響を及ぼすことはない。
ここで、補正抵抗体220に補正情報を反映させるためには、個々のセンサ素子10ごとに、補正抵抗体220の抵抗値を調整する必要がある。前述したように、補正抵抗体220は、センサ素子10の本体部13において、主面16に設けられている。すなわち、センサ素子10の外面に、補正抵抗体220が設けられており、ゆえに、センサ素子10の形成後でも、補正抵抗体220に容易に加工を加えることができる。そこで、本実施の形態では、補正抵抗体220の抵抗値の調整を、センサ素子10の形成後に、レーザ等を用いて補正抵抗体220をトリミングすることによって、行っている。トリミングの方法には公知の方法を用いればよく、例えば図4に示すように、補正抵抗体220のパターンの一部をレーザで軸線O方向に切り欠いて、電極リード部236,237間を繋ぐ抵抗体が欠けた部分(欠失部221)を形成すればよい。このトリミングでは、欠失部221を長く形成するほど、電極リード部236,237間の抵抗値を大きくすることができる。
なお、欠失部221を設ける形態での補正抵抗体220の抵抗値の調整手法は、例えば、以下の通りである。まず、事前に製造されたセンサ素子10の既知の酸素濃度雰囲気(例えば、大気雰囲気)下でのポンプ電流Ipに基づく検出信号(後述)を取得し、取得した検出信号が狙いの検出信号の値となるための補正係数を算出する。そして、予め設定された、補正係数と補正抵抗体220の抵抗値との関係から、補正抵抗体220として設定する設定抵抗値を求め、設定抵抗値となるように補正抵抗体220の抵抗値を測定しながら欠失部221を形成することで、補正抵抗体220が形成されるセンサ素子10に適合した抵抗値(設定設定値)を有する補正抵抗体220を形成している。このようにすれば、補正抵抗体220の抵抗値(厳密には補正抵抗体220の両端に接続される電極リード部236,237間の抵抗値)を任意に、かつ容易に調整することができ、また、精度も高い。もちろん、トリミング後の補正抵抗体220の抵抗値が、固体電解質体140の常温における抵抗値よりも低い値を示し、常用温度(例えば800℃)における抵抗値の10倍以上の値を示すよう、トリミング前の補正抵抗体220の形成長さや、トリミングにより形成する欠失部221の長さを調整することは、言うまでもない。
なお、保護層224は、トリミング前の補正抵抗体220を覆って形成される。そして、トリミングの際に保護層224も同時に溶解することで、補正抵抗体220に圧縮応力を与えることができ、熱の影響によって生じる引張り応力により補正抵抗体220のクラックを抑制できる。
このようなセンサ素子10を備えた酸素センサ1は、図5に示す、センサ駆動装置250に接続され、ECU280において実行されるセンサ制御プログラム(後述)に従って駆動される。以下、酸素センサ1、センサ駆動装置250およびECU280によって構成される制御システム290の電気的な構成について説明する。なお、図5に示す酸素センサ1は、電気的な接続状態について図示したものであるが、その中に示されるセンサ素子10は、図2に示すA−A線でセンサ素子10を切断して矢視方向にみた断面を模式的に示したものである。
センサ駆動装置250は、ポンプ電流駆動回路251、電圧出力回路252、微小電流供給回路253、基準電圧比較回路254、ラベル抵抗読取回路255等を備える。酸素センサ1およびセンサ素子10については前述した通りであり、酸素センサ1は、センサ素子10の各電極パッド231〜235に接続されるリード線69を介して、センサ駆動装置250の上記各回路に接続されている。また、センサ駆動装置250は、図示しない通信回路を介してECU280に接続されており、上記の各回路の駆動状態が、ECU280からの指示に応じて制御される。
微小電流供給回路253は、VSセル245の電極201側から電極191側へ、一定の電流値の微小電流Icpを通電する。微小電流供給回路253はセンサ素子10の電極パッド233に接続されており、微小電流供給回路253による微小電流Icpの通電により、電極201側に酸素が汲み込まれ、電極201が酸素基準電極として機能する。電圧出力回路252は、VSセル245の電極191,201間に発生する起電力Vsを検出する回路であり、センサ素子10の電極パッド233および電極パッド232に接続されている。また、基準電圧比較回路254は、あらかじめ定められた基準電圧(本実施の形態では450mV)を内部に保持しており、電圧出力回路252にて検出した起電力Vsと基準電圧との比較を行い、比較結果をポンプ電流駆動回路251にフィードバックする回路である。そして、ポンプ電流駆動回路251は、基準電圧比較回路254から受け取った比較結果に基づいて、IPセル240に流すポンプ電流Ipの大きさ及び流す向きを制御する回路であり、電極パッド231および電極パッド232に接続されている。
また、ラベル抵抗読取回路255は、センサ素子10の補正抵抗体220から補正情報(補正係数K)を反映した抵抗値を読み取るための回路である。上記したように、補正抵抗体220は、VSセル245の一対の電極191,201への通電を行う一対の通電経路に接続されると共に、VSセル245に対して電気的に並列接続されている。この補正抵抗体220の抵抗値を読み取るため、ラベル抵抗読取回路255は、センサ駆動装置250内で、センサ素子10の電極パッド232,233との接続ライン(つまり一対の電極191,201への通電のための一対の通電経路)に並列に接続されている。なお、補正抵抗体220の抵抗値の読み取りは、後述するセンサ制御プログラムに従って行われ、本実施の形態では、一定の電流値である微小電流Icpを補正抵抗体220に流し、それに応答して得られる電圧信号を検出し、電圧信号の大きさと微小電流Icpの大きさとに基づき補正抵抗体220の抵抗値を得るようにしている。
次に、ECU280は、公知のCPU281、ROM282、RAM283を備え、さらにヒータ制御回路285を有する。ECU280は、センサ駆動装置250を含めて各種センサから自動車の駆動に関する情報(例えば水温やエンジン回転数など)を収集し、一連のプログラムの実行に従い、それらの情報に基づくエンジンや外部装置の制御を行う。後述するセンサ制御プログラムも、これら一連のプログラムの一つである。各種プログラムや、プログラムに使用される初期値等は、ROM282に記憶されている。また、補正抵抗体220の抵抗値と補正係数K(後述)との関係を表すテーブル(あるいは計算式)も、ROM282に記憶されている。なお、ECU280およびセンサ駆動装置250が、本発明における「センサ制御装置」に相当する。
また、ヒータ制御回路285は、図示しない、公知のセンサ抵抗値検出回路と協働してヒータ3に電圧Vhを印加する回路である。センサ抵抗値検出回路は、具体的に、微小電流供給回路253とは別の電流供給回路(図示外)から、一定の電流変化を、VSセル245に定期的に与え、その電流変化に応答して得られる電圧変化量をセンサ抵抗値信号としてECU280に出力する。ECU280では、センサ抵抗値信号に基づいてセンサ素子10の温度を検出し、検出した温度に基づいてヒータ制御回路285を駆動させ、ヒータ3への印加電圧をPWM通電制御する。より具体的には、センサ素子10の温度が活性化温度(例えば600℃)以上の常用温度(例えば800℃)となるように(換言すれば、センサ抵抗値が常用温度に対応した目標抵抗値となるように)、ヒータ3への印加電圧Vhの大きさを調整する温度制御処理が実行される。これにより、固体電解質体120,140が活性化温度以上に加熱される。なお、ECU280において実行される温度制御処理については、公知の手法を採用して実行すればよく、例えば特開2003−185626号公報にて開示された手法等により実行することができるため、詳細についての説明は省略する。
ここで、酸素センサ1のセンサ素子10によって排気ガス(測定対象ガス)中の酸素(特定ガス)の濃度に応じ、排気ガスの酸素濃度、ひいては空燃比の検出を行うしくみについて、簡単に説明する。ジルコニアからなる固体電解質体を備えるIPセル240およびVSセル245は、ヒータ3により加熱されて活性化する。そして、VSセル245の電極191,201間に生じる電位差(起電力)が一定(本実施の形態では450mV)に維持されるように、IPセル240の電極171,181間に流すポンプ電流Ipを制御する。このとき、ポンプ電流Ipは酸素濃度に比例して流れることができるため、ポンプ電流Ipに基づき排気ガスの酸素濃度、ひいては空燃比をリニアに検出することができるのである。
ところで、上記のように、固体電解質体は、常温では絶縁性を示す。この性質を利用して、本実施の形態では、検出素子2のVSセル245に対し電気的に並列接続された補正抵抗体220の抵抗値の読み取りが行われる。具体的には、ECU280のCPU281により実行されるセンサ制御プログラムに従って、固体電解質体(センサ素子10)の非活性時に補正抵抗体220の抵抗値を読み取る。固体電解質体(センサ素子10)の活性化後は、上記のように、ポンプ電流Ipに基づく検出信号(検出値Vip)を取得すると共に、補正抵抗体220の抵抗値に反映された補正情報を用い、検出値Vipの補正を行う。そして、補正された検出値Vip(補正Vip)をもとに、排気ガス中の酸素濃度ひいては空燃比を求めるのである。以下、センサ制御プログラムの各処理について、説明する。なお、以下の説明において、フローチャートの各ステップを「S」と略記する。
図6のフローチャートに示すように、例えば自動車のエンジンが始動され、ECU280においてセンサ制御プログラムの実行が開始されると、まず、初期化処理が行われ、各種変数やフラグがリセットされる(S11)。このとき、補正抵抗体220の抵抗値の読み取り実施の有無を記す読取フラグも、非成立(ゼロ)の状態に設定される。次に、ヒータ制御回路285が駆動されてヒータ3への通電が開始される(S13)。さらに、センサ駆動装置250に制御信号が発せられ、微小電流供給回路253によるVSセル245への微小電流Icpの通電が行われる(S15)。なお、S15において、微小電流供給回路253にVSセル245への微小電流Icpの通電を行わせるCPU281およびそれを受けて微小電流Icpを供給する微小電流供給回路253が、本発明の「通電手段」に相当する。
そして、図示しないセンサ抵抗値検出回路(前述)によってセンサ抵抗値信号が取得され、ECU280に入力される。ECU280では、このセンサ抵抗値信号に基づいて検出されるセンサ素子10の温度から、センサ素子10の活性化の有無が確認される(S17)。センサ素子10が非活性のうちはS19に進む(S17:NO)。なお、S17で、センサ素子10の活性化の有無を判断するCPU281が、本発明の「判断手段」に相当する。
S19では、補正抵抗体220の抵抗値の読み取りを行なうか否か判定すべく、読取フラグがゼロであるか否か判定する。エンジンの始動直後はS11で読取フラグがゼロに初期化されているので(S19:YES)、ラベル抵抗読取回路255により、補正抵抗体220の抵抗値の読み取りが行われる(S21)。なお、S19で否定判定される(S19:NO)と、S31に進む。上記したように、固体電解質体(センサ素子10)は非活性のうちは酸素イオン導電性を実質的に示さないので、微小電流Icpは、VSセル245に対し電気的に並列接続された補正抵抗体220を流れることになる。ゆえに、ラベル抵抗読取回路255によりVSセル245の一対の電極191,201間の抵抗値を反映した電圧信号(検出値)を読み取れば、補正抵抗体220の抵抗値を得ることができる。なお、S21で、ラベル抵抗読取回路255、および、このラベル抵抗読取回路255を介して補正抵抗体220の抵抗値に対応した対応信号を取得するECU280のCPU281が、本発明の「第一取得手段」に相当する。
前述したように、補正抵抗体220は、センサ素子10の個体ごとにあらかじめ求められた補正情報(補正係数K)に対応した抵抗値を有するように、調整(トリミング)されている。ゆえに、ECU280では、センサ駆動装置250からラベル抵抗読取回路255を介して取得された対応信号から補正抵抗体220の抵抗値を求め、求められた補正抵抗体220の抵抗値と補正係数Kとを関連づけたテーブル(または計算式)が参照され、補正係数Kが求められる(S23)。さらに、読取フラグが成立(換言すれば、読取フラグが1に設定)されて(S25)、以後、S19ではS31に進むようになるので(S19:NO)、エンジンの駆動中に、再度、補正係数Kが求められることはない。そしてS31で所定時間(例えば10msec)の経過を待ち(S31:NO)、経過したら(S31:YES)、S17に戻り、センサ素子10の活性化を待つ(S17:NO、S19:NO、S31:YES)。なお、S23で、補正係数Kを求めるCPU281が、本発明の「算出手段」に相当する。
センサ素子10が活性化したら(S17:YES)、上記したように、VSセル245の両電極191,201間の電位差が一定に維持されるように、IPセル240の電極171,181間に流すポンプ電流Ipが制御される。ECU280では、ポンプ電流Ipに基づく検出信号(検出値Vip)をセンサ駆動装置250から取得し(S27)、S23で求めた補正係数Kを乗じて検出値Vipを補正した補正Vipを求める(S29)。排気ガス中の酸素濃度は、他のプログラムにおいて、上記のようにセンサ素子10の個体差が補正された精確な補正Vipをもとに算出され、エンジンの空燃比フィードバック制御などに利用される。S29の後はS31に進み、以後、継続して、新たな検出信号の取得と補正Vipの算出が行われる。なお、S27で検出信号を取得するECU280のCPU281が、本発明の「第二取得手段」に相当する。また、S29において、S23で求めた補正係数Kを検出信号の検出値Vipに乗じて補正Vipを求めるCPU281が、本発明の「補正手段」に相当する。
上記のように、VSセル245には、微小電流Icpが流される。微小電流Icpは定電流であり、S21において、VSセル245に並列接続された補正抵抗体220にも定電流を通電することで、補正抵抗体の抵抗値を容易に取得することができる。
なお、本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、センサ素子10の補正抵抗体220に対するトリミングは、補正抵抗体220のパターンの一部をレーザでトリミングにより削除することにより、電極リード部236,237間の抵抗値の調整を行った。これに限らず、図7に例示するように、補正抵抗体225自体にはトリミングを行わず、電極リード部246,247側にトリミング可能な部位(リード部248)を設けてもよい。例えば、リード部248をクシ状のパターンに形成し、クシ歯の先端側が、補正抵抗体225で電気的に連結される形態にする。この場合、リード部248のクシ歯の根元側においてパターンの一部をレーザでトリミングして削除し、欠失部249を形成することで、電極リード部246,247間の抵抗値を調整することができる。
また、本実施の形態では補正抵抗体220をセンサ素子10の主面16にパターン印刷し、センサ素子10と一体に設けたが、別体に設けてもよく、VSセル245と電気的に並列接続されれば足りる。例えば、センサ素子10の補正情報に対応した抵抗値を有する抵抗器を、VSセル245と電気的に並列接続となるように、電極パッド232と電極パッド233との間に接続してもよい。この場合、抵抗値の異なる複数の抵抗器を用意しておき、補正情報に対応する抵抗値をもつ抵抗器を選択して用いればよい。さらにこの場合、抵抗器の取り付け位置は、電極パッド232と電極パッド233との間でなくともよく、VSセル245への通電経路上で、VSセル245と電気的に並列接続となれば、酸素センサ1内であってもよいし、センサ駆動装置250内であってもよい。あるいは、電極パッド232と電極パッド233とにそれぞれ接続されるリード線69間に設けてもよい。
また、本実施の形態では、ECU280およびセンサ駆動装置250をセンサ制御装置の一例として挙げたが、センサ駆動装置250に、例えばCPU、ROM、RAMを内蔵したマイクロコンピュータを搭載し、本発明に係るセンサ制御装置として提供してもよい。この場合、上記のセンサ制御プログラムをマイクロコンピュータで実行し、ECU280には補正後の検出信号を出力するようにすればよい。
また、本実施の形態では、いわゆる全領域空燃比センサをガスセンサの一例に挙げ、本発明を適用したが、これに限らず、酸素濃度を二値的に検出する(理論空燃比等の特定空燃比を境にして出力が急変する)タイプの1セル型の酸素センサや、NOxセンサ、HCセンサ等のセンサ素子を用いた各種のガスセンサに、本発明を適用してもよい。
1 酸素センサ
2 酸素ポンプ素子
10 センサ素子
120,140 固体電解質体
220 補正抵抗体
240 IPセル
245 VSセル
250 センサ駆動装置
280 ECU
281 CPU
290 制御システム
K 補正係数
2 酸素ポンプ素子
10 センサ素子
120,140 固体電解質体
220 補正抵抗体
240 IPセル
245 VSセル
250 センサ駆動装置
280 ECU
281 CPU
290 制御システム
K 補正係数
Claims (5)
- 固体電解質体および前記固体電解質体に設けられた一対の電極を有するセルを少なくとも一つ以上備え、前記セルのうちの一つは、前記一対の電極間への定電流の通電により基準酸素源の生成を行う基準酸素生成セルとして機能するガスセンサ素子を有するガスセンサであって、測定対象ガス中の特定ガス濃度に応じた検出信号をガスセンサ素子を介して出力するガスセンサに電気的に接続され、前記検出信号を取得するガスセンサの制御装置であって、
前記ガスセンサ素子の前記基準酸素生成セルには、前記検出信号の補正処理を行うための補正情報が反映された抵抗値を有する補正抵抗体が、電気的に並列接続されており、
前記基準酸素生成セルに前記定電流を通電する通電手段と、
前記固体電解質体の活性状態の有無を判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記固体電解質体が非活性であると判断された場合に、前記基準酸素生成セルに向けて通電した前記定電流に基づいて、前記補正抵抗体の抵抗値に対応した対応信号を取得する第一取得手段と、
前記対応信号に基づいて前記補正情報を算出する算出手段と、
前記判断手段によって前記固体電解質体が活性化したと判断された場合に、前記検出信号を取得する第二取得手段と、
前記補正情報を用いて前記検出信号の補正を行う補正手段と、
を備えたことを特徴とするガスセンサの制御装置。 - 前記補正抵抗体は、前記ガスセンサ素子と一体に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの制御装置。
- 前記補正抵抗体の抵抗値が、常温における前記固体電解質体の抵抗値よりも低く、800℃における前記固体電解質体の抵抗値の10倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサの制御装置。
- 前記補正抵抗体は、前記ガスセンサ素子の外面に設けられており、その抵抗値が、トリミングによって前記補正情報を反映するように調整されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスセンサの制御装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載のガスセンサの制御装置と、
その制御装置に接続され、前記ガスセンサ素子を備えた前記ガスセンサと、
を備えたことを特徴とするガスセンサの制御システム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2010045901A JP2011180042A (ja) | 2010-03-02 | 2010-03-02 | ガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システム |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2010045901A JP2011180042A (ja) | 2010-03-02 | 2010-03-02 | ガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システム |
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|---|---|
| JP2011180042A true JP2011180042A (ja) | 2011-09-15 |
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ID=44691687
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2010045901A Pending JP2011180042A (ja) | 2010-03-02 | 2010-03-02 | ガスセンサの制御装置、ガスセンサの制御システム |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2011180042A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011180041A (ja) * | 2010-03-02 | 2011-09-15 | Ngk Spark Plug Co Ltd | ガスセンサ素子、ガスセンサおよびガスセンサの制御システム |
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-
2010
- 2010-03-02 JP JP2010045901A patent/JP2011180042A/ja active Pending
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