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JP2011070904A - 鉛蓄電池用セパレータ及びそれを用いた鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用セパレータ及びそれを用いた鉛蓄電池 Download PDF

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敏夫 柴原
Yasuhiro Kato
泰裕 加藤
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Abstract

【課題】セパレータの厚みを薄くしても、容量を低下させることなく、化学的及び物理的な短絡を同時に防止することのできる鉛蓄電池用のセパレータ、及び、それを用いた高出力の鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれた少なくとも1種類の有機繊維を使用した不織布をセパレータに使用する。好ましくは、有機繊維不織布の層にガラス繊維不織布層を重ねた二層構造の不織布をセパレータに使用し、正極側にガラス繊維不織布層を、負極側に有機繊維不織布層を配置する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鉛蓄電池用セパレータ及びそれを用いた鉛蓄電池に関し、特に鉛蓄電池の高出力化を行うことに関する。
制御弁式鉛蓄電池は、安価で信頼性が高いという特徴を有するために、無停電電源装置や自動車始動用等において広く使用されている。また近年では、ゴルフカートや電動自転車等のサイクル用途においても、高出力な制御弁式鉛蓄電池が求められている。
一般的に鉛蓄電池は、放電電流が大きくなるほど、放電できる容量が小さくなるという特徴がある。これは、放電電流が大きくなり、放電反応の速度が速くなると、放電反応に消費される電解液中の硫酸イオンが、正極板外から正極板中に拡散供給される速度を上回り、放電に必要な硫酸イオンが不足してしまうことに起因する。
そのため、高出力化を図るためには、正極板、負極板及びセパレータの厚みを薄くし、一定体積中に収納される極板の枚数を多くして、極板の表面積を増加させる手法が有効である。これは、正極板の表面積が増加した結果、同じ電流値で放電した場合でも、正極板の単位表面積当たりの放電電流、即ち反応速度をより遅くすることができるからである。
ところが、上記のように正極板、負極板及びセパレータの厚みを薄くすると、正極板と負極板とが、短絡し易くなるという問題が発生する。
これは、セパレータとして一般に用いられているガラス繊維不織布が薄くなった結果、未化成の正負両極板を電槽内に収納して電流を流し、極板を化成する電槽化成と呼ばれる工程において、負極板からセパレータ中へ鉛のマイグレーションが起る浸透短絡と呼ばれる化学的な短絡が起ることに起因する。また、セパレータ自体が薄くなったことで、物理的な強度が不足するために、使用中の振動で、やぶれや貫通が起ることも要因になっている。
上記の化学的な短絡を防止する手法として、ガラス繊維不織布に二酸化珪素粒子を分散させる技術がある程度有効であることが知られている(特許文献1参照)。しかし、この手法以外には学術的な報告にも有効なものは見当たらないのが現状である。
特開2001−143679号公報
しかしながら、二酸化珪素粒子を用いて、化学的な短絡を防止した場合は、ガラス繊維不織布の厚みが薄いために、物理的な強度が不足する問題がある。特に、ガラス繊維不織布に電解液を保持させ、ガラス繊維不織布が濡れた状態では、乾燥時よりも物理的な強度が大幅に低下するため、ゴルフカートや電動自転車等の使用時に振動が加わる用途には用いることが難しかった。
また、二酸化珪素粒子を用いたセパレータは、出力が低下する問題もある。これは、二酸化珪素粒子が電解液である硫酸と反応しゲル化することで、負極板からセパレータ中への鉛のマイグレーションが抑制される反面、上述したように高出力化に重要な電解液中の硫酸イオンの拡散速度を落としてしまうことに起因する。
本発明は、セパレータの厚みを薄くしても、容量を低下させることなく、化学的及び物理的な短絡を同時に防止することのできる鉛蓄電池用のセパレータ、及び、それを用いた高出力の鉛蓄電池を提供することである。
本発明は、以下のものに関する。
(1)ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれた少なくとも1種類の有機繊維を使用した不織布からなる鉛蓄電池用セパレータ。
(2)前記有機繊維不織布の層にガラス繊維不織布層を重ねた二層構造の不織布からなる鉛蓄電池用セパレータ。
(3)項(1)又は(2)において、前記有機繊維不織布は、その繊維表面に親水化処理が施されている鉛蓄電池用セパレータ。
(4)項(1)乃至(3)の何れかに記載される鉛蓄電池用セパレータを、正極板と負極板との間に配置した鉛蓄電池。
(5)項(4)において、鉛蓄電池用セパレータが、ガラス繊維不織布層を正極側に、有機繊維不織布の層を負極側にして配置される鉛蓄電池。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれた少なくとも1種類の有機繊維を使用した不織布を用いることによって化学的な短絡を防止できることを新規に見出した。なお、この有機繊維不織布に電解液を保持させ、有機繊維不織布が濡れた状態であっても物理的強度が高く、物理的な短絡を防止することもできる。
また、前記有機繊維不織布の層にガラス繊維不織布層を重ねた二層構造の不織布とした場合には、有機繊維不織布の層よりもガラス繊維不織布層の方が電解液を多く含むことができるため、同じ合計厚みとしたときの容量が増加する効果がある。
本発明の鉛蓄電池用セパレータを、正極板と負極板との間に配置した場合は、マイグレーションがなく、従来に比べ薄いセパレータであるため、同じ体積中により多くの極板を配置することができ、高出力の鉛蓄電池を提供することができる。
鉛蓄電池用セパレータが、ガラス繊維不織布層を正極側に、有機繊維不織布層を負極側にして配置される場合は、有機繊維不織布層が、正極板に接触することがないので、酸化されることがなく、鉛蓄電池としての寿命を延ばすことができる。
(有機繊維不織布)
本発明にて用いる有機繊維不織布は、繊維材質としてポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれた少なくとも1種類を用いたものであれば、他は特に限定されない。
有機繊維不織布の厚みと目付に関しては相関があり、両者の値の範囲はおのずと限定される。有機繊維不織布1枚で容量を低下させずに出来るだけ薄くして化学的な短絡を防止させるには、厚み0.2mm、目付27g/m程度が好ましい。これよりも薄くすると例えば、厚み0.1mm、目付33g/mの有機繊維不織布1枚では化学的な短絡を防止できなかった。この場合でも2枚重ねることで化学的な短絡は防止することが可能であるが、枚数を増やすほど鉛蓄電池を製造しにくくなるデメリットが出てくる。
有機繊維不織布は、その繊維表面に親水化処理が施されていることが好ましい。繊維が親水化されると有機繊維不織布に保持される電解液の硫酸量が増加するため、容量が増加する。
親水化処理方法としては、スルホン化処理、界面活性剤処理、フッ素ガス処理、コロナ放電処理などを用いることができる。鉛蓄電池は電解液が硫酸であるので、スルホン化処理が好ましい。
(ガラス繊維不織布層)
本発明にて用いるガラス繊維不織布層は、有機繊維不織布の層が、正極板に接触することを防ぐことができる作用を有すれば特に制限されるものではなく、一般的に鉛蓄電池に使用されている19.6kPa加圧下でのベンチ密度0.15g/cm程度のものを使用すればよい。厚みについては抄造の限界から19.6kPa加圧下でのベンチ厚み0.2mm付近がもっとも薄くできるガラス繊維不織布層となる。
(鉛蓄電池)
本発明の鉛蓄電池は、前述したセパレータを、正極板と負極板との間に配置したものであればよく、「正極板−セパレータ−負極板」を1組としたものを、複数組用いて使用する。
正極板、負極板とも、特に限定されるものではなく、一般的に鉛蓄電池に用いられる集電体格子に活物質が充填されたペースト式極板が使用できる。
セパレータは、先に述べたように、正極板と負極板との間に配置されるが、その際、ガラス繊維不織布層を正極側にして配置することが好ましく、このようにすることで、有機繊維不織布の層と正極板とが非接触となり、有機繊維不織布の層の酸化を防止することができる。
(制御弁式鉛蓄電池の製造)
以下の実施例では、薄形のセパレータを用い、制御弁式鉛蓄電池を製造して電槽化成時の短絡の有無の確認と高率放電容量を測定した。なお、特に明記しない限りでは、正極板や負極板及び制御弁式鉛蓄電池は従来の手法で製造した。
すなわち、酸化鉛と鉛を主成分とするボールミル式鉛粉を所定量の水と希硫酸とで混練して正極用ペースト状活物質を作製する。作製した正極用ペースト状活物質を、幅が42.5mm、高さが69mm、厚みは表1に示した厚みの鉛−カルシウム−錫合金製の集電体に充填した。そして、40℃、湿度95%の雰囲気中で24時間放置して熟成をした後に、50℃で16時間の乾燥をして未化成のペースト式正極板を作製した。
酸化鉛と鉛を主成分とするボールミル式鉛粉を従来から使用している添加剤と、所定量の水と希硫酸とで混練して負極用ペースト状活物質を作製する。作製した負極用ペースト状活物質を、幅が42.5mm、高さが69mm、厚みは表1に示した厚みの鉛−カルシウム−錫合金製の集電体に充填して未化成のペースト式負極板を作製した。そして、40℃、湿度95%の雰囲気中で24時間放置して熟成をした後に、50℃で16時間の乾燥をして未化成のペースト式負極板を作製した。
表1に示した各厚みのペースト式正極板とペースト式負極板とを各厚み及び構成のセパレータを介して積層し、電極の耳部を溶接して電極群としABS製の電槽に組み込んだ。これに、電解液を注入し、周囲温度が約40℃、課電量が250%、化成時間が48時間の条件で電槽化成を行い、公称容量が7Ah−12Vの制御弁式鉛蓄電池を作製した。電解液は、正負極板とセパレータに保持されており、遊離した電解液はない状態になっている。
(実施例1)
ポリプロピレン繊維不織布をセパレータに用いた場合を示す。不織布の厚み、目付、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したポリプロピレン繊維の繊維径は15μm、繊維長は18mmである。
(実施例2)
ポリエチレン繊維不織布をセパレータに用いた場合を示す。不織布の厚み、目付、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したポリエチレン繊維の繊維径は15μm、繊維長は18mmである。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレート繊維不織布をセパレータに用いた場合を示す。不織布の厚み、目付、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したポリエチレンテレフタレート繊維の繊維径は15μm、繊維長は18mmである。
(実施例4)
スルホン化処理を施したポリプロピレン繊維不織布をセパレータに用いた場合を示す。不織布の厚み、目付、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したポリプロピレン繊維の繊維径は15μm、繊維長は18mmである。
(実施例5)
スルホン化処理を施したポリプロピレン繊維不織布の層にガラス繊維不織布層を重ねた二層構造の不織布をセパレータに用いた場合を示す。前述したように、ガラス繊維不織布層を正極に当接するように配置した。ガラス繊維不織布の厚み、密度、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したポリプロピレン繊維の繊維径は15μm、繊維長は18mmである。また、ガラス繊維の繊維径は1μm、繊維長は15mmである。
(比較例1)
実施例5と同じ構成で、ガラス繊維不織布層のみをセパレータに用いた場合を示す。不織布層の厚み、密度、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したガラス繊維の繊維径は1μm、繊維長は15mmである。
(比較例2)
比較例1と同じ構成で、ガラス繊維不織布層に二酸化珪素粒子を添加した場合を示す。不織布層の厚み、密度、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したガラス繊維の繊維径は1μm、繊維長は15mmである。
(比較例3)
市販の制御弁式鉛蓄電池と同等の厚みのガラス繊維不織布層セパレータと、同等の厚みの正負極板を用いた場合を示す。不織布層の厚み、密度、正負極板の厚み、枚数は表1に示す通りである。その他の制御弁式鉛蓄電池の製造方法は上記したものである。なお、使用したガラス繊維の繊維径は1μm、繊維長は15mmである。
上記実施例1〜5、比較例1〜3の制御弁式鉛蓄電池について、電槽化成時の短絡の有無と3CA放電時間を評価した。その結果を表2に示す。また、実施例4と5及び比較例2と3に関してのみトリクル寿命試験を実施した。本発明はサイクル用途の鉛蓄電池の高出力化を主目的としているが、トリクル用途にも適用できる。セパレータの酸化に対する効果を確認するため、充電期間の長い試験であるトリクル寿命試験にて評価した。その結果を表3に示す。なお、評価方法は、以下のとおりである。
電槽化成時の短絡:化成終了後1時間静置後のオープン電圧が2V/セル以下であった場合、短絡ありと判断した。
3CA放電時間:21Aの定電流で放電し、電圧が1.3V/セル以下となるまでの放電時間を測定した。
トリクル寿命試験:25℃の雰囲気中で、電池を2.275V/セルの電圧で充電し続けながら、3ヶ月後に取り外し、25℃に24h静置後0.25CA放電容量を測定する。0.25CA放電容量は、1.75Aの定電流で放電し、電圧が1.7V/セル以下となるまでの放電時間を測定する。0.25CA放電容量の測定が終われば、再び25℃の雰囲気中で、電池を2.275V/セルの電圧で充電し続け、3ヶ月後に取り外し、同様の手順で0.25CA放電容量を測定する。0.25CA放電容量が初期の50%を下回る時点まで同様の手順を繰り返し、それに要した月数を求め、それをトリクル寿命期間とする。
Figure 2011070904
Figure 2011070904
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表2から明らかなように、比較例1では、ガラス繊維不織布層の厚みが薄いために、電槽化成時の短絡が認められた。比較例2では、ガラス繊維不織布層に二酸化珪素粒子を添加したことにより、厚みが薄くても、電槽化成時の短絡が認められなかった。また、3CA放電時間は14分であった。比較例3では、ガラス繊維不織布層の厚みが厚いために、電槽化成時の短絡が認められなかった。また、3CA放電時間は11分であった。
これに対し、実施例1〜3は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれた少なくとも1種類の有機繊維を使用した不織布からなるセパレータを使用したことにより、有機繊維不織布の厚みが薄くても、電槽化成時の短絡が認められなかった。また、3CA放電時間は19分と、比較例2、3と比較して、大幅に向上した。
実施例4は、有機繊維不織布の繊維表面に親水化処理が施されているセパレータを使用したことにより、電槽化成時の短絡は認められず、また、3CA放電時間は20分と、実施例1〜3と比較して、さらに向上した。
実施例5は、有機繊維不織布の繊維表面に親水化処理が施されているセパレータを使用し、かつ、ガラス繊維不織布層を正極に当接するように配置したことにより、電槽化成時の短絡は認められず、また、3CA放電時間は20分と、実施例1〜3と比較して、さらに向上した。
表3から明らかなように、比較例2のトリクル寿命期間が最も短いことがわかる。これはガラス繊維不織布が濡れた状態では、乾燥時よりも物理的な強度が大幅に低下するためガラス繊維不織布層の厚みが不足しているものと考えられる。これに対し、実施例4は、比較例2よりも大幅にトリクル寿命期間が延長された。また、実施例5は、実施例4よりも更にトリクル寿命期間を長くすることができ、市販の制御弁式鉛蓄電池に相当する比較例3と同等のトリクル寿命期間であることがわかる。これは、前述したように、ガラス繊維不織布層を正極に当接するように配置したことにより、ポリプロピレン繊維不織布の酸化が防止されるためと考えられる。
以上の結果から、本発明のセパレータを用いると、セパレータの厚みを薄くしても、電槽化成時の短絡を防止して3CA放電時間を向上する(出力を高くする)ことができ、且つ長寿命な鉛蓄電池を製造できることがわかる。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれた少なくとも1種類の有機繊維を使用した不織布からなる鉛蓄電池用セパレータ。
  2. 前記有機繊維不織布の層にガラス繊維不織布層を重ねた二層構造の不織布からなる鉛蓄電池用セパレータ。
  3. 請求項1又は2において、前記有機繊維不織布は、その繊維表面に親水化処理が施されている鉛蓄電池用セパレータ。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載される鉛蓄電池用セパレータを、正極板と負極板との間に配置した鉛蓄電池。
  5. 請求項4において、鉛蓄電池用セパレータが、ガラス繊維不織布層を正極側に、有機繊維不織布の層を負極側にして配置される鉛蓄電池。
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