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JP2011054671A - 複合フィルタ - Google Patents

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JP2011054671A
JP2011054671A JP2009200574A JP2009200574A JP2011054671A JP 2011054671 A JP2011054671 A JP 2011054671A JP 2009200574 A JP2009200574 A JP 2009200574A JP 2009200574 A JP2009200574 A JP 2009200574A JP 2011054671 A JP2011054671 A JP 2011054671A
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JP2009200574A
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Yuka Hiwatari
由夏 樋渡
Yuichi Miyazaki
祐一 宮崎
Yusuke Hashimoto
裕介 橋本
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】電磁波遮蔽機能と近赤外線吸収機能の各機能を有し、更に、電磁波シールド材において、パターンの線幅の細線化が求められる中、より低い表面抵抗率とすることができ、且つ、外光による画像の白化、コントラスト低下の防止が可能な電磁波シールド材を含む複合フィルタを提供する。
【解決手段】透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなる凸状パターン層を有する電磁波シールド材、及び近赤外線吸収層を含む複合フィルタであって、前記近赤外線吸収層が前記電磁波シールド材の透明基材側の面及び/又は該透明基材とは反対側の面に直接又は他の機能層を介して積層されており、且つ、前記導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含んで成り、前記凸状パターン層中の該導電性粒子の分布は、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該凸状パターン層の頂部近傍において密であることを特徴とする、複合フィルタ。
【選択図】図1

Description

本発明は、PDP(プラズマディスプレイパネル)などのディスプレイ装置(画像表示装置)の前面に配置する複合フィルタに関し、さらに詳しくは、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽(シールド)する電磁波遮蔽機能と、近赤外線吸収機能を兼ね備えた複合フィルタに関するものである。
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増え、陰極線管(CRTという)、プラズマディスプレイパネル(PDPという)などのディスプレイ装置でも電磁波が発生する。特に、PDPは、データ電極と蛍光層を有する硝子と透明電極を有する硝子との組合体であり、作動すると電磁波、及び近赤外線が大量に発生する。
PDPは、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、PDPの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波を遮蔽(シールド)するためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
また、プラズマディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nm帯域を含む近赤外線も、VTRの遠隔操作機器などの他の機器を誤作動させるので、遮蔽する必要がある。通常、発生する近赤外線を遮蔽するために、近赤外線を吸収する機能を有する近赤外線吸収フィルタがPDPの前面側(観察者側)に設けられる。
そこで、PDPの前面側には電磁波遮蔽機能と近赤外線吸収機能の両機能を一体化した複合フィルタが使用されることが多い(例えば特許文献1)。
特開2009−31720号公報 特開平11−174174号公報
近年、PDPの消費電力を削減するために、プラズマ放電による発光を抑える傾向にある。そのため、PDPの前面側に設けられる複合フィルタ(近赤外線吸収フィルタ)は、より可視光透過率が高いものが求められている。
また、電磁波シールド材は今までに種々検討されており、例えば特許文献2には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。
該特許文献2に記載の電磁波シールド材は、凹版から透明基材に直接導電性インキ組成物を転写する方式のため、パターン歪みがなく、微細パターン形成が可能である。但し、電磁波シールド材に適用する場合は、導電性インキの如き流動性の悪いインキを高塗布量で転写(転移とも言う)させる必要がある。そのため、導電性インキを転写する際に、未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりするという問題がある。
これに対して、本出願人は、凹版印刷により導電性材料組成物を透明基材上に転写し、導電性を有するパターンを形成してなる電磁波シールド材において、導電性材料組成物の転写不良に基づくパターンの断線、形状不良、転移率不足や低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材について、WO2008/149969号公報(出願日:平成20年6月6日、以下、「先願発明」という。)で提案している。この、先願発明では、図8(A)に示す如く、凹版の凹部内に充填された導電性インキ組成物15表面の凹み6を、図8(B)に示す様に、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が形成された透明基材10と圧着することによって、プライマー層と凹部6内の導電性インキとを空隙無く密着する圧着工程を経て、プライマー層を硬化し、透明基材を版面から剥がして、凹部6内導電性インキ組成物を硬化したプライマー層2上に転写するものである。
但し、かかる方法においては、なお、以下の如き要解決課題が残存していることが判明した。即ち、最近の傾向として、高電磁波シールド性と高透明性との両立性を要求される各種利用分野、特に、ディスプレイ装置の画面前面用途の場合においては、より高透明のものを得るためには、パターンの線幅を、より一層微細化することが求められている。具体的には、線幅30μm以下、より好ましくは15〜20μm以下の細線化が求められてきている。
一方で、導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物から成る凸状パターン層の線幅がこのように細くなると;
(1)一般に物体の電気抵抗Rは、その長さL及び体積抵抗率ρに比例し、その断面積Sに反比例する。即ち、R=ρL/Sとなる。そのため、同じ導電性組成物(ρ一定)で同じ平面視パターン形状(L一定)且つ同じ厚みのパターンを印刷形成する場合、線幅の減少に比例して断面積Sも減少し、導電パターン部分の電気抵抗Rは高くなる。これに伴い、電磁波シールド性の指標である、シールド部材としての表面抵抗率も増大する。
(2)印刷厚みを一定として、パターン線幅が狭くなり、線幅と導電性粒子径とが近付いてくると、同じ粒子径及び粒子形状の導電性粒子であっても、該細線パターンの単位断面積中における該導電性粒子同士が接触する部分の総面積の比率は低下する。その結果、幾何学的断面積S GEOに比べて、現実の電流通路となり得る導電性粒子(群)の有効総断面積S AVは低下し(S AV<S GEO)、導電パターン部分の電気抵抗Rは、線幅減少による幾何学的要因(断面積S)の影響以上に高くなるため、電磁波シールド材の表面抵抗率も線幅から単純計算した値以上に上昇してしまう。その結果、電磁波シールド性は低下する。この状況は、線幅を変えずに厚みを薄くした場合でも同様に生じるため、印刷厚みが薄くなり該厚みが導電性粒子径に近づいた場合も、急激に表面抵抗率が増大するという結果となる。
もちろん、該凸状パターン層上に、電解めっき等によって、低体積抵抗率の金属層を形成すれば、この電気抵抗の上昇分は相殺し得る。しかし、その場合は、工程数及び材料費の増加と歩留まりの低下を生じるため、好ましい形態とは言えなかった。
また、導電性粒子は一般に可視光線反射率も高いため、導電性組成物は可視光線反射率が高くなる。特に金属粒子はこの傾向が強く、中でも低抵抗化するために通常採用される鱗片状の導電性粒子の場合、凸状パターン表面には大局的に見た場合に鏡面に近い面が形成されるため、かかる反射は鏡面反射に近くなる。高可視光線反射率、中でも鏡面反射成分が多い場合、該凸状パターン表面(透明基材側面及び透明基材とは反対側面の両面とも)は電燈光、日光等の外光、或いはディスプレイ装置からの画像光を反射し、画面が白化したり、画像コントラストが低下したりする問題が生じる。
もちろん、黒鉛のような可視光線反射率の低い導電性粒子を使用すれば、凸状パターンによるこの様な画面の白化、コントラスト低下は防げる。しかし、その場合は、黒鉛の体積抵抗率が銀等の金属にくらべて高いため、同じ導電パターン設計をした場合には電磁波シールド性が劣る。これは、線幅が広い場合は比較的問題になり難いが、凸状パターンを細線化した場合には、前記の如く幾何学的要因による電気抵抗の上昇とも相俟って、電磁波シールド性能の不足につながるという問題が生じる。更に、黒鉛のような炭素の粒子は、導電性組成物の構造粘性を上昇させ、流動性を低下させる場合も多いため、これが細線パターンの再現性不良、転移率低下の傾向を生じることも問題となる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、電磁波遮蔽機能と近赤外線吸収機能の各機能を有し、更に、電磁波シールド材において、パターンの線幅の細線化が求められる中、より低い表面抵抗率とすることができ、且つ、外光による画像の白化、コントラスト低下の防止が可能な電磁波シールド材を含む複合フィルタを提供することを目的とする。
本発明に係る複合フィルタは、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなる凸状パターン層を有する電磁波シールド材、及び近赤外線吸収層を含む複合フィルタであって、
前記近赤外線吸収層が前記電磁波シールド材の透明基材側の面及び/又は該透明基材とは反対側の面に直接又は他の機能層を介して積層されており、且つ、
前記導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含んで成り、前記凸状パターン層中の該導電性粒子の分布は、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該凸状パターン層の頂部近傍において密である、ことを特徴とする。
本発明の複合フィルタは、電磁波遮蔽機能と近赤外線吸収機能の両機能を発揮することができるように設計されている。
また、該複合フィルタに含まれる電磁波シールド材において、凸状パターン層を構成する導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含み、しかも該導電性粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎に、また該凸状パターン層の頂部近傍において密であるよう構成した。そのため、該凸状パターンが細線化し、幾何学的因子(R=ρL/SにおいてSが小)による高電気抵抗の環境下でも、限られた添加量の導電性粒子により、該凸状パターンの頂部近傍の密度が高く保たれ、ここで集中的に各導電性粒子同士の電気的接触が確保される。同時に該プライマー層近傍での導電性粒子の密度が低くなることにより、導電性組成物層とプライマー層との界面での投錨効果が高まり、界面剥離、脱落が抑えられ高い密着性が確保される。そのため、該パターンの線幅を微細化した場合においても、高電磁波シールド性と機械的強度、及び高透明性による高解像度とが両立できるという効果を奏する。
また、該凸状パターン層の該プライマー層側の界面において、該導電性粒子の分布が疎であるため、ここでの光の鏡面反射率は低減される。そのため、該導電性粒子の分布が疎な面側を外光側(画像観察者側)に向けた場合には、外光による画像の白化、コントラスト低下を防止できる。一方、該導電性粒子の分布が疎な面側をディスプレイ装置側に向けた場合には、画像光の画面への反射による画像の白化、コントラスト低下を防止できる。
本発明に係る複合フィルタにおいては、前記近赤外線吸収層が、下記化学式(1)で表わされるベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体を含有するか、且つ/又はジイモニウム系化合物を含有することが、可視光透過率を高める点から好ましい。
(化学式(1)中、Mは、遷移金属原子を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、−SO−Q基を表し、Qは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基、モルフォリノ基を表す。a及びbは、1〜4の整数を表す。)
また、本発明に係る複合フィルタにおいては、前記近赤外線吸収層に、更に層状粘度鉱物を含有することが、更に可視光透過率を高める点から好ましい。
本発明の複合フィルタは、電磁波遮蔽機能と近赤外線吸収機能の両機能を発揮することができる。
更に、該複合フィルタに含まれる電磁波シールド材において、凸状パターン層を構成する導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含み、しかも該導電性粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎に、また該凸状パターン層の頂部近傍において密であるよう構成した。そのため、該凸状パターンが細線化し、幾何学的因子(R=ρL/SにおいてSが小)による高電気抵抗の環境下でも、限られた添加量の導電性粒子により、該凸状パターンの頂部近傍の密度が高く保たれ、ここで集中的に各導電性粒子同士の電気的接触が確保される。同時に該プライマー層近傍での導電性粒子の密度が低くなることにより、導電性組成物層とプライマー層との界面での投錨効果が高まり、界面剥離、脱落が抑えられ高い密着性が確保される。そのため、該パターンの線幅を微細化した場合においても、高電磁波シールド性と機械的強度、及び高透明性による高解像度とが両立できるという効果を奏する。
加えて、該凸状パターン層の該プライマー層側の界面において、該導電性粒子の分布が疎であるため、ここでの光の鏡面反射率は低減される。そのため、該導電性粒子の分布が疎な面側を外光側(画像観察者側)に向けた場合には、外光による画像の白化、コントラスト低下を防止できる。一方、該導電性粒子の分布が疎な面側をディスプレイ装置側に向けた場合には、画像光の画面への反射による画像の白化、コントラスト低下を防止できる。
本発明に係る複合フィルタの一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る複合フィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る複合フィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る複合フィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に用いられる電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図である。 図5におけるA−A’断面の拡大図である。 図6の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図である。 凹部内の導電性材料組成物の凹みにプライマー層を充填し、その導電性材料組成物が転写する形態を示す模式図である。 本発明に用いられる電磁波シールド材における、凸状パターン層とプライマー層との界面形態の模式的な断面図であり、(A)界面形態が第1態様、(B)界面形態が第2態様、(C)界面形態が第3態様を示す。 本発明に用いられる電磁波シールド材における、湿熱処理条件、環境保持時間と表面抵抗率の関係を表すグラフである。 本発明に用いられる電磁波シールド材における、湿熱処理(80℃×90RH%、48時間)の、(A)処理前の凸状パターンの断面SEM写真、(B)湿熱処理後の凸状パターンの断面SEM写真である。 本発明に用いられる電磁波シールド材における、図11(B)の湿熱処理後の凸状パターンの断面SEM写真における融合経路の説明図である。 本発明に用いられる電磁波シールド材における、酸処理(15%HCl、1min)後の凸状パターンの断面SEM写真である。 本発明に用いられる電磁波シールド材における、図13の酸処理(15%HCl、1min)後の凸状パターンの断面SEM写真における融合経路の説明図である。 導電性組成物をプライマー層上に転写する転写工程を実施する装置の概略構成図である。
以下において本発明を詳しく説明する。
<複合フィルタの層構成>
本発明に係る複合フィルタの層構成について図面を用いて説明する。
本発明に係る複合フィルタの一例の断面図を図1で概念的に示す。なお、図1乃至図4に示す断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)の縮尺を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。図1は、本発明に係る複合フィルタ1の好適な実施形態のうちの第一の実施形態であり、透明基材10の一方の面に、プライマー層2と該プライマー層2上に所定のパターンで形成された凸状パターン層3とを有する電磁波シールド材11の、該透明基材10側の表面に近赤外線吸収層12、及び機能層13がこの順に積層されている。
ここで、「所定のパターン」とは、電磁波シールド材11の電磁波遮蔽パターンとして一般的な、メッシュ(網乃至格子)状、ストライプ(平行線群乃至縞模様)状、或いは線分群等のパターンである。
また、図2は、本発明に係る複合フィルタ1の好適な実施形態のうちの第二の実施形態であり、透明基材10の一方の面に、プライマー層2と該プライマー層2上に所定のパターンで形成された凸状パターン層3とを有する電磁波シールド材11の、該透明基材10側の表面に機能層13、及び近赤外線吸収層12がこの順に積層されている。このように、透明基材10と近赤外線吸収層12の間に他の機能層13が設けられていてもよい。
また、図3は、本発明に係る複合フィルタ1の好適な実施形態のうちの第三の実施形態であり、透明基材10の一方の面に、プライマー層2と該プライマー層2上に所定のパターンで形成された凸状パターン層3とを有する電磁波シールド材11の、該凸状パターン層3側の表面に、粘着剤層14が該凸状パターン層3の凹凸を平坦化するように形成され、該粘着剤層14の上に近赤外線吸収層12が積層されている。
また、図4は、本発明に係る複合フィルタ1の好適な実施形態のうちの第四の実施形態であり、透明基材10の一方の面に、プライマー層2と該プライマー層2上に所定のパターンで形成された凸状パターン層3とを有する電磁波シールド材11の、該凸状パターン層3側の表面に、近赤外線吸収層12が該凸状パターン層3の凹凸を平坦化するように形成されている。
尚、図1から図4に示した複合フィルタの層構成は、代表的なものを図示したものである。勿論、これ以外の層構成の形態を排除するものではない。
以下、各構成を順に説明する。
1.電磁波シールド材
本発明に用いられる電磁波シールド材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された凸状パターン層を有する。
図5は、本発明に用いられる電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図であり、図6は、図5におけるA−A’断面の拡大図である。また、図7は、図6の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図である。本発明の電磁波シールド材11は、透明基材10と、透明基材10上に形成されたプライマー層2と、プライマー層2上にメッシュ形状に代表される所定のパターンで形成された凸状パターン層3とを有し、必要に応じて凸状パターン層3上に形成された金属層4を有し、必要に応じてさらに保護層9を有する。なお、図5中、符号7は電磁波シールドパターン部であり、符号8は接地部である。
図5においては、平面視形状が四角形の電磁波シールド材11の中央部付近が電磁波シールドパターン部7になり、その周縁部を囲繞するように開口部非形成の導電体組成物層から成る接地部8が位置する形態を図示した。但し、接地部8の形態は、これのみに限定はされない。例えば、該接地部8が該電磁波シールドパターン部7と同様な凸状パターン層3から構成される形態であっても良い。
以下、本発明に用いられる電磁波シールド材について、透明基材から順に説明する。
(透明基材)
透明基材10は、可視光線領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、ガラス、セラミックス等の透明無機物の板、或いは樹脂板など板状体の剛直物でもよい。ただし、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、可撓性のある樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って保管する加工方式をいう。
樹脂フィルム、樹脂板の材料として用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド(PI)系樹脂等である。なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい透明基材である。
透明無機物としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子等の硝子、或いはPLZT、石英等の透明セラミックス等である。
透明基材の厚みは基本的には特に制限はなく用途等に応じ適宜選択することができる。可撓性のある樹脂フィルムを利用する場合、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。樹脂や透明無機物の板を利用する場合、例えば、500〜5000μm程度である。
また、以下に述べるプライマー層2との密着性を確保するために、透明基材表面に別途密着性改善のための表面処理や、易接着層、下地層などが設けられていてもよい。
(プライマー層)
プライマー層2は、その主目的が凸状パターン層3の印刷形成時に、版から被印刷物(透明基材)へのインキ(導電性組成物)転移性を向上させ、転移後の導電性組成物と被印刷物との密着性を向上させるための層である。すなわち、透明基材及び凸状パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(凸状パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層でもある。
更に、該プライマー層2は、流動性を保持できる状態で透明基材10上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層であり、最終的な電磁波シールド材が形成されたときに固化している層である。
かかるプライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
プライマー層を版表面で硬化させた後に剥離する際、剥離が重い(版との密着が良い)材料系を用いる場合には、版表面に離型加工をしたり、離型材を塗布したりするなどの方法もとられるが、加工コストや離型能力の寿命などを勘案し、必要に応じてプライマー層に離型剤を添加する。本発明において用いる離型剤とは、電磁波シールド材の製造において、プライマー硬化工程を経た透明基材上のプライマー層が、版面からの剥離に要する力(剥離力)を小さくして、円滑に剥がれるように剥離性を向上させるための添加剤をいう。かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等が挙げられる。該離型剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、離型剤は、プライマー層を形成する電離放射線硬化性組成物全量に基づき、0.1〜5質量%添加することが好ましく、0.5〜3質量%が特に好ましい。0.1質量%未満では、プライマー層の版面からの離型性が向上せず、5質量%を超えて添加しても離型性能は飽和し経済的でない。
該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要となるため、コストを考えれば溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ乃至無溶剤型)であることが好ましい。外観改善や塗工適性改善などのために溶剤を添加する場合には乾燥が必要となるが、溶剤の添加量が数%程度の量であるならば、硬化後に乾燥させてもよい。残留溶剤量はなるべく少ない方が好ましいが、物性、耐久性に影響が無ければ完全にゼロでなくても良い。
プライマー層2の厚さ(TB;図7の如く、凸状パターン層3の非形成部の厚みで評価)は特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(TB)は、通常は、凸状パターン層3とプライマー層2との合計値(総厚。図7(A)でいうと凸状パターン層3の頂部と透明基材10の表面との高度差)の1〜50%程度である。
(導電性組成物からなる凸状パターン層)
本発明における電磁波シールド材は、導電性組成物からなる凸状パターン層3が、プライマー層2上に所定のパターンで設けられたものである。パターン形状としてはメッシュ(網目乃至格子)形状が代表的なものであるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も用いられる。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。また、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状、または擬似ランダム網目状のパターンなども使用可能である。その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(電磁波シールドパターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。またメッシュの電磁波シールドパターンとは別に、その周辺部の全周又はその一部にそれと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。この接地パターンはシールドパターン形成時に同時に形成しても良く、別途導電インキを使って形成してもよく、導電金属テープなどを貼ることにより形成しても良い。尚、かかる別途導電インキで該接地パターンを形成する場合の印刷方法としては、特に微細パターン再現精度は不要のため、凸状パターン層3と同様の印刷方法でも良いし、或はシルクスクリ−ン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の各種印刷方法によっても良い。
なお、線幅は、より高透明のものを得るために、より一層微細化することが求められている観点から、30μm以下、特に20μm以下とすることが好ましい。
また、凸状パターン層3の厚さは、その凸状パターン層3の抵抗値によっても異なるが、電磁波シールド性能と該凸状パターン層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
この凸状パターン層3は、導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物(導電性インキ或は導電性ペースト)を、WO2008/149969号公報に開示されている凹版印刷法によりプライマー層2上に形成することで得ることができる。
また、前記凸状パターン層の表面に安定して電解めっきにより金属層の形成が可能になるためには、該導電性組成物から成る凸状パターン層の表面抵抗率は低い程好ましい。具体的には、表面抵抗率が2Ω/□以下、となるよう構成することが好ましい。更に、前記凸状パターン層の表面に金属層を形成することなく、且つ電磁波シールドメッシュとして多用される線幅が25μm以下、線厚みが20μm以下の領域にて十分な電磁波シールド性を発現せしめるためには、該導電性組成物から成る凸状パターン層の表面抵抗率は、更に低い程好ましい。具体的には、表面抵抗率が1.2Ω/□以下、より好ましくは0.8Ω/□以下となるよう構成すると良い。該凸状パターン層の表面抵抗率を0.8Ω/□以下とするためには、後述の様に、該導電性粒子の材料として体積抵抗率の低い銀、金、銅等の金属を選択すること、該導電性粒子の平均粒子径を1μm以下とすること、該導電性粒子の粒子径を小粒子径粒子と大粒子径粒子との混合系にすること、該凸状パターン層の頂部における該導電性粒子の密度を密にすること、及び該凸状パターン層をプライマー層上に転写して以降、水分存在化且つ高温下にて処理する、或いは酸で処理することが有効である。これらのうち1乃至2以上の手段を併用すると良い。
導電性組成物自体の導電性を示す体積抵抗率は、印刷する形状により見かけの値が変化する。例えば、市販の導電ペーストをベタ形状(開口部がない形状)で形成した場合の体積抵抗率に比べ、下記の式で計算した、パターンで形成した場合の見かけの体積抵抗率は、形成するパターン形状を微細にするほど大きくなる。
(式):見かけの体積抵抗率〔Ω・cm〕=パターン部の表面抵抗率〔Ω/□〕×パターン部厚み〔cm〕×パターン占有率
・パターン部厚み:パターン形成部の厚み−パターン非形成部(開口部)の全厚み
・パターン占有率:単位面積のうち、パターン形成されている部分の面積の割合
例えば、市販の乾燥硬化型銀ペーストをベタ塗りし乾燥させた場合の体積抵抗率は、通常10−5〔Ω・cm〕以下のオーダーであるが、実際にメッシュパターン印刷すると、見かけの体積抵抗率は1桁以上高くなることが多い。これは銀粒子の充填率や粒子同士の接触の機会が低減することによる。例えば、同じパターン占有率であっても、線幅や厚みが導電性粒子の粒径に近くなるほど抵抗は増大する。ここで上記の各種手段を用いれば、この体積抵抗率上昇を抑えられる。特に、温度と湿度による処理(電気抵抗低減化処理)を行うことで、見掛けの体積抵抗率は該処理を行う前に比べて、80〜50%の値に低減する。
また、酸処理によっても、見掛けの体積抵抗率は該処理を行う前に比べて、80〜50%の値に低減する。
導電性組成物を構成する導電性粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子、或は芯材粒子としての高抵抗率金属粒子、樹脂粒子、無機粒子等の表面が金や銀などの低抵抗率金属で被覆された粒子、黒鉛粒子、導電性高分子粒子、導電性セラミックス粒子等を挙げることができる。
導電性粒子の形状は、正多面体状、截頭多面体状等の各種の多面体状、球状、回転楕円体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。特に、多面体状、球状、又は回転楕円体状が好ましい。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。
導電性粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、好ましくは、平均粒子径が0.01〜10μm程度のものを用いることができる。得られる凸状パターン層の電気抵抗を低く〔前記の如く、好ましくは、表面抵抗率(単に、表面抵抗とも略称)が0.8Ω/□以下〕して良好な電磁波シールド性を得るためには、平均粒子径は小さい方が好ましく、この観点からは平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。一般に「ナノ粒子」と呼ばれるような平均粒子径が数十nmと小さい粒子はコスト高につながり、また、結着用樹脂を入れると性能が低下し、インキとしての安定性も低下する。又、粒子径の分布については、得られる凸状パターンの電気抵抗を低くするためには、分布幅が狭く単一粒子径に近いよりも、図11(A)の如く、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系から成る方が良い。例えば、粒子径が0.01μm〜1μmの範囲の小粒子径粒子と粒子径5〜10μmの範囲の大粒子径粒子との混合系が好ましい。かかる混合系における両粒子の混合比は、小粒子径粒子数:大粒子径粒子数=1:9〜9:1、特に、小粒子径粒子数:大粒子径粒子数=5:5〜9:1の範囲が好ましい。当然のことながら、パターンの線幅や厚みよりも大きな粒子が混入すると、印刷時に抜けやスジなどの不良が多発するため、大粒子径粒子の平均サイズ、あるいは最大粒子径はパターン設計により変わってくる。また、異なる平均粒子径を持つ複数種類の粒子を混合する以外に、ある程度の粒度分布を持った粒子を最初から用いても良い。
該導電性粒子の粒子径を小粒子径粒子と大粒子径粒子との混合系にすると該導電性組成物(から成る凸状パターン層)の表面抵抗率が低下する理由としては、かかる系から成る凸状パターン層の断面を顕微鏡観察すると、大粒子径粒子の分布する間隙に小粒子径粒子が充填されて分布した形態が観察されることから推して、大粒子径粒子同士の接触が無い部分の間隙を、そこに介在する小粒子径粒子の接触によって補強し、導電性組成物内に分散する大小粒子相互の電気的接触面積の総和が増大するため(前記の式R=ρL/Sにおいて断面積Sが増加したことに相当)と考えられる。
また、該凸状パターン層内における該導電性粒子の分布は、所望の特性や製造適性に応じて各種形態を選択可能であるが、特に好ましい形態としては、図11(A)の如く、該凸状パターン層の頂部近傍(プライマー層から遠ざかる方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が小さく、粒子数密度、即ち単位体積当りの粒子数が高く(密に)なり、一方、該凸状パターン層の底部近傍(プライマー層に近付く方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が大きく、粒子数密度が低く(疎或いは粗)になる分布が挙げられる。
かかる分布形態の場合、該電磁波シールド材を含む複合フィルタを画像表示装置の画面に設置する際に、該凸状パターン層側を画像表示装置側に向け、該透明基材側を画像の観察者側に向けて使用する場合において、観察者側に対峙する該導電性粒子は、密度が粗のため、外来光(電燈光、日光等)を散乱させて、観察者の目に入る反射光、特に鏡面反射光を低減する。その結果、外来光存在下における画像の白化、周囲の風景の映り込みを防止し、画像コントラストの低下を防止することができ、好ましい。この効果をより一層有効に発現させるためには、該導電性粒子形状としては、鱗片状よりも、多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状を選択する方が、該凸状パターン層のプライマー層側表面に鏡面に近い面が形成され難いため、好ましい。又、該導電性粒子形状としては、鱗片状の物を採用する場合は、該凸状パターン層中の鱗片状導電性粒子の配向方向(例えば、該鱗片の一番広い面の法線方向として定義される)を乱雑(random)に分布するようにすると、鏡面反射が低減し、好ましい。尚、該導電性粒子形状が多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状の場合でも、その配向方向を乱雑化することは、鏡面反射光の低減の点では好ましい。
且つ、同時に、画像表示装置側に対峙する該導電性粒子は、緻密に集合し、各粒子間の電気的接触も良好になり、電気抵抗が下がり、電磁波シールド効果も高まる。尚、当然、かかる高密度に分布する導電性粒子は可視光線の反射率も高いが、該導電性粒子は画像観察者の目に触れない側(観察者と反対側)の面に位置するため、画像コントラスト等の低下の心配はない。また、該導電性粒子層が画像観察者側に位置するように設置して用いる場合は、必要に応じて、該凸状パターン層表面に、黒化処理などを施せばよい。
該凸状パターン層中における該導電性粒子の密度分布を制御し、図11(A)の如く、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該凸状パターンの頂部近傍において密である様にしたり、或いは該プライマー層近傍において粒子の配向方向が乱雑になり、且つ該凸状パターン層の頂部において平行乃至略平行に配向せしめるためには、例えば、凹版印刷法(図8参照)において、版面凹部内に充填された導電性組成物上面の凹み(図8(A)の符号6参照)に、透明基材上の流動状態のプライマー層を押圧する圧力を高めに設定すると共に、未硬化状態における該導電性組成物の粘度を低めに設定し、更に該導電性組成物を凹版凹部内で固化させずに、版面から離型後固化せしめることが有効である。その他、これら導電性粒子の密度分布や配向状態は、導電性組成物のバインンダー樹脂の種類、プライマー層の樹脂の種類、導電性粒子の材料と粒子径と粒子形状、バインダー樹脂と導電性粒子との配合比、及び該導電性組成物の塗工条件や固化条件等に依存する。現実には、これら導電性粒子の密度分布や配向状態に影響する各種条件から実験的に、求める導電性粒子の密度分布及び配向に合致する条件を決定することになる。
該導電性組成物中の導電性粒子の含有量は、導電性粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電性粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
導電性組成物を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。導電性ペーストとして用いる溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できるが、プライマー層2の安定硬化を阻害したり、硬化後のプライマー層を膨潤、白化、溶解させたりしないものが好ましい。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜充填剤や増粘剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、沈降防止剤などを添加してもよい。
〔電気抵抗低減化処理〕
本発明で用いられる電磁波シールド材を、(i)水分存在下、且つ比較的高温下にて処理するか、或いは(ii)酸に接触させることによって、該凸状パターン層の体積抵抗率が低下し、電磁波シールド性能が向上する。この現象は、特に導電性粒子が銀または銀を含む粒子である場合に観察され、以下、これを電気抵抗低減化処理とも呼称する。これはいわゆる焼成処理とは異なり、PETなど一般のフィルム基材にダメージを与えるような長時間の加熱処理ではなく、また低温焼成用印刷インキとして知られたナノサイズ粒子の分散液ではなく、樹脂等の結着材を含んだ一般的な性状の導電インキを使用可能である。
上記(i)の水分存在下での電気抵抗低減化処理においては、電磁波シールド材を水分と接触した状態の下で室温よりも高温状態に適宜時間放置するものである。水分存在下の条件としては、水蒸気を含む空気中への放置、或いは液体の水中への浸漬の何れでも良い。水蒸気を含む空気中への放置の場合、放置する空気(雰囲気)の相対湿度は70%RH以上、好ましくは85%RH以上とする。かかる高温状態の温度(水蒸気を含む空気中への放置の場合は雰囲気温度、水中浸漬の場合は水温)は摂氏30℃以上、好ましくは60℃以上である。但し、余り高温になると樹脂バインダーや透明基材の変質、変更を生じることになるため、通常の材料の場合、120℃以下とする。
処理時間は、図10に示すように、処理開始後48時間までは、表面抵抗値が時間の経過とともに低下するが、48時間以降は、ほぼ一定となるので、48時間程度とするのがよい。
かかる電気抵抗低減化処理によって、凸状パターン全体の表面抵抗率は処理前の80〜30%程度に減少する(見かけの体積抵抗率も同様に処理前の80〜30%程度となる)。
また、本発明において上記(ii)の酸による処理とは、電磁波シールド材を酸と接触させることによって、凸状パターン層の体積抵抗率を低下させる処理をいう。
本発明における酸とは、特に限定されず、種々の無機酸、有機酸から選択することができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸などが挙げられる。有機酸としては、酢酸、クエン酸、蓚酸酸、プロピオン酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。これらは、強酸であっても、弱酸であってもよい。好ましくは酢酸、塩酸、硫酸、およびその水溶液であり、より好ましくは塩酸、硫酸、およびその水溶液である。
酸による処理時間は数分以下で十分であり、処理時間をより長くしても、導電性の向上効果が高まらない場合や、導電性の向上効果が悪化する場合がある。酸による処理時間は、15秒〜60分であることが好ましく、より好ましくは15秒〜30分であり、さらに好ましくは15秒から2分であり、特に好ましくは15秒〜1分である。
酸の処理温度は、常温で十分である。高温で処理を行うと、酸の蒸気が発生して周辺の金属装置を劣化させる原因となったり、透明基材として熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、透明基材を白化させ、透明性を損ねる場合があるため、好ましくない。好ましい処理温度は40℃以下であり、より好ましくは30℃以下であり、さらに好ましくは25℃以下である。
酸で処理する方法は特に限定されず、例えば、酸や、酸の溶液の中に凸状パターン層を浸したり、酸や、酸の溶液を凸状パターン層上に塗布したり、酸や、酸の溶液の蒸気を凸状パターン層にあてたりする方法が用いられる。これらの中でも、酸の溶液の中に凸状パターン層を浸したり、酸や、酸の溶液を凸状パターン層上に塗布したりするなど、凸状パターン層と酸の液体を接触させる方法が、導電性向上効果に優れるため好ましい。すなわち、酸の処理条件としては、40℃以下の温度で、酸の溶液の中に凸状パターン層を浸したり、酸や、酸の溶液を凸状パターン層上に塗布したりすることが好ましい。
酸の溶液を用いる場合、酸の濃度は、好ましくは10mol/L以下であり、より好ましくは5mol/L以下であり、さらに好ましくは1mol/L以下である。酸の溶液の濃度が高いと、作業性が低下し、生産性が悪化する場合があったり、透明基材として熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、透明基材を白化させ、透明性を損ねる場合があるため、好ましくない。また、酸の濃度が低すぎる場合にも、酸による処理の効果が得られないため、好ましくは0.05mol/L以上、より好ましくは0.1mol/L以上であることが好ましい。
なお、酸の溶液を用いる場合は酸の残渣による悪影響が懸念されるため、処理後にすすぎ、乾燥工程が必要となる。温水や蒸気を用いる場合はすすぎ工程は省略できる。
かかる電気抵抗低減化処理によって、体積抵抗率が減少する理由は、現時点では未解明であるが、例えば導電性粒子として銀を用い、処理前後の銀粒子の状態変化をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察すると、銀の粒子形状変化、部分的な融着、粒子間距離の減少などが観察され、これらが体積抵抗率低減の直接の原因と推定される。
電気抵抗低減化処理によって、体積抵抗率が減少する理由について、考察すると、図11(A)は、銀粒子を用いた実施例2により得られた電気抵抗低減化未処理の凸状パターンの横断面のSEM写真であるが、銀粒子は粒子径の大小はあるが概ね独立しており、複数の粒子が連結(連接、或は連なるともいう)して一体化していることはない。一方、図11(B)は、80℃×90RH%で48時間処理した、実施例1の横断面のSEM写真であるが、複数の粒子が結合して連接した経路を形成しているのが観察され、その経路を結ぶと、図12の実折れ線で示される。複数の粒子の連結経路は、直線状、折線状、及び/又は曲線状で1側端部から他の側端部まで連結した経路が1本以上存在していることが、体積抵抗率低減の点から、特に望ましいと考えられる。
なお、後述する実施例3の酸による処理では、図14に示すように、連結部が1側端部から、他の側端部迄は、到達していないが、0.3Ω/□の体積抵抗率が達成されている。
このことから、複数の粒子が融合した連結(「クラスター」ともいう。)は、好ましくは、その長さが凸状パターンの線幅の1/2程度に連なった融合部(クラスター)があれば、必ずしも、その部位の断面写真では融合が確認できないが、1側端部から他の側端部まで連結した経路が他の断面の部位で存在している確率が高いと推測され、結果的に体積抵抗率の低減が達成できているものと考えられる。なお、電気抵抗低減化処理未実施のパターンをアルコールで払拭試験をすると表面抵抗値が増大するが、実施後のパターンではほとんど変化しないという現象が見られることからも、導電性粒子間の強固な結合が形成されていることが推定され、前述のようなクラスター形成を裏付けていると考えられる。
高温湿熱処理、あるいは酸との処理で粒子間の融合がなぜ起こり、体積抵抗率が低下するかについては、粒子表面が洗浄されることによる金属粒子同士の金属拡散の促進、水分あるいは酸による樹脂バインダーの収縮、溶媒成分の減少、或は一旦溶解した金属が隣接する複数個の粒子表面間を包絡し、或は各粒子間の隙間を充填するような形態で再度固体化することなども考えられるが、真の理由は未だ確認できていない。
なお、図10に示すように、80℃で単に熱処理しただけでは、体積抵抗率は低減しないことが確認されている。また、酸処理した後に十分な乾燥をしないと抵抗率の減少率が小さいことも確認されている。
〔凸状パターン層とプライマー層の界面の断面形態〕
本発明における導電性組成物からなる凸状パターン層3とプライマー層2の界面は、図9(A)〜(C)に示すような3つの態様の断面形態をとり得るものであり、凸状パターン層3とプライマー層2との界面が、(a)プライマー層2と凸状パターン層3との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態(以下、「第1態様」という)、(b)プライマー層2を構成する成分と凸状パターン層3を構成する成分とが混合している層を有する断面形態(以下、「第2態様」という)、及び、(c)凸状パターン層3を構成する導電性組成物中にプライマー層2に含まれる成分が存在している断面形態(以下、「第3態様」という、また、断面形態を「界面形態」ともいう。)が密着性、導電性組成物の転移性の点で好ましい結果を与えている。
界面形態の第1態様は、図9(A)に示すように、プライマー層2と凸状パターン層3との界面16が、プライマー層2側と凸状パターン層3側とに交互に非直線状に入り組んだ形態である。
なお、この界面形態の第1態様において、入り組んだ界面は、全体としては中央が高い山型の断面形態となっている。
こうした界面形態の第1態様は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に凸状パターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面16が入り組んだ形態になっているので、所謂投錨効果により、プライマー層2と凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第2態様は、図9(B)に示すように、プライマー層2と凸状パターン層3との界面16の近傍に、プライマー層に含まれるプライマー成分と、凸状パターン層を構成する成分とが混合する領域21が存在している形態である。図9(B)では界面が明確に現れているが、実際には、明瞭でない曖昧な界面が現れる。また、図9(B)では混合領域21は、界面16を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層中のプライマー成分と凸状パターン層3中の任意の成分とが両層内に相互に侵入する場合である。なお、混合領域21は界面16の上側(透明基材とは反対側)に存在しても下側(透明基材側)に存在してもよい。
こうした界面形態の第2態様は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に凸状パターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面16近傍に混合領域21を有するので、プライマー層2と凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第3態様は、図9(C)示すように、凸状パターン層3中に広く、プライマー層2に含まれるプライマー成分31が存在している形態である。図9(C)ではプライマー成分31が界面16付近で多く、頂部に向かって少なくなった態様を模式的に表しているが、こうした態様には特に限定されない。プライマー成分31は、凸状パターン層3の頂部から検出される程度に凸状パターン層3内に侵入していてもよいし、主として界面近傍で検出される程度であってもよい。なお、第3態様において、特に、プライマー成分31が凸状パターン層内に存在している領域が界面16の近傍に局在化している場合が、上記第2態様において混合領域が界面16の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
こうした界面形態の第3態様も上記第1及び第2形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に凸状パターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のようにプライマー成分31が凸状パターン層3に侵入しているので、プライマー層2と凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
本発明における導電性組成物からなる凸状パターン層3とプライマー層2の界面16は、上記の第1〜第3態様の界面形態の特徴を少なくとも1つ有しているが、それらの特徴を2つ以上有していてもよく、3つの全てを有していてもよい。
〔金属層〕
本発明に用いられる電磁波シールド材は、導電性組成物からなる凸状パターン層3のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上せしめるために、金属層を、必要に応じ形成することができ、凸状パターン層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては電解めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電解めっきの場合、凸状パターン層3への給電は凸状パターン層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、凸状パターン層3が電解めっき可能な程度の導電性(例えば、100Ω/□以下)を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。金属層を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。
金属層は凸状パターン層3に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、凸状パターン層単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電性材料の量を減らせるという利点がある。
なお、金属層を形成した後においては、必要に応じて、その金属層を黒化処理したり、保護層を設けてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できるが必ずしもこれらの処理に限定されない。また、保護層は、平坦化層とは別に凸状パターン層の凹凸を充填、表面平坦化はせずに、単に凸状パターン層表面を被覆し保護する層である。例えばアクリル系の光硬化性樹脂を用いて形成することができる。凸状パターン層や金属層に使用する金属が銅などの錆びやすい金属の場合には防錆処理を行うことが好ましく、クロメート処理剤等の一般的な防錆剤を使用でき、また防錆処理は黒化処理や保護層形成と兼ねてもよい。
2.近赤外線吸収層
本発明の近赤外線吸収層は、近赤外線吸収機能を有する層であり、近赤外線吸収剤、及び樹脂を含有し、更に他の成分を含有しても良いものである。
該近赤外線吸収層は、前記電磁波シールド材の透明基材側の面及び/又は該透明基材とは反対側の面に直接又は他の機能層を介して積層される。
以下に、近赤外線吸収層に含まれる各成分について説明する。
(樹脂)
近赤外線吸収層に含まれる樹脂は、近赤外線吸収剤を均一に分散し、且つ近赤外線吸収層に成膜性を与えるバインダー樹脂として機能する。樹脂は、成膜性と透明性を実現するものであれば特に限定されることなく、近赤外線吸収層と隣接する層構成によって適宜選択して用いることができる。近赤外線吸収層としての透明性は、高いほどよい。用いられる樹脂で膜を形成したときに、可視光域380〜780nmにおける光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が得られるような樹脂及び膜厚で用いられることが好ましい。
樹脂としては、それ自体は重合反応性のない非重合性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂等の重合反応性樹脂のいずれを用いても良い。
非重合性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、珪素系樹脂、ポリカーボネート樹脂あるいはポリエステル系樹脂等を用いることができるが、中でも(メタ)アクリル系樹脂が透明性に優れるため、特に好ましい。ここで、(メタ)アクリル系樹脂とは、アクリル系樹脂及び/又はメタクリル系樹脂をいう。以下同様の略称表記法を用いる。
上記アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸及びこれらの誘導体の(メタ)アクリル系単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体である。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸sec‐プロピル、(メタ)アクリル酸n‐ブチル、(メタ)アクリル酸sec‐ブチル、(メタ)アクリル酸tert‐ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n‐ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n‐オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2‐エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
電離放射線硬化性樹脂としては、上記非重合性樹脂の化学骨格に、重合性官能基として、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性二重結合含有基で代表されるラジカル重合性不飽和基、或いはエポキシ基等のカチオン重合性官能基を導入した樹脂や、上記重合性官能基を1分子あたり2つ以上有する多官能のモノマー又はオリゴマー(プレポリマーともいう)を混合した組成物が用いられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートオリゴマー、不飽和ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
カチオン重合性オリゴマーとしては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂オリゴマー、ビスフェノール型エポキシ樹脂オリゴマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂オリゴマー等が挙げられる。
多官能のモノマー又はオリゴマーのうち、ラジカル重合性モノマーの例を挙げると、2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)クリレート、ペンタエリスリトールトリ(アク)リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)クリレート等の3価以上の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
4官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)クリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)クリレート等を挙げることができる。
又、カチオン重合性モノマーとしては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
電離放射線として紫外線、或いは可視光線を用いる場合には光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はオリゴマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、また、カチオン重合系のモノマー又はオリゴマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はオリゴマーからなる組成物100重量部に対して0.1〜5重量部程度添加する。
尚、電離放射線としては、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
また、熱硬化性樹脂としては、上記非重合性樹脂の化学骨格に、グリシジル基等のエポキシ含有基、或いは上記ラジカル重合性不飽和基を導入した熱硬化性樹脂や、上記非重合性樹脂に、エポキシ含有基、或いは上記ラジカル重合性不飽和基を1分子あたり2つ以上有する多官能のエポキシ樹脂を混合した組成物が用いられる。或いは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物から成る主剤と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物とから成る硬化剤とを反応させてなる所謂2液硬化型ウレタン樹脂を用いることもできる。
上記樹脂の総配合量は、近赤外線吸収層全体の固形分に対して40〜99重量%、更に50〜98重量%であることが好ましい。
該近赤外線吸収層は、前記電磁波シールド材の透明基材と後述する機能層を接着するための粘着剤層として機能させることもできる。
粘着剤とは、接着剤の1種をいい、接着剤のうち、接着の際には室温下で単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤の接着力発現には、通常特に、加熱、加湿、放射線(紫外線や電子線等)照射といった物理的なエネルギー乃至作用が不要で、且つ重合反応等の化学反応も不要である。又、粘着剤は、接着後も再剥離可能な程度の接着力を経時的に維持し得るものである。本発明においては、公知の粘着剤として慣用されているものの中から、適度な粘着性(接着力)、透明性、分散性、塗工適性を有し、複合フィルタの透過スペクトルを実質的に変化させることの無いものを適宜選択して用いることができる。
粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系(以後、アクリル系とも略称)、ポリビニルエーテル系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好適に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含んで重合させたものである。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体や、炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの2種以上を用いた共重合体であるのが一般的である。
ここで使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸sec−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル系粘着剤中に30〜99.5重量部の量で共重合されていることが好ましい。
また、アクリル系粘着剤を形成するカルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノブチル及びβ−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を含有するモノマーを挙げることができる。
アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、商品名:TU−41A(巴川製紙所製)、商品名:No.591、No.5915、No.5919M、CS9621、LA−50、LA−100、HJ−9210、No.595B(日東電工(株)製)、商品名:SKダインSK2094、SK1811L、SK1850(綜研化学株式会社製)、BPS6212、BPS6271(東洋インキ製造株式会社製)等が粘着力の点から好適に用いられる。
(近赤外線吸収剤)
本発明に用いられる近赤外線吸収剤としては、800〜1100nmの波長を吸収できるものであるならば、任意の化合物の中から選択することができる。中でも、800nm〜1100nmの波長領域を吸収し、且つ可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長領域では吸収が少なくて十分な光線透過率を有する近赤外線吸収剤が好ましい。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤としては、例えば、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類、特開2007−163644号公報に開示されているベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体等の有機系近赤外線吸収剤、及び特開2006−154516号公報に開示されている複合タングステン酸化物、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化タングステン、酸化インジウム錫(ITO)等の無機系近赤外線吸収剤などが挙げられる。該近赤外線吸収剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、ここで「系化合物」とは、例えばアントラキノン系化合物の場合、アントラキノン誘導体をいう。
また、上記近赤外線吸収剤は、用いられる樹脂の種類によって適宜選択する。例えば、樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合、該近赤外線吸収剤としては、複合タングステン酸化物等の無機系近赤外線吸収剤を好適に用いることができる。
また、近赤外線吸収剤の含有量は、特に限定されないが、近赤外線吸収層中に、0.1〜10重量%含まれることが好ましい。含有量が0.1重量%より多ければ、十分な近赤外線吸収機能を発現でき、10重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
また近年、PDPの消費電力を削減するために、プラズマ放電による発光を抑える傾向にある。そのため、PDPの前面側に設けられる複合フィルタ(近赤外線吸収フィルタ)は、より可視光透過率が高いものが求められている。このような観点から、該近赤外線吸収剤として、下記化学式(1)で表わされるベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体が好ましい。
(化学式(1)中、Mは、遷移金属原子を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、−SO−Q基を表し、Qは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基、モルフォリノ基を表す。a及びbは、1〜4の整数を表す。)
Mで表される遷移金属原子の具体例としては、ニッケル原子、銅原子、コバルト原子等
が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−ステアリルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,4−ジクミルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基等が挙げられる。
また、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール基としては、上述の炭素数6〜30のアリール基、または該アリール基のベンゼン環が1〜4個のハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。
ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基に含まれるアルキル基、アリール基としては、上述の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。
上記シアニン系色素カチオンは、特に限定されず、相当するシアニン系色素から誘導される。
また、シアニン系色素の市販品としては、例えば、商品名:S0813、S0889、S0941、S0946、S0824(エフ・イー・ダブリュ ケミカルズ社製)、商品名:ST798(シイベル社製)等を挙げることができる。これらのシアニン系色素から誘導されるシアニン系色素カチオンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体の合成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、特開2006−291183号公報や特開2007−163644号公報に開示されている方法と同様の方法で合成することができる。
また、上記ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体の一部は市販品として入手可能であり、例えば、SD50−E04N、SD50−05N、SD51−J10N(住友精化株式会社製)等が挙げられる。
また、粘着剤中に上記近赤外線吸収剤としてジイモニウム系化合物を含有させると、該ジイモニウム系化合物が劣化するという問題がある。これに対して、該ジイモニウム系化合物と共に層状粘度鉱物を併用することにより、該ジイモニウム系化合物の劣化を抑制することができ、可視光透過率を高めることができる。
ジイモニウム系化合物としては、具体的には下記化学式(2)で表されるジイモニウム化合物が挙げられる。
(化学式(2)中、R〜R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、又はアルキニル基を表し、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R11〜R14は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R〜R14で置換基を結合できるものは置換基を有しても良い。X-は陰イオンを表す。)
前記式(2)中のR〜R10の具体例として、置換基を有していても良いアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。これらの中でもiso−プロピル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基などの分岐鎖状アルキル基であることが、化合物の熱分解点を上昇させ、耐久性を向上させる点から好ましい。R〜R10の少なくとも一つが分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、R〜R10の全てが分岐鎖状アルキル基であることがより好ましい。
また、R11〜R14としては、水素、フッ素、塩素、臭素、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
は、無機の1価陰イオンとして、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン等が挙げられる。また、Xは有機酸の1価陰イオンとして、例えば、酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン等が挙げられ、更に、ビスクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスジクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビストリクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスフルオロスルホニルイミド酸イオン、ビスジフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド酸イオン、等のスルホニルイミド酸イオンが挙げられる。中でも、スルホニルイミド酸イオンが、強い電子吸引性によってイオン性化合物であるジイモニウム化合物を安定化し、結果として耐久性を向上させる点から好ましい。この中でも特にビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオンが好ましい。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。
これらジイモニウム化合物の一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬社製、KayasorbIRG−022、IRG−068等を好適に用いることができる。
本発明で用いられる層状粘度鉱物は、膨潤性層状ケイ酸塩の層間に第四級アンモニウムイオンなどが導入され親油化処理を施された粘土鉱物であって、膨潤性層状ケイ酸塩としてはスメクタイト系粘土を好適に用いることが出来る。例えば、スメクタイト系粘土としては、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、ノントロナイト又はベントナイト等の天然または化学的に合成したもの、又はこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物をあげることができる。
上記スメクタイト系粘土としては市販されているものを使用することもでき、例えば、ルーセンタイトSTN、STN−A、SPN、SEN、SAN、SAN2C、SAN210、STF、SSN、SSN−A、SAN312−A、SAN2C−A、SAN210−A(親油性スメクタイト:コープケミカル社製)、クニピアT、クニピアD−36(モンモリロナイト;クニミネ工業社製)、エスベンN−400、エスベンN−400FP(モンモリロナイト:ホージュン社製)、ベントン(東新化成社製)等が挙げられる。中でも不純物を除去するために精製したSTN−A、SSN−A、SAN312−A、SAN2C及びSAN210が、色素化合物と混合した場合に凝集しにくいので好ましい。
該層状粘度鉱物は、該近赤外線吸収剤100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で粘着剤層中に含まれることが好ましい。
尚、樹脂として粘着剤を用いる場合、上記層状粘度鉱物は、上記ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体と併用してもよい。
(その他の成分)
近赤外線吸収層に更に含まれていても良いその他の成分としては、ネオン光吸収剤、色補正色素が挙げられる。これらの成分は公知のものを適宜選択すればよい。
また、近赤外線吸収層には、所望に応じて、イソシアネート化合物等の架橋剤、粘着付与剤等が含まれていても良い。
3.機能層
本発明に係る複合フィルタは、前記電磁波シールド材の透明基材側の面及び/又は該透明基材とは反対側の面に設けられた前記近赤外線吸収層の表面、或いは、該電磁波シールド材と該近赤外線吸収層の間に機能層が設けられていてもよい。
本発明に用いられる機能層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば、ネオン光吸収層、調色層、紫外線吸収層、反射防止層、及び防眩層等の光学機能層、耐衝撃層、帯電防止層、ハードコート層、及び防汚層等の機能層を挙げることができる。
該機能層は単層で機能を発現するようにしても良く、複数の層で機能を発現するようにしても良い。単層の場合の例としてはハードコート機能、平坦化機能、ネオン光吸収機能、紫外線吸収機能、調色機能、反射防止機能、防眩機能、耐衝撃機能、帯電防止機能、防汚機能などの1つあるいは複数の機能を発現させてもよく、複数層の場合は例えば平坦化層+反射防止層、密着層+ハードコート層などといった機能分担をさせることが可能である。
塗布形成する機能層が耐擦傷機能(ハードコート)層である場合は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と前述の透明(樹脂)基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂の例としては、前記プライマー層の材料の記載箇所に例示されているのでここでは省略する。
以上、各構成部材を例示して説明したが、本発明に係る複合フィルタは、可視光領域、即ち、380〜780nmの波長域で、充分な光線透過率、すなわち平均光透過率25%以上、更に35%以上、を有することが望ましい。
なお、本発明における光透過率は、JIS−Z8701に準拠して分光光度計(例えば、品番:UV−3100PC、会社名:株式会社島津製作所)にて測定することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(1)近赤外線吸収層用組成物(粘着剤層用組成物B1)
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤「オリバイン」BPS6271:商品名、固形分27%、東洋インキ(株)製)、及び硬化剤(BXX5627:商品名、東洋インキ製造(株)製)に、近赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物(IR12:商品名、日本触媒(株)製)0.05重量%、フタロシアニン系化合物(IR14:商品名、日本触媒(株)製)0.02重量%、及びジインモニウム系化合物(IRG−068:商品名、日本触媒(株)製)0.03重量%をそれぞれ配合した。更に、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株))を0.01重量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社製)を4重量%、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2重量%、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製)を0.1重量%及び、層状粘土鉱物として、クニピアD36(クニミネ工業(株)製)を0.05重量%配合した。上記混合物を十分攪拌させて粘着剤層用組成物B1を作製した。該粘着剤層用組成物B1を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に38μm離型フィルムをラミネートし、該粘着剤層用組成物B1を離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムB1を作製した。
(2)近赤外線吸収層用組成物(粘着剤層用組成物B2)
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤「オリバイン」BPS6271:商品名、固形分27%、東洋インキ(株)製)及び硬化剤(BXX5627:商品名、東洋インキ製造(株)製)に、近赤外線吸収剤として、ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体(SD51−J10N:商品名、住友精化株式会社製)を0.03重量%、更に、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株))を0.01重量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4重量%、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2重量%、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製)を0.15重量%及び、層状粘土鉱物として、クニピアD36(クニミネ工業(株)製)を0.05重量%配合した。上記混合物を十分攪拌させて粘着剤層用組成物B2を作製した。該粘着剤層用組成物B2を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に38μm離型フィルムをラミネートし、該粘着剤層用組成物B2を離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムB2を作製した。
(3)近赤外線吸収層用組成物(粘着剤層用組成物B3)
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤SKダインSK2094:商品名、固形分25%、綜研科学(株)製)及び硬化剤(E−5XM:商品名、綜研科学製)に、近赤外線吸収剤として、セシウム酸化タングステンCs0.33WO粒子分散液(YMF−02:商品名、(20重量%<セシウム酸化タングステン含有量>)住友金属鉱山(株)製)を10重量%、更に、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株)))を0.01重量%、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4重量%、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2重量%、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製)を0.15重量%配合した。上記混合物を十分攪拌させて粘着剤層用組成物B3を作製した。該粘着剤層用組成物B3を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に38μm離型フィルムをラミネートし、該粘着剤層用組成物B3を離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムB3を作製した。
(4)近赤外線吸収層用組成物(粘着剤層用組成物B4)
アクリル系粘着剤(感圧性粘着剤「オリバイン」BPS6212:商品名、固形分27%、東洋インキ(株)製)に、1,2,3−ベンゾトリアゾール(東京化成製)0.1重量%、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製を数種)0.15重量%、ネオン光吸収色素(TAP2:商品名、山田化学(株))0.01重量%、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)4重量%、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)2重量%を添加し、混合した。上記混合物を十分攪拌させて粘着剤層用組成物B4を作製した。該粘着剤層用組成物B4を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に38μm離型フィルムをラミネートし、近赤外線吸収剤を含まない粘着剤層用組成物B4を離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムB4を作製した。
(5)近赤外線吸収層用組成物C1
アクリル系樹脂(BR−52:商品名、三菱レイヨン(株)製)を、MEKとトルエンの重量比1:1の混合溶液に溶解し、30重量%溶液を作製した。上記溶液に、近赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物(IR12:商品名、日本触媒(株)製)0.1重量%、フタロシアニン系化合物(IR14:商品名、日本触媒(株)製)0.05重量%、及びジインモニウム系化合物(IRG−068:商品名、日本触媒(株)製)0.03重量%をそれぞれ配合した。更に、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株))を0.01重量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4重量%、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2重量%、調色色素(KAYASET;日本化薬(株)製)を0.15重量%配合し、近赤外線吸収層用組成物C1を作製した。機能性材料の基材の一面側に乾燥膜厚が10μmになるように塗工した。
(6)近赤外線吸収層用組成物C2
アクリル系樹脂(BR−52:商品名、三菱レイヨン(株)製)を、MEKとトルエンの重量比1:1の混合溶液に溶解し、30重量%溶液を作製した。上記溶液に、ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体(SD51−J10N:商品名、住友精化株式会社製)を0.03重量%配合した。更に、ネオン光吸収化合物(TAP2:商品名、山田化学(株))を0.01重量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4重量%、光安定剤として、TINUVINN144(チバスぺシャルティケミカル製)を2重量%、調色色素として、KAYASET(日本化薬(株)製)を0.15重量%配合し、近赤外線吸収層用組成物C2を作製した。機能性材料の基材の一面側に乾燥膜厚が10μmになるように塗工した。
(実施例1)
(1)電磁波シールド材の製造
図15は、導電性組成物をプライマー層上に転写する転写工程を実施する装置の概略構成図であるが、これを用いて、電磁波シールド材の製造工程を説明する。
先ず、凹版ロール62として、線幅が18μmで線ピッチが270μmで格子状のメッシュパターンであり、目標の版深10μmであるグラビア版胴を準備した。
次いで、透明基材10として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレー卜(PET)フィルムを用いた。また、離型剤としてステアリン酸エステル1質量%を添加したウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂組成物を用意した。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、斜線版のグラビアリバース方式で、該紫外線硬化性樹脂組成物を該PETフィルムの易接着処理面に厚み14μmにコーティングし、透明基材を準備した。
図15に示す装置により電磁波シールド材を製造した。先ず、版パターンが線幅18μm、ピッチ270μm、版深10μmである上記グラビア版ロール62を用い、充填容器68に満たされた導電性材料15である銀ペーストインキ(略球形状から成り、粒子径0.1〜0.5μmの粒子と粒子径1〜3μmの粒子との混合系で平均粒子径1μmの銀粒子93質量部をアクリル系バインダー樹脂中4質量部に分散)をピックアップロール61により版部にコーティングし、余剰インキをドクターブレード65により掻き取った版面63と、プライマー層が形成された透明基材(PETフィルム)のプライマー層側とをニップロール66で圧着し、引続き紫外線照射ゾーン(図示は略すが、図15で「UVゾーン」と示す部位の凹版ロール62の上方に存在)間を走行する間に、プライマー層の紫外線硬化樹脂を硬化させた後、ニップロール67を介して、版面63から離版させて、PETフィルム上にプライマー層を介して上記版胴表面の版パターンを転写させてメッシュ形状の凸状パターン層3となし、電磁波シールド材を製造した。なお、透明基材はエンドレスのロールのものを用い、印刷速度10m/minでロール・トゥ・ロール方式にて印刷した。
次いで、印刷後、該電磁波シールド材を、気温80℃、相対湿度90%の雰囲気中で48時間放置して、電気抵抗低減化処理を行った後、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中に取り出した。
転移した該凸状パターンには断線等の転移欠点が認められなかった。印刷された該凸状パターンの厚み(メッシュ非形成部のプライマー層を基準にして測定)は9μmであり、版深と印刷厚みの比で計算した転移率は、(メッシュパターン厚み9μm/版深10μm)×100=90%であったが、実際には銀ペーストインキの溶剤乾燥による体積収縮があるため、ほぼ100%に近い転移がなされていると推定される。
また、該プライマー層2と該凸状パターン層3との界面の形態は、図9(A)の如く非直線状に交互に入り組んだ構造を有していた。かかる入り組み構造を電子顕微鏡で拡大撮影して観察した結果、凸状パターン層中の導電性粒子(銀粒子)がプライマー層2との界面において上下に不規則に乱雑分布して該界面を構成することが認められた。該導電性粒子の分布は、該凸状パターン層の頂部に行くほど密になり、逆にプライマー層側に行くほど粗になる様な粗密で分布していることが認められた。
更に、図9(B)の如く界面近傍に、両層の成分が混合した混合領域も認められた。
次いで、得られた電磁波シールド材の該凸状パターン層の表面(電気)抵抗を測定した。
測定は、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中で実施した。表面抵抗率は0.45Ω/□であった。
(2)複合フィルタの製造
次いで、前記電磁波シールド材の透明基材とは反対側の面(凸状パターン層側の面)に、UV硬化樹脂ビームセット575(荒川科学工業製)を厚さ5μmとなるよう塗工した。該電磁波シールド材の透明基材側の面と、ガラス板の一方の面とを向かい合わせて、前記粘着剤層用組成物B1を介して貼り合わせ、実施例1の複合フィルタを製造した。
(実施例2)
(1)電磁波シールド材の製造
実施例1において、電気抵抗低減化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電磁波シールド材を得た。
尚、表面抵抗率を上記同様の条件、方法にて測定したところ、1.0Ω/□であった。
(2)複合フィルタの製造
次いで、前記電磁波シールド材の透明基材とは反対側の面(凸状パターン層側の面)に、UV硬化樹脂ビームセット575(荒川科学工業製)を厚さ5μmとなるよう塗工した。該電磁波シールド材の透明基材側の面と、ガラス板の一方の面とを向かい合わせて、前記粘着剤層用組成物B1を介して貼り合わせ、実施例2の複合フィルタを製造した。
(実施例3)
(1)電磁波シールド材の製造
先ず、凹版ロール62として線幅が17μmで線ピッチが270μm、版深12μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成されたグラビア版胴を準備した。
透明基材10として実施例1と同一の片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を硬化後に厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用し、光硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレート35質量部、ウレタンアクリレート12質量部、単官能モノマー44質量部、3官能モノマー9質量部、離型剤としてステアリン酸エステル1質量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)3質量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300cps(at25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなく、プライマー層の塗布厚みが約20μmであるものを、プライマー層が形成された透明基材として準備した。
実施例1と同様に図15に示す装置により電磁波シールド材を製造した。先ず版パターンが、線幅が17μmで線ピッチが270μm、版深12μmである上記グラビア版ロール62を用い、充填容器68に満たされた導電性材料15である銀ペーストインキ(導電性粉末として平均粒径約1μmの銀粉末、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル系樹脂からなり、固形分約88.5%の導電性材料組成物)をピックアップロール61により版部にコーティングし、余剰インキをドクターブレード65により掻き取った版面63と、プライマー層が形成された透明基材(PETフィルム)のプライマー層側とをニップロール66で圧着し、凹版ロールに対するニップロールの押圧力によって、導電性材料組成物とプライマー層とを隙間なく密着させた。
次いで行われる転移工程は以下の通りである。先ず、プライマー層が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層が凹版ロールの版面側に対向した状態で、凹版ロールとニップロールとの間に挟む。その凹版ロールとニップロールとの間でPETフィルムのプライマー層は版面に押し付けられる。プライマー層は流動性を有しているので、版面に押し付けられたプライマー層は、導電性材料組成物が充填した凹部内にも流入し、プライマー層は導電性材料組成物に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロールが回転して図外のUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層が硬化する。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の導電性材料組成物はプライマー層と密着し、その後、出口側のニップロール67によってフィルムが凹版ロール62から剥離され、プライマー層上には導電性材料組成物層が転移形成される。
このようにして得られた転移フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させ、プライマー層上にメッシュパターンからなる導電層を形成した。このときの導電層の厚さ(導電層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は約10μmであり、線幅は17μmで、版の凹部内の銀ペーストの転移率は、(メッシュパターン厚み10μm/版深12μm)×100=83.3%であった。また、断線や形状不良も見られなかった。
〔電気抵抗低減処理〕
得られたメッシュパターンを80℃90%RHの湿熱環境に48時間静置したところ、表面抵抗が1Ω/□から0.5Ω/□に低減し、以後、表面抵抗値は0.5Ω/□に保持された。
また、集束イオンビーム/走査電子顕微鏡(FIB−SEM)により湿熱処理後のメッシュの断面観察を行ったところ、図11(A)に示すように湿熱環境静置前には銀粒子はほぼ独立粒子状であったが、湿熱環境静置後には、同図(B)に示すように複数個の粒子が融合して連なったものが観察された。融合した経路の長さは、図12の折れ線部の総和が14.1μmであり、線幅と略同一であった。
(2)複合フィルタの製造
次いで、前記電磁波シールド材の透明基材とは反対側の面(凸状パターン層側の面)に、UV硬化樹脂ビームセット575(荒川科学工業製)を厚さ5μmとなるよう塗工した。該電磁波シールド材の透明基材側の面と、ガラス板の一方の面とを向かい合わせて、前記粘着剤層用組成物B1を介して貼り合わせ、実施例3の複合フィルタを製造した。
(実施例4)
(1)電磁波シールド材の製造
実施例3において、得られた未処理のメッシュを希塩酸〔0.12mol/L〕で1分間処理し、水洗・乾燥したところ、表面抵抗が0.3Ω/□に低減した。
図13は、希塩酸処理後の断面写真であるが、実施例3の湿熱環境静置処理の場合とは、若干異なる粒子の融合状態が観察され、図14は、図13における複数個の粒子が融合して連なった経路を示しており、略中央下半部の折れ線状の融合した経路の長さは、10.6μmであり、線幅約14.1μmの1/2以上の長さを有していた。
(2)複合フィルタの製造
次いで、前記電磁波シールド材の透明基材とは反対側の面(凸状パターン層側の面)に、UV硬化樹脂ビームセット575(荒川科学工業製)を厚さ5μmとなるよう塗工した。該電磁波シールド材の透明基材側の面と、ガラス板の一方の面とを向かい合わせて、前記粘着剤層用組成物B1を介して貼り合わせ、実施例4の複合フィルタを製造した。
(実施例5)
前記実施例1で製造した電磁波シールド材を用い、該電磁波シールド材の透明基材側の面に、前記近赤外線吸収層用組成物C1を塗工し、更に、該近赤外線吸収層用組成物C1上にUVカット機能を有する前記粘着剤層用組成物B4を介してガラス板の一面を貼り合わせ、実施例5の複合フィルタを製造した。
(実施例6)
前記実施例5の近赤外線吸収層用組成物C1の代わりに近赤外線吸収層用組成物C2を用いた以外は実施例5と同様にして実施例6の複合フィルタを製造した。
(実施例7)
前記実施例1の粘着剤層用組成物B1の代わりに粘着剤層用組成物B2を用いた以外は実施例1と同様にして実施例7の複合フィルタを製造した。
(実施例8)
前記実施例1の粘着剤層用組成物B1の代わりに粘着剤層用組成物B3を用いた以外は実施例1と同様にして実施例8の複合フィルタを製造した。
(実施例9)
前記実施例1において、電磁波シールド材の透明基材とは反対側の面(凸状パターン層側の面)に、UV硬化樹脂ビームセット575(荒川科学工業製)に近赤外線吸収剤として、セシウム酸化タングステンCs0.33WO粒子分散液(YMF−02:商品名、(20重量%)住友金属鉱山(株)製)を、樹脂固形分に対して40重量%添加した近赤外線吸収層用組成物を厚さ5μmとなるよう塗工した。次いで、該電磁波シールド材の透明基材側の面と、ガラス板の一方の面とを向かい合わせて、前記粘着剤層用組成物B4を介して貼り合わせ、実施例9の複合フィルタを製造した。
(結果のまとめ)
実施例1〜9のいずれも、可視光線透過率は40%以上となり、850〜1000nmの透過率は20%以下となった。また、80℃及び60℃95%RHの環境試験機にて1000時間後の耐久性試験より、色味の変化量Δx及びΔyは0.01以下となり、色変化の少ない複合フィルタが得られた。
1 複合フィルタ
2 プライマー層
3 凸状パターン層
4 金属層
6 凹み
7 電磁波シールドパターン部
8 接地部
9 保護層
10 透明基材
11 電磁波シールド材
12 近赤外線吸収層
13 機能層
14 粘着剤層
15 導電性材料
16 界面
61 ピックアップロール
62 凹版ロール
63 版面
65 ドクターブレード
66 ニップロール
67 ニップロール
68 充填容器
A 導電性材料層が形成されている部分
TA Aの厚さ
B 導電性材料層が形成されていない部分
TB Bの厚さ

Claims (3)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなる凸状パターン層を有する電磁波シールド材、及び近赤外線吸収層を含む複合フィルタであって、
    前記近赤外線吸収層が前記電磁波シールド材の透明基材側の面及び/又は該透明基材とは反対側の面に直接又は他の機能層を介して積層されており、且つ、
    前記導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含んで成り、前記凸状パターン層中の該導電性粒子の分布は、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該凸状パターン層の頂部近傍において密であることを特徴とする、複合フィルタ。
  2. 前記近赤外線吸収層が、下記化学式(1)で表わされるベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体を含有するか、且つ/又はジイモニウム系化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の複合フィルタ。
    (化学式(1)中、Mは、遷移金属原子を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、−SO−Q基を表し、Qは、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基、モルフォリノ基を表す。a及びbは、1〜4の整数を表す。)
  3. 前記近赤外線吸収層が、更に層状粘度鉱物を含有することを特徴とする、請求項2に記載の複合フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016103510A1 (ja) * 2014-12-26 2016-06-30 日本テクノリード株式会社 透明基板上にパターニングされた導電性高分子層を有する積層基板の製造方法及びメタルメッシュ基板の製造方法
CN106057287A (zh) * 2016-05-13 2016-10-26 天诺光电材料股份有限公司 宽频屏蔽透明导电材料
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