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JP2011014651A - プリント配線板用銅箔 - Google Patents

プリント配線板用銅箔 Download PDF

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JP2011014651A
JP2011014651A JP2009156078A JP2009156078A JP2011014651A JP 2011014651 A JP2011014651 A JP 2011014651A JP 2009156078 A JP2009156078 A JP 2009156078A JP 2009156078 A JP2009156078 A JP 2009156078A JP 2011014651 A JP2011014651 A JP 2011014651A
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Hideki Furusawa
秀樹 古澤
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JX Nippon Mining and Metals Corp
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Abstract

【課題】 絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れ、ファインピッチ化に適したプリント配線板用銅箔を提供する。
【解決手段】 銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したCu−Ni合金層及びCr層で構成され、該被覆層には、Niが15〜440μg/dm2、Crが18〜180μg/dm2の被覆量で存在するプリント配線板用銅箔。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線板用の銅箔に関し、特にフレキシブルプリント配線板用の銅箔に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。そのため、プリント配線板用の銅箔には絶縁基板との接着性やエッチング性が要求される。
絶縁基板との接着性を向上させる技術として、粗化処理と呼ばれる銅箔表面に凹凸を形成する表面処理を施すことが一般に行われている。例えば電解銅箔のM面(粗面)に硫酸銅酸性めっき浴を用いて、樹枝状又は小球状に銅を多数電着せしめて微細な凹凸を形成し、投錨効果によって接着性を改善させる方法がある。粗化処理後には接着特性を更に向上させるためにクロメート処理やシランカップリング剤による処理等が一般的に行われている。
銅箔表面に錫、クロム、銅、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケル等の金属層又は合金層を形成する方法も知られている。
銅箔に接着させる絶縁基板にはポリイミドが使用されることが多いので、ポリイミドとの接着強度が高いクロムを銅箔表面に被覆する方法が一般的である。
また、このようにポリイミドで形成された絶縁基板に銅箔を接着させているとき、銅箔のCu原子またはCu酸化物がポリイミド側へ拡散すると、接着界面近傍のポリイミド層が脆弱になり、当該部分が剥離の起点になる。このような問題に対し、平滑な銅箔表面に、ポリイミド層へのCu原子の拡散を防止する第1の金属層を形成し、当該第1の金属層上に、第2の金属層として、絶縁基板との接着性が良好なCr層をエッチング性が良好な程度に薄く形成することで、絶縁基板との良好な接着性及び良好なエッチング性を同時に得ようとする技術が研究・開発されている。
銅箔表面にクロム層を被覆する方法としては、湿式処理方法や乾式処理方法等がある。このうち、湿式処理でクロム層を表面に被覆する方法としては、銅箔表面にZn層またはZn合金層を形成し、さらに当該層上にクロメート層を形成する方法と、銅箔表面にZnを含有しない層を形成し、当該層上にクロメート層を形成しない方法とがある。前者の例は特許文献1に開示されており、後者の例は特許文献2に開示されている。Zn層またはZn合金層上にクロメート層を形成する場合では、Zn層またはZn合金層中のZnと溶液中のCr6+との間で置換反応が起こり、Crの水酸化物が析出する。当該方法では、Crは水酸化物の状態で析出する。このため、析出したCrの価数は0価ではなく、ポリイミドとの接着性に優れるとされる3価となっている。
また、乾式処理を用いた方法が、特許文献3に開示されている。特許文献3には、銅箔の表面にNi−Cr合金層を形成し、当該合金層の表面に所定の厚さの酸化物層を形成することにより、銅箔表面が平滑でアンカー効果が低い状態においても樹脂基材との接着性が大幅に上昇することが記載されている。そして、表面に1〜100nmのNi−Cr合金層が蒸着形成され、該合金層の表面に厚さ0.5〜6nmのCr酸化物層が形成され、かつ最表面の平均表面粗さRzJISが2.0μm以下である、プリント配線基板用銅箔が開示されている。
特開2005−344174号公報 特開2007−007937号公報 特開2007−207812号公報
上述した種々の従来技術において、ファインピッチの回路形成の観点からは、粗化処理により接着性を向上させる方法は不利である。すなわち、ファインピッチ化により導体間隔が狭くなると、粗化処理部がエッチングによる回路形成後に絶縁基板に残留し、絶縁劣化を起こすおそれがある。これを防止するために粗化表面すべてをエッチングしようとすると長いエッチング時間を必要とし、所定の配線幅が維持できなくなる。
また、接着強度の観点からは、平滑な銅箔表面にポリイミドを積層させた方法は、粗化処理面にポリイミドを積層させる方法に比べて不利である。これは、粗化処理面ではアンカー効果によって接着強度が得られるのに対し、粗化処理を行わない場合ではアンカー効果が得られず、さらに、Cu原子がポリイミド中に拡散することで、界面近傍のポリイミド層が脆弱になり、当該部分が剥離の起点になるからである。
さらに、平滑な銅箔表面に、例えばNi層やNi−Cr合金層を設ける方法は、絶縁基板との接着性という基本特性において改善の余地が大きい。また、銅箔表面に、例えばCr層を設ける方法は、室温では比較的高い接着性が得られるが、この積層体が熱履歴を受けた場合、層の厚さが薄いとCu由来のCu原子がCr層を通過してポリイミド層まで拡散して、接着強度が劣化する。さらに、Cu原子の拡散防止に十分なほどCr層が厚いと、表面処理層のエッチング性が劣る。これは、回路パターン形成のためにエッチング処理を行った後に、Crが絶縁基板面に残る「エッチング残り」が生じやすいという問題を引き起こす。
また、特許文献1及び2に記載された表面処理層は、電気めっきで形成されている。この時、銅箔自体が電気化学反応の電極として作用する。銅箔の表面はオイルピットなどの凹凸を有し、さらに表面近傍には数100nmの介在物が存在しているため、当該部分は電子の流れが阻害され、極薄の表面処理層を均一な厚さで形成し、ポリイミドとの接着性とエッチング性を両立することは困難である。
さらに、ポリイミドとの接着性に有効なCrを銅箔表面に付着させるためにはZn層またはZn合金層上にクロメート層を形成する必要があるが、特許文献1に記載されたように、Ni−Zn合金層上にクロメート層を形成した場合、接着界面近傍におけるクロム酸化物濃度が低くなり、高い接着強度を得られないことを本発明者らは見出した。また、特許文献2に記載されたように、Zn層またはZn合金層上にクロメート層を形成しない場合には、ZnとCr6+との間の置換反応を利用することができないため、Crの付着量に限界がある。
そこで、本発明は、絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れ、ファインピッチ化に適したプリント配線板用銅箔を提供することを課題とする。
従来、被覆層を薄くすると接着強度が低下するということが一般的な理解であった。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討の結果、銅箔基材表面に順にCu-Ni合金層及びCr層をナノメートルオーダーの極薄の厚さで均一に設けた場合には、優れた絶縁基板との密着性が得られることを見出した。各層の厚さを極薄にすることでエッチング性の低いCrの使用量が削減され、被覆層の厚さが均一であることからエッチング性に有利である。また、Cu−Ni合金層が形成されていることにより、銅箔表面の被覆層の基材との密着性が良好となり、これにより銅箔と絶縁基板との優れた密着性が得られる。さらに、湿式めっきに比べて、接着界面近傍のクロム酸化物の濃度を高くすることができ、優れた絶縁基板との密着性を得ることができる。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したCu−Ni合金層及びCr層で構成され、該被覆層には、Niが15〜440μg/dm2、Crが18〜180μg/dm2の被覆量で存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の一実施形態においては、被覆層には、Crが30〜145μg/dm2の被覆量で存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の別の一実施形態においては、被覆層には、Crが36〜75μg/dm2の被覆量で存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚さが0.5〜3nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロム(クロム酸化物中のクロム)の原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が10%以下で、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、ポリイミド硬化相当の熱処理を行ったとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が10%以下で、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、ポリイミド硬化相当の熱処理が行われたプリント配線板用銅箔であって、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が10%以下で、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、被覆層を介して絶縁基板が形成されたプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0で、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が5%以下を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、銅箔基材は圧延銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である。
本発明は別の一側面において、本発明に係る銅箔を備えた銅張積層板である。
本発明に係る銅張積層板の一実施形態においては、銅箔がポリイミドに接着している構造を有する。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅張積層板を材料としたプリント配線板である。
本発明によれば、絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れ、ファインピッチ化に適したプリント配線板用銅箔が得られる。
実施例2の銅箔(成膜後)のTEM写真(断面)である。 実施例2の銅箔(ポリイミドワニス硬化相当の熱処理後)のXPSによるデプスプロファイルである。 比較例2の銅箔(ポリイミドワニス硬化相当の熱処理後)のXPSによるデプスプロファイルである。 比較例7の銅箔(電気めっき後)のXPSによるデプスプロファイルである。 比較例8の銅箔(電気めっき後)のXPSによるデプスプロファイルである。
(銅箔基材)
本発明に用いることのできる銅箔基材の形態に特に制限はないが、典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で用いることができる。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。屈曲性が要求される用途には圧延銅箔を適用することが多い。
銅箔基材の材料としてはプリント配線板の導体パターンとして通常使用されるタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできる銅箔基材の厚さについても特に制限はなく、プリント配線板用に適した厚さに適宜調節すればよい。例えば、5〜100μm程度とすることができる。但し、ファインパターン形成を目的とする場合には30μm以下、好ましくは20μm以下であり、典型的には5〜20μm程度である。
本発明に使用する銅箔基材には粗化処理をしないのが好ましい。従来は特殊めっきで表面にμmオーダーの凹凸を付けて表面粗化処理を施し、物理的なアンカー効果によって樹脂との接着性を持たせるケースが一般的であった。しかしながら一方でファインピッチや高周波電気特性は平滑な箔が良いとされ、粗化箔では不利な方向に働くからである。また、粗化処理工程が省略されるので、経済性・生産性向上の効果もある。従って、本発明で使用される箔は、特別に粗化処理をしない箔である。
(被覆層)
銅箔基材の表面の少なくとも一部はCu−Ni合金層及びCr層で順に被覆される。Cu−Ni合金層及びCr層は被覆層を構成する。被覆する箇所には特に制限は無いが、絶縁基板との接着が予定される箇所とするのが一般的である。被覆層の存在によって絶縁基板との接着性が向上する。また、本発明の被覆層におけるCu−Ni合金層は、Ni単独の層よりも銅箔表面に対する接着性が良い。一般に、銅箔と絶縁基板の間の接着力は高温環境下に置かれると低下する傾向にあるが、これは銅が表面に熱拡散し、絶縁基板と反応することにより引き起こされると考えられる。本発明では、予め銅の拡散防止に優れるCu−Ni合金層を銅箔基材の上に設けたことで、銅の熱拡散が防止できる。ここで、銅の拡散防止のために設けるCu−Ni合金層には、表面へ拡散させたくない銅が含まれているが、銅を合金化しているため、表面への拡散は無く、良好な接着性を有すると共に、エッチング性にも悪影響を及ぼさない。
また、Cu−Ni合金層よりも絶縁基板との接着性に優れたCr層をCu−Ni合金層の上に設けることで更に絶縁基板との接着性を向上することができる。Cr層の厚さはCu−Ni合金層の存在のおかげで薄くできるので、エッチング性への悪影響を軽減することができる。なお、本発明でいう接着性とは常態での接着性の他、高温下に置かれた後の接着性(耐熱性)及び高湿度下に置かれた後の接着性(耐湿性)も指す。
本発明に係るプリント配線板用銅箔においては、被覆層は極薄で厚さが均一である。このような構成にしたことで絶縁基板との接着性が向上した理由は明らかではないが、Cu−Ni合金被覆の上に最表面として樹脂との接着性に非常に優れているCr単層被膜を形成したことで、イミド化時の高温熱処理後(約350℃にて30分〜数時間程度)も高接着性を有する単層被膜構造を保持しているためと推測される。また、被覆層を極薄にするとともにCu−Ni合金とCrの二層構造としてCrの使用量を減らしたことにより、エッチング性が向上したと考えられる。
具体的には、本発明に係る被覆層は以下の構成を有する。
(1)Cr、Cu−Ni合金被覆層の同定
本発明においては、銅箔素材の表面の少なくとも一部はCu−Ni合金層及びCr層の順に被覆される。これら被覆層の同定はXPS、若しくはAES等表面分析装置にて表層からアルゴンスパッタし、深さ方向の化学分析を行い、夫々の検出ピークの存在によってCu−Ni合金層及びCr層を同定することができる。また、夫々の検出ピークの位置から被覆された順番を確認することができる。
(2)付着量
一方、これらCu−Ni合金層及びCr層は非常に薄いため、XPS、AESでは正確な厚さの評価が困難である。そのため、本願発明においては、Cu−Ni合金層及びCr層の厚さは単位面積当たりの被覆金属の重量で評価することとした。本発明に係る被覆層には、Niが15〜440μg/dm2、Crが18〜180μg/dm2の被覆量で存在する。Crが18μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Crが180μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Niが15μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Niが440μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Crの被覆量は好ましくは30〜145μg/dm2、より好ましくは36〜75μg/dm2であり、Niの被覆量は好ましくは40〜360μg/dm2、より好ましくは80〜270μg/dm2である。
純Ni層をスパッタリングする場合にはターゲットとして純Niを用いるが、この純Niターゲットは磁性が強く、マグネトロンスパッタリング等でスパッタリングを行う場合、ターゲット1枚あたりの使用効率が低くなり、コスト的に不利である。これに対し、本発明に係るCu−Ni合金層は、Cuを含んでいるため、純Niターゲットと比較して、ターゲットの磁性を抑えることができ、スパッタリングを効率良く行うことができる。
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)による観察
本発明に係る被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察したとき、最大厚さは0.5nm〜3nm、好ましくは1.0〜2.5nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上、好ましくは85%以上で、非常にばらつきの少ない被覆層である。被覆層厚さが0.5nm未満だと耐熱試験、耐湿試験において、ピール強度の劣化が大きく、厚さが3nmを超えると、エッチング性が低下するためである。厚さの最小値が最大値の80%以上である場合、この被覆層の厚さは、非常に安定しており、耐熱試験後も殆ど変化がない。TEMによる観察では被覆層中のCu−Ni合金層及びCr層の明確な境界は見出しにくく、単層のように見える(図1参照)。本発明者の検討結果によればTEM観察で見出される被覆層はCrを主体とする層と考えられ、Cu−Ni合金層はその銅箔基材側に存在するとも考えられる。そこで、本発明においては、TEM観察した場合の被覆層の厚さは単層のように見える被覆層の厚さと定義する。ただし、観察箇所によっては被覆層の境界が不明瞭なところも存在し得るが、そのような箇所は厚さの測定箇所から除外する。
本発明の構成により、Cuの拡散が抑制されるため、安定した厚さを有すると考えられる。本発明の銅箔は、ポリイミドフィルムと接着し、耐熱試験(温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置)を経た後に樹脂を剥離した後においても、被覆層の厚さは殆ど変化なく、最大厚さが0.5〜3nmであり、最小厚さにおいても最大厚さの80%維持されることが可能である。
(4)被覆層表面の酸化状態
まず、被覆層最表面(表面から0〜1.0nmの範囲)には内部の銅が拡散していないことが、接着強度を高める上では望ましい。従って、本発明に係るプリント配線板用銅箔では、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)を10%以下とするのが好ましい。
また、被覆層を介して絶縁基板が形成されたプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が5%以下であることが望ましい。
また、被覆層最表面においては、クロムは金属クロムとクロム酸化物が両方存在しているが、内部の銅の拡散を防止し、接着力を確保する観点では金属クロムの方が望ましいものの、良好なエッチング性を得る上ではクロム酸化物の方が望ましい。そこで、エッチング性と接着力の両立を図る上では、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた金属クロム及び酸化物クロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf1(x)、f2(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たすことが好ましい。
また、被覆層を介して絶縁基板が形成されたプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たすことが望ましい。
被覆層のCu−Ni合金層の構成材料としては、Niの磁性が抑えられていることがスパッタリングの効率の点から好ましい。そのため、被覆層において、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とすると、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1であるのが好ましい。
クロム濃度及び酸素濃度はそれぞれ、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られたCr2p軌道及びO1s軌道のピーク強度から算出する。また、深さ方向(x:単位nm)の距離は、SiO2換算のスパッタレートから算出した距離とする。クロム濃度は酸化物クロムの濃度と金属クロム濃度との合計値であり、酸化物クロムの濃度と金属クロム濃度に分離して解析することが可能である。
(本発明に係る銅箔の製法)
本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング法により形成することができる。すなわち、スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を、厚さ0.25〜5.0nm、好ましくは0.3〜4.0nm、より好ましくは0.5〜3.0nmのCu−Ni合金層及び厚さ0.25〜2.5nm、好ましくは0.4〜2.0nm、より好ましくは0.5〜1.0nmのCr層で順に被覆することにより製造することができる。電気めっきでこのような極薄の被膜を積層すると、厚さにばらつきが生じ、耐熱・耐湿試験後にピール強度が低下しやすい。
ここでいう厚さとは上述したXPSやTEMによって決定される厚さではなく、スパッタリングの成膜速度から導き出される厚さである。あるスパッタリング条件下での成膜速度は、0.1μm(100nm)以上スパッタを行い、スパッタ時間とスパッタ厚さの関係から計測することができる。当該スパッタリング条件下での成膜速度が計測できたら、所望の厚さに応じてスパッタ時間を設定する。なおスパッタは、連続又はバッチ何れで行っても良く、被覆層を本発明で規定するような厚さで均一に積層することができる。スパッタリング法としては直流マグネトロンスパッタリング法が挙げられる。
(プリント配線板の製造)
本発明に係る銅箔を用いてプリント配線板(PWB)を常法に従って製造することができる。以下に、プリント配線板の製造例を示す。
まず、銅箔と絶縁基板を貼り合わせて銅張積層板を製造する。銅箔が積層される絶縁基板はプリント配線板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。プリプレグと銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせて加熱加圧させることにより行うことができる。
フレキシブルプリント配線板(FPC)用の場合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムと銅箔の被覆層を有する面をエポキシ系やアクリル系の接着剤を使って接着することができる(3層構造)。また、接着剤を使用しない方法(2層構造)としては、ポリイミドの前駆体であるポリイミドワニス(ポリアミック酸ワニス)を銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱することでイミド化するキャスティング法や、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせ、加熱加圧するラミネート法が挙げられる。キャスティング法においては、ポリイミドワニスを塗布する前に熱可塑性ポリイミド等のアンカーコート材を予め塗布しておくことも有効である。
本発明に係る銅箔の効果はキャスティング法を採用してFPCを製造したときに顕著に表れる。すなわち、接着剤を使用せずに銅箔と樹脂とを貼り合わせようとするときには銅箔の樹脂への接着性が特に要求されるが、本発明に係る銅箔は樹脂、とりわけポリイミドとの接着性に優れているので、キャスティング法による銅張積層板の製造に適しているといえる。
本発明に係る銅張積層板は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。
銅張積層板からプリント配線板を製造する工程は当業者に周知の方法を用いればよく、例えばエッチングレジストを銅張積層板の銅箔面に導体パターンとしての必要部分だけに塗布し、エッチング液を銅箔面に噴射することで不要銅箔を除去して導体パターンを形成し、次いでエッチングレジストを剥離・除去して導体パターンを露出することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
(例1:実施例1〜8)
実施例1〜7の銅箔基材として、厚さ18μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)を用意した。圧延銅箔の表面粗さ(Rz)は0.7μmであった。また、実施例8の銅箔基材として、厚さ18μmの無粗化処理の電解銅箔を用意した。電解銅箔の表面粗さ(Rz)は1.5μmであった。
スパッタリングに使用したCu−Ni合金を以下の手順で作製した。まず、電気銅に、種々の組成の元素をそれぞれ添加して高周波溶解炉でインゴットを鋳造し、これに900℃で熱間圧延を施した。さらに850℃で3時間均質化焼鈍した後、表層の酸化層を取り除き、スパッタリング用のターゲットとして使用した。このときに用いたスパッタリングターゲットの組成(質量%)を表1に示す。表1において、Ni単体の(III)は純度が3Nのものを用いた。
この銅箔の片面に対して、以下の条件であらかじめ銅箔基材表面に付着している薄い酸化膜を逆スパッタにより取り除き、Cu−Ni合金またはNiターゲットをスパッタリングすることにより、Ni層またはCu−Ni層、及び、Cr層を順に成膜した。被覆層の厚さは成膜時間を調整することにより変化させた。
・装置:バッチ式スパッタリング装置(アルバック社、型式MNS−6000)
・到達真空度:1.0×10-5Pa
・スパッタリング圧:0.2Pa
・逆スパッタ電力:100W
・ターゲット:
Cu―Ni層=(I)、(II)
Ni層=(III)
Cr層用=Cr(純度3N)
・スパッタリング電力:50W
・成膜速度:各ターゲットについて一定時間約0.2μm成膜し、3次元測定器で厚さを測定し、単位時間当たりのスパッタレートを算出した。
被覆層を設けた銅箔に対して、以下の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。
(1)7cm×7cmの銅箔に対しアプリケーターを用い、宇部興産製Uワニス−A(ポリイミドワニス)を乾燥体で25μmになるよう塗布。
(2)(1)で得られた樹脂付き銅箔を空気下乾燥機で130℃30分で乾燥。
(3)窒素流量を10L/minに設定した高温加熱炉において、350℃30分でイミド化。
また、上記ポリイミドフィルムの接着試験とは別に、「耐熱試験」として、被覆層を設けた銅箔にポリイミドフィルムを接着させずにそのまま窒素雰囲気下で350℃、2時間加熱した。
<付着量の測定>
50mm×50mmの銅箔表面の皮膜をHNO3(2重量%)とHCl(5重量%)を混合した溶液に溶解し、その溶液中の金属濃度をICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SFC−3100)にて定量し、単位面積当たりの金属量(μg/dm2)を算出した。なお、本発明のCu−Ni合金をターゲットとした場合のCu及びNiの付着量は、同じ条件でTi箔上に成膜した場合の分析値を用いた。
<XPSによる測定>
被覆層のデプスプロファイルを作成した際のXPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・X線:単色AlKαまたは非単色MgKα、エックス線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.0nm/min(SiO2換算)
・XPSの測定結果において、酸化物クロムと金属クロムとの分離はアルバック社製解析ソフトMulti Pak V7.3.1を用いて行った。
・測定はスパッタによる成膜後、接着強度測定時のポリイミド硬化条件(350℃×30分)よりも過酷な条件の熱処理(350℃×120分)を施した状態、そして絶縁基板剥離後の皮膜を分析した。
<TEMによる測定>
被覆層をTEMによって観察したときのTEMの測定条件を以下に示す。後述の表2に示した厚さは、観察視野中に写っている被覆層全体の厚さを1視野について50nm間の厚さの最大値、最小値を測定し、任意に選択した3視野の最大値と最小値を求め、最大値、及び、最大値に対する最小値の割合を百分率で求めた。また、表2の「耐熱試験後」のTEM観察結果とは、試験片の被覆層上に上記手順によりポリイミドフィルムを接着させた後、試験片を下記の高温環境下に置き、得られた試験片からポリイミドフィルムを90°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って剥離した後のTEM像である。図1に、実施例2のTEMによる成膜後の観察写真を例示的に示す。Cu−Ni合金をスパッタリングして得られたCu−Ni合金層は図1からは確認できない。これは該当部が銅合金層になっていて母材の銅箔と区別がつかなくなっているためである。図1で確認されるのはCr層である。本発明では母材との境界が明瞭である層のみの厚さを計測した。
・装置:TEM(日立製作所社、型式H9000NAR)
・加速電圧:300kV
・倍率:300000倍
・観察視野:60nm×60nm
<接着性評価>
上記のようにしてポリイミドを積層した銅箔について、ピール強度を積層直後(常態)、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置した後(耐熱性)、及び温度40℃°相対湿度95%空気雰囲気下の高湿環境下に96時間放置した後(耐湿性)の三つの条件で測定した。ピール強度は90°剥離法(JIS C 6471 8.1)に準拠して測定した。
<エッチング性評価>
上記のようにして作製した銅箔の該被覆層に白いテープを貼り付け、エッチング液(塩化銅二水和物、塩化アンモニウム、アンモニア水、液温50℃)に7分間浸漬させた。その後、テープに付着したエッチング残渣の金属成分をICP発光分光分析装置により定量し、以下の基準で評価した。
×:エッチング残渣が140μg/dm2以上
△:エッチング残渣が70μg/dm2以上140μg/dm2未満
〇:エッチング残渣が70μg/dm2未満
(例2:比較例1〜6)
例1で使用した圧延銅箔基材の片面にスパッタ時間を変化させ、後述の表2の厚さの被膜を形成した。被覆層を設けた銅箔に対して、例1と同様の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。
(例3:比較例7)
例1で使用した圧延銅箔基材の片面に、特開2005−344174号公報に教示されたNi―Znめっき処理、クロメート処理、及び、シランカップリング剤処理をそれぞれ以下の条件で施した。
〔Ni―Znめっき処理〕
・硫酸ニッケル 1.5g/l(Ni換算)
・ピロリン酸亜鉛 0.5g/l(Zn換算)
・ピロリン酸カリウム 200g/l
・pH 9
・浴温 40℃
・電流密度 5A/dm2
〔クロメート処理〕
・CrO3 1g/l
・浴温 35℃
・電流密度 8A/dm2
〔シランカップリング剤処理〕
・γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 5g/l溶液を塗布
(例4:比較例8)
例1で使用した圧延銅箔基材の片面に、特開2007−007937号公報に教示されたNiめっき処理、クロメート処理、及び、シランカップリング剤処理をそれぞれ以下の条件で施した。
〔Niめっき処理〕
・NiSO4/7H2O 300g/l(Ni2+として)
・H3BO3 40g/l
・浴温 25℃
・電流密度 1.0A/dm2
〔クロメート処理〕
・CrO3 1g/l
・浴温 25℃
・電流密度 2.0A/dm2
〔シランカップリング剤処理〕
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.3%溶液を塗布
例1〜4の各測定結果を表2及び3に示す。また、図3に比較例2の銅箔(ポリイミドワニス硬化相当の熱処理後)のXPSによるデプスプロファイルを、図4に比較例7の銅箔(電気めっき後)のXPSによるデプスプロファイルを、さらに、図5に比較例8の銅箔(電気めっき後)のXPSによるデプスプロファイルをそれぞれ示す。
実施例1〜4、6〜8は、いずれも良好なピール強度及びエッチング性を有している。また、実施例5はエッチング性が他の実施例に比べてやや劣ったものの、ピール強度は良好であった。
また、実施例2のポリイミドワニス硬化相当の熱処理後のXPSによるデプスプロファイルを図2に示す。Cr層内では表層に酸化物Cr層が存在し、その直下に金属Crの層が存在している。酸化物Cr、金属Crの濃度が最大となる表層からの距離は異なるので、両者は2層に分離しているといえる。表層から1nmの範囲内では、電気めっきで形成したものと異なり、酸化物Crの原子濃度比は20%を超えていた。Cu−Ni合金をターゲットにした場合、分析範囲内では、Niの濃度は常にCuの濃度よりも低い。そして、この熱処理条件はポリイミドの硬化条件としては過酷であるにもかかわらず、ポリイミドとの接着強度を劣化させる要因のCu原子は表層にまでほとんど達しておらず、Cu原子濃度は表層から1nm付近で急激に低下している。これは、この領域でCu、Cr及びNiが共存することで、Cuの拡散が抑制されるためだと考えられる。
比較例1はNi付着量が同程度である実施例4と比較すると、各種ピール強度が低かった。
比較例2はNi付着量が同程度である実施例3と比較すると、各種ピール強度が低かった。
比較例3はCu−Ni合金層のNiが15μg/dm2未満であり、各種ピール強度が不十分であった。
比較例4はCu−Ni合金層のNiが440μg/dm2超であり、エッチング性が不良であった。
比較例5はCr量が18μg/dm2未満であり、各種ピール強度が不十分であった。
比較例6はCr量が180μg/dm2超であり、エッチング性が不良であった。
比較例7は耐熱、耐湿ピール強度が不良であった。XPSによる表面分析によると、表層から0〜1nmの範囲における3価のCr量が少なかったためだと推定される。
比較例8は各種ピール強度が不良であった。XPSによる表面分析によると、表層から0〜1nmの範囲における3価のCr量が少なかったためだと推定される。

Claims (13)

  1. 銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したCu−Ni合金層及びCr層で構成され、該被覆層には、Niが15〜440μg/dm2、Crが18〜180μg/dm2の被覆量で存在するプリント配線板用銅箔。
  2. 被覆層には、Crが30〜145μg/dm2の被覆量で存在する請求項1に記載のプリント配線板用銅箔。
  3. 被覆層には、Crが36〜75μg/dm2の被覆量で存在する請求項2に記載のプリント配線板用銅箔。
  4. 被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚さが0.5〜3nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上である請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  5. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が10%以下で、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1を満たす請求項1〜4の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  6. ポリイミド硬化相当の熱処理を行ったとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が10%以下で、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1を満たす請求項1〜5の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  7. ポリイミド硬化相当の熱処理が行われたプリント配線板用銅箔であって、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が10%以下で、∫f2(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx) が20%以上で、区間[1.0、2.5]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[0、5]において、∫g(x)dx/∫h(x)dx<1を満たす請求項1〜6の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  8. 被覆層を介して絶縁基板が形成されたプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、全クロムの原子濃度(%)をf(x)とし(f(x)= f1(x)+ f2(x))、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とすると、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0で、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が5%以下を満たす請求項1〜7の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  9. 銅箔基材は圧延銅箔である請求項1〜8の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  10. プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である請求項1〜9の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の銅箔を備えた銅張積層板。
  12. 銅箔がポリイミドに接着している構造を有する請求項11に記載の銅張積層板。
  13. 請求項11又は12に記載の銅張積層板を材料としたプリント配線板。
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