JP2011026991A - 冷媒圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】R600a冷媒を使用する冷媒圧縮機において、一時的に潤滑油が供給されない可能性のある圧縮機のピストン/ロッド部において摩耗や焼付きを防止し、高い耐摩耗性と耐焼付き性を有する摺動材料を用いた長寿命な冷媒圧縮機などを提供することを課題とする。
【解決手段】作動冷媒にR600a(イソブタン)を用いた冷媒圧縮機において、摺動部材の表面処理法として、基材表面に拡散浸透層を確実に形成できるようにするため下層に純クロムの膜層,中間層としてタングステンカーバイト層,Me−DLC層を形成し、最上部にDLC処理を施し、DLCコーティング層を形成することにより焼付きや異常摩耗を起こすことを防ぐことができ、長寿命な冷媒圧縮機及びそれを備えた冷凍装置を実現できる。
【選択図】 図9
【解決手段】作動冷媒にR600a(イソブタン)を用いた冷媒圧縮機において、摺動部材の表面処理法として、基材表面に拡散浸透層を確実に形成できるようにするため下層に純クロムの膜層,中間層としてタングステンカーバイト層,Me−DLC層を形成し、最上部にDLC処理を施し、DLCコーティング層を形成することにより焼付きや異常摩耗を起こすことを防ぐことができ、長寿命な冷媒圧縮機及びそれを備えた冷凍装置を実現できる。
【選択図】 図9
Description
本発明は、冷蔵庫,エアコン等に用いられる密閉形冷媒圧縮機に関し、特に往復運動するピストンを有する密閉形冷媒圧縮機に関する。
近年、地球環境保全といった観点から冷凍サイクルの冷媒はHFC(ハイドロフルオロカーボン)から自然系冷媒に移行している。特に炭化水素冷媒については地球温暖化係数が低いという観点から既に冷蔵庫ではR600a(イソブタン)が用いられている。
一方、冷凍機油は冷媒圧縮機に使用され、その摺動部の潤滑,密封,冷却,絶縁等の役割を果たすものである。近年、圧縮機は省エネルギー化,小型化,低騒音化,高効率化が要求され、これに伴って冷凍機油の使用条件が苛酷化している。このため、圧縮機の信頼性確保の面から潤滑性が要求されている。
さて、冷蔵庫の圧縮機としては、往復運動をするピストンを有する密閉形冷媒圧縮機として、クランクシャフトとピストンとをコンロッドで連結し、回転運動するシャフトの運動を往復運動に変える構造が一般的である。この中でピストンとコンロッドの連結構造としては特開2004−27969号(特許文献1)に記載のようにピストンとコンロッドとの連結部にピストンピンを用いており、このピストンピンが軸となるような構造として両者が連結される構造となっている。
また、圧縮機のピストンとコンロッドとのボールジョイント構造としては特開2003−214343号(特許文献2)のように窒化処理及び燐酸マンガン処理を球面受け穴(ボール受け穴)やボール部の両方若しくは一方に施し、球面に高炭素クロム鋼材を使用した構造が知られている。
更に、ボールジョイント構造において回転規制部をコンロッド側ではなくピストン側に設けた構造のものが特開2007−64199号(特許文献3)に知られている。
また、DLC処理としては、摺動部品であるベーン材にDLC−Si皮膜をコーティングした密閉型圧縮機が特開2007−100517号(特許文献4)に知られている。
また、R600a(イソブタン)用冷凍機油としてナフテン系鉱油やパラフィン系鉱油が冷媒との相溶性が良く、安価であることから広く使われている。
しかしR600a(イソブタン)は、これら冷凍機油との相溶性が高いことから、冷媒/冷凍機油混合液の粘度低下から発生する圧縮機の潤滑不良が懸念される。また、R600a(イソブタン)は分子中に塩素やフッ素を含まないため、冷媒自体の潤滑性が望めない。
そのため、潤滑性を上げるため冷凍機油として高潤滑性のポリオールエステル油を用いる方法が特開2007−248020号(特許文献5)に示されている。
上記特許文献1はピストンとコンロッドの連結をピストンピンによって行っているが、この連結構造はピストン側に挿入されるピストンピンを軸としてコンロッド側に軸受部を有している。従って、ピストン側の軸がコンロッド側の軸受けに傾いて挿入されると摺動に関して問題が生じる場合があった。すなわち、ピストンピンとコンロッドの間の摺動部が局所的になり、このとき両者の接触面圧も過大となるため、摺動部の摩耗等によって信頼性の低下を招くことにもなり得る。特許文献1では潤滑油の供給を安定化して信頼性の向上を図っているが、軸構造に起因して発生する摺動部の局所化自体を解決するものではなかった。
上記特許文献2はボールジョイント方式によってピストンとコンロッドを連結する構造を採用している。ピストンに設けられる球座を塑性加工により成型しているため上記のような問題は生じないがピストンとコンロッドの間の摺動に問題が生じ得る構造であった。すなわち連結状態を確保するため、球座部分を閉じる方向に加工されているため、連結部に供給される潤滑油の通路が狭くなってしまい、潤滑油が十分に供給されない場合がある。従って、連結部分への潤滑油の供給を十分に行えず、球面軸受部の温度上昇及び損傷を招く可能性があった。
更に、球面(ボール)に高炭素クロム鋼材を用いた場合には、高炭素クロム鋼材の硬度が高いため、加工性に問題が生じていた。すなわち、耐摩耗性が高いだけでなく、加工性にも優れた材料が求められていた。
上記特許文献3は回転規制部をピストン側に設けピストンとコンロッドの相対的な回転を規制し、ピストンとコンロッドには加工性を向上させるため酸化膜により封孔処理された鉄系焼結材を用いた。しかしながら、圧縮機の性能向上として冷凍機油の低粘度化が進むにつれ摺動部への冷凍機油の供給性及び油膜形成性が低下することから、周囲の条件によっては圧縮機起動時に無給油状態になり、ロッドとピストン間の摩耗が増加する可能性がある。このことから、摺動部の耐摩耗性を十分に確保する必要がある。
上記特許文献4は圧縮機の摺動部品の基材に窒化処理を施して窒化拡散層を形成し、更に窒化拡散層の上にDLC−Si処理を施した密閉型圧縮機が記載されている。しかしながら、DLC−Si皮膜はDLC中にSiを含んでおり、摩擦係数の低減は期待できるが摩耗量、いわゆる耐摩耗性の面に問題がある。
上記特許文献5は冷凍機油であるポリオールエステル油が水分共存化において加水分解を起こしやすく、冷凍サイクルの閉塞や摺動部における腐食摩耗の原因にもなる。また、低粘度化が進むと油膜形成も難しくなり摺動部発熱による冷凍機油の劣化についても対応が必要となってくる。
したがって、自然系冷媒であるイソブタンを使用した冷媒圧縮機においては、従来の冷媒圧縮機と比較して、摺動部の耐摩耗性を向上させることができ、信頼性の高い密閉形冷媒圧縮機が望まれている。つまり、一時的に潤滑油が供給されない可能性のある圧縮機のピストン/ロッド部において摩耗や焼付きを防止し、高い耐摩耗性と耐焼付き性を有する摺動材料を用いた長寿命な冷媒圧縮機およびこれを使用した冷凍サイクル装置を提供することにある。
そこで、本発明は、長寿命な冷媒圧縮機およびこれを使用した冷凍サイクル装置を実現することを目的とする。
上記本発明の目的は、
密閉容器内に圧縮要素と電動要素を収納し、前記電動要素部で駆動されるクランクシャフトとピストンがコンロッドによりボールジョイント構造で連結される密閉型圧縮機において、
前記ボールジョイント部にDiamond Like Carbonコーティング(DLCコーティング)層を形成する
ことによって達成される。
密閉容器内に圧縮要素と電動要素を収納し、前記電動要素部で駆動されるクランクシャフトとピストンがコンロッドによりボールジョイント構造で連結される密閉型圧縮機において、
前記ボールジョイント部にDiamond Like Carbonコーティング(DLCコーティング)層を形成する
ことによって達成される。
本発明によれば、長寿命な冷媒圧縮機およびこれを使用した冷凍サイクル装置を提供することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
図1は、本発明であるレシプロ方式による密閉形冷媒圧縮機の断面図である。
この冷媒圧縮機は、油溜めを兼ねた密閉ケース内に設けられた軸受け部1a及びフレーム1bと一体に成形されたシリンダ1内をピストン4が往復動して圧縮機要素を構成するレシプロ型の圧縮機である。
フレーム1bの下部には電動要素として電動機を構成するステータ5及びロータ6が備えられており、クランクシャフト7の回転中心から偏心した位置に、クランクピン7aが設けられている。
クランクシャフト7はフレームの軸受部1aに貫通してフレーム1bの下部から上部へ延伸しており、クランクピン7aがフレーム1bの上方側に位置するように設けられている。クランクシャフト7の下部はロータ6と直結しており、電動機の動力によってクランクシャフト7は回転する。クランクピン7aとピストン4との間はコンロッド2で連結されており、クランクピン7a及びコンロッド2を介してピストン4が往復動する構成となっている。
即ち、本実施例の密閉型冷媒圧縮機は密閉容器内にシリンダ1,ピストン4等の圧縮要素と、電動機等の電動要素が収納されており、クランクシャフト7によって電動要素からの回転力をピストン4に伝える構成を前提としている。クランクシャフト7とピストン4とは、コンロッド2によりボールジョイント構造で連結されている。
圧縮要素のピストンについて図2〜図4を用いて詳細に説明する。
図2はピストン4をクランクシャフト7側から見た、つまり、図1の左向きに見た、ピストン4の内部側を示す図でありボール受け部(内球面)4aを有している。図3は図2のA−A断面図である。図4は図2のB−B断面図である。ピストンのボール受け部(内球面)4aはA−A断面ではコンロッド2のボール(外球面)2aを含む形状である。イメージとしては、図5のコンロッド2のジョイント部端面2eの法線が上向きのまま、図2のピストンに嵌っているイメージである。但し、ピストン4のA−A断面は図3のような形状をしているので、図5の方向のままでは、コンロッド2はピストン4に嵌らない。一旦、コンロッド2を90度に回転して、ピストン4に挿入し、コンロッド2を90度元に戻すように回転することでコンロッド2がピストン4に嵌め合わされる。
図5を見れば分かるように、y軸周りの回転に対するボールジョイント部、つまりボール(外球面)2aの摺動面積は小さく、z軸周りの回転に対するボール(外球面)2aの摺動面積は大きい。従って、B−B断面ではA−A断面よりも摺動面積が少ないボールジョイント構造となり、潤滑油の通る経路が短いため、潤滑油が流れやすく、十分に潤滑油が供給できる構造になる。なお、図5に記載したxyz軸は単なる説明のためにのみ記載したものである。x軸は後述の給油孔2dの中心を通るようにし、z軸はクランク軸受部2bの中心を通るようにしたものである。
図5はコンロッド2の斜視図である。コンロッド2はピストン4のボール受け部(内球面)4aに挿入されるボール(外球面)2aとクランクシャフト7aが挿入されるクランク軸受部2bと、ボール(外球面)2aとクランク軸受部2bを繋ぐロッド部2cから構成されている。給油孔2dは、ボール(外球面)2a及びロッド部2cの内部を貫通するように設けられる。潤滑油は、この給油孔2dを流れてクランク軸受部2bからボール(外球面)2aの摺動部に供給される。また、ボール(外球面)2aはピストン4のボール受け部(内球面)4aと同様に球面の一部を切り欠いた構造となっている。この切り欠きによって端面2eが得られる。従って、B−B断面側、つまりy軸周りの回転に対するボール(外球面)2aの摺動面積は小さい。つまり、潤滑油の通る経路が短いので、潤滑油が流れやすく十分に潤滑油が供給できる構造になる。
図6は回り止めを示す斜視図である。図7はボールジョイント構造の斜視図である。コンロッド2は回り止め10によりボールジョイントされたボール(外球面)2aがボール受け穴(内球面)4aから脱落しないように、ボール(外球面)2aの回り止めを行う。
ボール受け穴(内球面)4aに対するボール(外球面)2aの回動は、コンロッド2のロッド部2cが首を振るような揺動の回動運動になる。つまり、z軸に平行なクランクシャフト7の軸心周りにz軸自体が、自転せず、公転することになる。ボールジョイント部は、z軸を中心とした時の公転運動として、ボール(外球面)2aとボール受け穴(内球面)4aとが相対運動する。更に言えば、ボール(外球面)2aはボール受け穴(内球面)4aの中で左右に数十度の範囲で自転し、行ったり来たりしていることになる。
ボール受け穴(内球面)4aに対するボール(外球面)2aの回動は、コンロッド2のロッド部2cが首を振るような揺動の回動運動になる。つまり、z軸に平行なクランクシャフト7の軸心周りにz軸自体が、自転せず、公転することになる。ボールジョイント部は、z軸を中心とした時の公転運動として、ボール(外球面)2aとボール受け穴(内球面)4aとが相対運動する。更に言えば、ボール(外球面)2aはボール受け穴(内球面)4aの中で左右に数十度の範囲で自転し、行ったり来たりしていることになる。
ピストン4及びコンロッド2は鉄系の焼結材(鉄を主成分とした焼結材)を採用している。焼結材の空孔の封孔処理にはスチーム処理を行っており酸化皮膜を形成することで空孔内に加工油等の工程副資材が入ったまま製品に組み込まれることを防いでいる。これらの工程副資材がサイクル内に持ち込まれた場合、運転中にサイクル内に溶出して冷凍機油の劣化を促進する虞がある。また、空孔処理を行っていない場合、空孔内に潤滑油が吸収されてしまい摺動部の油膜形成が不十分になる。また、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング層を確実に形成できるようにするため酸化皮膜層を作り表面の粗さ加工を施した後DLC処理を行う。
このDLC処理はボールジョイント部のボール(外球面)2aに施すことにより摺動部の耐摩耗性を向上させ、摺動部の摩耗損傷を低減するものである。
図8に冷凍装置用の冷凍サイクル構成図を示す。冷媒圧縮機11,凝縮器12,減圧装置13,蒸発器14よりなる冷凍装置において、冷媒圧縮機11は、低温低圧の冷媒ガスを圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出し凝縮器12に送る。凝縮器12に送られた冷媒ガスは、その熱を空気中に放出しながら高温高圧の冷媒液となり、減圧装置13に送られる。減圧装置13を通過する高温高圧の冷媒液は絞り効果により低温低圧の湿り蒸気となり蒸発器14へ送られる。蒸発器14に入った冷媒は周囲から熱を吸収して蒸発し、蒸発器14を出た低温低圧の冷媒ガスは圧縮機11に吸い込まれ、以下同じサイクルが繰り返される。この冷凍サイクルにおいて、冷凍機等では低温度の蒸発器温度(−40℃以下)を必要としている。ここで冷媒との相溶性が悪い冷凍機油を使用すると熱交換器や膨張機構で冷媒と分離した冷凍機油が蓄積し、圧縮機への油戻り性が落ちる。
本実施例の冷媒はR600a(イソブタン)であり、分子中に塩素を含んでいないことから、冷媒自身の潤滑性が期待できず、圧縮機の耐摩耗性を低下させる。前記に記載の冷凍機油を用いることで、冷媒/冷凍機油混合液の潤滑性を確保できる。前記したポリオールエステル油としては、多価アルコールと1価の脂肪酸とから合成され、熱安定性に優れるヒンダードタイプが好ましい。例えば、多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールがある。1価の脂肪酸としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−メチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等があり、単独で又は2種類以上の混合脂肪酸にして用いる。
特に冷凍機油に基油としては分子中にエステル結合を少なくとも2個保有する式(1),(2)又は(3)で示される脂肪酸のエステル油の郡から選ばれる少なくとも1種類が好ましい。
(R1−CH2)2−C− (CH2−O−CO−R2)2 ・・・・(1)
(式(1)中、R1は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は、それぞれ独立して炭素数5〜12のアルキル基を表す)
(R1−CH2)−C− (CH2−O−CO−R2)3 ・・・・(2)
(式(2)中、R1およびR2は、前記と同義である)
C− (CH2−O−CO−R2)4 ・・・・(3)
(式(3)中、R2は、前記と同義である)
冷凍機油の粘度(JIS K2283で測定)に関しては、レシプロ式圧縮機の場合では40℃における動粘度が5〜15mm2/sの範囲が好ましい。粘度5mm2/s未満の場合は冷媒が溶解した粘度が低くなってしまい、圧縮機内部での油膜が十分に保持されず潤滑性が保てない。更には圧縮部のシール性も保てない。これに対して粘度15mm2/sを越えると粘性抵抗,摩擦抵抗等の機械損失が増大し、圧縮機効率を低下させる。
(式(1)中、R1は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は、それぞれ独立して炭素数5〜12のアルキル基を表す)
(R1−CH2)−C− (CH2−O−CO−R2)3 ・・・・(2)
(式(2)中、R1およびR2は、前記と同義である)
C− (CH2−O−CO−R2)4 ・・・・(3)
(式(3)中、R2は、前記と同義である)
冷凍機油の粘度(JIS K2283で測定)に関しては、レシプロ式圧縮機の場合では40℃における動粘度が5〜15mm2/sの範囲が好ましい。粘度5mm2/s未満の場合は冷媒が溶解した粘度が低くなってしまい、圧縮機内部での油膜が十分に保持されず潤滑性が保てない。更には圧縮部のシール性も保てない。これに対して粘度15mm2/sを越えると粘性抵抗,摩擦抵抗等の機械損失が増大し、圧縮機効率を低下させる。
本実施例では前記した冷凍機油に、酸化防止剤,酸捕捉剤,消泡剤,金属不活性剤等を添加しても問題はない。特にポリオールエステル油は酸化劣化を起こしやすく、吸湿性が高いことから水分持ち込み量が増加してPETフィルム等のモータ絶縁材料の加水分解による劣化が生じる可能性が高く、酸化防止剤または酸捕捉剤の配合が必要である。酸化防止剤としては、フェノール系であるDBPC(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)が好ましい。酸捕捉剤としては、エポキシ系,カルボジイミド系などがあるが、脂肪族のエポキシ化合物が一般的に用いられる。
図9は、本実施例の表面処理における内部構成を示す部分図である。また、図10に従来の表面処理における内部構成示す。従来はコンロッド2の基材にスチーム処理を施して酸化皮膜層15を形成したのみであったが、摺動部材の耐摩耗性を向上させるため、表面にDLC処理を施した。表面処理層の構成としては、まず摺動部材の基材表面に拡散浸透層を確実に形成できるようにするため、下層として純クロムの膜層16を配し、拡散浸透層(中間層)としてタングステンカーバイト層17及びMe−DLC層(Metal- Diamond Like Carbon)18を形成し、最上部にDLC(Diamond Like Carbon)処理を施し、DLCコーティング層19を形成する。
DLCコーティング層19は、炭素がダイアモンド結合とグラファイト結合を含むアモルファス結合をしているものである。特徴として、ダイアモンド構造を含むため非常に高硬度であり、また結晶粒界を持たないため成膜後の表面が平滑で、更にグラファイト結合により潤滑性があり低摩擦である。DLC皮膜を保護膜とすることで、硬度が大幅に向上し、そのため保護膜の膜厚を薄くできる。これにより、成膜時の膜厚精度の向上を図ることができる。
膜厚が2μm以下では十分な膜厚に至らず、表面層が摩耗して消失した場合、基材が直接接触することになり、摩耗量が増大する。また、本実施例のDLC処理法は成膜温度250℃以下のスパッタリング法であり、最大膜厚が5〜6μmである。従って、DLCコーティングの総膜厚は2〜6μmとする。更に、低摩擦かつ表面が平滑であることから摺動部の焼付きや摩耗等の課題に対して、大幅な改善を図る作用を有する。拡散浸透層が存在することにより基材とDLCコーティング層の密着性が向上する。前記摺動部材は、その摺動面は耐焼付き性及び耐摩耗性が良好なDLCであるため、固体接触した場合でも金属接触特有のアグレッシブ摩耗や焼付きが発生しにくくなる。
図11は本実施例のDLC皮膜の耐摩耗性を確認するために行った摩耗試験による摩耗係数比較を行ったものである。試験方法はプレート/リング方式の摩耗試験機を用いた。試験片としてプレートはSKH51、リングは14EPCにスチーム処理を施したのちDLC皮膜を成膜した。DLC皮膜の膜厚は2.5μmとした。比較例としてはDLC無処理の14EPC材を用いた。潤滑油なし、摺動速度0.12m/s,面圧9.8MPaで負荷した摩耗試験の結果、DLC処理を施した14EPC材は、無処理の14EPC材と比較すると摩擦係数は約1/2に減少した。無処理のものは2.5hr時点で試験片が完全に摩耗してしまい、試験を中断した。
図12は前記摩耗試験における摩耗量を示したものである。DLCコーティングを施したものの摩耗量は1μmであるのに対し、無処理のものは試験片が完全に摩耗してしまったため、摩耗量は3000μm、つまり3mmとなった。
これらの結果により、本実施例の摺動部材は無潤滑下においても高い摺動特性を有することが分かる。
以上、上述したDLC皮膜を成膜した摺動部材を使用すれば、CFC冷媒及びHCFC冷媒は勿論、塩素を含まないために潤滑性が劣るHFC冷媒及びHC冷媒、また超高圧状態となる自然系冷媒を使用する冷媒圧縮機への適用が可能であり、かつ圧縮機の高性能及び高信頼性を提供できる。更に、上述の冷媒圧縮機を用いた空調機,冷凍機、及び給湯機への適用が可能であると共に、高性能及び高信頼性化を提供できる。
以上を踏まえて図9に示す構成のコンロッド2を搭載した密閉形冷媒圧縮機を用いての45日の実機評価試験を行った。冷媒としてR600a、冷凍機油として40℃における動粘度が8mm2/sであるポリオールエステル油を用いた。様々な要因から±2mm2/s程度であっても実際には同等である。この冷凍機油には酸化防止剤と酸捕捉剤が添加されている。試験後のボールジョイント部に異常摩耗が発生することはなく、冷凍機油においても劣化は見られなかったため良好な特性が維持できた。
以上により得られる圧縮機と、凝縮器,膨張機構,蒸発器、そしてまた前記圧縮機とを順次冷媒配管で接続して冷凍サイクル装置とすれば、信頼性の高い冷凍サイクル装置を得ることができる。以上の実施例によれば、ピストンやロッドといった摺動部材が無給油状態で摩擦係数が上昇するような場合でも耐摩耗性を保ち摺動摩耗を低減することができる。
1 シリンダ
2 コンロッド
2a ボール
4 ピストン
4a ボール受け穴
7 クランクシャフト
11 圧縮機
12 凝縮機
13 膨張機構
14 蒸発機
15 酸化皮膜層
16 純クロムの膜層
17 タングステンカーバイト層
18 Me−DLC層
19 DLCコーティング層
2 コンロッド
2a ボール
4 ピストン
4a ボール受け穴
7 クランクシャフト
11 圧縮機
12 凝縮機
13 膨張機構
14 蒸発機
15 酸化皮膜層
16 純クロムの膜層
17 タングステンカーバイト層
18 Me−DLC層
19 DLCコーティング層
Claims (10)
- 密閉容器内に圧縮要素と電動要素を収納し、前記電動要素部で駆動されるクランクシャフトとピストンがコンロッドによりボールジョイント構造で連結される密閉型圧縮機において、
前記ボールジョイント部にDiamond Like Carbonコーティング(DLCコーティング)層を形成した冷媒圧縮機。 - 請求項1において、
前記ピストンおよび前記コンロッドは鉄を主成分とした焼結材としたことを特徴とした冷媒圧縮機。 - 請求項2において、
前記ピストンおよび前記コンロッドの表面に酸化皮膜を形成したことを特徴とした冷媒圧縮機。 - 請求項3において、
前記DLCコーティング層の下層として、純クロムの膜層,中間層としてタングステンカーバイト層,Metal-Diamond Like Carbon層(Me−DLC層)を形成し、このMe−DLC層の上に前記DLCコーティング層を形成したことを特徴とする冷媒圧縮機。 - 請求項4において、
前記DLCコーティング層の総膜厚を2〜6μmとしたことを特徴とする冷媒圧縮機。 - 請求項1乃至5の何れかにおいて、
冷媒としてR600aを用いたことを特徴とする冷媒圧縮機。 - 請求項6において、
前記R600aと共に冷凍機油を用い、当該冷凍機油の動粘度が40℃の動粘度で5〜15mm2/Sであることを特徴とする冷媒圧縮機。 - 請求項7において、
前記冷凍機油としてポリオールエステル油を用い、その動粘度が40℃の動粘度で6〜10mm2/Sであることを特徴とする冷媒圧縮機。 - 請求項8において、
前記ポリオールエステル油に酸捕捉剤または酸化防止剤のうち少なくとも一種が添加されていることを特徴とする冷媒圧縮機。 - 圧縮機,凝縮器,膨張機構および蒸発器、そしてまた前記圧縮機とを順次冷媒配管で接続して冷凍サイクル装置において、
前記圧縮機を請求項1記載の圧縮機としたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
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