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JP2010235969A - 機械構造用部品およびその製造方法 - Google Patents

機械構造用部品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鍛造機負荷の低減を所期して1200℃以上に加熱されて鍛造される機械構造用部品における、オーステナイト粒の異常成長を抑制し、高周波焼入れ後の焼割れがなく、かつ曲げ疲労強度の劣化を抑制する方途を提供する。
【解決手段】C:0.35〜0.70mass%、Si:0.8mass%以下、Mn:0.7〜1.5mass%、Mo:0.05〜0.60mass%、S:0.06mass%以下、P:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下およびCr:0.1mass%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有し、一部または全部に高周波焼入れが施されてなる機械構造用部品において、該高周波焼入れされる部分の高周波焼入れ前組織の70%以上を、下部ベイナイト組織および/又はマルテンサイト組織とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車の等速ジョイントやクランクシャフトを典型例とする機械構造用部品およびその製造方法に関する。
自動車の等速ジョイントやクランクシャフトなどの機械構造用部品は、所定の部品形状に加工した後に、高周波焼入れ−焼戻しを行うことにより、機械構造用部品としての特性を付与するのが一般的である。このような機械構造用部品の製造において、特に鍛造設備の負荷低減を所期して、1200℃以上の高温に加熱してから鍛造を行う場合に、この鍛造後に高周波焼入れを施した部品の、高周波焼入れ部分に割れが発生することが少なくなく、この種の部品のコストの上昇につながっていた。
また、旧オーステナイト粒界での粒界破壊が発生しやすいために、特に、曲げ疲労強度が要求される用途では、疲労強度が極端に低下することが問題であった。
この原因としては、高周波焼入れ前組織がベイナイトおよびマルテンサイトを有すると、かような組織を急速加熱(高周波焼入れ)した場合に生成する、異常な旧オーステナイト粒(非特許文献1参照)が挙げられる。このような旧オーステナイト粒の異常成長により粒界破壊が起こり易くなり、高周波焼入れによる焼割れが発生しやすくなるのである。
この異常な旧オーステナイト粒の成長を抑制する方法としては、非特許文献2に示されているように、1200℃程度の高い温度まで加熱し高周波焼入温度を高くすることによって、旧オーステナイト粒の整粒化が可能である。ただし、1200℃のような高温域まで加熱してしまうと、整粒にはなるものの平均粒径がやはり粗大になり、焼割れの発生は抑制できない。また、焼入れ前に変態を繰り返させたり加工を施したりして前組織を微細化する方法は効果的と考えられるが、工業的にはコスト高となり利用できない。
また、厚板など圧延後の材料における、再加熱時の旧オーステナイト粒粗大化対策として、特許文献1には、圧延時の1パス圧下率を制御することにより再加熱前組織を微細化し、オーステナイト粒の粗大化を抑制することが提案されている。しかし、一部の自動車部品のように、高温で鍛造せざるを得ない場合に圧延は不可能であり、このような方法は採用できない。
特許第3793473号
CAMP−ISIJ17,(2004).1268. CAMP−ISIJ18,(2005).1602.
本発明は、鍛造機負荷の低減を所期して1200℃以上に加熱されて鍛造される機械構造用部品における、オーステナイト粒の異常成長を抑制し、高周波焼入れ後の焼割れがなく、かつ曲げ疲労強度の劣化を抑制する方途を提供する。
発明者らは、一部または全部に高周波焼入れ部を有する機械構造用部品の高周波焼入れ部の焼き割れを抑制するために、基礎的実験により焼入れ前組織と焼入れ後の旧オーステナイト粒径の関係を調査することにより、高周波焼入れ前の組織がマルテンサイトおよび下部ベイナイトの総和で70%以上であれば、続く高周波焼入れ後の旧オーステナイト粒の異常粒成長を完全に抑制でき、ひいては焼割れを防止できるとともに曲げ疲労強度の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成に導いた。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)C:0.35〜0.70mass%、
Si:0.8mass%以下、
Mn:0.7〜1.5mass%、
Mo:0.05〜0.60mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.02mass%以下、
Al:0.05mass%以下および
Cr:0.1mass%以下
を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有し、一部または全部に高周波焼入れが施されてなる機械構造用部品において、該高周波焼入れされる部分の高周波焼入れ前組織の70%以上が、下部ベイナイト組織および/又はマルテンサイト組織であることを特徴とする機械構造用部品。
(2)請求項1において、前記成分組成として、さらに
B:0.0050mass%以下および
Ti:0.10mass%以下
のいずれか1種または2種を含有する機械構造用部品。
(3)請求項1または2において、前記成分組成として、さらに
Zr:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下、
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.1mass%以下
のいずれか1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
(4)請求項1、2または3において、前記成分組成として、さらに
Pb:0.1mass%以下、
Bi:0.1mass%以下、
Se:0.1mass%以下、
Te:0.1mass%以下および
Mg:0.01mass%以下
のいずれか1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
(5)請求項1から4のいずれかにおいて、前記高周波焼入れが施された部分の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下である機械構造用部品。
(6)C:0.35〜0.70mass%、
Si:0.8mass%以下、
Mn:0.7〜1.5mass%、
Mo:0.05〜0.60mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.02mass%以下、
Al:0.05mass%以下および
Cr:0.1mass%以下
を含有する鋼素材に、1200℃以上で加熱を施し鍛造を行って、かつ、前記部品の鍛造時に後に、高周波焼入れされる部分を含む部品の一部または全部を、2℃/s以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷却することを特徴とする機械構造用部品の製造方法。
本発明によれば、高周波焼入れ後の焼割れがなく、しかも曲げ疲労強度の高い機械構造用部品を提供することができる。また、本発明の方法によれば、高周波焼入後の焼割れを起こすことなく、かつ曲げ疲労強度を劣化することなく、機械構造用部品を工業的規模にて製造することが可能になる。
金属組織を示す顕微鏡写真である。 金属組織を示す顕微鏡写真である。 金属組織を示す顕微鏡写真である。 金属組織を示す顕微鏡写真である。
次に、上記した機械構造用部品について、まず成分組成の各成分量の限定理由から順に説明する。
C:0.35〜0.70mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めることにより疲労寿命の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.35mass%に満たないと、必要とされる疲労強度を確保することができない。下限は0.48mass%がより好ましい。一方、0.70mass%を超えて含有させると、鋼材の母材硬さがHv250以上となり、棒材の切断が困難になる上、部品の硬さが上昇し、その後の切削やドリル旋削が困難になる。好ましくは0.65mass%以下、さらに好ましくは0.60mass%以下とする。以上より、Cは0.35〜0.70mass%の範囲に限定した。
Si:0.80mass%以下
Siは、脱酸剤として作用するだけでなく、強度の向上にも有効に寄与し、好ましくは0.20mass%以上で含有させるが、含有量が0.8mass%を超えると、被削性および鍛造性の低下を招くため、Si量は0.8mass%以下にする必要がある。なお、強度向上のためには、0.05mass%以上とすることが好ましい。
Mn:0.7〜1.5mass%
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化層深さを確保して疲労強度を向上させるために非常に重要な成分である。その含有量が0.7mass%未満では焼入れ性が不足し、硬化層の硬さが確保できないため、曲げ疲労などの疲労強度が確保できない。一方、Mn量が1.5mass%を超えると部品硬さが高くなり、鍛造後の切削やドリル旋削などの加工が困難になるために、Mnは1.5mass%以下にする必要がある。さらには、0.8〜1.0mass%とすることが好ましい。
Al:0.050mass%以下
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒成長を抑制することによって焼入れ硬化層の粒径を微細化する上でも有用な元素である。そのためには、0.015mass%以上で含有させることが好ましい。しかしながら、0.25mass%を超えて含有させてもその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるので、Alは0.050mass%以下の範囲で含有させることが必要である。なお、MnSの形態制御を行う場合には、0.005mass%未満が有効となる場合がある。
Mo:0.05〜0.6mass%
Moは、オーステナイト粒の成長を抑制し、旧オーステナイト粒を微細化する上で有用な元素であり、そのためには0.05mass%以上で添加する必要がある。一方、0.6mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Moは0.6mass%以下とすることが好ましい。
S:0.06mass%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させるのに有用な元素であり、好ましくは0.025mass%以上で含有させる。一方、0.06mass%を超えて含有させると、粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下に制限する。好ましくは、0.04mass%以下である。
P:0.020mass%以下
Pは、不純物元素として粒界に偏析し、粒界強度を低下させるために0.020mass%以下にする必要がある。
Cr:0.1mass%以下
Crは、炭化物を安定化させて粒界に炭化物を形成させやすくする。これにより粒界強度が低下するため、添加量は0.1mass%以下とする。
以上、基本成分について説明したが、本発明は、その他にも、以下に述べる6成分のうちの1種または2種以上を適宜含有させることができる。
B:0.005mass%以下
Bは、少量で安価に焼入れ性を高める効果があるとともに、旧オーステナイト粒界に偏析することで粒界強度を高めて焼割れの抑止および曲げ疲労時の粒界割れ防止に効果があるため、0.005mass%までの添加は有効である。しかし、0.0050mass%を超えて添加しても効果が飽和するため、Bの添加量は0.0050mass%以下とする。
Ti:0.10mass%以下、
Tiは、固溶Nを捕捉し、NによるBの捕捉を抑制してBの効果を引き出すために用いられる。しかし、0.10mass%を超えて添加すると、TiNが粗大となりこれが疲労破壊の起点となることで疲労強度を低下させる。従って、Tiの添加量は0.10mass%以下とする。
Cu:0.5mass%以下
Cuは、焼入れ性の向上に寄与するため、0.5mass%までは添加してもかまわない。しかし、0.5mass%を超えて添加すると、圧延後の鋼材表面に割れを発生するため、Cu添加量は0.5mass%以下とする。好ましくは0.2mass%以下、さらに好ましくは0.1mass%以下とする。
Ni:0.5mass%以下
Niは、焼入れ性の向上に寄与する上、母材の靭性を向上させるため、好ましくは0.20mass%以上で0.5mass%までは添加してもかまわない。しかし、高価な元素であるので添加量は0.5mass%以下とする。
Co:1.0mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するため、1.0mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.0lmass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.02〜0.5mass%である。
Nb:0.1mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でCおよびNと結合して析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼戻し軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに好ましくは0.01〜0.05mass%である。
V:0.5mass%以下
Vは、鋼中でCおよびNと結合して析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、0.5mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.5mass%以下とすることが好ましい。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいため、0.01mass%以上で添加することが望ましい。さらに好ましくは0.03〜0.3mass%である。
W:1.0mass%以下
Wは、オーステナイト粒の成長を抑制する上で有用な元素であり、そのためには0.005mass%以上で含有することが好ましいが、1.0mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Wは1.0mass%以下とすることが好ましい。
Zr:0.lmass%以下
Zrは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でCおよびNと結合し析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼戻し軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに、好ましくは0.01〜0.05mass%である。
Ta:0.5mass%以下
Taは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化防止に有効であるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上には寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Hf:0.5mass%以下
Hfは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転勤疲労の劣化防止に有効であるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上に寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Sb:0.01mass%以下
Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化防止に有効であるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.018mass%を超えると靭性が劣化するため、0.01mass%以下とする。疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.005mass%以上とすることが好ましい。
さらにまた、本発明では、Pb:0.1mass%以下、Bi:0.1mass%以下、Se:0.1mass%以下、Te:0.1mass%以下およびMg:0.01mass%以下のいずれか1種または2種以上を含有させることができる。
Pb:0.1mass%以下
Bi:0.1mass%以下
PbおよびBiはいずれも、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるので、この目的で添加することができる。しかしながら、Pb:0.1mass%、Bi:0.1mass%を超えて添加しても効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Pbは0.01mass%以上、Biは0.01mass%以上で含有させることが好ましい。
Se:0.lmass%以下
Te:0.1mass%以下
SeおよびTeはそれぞれ、Mnと結合してMnSeおよびMnTeを形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、含有量が0.1mass%を超えると、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くため、いずれも0.1mass%以下で含有させるものとした。また、被削性の改善のために、Seの場合は0.003mass%以上およびTeの場合は0.003mass%以上で含有させることが好ましい。
Mg:0.01mass%以下
Mgは、脱酸元素であるだけでなく、応力集中源となって被削性を改善する効果があるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、過剰に添加すると効果が飽和する上、成分コストが上昇するため、0.01mass%以下で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Mgは0.0001mass%以上で含有させることが好ましい。
以上説明した元素以外の残部は、Feおよび不可避不純物であることが好ましく、不可避不純物としてはNが挙げられ、0.015mass%までを許容できる。
さらに、本発明の機械構造用部品は、以上の成分組成を有し、さらに一部または全部に高周波焼入れが施され、その高周波焼入れされる部分の高周波焼入れ前組織の70%以上が、下部ベイナイト組織および/又はマルテンサイト組織であることが肝要である。
すなわち、高周波焼入れ前の組織がマルテンサイトおよび下部ベイナイトの総和で70%以上であれば、続く高周波焼入れ後の旧オーステナイト粒の異常粒成長を完全に抑制でき、ひいては焼割れを防止できるとともに曲げ疲労強度の低下を抑制できる。なぜなら、高周波焼入れ前の組織が、冷却により形成された微細なマルテンサイトおよび/または下部ベイナイト組織であれば、多数のオーステナイトの生成核ができることにより、高周波焼入れ後の旧オーステナイト粒を微細化できる。
次に、機械構造用部品の製造方法について、詳しく説明する。
上記した所定の成分組成に調整した鋼材を、部品形状に圧延または鍛造する。このようにして得られた部品素材の一部または全部に高周波焼入れを行い、必要に応じて焼戻し処理を行う。最終的には、必要に応じて切削や研磨等の処理を行い、機械構造用部品を製造するのが一般的な機械構造用部品の製造方法である。
上記の部品形状に圧延または鍛造する段階において、後工程で高周波焼入れを施す部分またはそれを含む部品の一部を2℃/s以上の冷却速度で400℃以下まで強制冷却する。この操作により、高周波焼入前組織が下部ベイナイトおよび/又はマルテンサイトの合計で70%以上の組織となる。
ここで、部品の一部を2℃/s以上の冷却速度で400℃以下まで強制冷却するには、冷却水噴射装置を取り付けるなどの工業的に比較的容易な手法で達成可能である。ただし、部品全体を冷却してしまうのは、最終形状にするための切削やドリル穴開け等が困難となるために避けることが好ましい。また、そのように強制冷却していない部分があると、復熟で冷却した部分の組織が焼き戻される場合があるが、たとえ焼き戻されても高周波焼入れ後の組織に異常オーステナイト粒は観察されない。
表1に示す成分の鋼を出鋼し、これらの鋼を鍛造にて50mmφの棒状に加工した。棒材の周面から直径の4分の1の位置より、回転曲げ疲労試験片(平行部8mmφ×25mm)を各10本採取し、部品の鍛造を模擬するために、1250℃×l0minに加熱し、温調による炉冷、カオウール冷却および油冷にて、それぞれ表2に示す冷却速度でそれぞれの冷却停止温度まで冷却した。
この時点で試験片の1本は平行部を切断し、組織観察に供した。その際の観察対象となった試験片の組織写真の数例を図1〜4に示す。
残りの試験片は最高加熱温度が900℃になるように高周波焼入れを行い、170℃×30min空冷の焼戻しを行った。
次いで、試験片を仕上げ加工し、小野式回転曲げ疲労試験を行って、得られたS−N曲線から10回疲労寿命相当の負荷応力を求めた。試験後の試験片を切断し焼入部のミクロ組織をオーステナイト粒界現出エッチングにより現出し異常オーステナイト粒の有無を調査した。これらの調査結果を、表2に併記する。
先ず、鋼番号1を用いた結果について説明する。鍛造後の冷却速度が0.2℃/sでは、マルテンサイト+下部ベイナイトの体積率が0%となり、高周波焼入れ−焼戻し後の組織には、図1に示すように、異常オーステナイトが見られた。一部の試験片には、焼割れも見られた。また、曲げ疲労強度は、焼割れの発生していない試験片を用いたものの低かった。鍛造後の冷却停止温度が600℃と高い場合にも、同様の傾向が見られた。図2に、この場合の異常粗大粒発生の様子を現す組織写真を示す。一方で、冷却速度が2℃/sで冷却停止温度が400℃と低い場合(図3参照)や、冷却速度が30℃/sで冷却停止温度が50℃の場合(図4参照)には、異常オーステナイト粒は見られず、疲労強度も高い値を示した。
また、鋼記号2〜5については、本発明の鋼組成を満足しており、さらに、高周波焼入れ前の鋼組織が本発明条件を満足しているため、異常粗大粒の発生や、焼割れは認められず、また、疲労強度も高い値を示した。
一方、C量が低い鋼番号6や、Cr添加量が高い鋼番号7、Mo添加量が低い鋼番号8は、曲げ疲労強度が低い。また、鋼番号9は焼割れや、曲げ疲労強度の低下などの問題はないが、Mo添加量が高いためコスト高となる。

Claims (6)

  1. C:0.35〜0.70mass%、
    Si:0.8mass%以下、
    Mn:0.7〜1.5mass%、
    Mo:0.05〜0.60mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.02mass%以下、
    Al:0.05mass%以下および
    Cr:0.1mass%以下
    を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有し、一部または全部に高周波焼入れが施されてなる機械構造用部品において、該高周波焼入れされる部分の高周波焼入れ前組織の70%以上が、下部ベイナイト組織および/又はマルテンサイト組織であることを特徴とする機械構造用部品。
  2. 請求項1において、前記成分組成として、さらに
    B:0.0050mass%以下および
    Ti:0.10mass%以下
    のいずれか1種または2種を含有する機械構造用部品。
  3. 請求項1または2において、前記成分組成として、さらに
    Zr:0.1mass%以下、
    Ta:0.5mass%以下、
    Hf:0.5mass%以下および
    Sb:0.1mass%以下
    のいずれか1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
  4. 請求項1、2または3において、前記成分組成として、さらに
    Pb:0.1mass%以下、
    Bi:0.1mass%以下、
    Se:0.1mass%以下、
    Te:0.1mass%以下および
    Mg:0.01mass%以下
    のいずれか1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
  5. 請求項1から4のいずれかにおいて、前記高周波焼入れが施された部分の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下である機械構造用部品。
  6. C:0.35〜0.70mass%、
    Si:0.8mass%以下、
    Mn:0.7〜1.5mass%、
    Mo:0.05〜0.60mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.02mass%以下、
    Al:0.05mass%以下および
    Cr:0.1mass%以下
    を含有する鋼素材に、1200℃以上で加熱を施し鍛造を行って、かつ、前記部品の鍛造時に後に高周波焼入れされる部分を含む部品の一部または全部を、2℃/s以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷却することを特徴とする機械構造用部品の製造方法。
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