以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
「路外逸脱防止装置の全体構成」
本発明の実施形態として示す路外逸脱防止装置は、例えば図1に示すように構成される。この路外逸脱防止装置は、自車両が走行する道路(走行車線)上の車線端又は道路境界(走行路と路肩との境界)に設けられ、車両に振動を付与するランブルストリップ(振動付与構造)に自車両のタイヤが接触(自車両のタイヤがランブルストリップを踏んだ)ことを検出することにより、自車両が走行路を逸脱する可能性が有ることを検出して、自車両の路外逸脱(走行路からの逸脱)を防止する動作を行うものである。具体的には、ランブルストリップとは、走行路延在方向に沿って設けられた路面上の段差又は窪みであり、車両のタイヤがランブルストリップ上に乗り上げた(接触した)ときに自車両にノイズ及び/又は振動が起こるようにして、自車両が路外に逸脱しかけていることを運転者に気付かせるために設けられたものである。
この路外逸脱防止装置は、コントローラ1に、カメラ2、車輪速センサ3、上下Gセンサ4、ドライバ操作検出機構5、車両システム6が接続されている。
カメラ2は、走行車線内における自車両位置を検出するための外界認識センサである。このカメラ2は、例えば自車両前方に設けられ、数メートル先の車線区分線(レーンマーカ)が撮像可能な撮像範囲とされている。コントローラ1は、カメラ2により撮像されたカメラ画像から車線区分線を検出し、検出した車線区分線に基づいて、走行車線内の自車両のヨー角Φ、車線中心からの横変位X、及び、走行車線の曲率βを検出する。なおここで、横変位Xとは車線幅方向における車線中心から自車両までの距離を表わし、ヨー角Φとは車線延在方向と自車両進行方向との成す角を表わす。
車輪速センサ3は、自車の車輪速を計測して、コントローラ1に出力する。上下Gセンサ4は、自車の車輪の上下加速度を検出し、コントローラ1に出力する。また、車輪速センサ3、上下Gセンサ4は、自車両の4輪のそれぞれに対して設けられる。これにより、自車両の各車輪ごとに、車輪速及び上下加減速度を検出できる。
ドライバ操作検出機構5は、運転者による車両の運転操作の有無を検出し、コントローラ1へ出力する。このドライバの運転操作としては、舵角操作、アクセル操作、ブレーキ操作、方向指示スイッチやハザードスイッチ等のスイッチ操作が挙げられる。
車両システム6は、ブレーキ制御装置61、エンジン制御装置62、アクセルペダル制御装置63、シートベルト制御装置64を含む。車両システム6における各制御装置61〜64は、コントローラ1からの制御信号に応じて、自車両の路外逸脱を防止するための制御(以下、路外逸脱防止制御と呼ぶ。)を行う。
コントローラ1は、実際にはROM、RAM、CPU等にて構成されているが、当該CPUがROMに格納された路外逸脱防止用プログラムに従って処理をすることによって実現できる機能を有している。
コントローラ1は、カメラ2により撮像されたカメラ画像に基づく自車両のヨー角Φ、横変位Xといった走行車線内の走行状態から自車両が走行車線から逸脱する傾向の有無を判断する(車線逸脱判断手段)とともに、車輪速センサ3からの車輪速および上下Gセンサ4からの上下G変動とを用いて、各輪でランブルストリップを踏んだか否かを検出する。すなわち、コントローラ1は、自車両の車輪が、自車両が走行する道路上の車線端又は道路境界(例えば、センターラインや走行路と路肩との間)に設けられ、車両に振動を付与するランブルストリップ(振動付与構造)に接触していることを検出する(振動検出手段)。
具体的には、コントローラ1は、上下Gセンサ4によって検出された上下加速度を分析し、上下加速度に基づいて、車輪の上下振動の振動周波数がタイヤ/ランブルストリップ間の接触を示すか否かを判定する。すなわち、ランブルストリップは、予め定められた所定距離毎に設けられた段差又は窪みによって形成されているため、車輪がランブルストリップに接触している際に車輪に入力する振動の周波数を車輪速センサ3で検出された車輪速に応じて推定し、推定した振動の周波数と上下Gセンサ4によって検出された車輪の上下振動の周波数が略一致していれば、自車両の車輪がランブルストリップと接触していると判定することができる。なお、車輪がランブルストリップに接触していることを検出する方法はこれに限らない。車輪がランブルストリップに接触している場合には車輪速も周期的に変動するため、例えば車輪速センサ3で検出された車輪速の変動の周波数のみを用いて車輪がランブルストリップに接触していることを検出することもできる。
コントローラ1は、自車両のうち何れかのタイヤがランブルストリップと接触していることが検出された場合に、自車両が走行車線から逸脱し始めており、路外へ逸脱する可能性が有ると判断する。コントローラ1は、自車両が路外への逸脱する可能性が有ると判断した場合に、走行路外への逸脱を回避するように自車両を制御する路外逸脱防止制御を行う。具体的には、コントローラ1は、自車両が路外へ逸脱する可能性が有ると判断した場合に、車両を走行車線内に戻すように自車両にヨーモーメントを発生させる、又は、路外への逸脱速度を低下させるための減速度を発生させることによって、運転者に自車両が路外逸脱する可能性が有る事を報知するとともに、自車両の路外逸脱を防止するように自車両の挙動を制御する路外逸脱防止制御を行うための制御指令値を算出して、車両システム6へ出力する。これにより、コントローラ1は、自車両がランブルストリップを踏んだときに、自車両の制駆動力を制御して路外への逸脱を回避する路外逸脱防止制御を行う(制駆動力制御手段)。
このように車両システム6を制御する時に、コントローラ1は、ドライバによる操作(路外逸脱防止操作)の操作量が所定の閾値であるオーバーライド閾値を超えた場合に所定の傾きで制御量(例えば車両に発生させているヨーモーメントや減速量)を減少させて路外逸脱防止制御を終了させる。このオーバーライド閾値は、所定の閾値であるオーバーライドベース閾値(基準閾値)を、運転者の操作に基づいて補正して設定される。
具体的には、コントローラ1は、カメラ2により撮像されたカメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ及び道路曲率βと、車輪速センサ3からの車輪速に基づく自車速とから、自車両に発生している車線逸脱傾向の方向(以下、単に逸脱方向ともいう)及び車線逸脱傾向の大きさ(以下、単に逸脱傾向の大きさ若しくは逸脱度ともいう)を推定する。ここで、横変位X、ヨー角Φ及び道路曲率β、自車速が高いほど、逸脱傾向は大きくなる。そして、コントローラ1は、逸脱傾向が大きいほど、ドライバ操作(路外逸脱防止操作)に対して路外逸脱防止制御を終了し難くする方向の(大きな)オーバーライドベース閾値を算出する。そして、コントローラ1は、例えば自車両の車線逸脱方向が走行車線の右側である場合、右輪がランブルストリップに接触していることを検出した際に、逸脱オーバーライドベース閾値をオーバーライド閾値として設定する。そして、右輪がランブルストリップに接触していることを検出した後、所定時間内(例えば0.5sec)に運転者の操作が有った場合には、左輪がランブルストリップに接触していることを検出した際に、オーバーライドベース閾値を小さく補正した値をオーバーライド閾値として設定し、所定時間内に運転者の操作が無かった場合には、左輪がランブルストリップに接触していることを検出した際に、オーバーライドベース閾値を大きく補正した値をオーバーライド閾値として設定する。言い換えれば、自車両の逸脱方向が走行車線の右方向であるときには、自車両の右輪がランブルストリップに接触してから所定時間の間は所定のオーバーライドベース閾値をそのままオーバーライド閾値として設定し、その後所定時間後(自車両の左輪がランブルストリップに接触した時点以降)は、運転者の操作に応じて補正したオーバーライドベース閾値をオーバーライド閾値として設定する。
また、自車両の車線逸脱方向が走行車線の左側である場合は同様に、左輪がランブルストリップに接触していることを検出した場合には所定のオーバーライドベース閾値をオーバーライド閾値として設定し、左輪がランブルストリップに接触していることを検出した後、所定時間内に運転者の操作が有った場合には、右輪がランブルストリップに接触していることが検出された際に、運転者の操作に応じて補正したオーバーライド閾値を設定し、所定時間内に運転者の操作が無かった場合には、左輪がランブルストリップに接触していることを検出した際に、オーバーライドベース閾値を大きく補正した値をオーバーライド閾値として設定する。
なお、所定のオーバーライドベース閾値は予め定められた一定値であっても良いが、逸脱傾向が大きいほど大きくなるように補正することによって、逸脱傾向が大きいほど路外逸脱防止制御を終了し難くして、確実に路外逸脱を防止することが好ましい。
「コントローラ1の機能的な構成」
つぎに、上述した路外逸脱防止装置におけるコントローラ1の機能的な構成を、図2を参照して説明する。
車速算出部24は、車輪速センサ3から入力した車輪速に基づいて自車速を算出し、車線逸脱判断部11及び逸脱傾向算出部12へ出力する。
車線逸脱判断部11は、カメラ2から得られたカメラ画像から、自車レーン内のヨー角Φ、車線中心からの横変位X(自車両の車線中心からの車線幅方向距離)、及び走行車線の曲率βを検出し、検出したヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β及び自車速に基づいて予め定められた所定時間後(例えば3秒後)の自車両の横変位(逸脱推定量)を推定し、推定した所定時間後の自車両の横位置に基づいて自車両に車線逸脱傾向が有るか否か及び逸脱傾向が発生している方向(逸脱方向)の車線逸脱判断を行う。そして、車線逸脱判断部11は、車線逸脱判断結果を逸脱判断フラグFldとして、逸脱傾向算出部12及びオーバーライドベース閾値算出部14に出力する。
逸脱傾向算出部12は、カメラ2のカメラ画像から得られた自車レーン内のヨー角Φ、車線中心からの横変位X及び走行車線の曲率βと、自車速から逸脱傾向の大きさを算出する。具体的には、ヨー角Φが発生している方向を逸脱傾向が発生している方向として検出するとともに、ヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β及び自車速のそれぞれが大い程、逸脱傾向が大きいと算出する。逸脱傾向算出部12は、車線逸脱判断部11から得られた車線逸脱判断結果と共に、逸脱傾向の大きさ(以下では逸脱度とも言う)を路外逸脱判断部13及びオーバーライドベース閾値算出部14に出力する。
なお、逸脱傾向の大きさは例えば、ヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β及び自車速のそれぞれの値に対して所定のゲインを乗算して、ゲインを乗算した各値を合計することによって求める、或いはヨー角Φ、横変位X、走行車線の曲率β及び自車速のそれぞれの値が大きくなるほど大きくなるパラメータをそれぞれ設定し、各パラメータを乗算して求める、或いは車線逸脱判断部11と同様に所定時間後の自車両の横変位(逸脱推定量)を算出し、算出した所定時間後の自車両の横変位がが大きくなるほど逸脱傾向が大きいと算出しても良い。すなわち、逸脱傾向の大きさは、現在の自車両の走行状態における車線逸脱傾向の大きさを表わすものであり、その算出方法や算出に用いるパラメータに関して限定されない。
路外逸脱判断部13は、車線逸脱判断部11によって自車両が走行車線から逸脱する傾向が有ると判定され、かつ、自車両の車輪が振動付与構造に接触したことが検出された場合に、自車両が路外への逸脱する可能性が有ると判断する(路外逸脱判断手段)。
具体的には、路外逸脱判断部13は、車線逸脱判断部11及び逸脱傾向算出部12から得られた車線逸脱判断結果(逸脱判断フラグFld)及び逸脱傾向の大きさ、逸脱方向と、車輪速センサ3から得られた車輪速、上下Gセンサ4から得られた車輪の上下加速度に基づいて、自車両の車輪がランブルストリップを踏んだ(ランブルストリップと接触した)か否かを判断する。このとき、路外逸脱判断部13は、車輪ごとの車輪速、上下加速度に基づいて、車輪ごとにランブルストリップを踏んでいるか否かの検出判断を行い、ランブルストリップを踏んでいると判定された車輪が有った場合にはその車輪を特定する。そして、路外逸脱判断部13は、逸脱傾向算出部12から得られた車線逸脱判断結果が車線逸脱傾向が有るという判断結果であってかつ、逸脱方向の前輪がランブルストリップを踏んでいると判断した場合に、自車両が走行車線を逸脱し始めており、路外逸脱する可能性が有ると判断する。路外逸脱判断部13は、自車両が路外逸脱する可能性が有ると判断した場合に判断結果と、ランブルストリップを踏んでいると判断された車輪を特定する情報(右前輪検出フラグfRS_HIT_FR、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右後輪検出フラグfRS_HIT_RR、左後輪検出フラグfRS_HIT_RL)とをオーバーライド閾値補正部15及び制御作動判断部18に出力する。
オーバーライドベース閾値算出部14は、車線逸脱判断部11から得られた車線逸脱判断結果が車線逸脱傾向が有るという判断結果であった場合に、逸脱傾向算出部12から得られた逸脱傾向の大きさに応じて、逸脱傾向が大きいほど大きくなるオーバーライドベース閾値を算出する。そして、オーバーライドベース閾値算出部14は、算出されたオーバーライドベース閾値をオーバーライド閾値補正部15に出力する。
オーバーライド閾値補正部15は、運転者による操作が行なわれたことが検出された場合に、オーバーライドベース閾値算出部14により設定されたベース閾値を低方向に補正する。また、オーバーライド閾値補正部15は、運転操作が検出されなかった場合に、ベース閾値を高方向に補正する。具体的には、オーバーライド閾値補正部15は、路外逸脱判断部13から得られた路外逸脱の判断結果と、ランブルストリップを踏んでいると判断された車輪を特定する情報と、オーバーライドベース閾値算出部14から入力したオーバーライドベース閾値と、ドライバ操作検出機構5から得られたドライバ操作量(路外逸脱防止操作)を基に、オーバーライド閾値を算出してオーバーライド判断部16に出力する。
更に具体的には、オーバーライド閾値補正部15は、路外逸脱判断部13から路外逸脱の可能性有りという判断結果が入力した場合には、ランブルストリップを踏んでいると判断された車輪が車線逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップを踏んでいると判断されるまでの間(すなわち、路外逸脱判断部13から路外逸脱の可能性有りと判断された際のランブルストリップを踏んでいる車輪が右前輪である場合には、ランブルストリップを踏んでいる車輪が左前輪と判断されるまで)はオーバーライドベース閾値算出部14から入力したオーバーライドベース閾値をそのままオーバーライド閾値としてオーバーライド判断部16に出力する。
一方、路外逸脱判断部13から路外逸脱の可能性有りという判断結果が入力した時点から予め定められた所定時間(例えば0.5sec)における、ドライバ操作検出機構5から得られたドライバ操作量(例えば操舵角)を検出し、ドライバ操作量の変化量(例えば操舵角の変化量)が明らかにドライバが意識的に操作したと判定できる程度の変化量であった場合(すなわち、操作量が操舵角の変化量である場合には、路面の凹凸や轍等の外乱の影響による小さな操舵角の変化量や、無意識下の操舵のような小さな操舵角の変化量ではなく、操舵角の変化量が明らかにドライバが意識的に操舵したと判定できる程度の、実験等によって予め求められた大きさ以上であった場合)には、ランブルストリップを踏んでいると判断された車輪が車線逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップを踏んでいると判断された際に、オーバーライドベース閾値算出部14から入力したオーバーライドベース閾値を小さく補正した値をオーバーライド閾値としてオーバーライド判断部16に出力する。
また、路外逸脱判断部13から路外逸脱の可能性有りという判断結果が入力した時点から予め定められた所定時間(例えば0.5sec)における、ドライバ操作検出機構5から得られたドライバ操作量を検出し、ドライバ操作量が変化しなかった場合には、ランブルストリップを踏んでいると判断された車輪が車線逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップを踏んでいると判断された際に、オーバーライドベース閾値算出部14から入力したオーバーライドベース閾値を大きく補正した値をオーバーライド閾値としてオーバーライド判断部16に出力する。
すなわちオーバーライド閾値補正部15は、路外逸脱判断部13によって路外逸脱の可能性が検出された時点から車線逸脱方向逆側の車輪がランブルストリップを踏むまでの間は、オーバーライドベース閾値算出部14にて車線逸脱傾向に応じて算出したオーバーライドベース閾値をオーバーライド閾値としてオーバーライド判断部16に出力する。そして、その後車線逸脱方向逆側の車輪がランブルストリップを踏んだ時点以降は、オーバーライドベース閾値算出部14にて車線逸脱傾向に応じて算出されたオーバーライドベース閾値を、路外逸脱判断部13によって路外逸脱の可能性が検出された時点から所定時間の間にドライバによる路外逸脱を防止する方向の操作が有った場合には、オーバーライドベース閾値算出部14にて算出したオーバーライドベース閾値を小さく補正した値をオーバーライド閾値として設定し、路外逸脱判断部13によって路外逸脱の可能性が検出された時点から所定時間の間にドライバによる路外逸脱を防止する方向の操作が無かった場合には、オーバーライドベース閾値算出部14にて算出したオーバーライドベース閾値を大きく補正した値をオーバーライド閾値として設定する。なお、オーバーライドベース閾値を補正してオーバーライド閾値を算出する具体的な算出方法に関しては後述する。
このように、オーバーライド閾値補正部15は、路外逸脱の可能性が検出された時点から所定時間の間に運転者による操作が有った場合には、車線逸脱方向逆側の車輪がランブルストリップを踏んだ時点以降はオーバーライド閾値を低減し、路外逸脱の可能性が検出された時点から所定時間の間に運転者による操作が無かった場合には、車線逸脱方向逆側の車輪がランブルストリップを踏んだ時点以降はオーバーライド閾値を増大する。すなわち、路外逸脱の可能性が検出された後にドライバの操作が検出された場合には、ドライバが路外逸脱を認識して路外逸脱を防止する操作(路外逸脱防止操作)を行なっていると判断し、オーバーライド閾値を低減して路外逸脱防止制御がドライバの操作によって終了され易くする。一方、路外逸脱の可能性が検出された後にドライバの操作が検出されない場合には、ドライバが路外逸脱を認識していないと判断し、オーバーライド閾値を増大する。
このとき、コントローラ1は、ステアリングの操舵角を検出し、当該操舵角の変化量に基づいて運転者による操舵装置の操作の有無を検出する。そして、オーバーライド閾値補正部15は、操舵角の変化量に基づいて、ベース閾値を補正して閾値を設定することが望ましい。
オーバーライド判断部16は、運転操作量が予め定められた所定の閾値であるベース閾値を超えたか否かを判定する。具体的には、オーバーライド判断部16は、オーバーライド閾値補正部15から入力したオーバーライド閾値と、ドライバ操作検出機構5から得られたドライバ操作量を比較し、自車両が路外逸脱することに対してオーバーライド閾値以上の路外逸脱防止操作が行われたか否かのオーバーライド判断を行う。そして、オーバーライド判断部16は、オーバーライド判断結果を制御終了判断部17に出力する。
制御終了判断部17は、オーバーライド判断16により、操作量が閾値を超えた場合に、路外逸脱防止制御を中止する。具体的には、制御終了判断部17は、オーバーライド判断部16から得られたオーバーライド判断結果が、オーバーライド閾値以上の路外逸脱防止操作が行われたという判断であった場合、路外逸脱防止制御の制御終了(中止)判断を行う。そして、制御終了判断部17は、制御終了判断結果を制御作動判断部18に出力する。
制御作動判断部18は、制御終了判断部17から得られた制御終了判断結果と、路外逸脱判断部13から得られた路外逸脱判断結果とに基づいて、路外逸脱防止制御の制御作動判断を行う。そして、制御作動判断部18は、制御作動判断結果(を各車両システム6の制御装置61〜64に出力する。
このように、制御作動判断部18は、制御作動判断結果を、シートベルト作動指令値算出部19、エンジントルク指令値算出部20、ブレーキ液圧指令値算出部21、ヨーモーメント指令値算出部22、アクセルペダル反力指令値算出部23に出力し、路外逸脱防止制御の作動及び終了を制御する。
シートベルト作動指令値算出部19は、制御作動判断部18から出力された制御作動判断結果を基に、シートベルト作動指令値を算出し、当該指令値をシートベルト制御装置64に出力する。
エンジントルク指令値算出部20は、制御作動判断部18から出力された制御作動判断結果を基に、エンジントルク指令値を算出し、当該指令値をエンジン制御装置62に出力する。
ブレーキ液圧指令値算出部21は、制御作動判断部18から出力された制御作動判断結果を基に、ブレーキ液圧指令値を算出し、当該指令値をブレーキ制御装置61に出力する。
ヨーモーメント指令値算出部22は、制御作動判断部18から出力された制御作動判断結果を基に、ヨーモーメント指令値を算出し、当該指令値をブレーキ制御装置61に出力する。
アクセルペダル反力指令値算出部23は、制御作動判断部18から制御作動指令が出力された場合には、アクセルペダル反力指令値を算出し、当該指令値をアクセルペダル制御装置63に出力する。
「路外逸脱防止装置の全体動作」
つぎに、上述したように構成された路外逸脱防止装置による、路外逸脱防止のための全体動作について説明する。
例えば図3に示すように、自車両が位置P1から走行していて、走行車線を外れて位置P2にて右前車輪Rがランブルストリップを踏み、その後に、位置P3にて左前車輪Lがランブルストリップを踏んで、位置P4に走行した場面についての動作を説明する。
路外逸脱防止装置は、図4に示すような動作を、自車両走行時において一定間隔毎に連続的に行う。
先ず、ステップS1において、コントローラ1は、各センサ及びコントローラからの各種データを読み込む。具体的には、カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β、各輪の上下加速度vGi(i=1〜4)、各輪の車輪速Vwi(i=1〜4)、アクセル開度A、ブレーキスイッチBSW、舵角δ、方向指示スイッチfL、fR、ハザードスイッチHSWといった操作状態を読み込む。
次のステップS2において、コントローラ1の車速算出部24にて自車速Vを算出する。本実施形態において、コントローラ1は、通常走行時に、例えば後輪駆動の車両の場合は、前輪の車輪速Vw1,Vw2の平均値として、自車速Vを算出する。具体的には、コントローラ1は、下記の式1により、自車速Vを算出する。
V=(Vw1+Vw2)/2 (式1)
なお、ABS制御などの車速を用いたシステムが作動している場合には、そのようなシステムで使用している自車速(推定車速)を用いても良い。
次のステップS3において、コントローラ1の車線逸脱判断部11は、ステップS1にて読み込んだカメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率β及び車速算出部24で算出された自車速に基づいて、車線逸脱判断を行う。このとき、車線逸脱判断部11は、先ず逸脱推定量を算出する。本実施形態では、ステップS2にて算出した自車速V、カメラ画像に基づく横変位X、ヨー角Φ、走行車線の曲率βを用いて、下記の式2に従って、逸脱推定量Xsを算出する。
Xs = Tt × V × ( Φ + Tt × V × β ) + X (式2)
ここで、Ttは、前方注視距離算出用の車頭時間である。そして、コントローラ1は、算出された逸脱推定量Xsと逸脱判断閾値Xcとを比較して、自車両が逸脱したかを判断する。具体的には、下記の(1)〜(3)の場面が想定される。
(1)コントローラ1は、算出した逸脱推定量Xsが逸脱判断閾値Xc以上(Xs≧Xc)である場合、自車両が左側に逸脱する傾向が有ると判断し、逸脱判断フラグFldを「LEFT」に設定する。
(2)コントローラ1は、算出した逸脱推定量Xsが逸脱判断閾値Xcの負値以下(Xs≦−Xc)である場合、自車両が右側に逸脱する傾向が有ると判断し、逸脱判断フラグFld「RIGHT」に設定する。
(3)コントローラ1は、上記場面(1)、(2)に該当しない場合、自車両に車線を逸脱する傾向がないと判断し、逸脱判断フラグFldを「OFF」に設定する。
次のステップS4において、コントローラ1は、路外逸脱判断部13により、路外逸脱判断を行う。このとき、様々な車輪速におけるランブルストリップの入力周波数を予め計測して記憶しておき、上下Gセンサ4で計測した上下Gの周波数が予め記憶された現在の車輪速に対応した周波数と略同一である場合にランブルストリップを踏んだと判断する。
ここで、ランブルストリップの検出は、各輪について行う。図5に示すように、(1)のように右前輪でランブルストリップを検出した場合は、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRを「1」とし、(3)のように左前輪でランブルストリップを検出した場合は、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLを「1」とし、(2)のように右後輪でランブルストリップを検出した場合は、右後輪検出フラグfRS_HIT_RRを「1」とし、(4)のように左後輪でランブルストリップを検出した場合は、左後輪検出フラグfRS_HIT_RLを「1」とする。
このときコントローラ1は、車両に振動を付与する振動付与構造と自車両の車輪とが接触したことを検出すると共に、ランブルストリップと接触している車輪である検出輪を特定し、車線逸脱判断部11が、自車両が走行車線から逸脱するか否かを検出すると共に、走行車線に対する逸脱傾向が発生している方向である逸脱方向を検出し、路外逸脱判断部13が、逸脱方向と検出輪の自車両左右方向における方向とが一致している場合に、自車両が路外への逸脱する可能性が有ると判断する。
その後、オーバーライド閾値補正部15は路外逸脱判断部13によって自車両が路外へ逸脱する可能性が有ると判断された後、ランブルストリップに接触した車輪である検出輪が、路外逸脱判断部13によって自車両が路外への逸脱する可能性が有ると判断された時点の検出輪に対し、自車両左右方向逆側の車輪であると検出された時に、ベース閾値を補正する。
次のステップS5において、コントローラ1は、警報作動判断を行う。具体的には、図6に示すように、ステップS3にて判断された車線逸脱判断結果と、ステップS4にて判断された路外逸脱判断結果である各輪のランブルストリップ検出フラグに対して、警報作動判断を行う。
例えば、図5における(1)の場面において、車線逸脱フラグFldが「RIGHT」、かつ、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」の場合には、路外逸脱に対する1次警報を作動させ、1次警報フラグfWOW_FIRSTを「fWOW_FIRST=1」とする。そして、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRを「1」とした後に、図5における(3)の場面となると、左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「fRS_HIT_FL=1」となった場合には、路外逸脱に対する2次警報を作動させ、2次警報フラグfWOW_SECONDを「fWOW_SECOND=1」とする。
なお、この例では、右側逸脱に対して警報フラグを遷移させたが、左側逸脱に対しても、左側の検出フラグを利用して同様の処理を実施する。
次のステップS6において、コントローラ1は、制御作動判断部18により、シートベルト制御作動判断を行う。具体的には、図7に示すように、車線逸脱フラグFldと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、シートベルト作動判断を行う。
例えば、車線逸脱して逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、その後、右前輪がランブルストリップを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合に、1次シートベルト作動フラグfPSB1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合には、2次シートベルト作動フラグfPSB2_ACTを「1」とする。
次のステップS7において、コントローラ1は、制御作動判断部18により、アクセルペダル制御作動判断を行う。具体的には、図8に示すように、車線逸脱フラグFldと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、アクセルペダル制御作動判断を行う。
例えば、車線逸脱して逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、その後、右前輪がランブルストリップを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合に、1次アクセルペダル作動フラグfFFP1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合には、2次アクセルペダル作動フラグfFFP2_ACTを「1」とする。
次のステップS8において、コントローラ1は、制御作動判断部18により、エンジントルク制御作動判断を行う。具体的には、図9に示すように、車線逸脱フラグFldと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、エンジン制御作動判断を行う。
例えば、車線逸脱して逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、その後、右前輪がランブルストリップを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合に、1次エンジン作動フラグfETRQ1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合には、2次エンジン作動フラグfETRQ2_ACTを「1」とする。
次のステップS9において、コントローラ1は、制御作動判断部18により、ヨーモーメント制御作動判断を行う。具体的には、図10に示すように、車線逸脱フラグFldと、左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRに応じて、ヨーモーメント制御作動判断を行う。
例えば、車線逸脱して逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、その後、右前輪がランブルストリップを踏んで右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合に、1次ヨーモーメント作動フラグfMOM1_ACTを「1」とする。さらに、左前輪がランブルストリップを踏んで左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合には、2次ヨーモーメント作動フラグfMOM2_ACTを「1」とする。
次のステップS10において、コントローラ1は、ブレーキ液圧指令値算出部21により、減速制御作動判断を行う。具体的には、図11に示すように、車線逸脱フラグFldと、路外逸脱判断フラグ(左前輪検出フラグfRS_HIT_FL、右前輪検出フラグfRS_HIT_FR)に応じて、減速制御作動判断を行う。
例えば、逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、その後、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となり、さらに左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった場合に、自車両を減速させる減速作動フラグfPCMD_ACTを「1」とする。
次のステップS11において、コントローラ1は、シートベルト作動指令値算出部19により、シートベルト制御量を算出する。図12に示すように、ステップS6で判断されたシートベルト作動フラグに応じて、シートベルト制御量を算出する。例えば、1次シートベルト作動フラグfPSB1_ACTが「1」となった場合には、Aといった予め定められた所定の巻き上げ量だけ所定時間に亘りシートベルトを巻き上げ、シートベルトの張力を増大させる。1次シートベルト作動の後に、2次シートベルト作動フラグfPSB2_ACTが「1」となった場合、1次シートベルト作動時よりも大きい力で、巻き上げ量をA〜Bに亘りシートベルトを巻き上げる。
次のステップS12において、コントローラ1は、アクセルペダル反力指令値算出部23により、アクセルペダル制御量を算出する。図13に示すように、ステップS7で判断されたアクセルペダル作動フラグに応じて、アクセルペダル制御量を算出する。例えば、1次アクセルペダル作動フラグfFFP1_ACTが「1」となった場合は、Aといった予め定められた所定のアクセル反力量だけ、所定時間に亘りアクセルペダル反力を増加させるような指令値とする。ここでは、所定量、所定時間としたが、例えば、逸脱時のヨー角が0となるまで作動させてもよい。また、1次アクセルペダル作動後、2次アクセルペダル作動フラグfFFP2_ACTが「1」となった場合は、1次アクセルペダル作動時の制御量Aよりも大きなアクセルペダル反力Bとなるように指令値を算出する。また、逸脱度に応じて指令値を算出しても良い。
次のステップS13において、コントローラ1は、エンジントルク指令値算出部20により、エンジントルク低減制御量を算出する。図14に示すように、ステップS8で判断されたエンジントルク作動フラグに応じて、エンジントルク低減制御量を算出する。例えば、1次エンジン作動フラグfETRQ1_ACTが「1」となった場合には、運転者のアクセル開度に応じたエンジン駆動トルクを予め定められた所定のエンジントルク低減制御量Aだけ所定時間に亘り低減させるような指令値とする。1次エンジン制御作動後、2次エンジン作動フラグfETRQ2_ACTが「1」となった場合は、1次エンジン作動時の低減制御量Aよりも大きな低減制御量Bとなるように指令値を算出する。
次のステップS14において、コントローラ1は、ヨーモーメント指令値算出部22により、ヨーモーメント制御量を算出する。図15に示すように、ステップS9で判断されたヨーモーメント作動フラグに応じて、ヨーモーメント制御量を算出する。例えば、1次ヨーモーメント作動フラグfMOM1_ACTが「1」となった場合は、予め定められた所定のヨーモーメント制御量Aを所定時間に亘り作動させるような指令値とする。例えば、車線逸脱時のヨー角が0となるまでヨーモーメントを制御しても良い。1次ヨーモーメント作動後、2次ヨーモーメント作動フラグfMOM2_ACTが「1」となった場合は、ヨーモーメント制御量Aよりも大きなヨーモーメント制御量Bとする指令値を算出する。ヨーモーメント制御量Bはヨー角が大きい程大きくなるような値であっても良い。なお、ヨーモーメント制御量に基づく指令値は、車両に目標とするヨーモーメントが発生するような(車両にヨーモーメント制御量A又はヨーモーメント制御量Bのヨーモーメントが発生するような)、左右車輪のブレーキ液圧差として算出される。
次のステップS15において、コントローラ1は、ブレーキ液圧指令値算出部21により、減速制御量を算出する。図16に示すように、ステップS10で判断された減速作動フラグに応じて、減速制御量を算出する。例えば、減速作動フラグfPCMD_ACTが「1」となった場合に、予め定められた所定のブレーキ液圧値で所定時間に亘り、車両各輪のブレーキを作動させるように指令値Bを算出する。また、車速が0となるまで減速制御を継続するような指令値としても良い。
次のステップS16において、コントローラ1は、ステップS11〜ステップS15にて算出された各制御量を車両システム6に出力する。これにより、コントローラ1は、シートベルト制御装置64によるシートベルトの巻き上げ量、エンジン制御装置62によるエンジントルク量、ブレーキ制御装置61によるブレーキ液圧、アクセルペダル制御装置63によるアクセルペダル反力を制御する。
「路外逸脱防止装置によるオーバーライド閾値を用いた動作」
つぎに、上述の図3を参照して説明した路外逸脱防止装置の全体動作に対し、オーバーライドベース閾値、オーバーライド閾値を用いた動作について、図17等を参照して説明する。
この路外逸脱防止装置の動作は、図3に示した動作に加えて、運転者による車両の運転操作を検出し、オーバーライドベース閾値を設定し、ドライバ操作に基づいて、オーバーライドベース閾値を、路外逸脱防止制御が終了しやすい低方向に補正したオーバーライド閾値を算出し、オーバーライド閾値とドライバ操作量とに基づいて路外逸脱防止制御を終了させるか否か、すなわちドライバの路外逸脱防止操作によって車線逸脱が回避できるかの判断を行う。そして、路外逸脱防止装置は、路外逸脱防止操作によって車線逸脱が回避されると判断した場合に、路外逸脱防止制御による制駆動力制御を終了させる。
この路外逸脱防止装置は、ステップS3の車線逸脱判断の後のステップS21にて、逸脱傾向算出部12により逸脱傾向を算出する。また、路外逸脱防止装置は、ステップS4の後に、ステップS22のオーバーライドベース閾値算出処理、ステップS23のオーバーライド閾値補正処理、ステップS24のオーバーライド判断処理、ステップS25の制御終了判断処理を追加して行う。
ステップS21において、コントローラ1は、逸脱傾向算出部12により、逸脱度vDWを算出する。逸脱傾向算出部12は、例えば下記式3のように、自車速Vと、カメラ画像から得られた横変位Xに基づく横速度vXと、ヨー角Φ、走行車線の曲率βの関数の演算を行う。
vDW = f(V,vX,Φ,β) (式3)
逸脱傾向算出部12は、自車速Vが高いほど逸脱度vDWが大きくなり、横速度vXが高いほど逸脱度vDWが大きくなり、ヨー角Φが大きいほど逸脱度vDWが大きくなり、さらに走行車線の曲率βが大きいほど逸脱度vDWが大きくなるように設定する。
具体的には、自車速V、横速度vX、ヨー角Φ、走行車線の曲率βを用いて、下記式3aなる演算を行う。
vDW = a×V+b×vX+c×Φ+d×β・・・(式3a)
この式3aは、自車速V、横速度vX、ヨー角Φ、走行車線の曲率βそれぞれのパラメータに対して重みa,b,c,dを持たせた関数である。それぞれの重みa、b、c、dは、図18乃至図21のように設定してもよい。
自車速Vの重みaは、図18に示すように、自車速Vがaまでの範囲及びb以上では逸脱度vDWを一定値A,B、自車速Vがaとbとの間では自車速Vが高くなるほど逸脱度vDWを次第に高くするよう設定しても良い。横速度vXの重みbは、図19に示すように、横速度vXがaまでの範囲及びb以上では逸脱度vDWを一定値A,B、横速度vXがaとbとの間では横速度vXが高くなるほど逸脱度vDWを次第に高くするよう設定しても良い。ヨー角Φの重みcは、図20に示すように、ヨー角Φがaまでの範囲及びb以上では逸脱度vDWを一定値A,B、ヨー角Φがaとbとの間ではヨー角Φが高くなるほど逸脱度vDWを次第に高くするよう設定しても良い。走行車線の曲率βの重みdは、図21に示すように、走行車線の曲率βがaまでの範囲及びb以上では逸脱度vDWを一定値A,B、走行車線の曲率βがaとbとの間では走行車線の曲率βが高くなるほど逸脱度vDWを次第に高くするよう設定しても良い。
ステップS22において、オーバーライドベース閾値算出部14は、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを算出する。オーバーライドベース閾値算出部14は、ステップS21にて算出した逸脱度vDWに応じてオーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを算出する。
オーバーライドベース閾値算出部14は、例えば、逸脱度vDWに応じた関数に応じてオーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを算出する。オーバーライドベース閾値算出部14は、下記の式4のように、逸脱度vDWが高いほどオーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを高くするように設定する。すなわち、自車両の逸脱度合いが大きく逸脱度vDWが高いほど、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを高くして、ドライバ操作により制動力の制御が中止されにくくする。
vDR_OVR_BASE=f(vDW) (式4)
また、オーバーライドベース閾値算出部14は、下記式5のように、
vDR_OVR_BASE=vDW×tDW (式5)
なる演算のように、逸脱度vDWに対して、図22に示す所定ゲインtDWをかけても算出しても良い。これにより、逸脱度vDWが高くなるほど、オーバーライドベース閾値をより高くする。この所定ゲインtDWは、図22に示すように、逸脱度vDWがaまでの範囲及びb以上ではゲインtDWを一定値A,B、逸脱度vDWがaとbとの間では逸脱度vDWが高くなるほど逸脱度vDWを次第に高くするよう設定しても良い。
ステップS23において、オーバーライド閾値補正部15により、ステップS22にて設定されたオーバーライドベース閾値に対して補正を行い、オーバーライド閾値を算出する。この補正方法は、後述するものとする。
次のステップS24において、オーバーライド判断部16により、ステップS23にて補正されたオーバーライド閾値に対して、ドライバ操作に対するオーバーライド判断を行う。オーバーライド判断部16は、例えば図23に示す処理を行う。
オーバーライド判断部16は、先ずステップS31において、ドライバ操作検出機構5からドライバ操作量として、舵角操作、アクセル操作、ブレーキ操作、方向指示スイッチやハザードスイッチ等のスイッチ操作を検出する。なお、検出するドライバ操作としては、具体的な数値で与えられる舵角操作、アクセル操作、ブレーキ操作に限らず、方向指示スイッチやハザードスイッチ等のスイッチ操作を数値化して操作量として認識しても良い。また、単一の操作項目に限らず、複数の操作項目を組み合わせて、ドライバ操作量を演算しても良い。
次にオーバーライド判断部16は、ステップS32において、ステップS31にて検出したドライバ操作量が、ステップS23にて補正されたオーバーライド閾値を超えているか否かを判定する。すなわち、ドライバがオーバーライド閾値を超える操作を行った場合は、オーバーライド判断部16は、ステップS33において、オーバーライドフラグfOVR_DRを「1」とする。一方、ドライバがオーバーライド閾値を超える操作を行わなかった場合、オーバーライド判断部16は、ステップS34において、路外逸脱防止操作が行われたことによる路外逸脱防止制御の終了時には、オーバーライドフラグfOVR_DRを「0」とする。そして、コントローラ1は、処理を図17のステップS25に進める。
ステップS25において、制御終了判断部17により、ステップS24におけるドライバ操作量の判断結果に応じて、路外逸脱防止制御の制御終了判断を行う。制御終了判断部17は、例えば図24に示す処理を行う。
制御終了判断部17は、先ずステップS41において、オーバーライドフラグfOVR_DRの値が「1」か否かを判定する。オーバーライドフラグfOVR_DRが「1」である場合、すなわちドライバ操作量がオーバーライド閾値を超えた場合には、制御終了判断部17は、ステップS42において、制御終了フラグfCONT_CANを「1」とする。一方、オーバーライドフラグfOVR_DRが「1」ではない場合、すなわちドライバ操作量がオーバーライド閾値を超えていない場合には、ステップS43において、制御終了フラグfCONT_CANを「0」にする。
制御作動判断部18は、制御終了判断部17から得られた制御終了フラグfCONT_CANと、路外逸脱判断部13から得られた路外逸脱判断結果とに基づいて、路外逸脱防止制御の制御作動判断を行う。
このように、路外逸脱防止装置は、逸脱度vDWに応じてオーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを算出し、ドライバ操作検出機構5により検出された操作に基づいてオーバーライドベース閾値を補正してオーバーライド閾値を設定する。そして、ドライバ操作量がオーバーライド閾値を超えた場合はオーバーライドフラグfOVR_DRを「1」とし、制御終了フラグfCONT_CANを「1」とする。一方、ドライバ操作量がオーバーライド閾値を超えていない場合には、制御終了フラグfCONT_CANを「0」にする。
以上詳細に説明したように、路外逸脱防止装置によれば、ドライバによる操作がなされた場合にはオーバーライドベース閾値を低方向に補正して算出したオーバーライド閾値を用いて、路外逸脱防止制御を終了させることができる。したがって、この路外逸脱防止装置によれば、ドライバによる操作が行われた場合にはドライバによる操作が行われない場合よりもオーバーライド閾値を低減するため、ドライバによる操作が行われない場合にはオーバーライド閾値を充分大きな値とすることができ、オーバーライド閾値が小さすぎるために、例えば路面の凹凸等によって操舵角が変化した場合等の小さな操作量が発生した場合に路外逸脱防止制御が中止されることはない。また、路外逸脱防止装置によれば、ドライバによる操作が行われた場合には低方向に補正した値をオーバーライド閾値とするため、大きなドライバ操作が行われているにも関わらず路外逸脱防止制御がされることによってドライバに対して違和感を与えることはない。したがって、この路外逸脱防止装置によれば、運転者の操作に応じて路外逸脱防止のための制御に対する効果を十分に得ると共に、路外逸脱防止のための制御の中止に対して運転者に違和感を与えることがない。
具体的には、車両の走行状態が路外逸脱傾向にある場合には、先ず左右前輪の一方輪がランブルストリップ上を走行し、その後に他方輪がランブルストリップ上を走行することになる。このとき、逸脱方向の左右前輪の一方輪がランブルストリップ上を走行している場合のようにドライバの路外逸脱走行によって走行車線内に戻る可能性が高い場合には、オーバーライド閾値を路外逸脱防止操作に基づいて設定する。その後、逸脱方向とは反対側の他方輪がランブルストリップ上を走行するような場合、ドライバが路外逸脱走行を認識しておらず、ドライバの路外逸脱防止操作によって走行車線内に戻る可能性が低い場合には、オーバーライド閾値を増大させる補正をする。これにより、適切なオーバーライド閾値を設定して、路外逸脱防止制御による効果を十分得ると共に、ドライバに違和感を与えることを防止することができる。
「オーバーライド閾値の補正処理」
つぎに、ステップS23におけるオーバーライド閾値の補正処理について説明する。
このオーバーライド閾値の補正処理は、図25に示すように、先ず逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(時刻t1)、ステップS4の路外逸脱判断処理にて右前輪でランブルストリップを検出して右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となり、その後、ドライバ操作が検出されなかった場合(時刻t2)に、ステップS22にて設定されたオーバーライドベース閾値を補正する。なお、時刻t2は本実施例においては左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」となった時点である。
例えば、式5のように、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEある所定量のゲインKDRをかけて、オーバーライド閾値vDR_OVR_CORRを算出する。
vDR_OVR_CORR=vDR_OVR_BASE×KDR (式5)
とする。これにより、逸脱判断フラグFldを「RIGHT」に設定してオーバーライドベース閾値を設定し、その後に、ドライバ操作が検出されない場合に、オーバーライドベース閾値を補正して、オーバーライド閾値を設定できる。このオーバーライド閾値は、オーバーライドベース閾値よりも高くする。すなわち、オーバーライド閾値を高くすることにより、例えば自車両の路外逸脱傾向を認識していない運転者の無意識の操作等による小さなドライバ操作によって路外逸脱防止のための制御が中止されないように難くする。
また、オーバーライド閾値vDR_OVR_CORRを求めるために、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEに対してゲインKDRを掛けたが、下記式6のようにある所定量のオフセットKDR_ADを加えても良い。
vDR_OVR_CORR=vDR_OVR_BASE+KDR_AD (式6)
路外逸脱防止装置は、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを補正する場合、図26に示すように、ステップS21にて算出された逸脱度vDWを用いてオーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを補正しても良い。
具体的には、ステップS3にて逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、ステップS4にて右前輪でのランブルストリップを検出し、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となり、その後、ドライバ操作が検出されなかった場合に、路外逸脱防止装置は、ステップS23において、ステップS22にて設定されたオーバーライドベース閾値を補正する。
このとき、オーバーライド閾値補正部15は、例えばオーバーライド閾値vDR_OVR_CORRを、下記の式7のように逸脱度vDWの関数とし、
vDR_OVR_CORR=f(vDW) (式7)
式5のオーバーライド閾値vDR_OVR_CORRを、下記のような演算により行う。
vDR_OVR_CORR=逸脱度vDW×vkDW (式5)
このゲインvkDWは、図27に示すように、逸脱度vDWがaまでの範囲及びb以上ではvkDWを一定値A,B、逸脱度vDWがaとbとの間では逸脱度vDWが高くなるほどvkDWを次第に高くするよう設定する。これにより、オーバーライド閾値vDR_OVR_CORRは、逸脱度vDWが大きくなるほど、ドライバ操作によって路外逸脱防止制御を中止されないようにされる。すなわち、自車両の走行車線に対する逸脱度vDWが高いほど、オーバーライドベース閾値に対する補正量を大きくして、オーバーライド閾値を設定する。
このように路外逸脱防止装置は、オーバーライド閾値補正部15により、逸脱度vDWに基づいて、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEを補正してオーバーライド閾値vDR_OVR_CORRを設定することができる。
ここで、通常に想定されている逸脱シーンにおいて、逸脱角は0.5〜1deg程度であると考えられている。通常、ドライバは、この逸脱角相当の操舵操作を路外逸脱防止操作として常に行っていると考えられる。そこで、この逸脱角の近傍で路外逸脱防止制御に対するオーバーライド閾値を設定すれば、通常の路外逸脱走行には対応できる。
そこで、本実施形態の路外逸脱防止装置のように、右側方向への車線逸脱後、右輪でランブルストリップを検出した場合に、逸脱度合いに応じてオーバーライド閾値を設定する。これにより、路外逸脱防止装置は、さまざまな逸脱シーンにおいて、ドライバの路外逸脱防止操作時にドライバに与える違和感を低減させる効果と、路外逸脱防止制御の制御効果をさらに得ることが可能となる。
また、路外逸脱防止装置は、逸脱度vDWが大きいほど、ドライバが大きな路外逸脱防止操作を行わないと、車両システム6による路外逸脱防止制御が中止されないようにする。
つぎに、図28に示すように、ステップS3にて逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり(時刻t1)、ステップS4の路外逸脱判断処理にて右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった場合、路外逸脱防止制御中にドライバが操舵操作(路外逸脱防止操作)を行った場合について説明する。
この場合、逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となった時点にて、オーバーライドベース閾値は「A」となる。この状況において、路外逸脱防止装置は、車両システム6により路外逸脱防止制御を行わせる。この路外逸脱防止制御中に、例えばドライバが操舵操作を行ったとする。このとき、このドライバ操舵量がオーバーライド閾値(A)以下である場合、オーバーライド閾値を、下記の式8のように補正する。
vDR_OVR_CORR=vDR_OVR_BASE×kDN (式8)
すなわち、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEに対して1よりも小さなゲインkDRを乗算して、オーバーライド閾値vDR_OVR_CORR(B)を演算する。このオーバーライド閾値vDR_OVR_CORRは、オーバーライドベース閾値vDR_OVR_BASEよりも低い値となる。
また、ゲインkDNは、図29に示すように、例えばkDNは0〜1までの値をとる。このゲインkDNは、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差が高くなるほど、高い値となる。すなわち、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差がaまでの範囲及びb以上ではゲインkDNを一定値A,B、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差がaとbとの間ではドライバ操作量とオーバーライド閾値との差が高くなるほどゲインkDNを次第に高くするよう設定しても良い。
これにより、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差が大きいほど、ゲインKDRを大きくしてオーバーライド閾値を高くする。これによって、ドライバ操作により車両システム6による路外逸脱防止制御が中止されにくくする。逆に、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差が小さいほど、ゲインKDRを小さくしてオーバーライド閾値を大きくしない。これによって、ドライバ操作により車両システム6による路外逸脱防止制御が中止されやすくする。
また、路外逸脱防止装置は、図30に示すように、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差に応じたオフセットkDR_ADを設定し、下記の式9に従ってオーバーライド閾値vDR_OVR_CORRを設定しても良い。
vDR_OVR_CORR=vDR_OVR_BASE−KDN_AD (式9)
この場合、オフセットkDR_ADは、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差が高くなるほど、低い値となる。すなわち、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差がaまでの範囲及びb以上ではゲインkDRを一定値A,B、ドライバ操作量とオーバーライド閾値との差がaとbとの間ではドライバ操作量とオーバーライド閾値との差が高くなるほどゲインkDRを次第に低くするよう設定しても良い。
このように、路外逸脱防止装置は、ドライバ操作量に応じて、オーバーライドベース閾値を、路外逸脱防止制御が中止されやすくする低方向に補正する。
「路外逸脱防止制御の終了動作」
つぎに、右前輪でランブルストリップを検出後に、ドライバ操作に応じて路外逸脱防止制御を終了させる動作についての例を示す。
路外逸脱防止装置は、ステップS25にて路外逸脱防止制御を終了させると判断した場合、当該路外逸脱防止制御を終了させる時の制御量を制御させる。この場合、路外逸脱防止装置は、自車両が車線右側に逸脱した時に、自車両の右輪でランブルストリップを検出した後に路外逸脱防止制御を終了させる場合に、当該路外逸脱防止制御を即座に終了させる。
図31に示すように、ステップS3にて逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、ステップS4の路外逸脱判断処理にて右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となったとする(時刻t1)。この場合、所定の傾きで、車両システム6に対する制御量が立ち上がり、時刻t2にて所定の制御量により車両システム6を動作させて、路外逸脱防止制御を実行させる。
その後、路外逸脱防止制御中にドライバが操舵操作を行い、図23のステップS32にて肯定判定がされて、オーバーライドフラグfOVR_DRが「1」とされる。オーバーライドフラグfOVR_DRが「1」とされると、図24のステップS41にて肯定判定され、制御終了フラグfCONT_CANが「1」とされる。
この場合、制御終了判断部17及び制御作動判断部18は、車両システム6に対して供給する各指令値の減少変化率を大きくする。具体的には、予め設定されていた各指令値の減少変化率のリミッタを大きくする。これにより、シートベルト作動指令値算出部19、エンジントルク指令値算出部20、ブレーキ液圧指令値算出部21、ヨーモーメント指令値算出部22、アクセルペダル反力指令値算出部23は、車両システム6に対して、即座に路外逸脱防止制御を終了させる。
これにより、路外逸脱防止装置は、図31のように、路外逸脱防止制御を行っている制御量を急峻な傾きAにて減少させることに対して、通常の減少傾きBに対して即座に路外逸脱防止制御を中止させることができる。
このように、路外逸脱防止装置は、右側方向への車線逸脱後、右輪でランブルストリップを検出し、その後さらに左輪でもランブルストリップを検出した場合に、オーバーライドベース閾値を補正する。これにより、ドライバの誤操作によって路外逸脱防止制御を終了させることを防止することが可能となり、路外逸脱防止制御の制御効果を十分得ることが可能となる。
また、路外逸脱防止制御の内容をランブルストリップの検出輪に応じて変更する。これにより、例えば、右輪でランブルストリップを検出し、ドライバの路外逸脱防止操作により路外逸脱防止制御が制御終了となる際に、路外逸脱防止制御による制御指令値を即座に停止することで、制御終了時の引きずり感による違和感を低減させることができる。
なお、ドライバ操作として、操舵操作があった場合の例を示したが、アクセル操作、ブレーキ操作、方向指示器操作、ハザードスイッチ操作などの逸脱防止操作が検出された場合も同様に、路外逸脱防止制御のための指令値の減少変化率を大きくして路外逸脱防止制御を即終了させる。
また、路外逸脱防止装置は、自車両が車線右側に逸脱して自車両の右輪でランブルストリップを検出した後に左輪でもランブルストリップを検出した後に路外逸脱防止制御を中止させる場合に、路外逸脱防止制御による制動力を徐々に低下させる。
図32に示すように、ステップS3にて逸脱判断フラグFldが「RIGHT」となり、ステップS4の路外逸脱判断処理にて右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となり、更に左前輪検出フラグfRS_HIT_FLが「1」になったとする(時刻t1)。この場合、所定の傾きで、車両システム6に対する制御量が立ち上がり、所定の制御量により車両システム6を動作させて、路外逸脱防止制御を実行させる。
その後、路外逸脱防止制御中にドライバが操舵操作を行い、図23のステップS32にて肯定判定がされて、オーバーライドフラグfOVR_DRが「1」とされる。オーバーライドフラグfOVR_DRが「1」とされると、図24のステップS41にて肯定判定され、制御終了フラグfCONT_CANが「1」とされる。
この場合、制御終了判断部17及び制御作動判断部18は、車両システム6に対して供給する各指令値の減少変化率を低くする。具体的には、予め設定されていた各指令値の減少変化率のリミッタを小さく変更する。これにより、シートベルト作動指令値算出部19、エンジントルク指令値算出部20、ブレーキ液圧指令値算出部21、ヨーモーメント指令値算出部22、アクセルペダル反力指令値算出部23は、車両システム6に対して、徐々に路外逸脱防止制御を終了させる。
これにより、路外逸脱防止装置は、図31のように、路外逸脱防止制御を行っている制御量を緩やかな傾きAにて減少させることに対して、通常の減少傾きBに対して徐々に路外逸脱防止制御を中止させることができる。このように、右輪でランブルストリップを検出後に左輪でもランブルストリップを検出し、その時に路外逸脱防止操作により路外逸脱防止制御が終了となった場合は、路外逸脱防止制御による制御指令値を徐々に減少させることで、ドライバ操作が誤操作だった場合にも路外逸脱防止制御の制御効果を得ることが可能となる。
なお、ドライバ操作として、操舵操作があった場合の例を示したが、アクセル操作、ブレーキ操作、方向指示器操作、ハザードスイッチ操作などの逸脱防止操作が検出された場合も同様に、路外逸脱防止制御のための指令値の減少変化率を大きくして路外逸脱防止制御を即終了させる。
また、路外逸脱防止装置は、ランブルストリップを踏んだ検出輪に応じて、路外逸脱防止制御を終了する方法を変更することができる。すなわち、図31のように自車両が右方向に路外逸脱する可能性がある場合(右方向に車線逸脱傾向が有る場合)に、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった後にオーバーライドフラグfOVR_DR及び制御終了フラグfCONT_CANが「1」となった場合には、即座に路外逸脱防止制御を終了させる。これに対し、右前輪検出フラグfRS_HIT_FRが「1」となった後に左前輪検出フラグfRS_HIT_FLも「1」となり、その後にオーバーライドフラグfOVR_DR及び制御終了フラグfCONT_CANが「1」となった場合には、図32のように路外逸脱防止制御を徐々に終了させる。
このように、自車両に路外逸脱傾向が有ると判定された時点(逸脱方向の車輪がランブルストリップに接触した時点)から逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップに接触した時点までに路外逸脱防止制御を終了する際には、逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップに接触した時点以降に路外逸脱防止制御を終了する際よりも、路外逸脱防止制御の制御量の低減速度を早くして、早期に制御を終了する。これにより、ドライバの路外逸脱防止操作により路外逸脱防止制御が制御終了となる際に、路外逸脱防止制御による制御指令値を即座に停止することで、制御終了時の引きずり感による違和感を低減させることができる。
上述の実施例においては、路外逸脱の可能性が検出された後にドライバの路外逸脱操作が検出された場合には、車線逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップを踏んだ時点でオーバーライド閾値を低減しているが、この限りではなく、例えば路外逸脱の可能性が検出されてから所定時間後(例えば3sec)後にオーバーライド閾値を変更しても良い。しかしながら、上述の実施例のように、路外逸脱の可能性が検出された時点から車線逸脱方向とは逆側の車輪がランブルストリップを踏むまでの間はオーバーライド閾値を変更せず、車線逸脱方向逆側の車輪がランブルストリップを踏んだ時点以降に運転者が路外逸脱を認識して操作を行なっているか否かに基づいてオーバーライド閾値を変更して、確実に路外逸脱防止制御を作動させることが好ましい。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。