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JP2010508277A - 癌を検出および抑制するための方法 - Google Patents

癌を検出および抑制するための方法 Download PDF

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Abstract

キナーゼ基質のカスケードを標的とする治療用組成物を投与することにより、癌の転移を治療するための方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年11月1日に出願された米国暫定特許出願第60/855,751号の優先権を主張するものであり、参照することにより本明細書に援用される。
癌は、発展途上国において5人に1人の成人の命を奪う、複雑かつ悲惨な疾患群である。癌は体内の様々な細胞および組織から発生するが、この疾患群には共通の特色がある。癌は主に遺伝的疾患であり、制御されない増殖および分裂を呈する細胞のクローン選択を促進する突然変異の蓄積に起因する。腫瘍細胞がかかる制御されない成長を遂げる結果、正常な器官の機能を脅かす組織が形成され、最終的には患者の命を危険にさらす。
発癌機構を解明するために設計された基礎研究は、腫瘍形成を惹起する遺伝子変化の分子的性状に対する我々の理解を大きく変えた。特に、腫瘍細胞において頻繁に変異する特異的な遺伝子が同定されている。これらの遺伝子は、例えば、DNA損傷修復、相同組換え、細胞周期制御、成長因子のシグナル伝達、アポトーシス、分化、血管新生、免疫応答、細胞遊走、およびテロメア維持を制御する。よって、特定の遺伝子における突然変異に基づいて、癌細胞を正常細胞と区別することが可能である。
しかしながら、癌細胞の表現型の根底にある遺伝的基盤に関する我々の理解が進んでも、癌を治療するための有効な方法は、まだほとんど明らかになっていない。化学療法剤は、腫瘍細胞の増殖を停止または阻害するように設計されるが、化学療法剤は、正常細胞におけるタンパク質活性の必要レベルに有害な影響を及ぼすことなく、腫瘍細胞内の特定のタンパク質の上方制御された活性だけを排他的に抑制できないことが多い。転移した癌の場合、化学療法および放射療法等の現在の癌治療は、概して効力を持たない。
一態様において、本発明は、有効量の、グリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブから構成される群から選択される少なくとも1つの治療薬を患者に投与するステップを備える、肝転移を有する患者を治療する方法を提供する。
一実施形態において、該治療薬はグリベックである。別の実施形態において、該治療薬はアバスチンである。別の実施形態において、該治療薬はタルセバである。別の実施形態において、該治療薬はラパチニブである。別の実施形態において、該治療薬はベクチビックスである。別の実施形態において、該治療薬はグリベックおよびアバスチンである。別の実施形態において、該治療薬はアバスチンおよびタルセバである。別の実施形態において、該治療薬はタルセバおよびラパチニブである。別の実施形態において、該治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびタルセバである。別の実施形態において、該治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびラパチニブである。別の実施形態において、該治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびベクチビックスである。別の実施形態において、該治療薬はアバスチンおよびラパチニブである。
別の実施形態において、当該方法は、(a)患者から生検を得るステップと、
(b)該生検を上皮細胞の濃縮に供するステップと、(c)ライセートを生成するために該上皮細胞を溶解するステップと、(d)イムノアッセイにより該ライセートを分析するステップであって、該イムノアッセイはELISA、逆相アレイ、サスペンションビーズアレイ、および免疫組織化学的検出から構成される群から選択されるステップと、(e)強度値を高基準値および低基準値と比較するステップと、(f)該値を医師に報告するステップと、をさらに備え得る。
別の態様において、本発明は、肺転移を有する患者を治療する方法であって、有効量の、グリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブから構成される群から選択される少なくとも1つの治療薬を、患者に投与するステップを提供する。
一実施形態において、該治療薬はグリベックである。別の実施形態において、アバスチンである。別の実施形態において、該治療薬はタルセバである。別の実施形態において、該治療薬はラパチニブである。別の実施形態において、該治療薬はベクチビックスである。別の実施形態において、該治療薬はグリベックおよびアバスチンである。別の実施形態において、該治療薬はアバスチンおよびタルセバである。別の実施形態において、該治療薬はタルセバおよびラパチニブである。別の実施形態において、該治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびタルセバである。別の実施形態において、該治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびラパチニブである。別の実施形態において、該治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびベクチビックスである。別の実施形態において、該治療薬はアバスチンおよびラパチニブである。
一態様において、本発明は、有効量のakt阻害剤を患者に投与するするステップを備える、肝転移を有する患者を治療する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、有効量のakt阻害剤を患者に投与するするステップを備える、肺転移を有する患者を治療する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、有効量のPI3キナーゼ阻害剤を患者に投与するするステップを備える、肝転移を有する患者を治療する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、有効量のPI3キナーゼ阻害剤を患者に投与するするステップを備える、肺転移を有する患者を治療する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、akt阻害剤ならびにグリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブのうちの少なくとも1つの有効量を患者に投与するステップを備える、肝転移を有する患者を治療する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、akt阻害剤ならびにグリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブのうちの少なくとも1つの有効量を患者に投与するステップを備える、肺転移を有する患者を治療する方法を提供する。
以下の発明を実施するための形態から、他の目的、特色および利点が明白になるであろう。本発明の趣旨および範囲内における様々な変更および改変は、この発明を実施するための形態から当業者に明白となるため、発明を実施するための形態および特定の実施例は例示目的のためにのみ示される。さらに、実施例は本発明の原理を実証するものであり、従来技術における当業者にとって明らかに有用であろうすべての実施例に対する本発明の用途を具体的に示すことは期待されるべきではない。
原発性大腸癌と比較して、肝転移において異なって上昇したホスホエンドポイント(phosphoendpoints)を示した図である。 肺に転移した結腸直腸癌において観察される、上昇した薬剤標的および経路を示した図である。 pTENおよびホスホaktのリン酸化を表した図である。 グリベック(登録商標)標的の三元図を提供する。 患者値の散布図である。
腫瘍細胞のタンパク質ネットワークをマッピングすることで、癌の進行中に改変されるシグナル伝達経路が明らかになった。具体的には、予測されるキナーゼ基質のカスケードのネットワーク分析により、原発病巣と転移病巣の違いが明らかになった。さらに、上昇したリン酸化イベントは、生存促進、成長受容体および運動性関連イベントに関与することが知られている、わずか数個の主要なシグナル伝達経路に分類された。関連するキナーゼを標的とすることによって、異常なシグナル経路を阻害して転移を阻止するであろう。よって、肝臓または肺転移を治療するための方法は、c−kit、PDGFr、ablファミリーキナーゼ、VEGFrファミリーキナーゼ、EGFrファミリーキナーゼ、およびAKT/mTOR経路を標的とする治療薬の投与に関与する。
転移とは、血流またはリンパ系を介して、癌細胞が元の腫瘍部位から体の他の部分へと遊走する、複雑な一連のステップを指す。そうすることで、悪性細胞が原発腫瘍から離れ、隣接組織から腫瘍を分離する周辺の細胞外マトリックス(ECM)を含むタンパク質に付着して分解する。これらのタンパク質を分解することによって、癌細胞はECMを破壊して遊走することができる。
転移が最も発生しやすい場所は、副腎、肝臓、脳、および骨である。特定の腫瘍が特定の器官において播種する傾向もある。例えば、通常、前立腺癌は骨に転移する。同様に、大腸癌は肝臓に転移する傾向がある。胃癌は、女性において卵巣に転移して、クルケンベルグ腫瘍を形成することが多い。
癌を潜在的に生命にかかわる疾患にしているのが、他の組織および器官へと遊走または転移するこの能力である。したがって、本発明は、癌の転移を治療するための方法を提供する。
本発明は、当該技術の実践者には周知である用語およびフレーズを使用する。特に記載がない限りは、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書において用いられる命名法ならびに本明細書に記載される細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、およびハイブリダイゼーションにおける検査手技は、当該技術分野において周知であり、一般的に利用される。組換え核酸法、ポリヌクレオチド合成、微生物培養、細胞培養、組織培養、形質転換、形質移入、形質導入、分析化学、有機合成化学、化学合成、化学分析、ならびに医薬品製剤および送達のために、標準的な手技が用いられる。一般に、酵素反応ならびに精製および/または単離ステップは、製造業者の仕様に従って行われる。手技および手順は、一般に、従来の手法に従って行われる(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd.edition,edited by Sambrook & Russel Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,2001)。
I.腫瘍細胞ネットワークのマッピング
ヒトゲノムの配列決定は、疾患の研究において分子プロファイリングを容易にする技術に革命をもたらした。腫瘍学の分野において、例えば、DNA、RNA、およびタンパク質レベルで腫瘍をプロファイルするために、アレイ技術が用いられてきた。タンパク質マイクロアレイは、創薬、バイオマーカー同定、および細胞物質のシグナル伝達プロファイリングのために、特に強力な技術を提供する。具体的には、また本発明に企図されるように、タンパク質マイクロアレイは、経時的なリン酸化における変化(例えば、特定の治療の前後、疾患状態と非疾患状態との間、およびレスポンダーとノンレスポンダーとの間)を監視することにより、細胞シグナル伝達経路のプロファイリングのために用いることができる。それは、Wulfkuhle,J.et al.Nat Clin Pract Oncol.3:5:256−68(2006)(参照することにより、その全体は本明細書に援用される)で検討されている。タンパク質のリン酸化活性に基づいて、特定の経路を同定し、患者に対する個別の治療のために用いることができる(Liotta,L.Cancer Cell 3:317−325(2003)(参照することにより、その全体は本明細書に援用される))。
タンパク質マイクロアレイは、分析物が溶液相から捕捉されるか、または固相に結合しているかによって分類される。順相アレイ(FPA)では、捕捉された分子は基層上に固定化され、おとり分子としての役割を果たす。反対に、逆相アレイ(RPA)では、何百もの異なるサンプルからアレイが構成されるように、個々の試験サンプルを各アレイ中で固定化する。ヒトの組織は何百という相互作用する細胞集団を有するため、RPAは細胞のプロテオームにおける変化を同定する能力を付与する。タンパク質マイクロアレイを調製するための方法は日常的であり、当該技術分野において周知であり、例えば、Nishizuka,S.et al.Proc Natl Acad Sci USA 100:14299:14234、Paweletz et al Oncogene 20:1981−1989(2001)に開示される。
リン酸化レベルにおける変化に基づき、生存促進、成長受容体および運動性関連イベントに関与することが知られているシグナル伝達経路を同定することが可能である。関連するキナーゼを標的とすることで異常なシグナル経路を阻害し、それにより転移を阻止する。したがって、肝臓または肺転移を治療するための方法は、c−kit、PDGFr、ablキナーゼファミリー、VEGFrキナーゼファミリー、EGFrキナーゼファミリーおよびAKT/mTOR経路を標的とする治療薬の投与を含む。
II.キナーゼ経路を標的にするための治療薬
キナーゼ経路を標的にするために用いることができ、それにより肝転移または肺転移等の転移した癌を治療するための手段として用いることができる、既知であり容易に入手可能な薬剤がいくつか存在する。
グリベック(登録商標)またはSTI571とも称されるイマチニブメシル酸塩は、ある型の成人および小児慢性骨髄性白血病(CML)の治療のため、および胃腸間質性腫瘍(GIST)と称される珍しい型の癌の治療のために、米国食品医薬品局(FDA)に承認されている。グリベック(登録商標)は、癌を引き起こすことが分かっているタンパク質のシグナルを直接停止するための、初めて承認された薬剤である。グリベック(登録商標)は、血小板由来増殖因子(PDGF)および幹細胞因子(SCF)/c−kitのための受容体チロシンキナーゼ(SCF/c−kit受容体チロシンキナーゼ)を阻害する。以前にFDAによって承認された他の分子標的薬剤は、他の癌と関連するタンパク質は妨害するが、該疾患を直接的に引き起こすタンパク質の妨害はしない。
アバスチン(登録商標)、またはベバシズマブは、体の他の部分に広がった結腸直腸癌を、他の薬剤とともに使用して、治療するため、FDAに承認されている。またアバスチン(登録商標)は、手術によって除去することのできない、体の他の部分に広がった、または再発した非小細胞肺癌を、他の薬剤とともに使用して、治療するためにも承認されている。アバスチン(登録商標)は、血管新生促進性サイトカインの1つである血管内皮増殖因子(VEGF)に対する組換えヒト化モノクローナル抗体である。アバスチン(登録商標)は、VEGFに結合してVEGF受容体の結合を阻害することにより、腫瘍血管の成長および維持を防ぐ。
エルロチニブ塩酸塩またはN−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミンモノ塩酸塩としても知られるタルセバ(登録商標)は、化学療法に十分反応しない非小細胞肺癌の型を治療するために、FDAに承認されている。タルセバ(登録商標)は、アデノシン三リン酸と競合して、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼの細胞内触媒ドメインに可逆的に結合することにより、EGFRのリン酸化を可逆的に阻害し、EGFR活性化と関連するシグナル伝達イベントおよび腫瘍形成作用を阻害する。
ラパチニブ(タイカーブ(登録商標))は、乳癌に頻繁に見られるタンパク質であるHER2タンパク質の活性を阻害する、試験段階にある薬剤である。HER2を過剰発現する腫瘍(HER2陽性と称される)は、当該タンパク質を過剰発現しない腫瘍と比べて、早く成長して再発し易い傾向にある。ラパチニブは、乳癌細胞中に見られるHER2タンパク質の一部に結合する。
いくつかのシグナル伝達経路阻害物質が明らかになっており、癌転移の治療薬として用いることができる。かかる阻害物質には、aktおよびPI3キナーゼ阻害物質を含むが、これらに限定されない。
III.治療薬の投与
各治療薬剤、または薬剤の組み合わせは、様々な方法を用いて投与され得る。本明細書において、治療薬剤は、抗体、および小分子等のタンパク質を含む。効果的な治療のために、本発明は、局所的、経口、経肛門、経眼、頬側、経鼻、筋肉内、皮下、または非経口経路で、単独でまたは別の薬剤と組み合わせて、各薬剤を投与することを企図する。経路、製剤、および用量についての最終的な選択は、担当医師によって行われ、患者特有の条件に基づく。
徐放製剤のボーラス注射を含むボーラス注射による投与の場合、薬剤を毎日投与するという点で、投薬計画も連続的なものとすることもでき、あるいは不連続なものとすることもできる。不連続ボーラス注射の投薬計画は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日間、1、2、3、4週間、もしくはそれ以上の週数、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるON期間(注射が行われる日数)、および1、2、3、4、5、6、もしくは7日間、1、2、3、4週間、もしくはそれ以上の週数から選択されるOFF期間(注射が行われない日数)を含む。
当業者には明白であるように、経鼻および吸入投与は、注射、カテーテルまたは経皮的注入デバイスの使用を伴わないため、一般に対象にとってより都合がよい。よって、経鼻および吸入用量はより少量であるが、他の非経口経路で与えられる用量と比較してより頻繁に与えられる。したがって、経鼻および吸入の投薬計画は、「ON」の日ごとに単一用量を含み得るか、または複数用量(例えば、1日当たり2、3、4、5回またはそれ以上の用量)を含み得る。投薬計画は、連続的または不連続であり得、不連続計画は、1、2、3、4、5、6、もしくは7日間、1、2、3、4週間もしくはそれ以上の週数、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるON期間(例えば、少なくとも1回は薬剤が投与される日数)と、1、2、3、4、5、6、もしくは7日間、1、2、3、4週間、もしくはそれ以上の週数から選択されるOFF期間(例えば、薬剤が投与されない日数)とを用いる。
任意の方法による連続的および不連続の投与計画は、「ON」期間を通して用量が調節される投薬計画も含み、例えば、ON期間の最初は用量が低く、ON期間の終わりまで用量が増加される、最初は用量が多く、ON期間中に減少される、最初は用量が少なく、最高レベルまで増加されてから、ON期間の終わりにかけて低下される、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
薬剤、またはその組み合わせは、これらに限定されないが、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、腹腔内(IP)、経皮、経鼻、および吸入経路等の非経口経路によって投与され得る。IV、IM、SC、およびIP投与は、ボーラス注射またはボーラス注入または持続注入を用いてもよく、SCまたはIMの場合も、これらに限定されないが、ポンプ、徐放製剤、および機械デバイスを含む、埋め込み式の徐放デバイスを用いることができる。例えば、本発明は、グリベック、アバスチン、タルセバ、ラパチニブのうちの少なくとも1つを投与することを企図し、当然のことながら様々な薬物の組み合わせが可能である。
一般に、皮下または筋肉内注射によって投与される用量は、静脈内に投与される治療的に同等な用量よりも多い。好ましくは、薬剤は、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水溶液等の、生理的に適合する担体に溶解される。
可能性のある投与には、薬物の組成は液体、懸濁液等の半固体または液体の調製物であり得る。生理的に適合する担体には、生理食塩水、血清アルブミン、5%ブドウ糖、および血漿製剤を含むが、これらに限定されない。経鼻および吸入投与には、凍結乾燥させた粉末等の粉末製剤が有用である場合がある。任意選択的に、担体は、抗菌剤、保存剤、清浄剤、界面活性剤も含み得る。
「治療上有効」量は、治療している有害な状態もしくは疾患の症状、損傷、または疾患の予防もしくは寛解によって決定され得る。本発明の文脈において、「治療上有効」量は、肝臓および肺組織における転移を減少させる。投与されるべき特定の薬剤の用量は、治療されるべき状態、該状態の重症度、使用される細胞障害性薬剤または放射線の種類、および患者の病歴に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。好ましくは、薬剤が毎日投与される場合、ヒトに対する皮下または筋肉内用量は、1日当たり約0.05mg/体重kg〜50mg/体重kgである。より好ましくは、ヒトに対する皮下または筋肉内の1日用量は約0.5mg/kg〜20mg/kgである。最も好ましくは、ヒトの皮下または筋肉内の1日用量は約0.5mg/kg〜5mg/kgである。皮下または筋肉内投与の用量は、好ましくは、静脈内に投与される治療的に同等な用量を上回る。
例えば、FDAが推奨するグリベックの用量は、慢性期のCML患者には1日当たり400mg、加速期または急性転化の患者には1日当たり600mgである。これらのガイドラインに基づいて、また癌転移の重症度および患者の健康状態に依存して、用量は1日当たり400〜420、420〜440、440〜460、460〜480、480〜500、500〜520、520〜540、540〜560、560〜580、および580〜600mgであり得る。処方される用量は、1日1回、食事と大きいコップ1杯の水とともに経口投与されるべきである。患者が利益を受け続ける限り、治療は持続されるべきである。投与の製剤、経路および方法、ならびに用量は、疾患の重症度を含む患者の病歴に依存する。
治療薬剤は、ラクトース、油、マンニトール、およびデンプン等の不活性な医薬品賦形剤とともに、別の薬剤と組み合わせて、医薬組成物を形成することができる。かかる組成物は、エリキシル剤、液剤、軟膏剤、ローション剤、点滴剤、アルコール、錠剤、カプセル剤等の剤形に処方され得る。非経口、筋肉内、皮下および静脈内投与のために、薬剤は、水、食塩水、ゴマ油、エタノール緩衝水性培地、プロピレングリコール等の不活性で経口的に許容されるビヒクルとともに処方され得る。局所的または経口投与のために、薬剤は、ワックス、油、緩衝水性培地等とともに処方され得る。これらの様々な医薬品剤形は、当該技術分野において周知の方法により配合される。
本発明の薬剤は、薬剤として許容される塩として調製され得る。薬剤として許容される塩とは、ペプチド中の1つ以上の電荷を帯びた基と1つ以上の薬剤として許容される無毒性カチオンまたはアニオンとの間に形成される塩を意味する。有機および無機の塩は、例えば、塩酸、硫酸、スルホン酸、酒石酸、フマル酸、臭化水素酸、グリコール酸、クエン酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、酢酸、硝酸、安息香酸、アスコルビン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、炭酸等の酸から調製される塩を含む。薬剤として許容される塩は、これらに限定されないが、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、またはマグネシウムを含むカチオンを含有し得る。
癌の転移を制御するための具体的な実施例を以下に示す。これらは例示的であることを意図し、本発明を制限するものではない。
(実施例1)腫瘍細胞ネットワークのマッピング
レーザーキャプチャーマイクロダイセクションを用いて、患者にマッチさせた結腸直腸癌および肝臓転移68症例(患者34人から)ならびに大腸からの肺転移15症例を得た。Petricoin,E.et al.J Clin Oncol,23:15:3614−20(2003)(参照することにより、その全体は本明細書に援用される)に記載されるように、純粋な癌細胞集団を溶解して逆相タンパク質マイクロアレイ技術に供した。
この手技を用いて、70個のキナーゼ基質のリン酸化状態を測定し、市販の入手可能なソフトウェア(Microvigene,VigeneTech、マサチューセッツ州)を用いて分子ネットワークの解析を行った。解析した70個のホスホエンドポイント(phosphoendpoints)のうち、21個は統計的に有意であり(スチューデントt検定p<0.05)、患者とマッチさせた結腸直腸の特徴と肝転移との間に発現された。
図1に示すように、統計的に有意な21個のホスホエンドポイントのうち、原発大腸癌と比較すると14個が肝転移において上昇した。予想外なことに、14個のリン酸化イベントは、わずか数個の主要なシグナル伝達経路に分類された。これらの経路は、生存促進、成長受容体および運動性関連イベントに関与することが知られており、その多くは標的とする特定の治療のための薬剤標的である。
また、これらのエンドポイントは周知の経路で核形成を行ったために、シグナル伝達のアンタゴニストとして知られるタンパク質のレベルも、予想通りに肝転移において下方制御された。この重大な意味を持つ観察は、経路全体の異常が明らかになっている限りは、最終データに大幅な信頼度を提供する。例えば、成長因子受容体(すなわち、グリベック、アバスチン、およびタルセバ標的)の上方制御と同時に、下流にある生存を促進する構成要素pAK、pRAS、FKHRL、STAT5、pSRCの上方制御ならびに腫瘍抑制因子pTEN(AKT活性を制御する)、切断されたカスパーゼ9およびBADリン酸化(アポトーシスを制御する)の下方制御およびPKCαおよびζ‐λ(両方ともAKT活性化を調節することが示されている)の下方制御がすべて観察され、統計的に有意なエンドポイントに完全に含まれていた。
さらに、図2に示すように、上昇した薬剤標的および経路も肺に転移した結腸直腸癌において観察され、これらの経路は、肝臓および肺転移の両方において標的とされ得ることを示唆していた。
図3は、図1の上昇した2つのホスホエンドポイントを用いた二元図を提供する。これはaktおよびホスホaktを制御するpTENのリン酸化の測定において、シグナル伝達カスケードの活性化を示すものである。pTENがリン酸化されると不安定化して分解し、aktのリン酸化を促す。これらのデータから、シグナル伝達経路は調節不全となり、そうすることで肝臓の癌細胞が選択的に死滅し、転移を妨害することが明白である。
図4は、3個のグリベック標的の三元図を提供するが、各々の標的は独立して活性化され、シグナル伝達経路の調節不全が細胞死を活性化するという証拠を提供している。
(実施例2)治療のための患者選択および階層化
本明細書においてホスホ−グリベック薬剤標的スコア(PGDT)と称されるPDGFr/c‐kitとc−ablのリン酸化レベル(正規化してA431+/−EGF標準物質と比較した)を組み合わせた所定のカット値を取得および使用して、グリベック治療のために患者を選択して階層化することができる。PGDTは、c−abl、c‐kit、およびPDGFrのリン酸化の組み合わせによって、それぞれの患者に対して決定される。それぞれの相対的なリン酸化は、参照標準であるEGF100ng/mlで15分間処理したA431細胞に基づいて決定され、各アッセイにプリントされ、定量化される。A431+EGF標準物質のPGDTに対するアッセイ間およびアッセイ内カット値(CV)は5%未満であり、十分に臨床診断用標準分析物試験の決定要因の範囲内であり、我々が以前に公表した結果の範囲内であった(Paweletz et al,Oncogene,2001)。
例えば、パニツムマブの投与前に、グリベックを単独で用いた28日投与を用いることができる。予備データに基づいて、相対強度単位(RIU)2.3のPGDTカットポイントが用いられ得る(この値は100%の特異性を提供するため)。下の図5に示すように、0/34の原発性結腸直腸癌は、このカットポイント(P<0.00001)を上回る値を有するであろうことが、その理論的根拠である。PGDTのカットポイントである2.3RIUは、理論上、試験集団の患者全員の上位1/3(11/34人の患者(33%)を階層化することになる。原発性疾患と転移性疾患との分別の高度に統計的な有意性に基づいて、登録母集団の1/3は本試験のグリベックアームに適格であると思われる。重要なのは、2.3のPGDTは、A431の対照細胞の値(2.15+/−0.09)の5倍複製の平均値よりもやや高い値に相当することである。A431細胞は、EGFリガンドの不在下において極めて高いEGFRレベルおよび非常に高い恒常的シグナル伝達を有することは周知である。よって、本データは、転移シグナル伝達がいずれの原発性結腸直腸癌レベルからの最も高いシグナルをも上回り、無刺激A431細胞株よりも高い患者を選択するために、カットポイント2.3が用いられ得るという証拠を提供する。
(実施例3)グリベック+ベクチビックスの治療
肝転移の造影による腫瘍サイズの縮小によって測定されるように、単独またはベクチビックスと組み合わせたグリベックは、転移性結腸直腸癌の治療において有効である可能性がある。また、治療の前後に取得した肝生検の標本を用いると、グリベックとベクチビックスの有効性はPDGFr(Y751)、cKIT(Y703)、cAbl(Y245)、AKT(S473)、AKT(T308)、mTOR(S2448)、mTOR(S2481)、4EBP1(S65)、4EBP1(T37/46)、4EBP1(T70)、総EGFR、ホスホEGFR(Y1173、Y1068、Y1045、Y845、Y992)のリン酸化レベルと相関する可能性がある。
例えば、上述の実施例2で定義される、PGDTスコア≧2.3を有する患者は、28日間のグリベック単独療法を受け、28日目辺りに2度目の生検が行われる。その後、患者全員はグリベックとベクチビックスの組み合わせ(6mg/kg)を投与される。PGDTスコア≦2.3を有する患者については、それぞれの患者が標準的な看護療法(治験責任医師の指示に従ったベクチビックスを含む投与計画)を受ける。すべてのタンパク質決定要因は、上述の実施例1に記載される、逆相タンパク質マイクロアレイ(RPMA)を用いて測定される。
Figure 2010508277
表1は、肝臓に転移した結腸直腸癌を有する患者の典型的な集団分布を示した、試験集団のサンプルを表すデータを提供する。
Figure 2010508277
表2は、肝臓に転移した肺癌を有する患者の典型的な集団分布を示した、試験集団のサンプルを表すデータを提供する。
Figure 2010508277

表3は、分析した80種のタンパク質のうち、原発性結腸直腸癌と同時性肝転移との間で統計的に有意なエンドポイントを示す。右側の列は、原発癌と比較して提示された肝病変における傾向を示す。

Claims (30)

  1. 肝転移を有する患者を治療する方法であって、有効量の、グリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブから構成される群から選択される少なくとも1つの治療薬を、前記患者に投与するステップを備える方法。
  2. 前記治療薬はグリベックである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記治療薬はアバスチンである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記治療薬はタルセバである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記治療薬はラパチニブである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記治療薬はベクチビックスである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記治療薬はグリベックおよびアバスチンである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記治療薬はアバスチンおよびタルセバである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記治療薬はタルセバおよびラパチニブである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびタルセバである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびラパチニブである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記治療薬はアバスチンおよびラパチニブである、請求項1に記載の方法。
  13. 前記治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびベクチビックスである、請求項1に記載の方法。
  14. 肺転移を有する患者を治療する方法であって、有効量の、グリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブから構成される群から選択される少なくとも1つの治療薬を、前記患者に投与するステップを備える方法。
  15. 前記治療薬はグリベックである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記治療薬はアバスチンである、請求項14に記載の方法。
  17. 前記治療薬はタルセバである、請求項14に記載の方法。
  18. 前記治療薬はラパチニブである、請求項14に記載の方法。
  19. 前記治療薬はベクチビックスである、請求項14に記載の方法。
  20. 前記治療薬はグリベックおよびアバスチンである、請求項14に記載の方法。
  21. 前記治療薬はアバスチンおよびタルセバである、請求項14に記載の方法。
  22. 前記治療薬はタルセバおよびラパチニブである、請求項14に記載の方法。
  23. 前記治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびタルセバである、請求項14に記載の方法。
  24. 前記治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびラパチニブである、請求項14に記載の方法。
  25. 前記治療薬はアバスチンおよびラパチニブである、請求項14に記載の方法。
  26. 前記治療薬はグリベック(GLEEVAC)およびベクチビックスである、請求項14に記載の方法。
  27. 肝転移を有する患者を治療する方法であって、有効量のakt阻害剤を前記患者に投与するステップを備える方法。
  28. 肝転移を有する患者を治療する方法であって、有効量のPI3キナーゼ阻害剤を前記患者に投与するステップを備える方法。
  29. 肝転移を有する患者を治療する方法であって、有効量の、akt阻害剤ならびにグリベック、アバスチン、タルセバ、ベクチビックス、およびラパチニブのうちの少なくとも1つを前記患者に投与するステップを備える方法。
  30. (a)前記患者から生検を得るステップと、
    (b)前記生検を上皮細胞の濃縮に供するステップと、
    (c)前記上皮細胞を溶解して、ライセートを生成するステップと、
    (d)イムノアッセイにより前記ライセートを分析するステップであって、前記イムノアッセイはELISA、逆相アレイ、サスペンションビーズアレイ、および免疫組織化学的検出から構成される群から選択されるステップと、
    (e)強度値を高基準値および低基準値と比較するステップと、
    (f)前記値を医師に報告するステップと、
    をさらに備える、請求項1に記載の方法。
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