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JP2010228272A - 液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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JP2010228272A JP2009077847A JP2009077847A JP2010228272A JP 2010228272 A JP2010228272 A JP 2010228272A JP 2009077847 A JP2009077847 A JP 2009077847A JP 2009077847 A JP2009077847 A JP 2009077847A JP 2010228272 A JP2010228272 A JP 2010228272A
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Abstract

【課題】圧電素子が基板から受ける長手方向の引張応力に起因する圧電体層のクラック発生を抑制することができる液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】流路形成基板10に基準方向の幅が直交方向の幅よりも長い圧電素子300を形成し、流路形成基板10の圧電素子300とは反対面に常温よりも低い温度でノズルプレート20を接合し、ノズルプレート20として、流路形成基板10との接合面で第1の方向における第1熱膨張係数が第2の方向における第2熱膨張係数よりも小さく、且つ、第1熱膨張係数が流路形成基板10の熱膨張係数よりも小さいものを用いて、ノズルプレート20の第1の方向を基準方向に合わせて接合する。
【選択図】図6

Description

本発明は、液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法、インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッドでは、一般的に、インクが貯留されたインクカートリッジからのインクが、このインクカートリッジに挿入されるインク供給針及び流路を介してノズル開口に供給され、インクは、圧電素子を駆動させることによりノズル開口から吐出される。
このような圧電素子としては、例えば、下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子のたわみ変形を用いたものが実用化されている。たわみ振動モードの圧電素子としては、圧電素子の下電極の膜厚を調整することで、振動板等の基板から圧電素子にかかる引張応力を緩和させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、このような圧電素子の圧電体層は、圧電体前駆体膜を加熱装置によって加熱することで、結晶化して圧電体膜を形成する工程を複数回繰り返し行って、積層された圧電体膜によって所定の厚さに形成している。
特開2002−164586号公報
しかしながら、たわみ振動モードの圧電素子は、電圧が印加されると短手方向(幅方向)には変形を起こすが、長手方向には、振動板によって変形が制限されている。したがって圧電素子は、電圧が印加されると振動板から長手方向に強い引張応力を受け、この引張応力が原因となって、圧電体層に、圧電素子の短手方向に沿ったクラックが発生し、圧電素子が破壊してしまうという問題がある。
また、このような引張応力は、圧電体層を加熱して結晶化し、その後冷却することによっても生じる。つまり、圧電体層には当該冷却により圧縮応力が生じるが、上述したように振動板により変形が制限されているので、圧電素子は振動板から引張応力を受け、この引張応力によって圧電素子にクラックが生じる。
特許文献1に係る圧電素子では、特に長手方向における振動板から受ける引張応力の緩和が十分ではなく、また、圧電素子を構成する下電極の膜厚を調整しなければならず、製造工程が煩雑になるという問題もある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドユニットだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドユニットにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、圧電素子が基板から受ける長手方向の引張応力に起因する圧電体層のクラック発生を抑制することができる液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、第1基板上に基準方向の幅が当該基準方向と直交する直交方向の幅よりも長い圧電素子を形成する第1の工程と、前記第1基板の前記圧電素子とは反対面に常温よりも低い温度で第2基板を接合する第2の工程とを具備し、前記第2の工程では、前記第2基板として、前記第1基板との接合面で第1の方向における第1熱膨張係数が該第1の方向に直交する第2の方向における第2熱膨張係数よりも小さく、且つ、当該第1熱膨張係数が前記第1基板の熱膨張係数よりも小さいものを用いて、前記第2基板の前記第1の方向を前記基準方向に合わせて接合することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、常温よりも低い温度で第1基板と第2基板とを接合した後、これらを常温に戻すと、第2基板は、第1線膨張係数が第2線膨張係数よりも小さいので、第2の方向により大きく膨張し、第1の方向には、ほとんど膨張しない。さらに、第2基板の第1線膨張係数が第1基板の熱膨張係数よりも小さいため、第1基板が膨張する量は、第2基板の膨張量よりも大きくなる。したがって、第1基板の基準方向への膨張は第2基板により制限され、第1基板は第2基板から第1の方向の圧縮応力を受けることになるので、圧電素子が第1基板から受ける基準方向の引張応力を低減することができる。これにより、第1基板の基準方向の引張応力により圧電体層にクラックが生じ、圧電素子が破壊されることを抑止することができる。また、圧電素子が振動板を変位させた際に第1基板から受ける基準方向の引張応力も、第2基板から受ける第1の方向の圧縮応力により低減されるため、当該引張応力により圧電素子にクラックが生じることを抑止し、耐久性及び信頼性を向上することができる。
ここで、前記第1の工程では、前記第1基板に、前記圧電素子を前記直交方向に複数並設すると共にさらに前記第1基板に前記圧電素子に対応して複数の圧力発生室を前記直交方向に並設する工程を有し、前記第2の工程では、前記第2基板として、前記第2の方向に複数のノズル開口が形成されたノズルプレートであって該ノズルプレートの前記第2熱膨張係数と前記流路形成基板の熱膨張係数との差の絶対値が前記第1熱膨張係数と前記流路形成基板の熱膨張係数との差の絶対値よりも小さいものを用いることが好ましい。これによれば、第2基板の第2熱膨張係数と第1基板の熱膨張係数との差の絶対値を、第2基板の第1熱膨張係数と第1基板の熱膨張係数との差の絶対値よりも小さくしたことで、ノズル開口が並設された第2の方向への第2基板の反りを相対的に小さくすることができる。これにより、ノズル開口から吐出される液体の着弾位置のズレを第1の方向に限定することができ、液体の吐出タイミングの調整により着弾位置を容易に補正することができる。
また、前記第2の工程では、炭素繊維複合材料からなる前記第2基板を用いることが好ましい。これによれば、第1基板の基準方向の引張応力を、炭素繊維複合材料からなる第2基板の第1の方向への圧縮応力で確実に低減することができる。
さらに本発明は、上記態様の製造方法により製造されたことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。かかる態様では、圧電素子が破壊されることを抑止して耐久性及び信頼性が向上した液体噴射ヘッドが提供される。
さらに本発明は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、耐久性及び信頼性が向上した液体噴射装置を提供することができる。
一実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドと液滴との関係を示す概念図である。 一実施形態に係る記録装置の概略を示す斜視図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
〈実施形態1〉
図1は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成され、弾性膜50上には絶縁体膜55が形成されている。本実施形態では、これらの流路形成基板10、弾性膜50及び絶縁体膜55とから第1基板が構成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(直交方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向(基準方向)一端部側には、インク供給路13と連通路14とが隔壁11によって区画されている。また、連通路14の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバー100の一部を構成する連通部15が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14、及び連通部15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路13は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路13は、リザーバー100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通路14から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路13を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路14は、インク供給路13の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路13の幅方向(直交方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路14を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路13と、このインク供給路13に連通するとともにインク供給路13の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路14とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなる絶縁体膜55が積層形成されている。
また、この絶縁体膜55上には、基準方向の幅が、該基準方向に直交する直交方向の幅よりも大きい圧電素子300が直交方向に複数並設されている。
圧電素子300は、例えば白金(Pt)やイリジウム(Ir)等からなる下電極膜60と、圧電材料の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば白金(Pt)やイリジウム(Ir)等からなる上電極膜80とが積層形成されたものである。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。
一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
本実施形態では、図1、図2に示すように、下電極膜60を複数の圧力発生室12に対向する領域に亘って連続して設けることで、複数の圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80及び圧電体層70を各圧電素子300毎に切り分けることで、上電極膜80を各圧電素子300の個別電極としている。
なお、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーターと称する。上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみを残して下電極膜60を振動板としてもよい。
流路形成基板10の開口面側には、第2基板の一例であるノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。ノズルプレート20には、流路形成基板10との接合面における第2の方向(当該接合面における第1の方向に直交する方向)に複数のノズル開口21が並設され、各ノズル開口21は、各圧力発生室12のインク供給路13とは反対側の端部近傍に連通している。
ノズルプレート20は、流路形成基板10との接合面において熱膨張に異方性がある。すなわち、当該接合面における第1の方向の第1熱膨張係数は、第2の方向の第2熱膨張係数よりも小さくなっている。また、この第1熱膨張係数は、流路形成基板10の熱膨張係数よりも小さい。さらに、第2熱膨張係数と流路形成基板10の熱膨張係数との差の絶対値は、第1熱膨張係数と流路形成基板10の熱膨張係数との差の絶対値よりも小さくなっている。
また、ノズルプレート20は、第1の方向を圧電素子300の基準方向に合わせて流路形成基板10に接合され、流路形成基板10に圧縮応力を付与している。このため、圧電素子300に掛かる流路形成基板10、弾性膜50及び絶縁体膜55(第1基板)の基準方向の引張応力はノズルプレート20から受ける第1の方向の圧縮応力により低減している。これにより、流路形成基板10、弾性膜50及び絶縁体膜55の基準方向の引張応力で圧電体層70にクラックが生じ、圧電素子300が破壊されることを抑止できる。
なお、このようなノズルプレート20を形成する材料としては、例えば、炭素繊維複合材料を用いることができる。
また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上まで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部32を有する保護基板30が接着剤35によって接合されている。リザーバー部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部15と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。また、流路形成基板10の連通部15を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部32のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバーと各圧力発生室12とを連通するインク供給路13を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部31が設けられている。圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路が固定されている。この駆動回路としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、本発明に係る液体噴射ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)の製造方法について、図3〜図6を参照して説明する。図3〜図6は、インクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の長手方向の断面図である。なお以下に説明するように、流路形成基板10及び保護基板30はそれぞれシリコンウェハーに複数一体的に形成され、最終的に各基板に分割される。
まず図3(a)に示すように、シリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110の表面に弾性膜50を構成する酸化膜51を形成する。例えば、流路形成基板用ウェハー110の表面を熱酸化することにより、二酸化シリコンからなる酸化膜51を形成する。次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(酸化膜51)上に、弾性膜50とは異なる材料の酸化膜からなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(酸化膜51)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。これにより、流路形成基板用ウェハー110、弾性膜50及び絶縁体膜55からなる第1基板が形成される。以下、流路形成基板用ウェハー110、弾性膜50及び絶縁体膜55を流路形成基板用ウェハー110等と記載する。
次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図4(a)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウム(Ir)からなる上電極膜80を形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80をパターニングすることによって圧電素子300を形成する。このとき、流路形成基板用ウェハー110上に直交方向に圧電素子300が複数並設されるように、圧電体層70及び上電極膜80のパターニングを行う。
圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。また、圧電体層70の形成方法は、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。なお、圧電体層70の形成方法は、特に限定されず、例えば、MOD法やスパッタリング法等を用いるようにしてもよい。
このように形成された圧電素子300が冷却されると、圧電素子300は収縮するが、流路形成基板用ウェハー110等により変形が制限されるので、圧電素子300は、これらの流路形成基板用ウェハー110等から引張応力を受けた状態となっている。
次に、図4(b)に示すようにリード電極90を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成後、この金属層91を圧電素子300毎にパターニングすることでリード電極90を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300側に、シリコンウェハーである保護基板用ウェハー130を接着剤35によって接合する。なお、この保護基板用ウェハー130には、圧電素子保持部31、リザーバー部32及び貫通孔33が予め形成されている。
次に、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対面側を加工して、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚みとする。次いで、図5(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の表面に、圧力発生室12等のインク流路を形成する際のマスクとなる所定パターンの保護膜52を形成する。すなわち、圧力発生室12等のインク流路に対向する領域に開口部52aを有する保護膜52を形成する。次に、図5(c)に示すように、この保護膜52をマスクとして流路形成基板用ウェハー110を異方性エッチング(ウェットエッチング)する。これにより、流路形成基板用ウェハー110には、インク流路を構成する圧力発生室12、インク供給路13、連通路14及び連通部15が形成される。
次に、特に図示しないが、流路形成基板用ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。
次に、図6(a)に示すように、常温よりも低い温度で、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面にノズルプレート20の第1の方向が圧電素子300の基準方向に合うようにノズルプレート20を接合する。本実施形態では、流路形成基板用ウェハー110とノズルプレート20とをエポキシ樹脂で接着している。なお、ここでいう常温とは、インクジェット式記録ヘッドが使用される環境の温度範囲の所定の温度をいい、本実施形態での常温は室温程度としてある。
前述したように、ノズルプレート20は、第1熱膨張係数が第2熱膨張係数よりも小さく、かつ第1熱膨張係数は、流路形成基板用ウェハー110等の熱膨張係数よりも小さいので、常温よりも低い温度で流路形成基板用ウェハー110とノズルプレート20とを接合すると、流路形成基板用ウェハー110は、基準方向にノズルプレート20よりも大きく収縮した状態でノズルプレート20と接合される。
そして、図6(b)に示すように、ノズルプレート20と流路形成基板用ウェハー110とが接合された状態で常温に戻して、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによってインクジェット式記録ヘッドが製造される。
ここで、ノズルプレート20と流路形成基板用ウェハー110とが接合された状態で常温に昇温すると双方とも膨張する。ノズルプレート20は、第1線膨張係数が第2線膨張係数よりも小さいので、第2の方向により大きく膨張し、第1の方向には、ほとんど膨張しない。さらに、ノズルプレート20の第1線膨張係数が流路形成基板用ウェハー110等の熱膨張係数よりも小さいため、流路形成基板用ウェハー110等が膨張する量は、ノズルプレート20の膨張量よりも大きくなる。したがって、流路形成基板用ウェハー110等の基準方向への膨張はノズルプレート20により制限され、流路形成基板用ウェハー110はノズルプレート20から第1の方向の圧縮応力を受けることになるので、圧電素子300が流路形成基板用ウェハー110等から受ける基準方向の引張応力を低減することができる。これにより、流路形成基板用ウェハー110等の基準方向の引張応力により圧電体層70にクラックが生じ、圧電素子300が破壊されることを抑止することができる。また、圧電素子300が振動板を変位させた際に流路形成基板用ウェハー110等から受ける基準方向の引張応力も、ノズルプレート20から受ける第1の方向の圧縮応力により低減されるため、当該引張応力により圧電素子300にクラックが生じることを抑止し、耐久性及び信頼性を向上することができる。
また、このように形成されたインクジェット式記録ヘッドは、インクの着弾精度の低下を抑えることも可能となる。このことを図7を用いて説明する。図7(a)は、インクジェット式記録ヘッドと記録シート(被噴射媒体)との関係を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A線、図7(c)は、図7(a)のB−B線断面図であり、図7(d)は比較例としてのインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
図7(a)に示すように、インクジェット式記録ヘッドは、記録シートSに対してノズル開口21の並設方向に交差する方向(主走査方向)に移動しながらインクを吐出する。
一方、ノズルプレート20の第2熱膨張係数と流路形成基板10、弾性膜50及び絶縁体膜55(以下、流路形成基板10等と記載する。)の熱膨張係数との差の絶対値は、ノズルプレート20の第1熱膨張係数と流路形成基板10等の熱膨張係数との差の絶対値よりも小さくなっている。
したがって、図7(b)及び図7(c)に示すように、ノズルプレート20と流路形成基板10とに熱膨張係数差で反りが生じると、ノズルプレート20は、第1の方向に反る一方、第2の方向への反りは第1の方向への反りよりも小さいか、ほとんど平坦となり、ノズルプレート20は実質第1の方向にのみ反ることになる。
このため、図7(a)に示すように、ノズルプレート20の反りは第1の方向に限定されることになるので、ノズル開口21から吐出されたインク滴の着弾位置Xは本来着弾すべき着弾位置Yから主走査方向にズレた位置となる。しかしながら、主走査方向へのインクの着弾位置のズレは、インクジェット式記録ヘッドのインク滴の吐出タイミングを調整することで補正することができる。
仮に、図7(d)に示すように、ノズルプレート20の第2の方向への反りが大きいと、ノズル開口21の並設方向への反りが大きいということであり、ノズル開口21から吐出されたインク滴の着弾位置Xは本来着弾すべき着弾位置Yから主走査方向に直交する方向にズレた位置となる。このような着弾位置のズレは、インクジェット式記録ヘッドのインク滴の吐出タイミングの調整により補正することは難しい。
このように、ノズルプレート20の第2熱膨張係数と流路形成基板10等の熱膨張係数との差の絶対値を、ノズルプレート20の第1熱膨張係数と流路形成基板10等の熱膨張係数との差の絶対値よりも小さくすることで、ノズル開口21が並設された第2の方向へのノズルプレート20の反りを相対的に小さくすることができる。これにより、ノズル開口21から吐出されるインクの着弾位置のズレを第1の方向に限定することができ、インクの吐出タイミングの調整により着弾位置を容易に補正することができる。
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
実施形態1では、第1基板に流路形成基板10を、第2基板にノズルプレート20を例示したが、これに限らない。例えば2以上の基板からなる積層体を流路形成基板とする場合、圧電素子300側の基板が第1基板となり、その他の基板が第2基板となる。この場合においても、圧電素子300に掛かる第1基板の引張応力が第2基板から受ける圧縮応力により低減されるため、第1基板の引張応力により圧電素子300が破壊されることを防止することができる。
また、実施形態1では、第1基板は、流路形成基板10、弾性膜50及び絶縁体膜55から構成されていたが、このような場合に限定されない。例えば、流路形成基板10に弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60を振動板とする場合、この振動板としての下電極膜60と流路形成基板10とが第1基板となる。この場合でも、圧電体層70に掛かる当該第1基板からの引張応力がノズルプレート20から受ける圧縮応力で低減されるので、圧電体層70にクラックが生じることが抑止され、圧電素子300の破壊が抑止される。
また、実施形態1では、基準方向の幅が直交方向の幅よりも長い圧電素子として、平面視において略矩形状のものを例示したが、このような形状に限らない。例えば、平面視において基準方向に長軸、直交方向に短軸を有する楕円形状の圧電素子であってもよい。
さらに、上述のように製造されたインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図8に示すように、インクジェット式記録装置における記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また上述の実施形態では、インクジェット式記録ヘッドがキャリッジに搭載されて主走査方向に移動するタイプのインクジェット式記録装置を例示したが、本発明は、他のタイプのインクジェット式記録装置にも適用することができる。例えば、固定された複数のインクジェット式記録ヘッドを有し、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを例示したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 インク供給路、 14 連通路、 15 連通部、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバー部、 33 貫通孔、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 110 流路形成基板用ウェハー、 130 保護基板用ウェハー、 300 圧電素子

Claims (5)

  1. 第1基板上に基準方向の幅が当該基準方向と直交する直交方向の幅よりも長い圧電素子を形成する第1の工程と、
    前記第1基板の前記圧電素子とは反対面に常温よりも低い温度で第2基板を接合する第2の工程とを具備し、
    前記第2の工程では、前記第2基板として、前記第1基板との接合面で第1の方向における第1熱膨張係数が該第1の方向に直交する第2の方向における第2熱膨張係数よりも小さく、且つ、当該第1熱膨張係数が前記第1基板の熱膨張係数よりも小さいものを用いて、前記第2基板の前記第1の方向を前記基準方向に合わせて接合する
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1に記載する液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記第1の工程では、前記第1基板に、前記圧電素子を前記直交方向に複数並設すると共にさらに前記第1基板に前記圧電素子に対応して複数の圧力発生室を前記直交方向に並設する工程を有し、
    前記第2の工程では、前記第2基板として、前記第2の方向に複数のノズル開口が形成されたノズルプレートであって該ノズルプレートの前記第2熱膨張係数と前記流路形成基板の熱膨張係数との差の絶対値が前記第1熱膨張係数と前記流路形成基板の熱膨張係数との差の絶対値よりも小さいものを用いる
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記第2の工程では、炭素繊維複合材料からなる前記第2基板を用いる
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドの製造方法により製造されたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
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