JP2011091001A - 荷電粒子ビーム源の製造方法、荷電粒子ビーム源、荷電粒子ビーム装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原子レベルの微小突起を信頼性よく形成することのできる荷電粒子ビーム源の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る荷電粒子ビーム源の製造方法では、第1金属からなる針状細線の先端を第2金属で被覆し、第2金属が溶融している状態で針状細線の先端から荷電粒子を放出させ、第2金属を固化する。
【選択図】図3
【解決手段】本発明に係る荷電粒子ビーム源の製造方法では、第1金属からなる針状細線の先端を第2金属で被覆し、第2金属が溶融している状態で針状細線の先端から荷電粒子を放出させ、第2金属を固化する。
【選択図】図3
Description
本発明は、荷電粒子ビーム源の製造方法、荷電粒子ビーム源、および荷電粒子ビーム装置に関するものである。
光学式顕微鏡より高分解能の顕微鏡として、走査電子顕微鏡(以下、SEMと略記)が知られている。現状のSEMの画像分解能は、標準的な加速電圧では1nm程度であるが、さらに高分解能で観察したいというニーズは強い。荷電粒子ビーム源から放出した荷電粒子をビーム化して試料を高分解能で観察するためには、エミッタ先端の曲率半径を極力小さくしてビームの輝度を高めることが重要である。このため、電子の発生領域を原子レベルにまで先鋭化した微小突起を用いる電子源の開発が試みられている。
また、集束イオンビーム(以下、FIBと記す)装置も光学顕微鏡より高分解能のイオン顕微鏡として知られている。現用のFIB装置における主な用途は、イオンが電子より質量が重いことを利用した微細領域の加工(FIB照射による試料のスパッタ加工)である。FIB装置の開発においては、ビーム電流密度を高めて加工速度を高める努力がなされている。しかし、最近では、イオンビーム照射によって試料に損傷を与えることなく、SEMより分解能の高い観察や分析が可能なイオン顕微鏡機能が強く望まれている。これを実現するために、エミッタ先端のイオン発生領域を原子レベルにまで先鋭化した微小突起の先端を用いるイオン源が注目されている。
下記特許文献1では、エミッタ先端を先鋭化する方法として、電解研磨法が開示されている。
下記特許文献2では、あらかじめ電解研磨によって先鋭化したタングステンなどの針状細線に、別の金属を被覆させて加熱することで、原子の数が数個以下の微小突起を得る試みがなされている。これは、針状細線の先端表面を被覆した金属原子が拡散して集積する性質を利用するものである。下記特許文献2では、第1金属からなる針状細線に第2金属を真空蒸着して加熱処理することにより、単原子サイズの終端形状の電子源を形成する方法が記載されている。
下記非特許文献1では、エミッタ先端に貴金属を被覆する方法として、電気メッキ法と熱処理によって単原子サイズの終端形状のイオン源を得る手法が記載されている。
論文集ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス、2006年、第45巻、第8972頁〜第8983頁『ノーブル・メタル/W(111) シングル・アトムティップス・アンド・デア・フィールド・エレクトロン・アンド・イオン・キャラクタライゼーション』
上記特許文献1に記載されている電解研磨法では、先端半径を50nm以下にすることは困難であり、したがって上記要求を満たす原子レベルの微小突起を得ることは難しい。
上記特許文献2に記載されている真空蒸着法は、超高真空中で作業を行うため、装置を超高真空にする準備と蒸着に時間を要する。また、膜厚が適正な厚さよりも薄いと、針状細線先端に被覆金属原子が表面拡散しにくく、先端に被覆金属の微小突起が形成されにくいという課題がある。
上記手法の他、電気メッキにより針状細線に金属を被覆させることも考えられる。電気メッキを用いる場合、充分な厚さの金属膜を容易に被覆することができる。その反面、電気メッキは溶液を用いた電気化学反応を利用するものであるため、大気に露出された針状細線の表面が酸化したり、メッキ膜と針状細線との界面に溶液から不純物が浸入したりする懸念がある。そのため、針状細線の先端に被覆金属の原子を表面拡散させる工程の信頼性が十分ではない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、原子レベルの微小突起を信頼性よく形成することのできる荷電粒子ビーム源の製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者が、原子レベルの終端形状の微小突起を有するエミッタを有する荷電粒子ビーム源の製造方法について鋭意検討したところ、下記のような知見を得るに至った。
上記目的を達成するため、本発明に係る荷電粒子ビーム源の製造方法では、第1金属からなる針状細線の先端を第2金属で被覆し、第2金属が溶融している状態で針状細線の先端から荷電粒子を放出させ、第2金属を固化する。
本発明に係る荷電粒子ビーム源の製造方法によれば、針状細線を被覆する第2金属の量を原子レベルのサイズで適正に調整することができる。これにより、エミッタ先端の第2金属を原子レベルで先鋭化することができる。
以下の説明では、荷電粒子とは電気を帯びた粒子であって、正イオン、負イオン、および電子を指す。また、針状細線とは被覆金属を付着させる前の部材を指し、エミッタとは針状細線の少なくとも先端部を被覆金属で被覆したものである。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子ビーム源1の概略構成を示す図である。荷電粒子ビーム源1は、真空容器7内で動作する。荷電粒子ビーム源1は、少なくともエミッタ2と引出し電極3を有する。エミッタ2は、第1金属からなる針状細線4と、少なくとも針状細線4の先端部を被覆する被覆金属5を有する。被覆金属5は、第1金属とは異なる第2金属からなる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子ビーム源1の概略構成を示す図である。荷電粒子ビーム源1は、真空容器7内で動作する。荷電粒子ビーム源1は、少なくともエミッタ2と引出し電極3を有する。エミッタ2は、第1金属からなる針状細線4と、少なくとも針状細線4の先端部を被覆する被覆金属5を有する。被覆金属5は、第1金属とは異なる第2金属からなる。
第1金属は、融点が2500℃以上の高融点金属である。例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)のうちのいずれかを用いることができる。針状細線4の直径は0.1mmから0.2mm程度で、上記高融点金属の単結晶材から成り、先端には特定の結晶面が形成されている。
第2金属からなる被覆金属5は、融点が第1金属の融点より低い、900℃以上、2500℃未満の金属である。例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)のうちのいずれかを用いることができる。
針状細線4へ被覆金属5を被覆する方法は、本発明の重要な点であるので改めて詳述する。
エミッタ2には、放出した荷電粒子を加速する高電圧電源、エミッタを加熱する電流電源、放出する荷電粒子ビーム電流を計測する電流計が接続されている(図示せず)。また、引出し電極3には、荷電粒子を放出させる高電圧電源、電流計などが接続されている(図示せず)。放出すべき荷電粒子が正イオンである場合はエミッタ2に正電圧を印加し、放出すべき荷電粒子が電子や負イオンである場合はエミッタ2に負電圧を印加する。
エミッタ2と引出し電極3の間に電位差を形成すると、エミッタ2の先端部に高電界が生じ、被覆金属5の先端から荷電粒子6が放出する。荷電粒子6は、例えば、電子、エミッタ2先端付近のガスのイオンなどの粒子である。荷電粒子6がイオンの場合、エミッタ2先端近傍にイオン化すべきガスを供給し、エミッタ2先端に形成された高電界によってこのガスをイオン化する。この場合、ガス源とガス供給部が必要である。荷電粒子ビーム源1は、上記の他、イオン電流を大きくしてビーム輝度を上げるためにエミッタを低温に冷却する冷却装置を有してもよい。
図2は、荷電粒子ビーム源ティップ8の概略構成図である。エミッタ2は、荷電粒子ビーム源ティップ8の構成部品である。荷電粒子ビーム源ティップ8は、エミッタ2、フィラメント9、電気端子10、絶縁碍子11を有する。
エミッタ2は、第1金属からなる針状細線4を第2金属からなる被覆金属5で少なくとも先端部を被覆してなる。フィラメント9は、エミッタ2を保持し、またエミッタ2を加熱する加熱源となる。電気端子10は、フィラメント9を保持する。絶縁碍子11は、電気端子10を支持する。
針状細線4はフィラメント9にスポット溶接され、フィラメント9は電気端子10にスポット溶接されている。電気端子10は、絶縁碍子11にメタライズ固着されている。2本の電気端子10の間に電流を流すとフィラメント9が抵抗加熱し、熱伝導でエミッタ2も加熱される。
以上、本実施の形態1に係る荷電粒子ビーム源1の構成について説明した。以下では、荷電粒子ビーム源1を製造する方法について説明する。
本発明のポイントは、針状細線4の先端に被覆金属5を数原子分程度の厚さで被覆させるとともに、その被覆金属5を必要に応じてエミッタ2先端に供給することができる荷電粒子ビーム源1の構造と、それを製造する方法にある。荷電粒子ビーム源1の製造方法の概略は、下記(工程1)〜(工程4)の通りである。製造方法の詳細は、図3〜図4で改めて説明する。
(工程1)針状細線4を溶融状態の被覆金属5に接触させるか、溶融状態の被覆金属5内に浸漬させる。
(工程2)その後、針状細線4上で被覆金属5を溶融状態に保持しながらエミッタ2先端に電界を集中させ、電子もしくはイオンを放出させる。
(工程3)エミッタ2が電子もしくはイオンを放出している状態で、被覆金属5を溶融させている加熱を停止させる。以上の工程により、エミッタ2先端は原子レベルで先鋭化される。
(工程4)先鋭化が不十分な場合には、さらに、被覆金属5の融点以下で加熱処理する。後述の表面マイグレーション効果により、エミッタ2先端は単原子レベルのサイズに先鋭化される。
図3は、本実施の形態1に係る荷電粒子ビーム源1を製造する工程の詳細を説明する図である。ここでは針状細線4の先端部分に被覆金属5を付着させる状況を示した。これらの工程はすべて超高真空容器内で行なわれる。以下、図3の各図について説明する。
図3(a)は、電解研磨して先鋭化したタングステン製の針状細線4を、表面に付着した酸化物など不純物を除去するために高温加熱洗浄している様子を示している。2000℃、0.5秒程度の高温瞬間加熱により、針状細線4の先端形状を保持しつつ針状細線4の表面に付着している不純物23を脱離させている。この時、脱離した不純物23が第2金属21に付着するのを防ぐために、針状細線4と第2金属21表面の間に導電性のシャッタ22を設けている。
図3(b)は、表面洗浄化された針状細線4の先端を溶融状態の第2金属21の表面に接触させた様子を示している。針状細線4の先端を溶融状態の第2金属21表面に接触される直前にシャッタ22を移動させ、針状細線4から遠ざけている。針状細線4の先端が溶融状態の第2金属21表面に接触した瞬間に、溶融した第2金属は、針状細線4の円錐状の先端部に薄く拡散し、コーティングしたような状態になる。
図3(b)の時点では、針状細線4は第2金属21の融点近くまで加熱されている。針状細線4が第2金属21の融点より遥かに低い温度(例えば、室温)であれば、針状細線4の先端部25が溶融した第2金属21面に接触した瞬間に先端分で不定形に固化するため、先端部25を単原子レベルで終端化する観点から好ましくない。したがって、針状細線4を上記温度まで加熱することが好ましい。
また、第2金属21を針状細線4へ被覆するために、敢えて針状細線4を溶融状態の第2金属21の深くまで浸漬させる必要はない。針状細線4を溶融第2金属21の深くまで浸漬させると、針状細線4表面に過剰に第2金属21が付着し、先端で原子レベルの微小突起が形成されにくくなるので好ましくない。したがって、第2金属21が針状細線4に適度に付着する程度に浸漬または接触させるとよい。
図3(c)は、溶融状態の第2金属21表面に先端を接触させた針状細線4を、第2金属21から離間させた時の様子を示している。針状細線4に第2金属21が薄く被覆しているが、先端部は針状細線4の形状を反映せず、僅かに先端半径が大きくなる。これは、針状細線4が溶融した第2金属21から分離する際に、針状細線4先端と溶融した第2金属21表面とを繋ぐ液柱が分離して、針状細線4の先端に溜まるためである。この状況は、上記した先端に過剰に第2金属21が付着した状態と同じであり、先端で原子レベルの微小突起が形成されにくくなる。
図3(d)は、図3(c)の状況から、先端に被覆した過剰な第2金属21を除去し、もとの針状細線4の先端形状を反映するほどの薄い膜厚にする工程を示す。第2金属21をイオンとして放出させ、先端付近の被覆金属を消耗させることにより、過剰な第2金属21を除去することができる。第2金属21をイオン27として放出させる手順は以下の通りである。
(図3(d):手順1)第2金属21面から離間させた針状細線4(エミッタ)と第2金属21との間にシャッタ22を挿入する。
(図3(d):手順2)シャッタ22を接地電位にし、針状細線4に正極の高電圧を印加する。これによりシャッタ22は正イオンの引出し電極となる。
(図3(d):手順3)シャッタ22(引出し電極)には穴26が設けてある。針状細線4先端からイオンを放出させる場合には、針状細線4の先端部25が穴26の中心に位置するようにシャッタ22の位置を調整する。
(図3(d):手順4)例えば100μA以上の大電流を針状細線4に流し、針状細線4先端から第2金属21のイオンを放出させる。これにより、針状細線4の先端部25周辺の第2金属21は減少して先端部25が薄膜状態になる。
図4は、図3における針状細線4の先端部25を拡大した図である。以下、図4の各図について説明する。
図4(a)は、第2金属21付着前の針状細線4先端の拡大図である。針状細線4の表面清浄化のための高温瞬間加熱によって、針状細線4先端表面には結晶面28a、28b、28c、28dが形成される。針状細線4の先端に位置する結晶面は、例えば、一方向に5から20個程度の原子が2次元に整列した平面となっている。
図4(b)は、図4(a)の状態で針状細線4表面に第2金属21膜を被覆した様子を示す。針状細線4の先端を溶融した第2金属21面に接触させるかまたは浸漬させると、図4(b)のように第2金属21の被覆膜21aが針状細線4の表面形状を反映しないほど過剰に厚く付着する。
図4(c)は、図4(b)の状態における先端部25の拡大図である。エミッタ先端部25は特に第2金属21の被覆膜の量が多い。この状態のままで第2金属21を固化しても、原子レベルの微小突起を形成することは困難である。
図4(d)は、第2金属21の被覆膜の厚さを、針状細線4の表面形状を反映するほどの厚さに処理した状態を示す図である。針状細線4先端の結晶面上の被覆膜は数原子層以下の厚さに処理されている。この状態で第2金属21を固化すると、針状細線4先端に原子レベルの微小突起が形成されやすくなることを、本発明者は見出した。
図4(e)は、図4(d)の状態における先端部の拡大図である。針状細線4に付着した第2金属21膜の厚さは、1〜10原子分程度になる。この状態で、以下の工程を実行する。
(図4(e):工程1)放出イオン電流を1μA以下程度の微小電流に調整し、イオン放出が安定的に行われることを確認する。
(図4(e):工程2)安定したイオン放出を30分程度確認できれば、針状細線4を加熱している加熱電流を停止する。加熱電流の停止によって、針状細線4上の第2金属21の温度は融点を下回り、第2金属21が固化する。固化と同時にイオン放出は停止する。
(図4(e):工程3)加速電圧を接地電位まで降下させる。以上の作業によって、針状細線4先端の結晶面に第2金属21の原子から構成された微小突起25aが形成される。
図4(f)は、微小突起25aの拡大図である。微小突起25aは、底面の1辺の長さが原子3〜5個程度の錐体形状となっている。
以上のように、本実施の形態1にでは、針状細線4に第2金属21を被覆し、電圧を印加して第2金属21の粒子を放出させる。これにより、第2金属21の被膜厚さを1〜10原子分程度に調整することができる。この状態で第2金属21を固化させると、第2金属21の薄膜が突出して先端が先鋭化される。このとき第2金属21の被膜厚さが上記状態であれば、先鋭化された先端部25の大きさは原子レベルの微小サイズとなりやすい。したがって、原子レベルに先鋭化されたエミッタ2を信頼性よく得ることができる。
また、本実施の形態1では、針状細線4の先端部25を第2金属21に接触または浸漬させて第2金属21を被覆させる。この手法によれば、特許文献2のように化学蒸着によって第2金属21を付着させる手法とは異なり、第2金属21をムラなく十分な量被覆させることができるので、エミッタ2先端部の先鋭化工程の信頼性が向上する。
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2では、針状細線4の形状を変形し、第2金属21被膜の厚さを適正に調整し易くする構成を説明する。その他の構成や工程は、実施の形態1と同様であるので、以下では差異点を中心に説明する。
本発明の実施の形態2では、針状細線4の形状を変形し、第2金属21被膜の厚さを適正に調整し易くする構成を説明する。その他の構成や工程は、実施の形態1と同様であるので、以下では差異点を中心に説明する。
実施の形態1では、針状細線4を第2金属21に接触または浸漬させることにより、第2金属21の被膜を針状細線4の先端部25に形成することを説明した。しかし、針状細線4の先端に溶融した第2金属21が過剰に付着すると、先端部25の曲率半径が過剰に大きくなる。先端に被覆金属(第2金属21)が過剰に集積すると、針状細線4先端の結晶面の形状が先端部25の形状に反映されず、微小突起25aを形成しにくくなる。そこで本実施の形態2では、針状細線4の形状を工夫して過剰な被覆金属による曲率半径の増大を防ぐこととした。
図5は、実施の形態1における針状細線4と本実施の形態2における針状細線4を比較する図である。以下、図5の各図について説明する。
図5(a)は、実施の形態1における針状細線4の形状を示す。実施の形態1では、例えば円柱状の細線を電解研磨によって先鋭化加工することにより、針状細線4を得る。
図5(b)は、本実施の形態2における針状細線4の形状を示す。本実施の形態2では針状細線4の先端部25から少し中央部寄りに離れた位置の側面に凹部63を設けている。この凹部63は、針状細線4側面の全周にわたって設けてもよいし、側面の一部のみに設けてもよい。
図5(c)は、図5(a)の針状細線4を第2金属21で被覆した様子を示す。第2金属21の量が多いと、先端部25の第2金属21の曲率半径が針状細線4の先端曲率より大きくなり、微小突起25aを形成しにくくなる。
図5(d)は、図5(b)の針状細線4を第2金属21で被覆した様子を示す。先端曲率半径の増大の原因となっている過剰な第2金属21が凹部63における張力により引き込まれ、先端部25の被覆金属は図5(c)と比較して薄くなり易い。これにより、先端部25の被膜は原子1〜数個分程度の厚さの薄膜状になり、微小突起25aが形成されやすくなる。
凹部63を形成する手法の例として、以下のようなものが挙げられる。
(例1)集束イオンビーム照射によるスパッタ加工によって、凹部63を形成することができる。
(例1)集束イオンビーム照射によるスパッタ加工によって、凹部63を形成することができる。
(例2)針状細線4先端を電解研磨で針状に加工する前に、先端とその反対側をワックス等でマスキングして電解研磨する。これにより、ワックス等でマスキングを施していない部分のみを他の部分よりも細く研磨し、凹部63に相当する部位を断面凹形状に加工することができる。
(例3)リング状電極(図示せず)に電解液膜を張り、その電解液膜を破らずに針状細線4を貫通させて、凹部63に加工する位置でリング状電極とエミッタ間に電流を流す。これにより、電解液膜の厚さの凹部63(円周溝)が形成されるので、電解液膜の位置の移動と、電流制御によって、図5(b)のような円周溝を加工できる。
図6は、本実施の形態2における針状細線4の別形状例を示す図である。図6(a)は針状細線4の側面に凸部66を設けた形状例、図6(b)は複数の凹部67を設けた形状例を示す。
図6(a)における凸部66は、FIBアシストデポジションによって針状細線4の側面の円周にタングステンデポジション膜を成長させて形成することができる。タングステンデポジション膜の成長は、針状細線4を軸回転させながら行なう。凸部66の高さはおよそ1〜10μm、幅がおよそ10から100μmである。
タングステン製の針状細線4を電解研磨した後、上記の凸部66を形成し、その後に、超高真空中でフィラメントを通電加熱して針状細線4を約2000℃、0.1〜1秒間、瞬間加熱して針状細線4表面に付着した不純物を除去する。この作業により溶融状態の被覆金属が針状細線4に濡れ易くなる。特に、凸部66を覆う部分および隣接する凸部66同士の間に第2金属21が貯留される。
凸部66の上記作用により、余分な第2金属21は凸部66周辺に集積し、先端部25では第2金属21の被膜が1〜数原子分の厚さの薄膜状になり、微小突起25aが形成されやすくなる。
図6(a)の例では円周状に凸部66を設けたが、凸部66を針状細線4の側面にドット状に配列しても同様の効果がある。
図6(b)は、図5(d)と同様の凹部を複数個形成した形状例を示す。ここではねじ溝状の凹部67を形成した例を示した。凹部67は、図5(d)で説明したリング状電極を用いて、加工位置を移動させながら電解研磨を繰返すことで形成できる。針状細線4に施す構造は、必ずしも溝状の凹部67を円周状に加工するのみではなく、例えばディンプル状に加工してもよい。
以上のように、本実施の形態2によれば、余分な第2金属21が凹部63、67や凸部66に貯留されるので、先端部25の第2金属21被覆は十分に薄くなり、原子レベルの微小突起25aが形成されやすくなる。また、微小突起25aを再生させる際には、凹部67や凸部66に貯留されている第2金属21を加熱して溶融させ、先端部25に供給することができる。これにより、第2金属21の枯渇によって微小突起25aが再生され易くなり、荷電粒子ビーム源1の寿命を長くすることができる。
なお、図5〜図6に示した例では、針状細線4の先端部25以外に凹凸を設けた例を示したが、同様の思想で、針状細線4の先端部25以外に更に別の直径の細い細線を巻き付けた形状(図示せず)や、針状細線4の軸に平行な縦縞を集束イオンビームによって設けた形状(図示せず)でもよい。このような針状細線4であっても、先端に被覆された第2金属21層は極薄状態になり、微小突起25aが形成されやすくなる。
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3では、荷電粒子ビーム源1の製造工程の全体フローを、実施の形態1〜2で説明したエミッタ2の先鋭化の観点から説明する。各工程の詳細は実施の形態1〜2で説明したものと同様であるため、図面などの詳細を適宜省略する。
本発明の実施の形態3では、荷電粒子ビーム源1の製造工程の全体フローを、実施の形態1〜2で説明したエミッタ2の先鋭化の観点から説明する。各工程の詳細は実施の形態1〜2で説明したものと同様であるため、図面などの詳細を適宜省略する。
図7は、本実施の形態3に係る荷電粒子ビーム源1の製造方法を示すフローである。以下、図7の各ステップについて説明する。
(図7:ステップS701:第2金属被覆工程)
本ステップでは、針状細線4の先端に、第2金属21からなる被覆金属を付着させる。まず被覆金属を溶融状態に保持して、その溶融状態の被覆金属面に、針状細線4を接触させるかまたは浸漬させる。これにより、針状細線4に被覆金属が付着する。
本ステップでは、針状細線4の先端に、第2金属21からなる被覆金属を付着させる。まず被覆金属を溶融状態に保持して、その溶融状態の被覆金属面に、針状細線4を接触させるかまたは浸漬させる。これにより、針状細線4に被覆金属が付着する。
(図7:ステップS701:第2金属被覆工程:補足1)
溶融状態の被覆金属に針状細線4を深くもしくは長時間浸漬させると、所望以上の厚さで過剰に被覆金属が付着し、先の実施の形態で説明したように微小突起25aが形成されにくくなる。そのため、針状細線4先端の僅かな部分を短時間のみ浸漬させることが肝要である。これにより、溶融した被覆金属は表面張力によって針状細線4の表面で素早く薄く拡散して先端部25をコーティングする。短時間の接触もしくは浅い浸漬を実現するためには、荷電粒子ビーム源1の直線駆動機構を利用するとよい。
溶融状態の被覆金属に針状細線4を深くもしくは長時間浸漬させると、所望以上の厚さで過剰に被覆金属が付着し、先の実施の形態で説明したように微小突起25aが形成されにくくなる。そのため、針状細線4先端の僅かな部分を短時間のみ浸漬させることが肝要である。これにより、溶融した被覆金属は表面張力によって針状細線4の表面で素早く薄く拡散して先端部25をコーティングする。短時間の接触もしくは浅い浸漬を実現するためには、荷電粒子ビーム源1の直線駆動機構を利用するとよい。
(図7:ステップS701:第2金属被覆工程:補足2)
本ステップにおいて、針状細線4を溶融した第2金属21に単純に接触もしくは浸漬するだけでは、被覆膜厚が厚くなってしまう場合がある。そのため、実施の形態2で説明したような針状細線4の形状を採用してもよい。
本ステップにおいて、針状細線4を溶融した第2金属21に単純に接触もしくは浸漬するだけでは、被覆膜厚が厚くなってしまう場合がある。そのため、実施の形態2で説明したような針状細線4の形状を採用してもよい。
(図7:ステップS701:第2金属被覆工程:補足3)
本ステップにおいて、溶融した被覆金属の温度が融点よりはるかに高いと、蒸発が多くなり、荷電粒子ビーム源ティップ8および真空容器7の内壁に蒸着してしまう。この状態は絶縁不良などの問題を引き起こすため、好ましくない。そこで、溶融状態の被覆金属の温度は融点より50℃程度高めに設定することが望ましい。
本ステップにおいて、溶融した被覆金属の温度が融点よりはるかに高いと、蒸発が多くなり、荷電粒子ビーム源ティップ8および真空容器7の内壁に蒸着してしまう。この状態は絶縁不良などの問題を引き起こすため、好ましくない。そこで、溶融状態の被覆金属の温度は融点より50℃程度高めに設定することが望ましい。
(図7:ステップS701:第2金属被覆工程:補足4)
本ステップにおいて、針状細線4を溶融した被覆金属に浸漬する際に、針状細線4の温度が低い(例えば室温)と、溶融した被覆金属の温度が低下し、融点以下に下がる可能性がある。このため、針状細線4の温度を溶融した被覆金属の温度と同程度に加熱した状態に保つ。
本ステップにおいて、針状細線4を溶融した被覆金属に浸漬する際に、針状細線4の温度が低い(例えば室温)と、溶融した被覆金属の温度が低下し、融点以下に下がる可能性がある。このため、針状細線4の温度を溶融した被覆金属の温度と同程度に加熱した状態に保つ。
(図7:ステップS702:荷電粒子放出工程:ステップ1)
本ステップでは、針状細線4の先端に付着した被覆金属を先鋭化させる。まず、第2金属21が薄くコーティングされた針状細線4を、加熱容器から離間させる。次に、針状細線4と加熱容器の間に引出し電極22を挿入し、引出し電極22に設けた穴26の中心にエミッタ2先端が配置されるように、荷電粒子ビーム源1と引出し電極22の位置調整を行なう。
本ステップでは、針状細線4の先端に付着した被覆金属を先鋭化させる。まず、第2金属21が薄くコーティングされた針状細線4を、加熱容器から離間させる。次に、針状細線4と加熱容器の間に引出し電極22を挿入し、引出し電極22に設けた穴26の中心にエミッタ2先端が配置されるように、荷電粒子ビーム源1と引出し電極22の位置調整を行なう。
(図7:ステップS702:荷電粒子放出工程:ステップ2)
針状細線4を最適位置に配置した状態で、荷電粒子ビーム源1に通電し、エミッタ2に付着した被覆金属を再度溶融させる。この時の溶融温度は、第2金属21の融点と同程度に設定する。
針状細線4を最適位置に配置した状態で、荷電粒子ビーム源1に通電し、エミッタ2に付着した被覆金属を再度溶融させる。この時の溶融温度は、第2金属21の融点と同程度に設定する。
(図7:ステップS702:荷電粒子放出工程:ステップ3)
エミッタ2上の第2金属21が溶融状態であることを確認したうえで、荷電粒子ビーム源1に正の高電圧を徐々に印加し、荷電粒子(第2金属21のイオン)を放出させる。ここでは引出し電極22を接地電位にしたため、荷電粒子ビーム源1にのみ高電圧を印加して電解を調整しているが、荷電粒子ビーム源1を一定電圧に保ち、引出し電極22に電圧を印加してもよい。
エミッタ2上の第2金属21が溶融状態であることを確認したうえで、荷電粒子ビーム源1に正の高電圧を徐々に印加し、荷電粒子(第2金属21のイオン)を放出させる。ここでは引出し電極22を接地電位にしたため、荷電粒子ビーム源1にのみ高電圧を印加して電解を調整しているが、荷電粒子ビーム源1を一定電圧に保ち、引出し電極22に電圧を印加してもよい。
(図7:ステップS702:荷電粒子放出工程:ステップ4)
エミッタ2先端の第2金属21が過剰でエミッタ2先端曲率半径が大きい場合、放出イオン電流を100μA以上の大電流とし、放出量を多くして、先端部25の第2金属21の量を積極的に少なくさせる。一方、エミッタ2先端の第2金属21の量が適正で針状細線4の先端曲率半径とほぼ同じ場合、放出イオン電流は1μA程度の小電流とする。エミッタ2先端の第2金属21が過剰の場合であっても、適正な大電流放出の後、エミッタ2先端の第2金属量21が適正量になれば、放出イオン電流を小電流に調整する。
エミッタ2先端の第2金属21が過剰でエミッタ2先端曲率半径が大きい場合、放出イオン電流を100μA以上の大電流とし、放出量を多くして、先端部25の第2金属21の量を積極的に少なくさせる。一方、エミッタ2先端の第2金属21の量が適正で針状細線4の先端曲率半径とほぼ同じ場合、放出イオン電流は1μA程度の小電流とする。エミッタ2先端の第2金属21が過剰の場合であっても、適正な大電流放出の後、エミッタ2先端の第2金属量21が適正量になれば、放出イオン電流を小電流に調整する。
(図7:ステップS703:第2金属固化工程)
ステップS702で放出イオン電流を小電流に調整した状態で、針状細線4からイオンが発生している状態を数分〜1時間程度継続した後、針状細線4を加熱している通電を停止する。加熱温度が第2金属21の融点以下になると第2金属21の被膜は固化し、同時にイオン放出は停止する。イオン放出が停止したことを確認して、針状細線4に印加している電圧を降下させ、接地電位にする。本ステップにより、第2金属21からなる被覆金属は、針状細線4の先端半径より先鋭化され、また、浸漬した直後の溶融した第2金属21の先端半径より先鋭化され、先端半径は50nm以下になる。
ステップS702で放出イオン電流を小電流に調整した状態で、針状細線4からイオンが発生している状態を数分〜1時間程度継続した後、針状細線4を加熱している通電を停止する。加熱温度が第2金属21の融点以下になると第2金属21の被膜は固化し、同時にイオン放出は停止する。イオン放出が停止したことを確認して、針状細線4に印加している電圧を降下させ、接地電位にする。本ステップにより、第2金属21からなる被覆金属は、針状細線4の先端半径より先鋭化され、また、浸漬した直後の溶融した第2金属21の先端半径より先鋭化され、先端半径は50nm以下になる。
(図7:ステップS704:単原子終端化工程)
本ステップでは、ステップS703で形成したエミッタ2先端の第2金属21を、単原子レベルのサイズにさらに先鋭化する。ステップS703によってエミッタ2先端は先端半径ガ50nm以下に先鋭化されるが、単原子レベルで終端化されていない場合もある。そこで、本ステップでエミッタ2の先端部25をさらに先鋭化し、単原子レベルで終端化する。
本ステップでは、ステップS703で形成したエミッタ2先端の第2金属21を、単原子レベルのサイズにさらに先鋭化する。ステップS703によってエミッタ2先端は先端半径ガ50nm以下に先鋭化されるが、単原子レベルで終端化されていない場合もある。そこで、本ステップでエミッタ2の先端部25をさらに先鋭化し、単原子レベルで終端化する。
(図7:ステップS704:単原子終端化工程:具体手順)
ステップS703の後、針状細線4を再度加熱する。加熱温度は第2金属21の融点以下とする。このような加熱により、針状細線4の先端で第2金属21原子が数層積み重なる性質が作用し(表面マイグレーション効果:特許文献2参照)、先端が1原子程度のサイズに先鋭化された微小突起25が形成される。例えば、第2金属21が白金(Pt)の場合、700℃、30分間の加熱によって、エミッタ2の先端部25を単原子レベルで終端化できる。
ステップS703の後、針状細線4を再度加熱する。加熱温度は第2金属21の融点以下とする。このような加熱により、針状細線4の先端で第2金属21原子が数層積み重なる性質が作用し(表面マイグレーション効果:特許文献2参照)、先端が1原子程度のサイズに先鋭化された微小突起25が形成される。例えば、第2金属21が白金(Pt)の場合、700℃、30分間の加熱によって、エミッタ2の先端部25を単原子レベルで終端化できる。
以上のように、本実施の形態3によれば、第2金属21を薄く被覆した針状細線4に電圧を印加して第2金属21のイオンを放出し、先端部25に微小突起25aを形成することができる。
また、本実施の形態3によれば、第2金属21の表面マイグレーション効果を利用して微小突起25aをさらに先鋭化し、単原子レベルで終端化することができる。
また、本実施の形態3では、第2金属21として、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)のうちいずれかを用いている。これらの金属は、上述の表面マイグレーション効果が生じやすいので、本発明に係る荷電粒子ビーム源製造方法に用いて好適である。
なお、本実施の形態3において、第2金属21は、上記金属の単元素からなる金属であることを想定して説明したが、同様の効果が得られるのであれば、上記各元素いずれか複数の合金を用いてもよい。以下の実施の形態においても同様である。
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4では、実施の形態3で説明した荷電粒子ビーム源1の製造方法に加え、新たに先端部25の状態を確認する工程を設けた例を説明する。
本発明の実施の形態4では、実施の形態3で説明した荷電粒子ビーム源1の製造方法に加え、新たに先端部25の状態を確認する工程を設けた例を説明する。
図8は、本実施の形態4に係る荷電粒子ビーム源1の製造方法を示すフローである。以下、図8の各ステップについて説明する。
(図8:ステップS801〜S804)
これらの工程は、図7のステップS701〜S704と同様である。
これらの工程は、図7のステップS701〜S704と同様である。
(図8:ステップS805:荷電粒子放出)
本ステップでは、単原子終端化工程を終了したエミッタ2を用いて、イオンもしくは電子を放出する。イオンを放出させる場合には、真空容器7内にガス(例えばネオンガス)を導入し、エミッタ2に加速電圧を印加することにより、エミッタ2先端からガスのイオンが放出される。
本ステップでは、単原子終端化工程を終了したエミッタ2を用いて、イオンもしくは電子を放出する。イオンを放出させる場合には、真空容器7内にガス(例えばネオンガス)を導入し、エミッタ2に加速電圧を印加することにより、エミッタ2先端からガスのイオンが放出される。
(図8:ステップS806:先端評価)
本ステップでは、ステップS805で放出される荷電粒子の状況に基づき、エミッタ2先端の先鋭化の良否を判定する。評価が良好であれば本フローを終了し、評価がよくなければステップS804へ戻って同様の工程を繰り返す。
本ステップでは、ステップS805で放出される荷電粒子の状況に基づき、エミッタ2先端の先鋭化の良否を判定する。評価が良好であれば本フローを終了し、評価がよくなければステップS804へ戻って同様の工程を繰り返す。
(図8:ステップS806:先端評価:具体手順)
イオンもしくは電子の放出方向に蛍光板を設置しておく。荷電粒子をエミッタ2から蛍光板に向かって放出すると、エミッタ2先端の原子配列に対応する輝点が観察される。ステップS804の処理が適正で単原子終端化されていれば、輝点が1個のみ観察される。安定して1個の輝点が観察されれば、先端部25の評価は良好であるものと判定する。輝点が不安定に点滅する場合や、輝点が長時間複数個の状態で1個に淘汰されなければ、先端部25の評価は不良であるものと判定する。
イオンもしくは電子の放出方向に蛍光板を設置しておく。荷電粒子をエミッタ2から蛍光板に向かって放出すると、エミッタ2先端の原子配列に対応する輝点が観察される。ステップS804の処理が適正で単原子終端化されていれば、輝点が1個のみ観察される。安定して1個の輝点が観察されれば、先端部25の評価は良好であるものと判定する。輝点が不安定に点滅する場合や、輝点が長時間複数個の状態で1個に淘汰されなければ、先端部25の評価は不良であるものと判定する。
以上のように、本実施の形態4によれば、先端部25の先鋭化の程度を評価する工程を新たに設けたので、信頼性よくエミッタ2先端を先鋭化することができる。
<実施の形態5>
本発明の実施の形態5では、実施の形態4で説明した先端評価工程(図8のステップS806)における評価結果に応じて再加工手順を変更する例を説明する。
本発明の実施の形態5では、実施の形態4で説明した先端評価工程(図8のステップS806)における評価結果に応じて再加工手順を変更する例を説明する。
図9は、本実施の形態4に係る荷電粒子ビーム源1の製造方法を示すフローである。以下、図9の各ステップについて説明する。
(図9:ステップS901〜S905)
これらの工程は、図8のステップS801〜S805と同様である。
これらの工程は、図8のステップS801〜S805と同様である。
(図9:ステップS906:先端評価)
本ステップでは、ステップS905で放出される荷電粒子の状況に基づき、エミッタ2先端の先鋭化の良否を判定する。評価が良好であれば本フローを終了し、評価がよくなければステップS907へ進む。先端を評価する具体手順は、図8のステップS806と同様でよい。
本ステップでは、ステップS905で放出される荷電粒子の状況に基づき、エミッタ2先端の先鋭化の良否を判定する。評価が良好であれば本フローを終了し、評価がよくなければステップS907へ進む。先端を評価する具体手順は、図8のステップS806と同様でよい。
(図9:ステップS907:先端形状のみNG)
微小突起25aは形成されているが、原子レベルにまで先鋭化されていない場合は、ステップS904に戻って単原子終端化工程を再実行する。例えば、荷電粒子を蛍光板に向かって放出し、輝点が安定して1個のみ観察されれば、微小突起25aは単原子化されていることが分かる。
微小突起25aは形成されているが、原子レベルにまで先鋭化されていない場合は、ステップS904に戻って単原子終端化工程を再実行する。例えば、荷電粒子を蛍光板に向かって放出し、輝点が安定して1個のみ観察されれば、微小突起25aは単原子化されていることが分かる。
(図9:ステップS907:全体形状がNG)
先端部25の曲率半径が大きい、微小突起25aが形成されていないなど、先端部25の形状が全体として先鋭化されていない場合には、より前のステップS902に戻る。例えば、荷電粒子を蛍光板に向かって放出し、輝点が不安定に複数観察されるような場合には、先端部25の形状が全体的に先鋭化されていないことが分かる。
先端部25の曲率半径が大きい、微小突起25aが形成されていないなど、先端部25の形状が全体として先鋭化されていない場合には、より前のステップS902に戻る。例えば、荷電粒子を蛍光板に向かって放出し、輝点が不安定に複数観察されるような場合には、先端部25の形状が全体的に先鋭化されていないことが分かる。
以上、本実施の形態5では、先端評価工程の評価結果に応じて、再加工の手順を変更する例を説明した。
<実施の形態6>
本発明の実施の形態6では、実施の形態5で説明した荷電粒子ビーム源1の製造方法をより詳細に説明する。特に、第2金属21を被覆させる前の工程、および先端部25を先鋭化する工程の詳細を説明する。
本発明の実施の形態6では、実施の形態5で説明した荷電粒子ビーム源1の製造方法をより詳細に説明する。特に、第2金属21を被覆させる前の工程、および先端部25を先鋭化する工程の詳細を説明する。
図10は、本実施の形態5に係る荷電粒子ビーム源1の製造方法を示すフローである。以下、図10の各ステップについて説明する。
(図10:ステップS1001:電解研磨工程)
本ステップでは、針状細線4の先端を電解研磨し、先端部25の曲率半径を50nm程度に先鋭化する。研磨液、研磨時間、電流等の具体的な手法には、任意の公知技術を用いることができる。針状細線4の先端を研磨した後、研磨部を充分に水洗し、乾燥させた後に、真空容器7内に配置する。
本ステップでは、針状細線4の先端を電解研磨し、先端部25の曲率半径を50nm程度に先鋭化する。研磨液、研磨時間、電流等の具体的な手法には、任意の公知技術を用いることができる。針状細線4の先端を研磨した後、研磨部を充分に水洗し、乾燥させた後に、真空容器7内に配置する。
(図10:ステップS1002:高温加熱洗浄工程)
本ステップでは、電解研磨した針状細線4の表面に付着した不純物23を、高温(約2000℃、0.1〜1秒間)瞬間加熱して除去する。この工程で、針状細線4の先端表面の原子が再配列し、多くの結晶面が形成される。第2金属21の微小突起25aは、不純物が付着しておらず結晶面が形成された面に形成されやすいので、本ステップは非常に重要である。
本ステップでは、電解研磨した針状細線4の表面に付着した不純物23を、高温(約2000℃、0.1〜1秒間)瞬間加熱して除去する。この工程で、針状細線4の先端表面の原子が再配列し、多くの結晶面が形成される。第2金属21の微小突起25aは、不純物が付着しておらず結晶面が形成された面に形成されやすいので、本ステップは非常に重要である。
(図10:ステップS1003:第2金属被膜工程)
本ステップは、ステップS701、S801、S901と同様である。
本ステップは、ステップS701、S801、S901と同様である。
(図10:ステップS1004:第1加熱工程)
本ステップでは、荷電粒子ビーム源ティップ8を加熱する。加熱温度は第2金属21の融点以上とする。加熱により、針状細線4に被覆された第2金属21を溶融させた状態に維持する。ただし、白金(Pt)のように昇華しやすい金属の場合、高温を長時間維持すると昇華が進み、針状細線4に付着している第2金属21が消滅したり、荷電粒子ビーム源1周辺のイオン源部品に蒸着したりするなどの問題を起こす可能性がある。そのため、本ステップは短時間に留める。
本ステップでは、荷電粒子ビーム源ティップ8を加熱する。加熱温度は第2金属21の融点以上とする。加熱により、針状細線4に被覆された第2金属21を溶融させた状態に維持する。ただし、白金(Pt)のように昇華しやすい金属の場合、高温を長時間維持すると昇華が進み、針状細線4に付着している第2金属21が消滅したり、荷電粒子ビーム源1周辺のイオン源部品に蒸着したりするなどの問題を起こす可能性がある。そのため、本ステップは短時間に留める。
(図10:ステップS1005:第1荷電粒子放出工程)
本ステップでは、荷電粒子ビーム源ティップ8に高電圧を印加して、針状細線4の先端から荷電粒子を放出させる。例えば、荷電粒子ビーム源ティップ8に5kV程度の正電圧を印加することで、第2金属21の正イオンが放出される。本ステップの目的は、エミッタ2先端に付着している第2金属21を静電気力で円錐上に尖らせること、およびエミッタ2先端に集積した過剰な第2金属21をイオン放出によって減量させることである。
本ステップでは、荷電粒子ビーム源ティップ8に高電圧を印加して、針状細線4の先端から荷電粒子を放出させる。例えば、荷電粒子ビーム源ティップ8に5kV程度の正電圧を印加することで、第2金属21の正イオンが放出される。本ステップの目的は、エミッタ2先端に付着している第2金属21を静電気力で円錐上に尖らせること、およびエミッタ2先端に集積した過剰な第2金属21をイオン放出によって減量させることである。
(図10:ステップS1006:第1加熱停止工程)
本ステップでは、針状細線4上の被覆金属を固化する。ステップS1005で荷電粒子が放出している状態で、加熱電流を停止させると、加熱が停止してエミッタ2の温度が低下し、第2金属21の融点以下に達した時点で被膜が固化する。本ステップにより、被覆金属は先端曲率半径が小さい状態で固化される。
本ステップでは、針状細線4上の被覆金属を固化する。ステップS1005で荷電粒子が放出している状態で、加熱電流を停止させると、加熱が停止してエミッタ2の温度が低下し、第2金属21の融点以下に達した時点で被膜が固化する。本ステップにより、被覆金属は先端曲率半径が小さい状態で固化される。
(図10:ステップS1007:電圧停止工程)
本ステップでは、荷電粒子を放出するためにエミッタ2へ印加した電圧を停止する。
本ステップでは、荷電粒子を放出するためにエミッタ2へ印加した電圧を停止する。
(図10:ステップS1008:第2加熱工程)
本ステップでは、エミッタ2を第2金属21の融点以下でアニール(焼きなまし)処理する。例えば第2金属21が白金(Pt)の場合、700℃程度の温度で加熱する。本ステップを、所定時間、所定温度で継続した後、加熱電流を停止する。
本ステップでは、エミッタ2を第2金属21の融点以下でアニール(焼きなまし)処理する。例えば第2金属21が白金(Pt)の場合、700℃程度の温度で加熱する。本ステップを、所定時間、所定温度で継続した後、加熱電流を停止する。
(図10:ステップS1009:第2荷電粒子放出工程)
本ステップでは、微小突起25が原子レベルに先鋭化されているか否かを評価するためエミッタ2より荷電粒子を放出させる。電子を放出させる場合は、荷電粒子ビーム源ティップ8に負の高電圧を印加する。正イオンを放出させる場合は、イオン化するガスをエミッタ2先端周辺に供給しつつ、針状細線4に正の高電圧を印加する。負イオンを発生させるためには、イオン化するガスをエミッタ2先端周辺に供給しつつ、針状細線4に負の高電圧を印加する。
本ステップでは、微小突起25が原子レベルに先鋭化されているか否かを評価するためエミッタ2より荷電粒子を放出させる。電子を放出させる場合は、荷電粒子ビーム源ティップ8に負の高電圧を印加する。正イオンを放出させる場合は、イオン化するガスをエミッタ2先端周辺に供給しつつ、針状細線4に正の高電圧を印加する。負イオンを発生させるためには、イオン化するガスをエミッタ2先端周辺に供給しつつ、針状細線4に負の高電圧を印加する。
(図10:ステップS1009:第2荷電粒子放出工程:補足)
イオンを発生させる場合に導入するガスは、水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、酸素(O2)、窒素(N2)のうちのいずれかを用いることができる。また、イオンを発生させる場合、荷電粒子ビーム源1を冷却装置に熱接触させておき、ガス分子や原子が針状細線4に吸着しやすいようにしてもよい。なお、負イオンはガス種によって放出量が非常に少ない場合や、負イオンと電子が混在する場合があるため、イオン放出を望む場合、正イオンを放出することが好ましい。また、ネオンはエミッタ2が室温であってもイオン化されやすいので、エミッタ2先端の原子配列を評価する場合には便利である。
イオンを発生させる場合に導入するガスは、水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、酸素(O2)、窒素(N2)のうちのいずれかを用いることができる。また、イオンを発生させる場合、荷電粒子ビーム源1を冷却装置に熱接触させておき、ガス分子や原子が針状細線4に吸着しやすいようにしてもよい。なお、負イオンはガス種によって放出量が非常に少ない場合や、負イオンと電子が混在する場合があるため、イオン放出を望む場合、正イオンを放出することが好ましい。また、ネオンはエミッタ2が室温であってもイオン化されやすいので、エミッタ2先端の原子配列を評価する場合には便利である。
(図10:ステップS1010〜S1011)
これらのステップは、図9のステップS906〜S907と同様である。
これらのステップは、図9のステップS906〜S907と同様である。
以上、本実施の形態6では、荷電粒子ビーム源1の製造方法をより詳細に説明した。
荷電粒子ビーム源ティップ8先端が所望の先鋭形状になっていれば、被覆金属を付着させる前よりも低電圧で電子、正イオンまたは負イオンを発生させることができる。したがって、第1加熱停止工程(ステップS1006)の後に、荷電粒子ビーム源ティップ8に高電圧を印加することにより、針状細線4先端の先鋭化状況を把握できる。
具体的には、図2の加熱容器の位置に検出器(MCP:マイクロチャンネルプレート)を設置し、放出する電子、または正イオン、負イオンの放出パターンを観察することで、針状細線先端の被覆金属の原子配列を確認することができる。これにより、先端部25が単原子レベルまで先鋭化されているか否かを把握することができる。
<実施の形態7>
図11は、実施の形態1〜6で説明した荷電粒子ビーム源1の製造方法を実行する荷電粒子ビーム源製造装置30の構成図である。以下、荷電粒子ビーム源製造装置30の各構成について説明する。
図11は、実施の形態1〜6で説明した荷電粒子ビーム源1の製造方法を実行する荷電粒子ビーム源製造装置30の構成図である。以下、荷電粒子ビーム源製造装置30の各構成について説明する。
あらかじめ電解研磨で先端曲率半径を50nm程度に尖らせた針状細線4を有する荷電粒子ビーム源ティップ8を真空容器7内に設置し、真空容器7内を超高真空状態に維持する。荷電粒子ビーム源ティップ8は、ティップ移動機構44により、真空容器7外から荷電粒子ビーム源ティップ8の軸方向に移動することができる。このティップ移動機構44を用いて、針状細線4を、対面する溶融状態の被覆金属(第2金属)21に接触または浸漬させることができる。
荷電粒子ビーム源ティップ8には、加熱電源39、荷電粒子を加速する電圧を印加する高電圧電源40、放出する荷電粒子ビーム電流を計測する電流計41が接続されている。
加熱電源39は、エミッタ2を高温加熱するための電源で、高温加熱によりエミッタ2表面の不純物を蒸発させて清浄化することができる。
高電圧電源40は、エミッタ2に高電圧を印加して電界を発生させ、エミッタ2先端から荷電粒子を放出させるための電源である。また、第2金属21を被覆した直後のエミッタ2先端に第2金属21が集積して第2金属21膜厚が過剰に厚い場合があるので、これをイオンとして離脱させて先端部の第2金属21の量を減らすためにも用いる。第2金属21のイオンが正イオンの場合、高電圧電源40の極性は正極とする。例えば、過剰に第2金属21が付着した先端曲率半径が100nmで、引出し電極22と針状細線4の間隔を0.5mm程度、引出し電極22を接地電位にすると、およそ5〜7kVでイオンが放出される。過剰な第2金属21膜を除去する作業では、100μA以上の大電流を流す。
引出し電極22は、穴26を有する導電性平板で、針状細線4の軸に対して垂直に面するように配置され、エミッタ2の軸に対して垂直に移動できる移動機構を有している。引出し電極22および穴26は以下の用途を有する。
(引出し電極22および穴26の用途その1)
針状細線4を穴26の中心に位置するように移動させることにより、エミッタ2から放出された荷電粒子が引出し電極22に直接衝突することがなくなるので、引出し電極22から発生する二次粒子(二次電子、スパッタ粒子、二次イオンなど)が針状細線4に戻ってくることがない。これにより、エミッタ2先端の清浄状態を維持することができる。
針状細線4を穴26の中心に位置するように移動させることにより、エミッタ2から放出された荷電粒子が引出し電極22に直接衝突することがなくなるので、引出し電極22から発生する二次粒子(二次電子、スパッタ粒子、二次イオンなど)が針状細線4に戻ってくることがない。これにより、エミッタ2先端の清浄状態を維持することができる。
(引出し電極22および穴26の用途その2)
引出し電極22を移動させて、穴のない部分で加熱容器33を遮蔽することにより、加熱容器33内にある被覆金属21の余分な蒸発物質が荷電粒子ビーム源ティップ8などに付着しないように遮断することができる。すなわち引出し電極22は、シャッタとしての用途も有する。
引出し電極22を移動させて、穴のない部分で加熱容器33を遮蔽することにより、加熱容器33内にある被覆金属21の余分な蒸発物質が荷電粒子ビーム源ティップ8などに付着しないように遮断することができる。すなわち引出し電極22は、シャッタとしての用途も有する。
(引出し電極22および穴26の用途その3)
引出し電極22を待避位置(エミッタ2を上下させても引出し電極22に接触しない位置)に移動させることで、針状細線4(金属付着前のエミッタ)に被覆金属21を付着することができる。
引出し電極22を待避位置(エミッタ2を上下させても引出し電極22に接触しない位置)に移動させることで、針状細線4(金属付着前のエミッタ)に被覆金属21を付着することができる。
加熱容器33は、被覆金属となる第2金属21を貯留して溶融させる容器であり、真空容器7外に設置した加熱電源39からの通電によって加熱される。加熱容器33は、例えばヒータを内蔵した坩堝でもよいし、コイル状のフィラメントヒータでもよい。
単原子終端形成を確認するために、荷電粒子ビーム源製造装置30内で実際に荷電粒子を放出させることもできる。電子を放出させる場合には、引出し電極22は接地電位のままで高圧電源39を負極に切替え、エミッタ2に負の高電圧を印加することで、電子を放出させることができる。
ただし、放出した電流値を計測するだけでは、エミッタ2先端が単原子状態であるか否かが分からない。そこで、加熱容器33の位置、もしくは、加熱容器33と引出し電極22の間にMCP(図示せず)と蛍光板(図示せず)を設置する。これにより、先の実施の形態で説明したように、エミッタ2先端の原子配列を観察して先鋭化状態を確認することができる。
イオンを放出することによりエミッタ2先端の原子配列を確認する場合は、荷電粒子ビーム源製造装置30にあらかじめ設置したガス導入機構を用いて、ボンベ42に貯留されたイオン化ガス(たとえば、ネオン、ヘリウム、水素など)をノズル43からエミッタ2周辺に供給する。この状態でエミッタ2に高電圧を印加することで、イオン化されたガスがエミッタ2先端の原子配列を反映した位置で電界電離してイオンとして放出される。この場合でも、例えばMCP(図示せず)と蛍光板(図示せず)を用いることで、放出イオンの起点となるエミッタ2表面の原子配列が可視化できる。単原子状態でイオンが放出されている場合には、1個の輝点が安定的に観察できる。
以上、本実施の形態7では、荷電粒子ビーム源製造装置30の構成を説明した。
<実施の形態8>
図12は、本発明の実施の形態8に係る荷電粒子ビーム装置100の構成を示す模式図である。本実施の形態8に係る荷電粒子ビーム装置100は、実施の形態1〜7のいずれかで説明した荷電粒子ビーム源製造方法で製造した荷電粒子ビーム源1を備える。以下、図4の各構成について説明する。
図12は、本発明の実施の形態8に係る荷電粒子ビーム装置100の構成を示す模式図である。本実施の形態8に係る荷電粒子ビーム装置100は、実施の形態1〜7のいずれかで説明した荷電粒子ビーム源製造方法で製造した荷電粒子ビーム源1を備える。以下、図4の各構成について説明する。
エミッタ2から放出された荷電粒子ビーム111は、静電レンズ102−1、102−2で集束され、試料ステージ101上の試料112上に照射される。試料112上での荷電粒子ビーム111の照射位置は、偏向器103−1、103−2で荷電粒子ビーム111を偏向することによって調整される。
試料112から発生した2次電子113は2次電子検出器104で検出され、その信号強度を偏向強度と対応させた2次電子観察像が表示器110で形成される。ユーザは、表示器110を用いて2次電子観察像を見ながら、荷電粒子ビーム111を照射する位置を画面上で指定することができる。
静電レンズ102−1、102−2、ビーム制限絞り102−3、アライナー102−4を含むレンズ系102は、レンズ系制御器105で制御される。偏向器103−1、103−2を含む偏向系103は、偏向系制御器106で制御される。なお、各部のドライバを表すボックスの符号は省略してある。
荷電粒子ビーム源1のエミッタ2先端は、原子1個レベルに先鋭化されている。エミッタ2より電子を放出させる場合、電子はこの1個の原子から放出されるため輝度の高い電子源となる。
先端部25の1個の原子が不意の事故で脱離した場合でも、エミッタ2を加熱することにより、針状細線4付着している第2金属21被膜が溶融して先端部25に供給されるので、幾度でも先端部25を原子1個レベルの形状に再生することができる。これにより、長寿命の荷電粒子ビーム装置100を提供することができる。
本実施の形態8における「荷電粒子ビーム光学系」は、レンズ系102と偏向系103が相当する。
本実施の形態8に係る荷電粒子ビーム装置100では、電子は1個の原子から放出されるため、観察すべき試料表面に極微小径の電子ビームを照射させることができ、観察されるSEM像では0.2nm程度の像分解能の画像が得られる。
1:荷電粒子ビーム源、2:エミッタ、3:引出し電極、4:針状細線、5:被覆金属、 6:荷電粒子、7:真空容器、8:荷電粒子ビーム源ティップ、9:フィラメント、10:電気端子、11:絶縁碍子、21:第2金属、22:シャッタ/引出し電極、23:不純物、25:先端部、25a:微小突起、26:穴、27:イオン、28a、28b、28c、28d:結晶面、30:荷電粒子ビーム源製造装置、33:加熱容器、34:ヒータ、 35:加熱電源、38:直線導入機、39:加熱電源、40:高電圧電源、41:電流計、 42:ガスボンベ、43:ガス導入ノズル、44:直線導入機、63:凹部、66:凸部、66:凹部、67:凸部、100:荷電粒子ビーム装置、101:試料ステージ、102:レンズ系、102−1、102−2:静電レンズ、102−3:ビーム制限絞り、102−4:アライナー、103:偏向系、103−1、103−2:偏向器、104:2次電子検出器、105:レンズ系制御器、106:偏向系制御器、110:表示器、111:荷電粒子ビーム、112:試料、113:2次電子。
Claims (17)
- 荷電粒子を放出する荷電粒子ビーム源の製造方法であって、
先鋭加工した第1金属からなる針状細線を真空室内に配置し、融点が前記第1金属より低い第2金属を前記針状細線の少なくとも先端部に被覆させる第2金属被覆工程と、
前記第2金属を被覆させた前記針状細線を、前記第2金属の融点以上、前記第1金属の融点以下に加熱して溶融状態に保ち、前記針状細線の先端から荷電粒子を放出させる荷電粒子放出工程と、
前記荷電粒子が放出されている状態で、前記針状細線の温度を前記第2金属の融点以下に降下させる第2金属固化工程と、
を含むことを特徴とする荷電粒子ビーム源の製造方法。 - 前記針状細線を大気に露出させることなく前記各工程を実行することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。
- 第2金属被覆工程では、
前記真空室内で前記第2金属を溶融状態にし、前記針状細線の少なくとも先端部を溶融状態の前記第2金属に接触または浸漬して、前記針状細線の少なくとも先端部に前記第2金属を被覆させる
ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。 - 前記第1金属は融点が2500℃以上の金属であることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。
- 前記第1金属は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)のうちのいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。 - 前記第2金属は、融点が900℃以上、2500℃未満の金属であることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。
- 前記第2金属は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)のうちのいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。 - 前記第2金属被覆工程では、
溶融状態にある前記第2金属に前記針状細線を接触または浸漬する時の前記針状細線の温度と、前記溶融状態にある第2金属の温度との差を50℃以内にする
ことを特徴とする請求項3記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。 - 前記第2金属を前記針状細線に被覆させる前に前記針状細線の側面に1以上の凹部または凸部を設ける工程を有する
ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム源の製造方法。 - 第1金属からなる針状細線の少なくとも先端に第2金属を被覆させたエミッタと、
前記エミッタの先端部に電界を形成して荷電粒子を放出させる引出し電極と、
を備えた荷電粒子ビーム源であって、
前記エミッタは、
真空室内で溶融状態の前記第2金属に前記針状細線を接触または浸漬して前記針状細線の少なくとも先端部を溶融した前記第2金属で被覆し、前記エミッタの先端部の第2金属を固化して形成されている
ことを特徴とする荷電粒子ビーム源。 - 第1金属からなる針状細線の少なくとも先端に第2金属を被覆させたエミッタと、
前記エミッタの先端部に電界を形成して荷電粒子を放出させる引出し電極と、
を備えた荷電粒子ビーム源であって、
前記エミッタは、
前記針状細線の側面に1以上の凹部または凸部を設け、前記針状細線の少なくとも先端部を前記第2金属で被覆して形成されている
ことを特徴とする荷電粒子ビーム源。 - 前記エミッタの先端部は、前記第2金属の原子1個で構成されていることを特徴とする請求項10記載の荷電粒子ビーム源。
- 前記エミッタの電位を前記引出し電極に対して負電位にして前記エミッタの先端部から電子を放出させる電圧印加部を備えた
ことを特徴とする請求項10記載の荷電粒子ビーム源。 - イオン化すべきガスを前記エミッタに供給するガス供給部と、
前記エミッタの電位を前記引出し電極に対して正電位にして前記エミッタの先端部から前記ガスの正イオンを放出させる電圧印加部と、
を備えたことを特徴とする請求項10記載の荷電粒子ビーム源。 - 前記ガスは、水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、酸素(O2)、窒素(N2)のうちの少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする請求項14記載の荷電粒子ビーム源。 - 前記エミッタを冷却する冷却装置を備えることを特徴とする請求項14記載の荷電粒子ビーム源。
- 試料を載置する試料ステージと、
請求項10記載の荷電粒子ビーム源と、
前記荷電粒子ビーム源が放出する荷電粒子ビームを集束し前記試料面上に集束する荷電粒子ビーム光学系と、
前記試料から発生する二次粒子を検出する検出器と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
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| JP2009245600A JP2011091001A (ja) | 2009-10-26 | 2009-10-26 | 荷電粒子ビーム源の製造方法、荷電粒子ビーム源、荷電粒子ビーム装置 |
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| JP2011091001A true JP2011091001A (ja) | 2011-05-06 |
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| JP2009245600A Pending JP2011091001A (ja) | 2009-10-26 | 2009-10-26 | 荷電粒子ビーム源の製造方法、荷電粒子ビーム源、荷電粒子ビーム装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019102242A (ja) * | 2017-11-30 | 2019-06-24 | 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 | 単原子終端構造を有するイオン源および電子源、単原子終端構造を有するティップ、ガス電界電離イオン源、集束イオンビーム装置、電子源、電子顕微鏡、マスク修正装置、並びに単原子終端構造を有するティップの製造方法 |
| JPWO2021079855A1 (ja) * | 2019-10-21 | 2021-04-29 |
-
2009
- 2009-10-26 JP JP2009245600A patent/JP2011091001A/ja active Pending
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| JP7007642B2 (ja) | 2017-11-30 | 2022-02-10 | 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 | 単原子終端構造を有するティップおよび単原子終端構造を有するティップの製造方法 |
| JPWO2021079855A1 (ja) * | 2019-10-21 | 2021-04-29 | ||
| JP7369473B2 (ja) | 2019-10-21 | 2023-10-26 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | エミッタ、それを用いた電子銃、それを用いた電子機器、および、その製造方法 |
| US11915920B2 (en) | 2019-10-21 | 2024-02-27 | National Institute For Materials Science | Emitter, electron gun in which same is used, electronic device in which same is used, and method for manufacturing same |
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