JP2011090382A - 監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる監視システムを提供すること。
【解決手段】この監視システム1は、監視対象データのマハラノビス距離を算出すると共にマハラノビス距離に基づいて監視対象10の異常を検知する監視装置2と、複数の監視対象データから異常の予兆が現れている監視対象データ(異常信号)および異常信号に関連する監視対象データ(関連信号)を抽出すると共にこれらの異常信号および関連信号に基づいて所定の入力信号を生成するデータ処理装置3と、この入力信号に基づいて監視対象10の故障診断を行う故障診断装置4とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】この監視システム1は、監視対象データのマハラノビス距離を算出すると共にマハラノビス距離に基づいて監視対象10の異常を検知する監視装置2と、複数の監視対象データから異常の予兆が現れている監視対象データ(異常信号)および異常信号に関連する監視対象データ(関連信号)を抽出すると共にこれらの異常信号および関連信号に基づいて所定の入力信号を生成するデータ処理装置3と、この入力信号に基づいて監視対象10の故障診断を行う故障診断装置4とを備えている。
【選択図】図1
Description
この発明は、監視システムに関し、さらに詳しくは、監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる監視システムに関する。
近年のガスタービン発電プラント、原子力プラント、化学プラントなどの各種プラントでは、マハラノビス距離を用いてプラントの運転状態を監視するシステムが採用されている。かかる監視システムでは、監視対象であるプラントから複数の監視対象データを所定の時間間隔で取得し、これらの監視対象データごとにマハラノビス距離を算出し、このマハラノビス距離が所定の閾値を越えたときに、プラントの運転状態に異常があると判定している。このような監視システムとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
一方、プラントの運転状態に異常があるときに、監視対象の故障診断を行う装置(故障診断装置)が知られている。この故障診断装置は、監視対象に関する所定の入力データとベイジアンネットワークとを用いて、監視対象の故障部品を確率的に推定できる。
従来の技術では、上記の監視システムと故障診断装置とが相互に独立しており、専門の技術者がこれらを時間をかけて使いこなして、監視対象の故障診断を行っている。
この発明は、監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる監視システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる監視システムは、監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる監視システムであって、監視対象から所定の監視対象データを取得して、前記監視対象データのマハラノビス距離を算出すると共に前記マハラノビス距離に基づいて前記監視対象の異常を検知する監視手段と、複数の前記監視対象データから異常の予兆が現れている監視対象データ(以下、異常信号という。)および前記異常信号に関連する監視対象データ(以下、関連信号という。)を抽出すると共に前記異常信号および前記関連信号に基づいて所定の入力信号を生成するデータ処理手段と、前記入力信号に基づいて前記監視対象の故障診断を行う故障診断手段とを備えることを特徴とする。
この監視システムは、監視対象に異常があると判定されたときに、監視対象データから異常信号および関連信号が抽出される。また、これらの異常信号および関連信号に基づいて、故障診断手段への入力信号が生成される。そして、この入力信号に基づいて監視対象の故障診断が行われる。これにより、監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる利点がある。
また、この発明にかかる監視システムは、前記マハラノビス距離の時間微分値が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段を備え、且つ、前記対象期間における前記監視対象データから前記異常信号および前記関連信号が抽出される。
この監視システムでは、マハラノビス距離の時間微分値が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間とし、この対象期間内の監視対象データから異常信号および関連信号が抽出される。かかる構成では、異常の予兆が顕著に現れている期間を対象期間として選択できるので、有用な異常信号および関連信号を抽出できる。これにより、故障診断の精度が向上する利点がある。また、かかる構成では、マハラノビス距離が監視対象の経年劣化や環境変化(例えば、大気温度の変化などのノイズ)により緩やかに変化したときに、かかる環境変化を監視対象の異常と判断する誤った故障診断が防止される利点がある。
また、この発明にかかる監視システムは、前記異常信号の時間微分値が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段を備え、且つ、前記対象期間における前記監視対象データから前記異常信号および前記関連信号が抽出される。
この監視システムでは、異常信号の時間微分値に基づいて異常信号および関連信号が抽出される。かかる構成では、異常の予兆が顕著に現れている期間を対象期間として選択できるので、有用な異常信号および関連信号を抽出できる。これにより、故障診断の精度が向上する利点がある。また、かかる構成では、マハラノビス距離が監視対象の経年劣化や環境変化により緩やかに変化したときに、かかる環境変化を監視対象の異常と判断する誤った故障診断が防止される利点がある。
また、この発明にかかる監視システムは、前記対象期間内であって前記マハラノビス距離が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段を備え、且つ、前記対象期間における前記監視対象データから前記異常信号および前記関連信号が抽出される。
この監視システムでは、(1)マハラノビス距離Dの時間微分値D’とマハラノビス距離Dとの組み合わせ、あるいは、(2)異常信号の時間微分値とマハラノビス距離Dとの組み合わせにより、対象期間が選択される。かかる構成では、より好適な対象期間が選択されるので、故障診断の精度がさらに向上する利点がある。
この発明にかかる監視システムは、監視対象に異常があると判定されたときに、監視対象データから異常信号および関連信号が抽出される。また、これらの異常信号および関連信号に基づいて、故障診断手段への入力信号が生成される。そして、この入力信号に基づいて監視対象の故障診断が行われる。これにより、監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[監視システム]
この監視システム1は、監視対象の運転状態を監視するシステムであり、より詳しくは、監視対象から所定の監視対象データを取得し、この監視対象データのマハラノビス距離を用いて監視対象の運転状態を監視するシステムである。この監視システム1は、例えば、ガスタービン発電プラント、原子力プラント、化学プラントなどの各種プラントを監視対象10とする。この実施の形態では、一例として、監視システム1がガスタービン発電プラントを監視対象10とする場合について説明する(図1参照)。なお、監視システム1は、単一の監視対象10のみならず、複数の監視対象10を同時に監視できる(図示省略)。
この監視システム1は、監視対象の運転状態を監視するシステムであり、より詳しくは、監視対象から所定の監視対象データを取得し、この監視対象データのマハラノビス距離を用いて監視対象の運転状態を監視するシステムである。この監視システム1は、例えば、ガスタービン発電プラント、原子力プラント、化学プラントなどの各種プラントを監視対象10とする。この実施の形態では、一例として、監視システム1がガスタービン発電プラントを監視対象10とする場合について説明する(図1参照)。なお、監視システム1は、単一の監視対象10のみならず、複数の監視対象10を同時に監視できる(図示省略)。
監視システム1は、監視装置2と、データ処理装置3と、故障診断装置4とを備える(図1参照)。これらの装置2〜4は、例えば、PC(Personal Computer)により構成される。例えば、この実施の形態では、監視装置2、データ処理装置3および故障診断装置4が相互に独立しており、これらが情報通信可能に接続されて監視システム1が構成されている(図1参照)。また、監視装置2、データ処理装置3および故障診断装置4は、それぞれ独立して設置が可能で、ガスタービン発電プラント、または、遠方の監視センターのいずれかに設置されている。
なお、これに限らず、監視システム1は、各装置2〜4の機能を実現するためのプログラムを有する単一の装置により構成されても良い(図示省略)。また、複数の監視対象10がある場合には、これらの監視対象10に対して監視装置2がそれぞれ設置され、これらの監視装置2がデータ処理装置3および故障診断装置4に対してそれぞれ接続されても良い(図示省略)。
監視装置2は、監視対象10から所定の監視対象データを取得してマハラノビス距離Dを算出し、このマハラノビス距離Dに基づいて監視対象10の運転状態の異常を検知する装置である。なお、監視対象データならびにマハラノビス距離Dの算出については後述する。この監視装置2は、マハラノビス距離算出部21と、異常判定部22と、警報信号発生部23と、記憶部24とを有する。マハラノビス距離算出部21は、取得された監視対象データのマハラノビス距離Dを算出する。異常判定部22は、マハラノビス距離Dに基づいて監視対象10の運転状態に異常があるか否かを判定する。警報信号発生部23は、監視対象10の運転状態に異常があるときに所定の警報信号を発生する。記憶部24は、監視対象10から取得された複数の監視対象データ、マハラノビス距離Dの算出処理に必要なデータ(例えば、後述するマハラノビス単位空間に関する基準データ群)、監視対象10の運転状態の異常判定に必要なデータ(例えば、運転状態に異常があるか否かを判定するためのマハラノビス距離Dの閾値k)などを記憶する記録媒体である。
データ処理装置3は、監視対象10の運転状態に異常があるときに、複数の監視対象データから異常の予兆が現れている監視対象データ(異常信号)および異常信号に関連する監視対象データ(関連信号)を抽出し、これらの異常信号および関連信号とマハラノビス距離Dとに基づいて故障診断装置への入力信号(異常信号データおよび関連信号データ)を生成する装置である。このデータ処理装置3は、対象信号抽出部31と、対象期間選択部32と、異常信号データ算出部33と、関連信号データ算出部34とを有する。対象信号抽出部31は、取得された複数の監視対象データから異常信号および関連信号を抽出する。対象期間選択部32は、異常信号データの算出および関連信号データの算出にあたり用いられる期間(対象期間)を、監視対象データのすべてのサンプリング期間から選択する。異常信号データ算出部33は、異常信号とマハラノビス距離Dとに基づいて故障診断装置4への入力信号(異常信号データ)を生成する。関連信号データ算出部34は、関連信号とマハラノビス距離Dとに基づいて故障診断装置への入力信号(関連信号データ)を生成する。
故障診断装置4は、異常信号データおよび関連信号データに基づいて監視対象10の故障診断を行う装置である。この故障診断装置4は、故障診断部41と、ベイジアンネットワーク42と、データベース43と、診断結果生成部44と、表示部45とを有する。故障診断部41は、対象期間、異常信号データおよび関連信号データに基づきベイジアンネットワーク42を用いて監視対象10の故障診断を行う。ベイジアンネットワーク42は、異常信号および関連信号と監視対象10の故障部品との因果関係を確率的に記述するグラフィカルモデルである。データベース43は、故障診断に必要なデータを蓄積する記録媒体である。診断結果生成部44は、故障診断部41にて行われた故障診断の結果を生成する。表示部45は、例えば、PCのモニタであり、診断結果生成部44にて生成された故障診断の結果を表示する。
監視対象10は、ガスタービン発電プラントであり、ガスタービン11と発電機12とを有する。ガスタービン11は、圧縮機C、燃焼器BおよびタービンTから構成される。このガスタービン発電プラントでは、まず、圧縮機Cが、空気取込口から取り込まれた空気を圧縮して圧縮空気を生成する。次に、燃焼器Bが、この圧縮空気に燃料を噴射して高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。次に、タービンTがこの燃焼ガスの熱エネルギーをロータの回転エネルギーに変換して駆動力を発生させる。そして、この駆動力がロータに連結された発電機12に伝達され、発電機12が稼動して発電する。
[監視対象データ]
監視対象データは、監視対象10の運転状態に関する測定データであり、複数の状態量により構成される。これらの監視対象データは、例えば、プラントの機器を制御するための制御信号(例えば、燃料制御弁の開度)、各種センサの出力値(例えば、発電機出力センサ、タービン回転数センサ、燃料温度センサ、燃料流量センサ、空気圧縮機の入口温度センサおよび出口温度センサ、ブレードパス温度センサ、排ガス温度センサ、窒素酸化物濃度センサ、燃料圧力変動センサ、軸受振動センサ、軸受メタル温度センサ、ロータ冷却空気温度センサ、ディスクキャビティ温度センサなどの出力値)などにより構成される。
監視対象データは、監視対象10の運転状態に関する測定データであり、複数の状態量により構成される。これらの監視対象データは、例えば、プラントの機器を制御するための制御信号(例えば、燃料制御弁の開度)、各種センサの出力値(例えば、発電機出力センサ、タービン回転数センサ、燃料温度センサ、燃料流量センサ、空気圧縮機の入口温度センサおよび出口温度センサ、ブレードパス温度センサ、排ガス温度センサ、窒素酸化物濃度センサ、燃料圧力変動センサ、軸受振動センサ、軸受メタル温度センサ、ロータ冷却空気温度センサ、ディスクキャビティ温度センサなどの出力値)などにより構成される。
[マハラノビス距離]
マハラノビス距離Dは、所定の基準データ群(マハラノビス単位空間)に対する監視対象データの概念的な距離である(図7参照)。例えば、図7は、横軸を発電機12の出力とし、縦軸をガスタービン11のブレードパス温度とした相関図を示している。同図では、複数の基準データ(測定データ)が監視対象10の正常運転時に予め取得され、これらの基準データにより、マハラノビス距離D=1となる基準データ群が構成されている。同図に示すように、発電機12の出力が上昇すると、これに伴ってブレードパス温度が上昇することが分かる。また、各基準データは、大気条件や運転状態などの相異によりばらつきがあるものの、発電機12の出力とブレードパス温度との相関関係により特定の範囲内に収まることが分かる。
マハラノビス距離Dは、所定の基準データ群(マハラノビス単位空間)に対する監視対象データの概念的な距離である(図7参照)。例えば、図7は、横軸を発電機12の出力とし、縦軸をガスタービン11のブレードパス温度とした相関図を示している。同図では、複数の基準データ(測定データ)が監視対象10の正常運転時に予め取得され、これらの基準データにより、マハラノビス距離D=1となる基準データ群が構成されている。同図に示すように、発電機12の出力が上昇すると、これに伴ってブレードパス温度が上昇することが分かる。また、各基準データは、大気条件や運転状態などの相異によりばらつきがあるものの、発電機12の出力とブレードパス温度との相関関係により特定の範囲内に収まることが分かる。
ここで、監視対象10の運転状態に異常が発生すると、その時刻の監視対象データが基準データ群から外れた位置に現れ、マハラノビス距離Dが大きくなる。したがって、監視対象データと基準データ群とのマハラノビス距離Dを算出し、このマハラノビス距離Dと所定の閾値kとを比較することにより、監視対象10の運転状態が異常であるか否かを判定できる。
例えば、この実施の形態では、監視対象10がガスタービン発電プラントであり、その正常運転時における所定期間の監視対象データが基準データとして予め取得されている。そして、この基準データ群により、マハラノビス単位空間が算出されている。そして、このマハラノビス単位空間におけるマハラノビス距離DをD=1として、現在の監視対象データのマハラノビス距離Dが算出される。そして、このマハラノビス距離Dと所定の閾値kとが比較されて、監視対象10の運転状態の異常判定が行われる。
なお、マハラノビス距離Dは、一般に以下のように算出される。まず、監視対象10の状態を示す複数の状態量(監視対象データ)の合計数をuとし、各状態量をそれぞれ変数Xに割り付けて、変数X1〜Xuでこの状態量を定義する(uは2以上の整数)。次に、基準となる監視対象10の運転状態において、変数X1〜Xuの状態量を合計v個ずつそれぞれ取得する(vは2以上の整数)。
次に、変数X1〜Xuの平均値Miおよび標準偏差σi(基準データのばらつき度合い)を以下の数式(1)および数式(2)によりそれぞれ算出する。なお、数式(1)および数式(2)において、iは、項目数(状態量の数。整数。)であり、i=1〜uに設定されて変数X1〜Xuに対応する値を示す。jは、j=1〜vのいずれかの値(整数)であり、それぞれの状態量の個数がv個であることを意味する。例えば、それぞれの状態量を60個ずつ取得した場合には、v=60となる。また、標準偏差とは、状態量とその平均値との差を2乗したものの期待値の正平方根とする。
次に、算出された平均値Miおよび標準偏差σiを用いて、元の変数X1〜Xuを以下の数式(3)によりx1〜xuに変換する(状態量の基準化)。すなわち、監視対象10の状態量を平均0かつ標準偏差1の確率変数に変換する。なお、数式(3)において、jは、j=1〜vのいずれかの値(整数)であり、それぞれの状態量の個数がv個であることを意味する。
次に、変量を平均0かつ標準偏差1に標準化したデータでの分析を行うため、変数X1〜Xuの相関関係、すなわち、変量の間の相関性を示す共分散行列(相関行列)Rおよび共分散行列Rの逆行列R−1を以下の数式(4)により算出する。なお、数式(4)において、kは、項目数(状態量の数)であり、ここではk=uである。また、iおよびpは、各状態量での値であり、ここではi=1〜uかつp=1〜uである。
次に、マハラノビス距離Dを以下の数式(5)を用いて算出する。なお、数式(5)において、jは、j=1〜vのいずれかの値(整数)であり、それぞれの状態量の個数がv個であることを意味する。また、kは、項目数(状態量の数)であり、ここではk=uである。また、a11〜akkは、数式(4)における共分散行列Rの逆行列R−1の係数である。
マハラノビス単位空間では、マハラノビス距離Dの平均値がD≒1となる。また、基準となる監視対象10の運転状態(正常な運転状態)では、マハラノビス距離Dが、概ねD≦3の範囲に収まる。しかしながら、監視対象10に異常が発生すると、マハラノビス距離Dが大きくなる。したがって、マハラノビス距離Dと所定の閾値kとを比較することにより、監視対象10の運転状態が異常であるか否かを判定できる。なお、閾値kは、例えば、k>3であり、監視対象データの種類に応じて適宜設定され得る。
[監視対象の故障診断]
この監視システム1では、監視対象10の故障診断が以下のように行われる(図5および図6参照)。
この監視システム1では、監視対象10の故障診断が以下のように行われる(図5および図6参照)。
ステップST1では、監視対象10の運転時にて、監視対象10から複数の監視対象データが取得される。例えば、この実施の形態では、監視装置2がこれらの監視対象データを所定の測定間隔にてリアルタイムで取得し、測定時刻に関する情報と共に記憶部24に記憶している。なお、監視対象データの測定間隔は、任意に設定できる。このステップST1の後に、ステップST2に進む。
ステップST2では、ステップST1にて取得された複数の監視対象データについて、マハラノビス距離Dがそれぞれ算出される。例えば、この実施の形態では、監視装置2のマハラノビス距離算出部21が、各時刻にて取得された監視対象データとマハラノビス距離Dの算出処理に必要な情報とを記憶部24から読み込み、これらの監視対象データについてマハラノビス距離Dをそれぞれ算出している。このステップST2の後に、ステップST3に進む。
ステップST3では、ステップST2にて算出されたマハラノビス距離Dに基づいて、監視対象10の運転状態に異常があるか否かが判定される。例えば、この実施の形態では、監視装置2の異常判定部22が、ステップST2にて算出されたマハラノビス距離Dと所定の閾値kとを比較し、D>kであるときに、監視対象10の運転状態に異常ありと判定(肯定判定)している。このステップST3にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST4に進み、否定判定が行われた場合には、処理が終了される。
なお、監視対象10の運転状態に異常がある場合(ステップST3の肯定判定)には、監視装置2の警報信号発生部23が所定の警報信号を発生する。そして、監視装置2が、この警報信号と、ステップST1にて取得された複数の監視対象データと、ステップST2にて算出されたマハラノビス距離Dとをデータ処理装置3に送信する。そして、これらの情報に基づいて、データ処理装置3がステップST4〜ステップST7の処理を行う。
ステップST4では、ステップST1にて取得された複数の監視対象データから、異常信号および関連信号が抽出される(対象信号抽出ステップST4)。異常信号とは、複数の監視対象データのうち、異常の予兆が現れている監視対象データをいう。関連信号とは、異常信号に関連する他の監視対象データをいう。例えば、この実施の形態では、データ処理装置3の対象信号抽出部31が、ステップST1にて取得された複数の監視対象データのうち、マハラノビス距離Dの望大特性に寄与率の高い監視対象データを、異常信号として抽出している。また、対象信号抽出部31が、この異常信号に関連する他の監視対象データを関連信号として抽出している。なお、ある監視対象データと他の監視対象データとの相互関係(異常信号と関連信号との関係)は、予め規定されている。このステップST4の後に、ステップST5に進む。
ステップST5では、対象期間の選択が行われる(対象期間選択ステップST5)。対象期間とは、後述する異常信号データの算出ステップST6および関連信号データの算出ステップST7にあたり用いられる期間であり、監視対象データの全サンプリング期間から選択される。例えば、この実施の形態では、データ処理装置3の対象期間選択部32が、ステップST4にて抽出された異常信号についてマハラノビス距離Dの時間微分値D’を算出すると共にこの時間微分値D’が所定の閾値k’を連続して超えている期間を、対象期間として選択している(図6参照)。なお、閾値k’は、監視対象データの種類に応じて適宜設定され得る。このステップST5の後に、ステップST6に進む。
ステップST6では、ステップST4にて抽出された異常信号について、異常信号データの算出が行われる(異常信号データ算出ステップST6)。異常信号データとは、異常信号(異常の予兆が現れている監視対象データ)に基づいて算出されるデータであり、故障診断装置4への入力信号として用いられる。例えば、この実施の形態では、データ処理装置3の異常信号データ算出部33が、ステップST5の対象期間における異常信号の絶対値、積分値、微分値、平均値、最大値、最小値および標準偏差を、異常信号データとして算出している。このステップST6の後に、ステップST7に進む。
ステップST7では、ステップST4にて抽出された関連信号について、関連信号データの算出が行われる(関連信号データ算出ステップST7)。関連信号データとは、関連信号(異常信号に関連する他の監視対象データ)に基づいて算出されるデータであり、故障診断装置4への入力信号として用いられる。例えば、この実施の形態では、データ処理装置3の関連信号データ算出部34が、ステップST5の対象期間における関連信号の絶対値、積分値、微分値、平均値、最大値、最小値および標準偏差を、関連信号データとして算出している。このステップST7の後に、ステップST8に進む。
なお、異常信号データおよび関連信号データのうちデータ特性が明確な一部の数値については、その算出および故障診断装置4への入力が省略されても良い。
ステップST8では、ステップST5にて選択された対象期間、ステップST6にて算出された異常信号データおよびステップST7にて算出された関連信号データに基づいて、監視対象10の故障診断が行われる。例えば、この実施の形態では、故障診断部41が、対象期間、異常信号および関連信号に基づきベイジアンネットワーク42を用いて監視対象10の故障診断を行っている。この故障診断では、ベイジアンネットワーク42およびデータベース43の情報が用いられて、監視対象10の故障部品が確率的に推定される。このステップST8の後に、ステップST9に進む。
ステップST9では、ステップST8にて行われた故障診断の結果が出力される。例えば、この実施の形態では、診断結果生成部44が、ステップST8にて行われた故障診断の結果を生成し、表示部45が、この故障診断の結果を表示している。このステップST9の後に、処理が終了される。
[監視対象の故障診断の具体例]
次に、監視対象10の故障診断の具体例について説明する。ここでは、一例として、監視対象10がガスタービン発電プラント(図1参照)である場合について説明する。
次に、監視対象10の故障診断の具体例について説明する。ここでは、一例として、監視対象10がガスタービン発電プラント(図1参照)である場合について説明する。
この監視システム1では、監視対象10であるガスタービン発電プラントの運転時にて、監視装置2が複数の監視対象データを取得している(ステップST1)(図5参照)。これらの監視対象データは、ガスタービン発電プラントのキャビティ温度、ブレードパス温度、ロータ軸の変位量および各種バルブの開度である。具体的には、監視対象データが、ロータおよびステータ間に配置された複数のキャビティ温度センサ、燃焼ガス出口の周方向に配置された複数のブレードパス温度センサ、ロータの周方向に沿って配置された複数のロータ軸変位量センサ、各種バルブに設置された開度センサなどの出力値として取得されている。また、監視装置2がマハラノビス距離Dを算出し(ステップST2)、このマハラノビス距離Dに基づいて監視対象10の運転状態に異常があるか否かを判定している(ステップST3)。正常な運転状態では、すべての監視対象データのマハラノビス距離Dと所定の閾値kとがD≦kの関係にある(ステップST3の否定判定)。
ここで、これらの監視対象データのうち、ブレードパス温度に異常が発生したとする(図6参照)。例えば、ブレードパス温度が正常運転時の温度T0から温度T1に短時間で急上昇したとする。すると、ブレードパス温度のマハラノビス距離Dが増加する。そして、マハラノビス距離Dと所定の閾値kとがD>kの関係となると、監視装置2が監視対象10の運転状態に異常があると判定して(ステップST3の肯定判定)、警報信号を発生する。
すると、データ処理装置3が、ブレードパス温度を異常信号(異常の予兆が現れている監視対象データ)として抽出し、また、他のキャビティ温度、ロータ軸の変位量および各種バルブの開度を関連信号として抽出する(対象信号抽出ステップST4)。また、データ処理装置3が、異常信号(ブレードパス温度)のマハラノビス距離Dの時間微分値D’を算出し、この時間微分値D’が所定の閾値k’を連続して超えている期間ta〜tbを対象期間として選択する(対象期間選択ステップST5)。
また、データ処理装置3が、対象期間ta〜tbにおける異常信号の異常信号データ(ブレードパス温度の絶対値、積分値、微分値、平均値、最大値、最小値および標準偏差)を算出し(異常信号データ算出ステップST6)、また、対象期間ta〜tbにおける関連信号の関連信号データ(他の監視対象データの絶対値、積分値、微分値、平均値、最大値、最小値および標準偏差)を算出する(関連信号データ算出ステップST7)。
次に、故障診断装置4が、対象期間ta〜tb、異常信号データおよび関連信号データに基づいて監視対象10の故障診断を行う(ステップST8)。この故障診断では、ベイジアンネットワーク42およびデータベース43の情報が用いられて、監視対象10の故障部品が確率的に推定される。そして、故障診断装置4が、この診断結果を表示部45に表示する(ステップST9)。これにより、監視員がガスタービン発電プラントにおける異常の発生の予兆および故障部品の推定結果を取得できる。なお、故障診断装置4は、一般に学習機能を有し、診断結果の蓄積により、その故障診断の精度を向上させ得る。
[効果]
以上説明したように、この監視システム1は、監視対象データのマハラノビス距離Dを算出すると共にこのマハラノビス距離Dに基づいて監視対象10の異常を検知する監視手段(監視装置2)と、監視対象データから異常信号および関連信号を抽出すると共にこれらの異常信号および関連信号に基づいて所定の入力信号(異常信号データおよび関連信号データ)を生成するデータ処理手段(データ処理装置3)と、この入力信号に基づいて監視対象10の故障診断を行う故障診断手段(故障診断装置4)とを備える(図1参照)。かかる構成では、監視対象10に異常があると判定されたときに(ステップST3の肯定判定)、監視対象データから異常信号および関連信号が抽出される(対象信号抽出ステップST4)。また、これらの異常信号および関連信号に基づいて、故障診断手段への入力信号(異常信号データおよび関連信号データ)が生成される(異常信号データ算出ステップST6および関連信号データ算出ステップST7)。そして、この入力信号に基づいて監視対象10の故障診断が行われる(ステップST8)(図5参照)。これにより、監視対象10における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる利点がある。
以上説明したように、この監視システム1は、監視対象データのマハラノビス距離Dを算出すると共にこのマハラノビス距離Dに基づいて監視対象10の異常を検知する監視手段(監視装置2)と、監視対象データから異常信号および関連信号を抽出すると共にこれらの異常信号および関連信号に基づいて所定の入力信号(異常信号データおよび関連信号データ)を生成するデータ処理手段(データ処理装置3)と、この入力信号に基づいて監視対象10の故障診断を行う故障診断手段(故障診断装置4)とを備える(図1参照)。かかる構成では、監視対象10に異常があると判定されたときに(ステップST3の肯定判定)、監視対象データから異常信号および関連信号が抽出される(対象信号抽出ステップST4)。また、これらの異常信号および関連信号に基づいて、故障診断手段への入力信号(異常信号データおよび関連信号データ)が生成される(異常信号データ算出ステップST6および関連信号データ算出ステップST7)。そして、この入力信号に基づいて監視対象10の故障診断が行われる(ステップST8)(図5参照)。これにより、監視対象10における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる利点がある。
また、かかる構成では、監視対象データから異常信号および関連信号を抽出する処理(対象信号抽出ステップST4)が自動化されるので、異常信号および関連信号の抽出精度が向上する。これにより、故障診断の精度が向上する利点がある。例えば、監視員が多数の監視対象データのトレンドチャートを目視しながら異常信号および関連信号を抽出して故障診断装置への入力信号を算出する構成では、監視員に高い熟練度が必要となるため、故障診断の精度向上が困難である。
また、この監視システム1では、マハラノビス距離Dの時間微分値D’が所定の閾値k’を連続して超えている期間(対象期間)を選択する手段(データ処理装置3)を備え、且つ、対象期間における異常信号および関連信号が抽出される(対象信号抽出ステップST4および対象期間選択ステップST5)(図5および図6参照)。すなわち、マハラノビス距離Dの時間微分値D’が所定の閾値k’を連続して超えている期間を対象期間とし、この対象期間内の監視対象データから異常信号および関連信号が抽出される。かかる構成では、異常の予兆が顕著に現れている期間を対象期間として選択できるので、有用な異常信号および関連信号を抽出できる。これにより、故障診断の精度が向上する利点がある。また、かかる構成では、マハラノビス距離Dが監視対象10の経年劣化や環境変化(例えば、大気温度の変化などのノイズ)により緩やかに変化したときに、かかる環境変化を監視対象10の異常と判断する誤った故障診断が防止される利点がある。
[変形例]
なお、これに限らず、この監視システム1では、異常信号の時間微分値が所定の閾値k’を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段(データ処理装置3)を備え、且つ、この対象期間における監視対象データから異常信号および関連信号が抽出されても良い(対象信号抽出ステップST4および対象期間選択ステップST5)(図5および図8参照)。すなわち、異常信号の時間微分値に基づいて異常信号および関連信号が抽出されても良い。かかる構成としても、異常の予兆が顕著に現れている期間を対象期間として選択できるので、有用な異常信号および関連信号を抽出できる。これにより、故障診断の精度が向上する利点がある。また、かかる構成では、マハラノビス距離Dが監視対象10の経年劣化や環境変化により緩やかに変化したときに、かかる環境変化を監視対象10の異常と判断する誤った故障診断が防止される利点がある。
なお、これに限らず、この監視システム1では、異常信号の時間微分値が所定の閾値k’を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段(データ処理装置3)を備え、且つ、この対象期間における監視対象データから異常信号および関連信号が抽出されても良い(対象信号抽出ステップST4および対象期間選択ステップST5)(図5および図8参照)。すなわち、異常信号の時間微分値に基づいて異常信号および関連信号が抽出されても良い。かかる構成としても、異常の予兆が顕著に現れている期間を対象期間として選択できるので、有用な異常信号および関連信号を抽出できる。これにより、故障診断の精度が向上する利点がある。また、かかる構成では、マハラノビス距離Dが監視対象10の経年劣化や環境変化により緩やかに変化したときに、かかる環境変化を監視対象10の異常と判断する誤った故障診断が防止される利点がある。
例えば、図8に示す変形例では、複数の監視対象データのうちブレードパス温度に異常(温度の急上昇)が現れており、このブレードパス温度が異常信号として抽出されている(対象信号抽出ステップST4)。また、この異常信号(ブレードパス温度)の時間微分値が算出され(異常信号データ算出ステップST6)、この異常信号の時間微分値が所定の閾値k’を連続して超えている期間が対象期間ta〜tbとして選択されている(対象期間選択ステップST5)。これにより、異常の予兆が顕著に現れている期間が対象期間として選択され、この対象期間における異常信号および関連信号に基づいて異常信号データおよび関連信号データが算出されている(異常信号データ算出ステップST6および関連信号データ算出ステップST7)。
また、上記の構成では、さらに、上記の対象期間内であってマハラノビス距離Dが所定の閾値kを連続して超えている期間を対象期間として選択する手段(データ処理装置3)を備え、且つ、この対象期間における監視対象データから異常信号および関連信号が抽出されてもよい(対象信号抽出ステップST4および対象期間選択ステップST5)(図5、図6および図8参照)。すなわち、(1)マハラノビス距離Dの時間微分値D’とマハラノビス距離Dとの組み合わせ、あるいは、(2)異常信号の時間微分値とマハラノビス距離Dとの組み合わせにより、対象期間が選択されても良い。かかる構成では、より好適な対象期間が選択されるので、故障診断の精度がさらに向上する利点がある。例えば、ガスタービン発電プラントの起動時には、多くの監視対象データにノイズが現れ易い。したがって、(1)マハラノビス距離Dの時間微分値D’とマハラノビス距離Dとの双方、あるいは、(2)異常信号の時間微分値とマハラノビス距離Dとの双方を考慮して対象期間を選択することにより、プラント起動時のノイズによる誤診断を効果的に防止できる。
以上のように、この発明にかかる監視システムは、監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる点で有用である。
1 監視システム
2 監視装置
21 マハラノビス距離算出部
22 異常判定部
23 警報信号発生部
24 記憶部
3 データ処理装置
31 対象信号抽出部
32 対象期間選択部
33 異常信号データ算出部
34 関連信号データ算出部
4 故障診断装置
10 監視対象
11 ガスタービン
12 発電機
41 故障診断部
42 ベイジアンネットワーク
43 データベース
44 診断結果生成部
45 表示部
2 監視装置
21 マハラノビス距離算出部
22 異常判定部
23 警報信号発生部
24 記憶部
3 データ処理装置
31 対象信号抽出部
32 対象期間選択部
33 異常信号データ算出部
34 関連信号データ算出部
4 故障診断装置
10 監視対象
11 ガスタービン
12 発電機
41 故障診断部
42 ベイジアンネットワーク
43 データベース
44 診断結果生成部
45 表示部
Claims (4)
- 監視対象における異常の予兆の監視から故障診断までの一連の処理を自動化できる監視システムであって、
監視対象から所定の監視対象データを取得して、前記監視対象データのマハラノビス距離を算出すると共に前記マハラノビス距離に基づいて前記監視対象の異常を検知する監視手段と、複数の前記監視対象データから異常の予兆が現れている監視対象データ(以下、異常信号という。)および前記異常信号に関連する監視対象データ(以下、関連信号という。)を抽出すると共に前記異常信号および前記関連信号に基づいて所定の入力信号を生成するデータ処理手段と、前記入力信号に基づいて前記監視対象の故障診断を行う故障診断手段とを備えることを特徴とする監視システム。 - 前記マハラノビス距離の時間微分値が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段を備え、且つ、前記対象期間における前記監視対象データから前記異常信号および前記関連信号が抽出される請求項1に記載の監視システム。
- 前記異常信号の時間微分値が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段を備え、且つ、前記対象期間における前記監視対象データから前記異常信号および前記関連信号が抽出される請求項1に記載の監視システム。
- 前記対象期間内であって前記マハラノビス距離が所定の閾値を連続して超えている期間を対象期間として選択する手段を備え、且つ、前記対象期間における前記監視対象データから前記異常信号および前記関連信号が抽出される請求項2または3に記載の監視システム。
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