本発明の目的は、この問題を克服し、鞍型タンクのための改善された液位測定装置を提供することである。
この目的及び他の目的は、以下の記載から明らかになるが、添付の特許請求の範囲による、鞍型タンク内の液体の液位の補償測定を行う装置、及びそれに対応する方法によって達成される。
本発明の一つの観点によれば、鞍型タンク内の液体の液位の音響補償測定を行う装置であって、鞍型タンクは、第1の領域と、第2の領域と、両領域の間で液体を移動させる搬送管を備えたエゼクタ・システムとを有する、装置において、音響信号を送受信する変換器アセンブリと、変換器アセンブリに接続されており、鞍型タンクの一方の領域内に延在するように構成された導波管と、作動中に液位よりも上方に位置する導波管の一部分に沿って、エゼクタ・システムの搬送管からの流体の流れを誘導する手段とを含むことを特徴とする装置が提供される。
鞍型タンク内には、通常、鞍型タンクの両領域間で液体を移動させる搬送管を備えたエゼクタ・システムが設けられている。本発明は、この搬送管内の流体の流れを都合良く補償目的に利用することができるという理解に基づいている。導波管に沿った流体の流れが導波管の全体にわたり状態を均一化し、それにより、より正確な測定が可能になる。
変換器アセンブリに接続されており、鞍型タンクのもう一方の領域内に延在するように構成された第2の導波管を装置が含み、誘導する手段が、更に、作動中に液位よりも上方に位置する第2の導波管の一部分に沿って、エゼクタ・システムの搬送管からの流体の流れを誘導することが有利である。このことにより、鞍型タンクの両領域での補償測定が可能になり、それにより、より正確な全体の測定が可能である。2つの導波管を使用する場合、変換器アセンブリは、両導波管を扱う1つの変換器を含むか、又は1つの導波管をそれぞれ扱う2つの変換器を含んでもよい。更に、変換器は複合ユニットであってもよく、又は別個の送信機及び受信機等を含んでいてもよい。
一実施例では、誘導する手段が、流体の流れを導波管内へ誘導するように構成されている。本実施例により、ガスの組成及び温度に関する補償が可能になる。誘導する手段が、搬送管からの流体を導波管内へ移動させる、導管などの通路を含むことが好ましい。タンクの底部の凹み部により形成され、第1の領域と第2の領域との間にある狭窄通路に、通路(即ち、例えば導管)が配置されていることが好ましい。両領域間のちょうどこの位置で搬送管から導波管へ流体を移動させることは、構造の観点から非常に好都合である。本実施例による測定装置は、測定される液体が少なくとも部分的にガソリン又は石油を含む場合にとりわけ有用である。
別の実施例では、誘導する手段が、流体の流れを導波管の外側に沿って誘導するように構成されている。本実施例により、温度に関する補償が可能になる。誘導する手段が搬送管であることが有利である。また、温度を伝達するために、導波管と搬送管とは、互いに隣接して配置されるのがよい。例えば、導波管の一部分と搬送管とが、互いに並んで配置されていてもよい。別の例では、導波管の一部分が、ハウジングに収容されており、搬送管が、ハウジングに隣接しているか、又はハウジングの中を通っている。これは、同じく搬送管から導波管へ温度を伝達するためである。更に、導波管と搬送管とを、単一の構造に一体化することができ、それにより製造及び組立てが容易になり、コストが低減される。エゼクタ・システムの搬送管を誘導する手段として使用することの利点は、流体の流れを誘導する付加的な専用手段が不要であるということである。ディーゼル油に関して考慮すべき支配的な因子は温度であるので、本実施例による測定装置は、測定される液体がディーゼル油である場合にとりわけ有用である。
搬送管に隣接して導波管を配置すること、随意的には単一の一体構造とすることを、搬送管からの流体を導波管内へ移動させる導管と組み合わせて、上記実施例に適用することも可能である。それにより、温度補償がより拡張され、製造及び組立てが容易になる。
本発明の別の観点によれば、鞍型タンク内の液体の液位の音響補償測定を行う方法であって、鞍型タンクは、第1の領域と、第2の領域と、両領域の間で液体を移動させる搬送管を備えたエゼクタ・システムとを有する、方法において、鞍型タンクの一方の領域内に延在するように構成された導波管内へ、変換器アセンブリからの音響信号を送信するステップと、導波管から変換器アセンブリへの、反射された音響信号を受信するステップと、作動中に液位よりも上方に位置する導波管の一部分に沿って、エゼクタ・システムの搬送管からの流体の流れを誘導するステップとを含むことを特徴とする方法が提供される。この観点は、本発明の前述の観点と同様の利点を示す。
本発明の更に別の観点によれば、第1の領域と第2の領域と両領域の間で液体を移動させる搬送管を備えたエゼクタ・システムとを有する鞍型タンクと、上記の説明による装置とを含むタンク構造が提供される。この観点は、本発明の前述の観点と同様の利点を示す。
本発明のこれらの観点及び他の観点は、現時点で好ましい本発明の実施例を示す添付図面を参照して、より詳細に説明される。
図1aは、本発明の実施例による測定装置10を備えた鞍型タンク12の概略側面図である。鞍型タンク12は、乗用車又はトラックなどの車両用の燃料タンクであってもよい。測定装置10は、タンク12の燃料14の液位を検出するように構成されている。
鞍型タンク12は、その底部に凹み部16を有し、第1の領域18及び第2の領域20を形成している。通常、凹み部16は、車両のドライブ・シャフト(図示せず)を通すためにある。更に、燃料ポンプ22が、供給管24を経由して燃料をタンク12から外へ汲み出すために、鞍型タンク12の第2の領域20に配置されている。第1の領域18に残された燃料を燃料ポンプ22へ移動させるために、エゼクタ・システムが設けられている。
図1aのエゼクタ・システムの例では、第1の領域18から第2の領域20へ延在する第1の搬送管26、及び第2の搬送管30を含む。図1aでは、第2の搬送管30は、供給管24から分岐し、第1の領域18と第2の領域20との間においてタンク12内部を通り、ノズル28で終端する。ノズル28は、第1の領域18内の第1の搬送管26の入り口方向に向けられている。
エゼクタ・システムは、周知のサクション・ジェットの原理に基づいて作動する。エゼクタ・システムの作動時、燃料の流れの一部分が、供給管24から第2の搬送管30を経由してノズル28へ供給される。ノズル28において、周知の方法で吸込み圧力が発生し、第1の領域18内の燃料が、第1の搬送管26を経由して第2の領域20へ送られる。そこで、燃料は、燃料ポンプ22によりタンク12から外へ汲み出される。
測定装置10の構造及び動作を、図1a及び図1bを参照して記載する。測定装置10は、第1及び第2の音響変換器36、38を備えた変換器アセンブリ34と、第1及び第2の導波管40、42とを含む。第1の導波管40は、第1の変換器36に接続されており、鞍型タンク12の第1の領域18内へ延在している。一方、第2の導波管42は、第2の変換器38に接続されており、鞍型タンク12の第2の領域20内へ延在している。各導波管40、42の変換器アセンブリ36に近接する部分は、図1bに示されている通り、平坦な螺旋形状を有することが好ましく、測定装置が小型サイズであることを維持しながら、基準測定を可能にしている。変換器アセンブリ34及び導波管40、42の螺旋部分は、タンク12内のハウジング37に収容されている。ハウジング37は、タンク12の最上部に配置され、領域18と領域20との間にある凹み部16の上方の狭窄通路32に配置されている。変換器アセンブリ34は、電子制御装置44と接続して配置されている。図1aでは、制御装置44は、タンク12の外に配置されている。制御装置44の機能を、以下に記述する。
測定装置10の基本動作時、電子制御装置44は、変換器36、38に電圧を加え、音響パルスを生成させる。第1の変換器36から送信されたパルスが、第1の導波管40を通って、鞍型タンク12の第1の領域18内の燃料14の表面へ誘導される。そのパルスは、導波管40を通って移動し、次いでその表面で反射され、最終的に変換器36に戻る。同様に、第2の変換器38から送信されたパルスが、第2の導波管42を通って、鞍型タンク12の第2の領域20内の燃料14の表面のへ誘導される。そのパルスは、導波管42を通って移動し、次いでその表面によって反射され、最終的に変換器38に戻る。戻りパルスに応答して、変換器36、38は、制御装置44へ対応する信号を生成する。パルスの伝搬時間及び速度を知ることにより、制御装置44は、燃料液位又は鞍型タンク12内の燃料容積を計算することができる。鞍型タンク12内の燃料14の液位の全体的な測定値が、2つの測定値の平均であることが有利である。測定の精度を高めるために、測定装置10は、基準システム(図示せず)を更に含むことができる。例えば、導波管内に、好ましくは螺旋部分の直後かつ生じ得る最高の燃料液位よりも上方に、基準要素を設け、変換器と基準要素との間に導波管の基準部分を設けることができる。そのような基準要素の例及びその他のことが、前述の文献WO2005038415に記載されており、その内容を本明細書により援用する。
同じく測定の精度を高めるために、本発明の本実施例によれば、第2の搬送管30と導波管40、42それぞれとの間に通路が形成されている。即ち、第2の搬送管30と変換器アセンブリ34に近接する導波管40、42との間に通路が形成されるように、第2の搬送管30に連通する導管46が設けられる。第2の搬送管30は、ハウジング37の中を通ることが好ましい。導管46は、第2の搬送管30からの流れの一部分を供給するために第2の搬送管30より細いことが好ましい。作動時、燃料の流れの一部分は、第2の搬送管30から導波管40、42の「最上部」に送られ、その燃料は、次いで、導波管40、42を通ってタンク12内に戻る。このように、燃料の流れは、燃料液位よりも上方に位置する導波管の部分に沿って、導波管の内部に供給される。燃料の流れは、導波管40、42の全体にわたり温度及びガス組成の状態を均一化する。それにより、音響パルスの速度(それは、温度及びガス組成に依存する)が、燃料の主な液位の上方にある導波管40、42の部分の全体にわたって基本的に同じとなるので、より正確な測定が可能になる。
別の変形例(図示せず)では、搬送管30から導波管40、42へ、それらの間にある小開口部を介して、流体を直接移動させることができる。この場合には、導管を省くことができる。図1c〜図1dに示す別の変形例では、第1の搬送管26と導波管40、42との間に通路が形成されるように、エゼクタ・システムの第1の搬送管26と導波管40、42との間に導管46が設けられている。導管46は、領域18と領域20との間にある、タンク12の狭窄通路32に配置されており、変換器アセンブリ34に近接した導波管40、42に進入する。作動時、燃料の流れの一部分が、搬送管26から導管46を経由して導波管40、42の「最上部」へ送られる。その燃料は、次いで、導波管40、42を通ってタンク12内に戻る。このように、燃料の流れは、燃料の液位よりも上方に位置する導波管の部分に沿って、導波管の内部に供給される。
本実施例の測定装置は、測定される燃料が少なくとも部分的にガソリン又は石油を含む場合にとりわけ有用である。それは、かなり容易に気化し且つ導波管を通ってタンク内に容易に還流する傾向がある。
また、2つの導波管を使用する本発明による測定装置は、鞍型タンクの開口部が1つだけでよいという点で有利である。図1a〜図1dの構成では、導波管40のみが、狭窄通路32を介して第1の領域18内へ延在している。導波管40が正常に機能しない可能性は非常に小さいが、万一そうなったとしても、タンク12の燃料ポンプ側の開口部から狭窄通路32を経由して第1の領域18内へ新しい導波管を挿入することは、比較的簡単な作業である。これを、従来のフロート式測定装置が第1の領域18内に配置されている場合と比較されたい。正常に機能しない場合にフロートを修理するためには、タンク内の第1の領域に開口部を追加し、該領域にアクセスしてフロートに達する必要がある。
また、製造においては、所謂「シップ・イン・ボトル」(SIB:ship−in−a−bottle)技術を使用することが有利であり、その場合、タンクが測定装置(及び燃料ポンプ、エゼクタ・システムの部品等の他のタンク部品)を取り囲んで形成される。例えば、プラスチックの燃料タンクを、測定装置及び他のタンク部品を取り囲むようにブロー成形してもよい。
図2a〜図2cは、本発明の別の実施例による測定装置10を備えた鞍型タンク12を示す。図2a〜図2cの測定装置、鞍型タンク、及びエゼクタ・システムは、図1a〜図1dのものと同様であり、関連の相違のみを詳述する。
図2a〜図2cに示されている測定装置では、通路又は導管が省かれている。代わりに、導波管40、42は、エゼクタ・システムの搬送管に、好ましくは図2a〜図2cに示されている第1の搬送管26に沿って、好ましくは接触して配置されている。導波管40、42と搬送管26とは、単一の構造に一体化されていてもよい。また、導波管40、42と搬送管26とは、共通の細長いハウジング(図示せず)により囲まれていてもよい。更に、図2a及び図2bに示されている通り、導波管の螺旋部分、又はその螺旋部分を収容するハウジング37は、第1の搬送管26に近接して、又は接触して配置されるべきである。或いは、図2cに示されている通り、搬送管26は、ハウジング37の中を通ることもできる(しかし、この場合、図1a及び図1bとは対照的に、搬送管と導波管との間に通路はない)。また、ハウジング37は、導波管40、42及び搬送管26と一体化されて、単一の構造体を形成していてもよい。作動時、それらは互いに隣接して配置されているので、搬送管26内の燃料の流れは、導波管40、42の外側に沿って誘導される。これにより、搬送管26内の燃料の「温度」が、燃料の液位よりも上方に位置する導波管40、42の部分に伝達されることが可能になる。それにより導波管40、42の全体にわたり温度の状態が均一化され、パルスの速度(それは、温度に依存する)が、燃料の主な液位よりも上方に位置する導波管40、42の全体にわたり本質的に同じになるので、より正確な測定が可能になる。従って、温度補償に関して、図1a〜図1dのように燃料を導波管内へ誘導する代わりに、本実施例では、燃料を導波管の外側に沿って誘導する。
ディーゼル油に関して考慮すべき支配的な因子は温度であるので、本実施例による測定装置は、測定される燃料がディーゼル油である場合にとりわけ有用である。ディーゼル油は、例えばガソリン又は石油ほど大量には気化しないので、ガス組成の補償はそれほど問題ではない。
当業者は、本発明が、決して上記の好適な実施例に限定されるものではないことを理解されよう。反対に、添付請求項の範囲内で多くの修正及び変形が可能である。例えば、図2a〜図2cに示されている通り、搬送管に隣接して導波管を配置することは、通路又は導管と組み合わせて図1a〜図1dの実施例にも適用可能であり、温度補償がより拡張され、製造及び組立てが容易になる。ここで、測定装置、及びエゼクタ・システムの1つ又は複数の搬送管を、全て単一の構造に一体化することができる。
また、上記エゼクタ・システムを、本発明の範囲内で、種々の方法で設計することができる。例えば、供給管から直接分岐する代わりに、第2の搬送管を燃料戻り管とすることができる。燃料戻り管は、タンクの外側に配置されている燃料戻りシステムからの過剰な燃料をタンク内に戻す(図2a参照)。また、第1の領域内に配置される代わりに、鞍型タンクの第2の領域内において第1の搬送管にノズルを配置することができる。本発明と共に用いることができる適切なエゼクタ・システムが、例えば、文献US5941279、DE19955133、DE4201037、及びEP0864458に開示されている。
更に、記載された実施例では音響パルスが使用されていたが、本発明の測定装置においては、定在波測定などの他の測定方法が使用されてもよい。