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JP2010529191A - pH感受性を有するリポソーム薬物担体 - Google Patents

pH感受性を有するリポソーム薬物担体 Download PDF

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Abstract

生物学的に活性な作用物質を送達するためのリポソーム組成物であって、それぞれが頭部基および疎水性尾部を有する少なくとも第1の剛性脂質および第2の剛性脂質;該第1の脂質または該第2の脂質の少なくとも一部分に対応する側鎖を有するポリエチレングリコール連結脂質;ならびに封入されている生物学的に活性な作用物質を含む組成物。該第1の脂質は双性イオン脂質であってよく、該第2の脂質はpH応答性の頭部基を有してよい。この組成物は、該封入されているものを特定のpHで放出するようになされ得る。

Description

本発明は一般に、薬物担体の分野に関し、より具体的には、リポソームを使用して、生物学的に活性な作用物質を、癌細胞または腫瘍細胞を含めた細胞に送達する分野に関する。
リポソームは、両親媒性の脂質で構成された、球状の自己包囲性ベシクルであり、これまでに広く研究され、治療剤のin vivoにおける投与のためのビヒクルとして利用される。リポソームは、水性の区画を包囲するリン脂質二重層膜によって画定される構造である。この膜は、二重層を越える自由な分子の拡散を阻害するバリアとして作用する。リポソームの物理化学的特徴は、リポソームからの特定の効果を達成する場合に役立ち得る。これらの特徴の操作により、リポソームのin vivoにおける挙動に対して著明な効果をもたらすことができ、治療の成功に対して主要な影響を与えることができる。
リポソームおよび薬物送達ビヒクルとしてのそれらの可能性が、長年にわたり調査されている。アミノグリコシド等の親水性の薬物は、内部の水性の区画中に被包することができ、一方、疎水性の薬物は、脂質二重層に結合し得るかまたはその中に組み込まれる。この二重層は通常、天然または合成のリン脂質およびコレステロールで構成されるが、また、その他の脂質またはそれらの誘導体、およびタンパク質を組み込むことも可能である。
したがって、常に、改善された薬物担体および改善されたリポソーム組成物が求められている。本発明の目的は、とりわけ、これらの必要性に応えるものである。
発明の開示
手短にいうと、本発明は、生物活性な作用物質を送達するためのリポソーム組成物を含み、この組成物は、それぞれが頭部基を有する少なくとも第1の脂質および第2の脂質;第1の脂質または第2の脂質の少なくとも一部分に対応する尾部を有するポリエチレングリコール連結脂質;ならびに封入されている生物学的に活性な作用物質を含む。この組成物は、封入されている生物学的に活性な作用物質を特定のpHで放出するようになされている。
別の実施形態は、標的細胞に対して感受性を示す治療用リポソーム組成物を製剤化する方法を含む。この方法は、生物学的に活性な作用物質が封入されている、あらかじめ形成したリポソームで構成されたリポソーム製剤を選択するステップと;複数のターゲティングコンジュゲートから、極性頭部基および疎水性尾部を有する脂質、近位末端および遠位末端を有する親水性ポリマー、ならびに当該ポリマーの遠位末端につながっているターゲティングリガンドで構成されたターゲティングコンジュゲートを選択するステップと;当該リポソーム製剤と当該選択されたターゲティングコンジュゲートとを組み合わせて、標的細胞のpHに対して感受性の治療用リポソーム組成物を形成するステップとを含む。
本発明のこれらの特色およびその他の特色が、好ましい実施形態の以下の詳細な記載を、添付の図面と併せて読み取れば、当業者にはより明らかとなるであろう。図中、同様の参照番号は、複数の図にわたり同様の構成成分を指す。
図1Aは、等モルのDPPC脂質とDSPA脂質とで構成されたリポソームがpH依存性の内容物の放出を示したことを示す。 図1Bは、75%モルのDPPC脂質および25%モルのDSPA脂質で構成されたリポソームがpH依存性の内容物の放出を示したことを示す。 図1Cは、90%モルのDPPC脂質および10%モルのDSPA脂質で構成されたリポソームがpH依存性の内容物の放出を示したことを示す。 図2Aは、10%血清で補った媒体中での、リポソーム(等モルのDPPC脂質とDSPA脂質との比)からのpH依存性の蛍光内容物(カルセイン)の放出を示す。 図2Bは、10%血清で補った媒体中での、リポソーム(75%モルのDPPCおよび25%モルのDSPA)からのpH依存性の蛍光内容物(カルセイン)の放出を示す。 図2Cは、10%血清で補った媒体中での、リポソーム(90%のDPPCおよび10%のDSPA)からのpH依存性の蛍光内容物(カルセイン)の放出を示す。 図2Dは、10%血清タンパク質の存在下での、リポソーム(25%のDSPA脂質および75%のDSPC脂質)からの蛍光内容物(カルセイン)の放出を示す。 図3Aは、5日にわたる、リポソームからの内容物の放出を示す。 図3Bは、pH7.4での60分間のプレインキュベーションの期間の後に、pHを減少させた場合の、リポソームからの内容物の放出を示す。 図4Aは、(5%モルのコレステロールを有する)等モルのDPPC脂質とDSPA脂質とで構成されたペグ化リポソームの熱スキャンを示す。 図4Bは、リポソーム懸濁物をより長期にわたってインキュベートすると、pHの減少に伴って、より高い熱転移へのシフトが生じたことを示す。 図5は、中性のpHでの、リゾチームの存在下および非存在下における、等モルのDPPCとDSPAとを含有するリポソームのサーモグラフを示す。
定義
別段の記載がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の業者が通常理解する意味と同一の意味を有する。本発明の目的のために、以下の用語を定義する。
「pH感受性」脂質は、頭部基上の正味の電荷を変化させる能力が、少なくとも部分的に周囲の環境のpHに依存する脂質を指す。
本明細書で使用する「生物学的に活性な作用物質」(biologically active agent)という用語は、生物系に影響を及ぼす分子を指す。これらの作用物質には、タンパク質、核酸、治療剤、ビタミンおよびそれらの誘導体等の分子、ウイルス断片、リポ多糖、細菌断片、ならびにホルモンがある。特に興味深い、その他の作用物質は、化学療法剤であり、これらは、癌患者の治療および管理において使用される。そのような分子は一般に、抗増殖剤、細胞傷害剤および免疫抑制剤として特徴付けられ、それらには、タキソール、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンカ−アルカロイド、アクチノマイシンおよびエトポシド等の分子がある。
本明細書で使用する「リポソーム」という用語は、内部の水性の空間を囲む、外側の脂質の二重層膜または多重層膜を含む閉鎖構造を指す。具体的には、本発明のリポソームは、内容物を脂質二重層の間に収容する、つぼ(vase)様の構造を形成する。リポソームを使用して、任意の生物学的に活性な作用物質を、細胞に送達するためにパッケージすることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施形態は、生物学的に活性な作用物質を効率的に運ぶことができる安定な構造を形成する、特異的な組成のpH感受性リポソームを含む。より具体的には、このリポソームは、1つまたは複数の生物学的に活性な作用物質を含有することができ、これを、哺乳動物の宿主に投与して、その内容物を標的細胞または腫瘍細胞に有効に送達することができる。このリポソームは、生物学的に活性な作用物質を運ぶことが可能であり、それらの作用物質は、1つの環境においては隔離されており、別の環境においては選択的に曝され得るようになされている。
リポソーム組成物
本発明の1つの実施形態は、生物学的に活性な作用物質を送達するためのpH感受性リポソーム組成物であり、この組成物は、
a)それぞれが頭部基および疎水性尾部を有する少なくとも第1の脂質および第2の脂質;
b)第1の脂質または第2の脂質の少なくとも一部分に対応する尾部を有するポリエチレングリコール連結脂質;ならびに
c)封入されている生物学的に活性な作用物質
を含む。
この組成物は、封入されている生物学的に活性な作用物質を特定のpHで放出するようになされている。1つの例では、脂質のうちの1つは双性イオン脂質であり、脂質のうちの1つはpH応答性の(titratable)頭部基を形成する脂質である。また、追加の脂質を組成物中に組み込むこともできることが理解される。
組成物中における使用のために適したリポソームは、主としてベシクル形成脂質で構成されたリポソームを含む。そのようなベシクル形成脂質は、(a)水中で、二重層ベシクルを自発的に形成することができる脂質、例として、リン脂質が挙げられ、または(b)脂質二重層中に安定に組み込まれる脂質であり、その疎水性部分は、二重層膜の内部の疎水性領域と接触しており、その頭部基部分は、膜の外側の極性表面に向かって位置を定める。この実施形態に適した、多くの脂質は、2つの炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖、および極性または非極性のいずれかの頭部基を有する型の脂質である。多様な合成脂質および天然に形成される脂質があり、それらには、DPPC、DSPA、DPPAおよびDSPC等のリン脂質があり、これらの場合、2つの炭化水素鎖は典型的には、少なくとも16個の炭素原子の長さである。この型のベシクル形成脂質は、好ましくは、2つの炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖、および極性または非極性のいずれかの頭部基を有する脂質である。
pH感受性リポソームを選択して、特定された程度の流動性または剛性を達成すること、血清中におけるリポソームの安定性を制御すること、これから説明するように、ターゲティングコンジュゲートの挿入のために有効な条件を制御すること、およびリポソーム中に封入されている生物学的に活性な作用物質の放出速度を制御することができる。より硬い脂質二重層またはゲル相二重層を有するリポソームは、比較的硬い脂質、例えば、比較的高い相転移温度、例えば、約41℃超を有する脂質を組み込むことによって達成される。硬い、すなわち、飽和した脂質は、脂質二重層のより高い膜の剛性に寄与する。また、コレステロール等のその他の脂質構成成分も、脂質二重層構造の膜の剛性に寄与することが知られている。対照的に、脂質の流動性は、比較的流動性の脂質、典型的には、比較的低い液体からゲル結晶相への転移温度、例えば、作用温度(例えば、体温)以下を有する脂質相をもつ脂質を組み込むことによって達成することができる。
これらのリポソームは、pH値の減少に対する応答として、膜の面において相分離し、その結果、被包されている内容物のpH制御性の放出をもたらす、pH応答性のドメイン形成脂質を含有することができる。1つの実施形態では、リポソームは、2つの脂質の型(共に、T>37℃)からなり、一方の型は、硬い双性イオン脂質(例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、DPPC、T=41℃)であり、他方の構成成分は、pH値の減少に対する応答として、誘発されて膜の面において相分離する、「pH応答性のドメイン形成」剛性脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジン酸、DSPA、T=75℃)である。生理的なpH(7.4)では、「ドメイン形成」剛性脂質の脂質頭部基は、電荷を有しており、静電反発力が、DSPA脂質間においては優勢であるはずであり、リポソームの膜は、より混合性で均一で現れ、その結果、被包されている内容物が安定に保持されるであろう。
脂質の相分離を、ドメイン形成脂質の頭部基上にpH応答性の電荷を導入することによって調整することができる。ドメイン形成脂質の頭部基上のイオン化の程度は、頭部基間における静電反発力と、炭化水素鎖間におけるファン−デル−ワールス引力との間のバランスを調節するpHを使用することによって制御することができる。相分離し、ドメインを形成することができるであろう、より長い炭化水素鎖の脂質を選択して、頭部基上に、pH応答性の酸性部分をもたらすことができる(例えば、ホスファチジン酸)。中性のpHでは、これらの脂質の頭部基は、負に荷電し、密接な接近およびドメインの形成を妨害する。pHが低下するにつれて、漸進的な頭部基のプロトン付加が、静電反発力を最小化し、脂質ドメインが形成される。
1つの実施形態では、リポソームの脂質うちの1つが、負に荷電している頭部基を有することができる。血流中においては、負に荷電している頭部基は、リポソームがその他の細胞に貼り付く可能性を低下させるのに役立ち得る。この実施形態では、リポソームは、エンドソームの酸性pHに対する応答として、誘発されてドメインを形成する、イオン化可能な「ドメイン形成」(「ラフト」形成)剛性脂質を含む。エンドソームのpHにおけるドメインの形成(または他の、側方への脂質分離)は、おそらくドメインの「縁」の周りにおける「脂質パッキング」の不完全性により、被包されている内容物の放出を引き起こすことができる。生理的なpHで(循環の間)は、脂質は荷電しており、リポソームの膜は「混合性」であり得、したがって、内容物は漏出し得ない。酸性のエンドソームのpH(5.5〜5.0)では、ドメイン形成脂質は、次第にプロトン付加(非イオン化)され、プロトン付加した脂質が集合して脂質ドメインを形成し、その結果、被包されている内容物を放出することができる。1つの実施形態では、脂質は、約3と約7.0との間のpK値を有してよい。別の実施形態では、脂質は、約5と約5.5との間のpK値を有してよい。
別の実施形態では、本明細書に開示するリポソームは、安定化剤をさらに含んでもよく、または高いpHを有す水相をさらに有してもよい。安定化剤の例には、親水性の治療モダリティの保持をさらに促進するための、水相中に組み込まれたリン酸緩衝剤、不溶性金属結合ポリマー、樹脂ビーズ、金属結合分子またはハロゲン結合分子がある。さらに、リポソームは、標的細胞によるエンドサイトーシスを促進するための分子も含むことができる。
生物学的に活性な作用物質
1つの実施形態では、生物学的に活性な作用物質のリポソームによる被包によって、癌細胞中でのモダリティの生物学的利用率が増強する。この実施形態では、リポソームを使用して、生物学的に活性な作用物質(例えば、癌のモダリティ)を被包し、癌細胞中で治療モダリティを効率的に放出することができ、したがって、腫瘍細胞中における毒性の発生を可能にする。例えば、pH感受性リポソームの使用によって、癌細胞によるエンドサイトーシスの際に、治療モダリティのより完全な放出が可能となる。
リポソームは、リン脂質膜に剛性をもたせて、血液循環の間の、リポソーム中における生物活性な作用物質の保持を改善することができる。PEGの添加はまた、リポソームのクリアランスも低下させ、したがって、腫瘍中のリポソームの蓄積を増加させる。例えば、1つの実施形態は、剛性膜を有するpH感受性リポソームを含み、これには、長い循環時間とエンドソームにおける内容物の放出とが組み合わさっている。その他の型のpH感受性リポソームは、表面上に、電荷を有するpH応答性のペプチドを含むことができ、このリポソームは、電荷を有する膜上で、相分離およびドメイン形成を引き起こすことができる。
そのようなリポソームと共に用いるのに適した生物学的に活性な作用物質として、これらに限定されないが、以下の治療活性を示す天然および合成の化合物が挙げられる:抗関節炎活性、抗不整脈活性、抗細菌活性、抗コリン作動活性、抗凝固活性、抗利尿活性、解毒活性、抗てんかん活性、抗真菌活性、抗炎症活性、抗代謝活性、抗片頭痛活性、抗腫瘍性活性、抗寄生生物活性、解熱活性、抗けいれん活性、抗血清活性、鎮痙活性、鎮痛活性、麻酔活性、ベータ−遮断活性、生物学的応答改変活性、骨代謝調節活性、心臓脈管活性、利尿活性、酵素活性、受胎能増強(fertility enhancing)活性、成長促進活性、止血活性、ホルモン活性、ホルモン抑制活性、高カルシウム血緩和活性、低カルシウム血緩和活性、低血糖緩和活性、高血糖緩和活性、免疫抑制活性、免疫増強活性、筋弛緩活性、神経伝達活性、副交感神経作動活性、交感神経作動活性(sympathominetic)、血漿増量(plasma extending)活性、血漿増量(plasma expanding)活性、向精神活性、血栓溶解活性および血管拡張活性。1つの例示的な例では、封入されている作用物質が、細胞傷害性薬物、すなわち、細胞に対して有害なまたは毒性の作用を示す薬物である。
リポソーム組成物の投与
本発明の別の実施形態は、空のリポソームを個体にあらかじめ注入し、細網内皮器官を飽和させて、リポソーム被包治療剤の投与時における、腫瘍特異的ではない、脾臓および肝臓によるリポソーム被包治療剤の取り込みを低下させるステップを含む方法を含む。
使用および応用において、リポソームを使用して、生物学的に活性な作用物質を標的細胞または癌細胞に優先的に送達することができる。例えば、発達した血管構造を有する転移腫瘍への薬物送達においては、リポソームの優先的な腫瘍における蓄積および保持は主として、リポソームのサイズに依存し(EPR効果)、腫瘍が吸収する適切な用量をもたらすことができる。
本発明のリポソームは、ボーラス注入または連続注入による非経口投与のために製剤化することができる。注入のための製剤は、アンプル中の単位投与剤型として、または保存剤を添加した多回用量容器中で提供することができる。組成物は、懸濁剤、液剤または油性もしくは水性のビヒクル中の乳剤等の剤型をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤等の製剤化のための作用物質を含有することができる。あるいは、活性成分を、使用前に、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱性物質を含まない水を用いて再構成するための、粉末形状の剤型としてもよい。
1つの実施形態は、生物学的に活性な作用物質を投与するための方法を含み、この方法は、それぞれが頭部基および疎水性尾部を有する少なくとも第1の剛性脂質および第2の剛性脂質、ならびに第1の脂質または第2の脂質の少なくとも一部分に対応する側鎖を有するポリエチレングリコール連結脂質を含むリポソームを選択するステップであって、第1の脂質は、双性イオン脂質であり、第2の脂質は、pH応答性の頭部基を有し;組成物が、封入されているものを特定のpKaで放出するようになされているステップと;当該少なくとも第1の剛性脂質および第2の剛性脂質、ならびに当該ポリエチレングリコール連結脂質を用いてリポソーム組成物を調製するステップと;当該組成物を生物学的に活性な作用物質と組み合わせることによって、当該生物学的に活性な作用物質が当該リポソーム組成物の内部にあるように、治療用リポソームを調製するステップであって、それによって、当該治療用リポソームは、封入されているものを特定のpKaで放出するようになされているステップと;当該治療用リポソームを対象に投与するステップとを含む。
本発明によるリポソームは製剤化して、任意の好都合な方法で投与することができる。したがって、本発明は、ヒトまたは動物の医療における使用のために製剤化した、少なくとも1つのリポソーム化合物を含む医薬組成物をその範囲内に含む。そのような組成物は、生理学的に許容できる担体または賦形剤、場合により、補助的な薬剤と共に提供して、使用することができる。また、従来の担体も、本発明と共に使用することができる。
免疫応答の克服
免疫原性を克服するために、リポソームを特異的な有機体と共に使用するために改変することが当業者にはできる。別の実施形態では、方法は、リポソームの外側膜表面を、特異的な標的細胞と優先的に結合する分子を用いて被覆するステップをさらに含む。これらの分子またはターゲティング作用物質は、抗体、ペプチド、設計製作された分子、またはそれらの断片であってよい。
例えば、卵巣癌細胞および乳癌細胞の腫瘍ターゲティングおよび内部移行を達成するために、リポソームを、Herceptinを用いて被覆(免疫標識)することができる。Herceptinは、そのような癌細胞の表面上に過剰発現する抗原を標的とする、市販されている抗体である。原理を証明するために、Herceptinが、卵巣癌腫細胞、乳癌腫細胞、肝臓癌腫細胞、結腸癌腫細胞、前立腺癌腫細胞およびその他の癌腫細胞を標的とする、その他の抗体も使用することができるという予想の下に選ばれた。標的細胞は、癌細胞または任意のその他の望ましくない細胞であってよい。そのような癌細胞の例には、卵巣癌、乳癌、またはそれらの転移細胞中に見い出される癌細胞がある。リポソーム(lipsome)の特異的な器官または組織に対する活性なターゲティングは、脂質を、腫瘍関連抗原に特異的であるモノクローナル抗体もしくは抗体断片、レクチン、またはそれらにつながるペプチドと共に組み込むことによって達成することができる。
生物学的に活性な作用物質が、リポソーム中に捕捉されているので、標的化送達は、ペプチドおよびその他のリガンドの添加によって達成され、多量の当該作用物質を結合し、それを送達する、これらのリポソームの能力が損なわれることはない。これらのリガンドは、リポソームに、簡便かつ新規な方法で添加される。最初に、脂質を、対象となる生物学的に活性な作用物質と混合する。次いで、リガンドを、リポソームに直接添加して、リポソームの外側表面を装飾する。
リポソームの調製
リポソームは、Lasic, D. D. Liposomes from Physics to Applications. Elsevier, Amsterdam(1993年)に詳述されている技法等の多様な技法によって調製することができ、本発明の裏付けとして調製したリポソームの特異的な実施例を本明細書に記載する。典型的には、リポソームは、簡便な脂質膜水和(lipid−film hydration)の技法によって形成することができる。この手順では、適切な有機溶媒中に溶解させた、上記で詳述した型のリポソーム形成脂質の混合物を、容器中で蒸発させて、薄い被膜を形成し、次いで、これを水性媒体によって覆う。脂質膜水和物は、約0.1〜10ミクロンの間のサイズを有する。
リポソーム形成後に、サイズを調整する。1つのより有効なリポソームのサイズを調整する方法は、リポソームの水性懸濁液を、0.03〜0.2ミクロンの範囲、典型的には、約0.05、0.08、0.1または0.2ミクロンの選択された均一な孔サイズを有する、一連のポリカーボネート膜を通して押し出すステップを含む。膜の孔サイズは、特に、調製物が同一の膜を通して2回以上押し出された場合には、膜を通して押し出すことによって生成したリポソームの最も大きなサイズにほぼ対応する。また、ホモジナイズする方法も、リポソームを100nm以下のサイズまで小型化するために有用である。本発明の1つの実施形態では、リポソームを、0.2〜0.08μmの範囲の孔サイズを有する一連のポリカーボネートフィルターを通して押し出して、約120nm前後の範囲の直径を有するリポソームを得る。
生物学的に活性な作用物質のリポソーム内への組み込み
選り抜きの生物学的に活性な作用物質を、リポソーム内に、標準的な方法よって組み込むことができ、これらの方法には、当該作用物質の水溶液を用いて脂質被膜を水和させることによる、水溶性化合物の受動的封入、当該作用物質を含有する脂質被膜を水和し、イオン化可能な薬物を内側/外側のリポソームのpH勾配に対して充填することによる、親油性化合物の受動的封入がある。また、逆相蒸発法(reverse evaporation phase)によるリポソームの調製等、その他の方法も適している。
別の実施形態は、標的細胞に対して感受性を示す治療用リポソーム組成物を製剤化する方法を含む。この方法は、生物学的に活性な作用物質が封入されている、あらかじめ形成したリポソームで構成されたリポソーム製剤を選択するステップと;複数のターゲティングコンジュゲートから、極性頭部基および疎水性尾部を有する脂質、近接末端および遠位末端を有する親水性ポリマー、ならびに当該ポリマーの遠位末端につながっているターゲティングリガンドで構成されたターゲティングコンジュゲートを選択するステップと;当該リポソーム製剤と当該選択されたターゲティングコンジュゲートとを組み合わせて、治療用の、標的細胞のpHに対して感受性のリポソーム組成物を形成するステップとを含む。
以下の実施例は、本発明をさらに例証するためのものである。
以下の実施例では、両方の脂質が、異なる長さの、長い飽和炭化水素鎖を有するように、構成要素の脂質を選択した。作用温度(37℃)では、短い方の脂質は大部分がゲル相(T=41℃)であり、長い方の脂質はゲル相(T=75℃)であり、したがって、ドメインの形成にあたっては、ドメイン/非ドメインの界面に沿って、持続性の脂質パッキングの「不備」が存在し、膜透過性の増加および被包されている内容物の放出が生じる。薬物送達の適用例においては、高いT値を有する脂質を選ぶことがより有用であると考えられた。
これらの実施例において使用するための脂質には、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−リン酸(一ナトリウム塩)(DPPA)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−リン酸(一ナトリウム塩)(DSPA)、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](アンモニウム塩)(DPPE−PEG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](アンモニウム塩)(DSPE−PEG)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(リサミンローダミンBスルホニル)(アンモニウム塩)(ローダミン−脂質)、および1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(7−ニトロ−2−1,3−ベンゾオキサジアゾール−4−イル)(アンモニウム塩)(NBD−脂質)が含まれる。これらの脂質は、従来の供給元から購入した。
選択脂質を使用して、リポソームを、最初に、25mlの丸底フラスコ中、クロロホルム中で脂質を(DPPCおよびDSPA、またはDPPCおよびDPPA、またはDSPCおよびDSPAを、5%モルのコレステロール、ならびに2%の全ペグ化脂質、すなわち、ジパルミトイル−脂質量およびジステアロイル−脂質量のそれぞれの割合が2%モルとなる量のDPPE−PEGおよびDSPE−PEGと)組み合わせることによって調製した。回転蒸発装置中で、クロロホルムを55℃で10分間蒸発させ、Nを流しながら5分間さらに蒸発させた。次いで、乾燥させた脂質被膜を、1mlリン酸緩衝液(1m M EDTAを有するPBS、pH=7.4)中、50℃で、2時間水和させた。次いで、脂質懸濁液(全脂質10μモル/ml)を、2段に重ねた、100nmの孔直径のポリカーボネートフィルターを21回通して押し出した。押出しは、水浴中、80℃で実施した。
異なるpH値での脂質の相分離の程度を評価するために、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry)研究をVP−DSC Instrument(MicroCal,LLC、Northampton、マサチューセッツ州)を使用して実施した。周囲のリン酸緩衝溶液と同一のpH(7.4、5.5および4.0)のリン酸緩衝液が被包されているリポソーム懸濁液(0.5ml、全脂質2.5mM)のDSCスキャンを、10℃から85℃にわたり、60℃/時間の走査速度で実施した。また、対応する緩衝液のサーモグラフも、同一の条件下で得、過剰熱容量曲線から差し引いた。リゾチームを外部から添加した(タンパク質3.12mg/ml)研究についても、同一の走査条件を使用した。リン酸緩衝液(pH7.4)が被包されているリポソーム懸濁液を、異なるpH値(7.4、5.5および4.0)の溶液中、リゾチームの存在下または非存在下、37℃で2時間インキュベートしてから、サーモグラフを得た。
(実施例1)
異なる割合のDPPCおよびDSPAで構成されたペグ化リポソームからの、被包されている蛍光内容物、具体的には、この実施例の場合、カルセインの放出を、カルセインの消光効率を測定することによって調査した。脂質被膜を、55mMのカルセインを含有する、1mlのリン酸緩衝液(pH7.4、PBSとイソスモラー(isosmolar))中で水和させた。封入されていないカルセインを、(長さ11cmの)Sephadex G−50カラムを使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により室温で除去し、リン酸緩衝液(1mM EDTA、pH=7.4)を用いて溶出した。リポソームからのカルセインの放出を評価するために、自己消光濃度のカルセイン(55mM)を含有するリポソームを、異なるpH値のリン酸緩衝液または血清を補った媒体中、37℃で、期間にわたりインキュベートした。インキュベートした脂質濃度は、0.20μモル/mlであった。
リポソームからカルセインが放出し、周囲溶液中でカルセインが希釈されると、自己消光の軽減により蛍光の増加が生じた。一定量のリポソーム懸濁液を、リン酸緩衝液(1mM EDTA、pH7.4)を含有するキュベット(経路長1cm)中に添加することによってカルセインの放出を様々な時点で測定した。Triton−X100の添加の前および後のカルセインの蛍光(ex:495nm、em:515nm)を、Fluoromax−2分光蛍光光度計(Horiba Jobin Yvon、ニュージャージー州)を使用して測定し、Triton−X100の添加の前と後との蛍光強度の比として定義される消光効率を計算するために使用した。経時的な、保持された内容物のパーセントを以下のように計算した。
{式中、Qは、対応する時点tにおけるカルセインの消光効率であり、Qmaxは、SECによるリポソーム分離直後の、リン酸緩衝液(pH7.4)中、室温での最大カルセイン消光効率であり、Qminは、最小カルセイン消光効率であり、ユニティ(unity)に等しい。}
図1A、1Bおよび1C[pH7.4(●)、pH5.5(○)、pH5.0(逆黒三角)、pH4.0(▽)]は、リポソーム組成物がpH依存性の挙動を示したことを示す。このことは、リン酸緩衝溶液中のpHが減少するにつれて、内容物の放出が増加することによって実証されている。図1Aに示すように、等モルのDPPC脂質とDSPA脂質とで構成されたリポソームは、より迅速なpH依存性の内容物の放出を示した。図1Bおよび1Cは、pH応答性のドメイン形成(titrable doman−forming)脂質であるDSPAの割合を50%モルから25%モルおよび10%モルまで減少させると、研究したいずれのpH値およびいずれの時点でも、より多くの内容物が保持されたことを示す。インキュベーション30日後には、内容物は、全てのリポソーム組成物から完全に放出した。DPPC脂質のみまたはDSPA脂質のみで構成されたペグ化リポソームはそれぞれ、pH依存性ではない、リン酸緩衝液中に被包されている内容物の60%または80%の安定な保持率を示した。
測定可能でかつ類似の内容物の放出(約5〜10%)が、研究した全てのリポソーム組成物およびpH値について、37℃でのリポソームのインキュベーションの最初の10分以内に検出された。この期間の間の内容物の放出は、相分離に加えて、被包されている溶液と周囲の溶媒との間のモル浸透圧濃度の差によるか、またはリポソームの室温から、DPPCリポソーム構成成分のT値(T=41℃)に近い37℃への迅速な加熱の結果、液体ドメインと固体ドメインとの間の境界領域が形成されることによって、DPPCが豊富な相の一過性の膜不安定化が生じたことによるものであり得る。
「対応する」炭化水素の尾部を含有するリポソーム(DPPC脂質およびDPPA脂質、ならびにDSPC脂質およびDSPA脂質)からの、被包されている内容物のPBS中での放出をそれぞれ、表1Aおよび1Bに示す。
観察し得るように、両方の型のリポソームが、インキュベーションの最初の10分以内に、「pH応答性の脂質」(DPPAまたはDSPA、それぞれ表1Aおよび表1B)の割合に依存するが、pHには依存しない、内容物の保持率の初期低下を示した。DPPA脂質またはDSPA脂質の割合が低下すると、全体的な内容物の保持が高まった。インキュベーションの最初の24時間は、全てのリポソーム組成物が、pH依存性ではない、内容物の放出プロファイルを示した。
(実施例2)
デキストランの保持を測定するために、乾燥させた脂質被膜を、3kDaのデキストラン(0.5mg/ml)または10kDaのデキストラン(0.62mg/ml)を含有する、1mlのリン酸緩衝液を用いて水和させた。リポソームからのデキストランの放出を評価するために、異なる分子量(3kDaおよび10kDa)の蛍光デキストランを含有するリポソームを、異なるpH値のリン酸緩衝液中、37℃で、期間にわたりインキュベートした。被包されるデキストランの濃度を増加させるため、およびリポソームによるデキストランの封入効率が低いがための検出性能を改善するために、インキュベーションの間の脂質濃度は、リン酸緩衝液中の1.25μモル/mlとした。種々の時点において、リポソーム画分を親リポソーム懸濁液から取り出し、放出されたデキストランを、リポソームから(長さ11cmの)Sepharose 4B Columnを使用するSECにより分離し、リン酸緩衝液(1mM EDTA、pH=7.4)を用いて室温で溶出した。遊離のデキストランおよびリポソーム中に被包されているデキストランを、蛍光分光法(ex:595nm、em:615nm)によって定量化した。
より小型のデキストラン(MW=3KDa、直径約4.4nm)は、pH依存性の様式で、最大割合(50%モル)のDSPA脂質を含有するリポソームからのみ放出された。大型のデキストラン粒子(MW=10KDa、直径約5.7nm)は、研究した全ての条件下で、いずれの組成物からも放出されなかった。このことから、ドメイン/非ドメインの界面のカットオフサイズの上限が示された。
pH値の減少に伴う脂質−相分離によって引き起こされるリポソーム膜の「不連続性」の程度を評価するために、カルセインより大きな分子サイズの、蛍光標識したデキストランを、リポソーム中に被包し、リポソームからの、それらのpH依存性の放出を測定した。
表3には、3kDaのデキストランが、等モルのDPPCとDSPAとのリポソームから、カルセインの放出に匹敵する動態でのpH依存性の様式で放出されることを示す。pH応答性のドメイン形成脂質であるDSPAの割合を減少させる(25%および10%モルのDSPA含有量、表3)と、内容物の保持率が増加し、pH依存性の内容物の放出がほとんどなくなることが示された。より大型のデキストラン(10kDa)は、全てのリポソーム組成物によって、30日間安定に保持された(>93%)(データ示さず)。
(実施例3)
図2A、2Bおよび2C[pH7.4(●)、pH5.5(○)、pH5.0(逆黒三角)、pH4.0(▽)]は、10%血清を補った媒体中の、リポソームからの蛍光内容物(カルセイン)のpH依存性の放出を示す。pH応答性のドメイン形成脂質であるDSPAのより大きな割合を含有するリポソームは、内容物のより多くのかつより迅速な放出を、研究したいずれのpH値でも示した。放出動態は、リン酸緩衝液中の測定値と比較して顕著により迅速であった。特に、等モルのDPPC脂質とDSPA脂質とを含有するリポソームは、インキュベーションの30分以内に、5.5および5.0の「エンドソームに相当する」pH値では、pH7.4と比較して、それぞれ49%および70%の内容物を放出した。インキュベーションの最初の10分以内に観察された内容物の放出は、上記で言及したインキュベーションの開始における膜不安定化に対する、潜在的な温度または浸透圧の効果に加えて、pH依存性であるようにも見える。
(実施例4)
図2Dは、媒体中に10%血清タンパク質が存在する場合には、リポソーム(25%DSPA脂質および75%DSPC脂質)からの蛍光内容物(カルセイン)の放出が、pH感受性の、内容物の放出を示すことを示す。酸性pH(5.5および5.0、初期エンドソームおよび後期エンドソームの環境に対応する)中では、20分も経過しないうちに、これらのリポソームは、被包されている内容物の非常に顕著な割合を放出する。同時に、これらのリポソームは、pH7.4では、内容物を安定に含有し、このpHは、内容物がリポソームによって保持される必要がある血液循環の間のpHに対応する。
(実施例5)
図3Aおよび3Bは、60%血清を補った媒体中、37℃でインキュベートした場合、(5%モルのコレステロールおよび2%モルのペグ化脂質を有する)75%モルのDPPCおよび25%モルのDSPAで構成されたリポソームによって保持されたカルセインのパーセントを、pH[pH7.4(●)、pH5.5(○)、pH5.0(逆黒三角)、pH4.0(▽)]の関数として示す。図3Aは、5日にわたる内容物の放出を示し、図3Bは、pH7.4での60分間のプレインキュベーション後に、pHを減少させた(黒の矢印で示す)場合の内容物の放出を示す。エラーバーは、2つのリポソーム調製物の、各時点につき、各調製物あたり2つの試料を用いて繰り返された測定の標準偏差に対応する。
図3Aは、生理的な血清濃度(60%血清、37℃)が存在する場合には、リポソーム(25%モルのDSPA脂質および75%のDPPC)からの蛍光内容物(カルセイン)の放出が、低い血清を含有する媒体の場合に類似する、pHに対する依存性を示すことを示す。インキュベーション時間が短い(1時間未満の)場合には、リポソームは、より低いpH値で、内容物の放出の増加を示した。pH感受性が、研究した全ての3つの脂質の比において観察された(50%および10%モルのDSPAについては、データ示さず)。血清を補った媒体中では、内容物の放出の程度および初期の放出速度は、pHの減少および血清濃度の増加に伴って増加した。
(実施例6)
図4Aは、37℃で2時間インキュベートした後の、リン酸緩衝液中の、(5%モルのコレステロールを有する)等モルのDPPC脂質とDSPA脂質とで構成されたペグ化リポソームの熱スキャンを示す。より高い温度における熱転移からの寄与の増強が、7.4から4.0へのpH値の減少(研究したpH値:7.4、5.5および4.0)に伴って観察された。より低いpH値での、複数のピークを含有する、より高い熱転移によって、集合した(プロトン付加した)DSPA脂質中に豊富であるはずである、脂質相の形成の増加が示唆されている。図4Bは、リポソーム懸濁液を、37℃でより長期(4日)にわたってインキュベートすると、pHの減少に伴って、より高い熱転移への類似のシフトが生じたが、より早い時点(図4A)と比較すると、熱量測定のピークが増加したことを示す。pH応答性のドメイン形成脂質であるDSPA(25%および10%モル)の割合を減少させた場合、研究した全てのpH値(7.4、5.5および4.0)について、より低い温度においてではあるが、熱転移からの類似の寄与が生じた。
血清の存在下における脂質の相分離は、リポソーム膜上に付着している、電荷を有する血清タンパク質の静電引力の下でドメインを形成する、電荷を有するDSPA脂質が集合することによって引き起こされるはずである。血清を補った媒体中でも、ドメイン形成の類似の機構によって、研究したリポソームから観察されたpH感受性が説明されるはずである。リポソームの凝集が、溶液のpHの減少および時間の経過に伴って検出されたが、これらの凝集したリポソーム間における融合は検出されなかった。60%血清を補った媒体中では、25%モルのDSPA脂質を含有するリポソームは、内容物のpH依存性の放出を示し、pH7.4では、インキュベーション24時間後でも、被包されている内容物を顕著に保持した。このpH感受性の放出の動態は、迅速であり、エンドサイトーシスの動態に匹敵する。このことは、リゾチームをモデルタンパク質として使用したDSCサーモグラフによって支持されている。
血清タンパク質の存在下では、リポソームからのpH依存性の内容物の放出は、リポソーム表面上への、電荷を有するタンパク質の吸着によって引き起こされた、電荷を有するDSPA脂質の相分離によるはずである。この仮説を試験するために、リゾチームをリポソーム懸濁液に添加し、熱転移を評価した。リゾチームを、モデルタンパク質として使用した。これは、その変性温度が、高い(72℃)からであり、この変性温度であれば、DPPC脂質およびDSPA脂質の熱転移(それぞれ41℃および75℃)によって画定される温度ウィンドウを顕著には妨げないはずである。図5は、中性のpHでの、リゾチームの存在下および非存在下における、等モルのDPPCとDSPAとを含有するリポソームのサーモグラフを示す。リゾチームの存在下におけるリポソームの主要な転移ピークの分裂はほぼ確実に、タンパク質の吸着時に脱プロトン化した(負に荷電した)DSPA脂質によって引き起こされた側方への相分離を示唆している。また、タンパク質の変性ピークのより低い温度へのシフトも、リゾチームの脂質膜上への吸着を示唆している。より低いpH値(5.5および4.0)での、リゾチームの存在下における、サーモグラフには、広い、脂質の転移ピーク上に、複数の分裂が生じた。これはほぼ確実に、対応するpH値において遊離のリゾチーム上に検出された、2つ以上の転移温度と相関させることができる(データ示さず)。
(実施例7)
等モルのDPPCとDSPAとを含有するリポソームの、測定した平均リポソームサイズは、リン酸緩衝液中でのリポソーム押出し直後、pH7.4では、直径262±57nmであった。表4は、リポソームを、リン酸緩衝液中、37℃で、7.4から4.0までの範囲のpH値でインキュベートしても、期間(3日)にわたり、リポソームのサイズ分布に対する変化が生じないことを示す。このことは、リポソームの凝集が発生しないことを示唆している。表4に示すように、10%血清を補った媒体中では、より低いpH値においては、リポソームの凝集が観察され、時間の経過およびDSPA含有量の増加に伴って増加した(表4)。
(実施例8)
リポソーム間の蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer)(FRET)(ex:496nm、em:590nm)を使用して、pH値の減少におけるリポソーム間の予想される融合を評価した。リポソームの2つの集団を調製した。一方の集団は、NBD−脂質(エネルギー供与体)およびローダミン−脂質(エネルギー受容体)を、それぞれ0.5%モルの割合で含有した。他方のリポソーム集団は、フルオロフォアを含有しなかった。それぞれの集団からのリポソーム画分を、等しい容量で、種々のpH値で混合し、それらの蛍光強度を、蛍光リポソーム集団からのリポソームのみを含有する試料と比較した。リポソームの融合は、フルオロフォア間の有効距離を増加させ、その結果、エネルギー受容体の放射強度が低下する。試料の蛍光強度を、期間にわたりモニターし、両方のリポソーム集団を含有する試料の強度の比を、蛍光リポソームのみを含有する試料の強度によって正規化して、融合とは無関係の消光または光退色の効果を補償した。
等モルのDPPCとDSPAとを含有するリポソームの場合、リン酸緩衝液中および10%血清を補った媒体中の両方において、研究した全てのpH値(7.4、5.5、4.0)について、FRET強度の変化は、期間(4日)にわたり観察されなかった。このことから、媒体中では、リポソームが凝集した後でも、融合は生じないことが示唆されている。
(実施例9)
ゼータ電位の測定値によって、pHの減少に伴う、リポソーム膜表面の負の電荷の減少が検証された。ドメイン/非ドメインの界面に沿った不連続性をより良好に特徴付けるために、また、より大きなサイズの蛍光デキストランのpH依存性の放出も研究した。デキストランのゼータ電位を、研究したpH値で測定したところ、3KDaのデキストランおよび10kDaのデキストランの場合、それぞれ−14.1〜−6.5mVの間および−3.6〜−4.1mVの間の範囲であることが見い出された。このことから、膜の一過性の不連続性を越える直接的な拡散以外の放出機構の可能性が非常に低いことが示唆されている。
pH応答性のドメイン形成脂質であるDSPAを異なる割合で含有するリポソームのゼータ電位を、リン酸緩衝液中で、異なるpH値(7.4、5.5および4.0)において、Zetasizer ZS90(Malvern instruments、Worcestershire、英国)を使用して測定した。測定は、塩を有しない10mM PBS中で実施した。これらの測定のため、リポソーム(全脂質1mM)を、表面上にPEG鎖をグラフトせずに調製して、せん断面の、脂質膜の物理的表面へのより密接な接近を可能にした。2%モルの割合のペグ化ホスファチジルエタノールアミン(pKa=1.7)の排除によって、(ほぼ確実に、より低い濃度(10%モル)のDSPA以外は)ゼータ電位の値が顕著に影響を受けることは予想されない。
表5に、pH応答性のドメイン形成脂質であるDSPAを異なる割合で含有するリポソームの、pH7.4、5.5および4.0において測定したゼータ電位の値を示す。リポソームは、pHの減少およびDSPA含有量の減少に伴う、負のゼータ電位の値の減少を示した。
(実施例10)
リポソーム懸濁液の動的光散乱(dynamic light scattering)(DLS)を、632.8nmのHe−Neレーザー光源を装備したN4 plus自己相関器(Beckman−Coulter、Fullerton、カリフォルニア州)を用いて研究した。散乱を、23.0、30.2、62.6および90°で検出した。それぞれの角度における粒子サイズ分布を、CONTINによる自己相関データ解析から計算した。平均リポソームサイズは、sin(θ)に関する、測定した平均粒子サイズの、ゼロ度におけるy切片であるとして計算された。使用した全ての緩衝溶液は、リポソームの調製の直前に、0.22μmのフィルターを用いてろ過した。自己相関データの収集時間は、1〜10分であった。リポソームを、異なる溶液(リン酸緩衝液および血清を補った媒体)中、37℃でインキュベートし、リポソーム画分を、親リポソームの懸濁液から、時間の経過と共に取り出し、リン酸緩衝液(7.4)中に希釈してから測定した。
2つの型の脂質(5%モルのコレステロールを有するDPPCおよびDSPA)で構成されたリポソーム膜は、pH値の減少に対する応答として、脂質の相分離を示し、その結果、内容物を放出する。しかし、これらの比較的大きな不連続性の存在にもかかわらず、これらのリポソームは、DLSによる測定が示すように、溶液中でそれらの構造を保持し、より大きな凝集物に崩壊することはない。これらの研究は、ドメイン形成DSPA脂質の非イオン化の程度と、(DSCにより測定した)脂質の相分離の程度とを定性的に相関させる。インキュベートする時間を延長させると、より高い熱量測定ピーク(より大きな、全体的なエンタルピーの変化)が生じ、このことは、相分離したドメインに関わる脂質の数の増加、または相分離したドメインの集合体の形成を潜在的に示唆している。ドメインが集合すると、全体的なドメイン/非ドメインの界面が減少し、規則性が低下したドメイン/非ドメインの界面中に存在する脂質に由来する、より低い熱転移温度の熱的寄与の数の減少が生じる。
本実施形態の前記の詳細な説明、および添付の図面は、例証および説明の目的に限って提示されている。これらには、網羅的である意図も、本発明の範囲および精神を制限する意図もない。これらの実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用例を最も良好に説明するために、選択かつ記載されている。当業者であれば、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示する本発明に関して、多くの変形形態を作製することができることを認識する。

Claims (20)

  1. 生物学的に活性な作用物質を送達するためのリポソーム組成物であって、
    a)それぞれが頭部基および疎水性尾部を有する少なくとも第1の剛性脂質および第2の剛性脂質;
    b)該第1の脂質または該第2の脂質の少なくとも一部分に対応する尾部を有するポリエチレングリコール連結脂質;ならびに
    c)封入されている生物学的に活性な作用物質
    を含み、
    該第1の脂質が双性イオン脂質であり、該第2の脂質がpH応答性の頭部基を有し、該封入されている生物学的に活性な作用物質を特定のpHで放出するようになされている組成物。
  2. 安定化構成成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記第1および前記第2の脂質が、均等な割合で存在する、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記第1および前記第2の脂質が、不均等な割合で存在する、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記第1および前記第2の脂質がそれぞれ、Tg>37℃を有する、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記特定のpHが約7未満である、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記リポソームの膜表面上に被覆をさらに含み、該被覆が、特異的な標的細胞と優先的に結合する、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記生物学的に活性な作用物質が、癌細胞に対して毒性を示す、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記脂質のうちの少なくとも1つの前記頭部基が、中性pHでは負である、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記第1の脂質がDSPCまたはDPPCであり、前記第2の脂質がDSPAである、請求項1に記載の組成物。
  11. 生物学的に活性な作用物質の、酸性環境を有する細胞の近位における蓄積を増加させるための方法であって、
    a)それぞれが頭部基および疎水性尾部を有する少なくとも第1の脂質および第2の脂質;該第1の脂質または該第2の脂質の少なくとも一部分に対応する尾部を有するポリエチレングリコール連結脂質;ならびに封入されている生物学的に活性な作用物質を含むリポソームを投与するステップと;
    b)該酸性環境中で該リポソームに、該封入されている生物学的に活性な作用物質を放出させるステップと
    を含み、
    該第1の脂質が双性イオン脂質であり、該第2の脂質がpH応答性の頭部基を有し、該リポソームが、該封入されている生物学的に活性な作用物質を特定のpHで放出するようになされ、
    それによって、該生物学的に活性な作用物質の該放出が、該酸性環境中での該生物学的に活性な作用物質の該蓄積を増加させるために有効である方法。
  12. 前記第1および前記第2の脂質がそれぞれ、Tg>37℃を有する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記リポソームが、前記封入されている生物学的に活性な作用物質を、約7未満の環境中で放出することが可能である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記リポソームが、前記封入されている生物学的に活性な作用物質を、発達した脈管構造を有する転移腫瘍において放出することが可能である、請求項11に記載の方法。
  15. 前記第1の脂質がDSPCまたはDPPCであり、前記第2の脂質がDSPAである、請求項11に記載の方法。
  16. 生物学的に活性な作用物質を投与するための方法であって、
    a)それぞれが頭部基および疎水性尾部を有する少なくとも第1の剛性脂質および第2の剛性脂質、ならびに該第1の脂質または該第2の脂質の少なくとも一部分に対応する側鎖を有するポリエチレングリコール連結脂質を含むリポソームを選択するステップであって、該第1の脂質は、双性イオン脂質であり、該第2の脂質は、pH応答性の頭部基を有するステップと;
    b)少なくとも該第1の剛性脂質、該第2の剛性脂質、および該ポリエチレングリコール連結脂質を用いてリポソーム組成物を調製するステップと;
    c)該リポソーム組成物を生物学的に活性な作用物質と組み合わせることによって、該生物学的に活性な作用物質が該リポソーム組成物の内部に封入されるように、治療用リポソームを調製するステップであって、それによって、該治療用リポソームが、該封入されている生物学的に活性な作用物質を特定のpHで放出するようになされているステップと;
    d)該治療用リポソームを対象に投与するステップと
    を含む方法。
  17. 前記リポソーム組成物が、前記生物学的に活性な作用物質を、7未満のpHを有する環境中で放出するように調製される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記リポソーム組成物が、前記封入されている生物学的に活性な作用物質を、所望のpHで放出するように、前記第1および前記第2の脂質が選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記リポソーム組成物が、前記封入されている生物学的に活性な作用物質を、所望のpHで放出するように、前記第1の脂質上の前記頭部基が選択される、請求項16に記載の方法。
  20. 前記リポソーム組成物が、前記封入されている生物学的に活性な作用物質を、所望のpHで放出するように、前記第2の脂質上の前記頭部基が選択される、請求項16に記載の方法。
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